JP2681863B2 - ディーゼルエンジン用のシリンダライナとピストンリングの組合せ - Google Patents

ディーゼルエンジン用のシリンダライナとピストンリングの組合せ

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JP2681863B2
JP2681863B2 JP5103764A JP10376493A JP2681863B2 JP 2681863 B2 JP2681863 B2 JP 2681863B2 JP 5103764 A JP5103764 A JP 5103764A JP 10376493 A JP10376493 A JP 10376493A JP 2681863 B2 JP2681863 B2 JP 2681863B2
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cylinder liner
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディーゼルエンジン
の耐久性を向上させるに有効なシリンダライナとピスト
ンリングの組合せに関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の最近の技術動向は、高出力化
とともに耐久性の飛躍的向上が課題としてクローズアッ
プされており、これらの技術要求を満たすべく開発努力
が続けられている。内燃機関の性能、とりわけ耐久寿命
の向上を図る上で、内燃機関の機能部品であるシリンダ
ライナとピストンリングの耐久性改善が不可欠であり、
従来から種々の提案がなされている。ピストンリングは
エンジンのシリンダライナ内に往復自在に配置されたピ
ストンのリング溝にその外周面がシリンダライナ内周面
に摺接関係となるように組み込まれ、シリンダライナ内
周面との間での過酷な摺動条件のもとで使用されるもの
であり、従って、ピストンリングの耐摩耗特性を向上さ
せることが必要不可欠であるが、エンジンの耐久寿命を
向上させる上では、同時にシリンダライナ内周摺動面の
耐摩耗特性を向上させる必要がある。しかしながら、部
材の耐摩耗特性等の摺動特性は、摺動相手部材の摺動面
構造に左右されるものであり、単に、一方の部材の耐摩
耗性が優れても相手摺動部材の摺動面構造によっては期
待する耐摩耗特性が得られず、また、双方部材を単独に
評価する場合、それぞれが耐摩耗特性に優れたものであ
っても、これを摺動対として組合せて使用する場合、必
ずしも期待される特性が得られるものではないので、摺
動部材の開発に際しては対接摺動する両部材の相性の選
択が大きな開発課題とされている。従来、ピストンリン
グの耐摩耗特性を改善するための表面処理として、ピス
トンリングの外周摺動面にクロムめっき処理を施すこ
と、窒化処理を施すこと、あるいはモリブデンやセラミ
ック等の溶射処理を施すこと、等が提案されて実施され
ている。また、シリンダライナ内周摺動面の耐摩耗特性
を改善する手段としても、クロムめっき処理、耐摩耗材
の溶射処理、あるいはレーザー焼入れ処理等が提案され
実施されている。
【0003】特に、ディーゼルエンジンにおいては、過
酷な使用条件に耐え得、且つ長寿命化を狙いとしてレー
ザー焼入れ処理により内周摺動面に焼入れ硬化部分を斑
点状に形成したシリンダと、外層摺動面に耐摩耗性溶射
層を形成したピストンリングとの組合せが使用されてお
り、良好な結果が得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記する通りで、内燃
機関の耐久性の向上策としてピストンリングおよびシリ
ンダライナの耐摩耗表面処理が種々提案されているが、
近年、特にディーゼルエンジンの耐久性を更に向上させ
る要求が高まっており、更なる改善が望まれている。従
って、本発明の目的は、ディーゼルエンジンの耐久性を
更に改善することを可能にする摺動面対構成をなすシリ
