JPH0524406A - タイヤ組立体 - Google Patents

タイヤ組立体

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JPH0524406A
JPH0524406A JP3184688A JP18468891A JPH0524406A JP H0524406 A JPH0524406 A JP H0524406A JP 3184688 A JP3184688 A JP 3184688A JP 18468891 A JP18468891 A JP 18468891A JP H0524406 A JPH0524406 A JP H0524406A
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air
mixed gas
tire
filled
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二三男 高橋
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恭朗 塩村
Masahiro Takayama
正博 高山
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C5/00Inflatable pneumatic tyres or inner tubes
    • B60C5/001Inflatable pneumatic tyres or inner tubes filled with gas other than air
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C19/00Tyre parts or constructions not otherwise provided for
    • B60C19/002Noise damping elements provided in the tyre structure or attached thereto, e.g. in the tyre interior

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤ空洞内に新たな構造を設けることなく
車内音を不快なものにしないタイヤ組立体を得ることを
目的としている。 【構成】 タイヤ内に空気とヘリウムの混合気体を充填
する。この混合気体の平均分子量は空気の平均分子量よ
り小さい。したがって、空気中を音波が伝わる速さより
も混合気体中を音波が伝わる速さの方が速くなる。その
ため、振動が車軸を介して車室に伝達されることにより
生じる車室内の音圧レベルのピーク周波数を聴覚上問題
とならない高周波数域にずらすことができる。しかも、
充填する気体自体を変えるだけで、すなわち新たな構造
を設けることなく車内の音圧レベルの低下を図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両の運行
に使用するタイヤ組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤでは、転動時で路面外乱
に対してタイヤの寸度と空気中の音速で決まる特定の周
波数で鋭いピークとなる加振力がタイヤ内部のドーナツ
型空洞に生ずる空気の共鳴振動によって車軸に伝わり、
車内音となって居住性を阻害する問題がある。これを解
決する手段として、従来、タイヤの内部に吸音層の隔壁
その他の構造を設けることにより、タイヤ内の空気の共
鳴自体を抑制する方法(特開昭64ー78902号参
照)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来方法によれ
ば、タイヤ空洞内の空気の共鳴自体を抑制することによ
り車室内の音圧のピークレベルを低下させることはでき
る。しかしタイヤ空洞内の空気の共鳴振動におけるピー
クの周波数を大きく変えることはできず、この結果該周
波数が車両の振動伝達特性、すなわち車室の共鳴とサス
ペンションの共鳴のピークの周波数と一致した場合、車
室内の音圧レベルが上がる。したがって、ピークの周波
数を変えることによって車内音を不快なものにしない方
法が求められている。
【0004】さらに、上記従来方法ではタイヤ空洞内に
新たな構造を設けなければならないため、製造技術の開
