JPH0523208B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車両のスライデイング・テイルテイ
ングルーフに関する。

（従来の技術） この種の公知のスライデイング・テイルテイン
グルーフとして、西独特許公開第3300308号（特
開昭59−128012号公報と同じ）に記載のものがあ
る。

この従来のものは、剛なパネルが、前後の案内
スライダを介してルーフ開口部に沿つて延びる側
部案内レールに摺動自在に案内してあり、パネル
前端に設けた旋回軸受を介して摺動方向に直角に
延びる軸のまわりに旋回自在に軸支してあり、後
部案内スライダに作用する昇降装置によつてパネ
ル後縁を閉鎖位置から固定ルーフ面に関して選択
的に昇降させることができるものである。

このスライデイング・テイルテイングルーフに
おいては、後部案内スライダの前後方向の移動に
より、二つの異なる動作が生じる。

即ち、後部案内スライダの前後方向の移動によ
つて昇降装置が作動して、パネルが昇降する場合
と、後部案内スライダの前後方向の移動によつ
て、昇降処置は作動せずに、該スライダーと一体
的にパネルが移動する場合とである。

従つて、案内スライダとパネルとが一体的に移
動中に、誤動作が生じ、パネルが昇降するおそれ
がある。また逆に、パネル昇降動作中に、誤動作
が生じ、パネルが前後方向に移動するおそれがあ
つた。

そこで、このような誤動作を防止するための装
置が設けられている。

前記従来のものでは、少なくとも１つの案内レ
ールに開口が設けてあり、パネル後縁が下降され
た場合以外は、旋回自在に軸支してあつて、係止
位置の方向へ弾性的に負荷される係止レバーが上
記開口に係合し、前記誤動作を防止するよう構成
されていた。

そして、前記案内レールの開口から係止レバー
を外す場合、後部案内スライダを案内レールに沿
つて移動させて、該スライダを係止レバーの傾斜
面に摺接させることにより、該係止レバーの端部
を上方へ移動させ、開口との係合を解除してい
た。また、係止レバーがパネルと一体的に移動す
る場合、該係止レバーは案内レールの上面に摺接
していた。

別の公知のスライデイング・テイルテイングル
ーフの場合（米国特許第4364601号）、前部案内レ
バーの後ろの案内レールには、係止要素を備えた
摺動ブロツクが摺動自在に案内しており、上記係
止要素は、完全に開放された位置とパネル閉鎖位
置との間のパネルの旋回運動の範囲において、案
内レールの開口に下から係合し、従つて、パネル
の摺動運動を阻止する。摺動ブロツクには、パネ
ルに固定したピンと係合する垂直なスリツトが設
けてある。パネルを閉鎖位置から下降させると、
摺動ブロツクは、スリツト／ピン結合によつて、
バネの力に抗して、案内レールのカナル内で圧縮
され、従つて、係止要素が案内レールの開口から
出るので、パネルを摺動ブロツクとともに後方へ
摺動させることができる。

（発明が解決しようとする問題点） 前者の公知スライデイング・テイルテイングル
ーフにおいて、係止レバーの傾斜部と後部案内ス
ライダおよび案内レール開口の縁との共働は、摩
耗を伴う。この共働時および案内レールに押圧さ
れた係止レバーの摺動時、大きな摩擦損失が現れ
る。

後者の公知のスライデイング・テイルテイング
ルーフは、摺動ブロツクが必要であり、パネルの
摺動時、摺動ブロツクがバネ力に抗して案内レバ
ーに押圧されるので、摩耗および望ましくない摩
擦損失が現れる。

そこで、本発明は、摩擦損失を生じさせない誤
動作防止装置を備えたスライデイング・テイルテ
イングルーフを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、本発明は、次の手
段を講じた。