ンダライナとピストンリングとの組合せを提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段とその作用】上記課題に鑑
み、本発明者は、内周摺動面にレーザ焼入れ法により硬
化された焼入硬化部分を点在させて有するシリンダライ
ナと、外周摺動面に該摺動面にほぼ垂直に形成された柱
状晶組織でなる窒化クロム層を形成したピストンリング
とを組合せて使用することで、該シリンダライナの優れ
た耐摩耗特性と該ピストンリングの優れた耐摩耗耐久性
とが損なわれることなく共に発現される相性の良好な摺
層面対構成のピストンリングとシリンダライナの組合せ
を見出し本発明を完成した。
【0006】本発明において、シリンダライナにはその
内周摺動面にレーザー焼入れ処理により斑点状に焼入れ
硬化部分が分散して形成されている。ここで、斑点状を
なす各焼入れ硬化部分はシリンダライナの周方向に約1
5mm幅、縦方向に約4mm幅をもって、また、周方向に約
15mm、縦方向に約2mmの間隔をもって斑点状に形成さ
れており、基地硬さHB180〜269の内周面に硬さ
Hv490〜750をもって分散している。なお、この
焼入れ処理地域は少なくとも圧力ピストンリングの摺動
域にわたっている。一方、ピストンリングは、シリンダ
ライナ内周摺動面に対接摺動するリング外周面側に好ま
しくはイオンプレーティング法により窒化クロム層が形
成される。ここで、窒化クロム層は柱状晶組織をなし、
該窒化クロム層内にはその柱状晶組織に沿ってほぼ垂直
方向に形成された空孔が散在する構造をなし、その空孔
の存在により窒化クロム層の密度は真密度の80〜98.
5%(空孔率1.5〜20 vol%)とされている。窒化ク
ロム層の柱状晶組織の柱状結晶をその(111)面がリ
ング表面にほぼ平行になるように配向させて形成する場
合に良好な効果が得られ、その結晶配向の効果は特に C
rNを組成とする窒化クロム層において顕著である。窒化
クロム層の厚さは、1〜80μm の範囲とする。窒化ク
ロム層の厚さは、少なくとも初期馴染み運転期間におい
て消失するのを避けるため1μm 以上を必要とする。ま
た、該窒化クロム層の厚さを過度に厚くすることは製造
コストの上昇を伴うとともに窒化クロム層に剥離が発生
する危険性がある。それ故、本発明においては窒化クロ
ム層の厚さを80μm 以下とする。窒化クロム層の特に
好ましい厚さは10〜60μm である。
【0007】本発明において、シリンダライナーは従来
のレーザー焼入れ法により製作される。即ち、シリンダ
ライナの内周面をレーザービームにより局部的に照射加
熱し且つ冷却することで該シリンダライナ内周面に局部
的な焼入硬化部分を形成させ、該硬化部分を斑点状に分
布させる方法が採用される。
【0008】また、本発明のピストンリング外周面の窒
化クロム層の形成は、イオンプレーティング法によるこ
とが望ましい。イオンプレーティング法はPVD法(物
理蒸着法)の一種であるが、このうちでも、特に、クロ
ムの蒸気を窒素と反応させて窒化クロムとしてピストン
リング外周面に形成させることができる反応性イオンプ
レーティング法を採用することが望ましい。クロム蒸気
は、電子ビーム等の高エネルギービームをクロムターゲ
ットに照射してクロムを蒸発させることで得られる。ク
ロムは窒化物を形成し易い元素であり、クロムの蒸気に
窒素ガスを混合した気相中でプラズマを発生させると、
クロムはイオン化し、それぞれ窒素イオンと結合し窒化
クロムを形成する。ここで、窒化クロムは窒素ガス供給
量の多少により、多い場合には CrNとして、また、窒素
ガス供給量が少ない場合には Cr2N として形成される。
なお、窒素ガスが更に少ない場合には未反応の Cr とし
ても形成される。
【0009】窒化クロム層はピストンリング外周面に以
下の方法で形成させる。ピストンリング母材を洗浄し、
充分に清浄化してイオンプレーティング装置の真空チャ
ンバー内の所定位置に保持し後、チャンバー内圧力が1.
