JPH05242539A - 光磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH05242539A
JPH05242539A JP4404892A JP4404892A JPH05242539A JP H05242539 A JPH05242539 A JP H05242539A JP 4404892 A JP4404892 A JP 4404892A JP 4404892 A JP4404892 A JP 4404892A JP H05242539 A JPH05242539 A JP H05242539A
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magneto
optical recording
film
recording medium
protective film
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JP4404892A
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Kiyotaka Shindo
藤 清 孝 進
Masahiro Miyazaki
崎 正 裕 宮
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基板上に、少なくとも保護膜と光磁気記録膜
とを有する光磁気記録媒体であって、該保護膜が、(S
xGe1-x1-yy [ただし、xが0.30≦x≦
0.70であり、yが0.4≦y≦0.8である]で表
わされる組成を有する光磁気記録媒体およびその製造方
法。 【効果】 本発明の光磁気記録媒体の保護膜は、スパッ
タ率が高く、スパッタレート(スパッタ速度)が大き
い。この保護膜は、性能に優れた光磁気記録媒体を生産
性よく提供することができ、C/N比および反射率が良
好である。また、本発明の光磁気記録媒体は、耐腐食性
(耐酸化性)および記録・再生特性に優れるとともに、
長期の使用によっても読み取りエラーが生じ難く、長期
信頼性に優れている。本発明の光磁気記録媒体の製造方
法によれば、上記のような特性を有する光磁気記録媒体
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、スパッタ率が高く、スパ
ッタレート(成膜速度)の大きい、すなわち成膜性に優
れた保護膜を有する光磁気記録媒体およびその製造方法
に関する。また、本発明は、上記のような保護膜を有す
るとともに長期信頼性に優れ、かつ、記録・再生特性お
よび生産性に優れた光磁気記録媒体およびその製造方法
に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】鉄、コバルト等の遷移元素と、テ
ルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)等の希土類元
素との合金からなる光磁気記録膜は、膜面と垂直な方向
に磁化容易軸を有し、一方向に全面磁化された膜面に、
この全面磁化方向とは逆向きの小さな反転磁区を形成す
ることができることが知られている。この反転磁区の有
無を「1」と「0」に対応させることによって、上記の
ような光磁気記録膜にデジタル信号を記録させることが
可能となる。また、このデジタル信号を再生する場合に
は、カ−効果(あるいはファラデ−効果)、すなわち、
反転磁区から反射される再生光の偏光面における回転方
向と反転磁区以外で反射される再生光の偏光面における
回転方向が異なるために反転磁区の有無を検出すること
が可能である。通常、この再生光の偏光面における回転
角はカ−回転角θk で表わされ、光磁気記録媒体の信号
対ノイズ比(C/N比)はθk が大きいほど高くなる。
【0003】このような遷移元素と希土類元素とからな
る光磁気記録膜としては、たとえば特公昭57−206
91号公報には、15〜30原子%のTbを含むTb−
Fe系光磁気記録膜が開示されている。また、Tb−F
eに第3の金属を添加してなる光磁気記録膜も用いられ
ている。さらに、Tb−Co系、Tb−Fe−Co系等
の光磁気記録膜も知られている。Tb−Fe系、Tb−
Co系等の光磁気記録膜中に、この薄膜の耐酸化性(耐
腐食性)を向上させるために、第3の金属を添加する方
法が種々試みられている。
【0004】このような光磁気記録膜を基板上に積層し
てなる光磁気記録媒体では、長期間使用しても読み取り
エラーが発生し難く、長期信頼性に優れていることが望
まれている。このような光磁気記録媒体は、基板上に、
第1保護膜、光磁気記録膜、第2保護膜、金属膜がこの
順序で積層されており、各膜は、通常スパッタリング法
により形成される。この光磁気記録媒体のC/N比はθ
k が大きいほど高くなるが、本来、θk は光磁気記録膜
の固有な値である。しかしながら、上記のような構成の
光磁気記録媒体では、第1保護膜が光磁気記録膜との多
重干渉によりθk をエンハンスする効果を有している。
このエンハンス効果は第1保護膜の屈折率が高いほど大
きいことが知られている。一般に、第1保護膜はSiN
x 、AlNなどの誘電体からなる材料であるが、これら
の屈折率は約2.0であり、より屈折率の高い第1保護
膜材料の出現が望まれている。また、これを製造ライン
で生産する場合、それぞれの材料からなるターゲットが
設置された薄膜形成装置を並べ、各膜を基板上に連続的
に成膜するのが一般的である。第1保護膜は、各膜の中
で一番厚く、しかも一般にSiNx 等の誘電体からなる
材料であるため、スパッタリング速度は、光磁気記録
膜、金属膜に比べてはるかに遅い。したがって、光磁気
記録媒体を効率よく製造するには、特に第1保護膜の成
膜速度(スパッタレート)を高めることが望まれてお
り、成膜性に優れた保護膜の出現が望まれている。
【0005】また、従来、シリコンと窒素の化合物に、
In、Sb、Ge、Ga、Sn、SeおよびTeからな
る群から選ばれる1または2種以上の元素を含有させた
膜が、第1保護膜として採用できるとされている。しか
しながら、C/N比および反射率に優れた第1保護膜を
必ずしも生産性良く製造できないという問題があった。
【0006】本発明者らは、鋭意研究し、第1保護膜と
してSiとGeとNとを特定の割合で含有する膜を成膜
したところ、C/N比および反射率に優れた第1保護膜
を生産性良く製造することができることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術におけ
る問題点を解決しようとするものであって、スパッタ率
が高く、スパッタレートの大きい、すなわち成膜性に優
れ、かつ、屈折率の高い保護膜を有する光磁気記録媒体
を提供することを目的にしている。
【0008】また、本発明は、上記のような保護膜を有
し、しかも、長期の使用によっても読み取りエラーが生
じ難く、長期信頼性に優れるとともに、記録・再生特性
および生産性に優れる光磁気記録媒体を提供することを
目的としている。さらに、本発明は、上記特性を有する
光磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る光磁気記録媒体は、基板上
に、少なくとも保護膜と光磁気記録膜とを有する光磁気
記録媒体であって、該保護膜が、(SixGe1-x1-y
y [ただし、xが0.30≦x≦0.70、好ましく
は0.4≦x≦0.6、より好ましくは0.45≦x≦
0.55であり、yが0.4≦y≦0.8である]で表
わされる組成を有することを特徴としている。上記組成
よりxが小さい場合は、スパッタレートおよび屈折率が
低下する。また、xが大きい場合は、消衰係数kが大き
くなり、再生信号の劣化となる。
【0010】上記組成式において、xが0.30≦x≦
0.70であり、yが0.4≦y≦0.8で、かつ、4
00〜1200nmの範囲における光学定数の実数部n
が1.9以上であり、虚数部kが0.05以下であるS
i、GeおよびNを含む膜は、特に、成膜性に優れると
ともに、C/N比が高く、長期信頼性に優れ、しかも、
再生レーザー光の光学的吸収が少ない。
【0011】また本発明では、上記光磁気記録膜が、3
d遷移元素から選ばれる少なくとも1種の元素(i)
と、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素(i
i)とからなる、膜面に垂直な磁化容易軸を有する非晶
質合金薄膜、あるいはこれらの元素と、耐腐食性金属
(iii)とからなり、かつ、該耐腐食性金属の含有量
が5〜30原子%である、膜面に垂直な磁化容易軸を有
する非晶質合金薄膜から形成されていることが好まし
い。
【0012】さらに本発明では、上記基板がエチレン
と、下記の一般式[I]および/または[II]で表わ
される環状オレフィンとのランダム共重合体(A)と、
下記の一般式[III]で表わされる繰り返し単位を含
む重合体または共重合体(B)と、下記の一般式[I
V]で表わされる繰り返し単位を含む重合体または共重
合体(C)からなる群から選ばれる少なくとも一種の重
合体または共重合体からなることが好ましい。
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】(式[I]中、nは0または1であり、m
は0または正の整数であり、kは0または1であり、R
1 〜R18およびRa 、Rb は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ば
れる原子もしくは基であり、R15〜R18は、互いに結合
して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単
