JP2541677B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2541677B2
JP2541677B2 JP2029431A JP2943190A JP2541677B2 JP 2541677 B2 JP2541677 B2 JP 2541677B2 JP 2029431 A JP2029431 A JP 2029431A JP 2943190 A JP2943190 A JP 2943190A JP 2541677 B2 JP2541677 B2 JP 2541677B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <利用分野> 本発明はレーザー等の光により、情報の記録、再生、
消去等を行なう光記録媒体に関する。更に詳細には、金
属反射層を有する光記録媒体に関し、中でも記録層が光
磁気記録層である光磁気記録媒体に特に好ましく適用で
きるものである。
<従来技術> 光記録媒体は高密度・大容量の情報記録媒体として種
々の研究開発が行なわれている。特に情報の消去可能な
光磁気記録媒体は応用分野が広く種々の材料・システム
が発表されており、その実用化が待望されている。
上述の光磁気記録材料としては、例えば、特開昭52−
31703号公報記載のFeTb、特開昭56−126907号公報記載
のFeTbGd、特開昭58−73746号公報記載のFeTbCo,FeCoD
y、特開昭61−165846号公報記載のFeNd等既に多くの提
案がある。しかし、これらの情報の消去可能な光磁気記
録媒体の実用化には、記録、再生特性のより一層の向上
が必要である。
これに対し、光磁気記録層上、もしくはその上に誘電
体層を介して金属反射層を設ける方法が提案されてい
る。この方式はカー効果とファラデー効果の併用により
高いC/Nを得る点で優れている。従来この金属反射層と
して、Alを用いたもの(特開昭58−83346号公報、特開
昭59−132434号公報)、Cuを用いたもの(特開昭59−81
50号公報)、Al系合金を用いたもの(特開昭62−137743
号公報)、ステンレスを用いたもの(特開昭59−171054
号公報)、Teを用いたもの(特開昭62−52744号公
報)、非晶質金属膜を用いたもの(特開昭61−57053号
公報)等が提案されている。しかしながら、高反射率の
Ag,Al,Cu等を用いた場合にはその高熱伝導性のため記録
感度が大幅に低下し、一方比較的熱伝導性の低いステン
レス、Teを用いた場合には記録感度は向上するが反射率
が低いため、十分なC/N比が得られないという問題を有
する。
また高温多湿化での記録層の劣化があり、これら金属
層で記録層を保護する必要があった。
これらの問題に対し、AlへのTa添加(特開昭64−4938
号公報)、Au,Ag,Al,CuへのTi,Mg,希土類添加(特開昭5
9−38781号公報)、AlへのCu−Mg合金、Mg−Si合金、C
r,Sn,Mgの添加(特開昭62−239349号公報)、AlへのTi
添加(特開昭62−137743号公報、特開昭64−66847号公
報)等の各種合金膜が提案されている。しかし、これら
の従来の合金膜により、高反射率を保持したままで熱伝
導率を改善することは可能であるが、高温多湿化での耐
久性を改善するには、添加元素をかなりの量添加する必
要があり、これに必要な量添加すると反射層として必要
な高反射率を保持することはできず、反射層と保護層の
両機能を満足するものが得られない。
<発明の目的> 本発明はかかる現状に鑑みなされたもので、金属反射
層の改良により高感度で高C/N比の特性を有し、かつ耐
久性に優れた光記録媒体を提供することを目的としたも
のである。
<発明の構成及び作用効果> 上述の目的は以下の本発明により達成される。すなわ
ち、本発明は、金属反射層を有する光記録媒体におい
て、該金属反射層がAgにAuを0.5〜50at%含有せしめたA
gAu合金からなることを特徴とする光記録媒体である。
上述の本発明は以下のようにしてなされたものであ
る。すなわち、本発明者らは上述の欠点を克服すべく鋭