3×10-3〜5×10-3 Pa に達するまで真空引きをお
こなう。ついでイオンプレーティング装置に内蔵されて
いるヒータにより加熱してピストンリング母材の内在ガ
スを放出させる。加熱温度は300〜500℃とするの
が好ましい。その後、100〜400℃まで冷却する。
チャンバー内圧が4.0×10-3 Pa 以下になった時点で
クロムからなるターゲットを陰極として、その表面にア
ーク放電を発生させてクロムイオンを放出させる。その
際、ピストンリング母材にはバイアス電圧を印加してお
き、陰極から放出されるクロムイオンを基材表面に高エ
ネルギーで衝突させる方法、いわゆるボンバードクリー
ニング法により基材表面の酸化物の除去と活性化処理を
おこなう。このときのバイアス電圧は−700〜−90
0Vの範囲とするのが好ましい。その後バイアス電圧を
低下させクロムイオンをピストンリング外周面に堆積さ
れ該外周面に Cr の薄層を形成させ、しかる後にチャン
バー内に窒素ガスを導入する。1.3×10-1〜13.3 P
a の範囲の窒素分圧とし、0〜−100Vの範囲のバイ
アス電圧を採用することで、ピストンリング外周面に窒
化クロム層からなるイオンプレーティング皮膜を形成さ
せる。又操作圧を選択することにより所定の空孔率を有
する窒化クロム皮膜をえることができる。被覆形成の
後、チャンバー内で200℃以下になるまで冷却してか
ら、ピストンリングを取り出す。
【0010】
【作用】本発明においては、シリンダライナはその内周
摺動面にレーザー焼入れ硬化処理により局部的に硬化さ
れた硬質部分を基地表面中に点在させている。この種の
シリンダライナは、使用中、ピストンリングとの摺動に
際して比較的軟質な基地表面部の摩耗が硬質部分より早
期に進行する。従って、シリンダライナの内周摺動面
は、耐摩耗性の良好な硬質部分により形成される僅かな
凸部と、該基地表面部の摩耗により形成される僅かな凹
部とが密に分布する表面構造となり、該硬質部分の存在
により良好な耐摩耗特性が確保されるとともに僅かな凹
部の存在により摺動面への潤滑油の分布が良好に得られ
るので、良好な耐久性と摺動特性を示す。従って、この
種のシリンダライナは、特に過酷な運転条件の下で使用
されるディーゼルエンジン用シリンダライナとして好適
なものである。しかしながら、反面、摺動相手であるピ
ストンリングにとっては、軟質部分と硬質部分とが分布
していて一様でない表面構造をなす摺動面を相手摺動面
として使用されることは極めて過酷な使用条件となる。
従来、ピストンリングに耐摩耗特性を付与するためにピ
ストンリングの摺動面に表面処理層を形成する手段が採
られているが、耐摩耗を目的とする表面処理層は高硬度
なものとなり、脆弱なものである。ピストンリングは、
リングの合い口部を閉じて縮径されることで外張力が付
与され、リング外周摺動面をシリンダライナの内周摺動
面に圧接させて使用される。従って、使用状態のピスト
ンリングは、その外周面側には周方向に引っ張り応力
が、また、内周側には圧縮応力が生じた状態にあり、こ
の応力が生じた状態でシリンダライナの内周摺動面を摺
動することになる。高硬度で脆弱な表面処理層を摺動面
に形成したピストンリングは、それ自体の耐摩耗特性は
良好であるとしても、前記するシリンダライナ内周面の
ような硬質部分と軟質部分とが分布していて一様でない
摺動面構造を有する摺動面を摺動相手として、且つ、デ
ィーゼルエンジン用として過酷な使用条件の下で使用さ
れる場合には、表面処理層の脆弱性に起因して、使用中
に表面処理層に剥離・脱落が発生してしまい実用に供し
得るものではない。また、ピストンリングの硬質表面処
理層の剥離・脱落は、ピストンリングの寿命および機能
を損なうばかりでなく、該脱落片が潤滑油に混入して機
関を循環する過程で他の摺動部品に異常摩耗を招来する
危険性がある。
【0011】本発明においては、内周摺動面にレーザ焼
入れ法により硬化された焼入硬化部分を点在させて有す
るディーゼルエンジン用シリンダライナの該内周面を相
手摺動面として使用するピストンリングとして、その外
