JPH05231543A - ピストンリング - Google Patents
ピストンリングInfo
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- JPH05231543A JPH05231543A JP3093192A JP3093192A JPH05231543A JP H05231543 A JPH05231543 A JP H05231543A JP 3093192 A JP3093192 A JP 3093192A JP 3093192 A JP3093192 A JP 3093192A JP H05231543 A JPH05231543 A JP H05231543A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resistance
- plating layer
- piston ring
- hard chrome
- chrome plating
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 特に耐摩耗性および耐スカッフィング性（耐
焼付き性）が向上しているとともに、耐熱性、耐疲労
性、耐食性等の諸特性が優れていて苛酷な使用条件下で
も高い総合性能を発揮し、高温高負荷のエンジンにも好
適に使用可能なピストンリングを提供する。 【構成】 少なくとも外周摺動面に硬質クロムめっき層
２を有するとともにこの硬質クロムめっき層２に窒素
（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３を有するピストン
リングであり、また全周面に硬質クロムめっき層２を有
するとともにこの硬質クロムめっき層２の全面に窒素
（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３を有するピストン
リングである。
焼付き性）が向上しているとともに、耐熱性、耐疲労
性、耐食性等の諸特性が優れていて苛酷な使用条件下で
も高い総合性能を発揮し、高温高負荷のエンジンにも好
適に使用可能なピストンリングを提供する。 【構成】 少なくとも外周摺動面に硬質クロムめっき層
２を有するとともにこの硬質クロムめっき層２に窒素
（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３を有するピストン
リングであり、また全周面に硬質クロムめっき層２を有
するとともにこの硬質クロムめっき層２の全面に窒素
（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３を有するピストン
リングである。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関用ピストンに装
着されるピストンリングに関し、さらに詳しくは耐摩耗
性および耐スカッフィング性（耐焼付き性）のいずれに
も優れていて苛酷な使用条件においても優れた摺動特性
を示すピストンリングに関する。
着されるピストンリングに関し、さらに詳しくは耐摩耗
性および耐スカッフィング性（耐焼付き性）のいずれに
も優れていて苛酷な使用条件においても優れた摺動特性
を示すピストンリングに関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、内燃機関の軽量化、高出力化に伴
い、ピストンリングに要求される性能は高くなる一方で
あり、優れた耐摩耗性、耐スカッフィング性（耐焼付き
性）、耐疲労性等が要求される。
い、ピストンリングに要求される性能は高くなる一方で
あり、優れた耐摩耗性、耐スカッフィング性（耐焼付き
性）、耐疲労性等が要求される。
【０００３】そこで、ピストンリングに要求される主に
耐摩耗性を付与することを目的として例えば鋼材を用い
てなるピストンリング母材には、硬質クロムめっき処
理、溶射処理、窒化処理等の表面処理が施されている。
これら各種の表面処理のなかでも、硬質クロムめっき処
理は工業的に容易に行うことができるとともに、この処
理によって得られる硬質クロムめっき層は優れた耐摩耗
性を有し、特に相手鋳鉄シリンダに対する耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）が高い等の利点を有していること
から、現在、なお主流を占めている。
耐摩耗性を付与することを目的として例えば鋼材を用い