意検討した結果、該金属反射層をAgにAuを含有せしめた
AgAu合金とすることにより、従来例のAg反射膜に比較し
て記録感度が大巾に向上し、C/Nが良好で更に耐久性に
も優れた光記録媒体が得られることを見出し、本発明に
到達した。
以下、これについて詳細に説明する。
本発明のAgAu合金の金属反射膜を設けた光記録媒体で
記録感度が向上する理由は、記録感度が金属反射膜の熱
伝導性と密接に関係しているところから、熱伝導率のよ
いAuを含有せしめたAgAu合金の熱伝導率がAg膜に比較し
て驚くべきことに低下したことによる。
そして、かかる熱伝導率の低下の効果、換言すれば記
録感度の向上の面から本発明のAgAu合金のAuの含有量
は、0.5at%以上、更に好ましくは2.0at%以上であり、
この範囲は媒体特に光磁気記録媒体の耐久性面からも好
ましい。Auの含有量の上限については記録感度面、耐久
性面では特に制限はないが、実施例の光磁気記録媒体に
おいては、Auの増加により若干C/Nが低下し(これは反
射率の低下と関連すると考えられる)、また記録感度向
上(熱伝導率低下)効果も飽和する傾向にあり、Auの価
格を考慮すると実用面からは50at%以下が好ましい。そ
して、C/Nすなわち反射率及び記録感度すなわち熱伝導
率の特性の面からは、30at%以下、更には15at%以下が
好ましい。なお、本発明のAgAu合金はその特性を損なわ
ない範囲で他の金属元素を含有してもよいことはいうま
でもない。
更にこのAgAu合金に特定の元素を含有せしめることに
より、記録感度向上すなわち熱伝導率低下、C/N向上、
更には耐久性向上が得られることを見出した。この特定
の元素は、Ti,Ta,Zr,Y,Re等のAg,Auを除いた遷移金属、
In,Sn,Zn,Mgの群から選ばれた少なくとも1種の元素で
あり、中でもTi,Ta,Zr,Yの少なくとも1種が好ましい。
またこれらの元素によりAu含有量が少なくても充分な前
述の効果が得られ、Au量削減によるコストダウンがはか
れる。この中でもAgにAuを0.5〜15at%含有せしめ、更
に前記特定の元素の少なくとも1種を0.3〜8.0at%含有
せしめたAgAu合金が、記録感度、高温高湿下での耐久
性、C/N、コストの4点で優れている点で好ましく、と
りわけAuと前記特定元素の合計の含有量が1.0〜15at%
である組成のAgAu合金が好ましい。
なお、以上の本発明の金属反射膜には経時安定性を更
に改善するために、Cr,Nb,Reなどの他の元素を少量添加
してもよい。
これらの金属反射層の膜厚は100〜2000Åが好まし
く、300〜800Åがさらに好ましい。厚すぎる場合には感
度が低下し、薄すぎる場合には反射膜の反射率が低下し
C/Nが劣化する。
これら金属反射層の形成方法としては、公知の真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング
法、CVD法などが考えられるが、下地層との接着性、合
金組成の制御性、組成分布などの点でスパッタリング法
が好ましい。また膜の堆積速度、スパッタガス圧など
は、生産性、膜応力を考慮し、適宜選択される。
本発明の光記録媒体としては、前述の光磁気記録媒体
の他、周知のコンパクトディスク、ビデオディスク等反
射膜を用いるものであれば特に限定されないことは本発
明の趣旨から明らかである。中でも酸化しやすい希土類
元素を記録層として用いる光磁気記録媒体に特に好まし
く適用できる。
ところで、この光磁気記録媒体は、記録層としては、
光熱磁気効果により記録できるものであればよく、公知
の、膜面に垂直な方向に磁化容易方向を有し、磁気光学
効果の大きい磁性金属薄膜、例えば前述のFeTb合金、Fe
TbCo合金、FeTbGd合金及びNdDyFeCo合金、等の希土類元
素−遷移金属元素の非晶質合金が代表例として挙げられ
る。光磁気記録層の膜厚は150〜1000Å、好ましくは200
〜500Åである。
またその積層構成は、その金属反射層が光磁気記録層
の光入射面と反対側に形成される点を除いてその構成は
特に限定されない。中でも金属反射層と光磁気記録層間