発が必要であるとともにコストが増加するという欠点が
ある。
【0005】本発明は上記事実を考慮し、タイヤ空洞内
に新たな構造を設けることなく車内音を不快なものにし
ないタイヤ組立体を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るタ
イヤ組立体は、ゴムに被覆された鋼線の束からなる環状
のビード部と、この間にまたがってトロイド状をなすコ
ードプライをゴムで被覆したカーカスをボディ補強とし
て備え、このカーカスの内側の空洞をゴム部材からなる
インナーライナーで被覆したタイヤをリムに取付け、該
空洞内に気体を充填したタイヤ組立体において、空気よ
り小さい平均分子量の混合気体が空洞内に充填されてい
ることを特徴としている。
【0007】請求項2の発明に係るタイヤ組立体は、請
求項1の発明において、混合気体に対する25℃における
透過率が略2.0 ×10-9(cc/cm2 ・sec・cmH
g)以下でありかつJIS#3での25℃における降伏伸
びが略50パーセント以上であるインナーライナーを有し
ていることを特徴としている。
【0008】請求項3の発明に係るタイヤ組立体は、請
求項2の発明において、ゴム状エラストマーと樹脂とが
重量比にして100:(25 〜400)の配合比で含まれているイ
ンナーライナーを備えていることを特徴としている。
【0009】請求項4の発明は、請求項3記載の発明に
係るタイヤ組立体において、インナーライナーを組成す
る樹脂が略80℃の窒素雰囲気で略1000時間放置した後の
重量が放置前の重量に対して略90%以上であることを特
徴としている。
【0010】
【作用】請求項1の発明に係るタイヤ組立体では、空気
より平均分子量の小さい混合気体が充填されている。し
たがって、空気中を音波が伝わる速さよりも混合気体中
を音波が伝わる速さが速くなるので、路面外乱に対しタ
イヤの寸法とタイヤ空洞内の気体中の音速で決まる車軸
への加振力のピーク周波数を高くすることができる。こ
の結果、車室内で聴覚上問題になりやすい周波数帯域よ
りも上記周波数を高くすることができ、車内における不
快感がなくなる。
【0011】請求項2の発明では、請求項1のタイヤ組
立体において、混合気体に対する25℃における透過率が
2.0 ×10-9(cc/cm2 ・sec・cmHg)以下で
あると共にJIS#3での25℃における降伏伸びが50パ
ーセント以上のインナーライナーが使用されている。こ
の2.0 ×10-9(cc/cm2 ・sec・cmHg)は従
来のインナーライナーに空気を充填した場合の透過率に
相当するので、空気よりも平均分子量の小さい混合気
体、すなわち、インナーライナーを空気よりも透過し易
い混合気体を充填してもインナーライナーからの混合気
体の漏れ性の悪化を来すことはない。しかもJIS#3
での降伏伸びが50パーセント以上とされ、降伏伸びが充
分大きく設定されるので、タイヤの伸びや亀裂による混
合気体のインナーライナーからの漏れを充分抑えられ
る。したがって、請求項2のタイヤ組立体は、混合気体
のインナーライナーからの漏れを充分抑えることができ
ると共に車内音による不快感がなくなる。
【0012】請求項3の発明では、ゴム状エラストマー
と樹脂とからなり、ゴム状エラストマーを重量比で100
としたときに樹脂が25〜400となるように組成すること
により、亀裂の生じにくいインナーライナーを得ること
ができる。
【0013】請求項4の発明では、請求項3記載の発明
に係るタイヤ組立体において、インナーライナーを組成
する樹脂が略80℃の窒素雰囲気で略1000時間放置した後
の重量が放置前の重量に対して略85%以上にされてい
る。樹脂が略80℃の窒素雰囲気で略1000時間放置した後
の重量が放置前の重量に対して略90%のときに、樹脂の
混合気体に対する気体透過係数(透過率×厚み)が約2
倍であり(すなわち気体保持特性は約1/2 )、これ以下
であれば、一般に、車両の通常走行においてインナーラ
イナーが70〜80℃となるが、インナーライナーの嵌合気
体に対する透過性を確保することがむずかしくなる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の一実施例を説明する。図1に
示される車輪10には、トレッド部12Aを備えたタイ
ヤ12が設けられている。タイヤ12の内側には、ゴム
に被覆された鋼線の束11Aからなるビード部11が設
けられており、さらにこのビード部11間にまたがって