周摺動面に該摺動面にほぼ垂直方向に成長した微細な柱
状晶組織でなる窒化クロム層を形成させたピストンリン
グを採用する。ピストンリングの外周面表面処理層を上
記の如く形成する場合には、ピストンリングの外周に位
置する表面層に作用する周方向の引っ張り応力により発
生するクラックは、周方向に向けて生じることがなく柱
状組織に沿って縦方向に微細に分散して発生し易くな
り、したがって、これにより表面層内の応力が一様に緩
和され、従来提案されている窒化クロム層に見られる層
内剥離、脱落の発生が効果的に防止される。したがっ
て、前記するディーゼルエンジン用シリンダライナと組
合わせての過酷な使用条件の下での使用に際しても、窒
化クロム層に剥離・脱落が発生することなく、窒化クロ
ム層の材質特性である良好な耐摩耗特性をピストンリン
グの耐摩耗性および耐久性の向上に活用することを可能
としている。また、本発明のピストンリングの表面処理
層には、微細な柱状晶組織でなる窒化クロム層に微細な
空孔が柱状晶組織に沿って微細に分散して形成されてい
るが、この微細に分散する空孔は、クラックの発生を分
散させる作用をなしクラックの微細分散を助長させるの
で、表面処理層の応力の緩和を一層均一化し表面層の剥
離、脱落の防止効果を更に高めている。また、本発明の
ピストンリングの表面処理層は、微細な柱状晶組織でな
る窒化クロム層とピストンリング母材との間に、下地層
として金属クロムでなる薄層が形成されていることも有
効である。この金属クロムでなる薄層の存在は、窒化ク
ロム層のピストンリング母材への結合強度を高めるとと
もに、特にディーゼルエンジンに使用する場合における
腐食性環境下での使用に際して窒化クロム層の微細空孔
やマイクロクラックを通して侵入する腐食性流体に対し
て耐食性を示し、腐食に起因する窒化クロム層の剥離・
脱落を防止する上で有効に作用する。
【0012】
【実施例】図1は本発明に使用されるシリンダライナ1
を示す断面図である。シリンダライナ1の内周面には、
局部的なレーザー焼入れ処理により形成された多数個の
硬化処理部分が分布している表面処理域2が形成されて
いる。図2にシリンダライナ1の内周面の表面処理域2
の一部を拡大して示す。硬化処理部分3は周方向に5〜
30mmの幅W、縦方向に2〜8mmの幅Hをもって、ま
た、隣接する硬化処理部分の周方向間幅wを5〜40m
m、縦方向間隔hを1〜8mmとして基地面に分散して形
成されている。ここで、硬化処理部分3の硬さはHv4
90〜750、基地面4(未処理部分)の硬さはHB1
80〜269としている。図3は本発明に使用されるピ
ストンリング5を示すもので、ピストンリングはその外
周面に形成された窒化クロム層6を有している。図4は
ピストンリング外周面に形成された窒化クロム層5の組
織を示す顕微鏡写真である。
【0013】実施例1 本実施例では、本発明で使用されるピストンリングとし
て、呼び径×幅×厚さがφ95mm×2.5mm×3.4mm、材
質がSUS440材のピストンリングの外周面に陰極ア
ークプラズマ式イオンプレーティング装置を使用して窒
化クロム層を形成した。まず、ピストンリング母材をフ
ロン洗浄し、イオンプレーティング装置の真空チャンバ
ー内に保持した後、チャンバー内圧力が1.3×10-3 P
a になるまで真空引きし、イオンプレーティング装置に
内蔵されているヒータに通電してピストンリングを30
0〜500℃に加熱することでピストンリング母材の内
在ガスを放出させ、しかる後、20℃まで冷却した。つ
いで、チャンバー内圧力が4.0×10-3 Pa 以下になっ
た時点で、ピストンリングに−700〜−900Vのバ
イアス電圧印加した状態で、クロムターゲット面にアー
ク放電を発生させてクロムイオンを飛び出させ、ピスト
ンリング表面のボンバードクリーニングをした後、チャ
ンバー内に窒素ガスを導入し窒素分圧を1.3×10-1
13.3 Pa 程度にして、バイヤス電圧を0〜−100V
印加してピストンリング外周摺動面にイオンプレーティ