てなるピストンリング母材には、硬質クロムめっき処
理、溶射処理、窒化処理等の表面処理が施されている。
これら各種の表面処理のなかでも、硬質クロムめっき処
理は工業的に容易に行うことができるとともに、この処
理によって得られる硬質クロムめっき層は優れた耐摩耗
性を有し、特に相手鋳鉄シリンダに対する耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）が高い等の利点を有していること
から、現在、なお主流を占めている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内燃機
関の高出力化、高性能化、さらには排気ガス処理対策が
進むに従い、ピストンリングの受ける熱負荷は高くなっ
てきており、従来の硬質クロムめっき層では満足すべき
耐熱性、耐摩耗性、耐スカッフィング性（耐焼付き性）
を得ることが困難になってきた。特にエンジンの高性能
化が著しい昨今の状況下、エンジンの種類によっては、
従来の硬質クロムめっき層では充分に満足のいく結果が
得られないことが明らかになった。
関の高出力化、高性能化、さらには排気ガス処理対策が
進むに従い、ピストンリングの受ける熱負荷は高くなっ
てきており、従来の硬質クロムめっき層では満足すべき
耐熱性、耐摩耗性、耐スカッフィング性（耐焼付き性）
を得ることが困難になってきた。特にエンジンの高性能
化が著しい昨今の状況下、エンジンの種類によっては、
従来の硬質クロムめっき層では充分に満足のいく結果が
得られないことが明らかになった。
【０００５】したがって、硬質クロムめっき層を有する
ピストンリングの性能の向上が望まれていた。本発明は
前記の事情に基づいてなされたものであり、本発明の目
的は、従来の硬質クロムめっき層を有するピストンリン
グが有する欠点を解消し、耐摩耗性および耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）のいずれもが優れていて苛酷な使
用条件下でも高い総合性能を発揮するピストンリングを
提供することにある。
ピストンリングの性能の向上が望まれていた。本発明は
前記の事情に基づいてなされたものであり、本発明の目
的は、従来の硬質クロムめっき層を有するピストンリン
グが有する欠点を解消し、耐摩耗性および耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）のいずれもが優れていて苛酷な使
用条件下でも高い総合性能を発揮するピストンリングを
提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの本発明の構成は、内燃機関用ピストンに装着される
ピストンリングにおいて、少なくとも外周摺動面に硬質
クロムめっき層が形成されているとともに該硬質クロム
めっき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設
けられていることを特徴とするピストンリングであり、
内燃機関用ピストンに装着されるピストンリングにおい
て、全周面に硬質クロムめっき層が形成されているとと
もに該硬質クロムめっき層の全面に窒素（Ｎ）イオンが
注入されてなる皮膜が設けられていることを特徴とする
ピストンリングである。
めの本発明の構成は、内燃機関用ピストンに装着される
ピストンリングにおいて、少なくとも外周摺動面に硬質
クロムめっき層が形成されているとともに該硬質クロム
めっき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設
けられていることを特徴とするピストンリングであり、
内燃機関用ピストンに装着されるピストンリングにおい
て、全周面に硬質クロムめっき層が形成されているとと
もに該硬質クロムめっき層の全面に窒素（Ｎ）イオンが
注入されてなる皮膜が設けられていることを特徴とする
ピストンリングである。
【０００７】
【作用】本発明のピストンリングは、少なくとも外周摺
動面に硬質クロムめっき層が形成され、この硬質クロム
めっき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設
けられているものであり、また、全周面に硬質クロムめ
っき層が形成され、この硬質クロムめっき層の全面に窒
素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設けられている