環または多環が二重結合を有していてもよく、また、R
15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を
形成していてもよい。
【0018】式[II]中、pは0または1以上の整数
であり、qおよびrは、0、1または2であり、R1
15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
族炭化水素基、芳香族炭化水素基、およびアルコキシ基
からなる群から選ばれる原子もしくは基であり、R5
(またはR6 )とR9 (またはR7 )とは、炭素原子数
1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、ま
た何の基も介さずに直接結合していてもよい。
【0019】式[III]および[IV]中、n、m、
kおよびR1 〜R18は、式[I]と同様の意味であ
る。)本発明に係る光磁気記録媒体の製造方法は、基板
または記録膜上に、ドーピング剤をドープしたSiの粉
体と、ドーピング剤をドープしたGeの粉体とを焼結し
て得られたSiGeターゲット、またはSiとGeとの
溶融混合物にドーピング剤を添加して得られたSiGe
ターゲットを用いてN2 との反応性マグネトロンスパッ
タ法で(SixGe1-x1-yy[ただし、xが0.3
0≦x≦0.70であり、yが0.4≦y≦0.8であ
る]で表わされる組成を有する保護膜を形成する工程を
含むことを特徴としている。
【0020】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る光磁気記録媒
体およびその製造方法について具体的に説明する。図
1、図2、図3および図4は、本発明に係る光磁気記録
媒体の一実施例を示す概略断面図である。
【0021】本発明に係る光磁気記録媒体10は、基板
上に、少なくとも保護膜と光磁気記録膜とを有する光磁
気記録媒体であり、具体的には、図1に示すように、少
なくとも基板1上に、保護膜2、光磁気記録膜3がこの
順序で積層されてなるか、あるいは図2に示すように、
少なくとも基板1上に、光磁気記録膜3、保護膜2がこ
の順序で積層されてなっている。また、本発明に係る光
磁気記録媒体10は、図3および図4に示すように、基
板1と光磁気記録膜3との間に保護膜2(第1保護膜と
称する場合がある)があり、さらに、光磁気記録膜3と
金属膜5との間に保護膜4(第2保護膜と称する場合が
ある)がある構成であってもよい。また、図3および図
4に示すような光磁気記録媒体において、第1保護膜2
または第2保護膜4を除いた構成を有する光磁気記録媒
体も本発明に係る光磁気記録媒体に含まれる。
【0022】基板 上記の基板としては、透明基板であることが望ましく、
具体的には、ガラスあるいはアルミニウム等の無機材料
の他に、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネー
ト、ポリカーボネートとポリスチレンのポリマーアロ
イ、米国特許4,614,778号明細書に示されるよ
うな非晶質ポリオレフィン、ポリ4-メチル-1- ペンテ
ン、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサル
フォン、ポリエーテルイミド等の有機材料を使用するこ
とができるが、特に後述するような基板が好ましく用い
られる。
【0023】本発明に係る光磁気記録媒体の基板には、
上記の一般式[I]および/または[II]で表わされ
る環状オレフィンとエチレンとのランダム共重合体、一
般式[III]で表わされる繰り返し単位を含む重合体
または共重合体、一般式[IV]で表わされる繰り返し
単位を含む重合体または共重合体よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の重合体または共重合体が好ましく用
いられる。
【0024】ここで、一般式[III]で表される繰り
返し単位は、一般式[I]で表わされる環状オレフィン
を開環重合することにより形成され、一般式[IV]で
表わされる繰り返し単位は、一般式[III]で表され
る繰り返し単位を水素添加することによって形成され
る。一般式[I]において、nは0または1であり、好
ましくは0である。また、mは0または正の整数であ
り、好ましくは0〜3である。
【0025】また一般式[II]において、pは0また
は1以上の整数であり、好ましくは0〜3の整数であ
る。そして、一般式[I]におけるR1 〜R18ならびに
a およびRb 、あるいは一般式[II]におけるR1
〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子お
よび炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしくは基
を表わす。
【0026】上記炭化水素基としては、通常は炭素原子
数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアル
キル基を挙げることができ、アルキル基の具体的な例と
しては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、アミル基等を挙げることができ、シクロアルキ
ル基の具体的な例としては、シクロプロピル基、シクロ
ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙
げることができる。
【0027】なお、一般式[I]において、kが0の場
合は、kを用いて表わされる環は五員環を形成する。さ
らに、一般式[I]において、R15〜R18は互いに結合
して(共同して)単環または多環を形成していてもよ
く、かつ、該単環または多環が二重結合を有していても
よい。このような単環または多環としては、以下に挙げ
る単環または多環を例示することができる。さらに、こ
れらの環は、メチル基等の置換基を有していてもよい。
【0028】
【化9】
【0029】なお、上記式において、1および2を付し
て示した炭素原子は、式[I]においてR15〜R18で表
わされる基が結合している脂環構造の炭素原子を表わ
す。また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアル
キリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリ
デン基は、通常は炭素原子数2〜4のアルキリデン基を
挙げることができ、その具体的な例としては、エチリデ
ン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基およびイソ
ブチリデン基を挙げることができる。
【0030】上記一般式[I]または[II]で表わさ
れる環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と、相応
するオレフィン類あるいは環状オレフィン類とをディー
ルス・アルダー反応により付加させることにより容易に
製造することができる。上記一般式[I]または[I
I]で表わされる環状オレフィンとしては、具体的に
は、たとえば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンまたは
その誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ド
デセンまたはその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]-4- ヘプタデセンまたはその誘導
体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012,17]-5- ドコセンまたはその誘導体、ペンタシ
クロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4- ヘキサデセンまた
はその誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセンまたはその
誘導体、ヘプタシクロ-5- ヘンエイコセンまたはその誘
導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンまたはその
誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]-3- ウンデセンまた
はその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.
09,13]-4-ペンタデセンまたはその誘導体、ペンタシク
ロペンタデカジエンまたはその誘導体、ペンタシクロ
[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3- ペンタデセンまたはそ
の誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.0
2,7.011,16]-4- エイコセンまたはその誘導体、ノナシ
クロ[10.9.1.14,7.11 3,20.115,18.03,8.02,10.012,21.
014,19]-5- ペンタコセンまたはその誘導体、ペンタシ
クロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3- ヘキサデセンまた
はその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]-5- ヘンエイコセンまたはその誘
導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.