ング皮膜を形成した。皮膜成形後、真空チャンバー内で
200℃以下にまで冷却してからピストンリングをチャ
ンバーから取り出した。
【0014】上記の方法で、ピストンリング外周表面に
皮膜の破断面が母材表面から皮膜表面に向かって柱状の
形態をなす柱状晶組織であり、且つ、その柱状組織に沿
った空孔を体積比率で3〜5%内蔵する CrN組成でなる
厚さ40μm の皮膜層を形成した。(リング試料−1) なお、該柱状晶は外周摺動面に向けて(111)方位配
向した結晶よりなるものであり、このことはX線回折の
結果確認された。また、得られた CrN組成でなる皮膜
は、表面側から測定したときの硬さはHv600〜10
00で、断面側から測定したときの硬さはHv1000
〜1200であり、硬度に方向性を示すものであった。
【0015】実施例1と同様な方法で、ピストンリング
外周表面に皮膜の破断面が母材表面から皮膜表面に向か
って柱状の形態をなす柱状晶組織であり、且つ、その柱
状組織に沿った空孔を体積比率で8〜10%内蔵する C
rNと Cr2N の混合した組成でなる厚さ40μm の皮膜層
を形成した。(リング試料−2)
【0016】比較ピストンリングとして、外周摺動面に
厚さ100μm の硬質クロムめっき層を形成したピスト
ンリング(比較例1)と、外周摺動面に厚さ40μm の
柱状晶組織を有さない CrN組成の皮膜を形成したピスト
ンリング(比較例2)を作成した。
【0017】上記の各ピストンリング(リング試料1,
2および比較試料1,2)を、斑点状レーザー焼入れ硬
化処理等の表面処理が特に施されていないシリンダライ
ナを有する4気筒4サイクルのディーゼルエンジン、及
び、斑点状レーザー焼入れ硬化処理が施されている本発
明において使用されるシリンダライナを有する4気筒4
サイクルのディーゼルエンジンに第一圧力シールとして
それぞれ装着し、実機運転試験を実施した。試験条件は
次に示すとうりである。 回転数 :4,000rpm 試験時間 :100時間 オイル温度:120℃ 水温 :100℃
【0018】試験の結果は、表1および表2に示す通り
であり、外周摺動面に厚さ100μm の硬質クロムめっ
き層を形成したピストンリング(比較例1)を装着した
場合には、ピストンリングの摩耗が大であり、従って、
エンジンの耐久性、長寿命化は不可能である。また、柱
状晶組織を有さない CrN組成の皮膜を形成したピストン
リング(比較例2)を装着した場合には、ピストンリン
グの皮膜に剥離・脱落が発生しており、シリンダ表面に
異常摩耗を発生させている。この皮膜の剥離・脱落は、
斑点状レーザー焼入れ硬化処理が施されたシリンダライ
ナを有するエンジンに使用した場合に特に著しく、した
がって、実用に耐え得ないものである。これらに対し
て、ピストンリング外周表面に皮膜表面に向かって柱状
の形態をなす柱状晶組織であり、且つ、その柱状組織に
沿った空孔を内蔵する窒化クロム層を形成したピストン
リング(リング試料1,2)を装着した場合には、斑点
状レーザー焼入れ硬化処理が施されているシリンダライ
ナを備えたエンジンに使用される場合においても表面処
理層に剥離・脱落が発生せず、摩耗量の発生も極めて少
なく、また、相手摺動面に異常摩耗の発生は見られな
い。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上、詳述したことから明らかなよう
に、外周表面に皮膜表面に向かって柱状の形態をなす柱
状晶組織であり、且つ、その柱状組織に沿った空孔を内
蔵する窒化クロム層を形成したピストンリングは、該窒
化クロム層の耐剥離・脱落性が良好であるので、内周摺
動面にレーザ焼入れ法により硬化された焼入硬化部分を
点在させて有する耐摩耗性に優れたシリンダライナと組
合わせてディーゼルエンジンに使用される場合における
過酷な使用条件の下においても剥離・脱落を生じること
なく、且つ、窒化クロム層の優れた耐摩耗特性を有効に
活用できるので、シリンダライナの有する優れた耐久性
と相俟って、ディーゼルエンジンの耐久寿命を飛躍的に
改善することを可能にするものである。