ものである。ここで、硬質クロムめっき層はそれ自体が
耐摩耗性に優れているとともに比較的高い耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）を有しており、この硬質クロムめ
っき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されて耐摩耗性および
耐スカッフィング性（耐焼付き性）のさらなる向上が図
られている。したがって、このピストンリングにおいて
は、耐久寿命が向上しているとともに初期運転時におけ
る異常摩耗が有効に防止される。
動面に硬質クロムめっき層が形成され、この硬質クロム
めっき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設
けられているものであり、また、全周面に硬質クロムめ
っき層が形成され、この硬質クロムめっき層の全面に窒
素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設けられている
ものである。ここで、硬質クロムめっき層はそれ自体が
耐摩耗性に優れているとともに比較的高い耐スカッフィ
ング性（耐焼付き性）を有しており、この硬質クロムめ
っき層に窒素（Ｎ）イオンが注入されて耐摩耗性および
耐スカッフィング性（耐焼付き性）のさらなる向上が図
られている。したがって、このピストンリングにおいて
は、耐久寿命が向上しているとともに初期運転時におけ
る異常摩耗が有効に防止される。
【０００８】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。図１は本発明の一実施例であるピストンリン
グの部分断面図である。
説明する。図１は本発明の一実施例であるピストンリン
グの部分断面図である。
【０００９】図１に示すように、このピストンリングは
少なくとも外周摺動面において、母材１上に設けた硬質
クロムめっき層２上に窒素（Ｎ）イオンが注入されてな
る皮膜３を有している。
少なくとも外周摺動面において、母材１上に設けた硬質
クロムめっき層２上に窒素（Ｎ）イオンが注入されてな
る皮膜３を有している。
【００１０】母材１は、たとえば鋼材を好適に用いて形
成される。この鋼材は良好な耐摩耗特性を示す窒化層２
を得るのに適するものを使用することが望ましい。この
ような鋼材としては、たとえば炭素０．１６〜１．３０
重量％、およびクロム１２〜１９重量％を含有する鋼材
あるいはこれにモリブデンおよび／またはバナジウムを
含有させた鋼材などが挙げられる。そして、この母材１
の全周面または外周摺動面以外の三面（燃焼室側周面、
クランクケース側周面およびピストン装着面）には窒化
層（図示せず）が形成されていてもよい。このような窒
化層が形成されていると、耐摩耗性、耐スカッフィング
性（耐焼付き性）、耐熱性等の特性がさらに向上する。
なお、この窒化層は例えばガス窒化法を好適に採用して
形成することができる。
成される。この鋼材は良好な耐摩耗特性を示す窒化層２
を得るのに適するものを使用することが望ましい。この
ような鋼材としては、たとえば炭素０．１６〜１．３０
重量％、およびクロム１２〜１９重量％を含有する鋼材
あるいはこれにモリブデンおよび／またはバナジウムを
含有させた鋼材などが挙げられる。そして、この母材１
の全周面または外周摺動面以外の三面（燃焼室側周面、
クランクケース側周面およびピストン装着面）には窒化
層（図示せず）が形成されていてもよい。このような窒
化層が形成されていると、耐摩耗性、耐スカッフィング
性（耐焼付き性）、耐熱性等の特性がさらに向上する。
なお、この窒化層は例えばガス窒化法を好適に採用して
形成することができる。
【００１１】この母材１における少なくとも外周摺動面
には硬質クロムめっき層２が設けられている。硬質クロ
ムめっき層２は母材１の表面を硬質クロムめっき処理し
て形成された層であり、硬質クロムめっき処理の方法と
しては、たとえば電気めっき法、溶融めっき法、化学め
っき法等のいわゆる湿式めっき法のみならずイオンプレ
ーティング法、真空蒸着法、スパッタ法等の気相めっき
法等の種々の方法が挙げられる。たとえば電気めっき法
を採用して母材１の表面に硬質クロムめっき層２を形成
するには、電流密度２．０〜７．０ｋＡ・ｍ-2程度、浴
温４５〜７０℃程度のいわゆるサージェント浴（浴組
成；ＣｒＯ3 ２５０ｋｇ・ｍ-3，Ｈ2 ＳＯ4 ２．５ｋｇ
・ｍ-3）中に母材１を入れればよい。