02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセンまたはそ
の誘導体、5-フェニル- ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エ
ン、5-メチル-5- フェニル- ビシクロ[2.2.1]ヘプト-
2-エン、5-ベンジル- ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エ
ン、5-トリル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2- エン、5-
(エチルフェニル)- ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エ
ン、5-(イソプロピルフェニル)- ビシクロ[2.2.1]
ヘプト-2-エン、1,4-メタノ-1,4,4a,9a- テトラヒドロ
フルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a- ヘキサヒド
ロアントラセン、シクロペンタジエン- アセナフチレン
付加物、5-(α- ナフチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト
-2- エン、5-(アントラセニル)-ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト-2- エン等を挙げることができる。
【0031】上記のような環状オレフィン類とエチレン
との共重合体である環状オレフィン系ランダム共重合体
は、エチレンおよび前記環状オレフィンを必須成分とす
るものであるが、必要に応じて他の共重合可能な不飽和
単量体成分を含有していてもよい。任意に共重合されて
いてもよい該不飽和単量体としては、具体的には、たと
えば生成するランダム共重合体中のエチレン成分単位と
等モル未満の範囲のプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1
- ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ド
デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデ
セン、1-エイコセン等の炭素原子数が3〜20のα- オ
レフィン等を例示することができる。
【0032】本発明では、光磁気記録媒体の基板として
上記のような環状オレフィン系ランダム共重合体の他
に、一般式[I]で表わされる環状オレフィンの開環重
合体もしくは開環共重合体[III]、あるいはこれら
の開環重合体もしくは開環共重合体の水素添加物[I
V]を用いることもでき、このような重合体の例として
は、テトラシクロドデセンの開環重合体、テトラシクロ
ドデセンとノルボルネンおよびそれらの誘導体との開環
共重合体、およびこれらの開環共重合体、ならびにこれ
ら開環共重合体の水素添加物が挙げられる。
【0033】このような環状オレフィン系重合体は、特
開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭
61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭62-2
52406号公報、特開昭62-252407号公報、特開昭61-27130
8号公報、特開昭61-272216号公報等において本出願人が
提案した方法に従って適宜条件を選択することにより製
造することができる。
【0034】本発明に係る光磁気記録媒体の基板には、
このようにして製造される環状オレフィン共重合体の中
でも13C−NMRによって測定されるエチレンに由来す
る繰り返し単位が40〜85モル%、特に50〜75モ
ル%の範囲で存在し、同様にして測定される環状オレフ
ィンに由来する繰り返し単位が15〜60モル%、好ま
しくは25〜50モル%の範囲で存在し、これらのエチ
レンおよび環状オレフィンに由来する繰り返し単位がラ
ンダムに実質上線状に配列している環状オレフィン系ラ
ンダム共重合体[A](以下、共重合体[A]と記載す
る)が好ましく用いられる。また、このように重合体が
実質上線状であり、ゲル状架橋構造を有していないこと
は、該共重合体が135℃のデカリン中に完全に溶解す
ることによって確認できる。
【0035】また本発明に係る光磁気記録媒体の基板に
用いられる共重合体[A]としては、135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/
g、特に0.08〜5dl/gの範囲にある環状オレフ
ィン系ランダム共重合体が好ましい。さらに、このよう
な共重合体[A]は、軟化温度(TMA)が70℃以
上、好ましくは90〜250℃の範囲であることが望ま
しい。この軟化温度(TMA)は、デュポン社製のサー
モメカニカル・アナライザーを用いて厚さ1mmのシー
トの熱変形挙動により測定される。すなわち、シート上
に石英製の針をのせ、荷重49gをかけ、5℃/分で昇
温していき、針がシート中に0.635mm埋入した際
の温度をTMAとした。また、このような共重合体
[A]のガラス転移温度(Tg )は50〜230℃、好
ましくは70〜210℃の範囲にあることが望ましい。
【0036】さらに、共重合体[A]のX線回折法によ
って測定した結晶化度は、0〜10%、好ましくは0〜
7%の範囲にあることが望ましい。本発明では、上記の
ような共重合体[A]に、エチレンと上記一般式[I]
または[II]で表わされる環状オレフィンとの共重合
体であって、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.05〜5dl/gの範囲にあり、軟化温度
(TMA)が70℃未満である環状オレフィン系ランダ
ム共重合体[B](以下、共重合体[B]と記載する)
を配合してなる環状オレフィン系ランダム共重合体組成
物から基板を形成することが好ましい。
【0037】上記のような共重合体[B]では、前記と
同様にして測定されたエチレンに由来する繰り返し単位
が60〜98モル%の範囲で存在していることが好まし
く、環状オレフィンに由来する繰り返し単位が2〜40
モル%、特に5〜40モル%の範囲で存在していること
が好ましく、前記エチレンに由来する繰り返し単位およ
び環状オレフィンに由来する繰り返し単位がランダムに
実質上線状に配列していることが好ましい。また、この
ように重合体が実質上線状であり、ゲル状架橋構造を有
していないことは、該共重合体が135℃のデカリン中
に完全に溶解することによって確認できる。
【0038】また、このような共重合体[B]の135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.05
〜5dl/g、特に0.08〜3dl/gの範囲にある
ことが好ましい。共重合体[B]は、共重合体[A]と
同様にして測定した軟化温度(TMA)が70℃未満、
好ましくは−10〜60℃の範囲にあることが望まし
い。また該共重合体[B]のガラス転移温度(Tg )
は、−30〜60℃、好ましくは−20〜50℃の範囲
にあることが望ましい。さらに、共重合体[B]のX線
回折法によって測定した結晶化度は、0〜10%、好ま
しくは0〜7%の範囲にあることが望ましい。
【0039】本発明において、基板として環状オレフィ
ン系ランダム共重合体組成物を用いる場合には、前記共
重合体[A]/共重合体[B]の重量比は、100/
0.1〜100/10、好ましくは100/0.3〜1
00/7の範囲にあることが望ましい。共重合体[B]
をこの範囲で共重合体[A]に配合することによって基
板自体の優れた透明性と表面平滑性を維持したままで、
光磁気記録層との密着性が共重合体[A]のみの場合に
比べてさらに向上するという効果がある。
【0040】なお、上記のような開環重合体、開環共重