に透明誘電体層を設ける構成は、感度,C/N,耐久性の向
上面より好ましい。更に、基板と光磁気記録層間にも誘
電体層を設けた構成、つまり光磁気記録層を透明誘電体
層ではさんだ構成は、一層のC/N向上、透湿防止などの
効果による耐久性向上が得られ更に好ましい。一方、金
属反射層を光磁気記録層上に直接接して設けた構成で
も、本発明のAgAu合金からなる金属反射層は実用上充分
な性能を示す。この構成は透明誘電体層が不要となるの
で、生産性と媒体コストの観点より好ましい。これらの
各構成は目的に応じて選択される。
上記構成に用いる基板側、金属反射層側の両透明誘電
体層としては、その目的により光干渉効果、カー効果エ
ンハンスメント等の効果を奏することが必要で、ある程
度以上の高屈折率を有することが好ましい。また使用す
るレーザー光に透明であることが必要であり、透明誘電
体層としては公知の通り金属の酸化物、窒化物、硫化
物、炭化物、弗化物もしくはこれらの複合体が適用でき
る。具体的には酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化タン
タル、酸化アルミニウム、チッ化ケイ素、チッ化アルミ
ニウム、チッ化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウ
ム、フッ化アルミニウム、炭化ケイ素及びこれらの複合
物が挙げられるが、これに限定されないことはいうまで
もない。これらの誘導体は、膜中に金属元素を含んだも
のでもよい。またパリレン、ポリイミド、パラフィンな
ど有機物も適用できる。これら透明誘電体の複層構造で
もよい。
光磁気記録層等の酸化しやすい記録層に接する透明誘
電体としては、酸化劣化防止面から窒化物等の酸化を含
まないものが好ましい。中でも窒化アルミニウム,窒化
シリコン,アルミニウム・シリコン窒化物が膜応力,膜
質面から好ましく適用される。
これら透明誘電体層の膜厚は、媒体構成、屈折率によ
り最適値が変化する。例えば前述の透明誘電体層で光磁
気記録層を挟んだ構成では、基板と光磁気記録層との間
の透明誘電体層の膜厚によって、光磁気記録層と金属反
射層との間の透明誘電体層の最適膜厚も変化するので、
一義的に決めることはできないが、通常は、基板と光磁
気記録層との間の透明誘電体膜厚が300〜1600Å程度、
光磁気記録層と金属反射層との間の透明誘電体膜厚が30
〜600Åが好適に用いられる。しかしもちろん、これら
の膜厚範囲に限定されるものではない。
これら透明誘電体層は常法により形成される。例えば
前述の無機物よりなるものは公知の真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンビームスパッタリング法、CVD法等
で作製される。
また基板としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、エポキシ樹脂、4−メチルペンテン樹脂
及びそれらの変成品などが好適に用いられるが、機械的
強度、価格、耐侯性、耐熱性、透湿量の点でポリカーボ
ネート樹脂が好ましい。
上述した構成の金属反射層上に無機材料からなる無機
保護層を設けることにより、高温高湿下や、耐ガス性な
どの耐久性が更に改善され、より好ましい。特にAgAu合
金ではH2Sガスなどにより劣化し、特性が低下する場合
があるが、この無機保護層により、それを著しく改善す
ることができる。この無機保護層としては耐透湿性,ガ
スバリヤ性の良いものであれば特に限定されないが、記
録特性,耐久性面より熱伝導率が低く、それ自身耐久性
に優れているものが好ましく適用される。かかる無機保
護層としては、金属膜と誘電体膜が挙げられる。
金属膜は、それ自身の耐久性が充分高く、かつ媒体の
記録感度を低下させないために熱伝導率が低いことが必
要である。そのような特性を有する金属であれば特に限
定する必要はないが、中でもTi,Cr,Ni及びこれらの合金
からなる金属膜は特に好ましい。なお、金属膜の膜厚は
上記諸点より10〜300Åが好ましく、更に好ましくは30
〜250Åである。