には硬質クロムめっき層２が設けられている。硬質クロ
ムめっき層２は母材１の表面を硬質クロムめっき処理し
て形成された層であり、硬質クロムめっき処理の方法と
しては、たとえば電気めっき法、溶融めっき法、化学め
っき法等のいわゆる湿式めっき法のみならずイオンプレ
ーティング法、真空蒸着法、スパッタ法等の気相めっき
法等の種々の方法が挙げられる。たとえば電気めっき法
を採用して母材１の表面に硬質クロムめっき層２を形成
するには、電流密度２．０〜７．０ｋＡ・ｍ-2程度、浴
温４５〜７０℃程度のいわゆるサージェント浴（浴組
成；ＣｒＯ3 ２５０ｋｇ・ｍ-3，Ｈ2 ＳＯ4 ２．５ｋｇ
・ｍ-3）中に母材１を入れればよい。
【００１２】たとえば上記のようにして形成される硬質
クロムめっき層２の厚さは、通常、３０〜３００μｍ程
度であり、好ましくは７０〜２００μｍ程度である。硬
質クロムめっき層２の厚さが３０μｍ未満であると、耐
摩耗性が充分ではないことがある。一方、３００μｍよ
り厚くすると、疲労強度の低下を招くことがあり、また
製造コストの上昇を招く。
クロムめっき層２の厚さは、通常、３０〜３００μｍ程
度であり、好ましくは７０〜２００μｍ程度である。硬
質クロムめっき層２の厚さが３０μｍ未満であると、耐
摩耗性が充分ではないことがある。一方、３００μｍよ
り厚くすると、疲労強度の低下を招くことがあり、また
製造コストの上昇を招く。
【００１３】硬質クロムめっき層２には窒素（Ｎ）イオ
ンが注入されてなる皮膜３が設けられている。窒素
（Ｎ）イオンの注入量は、通常、１×１０16ｉｏｎ／ｃ
ｍ2 以上、好ましくは４×１０17ｉｏｎ／ｃｍ2 以上で
ある。この注入量が１×１０16ｉｏｎ／ｃｍ2 よりも少
ないと、耐摩耗性および耐スカッフィング（耐焼付き
性）性の向上が充分ではないことがある。
ンが注入されてなる皮膜３が設けられている。窒素
（Ｎ）イオンの注入量は、通常、１×１０16ｉｏｎ／ｃ
ｍ2 以上、好ましくは４×１０17ｉｏｎ／ｃｍ2 以上で
ある。この注入量が１×１０16ｉｏｎ／ｃｍ2 よりも少
ないと、耐摩耗性および耐スカッフィング（耐焼付き
性）性の向上が充分ではないことがある。
【００１４】ここで、窒素（Ｎ）イオンの注入には、イ
オン注入装置を使用することができる。硬質クロムめっ
き層２に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３の厚
さ、すなわち窒素（Ｎ）イオンの注入深さは、通常、５
００Å以上、好ましくは１０００Å以上である。この厚
さが５００Å未満であると、耐摩耗性および耐スカッフ
ィング性（耐焼付き性）の向上が充分ではないことがあ
る。
オン注入装置を使用することができる。硬質クロムめっ
き層２に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜３の厚
さ、すなわち窒素（Ｎ）イオンの注入深さは、通常、５
００Å以上、好ましくは１０００Å以上である。この厚
さが５００Å未満であると、耐摩耗性および耐スカッフ
ィング性（耐焼付き性）の向上が充分ではないことがあ
る。
【００１５】なお、皮膜３は少なくとも外周摺動面に形
成されていればよいが、図２に示すように、母材１の全
周面に形成された硬質クロムめっき層２の全面に窒素
（Ｎ）イオンが注入されて皮膜３が形成されていてもよ
いし、あるいは図３に示すように、ピストンリングにお
ける燃焼室側周面、クランクケース側周面およびピスト
ン装着面の三面に形成された硬質クロムめっき層２に窒
素（Ｎ）イオンが注入されて皮膜３が形成されていても
よい。図２または図３に示すような構成のピストンリン
グでは特に上下面の耐摩耗性が著しく向上したものとな
る。
成されていればよいが、図２に示すように、母材１の全
周面に形成された硬質クロムめっき層２の全面に窒素
（Ｎ）イオンが注入されて皮膜３が形成されていてもよ
いし、あるいは図３に示すように、ピストンリングにお
ける燃焼室側周面、クランクケース側周面およびピスト
ン装着面の三面に形成された硬質クロムめっき層２に窒
素（Ｎ）イオンが注入されて皮膜３が形成されていても
よい。図２または図３に示すような構成のピストンリン
グでは特に上下面の耐摩耗性が著しく向上したものとな
る。
【００１６】次に実験例を示し、本発明についてさらに
具体的に説明する。実験例 合金鋼ＳＵＳ４４０Ｂ相当材（Ｃ；０．８０〜０．９５
％、Ｓｉ；０．３５〜０．５０％、Ｍｎ；０．２５〜