合体、これらの水素添加物および環状オレフィン系ラン
ダム共重合体の一部が無水マレイン酸等の不飽和カルボ
ン酸等で変性されていてもよい。このような変性物は、
上記のような環状オレフィン系樹脂と、不飽和カルボン
酸、これらの無水物、および不飽和カルボン酸のアルキ
ルエステル等の誘導体とを反応させることにより製造す
ることができる。この場合の環状オレフィン系樹脂の変
性物中における変性剤から導かれる構成単位の含有率
は、通常は50〜10モル%以下である。このような環
状オレフィン系樹脂変性物は、所望の変性率になるよう
に環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重
合させて製造することもできるし、予め高変性率の変性
物を調製し、次いで、この変性物と未変性の環状オレフ
ィン系樹脂とを混合することによっても製造することが
できる。
【0041】以上のような開環重合体、開環共重合体、
これらの水素添加物および環状オレフィン系ランダム共
重合体ならびにその変性物は、単独で、あるいは組み合
わせて用いることができる。また本発明の光磁気記録媒
体の基板には、上述したような重合体に加えて、衝撃強
度を向上させるためのゴム成分を配合したり、耐熱安定
剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロ
ッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成
油等を適当量配合することができる。
【0042】所望により配合される安定剤としては、フ
ェノール系酸化防止剤、脂肪酸金属塩、多価アルコール
の脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの安定剤は、
単独で配合してもよく、組み合わせて配合してもよい。
本発明の光磁気記録媒体の基板には、フェノール系酸化
防止剤と多価アルコールの脂肪酸エステルとを組合せて
用いることが好ましく、この多価アルコールの脂肪酸エ
ステルは、3価以上の多価アルコールのアルコール性水
酸基の一部がエステル化された多価アルコール脂肪酸エ
ステルであることが好ましい。
【0043】このようなフェノール系酸化防止剤は、た
とえば前記[A]成分および[B]成分の合計重量10
0重量部に対して0〜10重量部の量で用いることが望
ましく、また多価アルコールの脂肪酸エステルは、
[A]成分および[B]成分の合計重量100重量部に
対して0〜10重量部の量で用いることが好ましい。ま
た本発明の光磁気記録媒体の基板には、本発明の目的お
よび透明性を損なわない範囲で、シリカ、珪藻土、アル
ミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バ
ルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩
基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、
チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、
タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレー
ク、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫
化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維、ポリエチレ
ン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリ
アミド繊維等の充填剤を配合してもよい。
【0044】このような基板の厚みは特に限定されない
が、通常0.5〜5mm、好ましくは0.5〜2mmで
ある。保護膜 本発明に係る光磁気記録媒体では、保護膜として(Si
x Ge1-x1-yy[ただし、xは原子比で表わした
場合に、0.30≦x≦0.70であり、yは0.4≦
y≦0.8である]で示される組成を有する保護膜が用
いられる。この保護膜は、上記3元素のみで構成されて
いてもよく、さらにN、B、In、Sb、P、Al、B
i、Ga等の他の元素を少量、たとえば保護膜を構成す
る全原子数を基準として5原子%以下、好ましくは3原
子%以下の割合で含んでいてもよい。
【0045】また、本発明に係る光磁気記録媒体が、図
3および図4に示すように、基板1と光磁気記録膜3と
の間に保護膜2(第1保護膜と称する場合がある)があ
り、さらに、光磁気記録膜3と金属膜5との間に保護膜
4(第2保護膜と称する場合がある)がある構成を有す
る光磁気記録媒体10である場合には、上記の第1保護
膜2および第2保護膜4のうち、少なくとも一の保護膜
が上記組成を有する。
【0046】図3および図4に示すような光磁気記録媒
体10において、第1または第2保護膜の一方に上記組
成以外の組成からなる保護膜を用いる場合、その保護膜
としては、特に制限はなく、従来公知の保護膜、たとえ
ばSi34、SiNx (0<x<4/3)、ZnS、S
i、CdS、SiCx (0.5≦x≦3)など、あるい
は(SixGe1-x1-yy(0.5≦x≦0.98、
0.3≦y≦0.8)を用いることができる。本発明で
は、第1保護膜2および第2保護膜4の両者とも、上記
組成を有することが望ましい。
【0047】上記の(SixGe1-x1-yy で示され
る組成を有する保護膜では、xは、原子比で表わした場
合に、0.30≦x≦0.70であるが、特に0.4≦
x≦0.6であることが好ましい。またyは0.4≦y
≦0.8であるが、特に0.4≦y≦0.65であるこ
とが好ましい。xが0.30未満であると、消衰係数k
が上昇し、再生レザー光の光学的吸収が光磁気信号を減
衰させるほど大きくなり、一方、xが0.70を超える
と、スパッタ速度が急激に低下し、また、屈折率が低下
し、エンハンス効果の減少による光磁気信号の減衰が起
こることがある。またyが0.4未満であると、再生レ
ザー光の光学的吸収が光磁気信号を減衰させるほど大き
くなり、一方、yが0.8を超えると、屈折率が低下
し、エンハンス効果の減少による光磁気信号の減衰が起
こることがある。
【0048】上記のSi、GeおよびNの組成比は、蛍
光X線回折により求められる。また、上記光学定数の実
数部nは屈折率に対応する値であり、また、光学定数の
虚数部kは吸光係数aと次式で示される関係がある。 a=(4π/λ)×k 本発明で用いられる保護膜は、たとえばターゲットとし
てSiGeN、SiNとGeまたはGeNとSiの複合
ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜するこ
とができる。
【0049】また、本発明に係る光磁気記録媒体を製造
する際に、基板または記録膜上に、ドーピング剤をドー
プしたSiの粉体と、ドーピング剤をドープしたGeの
粉体とを焼結して得られたSiGeターゲット、または
SiとGeとの溶融混合物にドーピング剤を添加して得
られたSiGeターゲットを用いてN2 との反応性マグ
ネトロンスパッタ法でSi、GeおよびNを含む保護膜
を形成する工程を採用することができる。たとえば、上
記のようなドーピング剤入りSiGeターゲットを窒素
雰囲気中(たとえばAr/N2 )等でスパッタリングす
ることによって成膜する。上記ドーピング剤としては、
具体的には、B、In、Sb、P、Al、Bi、Gaな
どが挙げられる。中でも、B、In、Sbが好ましい。
上記のそれぞれの粉体に用いられるドーピング剤は、同
一であってもよく、また異なっていてもよい。また、こ
れらのドーピング剤は単独で、あるいは組み合わせて用
いることができる。これらのドーピング剤の保護膜中に
おける含有量は、光磁気記録媒体の要求される特性にも
よるが、通常20ppm以下である。
【0050】このような上記組成を有する保護膜は、通
