JPH0523894A - スクラツププレス方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 動力プレス機を用いる必要なしに、簡単なプ
レス作業箱を用いて自走解体作業車のブーム操作により
スクラップをほぼ定型の塊にプレスできるようにしたス
クラッププレス方法および装置を提供する。 【構成】 先端にプレス対象スクラップを把持するため
の把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた旋回作
業車の作業半径内に上面が開放された有底凹部を有する
プレス作業箱を作業車上または床面に定置し、作業車の
把持手段とブームとの操作によってプレス作業箱の上部
開口からスクラップを投入すると共に、プレス作業箱の
内壁面を支持面として把持手段によりプレス対象スクラ
ップを叩打することによりスクラップを作業箱内形状に
対応する塊にプレスする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はスクラッププレス方法
および装置に係り、主に自動車のスクラップの解体に際
して特に車体ボディのプレスを行なう方法と装置の改良
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の技術、例えば廃車となった
自動車の解体及びプレスにおいては、解体とプレスとを
別々の動力機械によって行なっていた。すなわち、すで
に廃車となった自動車を解体機て解体し、この解体され
た自動車のスクラップをプレス機械に投入し、プレス機
械を動力で動作させてスクラップのプレスを行なってい
た。

【０００３】しかしながら、自動車のスクラップボディ
ーは質量の割に大きなスペースを要するため、解体され
たスクラップをプレス機械まで運ぶ際の輸送効率が極め
て悪かった。すなわち、一度に多くのスクラップを輸送
することができず、例えば１０ton トラックに４ton 分
のスクラップしか積載できなかった。また自動車のボデ
ィーの形状は凹凸が多く複雑であると共に、自動車によ
って様々であるため、トラック等に積載して運ぶ際に荷
崩れ等の危険性があった。従って、従来の方法において
は、輸送の安全性に欠けるとともに、輸送の際に多くの
費用を要し全体としての作業コストが高いという問題点
があった。

【０００４】また一方、例えば特開昭５６−８９４００
号公報に示されるように、自走式台車に旋回伏仰ブーム
を装備してブーム先端に切断ペンチャーや掴み機を取付
け、台車後部にプレス機を連結して、ペンチャーで解体
したスクラップを掴み機で掴んでプレス機に投入し、プ
レス圧縮する自走式自動車解体機が知られているが、こ
の従来の解体機におけるプレス機は、フレームの内部で
スクラップを油圧シリンダにより圧縮プレスする重量の
かさむ個別機能機械であり、本来自走式である解体機の
運動性を制限し、またその装備は動力源を含めて自走車
両側に多大な搭載装備コストを必要とする。

【０００５】さらに、従来から知られているスクラップ
圧潰用プレス装置として例えば実公昭５５−９５１５号
公報に示されたものもあるが、このような個別機能機械
を設備することには当然のことながら相応の設備投資が
必要であり、比較的大規模な解体工場以外には採用が困
難であって、これが今日の廃車スクラップの滞貨の一因
ともなっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる点に
鑑みてなされたものであり、自走旋回作業車の運動性を
損ねることがなく、また動力プレス機を用いる必要なし
に、簡単なプレス作業箱を用いて自走解体作業車のブー
ム操作によりスクラップをほぼ定型の塊にプレスできる
ようにしたプレス方法および装置を得ることを目的とす
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
係るスクラッププレス方法では、前述の課題を解決する
ために、先端にプレス対象スクラップを把持するための
把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた旋回作業
車の旋回作業半径内に上面が開放された有底凹部を有す
るプレス作業箱を前記作業車上または床面上または床面
下に定置し、前記作業車の前記把持手段と前記ブームと
の操作によって前記プレス作業箱の上部開口からプレス
対象スクラップを投入すると共に、プレス作業箱の内壁
面を支持面として前記把持手段によりプレス対象スクラ
ップを叩打することにより前記スクラップをプレスする
ものである。

【０００８】また請求項２に記載の発明に係るスクラッ
ププレス装置は、先端にプレス対象スクラップを把持す
るための把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた
旋回作業車と、該旋回作業車の旋回作業半径内に定置さ
れた上面が開放された有底凹部を有するプレス作業箱と
を備えている。