一方誘電体膜は、熱伝導率が低く膜厚が厚くても記録
特性への影響が小さく、十分な保護ができる点で優れて
いる。かかる誘電体膜には前述のエンハンス層等として
公知の透明誘電体がそのまま適用できるが特に耐透湿性
も良いという点で窒化アルミニウム,窒化シリコン,ア
ルミニウム・シリコン窒化物の窒化物膜,酸化シリコ
ン,酸化チタンの酸化物膜が好ましく、中でも窒化物膜
が酸素が関係しない点で好ましい。
誘電体膜の膜厚は、その材料の熱伝導度,生産性,耐
久性改善に及ぼす効果によって決められる。一義的には
言えないが、10〜500Å、好ましくは50〜300Åが好適に
用いられる。
またこの無機保護層は光記録層,金属反射層の上面だ
けでなく、それらの端部を覆うことによりその効果は一
層顕著になる。
前記金属反射層及び無機保護層の形成方法としては、
公知の真空蒸着法,スパッタリング法,イオンビームス
パッタリング法,CVD法などが考えられるが、下地層との
接着性,合金組成の制御性,組成分布などの点でスパッ
タリング法が好ましい。また膜の堆積速度,ガス圧など
は、生産性,膜応力を考慮し、適宜選択される。
更に、通常はこの無機保護層上に、機械的保護、更な
る耐久性の向上等の目的で有機の光及び熱硬化型樹脂あ
るいは熱可塑性樹脂からなる有機保護層を設けることが
一般である。
以上の構成の光記録媒体は、公知の通り上記構成のま
まで、更に保護平板,保護フィルム等必要な保護を付加
して片面記録媒体として、あるいはその2枚を金属反射
層側で貼り合わせた両面記録媒体として使用される。
以下、本発明を光磁気記録媒体の実施例に基いて説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
<実施例1〜4,比較例1> 第1図に示す基板1上に透明誘電体層2、光磁気記録
層3、金属反射層4を順次積層し、さらに有機保護層5
を積層した構成の光磁気記録媒体を以下のように作成し
評価した。
直径130mm、厚さ1.2mmの円盤で1.6μmピッチのグル
ーブを有するポリカーボネート樹脂(PC)製のディスク
基板1を、3ターゲット設置可能な高周波マグネトロン
スパッタ装置(アネルバ(株)製SPF−430H型)の真空
槽内に配置し、4×10-7Torrになるまで排気した。
次にAr,N2の混合ガス(Ar:N2=70:30vol%)を真空槽
内に導入し、圧力10m TorrになるようにAr/N2混合ガス
流量を調整した。ターゲットとしては直径100mm、厚さ5
mmのAl50Si50(以下、添数字は組成(原子%)を示す)
の焼結体からなる円盤を用い、放電電力500W、放電周波
数13.56MHzで高周波スパッタリングを行ない、PC基板を
回転(自転)させながら、透明誘電体2としてAlSiN膜
を800Å堆積した。
続いて光磁気記録層3として、Tb21Fe71Co8合金ター
ゲットを用い、Arガス圧2m Torr、放電電力150Wの条件
で高周波スパッタリングを行ない、約300ÅのTbFeCo合
金膜を堆積した。
更に引き続いて、Agターゲットを用い、適宜3mm角×1
mm厚のAuチップをターゲット上に配し、Arガス圧2m Tor
r,放電電力100Wの条件で高周波スパッタリングを行な
い、Auの含有量を変えた表−1の実施例1〜4の各組成
のAgAu合金からなる400Åの金属反射層4を堆積し、PC
基板/AlSiN/TbFeCo/金属反射層の積層構造の光磁気ディ
スクを得た。金属反射層4の各AgAu合金膜のAu量はAgタ
ーゲット上のAuチップの数を変化させて表−1の実施例
1〜4の各組成に調整した。
これら各層の形成時において、PC基板は20rpmで回転
させた。
得られた光磁気ディスクは光磁気記録再生装置(ナカ
ミチ(株)製OMS−1000型)を用い、下記条件でC/Nと記
録感度の指標となる最適記録レーザーパワーを評価し
た。書込み時の半導体レーザーパワーを変化させ、再生
信号の二次高調波が最小となる時が最適記録条件とし
た。
[記録条件] ディスク回転速度:1800rpm、記録トラック位置:半径30
mm位置、記録周波数:2MHz、記録時の印加磁界:500エル