０．４０％、Ｐ；０．０４％以下、Ｓ；０．０４％以
下、Ｃｒ；１７．０〜１８．５％、Ｍｏ；１．０〜１．
２５％、Ｖ；０．０８〜０．１５％）からなり、表面粗
さを１μｍ以下に仕上げたピストンリング母材１の摺動
面に電気めっき法により形成された厚さ１００μｍの硬
質クロムめっき層２を有し、この硬質クロムめっき層２
上に窒素（Ｎ）イオンが注入量１×１０18ｉｏｎ／ｃｍ
2 の割合で注入されてなる皮膜３を有する実施品、合金
鋼ＳＵＳ４４０Ｂ相当材（Ｃ；０．８０〜０．９５％、
Ｓｉ；０．３５〜０．５０％、Ｍｎ；０．２５〜０．４
０％、Ｐ；０．０４％以下、Ｓ；０．０４％以下、Ｃ
ｒ；１７．０〜１８．５％、Ｍｏ；１．０〜１．２５
％、Ｖ；０．０８〜０．１５％）からなり、表面粗さを
１μｍ以下に仕上げたピストンリング母材１の摺動面に
電気めっき法により形成された厚さ１００μｍの硬質ク
ロムめっき層２を有する比較品のそれぞれの試料を作製
した。
具体的に説明する。実験例 合金鋼ＳＵＳ４４０Ｂ相当材（Ｃ；０．８０〜０．９５
％、Ｓｉ；０．３５〜０．５０％、Ｍｎ；０．２５〜
０．４０％、Ｐ；０．０４％以下、Ｓ；０．０４％以
下、Ｃｒ；１７．０〜１８．５％、Ｍｏ；１．０〜１．
２５％、Ｖ；０．０８〜０．１５％）からなり、表面粗
さを１μｍ以下に仕上げたピストンリング母材１の摺動
面に電気めっき法により形成された厚さ１００μｍの硬
質クロムめっき層２を有し、この硬質クロムめっき層２
上に窒素（Ｎ）イオンが注入量１×１０18ｉｏｎ／ｃｍ
2 の割合で注入されてなる皮膜３を有する実施品、合金
鋼ＳＵＳ４４０Ｂ相当材（Ｃ；０．８０〜０．９５％、
Ｓｉ；０．３５〜０．５０％、Ｍｎ；０．２５〜０．４
０％、Ｐ；０．０４％以下、Ｓ；０．０４％以下、Ｃ
ｒ；１７．０〜１８．５％、Ｍｏ；１．０〜１．２５
％、Ｖ；０．０８〜０．１５％）からなり、表面粗さを
１μｍ以下に仕上げたピストンリング母材１の摺動面に
電気めっき法により形成された厚さ１００μｍの硬質ク
ロムめっき層２を有する比較品のそれぞれの試料を作製
した。
【００１７】ここで、イオン注入は図４に示すイオン注
入装置を使用して次のようにして行った。先ず、イオン
注入室１１に外部の真空排気系１２を圧力調節弁１３を
介して接続し、この真空排気系１２によりイオン注入室
１１内の真空度を１．６×１０-6Ｔｏｒｒにした。次
に、試料１４を水冷方式試料ホルダー１５に保持した。
イオンビーム源１６で窒素（Ｎ）イオンを発生させ、該
イオンを加速器で加速電圧７０ｋｅｖの高エネルギーに
加速し、加速されたイオンビームを図４に示した矢印１
７の方向で試料１４に注入し、硬質クロムめっき試料中
に窒素（Ｎ）イオンを注入した。注入時間は４時間３６
分で、そのときの窒素（Ｎ）イオン注入量は１×１０18
ｉｏｎ／ｃｍ2 であった。なお、硬質クロムめっき層は
２００℃以上の温度で硬さが低下するので、水冷ホルダ
ー１５を使用して基板温度（試料温度）を１５０℃に保
持した。
入装置を使用して次のようにして行った。先ず、イオン
注入室１１に外部の真空排気系１２を圧力調節弁１３を
介して接続し、この真空排気系１２によりイオン注入室
１１内の真空度を１．６×１０-6Ｔｏｒｒにした。次
に、試料１４を水冷方式試料ホルダー１５に保持した。
イオンビーム源１６で窒素（Ｎ）イオンを発生させ、該
イオンを加速器で加速電圧７０ｋｅｖの高エネルギーに
加速し、加速されたイオンビームを図４に示した矢印１
７の方向で試料１４に注入し、硬質クロムめっき試料中
に窒素（Ｎ）イオンを注入した。注入時間は４時間３６
分で、そのときの窒素（Ｎ）イオン注入量は１×１０18
ｉｏｎ／ｃｍ2 であった。なお、硬質クロムめっき層は
２００℃以上の温度で硬さが低下するので、水冷ホルダ
ー１５を使用して基板温度（試料温度）を１５０℃に保
持した。
【００１８】このようにして得られた実施品と比較品と
のそれぞれについて耐摩耗性、耐スカッフィング性の評
価を行った。 〔摩耗試験〕実施品よび比較品の耐摩耗性を次のように
して評価した。すなわち、試験はアムスラー型摩耗試験
機を使用し、回転片のほぼ半分を油に浸漬し、固定片と
接触させて荷重をかける方法によって行なった。なお、
試験片（８ｍｍ×７ｍｍ×５ｍｍ）を固定片とし、相手
材（回転片）にはドーナッツ状（外径４０ｍｍ，内径１
６ｍｍ，厚さ１０ｍｍ）のものを用いた。また、形成さ
れたイオン注入皮膜がドーナッツ状試験片に接触するよ
うにセットした。