即ち、本発明のスライデイング・テイルテイン
グルーフは、剛なパネルが、前後の案内スライダ
を介してルーフ開口部に沿つて延びる側部案内レ
ールに摺動自在に案内してあり、パネル前端に設
けた旋回軸受を介して摺動方向に直角に延びる軸
のまわりに旋回自在に軸支してある。後部案内ス
ライダに作用する昇降装置によつてパネル後縁を
閉鎖位置から固定ルーフ面に関して選択的に昇降
させることができる。少なくとも１つの案内レー
ルには、開口が設けてあり、パネル後縁が下降さ
れた場合以外は、旋回自在に軸支してあつて、係
止位置の方向へ弾性的に負荷される係止レバーが
上記開口に係合するよう構成されている。前記係
止レバーが、前記前部案内スライダに上下方向旋
回自在に枢着してある。該係止レバーの一端部
は、前記開口に係脱自在に係合する下方突出の係
止ノーズに形成され、同他端部は、下降せるパネ
ル側に当接する上方突出の端部に形成されてい
る。前記パネルと係止レバーと案内レールの三者
は、次の関係にある。

前記パネルの後縁が固定ルーフ面よりも下方に
下降するとき、下降するパネル側により前記係止
レバーの端部が押動されて、係止ノーズと開口の
係合が解除される位置関係に配置されている。

前記パネルの後縁が上昇して固定ルーフ面と同
一高さになるとき、上昇するパネル側により前記
係止レバーの端部の押動が解除されて、係止ノー
ズと開口とが係合する位置関係に配置されてい
る。

前記パネルが固定ルーフ面の下面側を移動する
とき、前記係止レバーと案内レールとは摺接しな
い位置関係に配置されている。

（作用） 本発明によれば、パネルがルーフ開口部に嵌合
して該開口部を閉鎖している状態において、係止
レバーの係止ノーズは、弾性的負荷力により、案
内レールの開口と係合している。

前記閉鎖状態からパネル後縁を上昇させる場
合、前記係止ノーズと開口の係合は維持されたま
まであるので、パネルの前後方向の移動は防止さ
れる。

前記閉鎖状態からパネル後縁を下降させる場
合、パネルの下降により係止レバーの端部が押動
され、係止ノーズと開口との係合が解除される。

そして、パネルが固定ルール面より下方に位置
した状態で、パネルの前後方向移動を可能とす
る。この前後移動に際し、係止レバーはパネルと
一体的に移動するが案内レールに摺接しないの
で、摩擦抵抗を生じることがない。

（実施例） 図面を参照して以下に本発明の実施例を説明す
る。

図示のスライデイング・テイルテイングルーフ
は、透明材料、半透明材料または金属板から構成
でき、閉鎖位置では、固定ルーフ面１１に構成さ
れたルーフ開口部１２を閉鎖するパネル１０を有
する。ルーフ開口部１２は、パツキン１３で縁ど
りしてある。上記パツキンの代わりにまたは上記
パツキンに加えて、パネルの縁を囲むパツキンを
設けることもできる。パネル１０には、例えばフ
レーム状に構成した内側金属板１４が含まれてい
る。ルーフ開口部１２の両辺には、固定ルーフ面
１１と関連する側部案内レール１５が延びてい
る。パネル１０は、前後の案内スライダ１６，１
７によつて案内レール１５に摺動自在に案内して
ある。スライデイング・テイルテイングルーフの
案内レール１５および他の構成部材は、本質的
に、縦方向対称軸線に関して鏡像対称である。従
つて、以下では、１つの側（右側）の装置のみに
ついてその構造および機能を説明する。

内側金属板１４には、前後の取付用アングル１
８，１９が取付けてある。前部取付用アングル１
８は、パネル１０の前縁２０の近傍に設けた旋回
軸受２１を介して前部案内スライダ１６に結合し
てある。後部案内スライダ１７は、昇降レバー２
３を有する昇降装置２２を介して後部取付用アン
グル１９に結合されている。案内レール１５は、
側方の開放した２つの対向する案内チヤンネル２
４を有し、案内スライダ１６，１７の両側に取付
けた摺動ジヨー２５は、上記チヤンネル内を案内
レールの縦方向へ摺動できる。図示の実施例の場
合、スライデイング・テイルテイングルーフの駆
動は、後部案内スライダ１７に係合し、駆動装置
（好ましくは、電動機）またた手動クランクと駆
動結合できる剛なネジケーブルを介して行う。前
部案内スライダ１６には、前後から見て本質的に
逆Ｕ字形の断面を有し、受け頚軸２９によつて、
パネルの摺動方向３１に直角に延びる水平軸線の
まわりに旋回自在な係止レバー３０を軸支した受
け台２８が設けてある。係止レバー３０は、双腕
に構成してあり、側面から見て、本質的にＳ字状
の形状を有する。係止レバー３０の前端には、下
方へ折曲げてあつて、案内レール１５の上部ウエ
ブ３４の開口３３に係合できる係止ノーズ３２が
設けてある。係止レバー３０の後端３５は、上方
へ向いており、円形である。上記後端は、パネル
１０の下面に設けてあるカム３６と共働する。図
示の実施例の場合、カム３６として、パネルの内
側金属板１４の凹み３７にネジ込んだネジが設け
てある。受け頚軸２９のまわりには、１つの側で
受け台２８に別の側で係止レバー３０に支持して
あり、係止レバー３０が開口３３に係合する位置
の方向へ、即ち、第１，２図において逆時計方向
へ負荷を加えるバネ３９が巻いてある。