常1.8以上、好ましくは1.9〜2.6の屈折率を有
していることが望ましい。保護膜は、厚さを変えると光
磁気記録媒体のC/N比および反射率が変化する。C/
N比は、屈折率×膜厚の関数であるため、同じ膜厚の場
合には屈折率が大きくなればC/N比も大となり、求め
られるC/N比を得るための膜厚は薄くてもよい。保護
膜として用いられる(SixGe1-x1-yy で示され
る組成の膜は、屈折率が大きいため膜厚を薄くすること
ができ、しかも、膜厚が薄くても長期安定性に優れてい
る。また、上記組成を有する保護膜は、スパッタ速度が
大きく、かつ、膜厚を薄くすることができるので、Si
x からなる保護膜に比べて生産性を高めることができ
る。
【0051】保護膜は、後述する光磁気記録膜を酸化等
から保護する働き、または光磁気記録膜の記録特性を高
めるエンハンス膜としての働き、あるいはその両方の働
きを果たしている。このような保護膜の膜厚は、通常5
0〜2,000オングストロームである。また、このよ
うな保護膜を上記の第1保護膜として用いる場合には、
保護膜の膜厚は、通常100〜2,000オングストロ
ーム、好ましくは300〜1,500オングストローム
である。
【0052】また、このような保護膜を上記の第2保護
膜として用いる場合には、保護膜の膜厚は、通常50〜
1,000オングストローム、好ましくは50〜700
オングストローム、さらに好ましくは100〜400オ
ングストローム程度である。光磁気記録媒体の構成を図
4の構成とし、かつ、第1保護膜と第2保護膜の膜厚を
上記の範囲にすることによって、特に良好なC/N比と
広い記録パワーマージンを有する光磁気記録媒体を得る
ことができる。
【0053】なお、第1保護膜と第2保護膜を有する構
成の光磁気記録媒体で、Si、Ge、Nを含む膜を一方
の保護膜に用いる場合には、他方の保護膜にSi34
らなる膜を用いることが好ましい。また、第1または第
2保護膜として従来公知の保護膜を用いる場合、その膜
厚は、第1保護膜では通常100〜2,000オングス
トローム、好ましくは300〜1,500オングストロ
ーム程度であり、第2保護膜では通常50〜1,000
オングストローム、好ましくは100〜400オングス
トローム程度である。
【0054】光磁気記録膜 本発明で用いられる光磁気記録膜としては、光磁気記録
膜としての性質を有するものであれば特に制限はない
が、その中でも、3d遷移元素から選ばれる少なくとも
1種の元素(i)と、希土類元素から選ばれる少なくと
も1種の元素(ii)とからなる光磁気記録膜、あるい
は3d遷移元素から選ばれる少なくとも1種の元素
(i)と、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元
素(ii)と、耐腐食性金属(iii)とからなる光磁
気記録膜が好ましい。
【0055】上記3d遷移元素(i)としては、Fe、
Co、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn等が用
いられるが、これらのうち、FeまたはCo、あるいは
この両者を用いることが好ましい。この3d遷移元素
は、光磁気記録膜中に、該光磁気記録膜の全原子数を基
準として、通常20〜90原子%、好ましくは30〜8
5原子%、特に好ましくは35〜80原子%の量で存在
している。
【0056】上記希土類元素(ii)としては、たとえ
ばGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、
La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Euが挙げられ
る。これらのうち、Gd、Tb、Dy、Ho、Pr、N
d、Smが好ましく用いられる。上記のような群から選
ばれる少なくとも1種の希土類元素は、光磁気記録膜中
に、該光磁気記録膜の全原子数を基準として、通常5〜
50原子%、好ましくは8〜45原子%、特に好ましく
は10〜40原子%の量で存在している。
【0057】光磁気記録膜は、上記の3d遷移元素
(i)および希土類元素(ii)に加えて、耐腐食性金
属(iii)を含んでいてもよい。上記耐腐食性金属
(iii)は、光磁気記録膜中に含ませることにより、
この光磁気記録膜の耐酸化性を高めることができ、長期
信頼性に優れた光磁気記録膜を得ることができる。この
ような耐腐食性金属としては、Pt、Pd、Ti、Z
r、Ta、Nb等が用いられるが、これらのうち、P
t、Pd、Tiが好ましく、特にPtまたはPd、ある
いはこの両者を用いることが好ましい。
【0058】この耐腐食性金属は、光磁気記録膜中に、
該光磁気記録膜の全原子数を基準として、通常5〜30
原子%、好ましくは5〜25原子%、より好ましくは1
0〜25原子%、特に好ましくは10〜20原子%の量
で存在している。上記のような量で耐腐食性金属を光磁
気記録膜中に存在させると、得られる光磁気記録膜の耐
酸化性が充分に改善され、経時的に保磁力Hc が大きく
変化したり、あるいはカー回転角θk が減少したりする
ことがない。また、30原子%を超えて存在する場合に
は、得られる非晶質合金薄膜のキュリー点が室温以下と
なる傾向が生ずる。
【0059】本発明では、光磁気記録膜が、特に下記に
記載するような組成を有することが好ましい。 (i)3d遷移元素 3d遷移元素は、光磁気記録膜中に、好ましくはFeま
たはCoあるいはこの両者が含まれており、Feおよび
/またはCoは、通常40原子%以上80原子%以下、
好ましくは40原子%以上75原子%未満、さらに好ま
しくは、40原子%以上59原子%以下の量で存在して
いることが望ましい。Feおよび/またはCoの量が4
0原子%以上で80原子%以下の範囲にあると、耐酸化
性に優れ、かつ、膜面に垂直な方向に磁化容易軸をもっ
た光磁気記録膜が得られるという利点を有する。
【0060】ところで、光磁気記録膜中に、Coを添加
すると、(イ)光磁気記録膜のキュリー点が上昇し、ま
た(ロ)カー回転角(θk )が大きくなるという現象が
認められ、その結果、Coの添加量により、光磁気記録
膜の記録感度を調整することができ、しかも、Coの添
加により、再生信号のキャリアレベルを増加することが
できる。本発明では、Coは、ノイズレベル、C/N比
の点からCo/(Fe+Co)比[原子比]が通常0〜
0.3、好ましくは0〜0.2、さらに好ましくは0.
01〜0.2であるような量で、光磁気記録膜中に存在
していることが望ましい。
【0061】(ii)希土類元素(RE) 希土類元素(RE)としては、Nd、Sm、Pr、C
e、Eu、Gd、Tb、DyまたはHoが用いられる。
これらの中では、Nd、Pr、Gd、Tb、Dyが好ま
しく用いられ、特にTbが好ましく用いられる。また、
希土類元素は2種以上併用してもよく、この場合に、T
bを希土類元素のうち50原子%以上含有していること
が好ましい。
【0062】この希土類元素は、膜面に垂直な方向に磁
化容易軸をもった光磁気記録膜を得るという点からRE
/(RE+Fe+Co)比[原子比]をxで表わした場
合に、xが通常0.15≦x≦0.45、好ましくは
0.20≦x≦0.4であるような量で光磁気記録膜中
に存在していることが望ましい。 (iii)耐腐食性金属 耐腐食性金属は、光磁気記録膜中に、好ましくはPtま
たはPdあるいはこの両者が含まれており、Ptおよび
/またはPdは、光磁気記録膜中に通常5〜30原子
%、好ましくは10原子%を超えて30原子%以下、さ
らに好ましくは10原子%を超えて20原子%未満、最
も好ましくは11原子%以上19原子%以下の量で存在
していることが望ましい。
【0063】光磁気記録膜中のPtおよび/またはPd
の量が5原子%以上、特に10原子%を超えて存在する
と、光磁気記録膜は耐酸化性に優れ、長期間使用しても
孔食が発生せず、C/N比も劣化しないという利点を有
する。たとえば、Pt13Tb28Fe50Co9 (原子%)
あるいはPd12Tb28Fe57Co3 (原子%)で示され