トロイド状をなすコードプライ13をゴムで被覆したカ
ーカス15が設けられている。このカーカス15の内壁
に、ゴム部材からなるインナーライナー14が一体に形
成されており、このインナーライナー14内に、混合気
体16が充填されている。一般に、インナーライナーに
充填された気体を介して加振力が図示しない車軸に伝達
されて、車室内の音の原因となる。本実施例では、空気
に代えて混合気体16を使用することにより、車内音を
低減できるように考慮している。以下、表1を用いて本
実施例に係る混合気体16について検討する。
【0015】
【表1】
【0016】本実施例では混合気体16を組成する気体
として空気とヘリウムとを使用し、各々が表1の実施例
1乃至実施例3に示す所定の体積比となるように混合気
体16が調製されている。実施例1では、一定圧力及び
一定温度下で空気とヘリウムとの体積比を1:2、実施
例2では、2:1、実施例3では8:1となるように混
合気体16を調製されている。
【0017】したがって、表1に示す如く、実施例1の
混合気体16の平均分子量は、約12.3、実施例2の混合
気体16の平均分子量は約20.5、実施例3の混合気体1
6の平均分子量は約26.0であり、これらの平均分子量は
いずれも空気の平均分子量(約28.8)よりも小さい。た
だし、これらの平均分子量の値は、空気の平均分子量を
28.8、ヘリウムの原子量を4 として算出した値である。
なお、空気を比較例1として採用した。空気に対して混
合する気体はヘリウムに限らずネオン、アルゴンなどの
不活性ガスを使用してもよく、また、混合する気体は何
種類であってもよい。
【0018】ここで、車内音の音圧レベルでピークをな
す周波数のうち、乗員が車室内において不快と感じる周
波数について検討する。車内音とタイヤ空洞内にある気
体の共鳴振動とは厳密には区別すべきであるが、両者の
周波数スペクトルにおいてピークの周波数がかなり一致
することが知られており、後者をもって前者を考えるこ
とができる。
【0019】タイヤ空洞内共鳴でピークとなる周波数f
は、f=C/(2L)なる式でほぼ予測することができ
る。ただし、Cは音速、Lはタイヤ空洞円環の有効長さ
であり、Lは
【0020】
【数1】
【0021】で算出される。以上の式より乗用車用タイ
ヤの小型サイズから大型サイズまで、具体的には、16
5/70R10から265/70R15のタイヤに空気
を内圧充填した場合の上記周波数を求めると、177H
zから271Hzの範囲にある。前述したように上記周
波数は車内音のピーク周波数とほぼ一致し、この周波数
をピークにもつ車内音は乗員が不快と感じる範囲にあ
る。177Hzが図8のf min に対応し、271Hzが
図8のfmax に対応する。
【0022】図8の実線Aは空洞共鳴周波数と車内音の
フィーリングとの関係を示しており、多車種において、
車内音フィーリングを検討した結果に基づくものであ
る。なお、このグラフにおいて縦軸は車内音のフィーリ
ングの度合いであり、図8の上方ほど車内音のフィーリ
ングが悪くなっており、破線Bより上側は車内音が許容
でない車内音であり、破線Bより下側が許容できる車内
音であることを示している。さらにこの図でfmin から
fmax の範囲よりもやや広い範囲が不快な車内音をなし
ていること、また一般に上記周波数fを上げる方が改良
の方向であることが示されている。なお、本実施例では
上記周波数fがF以上となるように混合気体16が調製
されている。
【0023】図2に示すグラフは、実施例1乃至実施例
3の混合気体16が充填された車輪10を車両に取付け
て実車車内音試験を行った場合の音圧レベル(SPL)
と周波数との関係を示している。なお、試験は、使用す
るタイヤが195/65R14 で内圧が2.0 kgf/cm2 、試験に
使用する車両が小型のFF車、路面がロードノイズ路
(骨材の小石の露出した粗いコンクリート路)で、車両
の走行速度が50km/hの条件下で行った。
【0024】グラフから明らかのように、車内音圧レベ
ルのピークが最も低周波数側にある比較例1は前記不快
範囲にあり、実施例3、実施例2、実施例1の車内の音
圧レベルのピークは、300Hzk近傍〜400Hz の範囲にあ
り、不快領域から外れた領域にある。
【0025】表2に実施例1乃至実施例3における車内
音のピークレベル及びフィーリング評点を比較例1と対
比して示す。
【0026】
【表2】