【０００９】また請求項３に記載の発明に係るスクラッ
ププレス装置では、請求項２によるものにおいて、前記
プレス作業箱を、矩形の上面開口と、底部へ向って開口
面積が漸減するように直線状又は曲線状に傾斜した第１
の一対の向い合う内側壁と、前記第１の内側壁に隣接し
て直立した第２の一対の内側壁と、これら第１および第
２の内側壁に連なる底面とを有する鉄製の箱によって構
成したものである。

【００１０】また請求項４に記載の発明に係るスクラッ
ププレス装置では、請求項２によるものにおいて、前記
プレス作業箱を、その上面開口を上方に向けて前記作業
車に固定してなるものである。

【００１１】また請求項５に記載の発明に係るスクラッ
ププレス装置では、請求項２によるものにおいて、前記
プレス作業箱を、その上面開口を上方に向けて床面上に
設置してなるものである。

【００１２】また請求項６に記載の発明に係るスクラッ
ププレス装置では、請求項２によるものにおいて、前記
プレス作業箱の少なくとも一部を、該作業箱の上面開口
を上方に開放した状態で床面下に埋設してなるものであ
る。

【００１３】

【作用】請求項１に記載の発明に係るスクラッププレス
方法において、前記作業車の運転操作キャビン内でオペ
レータはブームとその先端のペンチャーなどの把持手段
を操作する。作業車は自走可能であり、待機場所と作業
場所の間、または別の作業場所間を走行移動する。作業
車の把持手段は、作業車が押えているスクラップを引き
千切り、引き千切ったスクラップ片を掴み、これをブー
ムの旋回半径内にある前記プレス作業箱内に投入し、プ
レス作業箱内でスクラップを叩打して作業箱の内側形状
に従った塊状にプレスし更にこのプレス塊を掴んで取り
出す作業に用いられる。プレス作業箱は上面が開放され
た有底凹部を有し、好ましくは鉄製の箱からなるもので
ある。このプレス作業箱は作業車の前部または後部或い
は側部に直接取付けてもよく、或いは作業現場の床面上
に設置したり、床面下に一部を埋設したりして、固定設
置タイプとしてもよい。

【００１４】請求項２にに記載の発明に係るスクラップ
プレス装置では、先端にプレス対象スクラップを把持す
るための把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた
旋回作業車と、該旋回作業車の旋回作業半径内に定置さ
れた上面が開放された有底凹部を有するプレス作業箱と
を備えている。この装置は、プレス作業箱を作業車に搭
載するか、または別設備の可搬作業箱とすることによ
り、所望の作業現場へ移動可能である。プレス作業箱は
一切の可動部分を含んでおらず、作業に際して把持手段
による叩打に耐える程度の頑丈さが求められるに過ぎな
いから溶接等による鉄材構造物によって実現でき、製造
および維持コストは従来の動力プレスの比較にならない
ほど低廉である。

【００１５】請求項３に記載の発明によるプレス装置で
は、前記プレス作業箱を、矩形の上面開口と、底部へ向
って開口面積が漸減するように傾斜した第１の向い合う
内側壁と、前記第１の内側壁に隣接して直立した第２の
一対の内側壁と、これら第１および第２の内側壁に連な
る底面とを備えている。第１の内側壁は、内底部から直
線状または曲線状に上開きとなる一対の対向内壁であ
り、これは叩打によるスクラップのプレス塊を把持手段
によって作業箱内から取り出すときに作業箱内にプレス
塊が食い付くのを有効に防止する。また第２の内側壁は
直立しており、これは作業箱内で把持手段により掴かま
れたスクラップをこの第２の内側壁に叩き付けて潰すの
に便利なためである。作業箱の内底面は平面または凹曲
面とすることができ、凹曲面の場合は前記第１の内側壁
の底部寄りの一部と共に半円筒内面を形成するようにし
てもよい。