のそれぞれについて耐摩耗性、耐スカッフィング性の評
価を行った。 〔摩耗試験〕実施品よび比較品の耐摩耗性を次のように
して評価した。すなわち、試験はアムスラー型摩耗試験
機を使用し、回転片のほぼ半分を油に浸漬し、固定片と
接触させて荷重をかける方法によって行なった。なお、
試験片（８ｍｍ×７ｍｍ×５ｍｍ）を固定片とし、相手
材（回転片）にはドーナッツ状（外径４０ｍｍ，内径１
６ｍｍ，厚さ１０ｍｍ）のものを用いた。また、形成さ
れたイオン注入皮膜がドーナッツ状試験片に接触するよ
うにセットした。
【００１９】試験条件は次の通りである。 相手材：ＦＣ２５（ＨＲＢ９８） 潤滑油：ＳＡＥ＃３０＋白灯油 油温：７５℃ 周速：１ｍ／sec （４７８ｒｐｍ） 荷重：８０ｋｇ 時間：７時間 摩耗量測定：粗さ計による段差プロフィールにて摩耗量
（μｍ）を測定した。
（μｍ）を測定した。
【００２０】試験結果を図５に示す。図５から明らかな
ように、実施品は比較品に比べて約２倍の耐摩耗性を具
備し、また相手材の摩耗が少ないことが確認された。 〔耐スカッフィング性〕実施品と比較品とのそれぞれに
ついて、下記のようにして耐スカッフィング性（耐焼付
き性）を評価した。
ように、実施品は比較品に比べて約２倍の耐摩耗性を具
備し、また相手材の摩耗が少ないことが確認された。 〔耐スカッフィング性〕実施品と比較品とのそれぞれに
ついて、下記のようにして耐スカッフィング性（耐焼付
き性）を評価した。
【００２１】すなわち、試験はアムスラー型摩耗試験機
を使用し、試験片にスピンドル油を付着させて２分間自
重（約１０ｋｇ）にて運転した。このとき、潤滑油は供
給しなかった。面圧の初期値を３０ｋｇ／ｃｍ2 に設定
し、２分間ずつ保持しながら面圧を１０ｋｇ／ｃｍ2 ず
つ増加させてスカッフが発生したときの面圧をスカッフ
発生限界面圧とした。試験条件は次の通りである。
を使用し、試験片にスピンドル油を付着させて２分間自
重（約１０ｋｇ）にて運転した。このとき、潤滑油は供
給しなかった。面圧の初期値を３０ｋｇ／ｃｍ2 に設定
し、２分間ずつ保持しながら面圧を１０ｋｇ／ｃｍ2 ず
つ増加させてスカッフが発生したときの面圧をスカッフ
発生限界面圧とした。試験条件は次の通りである。
【００２２】相手材：ＦＣ２５（ＨＲＢ９８） 周速：１ｍ／sec （４７８ｒｐｍ） 試験結果は図６に示す通りである。
【００２３】図６から明らかなように、実施品の耐スカ
ッフィング性（耐焼付き性）は比較品の耐スカッフィン
グ性（耐焼付き性）よりも大巾に向上していることが確
認された。
ッフィング性（耐焼付き性）は比較品の耐スカッフィン
グ性（耐焼付き性）よりも大巾に向上していることが確
認された。
【００２４】
【発明の効果】本発明によれば、硬質クロムめっき層に
窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が少なくとも外
周摺動面に設けられているので、耐摩耗性および耐スカ
ッフィング性（耐焼付き性）が大巾に向上しており、し
かも耐熱性、耐疲労性、耐食性等の諸特性にも優れてい
て例えば高温高負荷のエンジンのように苛酷な使用条件
下でも高い総合性能を発揮するピストンリングを提供す
ることができる。
窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が少なくとも外
周摺動面に設けられているので、耐摩耗性および耐スカ
ッフィング性（耐焼付き性）が大巾に向上しており、し
かも耐熱性、耐疲労性、耐食性等の諸特性にも優れてい
て例えば高温高負荷のエンジンのように苛酷な使用条件
下でも高い総合性能を発揮するピストンリングを提供す
ることができる。
【図１】本発明のピストンリングの一例を示す断面説明
図である。
図である。
【図２】本発明のピストンリングの他の一例を示す断面
説明図である。
説明図である。
【図３】本発明のピストンリングのさらに他の一例を示
す断面説明図である。
す断面説明図である。
【図４】本発明のピストンリングを製造するに際して好
適に使用することのできるイオン注入装置の構成の概略
を示す説明図である。
適に使用することのできるイオン注入装置の構成の概略
を示す説明図である。
【図５】本発明のピストンリング（実施品）および従来
品（比較品）のそれぞれについての耐摩耗性試験の試験
結果を示すグラフである。
品（比較品）のそれぞれについての耐摩耗性試験の試験
結果を示すグラフである。
【図６】本発明のピストンリング（実施品）および従来