【0027】なお、フィーリング評点は、いわゆる5点
法で行った。実施例1では、車内音のピークレベルは、
比較例1より8.0 dB低くなっており、実施例2では、
4.3dB、実施例3 では、3.5 dB低くなっている。ま
た、比較例1のフィーリング評点が3 点であるのに対し
て実施例1では5 点、実施例2では4 点となった。すな
わち、車内音のピークレベルの低減及びフィーリング評
点において、実施例1、実施例2、実施例3の順に乗員
に対する車内音の不快感が解消されるのが確認された。
これは、平均分子量が実施例1、実施例2、実施例3の
混合気体16の順に小さくされ、車内音圧レベルのピー
ク周波数がこの順に大きくなるためであると考えられ
る。したがって、混合気体16の平均分子量をさらに小
さくすることで、車内音に対する不快感がより解消され
ると考えられる。
【0028】次に、インナーライナー14を形成する材
料について検討する。表3に各配合物における組成物質
の配合比を示す。なお、各組成物質の値はブチレンゴム
を100としたphr重量比による表示となっている。
【0029】
【表3】
【0030】本実施例では、空気より平均分子量の小さ
い混合気体16をインナーライナー14に充填するの
で、インナーライナー14の混合気体16に対する透過
率が問題となる。実施例1の混合気体16が充填される
インナーライナー14(以下、実施例1のインナーライ
ナー14と呼ぶ)は、ゴム状エラストマとしてのブチル
ゴムと樹脂としてのポリビニルアルコールとが配合比で
100 :80となるように含まれており、さらに表3に示す
他の組成物質が配合された配合物Aを使用している。実
施例1のインナーライナー14の厚み(ゲージ)は0.5m
m であり、実施例1の混合気体16に対する透過率は1.
6 ×10-9(cc/cm2 ・sec・cmHg)である。
ここで透過率とは、(気体透過係数/厚み)で算出され
る値をいう。
【0031】また、実施例2の混合気体16が充填され
るインナーライナー14(以下、実施例2のインナーラ
イナー14と呼ぶ)は、表3に示す配合物Bを使用して
いる。実施例2のインナーライナー14は、厚みは実施
例1 のものと同様0.5mm であり、実施例2の混合気体1
6に対する透過率は、1.0 ×10-9(cc/cm2 ・se
c・cmHg)である。また、実施例3の混合気体16
が充填されるインナーライナー14(以下、実施例3の
インナーライナー14と呼ぶ)は、実施例1と同様、配
合物Aが使用されている。また、実施例3のインナーラ
イナー14の厚みは0.5mm であり、実施例3のインナー
ライナー14の混合気体に対する透過率は1.9 ×10-10
である。なお、空気のみが充填される比較例1のインナ
ーライナー14は、表3の如く各組成物質が配合された
通常ブチルゴムが使用さており、厚みが1mm 、空気に対
する透過率が1.5 ×10-9のものを使用している。また、
空気のみが充填された比較例2のインナーライナー14
は、表3に示す組成物質が表3に示す所定の配合比によ
り配合された配合物Cによって形成されており、厚みが
0.5mm 、混合気体に対する透過率が1.0 ×10-10(cc
/cm2 ・sec・cmHg)のものを使用している。
【0032】ところで、現状のインナーライナーに空気
のみを充填した場合の透過率として25℃で2 ×10-9(c
c/cm2 ・sec・cmHg)以下であることが要求
されるため、上記実施例1乃至実施例3においても、混
合気体の透過率が25℃で2 ×10-9(cc/cm2 ・se
c・cmHg)以下となるようにインナーライナーの材
料を配合している。
【0033】さらに、上記実施例1乃至実施例3は、表
3からも明らかなようにゴム状エラストマーであるBu
tyl 268(100phr) に対して樹脂が(25 〜400)phr の範
囲となるように配合している。これは、樹脂を400phr以
上配合すると、降伏伸びを50%以上確保するのが困難で
あり、樹脂を25phr 以上配合した場合には、混合気体の
保存性を充分に確保するのが困難だからである。
【0034】図3は、経過日数(横軸)とインナーライ
ナー14に充填された混合気体16による圧力(縦軸)
との関係を示すグラフを示している。点線Cは、従来使
用しているインナーライナー14に実施例1の混合気体
16を充填して放置した場合の経過日数に対するエア圧
力、破線Dは実施例1の混合気体16を実施例1のイン
