JPH0524174B2

JPH0524174B2 -

Info

Publication number: JPH0524174B2
Application number: JP58245220A
Authority: JP
Inventors: Yoshikatsu Tanaka; Yasushi Azuma; Koji Tsujita
Original assignee: Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Current assignee: Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date: 1983-12-28
Filing date: 1983-12-28
Publication date: 1993-04-07
Also published as: JPS60139734A

Description

【発明の詳細な説明】

〔発明の技術分野〕本発明はスチレン系樹脂組成物に関し、更に詳
しくは、スチレン系樹脂本来の機械的特性を損う
ことなく、熱安定性、難燃性に優れた、新規な組
成のスチレン系樹脂組成物に関する。〔発明の技術的背景とその問題点〕スチレン系樹脂は、成形加工性に優れ機械的強
度も良好であるので、家電製品、室内装飾品、建
築材料などの素材樹脂として広く用いられてい
る。そして、そのような用途分野の拡大に伴な
い、スチレン系樹脂にたいする難燃化規制が強め
られている。難燃性を高めたスチレン系樹脂組成物として、
スチレン系樹脂にヘキサブロモドデカンを添加し
て成るものが知られている（特公昭38−16837
号）。しかしながら、この樹脂組成物に射出成形法、
押出成形法などを適用して各種製品を成形加工す
る際に、その成形温度は通常180〜220℃であるの
で、その温度に耐え得るような耐熱性を具備させ
ることが必要である。このために、スチレン系樹脂に更に有機スズ化
合物と有機リン系化合物とを配合することが提案
されている（特開昭56−145939号）。しかしながら、ここで用いられる有機リン系化
合物は公害防止の観点からいつても、取扱い上の
問題からしても適切な成分ということはできな
い。〔発明の目的〕本発明は、上記した問題点を解消した新規な組
成のスチレン系樹脂組成物の提供を目的とする。〔発明の概要〕本発明者らは、上記有機リン系化合物に代る他
の添加成分につき探索調査を重ねた結果、高級脂
肪酸の金属塩が有効であり、しかも後述する各成
分の配合量を所定量に調整すると、得られたスチ
レン系樹脂組成物の熱安定性、難燃性が優れると
の事実を見出し、本発明の樹脂組成物を開発する
に到つた。すなわち、本発明のスチレン系樹脂組成物は、
スチレン系樹脂100重量部、ヘキサブロモシクロ
ドデカン0.5〜5.0重量部、有機スズ化合物0.1〜
0.6重量部並びに高級脂肪酸の、カルシウム、亜
鉛、バリウム及びマグネシウムから選ばれた金属
との塩0.05〜0.60重量部から成ることを特徴とす
る。まず、本発明の樹脂組成物のベースとなるスチ
レン系樹脂としては、スチレン単独の重合体；α
−メチルスチレン、ｏ−クロルスチレンのような
スチレン誘導体、アクリロニトリル、α−メチル
アクリロニトリル、無水マレイン酸など他のモノ
マーとスチレンとの共重合体；スチレンと上記し
た他のモノマーとを合成ゴムの共存下で重合した
共重合体；以上の各樹脂と合成ゴムとの混合物な
どをあげることができる。スチレン系樹脂の配合
量は100重量部である。第２の成分はヘキサブロモシクロドデカンであ
る。配合量が0.5重量部未満の場合には、得られ
た樹脂組成物の難燃性がほとんど向上せず、5.0
重量部を超えると熱安定性が極端に低下する。好
ましくは、1.0〜4.0重量部で、とくに1.5〜3.5重
量部であることが好ましい。第３の成分は有機スズ化合物である。有機スズ
化合物としては、ジ−ｎ−オクチルスズマレート
ポリマー、モノブチルスズトリオクチルマレー