ステッド [再生条件] ディスク回転速度:1800rpm、読出レザーパワー:1.2mW 最適記録レーザーパワー及びC/Nの測定結果を表−1
に示す。
なお、表−1の比較例1は金属反射層以外は実施例1
〜4と同じ構成で、金属反射層を実施例1〜4のAuチッ
プを除去して形成したAuを含有しない単なるAg反射膜を
有する光磁気ディスクである。またその最適記録レーザ
ーパワーの欄の(20mW以上)は、用いたレーザーの最大
出力10mWでは記録できず、ディスク回転速度を半分にし
て10mWで少しの再生信号が得られた状態をいう。
また、実施例1,2,3と比較例1のディスクの金属反射
層4上に、スピンコーターで紫外線硬化型のフェノール
ノボラックエポキシアクリレート樹脂を塗布し、その後
紫外線照射により硬化させ、約20μmの有機保護層5を
設けた。これらのサンプルを温度70℃、湿度85%の条件
で1000hrの加速劣化試験を行なったところ、比較例1で
は多くのピンホールが発生したが、実施例1,2,3のディ
スクではC/N、外観とも全く変化がなく、本発明の金属
反射膜は、反射膜自体が耐久性に優れると共に記録膜の
劣化を防止する保護機能も有することが確認された。
<実施例5〜9> 金属反射層4を、実施例1〜4と異なりAgターゲット
上にAuのチップだけではなく、この他に含有させる特定
の元素としてTi,Ta,Zr,Yのチップをのせて形成し、各々
の金属を添加したAgAu合金膜とした以外は、実施例1〜
4と同様の方法で同じ構成の光磁気ディスクサンプルを
作製し、同様の評価を行なった。その結果を表−2に示
す。
また実施例5〜9のサンプル上に、前述の実施例1〜
3と同じ有機保護層5を設け、温度80℃、湿度85%の条
件で1000hrの加速劣化試験を行なったが、いずれもC/
N、外観とも全く変化がみられず、実施例の金属反射層
は前述の耐久性並びに保護性能を有することが確認され
た。
以上の実施例で示すように、AgにAuを0.5at%以上添
加したAgAu合金膜は、C/N、記録感度、高温高湿下での
耐久性に優れ、とりわけ特定の元素Ti,Ta,Zr,Yを含有せ
しめたAgAu合金では記録感度が更に向上することがわか
る。
<実施例10〜12,比較例2> 実施例1〜10と同じ第1図の積層構成の光磁気記録媒
体を以下のように作成し、実施例1〜10の倍に近い記録
密度,加速劣化試験時間で評価した。
直径130mm、厚さ1.2mmの円盤で1.6μmピッチのグル
ープを有するポリカーボネート樹脂(PC)製のディスク
基板1を、3ターゲット設置可能な高周波マグネトロン
スパッタ装置(アネルバ(株)製SPF−430H型)の真空
槽内に配置し、4×10-7Torrになるまで排気した。
次にAr,N2の混合ガス(Ar:N2=70:30vol%)を真空槽
内に導入し、圧力10m TorrになるようにAr/N2混合ガス
流量を調整した。ターゲットとしては直径100mm、厚さ5
mmのAl30Si70の焼結体からなる円盤を用い、放電電力50
0W、放電周波数13.56MHzで高周波スパッタリングを行な
い、PC基板を回転(自転)させながら、透明誘電体2と
してAlSiN膜を800Å堆積した。
続いて光磁気記録層3として、Tb21Fe71Co8合金ター
ゲットを用い、Arガス圧2m Torr、放電電力150Wの条件
で高周波スパッタリングを行ない、約225ÅのTbFeCo合
金膜を堆積した。
更に引き続いて、Agターゲットを用い、適宜3mm角×1
mm厚のAuチップ、更にはTi,Taチップをターゲット上に
配し、Arガス圧2m Torr,放電電力100Wの条件で高周波ス
パッタリングを行ない、Au,Ti,Taの含有量を変えた表−
3の実施例10〜12の各組成のAgAu合金からなる400Åの
金属反射層4を堆積し、PC基板/AlSiN/TbFeCo/金属反射
層の積層構造の光磁気ディスクを得た。金属反射層4の
各AgAu合金膜のAu,Ti,Taの量はAgターゲット上のAu,Ti,
Taの各チップの数を変化させて表−3の実施例10〜12の
各組成に調整した。