前記の実施例によれば、前部案内スライダ１６
が、前部終点位置（第１，２図）を取ると、係止
ノーズ３２が開口３３に合致する。カム３６が、
係止レバー３０の後端３５を押してない限り、係
止レバー３０は、脚バネ３９によつて、係止ノー
ズ３２が開口３３に係合する旋回位置（第１図）
に保持される。かくして、前部案内スライダ１６
及びパネル１０は、摺動しないよう案内レール１
５に関してロツクされる。ネジケーブル２７によ
つて後部案内スライダ１７を後方へ摺動させる
と、昇降装置２２の昇降レバー２３は逆時計方向
へ旋回する（第１図）。摺動が阻止されたパネル
１０は、旋回軸受２１のまわりに閉鎖位置（図示
してない）に旋回され、固定ルーフ面１１と本質
的に面一をなし、ルーフ開口部１２を閉鎖する。
後部案内スライダ１７を後方へ更に走行させてパ
ネル１０の後縁４０を固定ルーフ面１１の下方に
降下させた場合も、係止ノーズ３２は、まず、開
口３３に係合する。カム３６は、係止レバー３０
の後端３５に当接し、係止レバーの後部アームを
押す。係止レバー３０は、脚バネ３９（第２図）
の力に抗して時計方向へ旋回される。上記係止レ
バーは、パネル１０の降下操作が終了すると、前
案内スライダを解放する（第２図）。次いで、ネ
ジケーブル２７によつてパネル１０を固定ルーフ
面１１の下方へ摺動させることができる。この摺
動運動の初期段階を第３図に示した。同図におい
て、ルーフ開口部１２の前縁を４１で示し、パネ
ル１０の前縁を２０で示した。パネルの摺動運動
中、係止レバー３０は、案内レール１５に摩擦係
合しない旋回位置（第２図）に保持される。

次いで、パネル１０を再び前方へ摺動させる
と、係止ノーズ３２は、前部案内スライダ１６の
前部終点位置において、開口３３の上方に来る。
パネル１０の後縁４０を上昇すると、係止ノーズ
３２は、パネルの閉鎖位置の直前において、脚バ
ネ３９の作用により開口３３に係合する。パネル
の上昇操作中、係止レバー３０は係止状態にとど
まる。

カム３６を形成するネジを調整することによつ
て係止点を調整できる。もちろん、場合によつて
は、この種の調整操作を不要にできる。この場
合、係止レバー３０は、例えば、パネル内側金属
板１４の湾曲部３７によつてまたは上記湾曲部に
取付けた騒音減少部材によつて制御できる。

案内レール１５および操作機構（案内スライダ
１６，１７も含む）を、車両に組込む際に始めて
パネルと結合する前組立ユニツトとして供給する
場合は、係止レバー３０は、合目的的に運搬用確
保部材として利用できる。

第５図に示した別の実施例の場合、前部案内ス
ライダ１６は、ピン４３に枢着した結合ロツド４
４を介して昇降装置２２のパネル側端部に結合し
てある。旋回軸受２１に、操作アーム４５の前端
に設けてあり、上記操作アームの後端から、折曲
げたノーズ４６が側方へ突出している。操作アー
ム４５のノーズ４６は、案内レール１５に平行な
前部案内スライダ１６の長穴４７に係合する。操
作アーム４５には、案内レール１５に対して本質
的に垂直な長穴４８が構成してある。前部案内ス
ライダ１６に固定したネジ４９のシヤフトは、長
穴４８から突出している。この構成によつて、ノ
ーズ４６からなる旋回軸のまわりに、ある程度、
操作アーム４５を旋回でき、従つて、パネル１０
の高さを調節できる。ネジ４９に螺着したナツト
５３を締付けることによつて、調節せる高さ位置
にパネル１０を固定できる。パネル１０の高さ調
節を行なつても、案内スライダ１６と結合ロツド
４４との間の枢着個所４３の位置が影響を受ける
ことはない。従つて、結合ロツド４４から側方へ
突出するノーズ５０によつて、パネルの高さ調節
時に操作アーム４５が案内スライダ１６に関して
如何なる方向を取るかに関係なく、係止レバー３
０を作動できる。