る組成を有する光磁気記録膜を有する、本発明の光磁気
記録媒体は、相対湿度85%、80℃の環境下に100
0時間保持しても、C/N比は全く変化しない。
【0064】本発明では、光磁気記録膜中に上記以外の
他の元素を少量含ませて、キュリー温度や補償温度ある
いは保磁力Hc やカー回転角θk の改善または低コスト
化を計ることもできる。これらの元素は、光磁気記録膜
を構成する全原子数に対してたとえば10原子%未満の
割合で用いることができる。併用できる他の元素の例と
しては、以下のような元素が挙げられる。 (I)Fe、Co以外の3d遷移元素、たとえばSc、
Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn等。 (II)Pd以外の4d遷移元素、たとえばY、Zr、
Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Cd等。 (III)Pt以外の5d遷移元素、たとえばHf、T
a、W、Re、Os、Ir、Au、Hg等。 (IV)III B族元素、 たとえばB、Al、Ga、
In、Tl等。 (V)IV B族元素、 たとえばC、Si、Ge、S
n、Pb等。 (VI)V B族元素、 たとえばN、P、As、Sb、
Bi等。 (VII)VI B族元素、 たとえばS、Se、Te、
Po等。
【0065】上記のような組成を有する光磁気記録膜
は、膜面に垂直な磁化容易軸を有し、多くはカー・ヒス
テリシスが良好な角形ループを示す垂直磁気および光磁
気記録可能な非晶質薄膜となることが、広角X線回折等
により確かめられる。このような光磁気記録膜の膜厚
は、通常100〜600オングストローム、好ましくは
100〜400オングストローム、さらに好ましくは1
50〜350オングストローム程度である。
【0066】金属膜 本発明に係る光磁気記録媒体では、図3に示すように、
上記のような第2保護膜4上に、または光磁気記録膜3
上に、金属膜5が設けられていることが好ましい。上記
の金属膜としては、たとえばAl、Ti、Pt、Au、
あるいはこれらの合金、ニッケル合金、たとえばニッケ
ルを主成分とし、かつ、シリコン、モリブデン、鉄、ク
ロムおよび銅からなる群から選ばれる少なくとも1種を
含有しているニッケル合金(例、NiCr合金)、チタ
ン合金あるいは下記のようなアルミニウム合金からなっ
ている。本発明では、特にアルミニウム合金が好まし
い。このアルミニウム合金は、アルミニウムと、アルミ
ニウム以外の少なくとも1種の元素を含んで構成されて
いる。
【0067】このような金属膜を構成するアルミニウム
合金としては、具体的には、以下のようなものが例示で
きる。なお下記のアルミニウム合金において、各金属の
含有量は、該アルミニウム合金を構成する全原子数に対
する原子%である。 (1)Al−Cr合金(Cr含有量0.1〜10原子
%)、 (2)Al−Cu合金(Cu含有量0.1〜10原子
%)、 (3)Al−Mn合金(Mn含有量0.1〜10原子
%)、 (4)Al−Hf合金(Hf含有量0.1〜10原子
%)、 (5)Al−Nb合金(Nb含有量0.1〜10原子
%)、 (6)Al−B合金(B含有量0.1〜10原子%)、 (7)Al−Ti合金(Ti含有量0.1〜10原子
%)、 (8)Al−Ti−Nb合金(Ti含有量0.1〜5原
子%、Nb含有量0.1〜5原子%)、 (9)Al−Ti−Hf合金(Ti含有量0.1〜5原
子%、Hf含有量0.1〜10原子%)、 (10)Al−Cr−Hf合金(Cr含有量0.1〜5
原子%、Hf含有量0.1〜10原子%)、 (11)Al−Cr−Ti合金(Cr含有量0.1〜5
原子%、Ti含有量0.1〜10原子%)、 (12)Al−Cr−Zr合金(Cr含有量0.1〜5
原子%、Zr含有量0.1〜10原子%)、 (13)Al−Ti−Nb合金(Ti含有量0.1〜5
原子%、Nb含有量0.1〜5原子%)、 (14)Al−Ni合金(Ni含有量0.1〜10原子
%)、 (15)Al−Mg合金(Mg含有量0.1〜10原子
%)、 (16)Al−Mg−Ti合金(Mg含有量0.1〜1
0原子%、Ti含有量0.1〜10原子%)、 (17)Al−Mg−Cr合金(Mg含有量0.1〜1
0原子%、Cr含有量0.1〜10原子%)、 (18)Al−Mg−Hf合金(Mg含有量0.1〜1
0原子%、Hf含有量0.1〜10原子%)、 (19)Al−Se合金(Se含有量0.1〜10原子
%)、 (20)Al−Zr合金(Zr含有量0.1〜10原子
%)、 (21)Al−Ta合金(Ta含有量0.1〜10原子
%)、 (22)Al−Ta−Hf合金(Ta含有量0.1〜1
0原子%、Hf含有量0.1〜10原子%)、 (23)Al−Si合金(Si含有量0.1〜10原子
%)、 (24)Al−Ag合金(Ag含有量0.1〜10原子
%)、 (25)Al−Pd合金(Pd含有量0.1〜10原子
%)、 (26)Al−Pt合金(Pt含有量0.1〜10原子
%)。
【0068】これらの金属膜を構成するアルミニウム合
金のうち、特に以下のような合金が、光磁気記録媒体の
線速依存性を小さくし、かつ、耐酸化性(耐腐食性)に
優れているので好ましい。 (1)ハフニウム(Hf)0.1〜10原子%を含むア
ルミニウム合金、 (2)ニオブ(Nb)0.1〜10原子%を含むアルミ
ニウム合金、 (3)チタン(Ti)0.5〜5原子%とハフニウム
0.5〜5原子%とを含み、かつ、チタンとハフニウム
の合計含有量が1〜5.5原子%であるアルミニウム合
金、 (4)クロム(Cr)0.1〜5原子%とチタン0.1
〜9.5原子%とを含み、かつ、クロムとチタンの合計
含有量が10原子%以下であるアルミニウム合金、 (5)マグネシウム(Mg)0.1〜10原子%とクロ
ム0.1〜10原子%とを含み、かつ、マグネシウムと
クロムの合計含有量が15原子%以下であるアルミニウ
ム合金、 (6)クロム0.1〜5原子%とハフニウム0.1〜
9.5原子%とを含み、かつ、クロムとハフニウムの合
計含有量が10原子%以下であるアルミニウム合金、 (7)マグネシウム0.1〜10原子%とハフニウム
0.1〜10原子%とを含み、かつ、マグネシウムとハ
フニウムの合計含有量が15原子%以下であるアルミニ
ウム合金、 (8)クロム0.1〜5原子%とジルコニウム(Zr)
0.1〜9.5原子%を含み、かつ、クロムとジルコニ
ウムの合計含有量が10原子%以下であるアルミニウム
合金、 (9)タンタル(Ta)0.1〜10原子%とハフニウ
ム0.1〜10原子%とを含み、かつ、タンタルとハフ
ニウムの合計含有量が15原子%以下であるアルミニウ
ム合金、 (10)チタン0.5〜5原子%とニオブ0.5〜5原
子%とを含み、かつ、チタンとニオブの合計含有量が1
〜5.5原子%であるアルミニウム合金、 (11)マグネシウム0.1〜10原子%とチタン0.
1〜10原子%とを含み、かつ、マグネシウムとチタン
の合計含有量が15原子%以下であるアルミニウム合
金、 (12)ハフニウム0.1〜9.5原子%、クロム0.
1〜5原子%およびチタン0.1〜9.5原子%を含
み、かつ、ハフニウムとクロムとチタンの合計含有量が
10原子%以下であるアルミニウム合金、 (13)ハフニウム0.1〜10原子%、マグネシウム
0.1〜10原子%およびチタン0.1〜10原子%を
含み、かつ、ハフニウムとチタンとマグネシウムの合計
含有量が15原子%以下であるアルミニウム合金、 (14)ハフニウム0.1〜10原子%、マグネシウム
0.1〜10原子%およびクロム10原子%以下とを含
み、かつ、ハフニウムとマグネシウムとクロムの合計含
有量が15原子%以下であるアルミニウム合金、 (15)ハフニウム0.1〜10原子%、マグネシウム
0.1〜10原子%、チタン0.1〜10原子%および
クロム10原子%以下とを含み、かつ、ハフニウムとマ
グネシウムとチタンとクロムの合計含有量が15原子%
未満であるアルミニウム合金、 (16)チタン0.1〜10原子%、マグネシウム0.