ナーライナー14に充填して放置した場合の経過日数に
対するエア圧力との関係を示している。また、点線E
は、比較例1のインナーライナー14に空気を充填した
場合の経過日数とエア圧力との関係、破線Fは、比較例
2のインナーライナー12に空気を充填した場合の経過
日数とエア圧力との関係を示している。
【0035】図3から明らかのように、実施例1の混合
気体16を従来のインナーライナー14に充填した場合
には、比較例1及び比較例2に比べてエアがもれ易くな
っているが、実施例1のインナーライナー14に実施例
1の混合気体を充填することにより、比較例1及び比較
例2と同等のエア漏れ性を確保できることが確認され
た。
【0036】図4には、動的洩れ性を示すグラフが示さ
れている。このグラフは、60km/h、走行期間が1か月の
データにより作成されている。実線G、で示す曲線は、
比較例1に空気を充填した場合のエア圧力と経過日数と
の関係を示し、破線Hで示す曲線は、実施例1の混合気
体16を実施例1のインナーライナー14に充填した場
合のエア圧力と経過日数との関係を示している。また、
一点鎖線Iは、空気を比較例2に示すインナーライナー
14に充填した場合のエア圧力と経過日数との関係を示
している。
【0037】このグラフから分かるように実線Gと破線
Hとは、略一致しており、経過日数が1か月のエア圧は
ほぼ等しくなっている。すなわち、実施例1の混合気体
16を実施例1のインナーライナー14に充填した場合
における動的エアもれは、空気を比較例1に充填した場
合に劣ることはない。したがって、実施例1のインナー
ライナー14に実施例1の混合気体16を充填した場合
には、放置した場合のエア洩れ性及び動的エア洩れ性が
良好となるため、車両に適用可能である。一方、比較例
2では、放置した場合のエアの洩れ性は問題にならなか
ったが、動的洩れ性においては問題があるので車両に適
用するのは困難である。
【0038】図5に示すグラフグラフにおいて曲線J
は、混合気体16が充填されたインーライナー12の降
伏伸びとエア圧との関係を示している。このグラフは、
60km/h、走行期間が1 か月の条件下でのドラムテスト
の実験結果に基づいて作成したものであり、縦軸はエア
の圧力(kgf/cm2)、横軸はJIS#3での降伏伸び
(%)である。なお、エアの初期圧力は2.0 kgf/cm2
設定している。
【0039】このグラフから分かるように降伏伸びが50
%以下であると、タイヤに亀裂が発生し、エア圧が大き
く減少することが分かる。したがって、実施例1乃至実
施例3のインナーライナー14は降伏伸びが50%以上の
材料を使用するのが好ましいことが確認された。
【0040】ところで、一般に、インナーライナー14
を構成する樹脂の重量が走行距離ゼロの場合の重量の略
90%となったときに、気体透過係数が走行距離ゼロの
場合の略4倍となって、インナーライナー14内のエア
ー圧が減少したことが目視でわかるようになる。そこ
で、このエアー圧力となるまでにタイヤ12のライフサ
イクルの半分程度走行できるような樹脂の材料を検討す
る。
【0041】図6は、樹脂の放置時間の経過に伴う樹脂
の重量減少率を示しており、縦軸に樹脂の放置前の重量
(Orig重量)に対する所定放置時間後の樹脂の重量
の割合(以下、重量変化率と呼ぶ)であり、横軸は放置
時間を示している。なお、曲線Kは、樹脂としてポリビ
ニルアルコールを使用した場合の放置時間に対する樹脂
重量変化率を示し、曲線Mは樹脂として共重合ナイロン
を使用した場合の放置時間に対する樹脂重量変化率を示
している。樹脂の放置は、80℃の窒素雰囲気中で行っ
た。なお、窒素雰囲気を80℃としたのは、車両の通常走
行時にインナーライナー14が略80℃となるからである。
【0042】図7には、重量変化率と、気体透過係数
(縦軸)との関係を示す曲線が示されている。なお、図
7の重量変化率(横軸)は、放置時間(図6と同様の条
件)が1000時間の場合のものである。樹脂の放置時間の
1000時間は、タイヤ12のライフサイクルの半分程度走
行するのに要する時間である。したがって、図7から分
かるように、実施例1及び実施例3に使用されている樹
脂であるポリビニルアルコールと実施例2に使用されて
いる樹脂である共重合ナイロンは、エアー圧力が目視で
分かる程度に減少するまでに、タイヤ12のライフサイ
クルの半分程度走行でき、インナーライナーの材料に適