これら各層の形成時において、PC基板は20rpmで回転
させた。
更に、金属反射層4上にスピンコーターで紫外線硬化
型のフェノールノボラックエポキシアクリレート樹脂を
塗布し、その後紫外線照射により硬化させ、約20μmの
有機保護層を設けた。
得られた光磁気ディスクの初期特性を測定するととも
に、温度80℃,相対湿度85%の条件で実施例1〜9の倍
の2000hrの耐久性試験を行い、C/Nを測定するとともに
ピンホールの増加数を測定した。光磁気特性の初期値は
光磁気記録再生装置(ナカミチ(株)製OMS−1000型)
を用い、下記条件で記録パワーを変化させ、再生信号の
二次高調波が最小となる時が最適記録条件とした。下記
の通り、記録周波数は実施例1〜9の2倍近い3.7MHzと
した。
[記録条件] ディスク回転速度:1800rpm、記録トラック位置:半径30
mm位置、記録周波数:3.7MHz、記録時の印加磁界:300エ
ルステッド,duty:50% [再生条件] ディスク回転速度:1800rpm、読出レザーパワー:1.2mW 最適記録レーザーパワー,C/Nならびに2000hr後のピン
ホールの増加数を表−3に示す。
なお、表−3の比較例2は金属反射層4以外は実施例
10〜12と同じ構成で、金属反射層4を単なるAg膜よりな
るAg反射膜(400Å)とした光磁気ディスクである。比
較例2では最大記録パワー10mWの前記装置では測定でき
ず、従って必要な記録パワーは10mW以上とした。
実施例10〜12ではピンホール増加数が若干多いが、20
00hr経過後でもC/Nの変化はなく、C/N,記録レーザーパ
ワーのレベルも充分であり実用に耐えるレベルにあると
言える。
<実施例13〜21、比較例3,4> 実施例1〜12の耐久性改善を目的に、その積層構成に
おいて、光磁気記録層3と金属反射層4との間に透明誘
電体層6を挿入した第2図の積層構成の光磁気ディスク
を作成し、評価した。
光磁気ディスクは、実施例10〜12において、光磁気記
録層3の形成に続いて、後面の透明誘電体層6を前面の
透明誘電体層3と全く同様に120Åの膜厚に形成する以
外は実施例10〜12と全く同様にして、表−4に示す各種
AgAu合金からなる金属反射層を有するものを製作した。
そして、得られた各光磁気ディスクの評価も実施例10
〜12と全く同様にして行った。
なお、表−4の比較例3は、金属反射層4以外は実施
例13〜21と同じ構成で、金属反射層4を実施例13〜21の
Auチップを除去して形成したAuを含有しない単なるAg反
射膜とした光磁気ディスクである。また比較例4は、金
属反射層4のみをAlTi合金(Ti:2at%)にして600Å厚
に形成し、その他は実施例13〜21と同じ構成の光磁気デ
ィスクである。
金属反射層4が、Agの場合(比較例3)には、記録パ
ワーが大きく、本評価装置(最大性能10mW)では測定す
ることができなかった。また加速劣化試験でのピンホー
ル増加が大きい。比較例4のAlTiの場合にはC/Nが低
く、かつピンホールの増加が著しく大きい。これに対
し、本発明の実施例では記録感度,C/Nも優れており、か
つ2000hr後の加速劣化試験結果においても、C/Nの変化
は全くなく、またピンホールの増加数も少なく耐久性の
点でも優れていることが確認された。
そして、実施例10〜12との比較から、光磁気記録層3
と金属反射層4との間に透明誘電体層6を設けることに
より、若干積層構成は複雑になるものの、高温高湿下で
の耐久性が大巾に改善されるとともに、C/N,記録感度の
記録再生特性も改善されることが確認された。
<実施例22〜27> 実施例13〜21の構成において、更に耐久性の向上を目
的にその金属反射層4の上に無機保護層7を設けた第3
図の積層構成の光磁気ディスクを作成し、実施例13〜21
と同様に評価した。
本例の光磁気ディスクは実施例14及び17と同じ構成で
その金属反射層4上に、実施例13〜21と同じようにして
表−5の各膜厚のAlSiN膜を形成したもの及びその光磁
気記録層と同様の条件でTiターゲットのスパッタにより
表−5の各膜厚のTi金属膜を設けたものである。その評
価結果を表−5に示す。