1〜10原子%およびクロム10原子%以下とを含み、
かつ、チタンとマグネシウムとクロムとの合計含有量が
15原子%以下であるアルミニウム合金、 (17)ニッケルを0.1〜10原子%含むアルミニウ
ム合金、 (18)ニッケルを0.1〜10原子%とクロムを2原
子%以下とを含むアルミニウム合金。
【0069】上記のニッケル合金の例としては、以下の
ような合金が挙げられる。 (1)Ni−Cr系合金(たとえばNi含有量30〜9
9原子%、Cr含有量1〜70原子%)、 (2)Ni−Si系合金(たとえばNi含有量85原子
%、Si含有量10原子%、Cu含有量3原子%、Al
含有量2原子%)、 (3)Ni−Cu系合金(たとえばNi含有量63原子
%、Cu含有量29〜30原子%、Fe含有量0.9〜
2原子%、Si含有量0.1〜4原子%、Al含有量0
〜2.75原子%)、 (4)Ni−Mo−Fe系合金(たとえばNi含有量6
0〜65原子%、Mo含有量25〜35原子%、Fe含
有量5原子%)、 (5)Ni−Mo−Fe−Cr系合金(たとえばNi含
有量55〜60原子%、Mo含有量15〜20原子%、
Fe含有量6原子%、Cr含有量12〜16原子%、W
含有量5原子%)、 (6)Ni−Mo−Fe−Cr−Cu系合金(たとえば
Ni含有量60原子%、Mo含有量5原子%、Fe含有
量8原子%、Cr含有量21原子%、Cu含有量3原子
%、Si含有量1原子%、Mn含有量1原子%、W含有
量1原子%、あるいはNi含有量44〜47原子%、M
o含有量5.5〜7.5原子%、Cr含有量21〜23
原子%、Cu含有量0.15原子%、Si含有量1原子
%、Mn含有量1〜2原子%、Co含有量2.5原子
%、W含有量1原子%、Nb含有量1.7〜2.5原子
%、残部Fe)、 (7)Ni−Cr−Cu−Mo系合金(たとえばNi含
有量56〜57原子%、Cr含有量23〜24原子%、
Cu含有量8原子%、Mo含有量4原子%、W含有量2
原子%、SiまたはMn含有量1原子%)、 (8)Ni−Cr−Fe系合金(たとえばNi含有量7
9.5原子%、Cr含有量13原子%、Fe含有量6.
5原子%、Cu含有量0.2原子%、あるいはNi含有
量30〜34原子%、Cr含有量19〜22原子%、C
u含有量0.5原子%、Si含有量1原子%、Mn含有
量1.5原子%、残部Fe)。
【0070】このような金属膜は、たとえば第2保護膜
上に上記元素の複合ターゲットまたはその合金ターゲッ
トを用い、スパッタリング法等によって成膜することが
できる。また上記のような金属膜は、それぞれの金属膜
を構成する金属以外に下記のような金属(元素)を1種
または2種以上含ませることもできる。
【0071】このような金属としては、たとえば、チタ
ン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、ク
ロム(Cr)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、
銅(Cu)、タングステン(W)、ジルコニウム(Z
r)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、バナ
ジウム(V)等が挙げられ、このような他の金属は、通
常5原子%以下、好ましくは2原子%以下の量で含まれ
る。ただし、金属膜には、上記に例示するような金属
(元素)のうち、既に金属膜に含まれている金属(元
素)をさらに上記の量で重ねて含ませることはないもの
とする。たとえば、金属膜を構成するアルミニウム合金
が、上記したAl−Ti合金、Al−Ti−Hf合金等
である場合には、上記の金属(元素)のうちでチタン
(Ti)がさらに上記のような量で上記アルミニウム合
金中に含まれることはない。
【0072】このような金属膜の膜厚は、通常100〜
5,000オングストローム、好ましくは500〜3,
000オングストローム、より好ましくは700〜2,
000オングストローム程度である。本発明において、
アルミニウム合金からなる金属膜は、熱良伝導体として
の機能を果しており、この金属膜が存在することによっ
て光磁気記録膜に記録されたピットの中心部が記録レー
ザ光によって過度に高温になることが防止され、その結
果、記録パワーの線速依存性が小さくなると考えられ
る。
【0073】また、アルミニウム合金からなる金属膜
は、特に耐腐食性(耐酸化性)に優れているため、長期
間使用した後においても、記録媒体の線速依存性が小さ
いという特徴を有しており、光磁気記録膜に対する保護
作用にも優れている。オーバーコート膜 本発明に係る光磁気記録媒体では、図4に示すように、
金属膜5上にオーバーコート膜6が設けられていてもよ
い。
【0074】オーバーコート膜としては、アクリル系紫
外線硬化樹脂等の紫外線硬化樹脂が好ましく用いられ
る。このようなオーバーコート膜は、紫外線硬化樹脂を
たとえばロールコート法、スピンコート法等によって金
属膜上に塗布することにより形成することができる。
【0075】このオーバーコート膜の膜厚は、好ましく
は1〜100μm、特に好ましくは1〜50μmであ
る。オーバーコート膜を金属膜上に設けることによっ
て、長期間使用しても読み取りエラーが生じ難く、長期
信頼性に優れた光磁気記録媒体を得ることができる。
【0076】
【発明の効果】本発明では、保護膜としてSi、Geお
よびNを特定の割合で含む膜を用いているので、スパッ
タ率が高く、スパッタレート(スパッタ速度)が大き
い。この保護膜は、従来の保護膜(Si34)と比較し
て、スパッタ速度を上げることができ、保護膜の成膜性
が著しく優れているので、性能に優れた光磁気記録媒体
を生産性よく提供することができ、この保護膜は、C/
N比および反射率が良好である。
【0077】また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上
記のSi、GeおよびNを特定の割合で含む膜を保護膜
として使用しているので、耐腐食性(耐酸化性)および
記録・再生特性に優れるとともに、長期の使用によって
も読み取りエラーが生じ難く、長期信頼性に優れてい
る。本発明に係る光磁気記録媒体の製造方法によれば、
上記のような特性を有する光磁気記録媒体を得ることが
できる。
【0078】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0079】
【実施例1】エチレンとテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]-3- ドデセンとを共重合させて得られる
非晶性の環状オレフィンランダム共重合体[13C−NM
R分析で測定したエチレン含量59モル%、テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17 ,10]-3- ドデセン含量4
1モル%、135℃デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.42dl/g、軟化温度(TMA)154
℃]からなる基板(厚さ1.2mm)上に、スパッタリ
ング法で下記のようにして光磁気記録媒体を形成した。
【0080】[前排気]上記基板をスパッタリング装置
の中に入れて真空排気を行ない、真空度が1×10-7
orr以下になるまで排気した。 [第1保護膜の成膜]ボロンを10ppmドープしたS
70Ge30の焼結ターゲットを用い、ArガスおよびN
2 ガスを導入して圧力を2mTorrに保って1.5k
WのDCパワーでプラズマ放電を起こさせた。5分間の
プレスパッタの後、基板とターゲットの間にあるシャッ
ターを開いてスパッタリングを行ない、厚み1,100
オングストロームの(SixGe1-x1-yy 膜[x=
0.50、y=0.57]を形成した。この第1保護膜
の成膜時間は、7分18秒であった。なお、この保護膜
のn(屈折率に対応する値)およびkは、それぞれ2.