ト、ジブチルスズジオレイルマレート、ジブチル
シルメトキシメチルマレート、ジブチルスズジオ
クチルチオグリコレート、ジブチルスズジラウレ
ート、ジブチルスズジラウリルカプタイドのよう
な脂肪族系のもの；トリベンジルスズオクチルマ
レートのような芳香族系のものがあげられる。配
合量が0.1重量部未満の場合には熱安定性が不充
分となり、0.6重量部を超えると難燃性が低下す
ると同時にスチレン系樹脂本来が備える機械的特
性も低下する。第４の成分は、高級脂肪酸の金属塩である。こ
れが本発明の樹脂組成物の特徴的な配合成分であ
る。高級脂肪酸としては、炭素数10〜22の飽和又は
不飽和のカルボン酸が好ましい。例えば、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘニン酸のような飽和一価
カルボン酸；オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸のような不飽和一価カルボン酸をあげることが
できる。これら高級脂肪酸の金属塩を形成する際
に用いる金属としてはカルシウム、亜鉛、バリウ
ム又はマグネシウムをあげることができる。本発
明においては、ステアリン酸の上記金属塩は好適
である。これらの高級脂肪酸の金属塩の配合量は、0.05
〜0.60重量部である。配合量が0.05重量部未満の
場合には、得られた樹脂組成物の熱安定性が不充
分になり、また、0.60重量部を超えると難燃性が
著しく低下して不都合である。好ましくは、0.1
〜0.45重量部、とくに好ましくは0.15〜0.35重量
部である。本発明の樹脂組成物は上記４成分を必須とする
が、更に必要に応じては、常用の難燃助剤、着色
剤、紫外線吸収剤、発泡剤、充填剤等を適量添加
してもよい。〔発明の実施例〕実施例１〜18 下記の各成分を表の割合で配合し、190〜220℃
で混練して樹脂ペレツトを成形した。スチレン系樹脂：HIPS−１；ブタジエンゴム
の含量６重量％、MI5ｇ／10分の耐衝撃性
ポリスチレン HIP−２；ブタジエンゴムの含量６重量
％、MI3ｇ／10分の耐衝撃性ポリスチレン AS；アクリロニトリル含量30重量％のス
チレン−アクリロニトリル共重合体 ABS；ブタジエン含量25重量％、アクリ
ロニトリル含量20重量％のスチレン
−ブタジエン−アクリロニトリル共
重合体 SMA；無水マレイン酸含量15重量％のス
チレン−無水マレイン酸共重合体有機スズ化合物：Ａ；ジ−ｎ−オクチルスズマ
レートポリマー（重合度３）Ｂ；ジブチルスズメルカプタイド高級脂肪酸の金属塩：Ａ；ステアリン酸カルシ
ウムＢ；ステアリン酸亜鉛各樹脂ペレツトにつき以下の仕様で難燃性、黄
色度、アイゾツト強さを測定した。その結果を一
括して表に示した。難燃性：米国UL規格、UL94に規定する垂直式
燃焼試験を行ない、Ｖ−２規格に合格した
ものを〇、不合格を×で表示した。黄色度：各組成の樹脂組成物を射出成形機内で
220℃、30分間滞留させたのち、縦７cm、
横４cm、厚み3.2mmの平板を成形し、この
平板の黄色度をスガ試験機(株)製の色度計
（ＳアンドＭカラーコンピユータSM−
3CH）で測定した。アイゾツト衝撃強さ：ASTM D256に準拠し
て測定。

【表】

〔発明の効果〕

以上の説明で明らかなように、本発明の樹脂組
成物は、スチレン系樹脂の機械的強度が維持さ
れ、そのうえで難燃性に優れ、また黄色度の結果
にみられるとおり熱安定性にも優れている。更に
配合成分はいずれも取扱いが容易であると同時に
害毒を流すものではない。したがつて、本発明の
樹脂組成物は、家電製品、室内装飾品、建築材料
などに用いて有用である。

Claims

【特許請求の範囲】

１スチレン系樹脂100重量部、ヘキサブロモシ
クロドデカン0.5〜5.0重量部、有機スズ化合物0.1
〜0.6重量部並びに高級脂肪酸の、カルシウム、
亜鉛、バリウム及びマグネシウムから選ばれた金
属との塩0.05〜0.60重量部から成ることを特徴と
するスチレン系樹脂組成物。