無機保護層を設けることにより、記録感度,C/Nとも良
好で、かつ耐久性を更に改善することができる。とりわ
け、AlSiN膜を設けたものでは記録感度を全く低下させ
ずに、耐久性を改善できる。
以上の通り本発明は、AgにAuを0.5at%以上、更にはT
i,Ta,Zr,Y等の前述の特定元素を所定量含有せしめたAgA
u合金膜を反射膜とした光記録媒体であり、そのAgAu合
金膜の優れた特性により以下の通り優れた特性の光記録
媒体を実現する効果を奏する。すなわち、AgAu合金膜は
その熱伝導率が小さくなって媒体の記録感度が向上し、
その反射率もAg膜等に比して大きく低下せず、よって媒
体のC/Nも良好で、又その膜自体が耐久性に優れ且つ良
好な保護機能を有するための媒体の耐久性も向上し、記
録感度、C/N、耐久性に優れた光記録媒体が得られる。
更に無機保護層を設けることにより、記録感度を低下さ
せることなく、一層の耐久性を改善できる。
このように本発明は光記録媒体、中でも金属反射膜に
よる特性向上が必要で劣化し易い記録層を用いる光磁気
記録媒体の特性向上に大きな寄与をなすものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1〜12の積層構成の説明図、 第2図は実施例13〜21の積層構成の説明図、 第3図は実施例22〜27の積層構成の説明図である。 1:基板、2,6:透明誘電体層、3:光磁気記録層、4:金属反
射層、5:有機保護層、7:無機保護層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 潔 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (56)参考文献 特開 昭59−8150(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属反射層を有する光記録媒体において、
    該金属反射層がAgにAuを0.5〜50at%含有せしめたAgAu
    合金からなることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】前記AgAu合金がAuを0.5〜15at%を含有
    し、さらにAg及びAuを除いた遷移金属元素、In,Sn,Zn,M
    gの群から選ばれた少なくとも1種以上の特定元素を0.3
    〜8.0at%含有したAgAu合金である請求項第1項記載の
    光記録媒体。
  3. 【請求項3】前記AgAu合金のAuと特定元素との合計含有
    量が1.0〜15at%である請求項第2項記載の光記録媒
    体。
  4. 【請求項4】前記特定元素が、Ti,Ta,Zr,Y,Re,In,Sn,Z
    n,Mgの群から選ばれた少なくとも1種の元素である請求
    項第2項又は第3項記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】前記特定元素が、Ti,Ta,Zr,Yの群から選ば
    れた少なくとも1種の元素である請求項第4項記載の光
    記録媒体。
  6. 【請求項6】前記金属反射層が光記録層に接している請
    求項第1項〜第5項記載のいずれかの光記録媒体。
  7. 【請求項7】前記金属反射層と、光記録層間に透明誘電
    体層が設けられていることを特徴とする請求項第1項〜
    第5項記載のいずれかの光記録媒体。
  8. 【請求項8】光記録層の金属反射層側と反対の側に透明
    誘電体層が積層されていることを特徴とする請求項第1
    項〜第7項記載のいずれかの光記録媒体。
  9. 【請求項9】前記金属反射層上に無機材料からなる無機
    保護層を設けたことを特徴とする請求項第1項〜第8項
    記載のいずれかの光記録媒体。
  10. 【請求項10】前記光記録層が、光磁気記録層である請
    求項第1項〜第9項記載のいずれかの光記録媒体。
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