品（比較品）のそれぞれについての耐スカッフィング性
（耐焼付き性）試験の試験結果を示すグラフである。
品（比較品）のそれぞれについての耐スカッフィング性
（耐焼付き性）試験の試験結果を示すグラフである。
１…母材 ２…窒化層 ３…皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ２３Ｃ 30/00 Ａ Ｃ２５Ｄ 5/26 Ｄ Ｆ０２Ｆ 5/00 Ｆ 8503−3Ｇ (72)発明者 新 啓一郎 埼玉県与野市本町西５丁目２番６号 日本 ピストンリング株式会社与野工場内 (72)発明者 小野田 元伸 埼玉県与野市本町西５丁目２番６号 日本 ピストンリング株式会社与野工場内
Claims (2)
- 【請求項１】 内燃機関用ピストンに装着されるピスト
ンリングにおいて、少なくとも外周摺動面に硬質クロム
めっき層が形成されているとともに該硬質クロムめっき
層に窒素（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設けられ
ていることを特徴とするピストンリング。 - 【請求項２】 内燃機関用ピストンに装着されるピスト
ンリングにおいて、全周面に硬質クロムめっき層が形成
されているとともに該硬質クロムめっき層の全面に窒素
（Ｎ）イオンが注入されてなる皮膜が設けられているこ
とを特徴とするピストンリング。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3093192A JPH05231543A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3093192A JPH05231543A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | ピストンリング |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05231543A true JPH05231543A (ja) | 1993-09-07 |
Family
ID=12317428
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3093192A Pending JPH05231543A (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | ピストンリング |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05231543A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0860495A (ja) * | 1994-08-24 | 1996-03-05 | Lindauer Dornier Gmbh | おさシートバーの耐用年数の増大方法 |
| GB2303640A (en) * | 1995-07-25 | 1997-02-26 | Riken Kk | Sliding member with film containing chromium and chromium nitride |
| KR20040033825A (ko) * | 2002-10-16 | 2004-04-28 | 현대자동차주식회사 | 엔진용 피스톤 링 코팅방법 |
-
1992
- 1992-02-18 JP JP3093192A patent/JPH05231543A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0860495A (ja) * | 1994-08-24 | 1996-03-05 | Lindauer Dornier Gmbh | おさシートバーの耐用年数の増大方法 |
| GB2303640A (en) * | 1995-07-25 | 1997-02-26 | Riken Kk | Sliding member with film containing chromium and chromium nitride |
| KR20040033825A (ko) * | 2002-10-16 | 2004-04-28 | 현대자동차주식회사 | 엔진용 피스톤 링 코팅방법 |
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