案内レールおよび操作機構（案内スライダ１
６，１７を含む）を、後で車両に組込んだ際に始
めてパネルと結合する前組立ユニツトとして構成
した場合は、係止レバー３０は、同時に後部案内
スライダ１７の運搬用確保部材として働く。従つ
て、前後のスライダ１６，１７の独立の運搬用確
保部材は不要である。更に、パネル１０なしで試
験運転を行うことができる。

第６図の別の実施例の場合、パネル１０の両側
には、それぞれ、側板５１が設けてある。側板５
１には、係止レバー３０を作動するノーズ５２が
設けてある。

（効果） 本発明によれば、案内シユーまたは摺動ブロツ
クを使用しなくとも摺動方向へパネルをロツクで
き、摩耗なく作動し、有害な摩耗損失が避けられ
るスライデイング・テイルテイングルーフを提供
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、パネルを上昇した状態のスライデイ
ング・テイルテイングルーフの、第３図の線１−
１に沿う略縦断面図、第２図は、パネルの後縁を
固定ルーフ面の下方に下降した状態のルーフの、
第１図に対応する断面図、第３図は、パネルを固
定ルーフ面の下方に引込んだ状態における右案内
レールおよび関連部分の平面図、第４図は、第３
図の装置の部分拡大図、第５図は、別の実施例
の、第１図に対応する図面、第６図は、更に別の
実施例の部分縦断面図である。 １０……パネル、１１……固定ルーフ面、１２
……ルーフ開口部、１５……案内レール、１６，
１７……案内スライダ、３０……係止レバー、３
６……カム、５０，５２……ノーズ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 剛なパネル１０が、前後の案内スライダ１
   ６，１７を介してルーフ開口部１２に沿つて延び
   る側部案内レール１５に摺動自在に案内してあ
   り、パネル前端に設けた旋回軸受２１を介して摺
   動方向に直角に延びる軸のまわりに旋回自在に軸
   支してあり、後部案内スライダ１７に作用する昇
   降装置２２によつてパネル後縁４０を閉鎖位置か
   ら固定ルーフ面１１に関して選択的に昇降させる
   ことができ、少なくとも１つの案内レール１５に
   は、開口３３が設けてあり、パネル後縁４０が下
   降された場合以外は、旋回自在に軸支してあつ
   て、係止位置の方向へ弾性的に負荷される係止レ
   バー３０が上記開口３３に係合する形式の、車両
   のスライデイング・テイルテイングルーフにおい
   て、 前記係止レバー３０が、前記前部案内スライダ
   １６に上下方向旋回自在に枢着してあり、該係止
   レバー３０の一端部は、前記開口３３に系脱自在
   に係合する下方突出の係止ノーズ３２に形成さ
   れ、同他端部は、下降せるパネル１０側に当接す
   る上方突出の端部３５に形成され、 前記パネル１０と係止レバー３０と案内レール
   １５の三者は、 前記パネル１０の後縁４０が固定ルーフ面１１
   よりも下方に下降するとき、下降するパネル１０
   側により前記係止レバー３０の端部３５が押動さ
   れて、係止ノーズ３２と開口３３の係合が解除さ
   れ、 前記パネル１０の後縁４０が上昇して固定ルー
   フ面１１と同一高さになるとき、上昇するパネル
   １０側により前記係止レバー３０の端部３５の押
   動が解除されて、係止ノーズ３２と開口３３とが
   係合し、且つ、 前記パネル１０が固定ルーフ面１１の下面側を
   移動するとき、前記係止レバー３０と案内レール
   １５とは摺接しない位置関係に配置されているこ
   とを特徴とするスライデイング・テイルテイング
   ルーフ。