【００１６】請求項４に記載の発明に係るプレス装置で
は、前記プレス作業箱を前記作業車に上面開放状態で固
定してある。この場合、作業箱は作業車の前部、後部、
或いは側部の何れにも取付け得るが、好ましくは作業車
の前部に一対のスクラップ押えアームを突出して装備さ
せ、このアームの基部寄り位置に作業箱を取付けるとブ
ーム操作によるスクラップの引き千切り作業とプレス作
業箱内への投入作業および作業箱内での叩打によるプレ
ス作業の状況やスクラップ位置などが作業車の運転操作
キャビンの旋回なしに視認しながら行なえるので、作業
性の面から好都合である。

【００１７】請求項５に記載の発明によるプレス装置で
は、例えば鉄製の作業箱を作業現場の床面上に設置して
あり、これは恒久的な設置または一時的な固定設置のい
ずれでもよい。このように構成することにより、作業車
としては特殊な構造のものを用意しなくてもスクラップ
解体プレス作業を行なえることになる。

【００１８】請求項６記載の発明によるプレス装置で
は、例えば鉄製の作業箱を作業現場の床面下に埋設して
あり、これは作業箱の上面開口が床面と同レベルまたは
若干上方のレベルとなるように埋設される。このように
構成することにより、作業箱の耐力構造の殆どをコンク
リート構造とし、内面のみを鉄板内張構造として構成す
ることができる。

【００１９】このように本発明によれば、プレス対象の
スクラップを動力プレスを用いることなくその場でほぼ
定型のプレス塊にすることができ、輸送するスクラップ
の容積が非常に小さくなり輸送効率が著しく向上すると
ともに、形状の一定したスクラップの成形が可能となる
ため輸送の際に荷崩れしにくくなるものである。

【００２０】また、本発明のプレス装置は独立した装置
として作業現場に運び込むこともでき、また予め備えて
ある旋回作業車を利用する場合にはプレス作業箱だけを
用意すればよく、動力プレス機をわざわざ据え付けるこ
とが不要で、時と場合に応じて容易にプレス作業が行な
えることとなり、特に少量のプレス作業を行なう場合に
便利でありコスト低減の効果大である。

【００２１】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面を参照し
ながら詳細に説明する。なお、この実施例においては、
中古自動車の解体プレス作業を例にとって説明する。

【００２２】図１には本発明の一実施例に係るスクラッ
ププレス装置の全体的な構成が示されている。図におい
て、１０，１２，１４，１６，１８，はショベルカー等
に使用される周知の旋回作業車と同様な構成部品であ
り、１０，１２はブームを構成する第１アーム及び第２
アームで、油圧により上下方向に動作できるようになっ
ている。１４は当該装置の上部構造であり、キャタピラ
１６上で走行可能な下部走行体１１の上に旋回可能に取
り付けられており、その中央付近には前記第１アーム１
０が伏仰可能に枢支されている。また、上部構造１４の
一部には中に人間が入って当該装置を操縦するための操
縦室１８が設けられている。

【００２３】２０は第２アーム１２の先端に設けられた
スクラップ引き千切り用切断ペンチャであり、中古車
（図示せず）を切断、解体するとともに、これらを挟持
して移動させ、さらには本発明に従って後述のプレス作
業箱内でスクラップを叩打して塊状にプレスする等の作
業を果たすものである。２２はスクラップを押えるため
の押圧アームであり、下部走行体１１の前部ブラッケッ
ト（図示せず）に支持され、解体する中古車を地面に対
して押圧可能に上下にシリンダで伏仰できるように構成
されている。なお、押圧アーム２２及びその駆動機構に
ついては、実開昭６２−１０５０２４号公報に詳しい。

【００２４】３０は旋回作業車前部の押圧アーム２２に
取付けられたプレス作業箱であり、内部に解体されたス
クラップ（図示せず）が入る程度の大きさの桝形に構成
された鉄製箱体からなっている。このプレス作業箱３０
は、プレス作業時には床面に接地すると共に、作業車が
移動する際には床面から浮いた状態となるように昇降機
構３１によって作業車の下部走行体１１に支持されてい
る。勿論、この作業箱３０は、望ましくは作業車に対し
て取り外し可能に取付けてもよい。