することが分かる。
【0043】さらに、表1に示される如く、インナーラ
イナー14の厚さは、2mm 以下にされている。これは、
厚さが2mm 以上となると、転がり抵抗(RR)が大きく
なり、近年の低燃費の要請を満たすことが困難であるか
らである。
【0044】上記実施例では、エラストマーとして、ブ
チルゴムを使用しているが、イソプレンゴム、SBR
(スチレンブタジエンゴム)、BR(ポリブタジエンゴ
ム)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、C
R(クロロプレンゴム)、EPDM(エチレンプロピレ
ンゴム)、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)、
シリコーン、ウレタンゴム等を使用してもよい。
【0045】また、上記実施例では、樹脂して、ポリビ
ニルアルコール使用しているが、ポリアミド樹脂、ポリ
エステル、ポリビニリデンクロライド(ビニリデンクロ
ライド80%未満)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及び
これらの共重合体を使用してもよい。
【0046】また、樹脂として塩酸ゴム、ポリサルファ
イドラバー等も使用できる。又、これらのエラストマー
樹脂ブレド物にタルク、C/B等の充填剤さらには、ア
スペクト比の高いマイカ、アルミナを充填することによ
り耐エア透過性を大きく向上させることができる。
【0047】また、上記実施例のインナーライナーは、
タイヤ完成後有機溶剤またはエマルジョンにてインナー
部に塗布してもよいし、生タイヤに張りつけた後、加硫
してもよい。
【0048】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るタイヤ
組立体は、上記構成としたので、タイヤ空洞内に新たな
構造を設けることなく車内音を不快なものとしないタイ
ヤ組立体を得ることができるという優れた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】混合気体が充填された車輪の断面図である。
【図2】車室内の音圧レベルと周波数の関係を示すグラ
フである。
【図3】エア圧と放置日数との関係を示すグラフであ
る。
【図4】動的洩れ特性を示すグラフである。
【図5】エア圧とインナーライナーの降伏伸びとの関係
を示すグラフである。
【図6】樹脂の重量変化率と放置時間との関係を示すグ
ラフである。
【図7】樹脂の気体透過係数と樹脂の重量変化率との関
係を示すグラフである。
【図8】車室音のフィーリングと空洞共鳴周波数との関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 車輪 11 ビード部 13 コードプライ 15 カーカス 12 タイヤ 14 インナーライナー 16 混合気体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムに被覆された鋼線の束からなる環状
    のビード部と、この間にまたがってトロイド状をなすコ
    ードプライをゴムで被覆したカーカスをボディ補強とし
    て備え、このカーカスの内側の空洞をゴム部材からなる
    インナーライナーで被覆したタイヤをリムに取付け、該
    空洞内に気体を充填したタイヤ組立体において、空気よ
    り小さい平均分子量の混合気体が空洞内に充填されてい
    ることを特徴とするタイヤ組立体。
  2. 【請求項2】 混合気体に対する25℃における透過率が
    略2.0 ×10-9(cc/cm2 ・sec・cmHg)以下
    でありかつJIS#3での25℃における降伏伸びが略50
    パーセント以上であるインナーライナーを有している請
    求項1記載のタイヤ組立体。
  3. 【請求項3】 ゴム状エラストマーと樹脂とが重量比に
    して100:(25 〜400)の配合比で含まれているインナーラ
    イナーを備えている請求項2記載のタイヤ組立体。
  4. 【請求項4】 インナーライナーを組成する樹脂が略80
    ℃の窒素雰囲気で略1000時間放置した後の重量が放置前
    の重量に対して略90%以上であることを特徴とする請求
    項3記載のタイヤ組立体。
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