2、0.005であり、波長830nmの測定光に対す
る光学定数の実数部および虚数部の値を示している。
【0081】[光磁気記録膜の成膜]次に、Arガスの
供給を一旦停止し、排気を行なって、1×10-7Tor
rになったところで光磁気記録膜の成膜を行なった。す
なわちTbFeCoからなるターゲット上にPtチップ
を置いたところに、Arガスを導入し圧力を3mTor
rに保ってDCパワー1kWを供給しプラズマ放電を起
こさせた。2分間プレスパッタの後、基板とターゲット
の間にあるシャッターを開いて45秒間スパッタリング
を行ない、厚み300オングストロームのPt10Tb28
Fe60Co2(原子%)の組成を有する光磁気記録膜を
成膜した。
【0082】[第2保護膜の成膜]ボロンを10ppm
ドープしたSi70Ge30の焼結ターゲット(抵抗率約5
×10-3Ω・cm)を用い、ArガスおよびN2 ガスを
導入して圧力を2mTorrに保って1.5kWのDC
パワーでプラズマ放電を起こさせた。5分間のプレスパ
ッタの後、基板とターゲットの間にあるシャッターを開
いて2分間スパッタリングを行ない、厚み300オング
ストロームの(SixGe1-x1-yy 膜[x=0.5
0、y=0.57]を形成した。なお、この保護膜のn
(屈折率に対応する値)およびkは、それぞれ2.2、
0.005であり、波長830nmの測定光に対する光
学定数の実数部および虚数部の値を示している。
【0083】[金属膜の成膜]次に、Arガスの供給を
一旦停止し、排気を行なって、1×10-7Torrにな
ったところで金属膜の成膜を行なった。すなわち、Al
からなるターゲット上にTiとHfチップを置いたとこ
ろに、Arガスを導入し圧力を3mTorrに保ってD
Cパワー1kWを供給しプラズマ放電を起こさせた。2
分間プレスパッタの後、基板とターゲットの間にあるシ
ャッターを開いて45秒間スパッタリングを行ない、厚
み1,000オングストロームのAl97Ti1Hf2(原
子%)の組成を有する金属膜を成膜した。
【0084】[オーバーコート膜の成膜]スパッタリン
グ装置から取り出した、成膜した基板上にアクリル系紫
外線硬化樹脂用組成物をスピンコーターで塗布し、UV
を照射し、厚み10μmのオーバーコート膜を形成し
た。上記のようにして得られた光磁気記録媒体のC/N
比は、48dBであった。また、鏡面部の反射率Rは2
1.0%であった。
【0085】なお、C/N比は、半径30mmの光磁気
記録媒体を2,400rpmで回転させ、回転している
光磁気記録媒体に基板側から書き込み光として波長83
0nm、ビーム径1.5μmおよび出力7.0mWを有
する半導体レーザ光を記録周波数4.93MHz、デュ
ーティ25%で照射して記録した情報について求めた。
【0086】
【実施例2、比較例1および比較例2】実施例1におい
て、それぞれ第1表に示した組成を有するターゲットお
よび成膜時間で第1保護膜を成膜した以外は、実施例1
と同様に行なった。その結果を第1表に示す。
【0087】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る光磁気記録媒体の一実施
例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る光磁気記録媒体の他の実
施例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る光磁気記録媒体の他の実
施例を示す概略断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る光磁気記録媒体の他の実
施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10:光磁気記録媒体 1:基板 2:保護膜または第1保護膜 3:光磁気記録膜 4:第2保護膜 5:金属膜 6:オーバーコート膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも保護膜と光磁気記録
    膜とを有する光磁気記録媒体であって、 該保護膜が、(SixGe1-x1-yy [ただし、xが
    0.30≦x≦0.70であり、yが0.4≦y≦0.
    8である]で表わされる組成を有することを特徴とする
    光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記保護膜の400〜1200nmの範囲
    における光学定数の実数部nが1.9以上であり、か
    つ、虚数部kが0.05以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】基板上に積層される光磁気記録膜と該光磁
    気記録膜上に積層される金属膜とを有し、上記基板と光
    磁気記録膜との間および上記光磁気記録膜と金属膜との
    間の少なくともいずれか一方に保護膜が設けられている
    光磁気記録媒体であって、 少なくとも一の保護膜が、(SixGe1-x1-yy
    [ただし、xが0.30≦x≦0.70であり、yが
    0.4≦y≦0.8である]で表わされる組成を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記保護膜の400〜1200nmの範囲
    における光学定数の実数部nが1.9以上であり、か
    つ、虚数部kが0.05以下であることを特徴とする請
    求項3に記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記光磁気記録膜が、3d遷移元素から選
    ばれる少なくとも1種の元素(i)と、希土類元素から
    選ばれる少なくとも1種の元素(ii)とからなる、膜
    面に垂直な磁化容易軸を有する非晶質合金薄膜からなる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】前記光磁気記録膜が、3d遷移元素から選
    ばれる少なくとも1種の元素(i)と、希土類元素から
    選ばれる少なくとも1種の元素(ii)と、耐腐食性金
    属(iii)とからなり、かつ、 該耐腐食性金属の含有量が5〜30原子%である、膜面
    に垂直な磁化容易軸を有する非晶質合金薄膜からなる請
    求項1〜5のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】前記基板が、 エチレンと、下記の一般式[I]および/または[I
    I]で表わされる環状オレフィンとのランダム共重合体
    (A)と、 下記の一般式[III]で表わされる繰り返し単位を含
    む重合体または共重合体(B)と、 下記の一般式[IV]で表わされる繰り返し単位を含む
    重合体または共重合体(C)とからなる群から選ばれる
    少なくとも一種の重合体または共重合体からなる請求項
    1〜10のいずれかに記載の光磁気記録媒体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、kは0または1であり、 R1 〜R18およびRa 、Rb は、それぞれ独立に、水素
    原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選
    ばれる原子もしくは基であり、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成し
    ていてもよく、かつ、該単環または多環が二重結合を有
    していてもよく、また、R15とR16とで、またはR17
    18とでアルキリデン基を形成していてもよい。式[I
    I]中、pは0または1以上の整数であり、qおよびr
    は、0、1または2であり、R1 〜R15はそれぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香
    族炭化水素基、およびアルコキシ基からなる群から選ば
    れる原子もしくは基であり、R5 (またはR6 )とR9
    (またはR7 )とは、炭素原子数1〜3のアルキレン基
    を介して結合していてもよく、また何の基も介さずに直
    接結合していてもよい。式[III]および[IV]
    中、n、m、kおよびR1 〜R18は、式[I]と同様の
    意味である。)
  8. 【請求項8】前記金属膜が、アルミニウム合金からなる
    ことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体。
  9. 【請求項9】基板または記録膜上に、 ドーピング剤をドープしたSiの粉体と、ドーピング剤
    をドープしたGeの粉体とを焼結して得られたSiGe
    ターゲット、またはSiとGeとの溶融混合物にドーピ
    ング剤を添加して得られたSiGeターゲットを用いて
    2 との反応性マグネトロンスパッタ法で(SixGe
    1-x1-yy[ただし、xが0.30≦x≦0.70で
    あり、yが0.4≦y≦0.8である]で表わされる組
    成を有する保護膜を形成する工程を含むことを特徴とす
    る光磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記それぞれの粉体にドープされるドー
    ピング剤が、同一であっても、異なっていてもよく、
    B、In、Sb、P、Al、BiおよびGaからなる群
    から選ばれる1または2以上のドーピング剤であること
    を特徴とする請求項第9項に記載の光磁気記録媒体の製
    造方法。
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EP1426940A4 (en) * 2001-09-12 2006-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd OPTICAL RECORDING MEDIUM AND CORRESPONDING RECORDING METHOD
US7304930B2 (en) 2001-09-12 2007-12-04 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Optical information recording medium and recording method using the same

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