【００２５】作業箱３０はその底面が左右方向に凹曲面
となっており、前後方向の内壁面は直立壁面である。こ
れによりペンチャ２０が掴んだスクラップを第１アーム
１０に対する第２アーム１２の前後揺動操作で作業箱３
０の前後内壁面に叩打し、或いは上から叩き、これら叩
打作業を適宜行なうことでスクラップを作業箱３０の内
形状に従った塊状にプレスする。

【００２６】プレス作業箱３０の内形状は図示のものに
限定されず、例えば逆台形状、逆三角状の横断面形状の
有底凹部を形成するものであってもよい。また図示の例
ではプレス作業箱３０を作業車に取付けたが、これを現
場の床上に固定設置して作業車から切り離してもよく、
或いは床面に作業箱の下部を埋めてもよい。

【００２７】押圧アームによって押え付けられた自動車
ボディをペンチャ２０によって引き千切り、千切ったス
クラップ片をそのままプレス作業箱３０に入れ、これを
繰り返して或る程度のスクラップが作業箱３０内にたま
ったら、ペンチャ２０で上から叩打する。これによって
プレス作業箱３０内でスクラップが或る程度の塊にな
り、次いでこの塊をペンチャ２０で掴んで作業箱の内面
に押し付け、或いは叩打し、これを繰り返すことにより
スクラップ塊の形状を作業箱３０の内形状に従った形状
に成形する。図示の例の場合、この形状はほぼかまぼこ
状となる。

【００２８】上記の叩打による成形が終れば、このスク
ラップ塊をペンチャで別の個所に待機するトラックに積
み込み、これによってスクラップがほぼ一定形状の塊と
して運搬されることになる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
動力プレス機を用いることなくスクラップの解体中にそ
のプレス作業を行なうことができ、プレス作業ひいては
運搬作業に至るまでの作業コストの低減を図ることがで
きるだけでなく、作業車のブーム操作によってスクラッ
プの解体からプレスそしてプレス済みスクラップ塊の取
出し作業までを運転操作台側から一連に行うことがで
き、またプレス作業箱は可動部分を含まないのでメンテ
ナンスも軽微となるなど、数多くの効果を奏することが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０…第１アーム １２…第２アーム ２０…ペンチャ ２２…押圧アーム ３０…プレス作業箱

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端にプレス対象スクラップを把持する
   ための把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた旋
   回作業車の旋回作業半径内に上面が開放された有底凹部
   を有するプレス作業箱を前記作業車上または床面上また
   は床面下に定置し、前記作業車の前記把持手段と前記ブ
   ームとの操作によって前記プレス作業箱の上部開口から
   プレス対象スクラップを投入すると共に、プレス作業箱
   の内壁面を支持面として前記把持手段によりプレス対象
   スクラップを叩打することにより前記スクラップをプレ
   スすることを特徴とするスクラッププレス方法。
2. 【請求項２】 先端にプレス対象スクラップを把持する
   ための把持手段を取付けたブームを伏仰可能に備えた旋
   回作業車と、該旋回作業車の旋回作業半径内に定置され
   た上面が開放された有底凹部を有するプレス作業箱とを
   備えたことを特徴とするスクラッププレス装置。
3. 【請求項３】 前記プレス作業箱が矩形の上面開口と、
   底部へ向って開口面積が漸減するように直線状または曲
   線状に傾斜した第１の一対の向い合う内側壁と、前記第
   １の内側壁に隣接して直立した第２の一対の内側壁と、
   これら第１および第２の内側壁に連なる底面とを有する
   鉄製の箱によって構成されていることを特徴とする請求
   項２に記載のスクラッププレス装置。
4. 【請求項４】 前記プレス作業箱がその上面開口を上方
   に向けて前記作業車に固定されていることを特徴とする
   請求項２に記載のスクラッププレス装置。
5. 【請求項５】 前記プレス作業箱がその上面開口を上方
   に向けて床面上に設置されていることを特徴とする請求
   項２に記載のスクラッププレス装置。
6. 【請求項６】 前記プレス作業箱の少なくとも一部が作
   業箱の上面開口を上方に開放した状態で床面下に埋設さ
   れていることを特徴とする請求項２に記載のスクラップ
   プレス装置。