【0022】なお、本発明に使用する外周面に窒化クロ
ム層を有するピストンリングは、内周面に斑点状にレー
ザー焼入れ処理を施したシリンダライナと組合せて使用
することによりディーゼルエンジンの耐久寿命を飛躍的
に改善するものであるが、摺動面構造が前記シリンダラ
イナのそれと比較してピストンリングにとって過酷なも
のでない、例えば内周面に螺旋状にレーザー焼入れ処理
を施してなるシリンダライナ等との組合せで使用した場
合においても、同様に良好な効果を示すものであること
は、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するシリンダライナの断面図であ
る。
【図2】本発明で使用するシリンダライナのレーザー焼
入れ表面を説明する説明図である。
【図3】本発明で使用するピストンリングの断面図であ
る。
【図4】本発明で使用するピストンリングの外周面に形
成された窒化クロム層の金属組織の顕微鏡写真である。
【図5】比較例2に使用したピストンリングの外周面に
形成された柱状でない窒化クロム層の金属組織の顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
1 シリンダライナ 2 レーザー焼入れ処理域 3 レーザー焼入れ処理による焼入れ硬化部分 4 シリンダライナ内周面の基地 5 ピストンリング 6 窒化クロム層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16J 10/04 F16J 10/04 (72)発明者 今井 照男 新潟県柏崎市北斗町1番37号 株式会社 リケン 柏崎事業所内 (72)発明者 山本 英継 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 松井 利治 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 日向 哲 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−113049(JP,A) 特開 昭59−133868(JP,A) 特開 昭64−8343(JP,A) 特開 平1−156461(JP,A) 特開 昭61−87950(JP,A) 特開 平3−31469(JP,A) 特開 昭62−151555(JP,A) 特開 平3−277870(JP,A) 特開 昭54−6827(JP,A) 実開 昭63−24347(JP,U) 実開 昭60−88048(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディーゼルエンジン用のシリンダライナ
    と該シリンダライナの内周面に対接し摺動するピストン
    リングとの組合せにおいて、該シリンダライナが内周摺
    動面にレーザ焼入れ法により硬化された焼入硬化部分を
    点在させて有し、該ピストンリングが外周摺動面に該摺
    動面にほぼ垂直に形成された柱状晶組織でなる窒化クロ
    ム層を有するものであることを特徴とするディーゼルエ
    ンジン用のシリンダライナとピストンリングの組合せ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のシリンダライナとピス
    トンリングの組合せにおいて、シリンダライナが基地硬
    さHB180〜269の内周面に硬さHv490〜75
    0のレーザ焼入れ法により硬化された焼入硬化部分を点
    在させてなるシリンダライナであり、ピストンリングが
    表面方向から測定したヴィッカース硬さがHmV 600〜
    1000である柱状晶組織の窒化クロム層を有すること
    を特徴とするディーゼルエンジン用のシリンダライナと
    ピストンリングの組合せ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のシリンダライ
    ナとピストンリングの組合せにおいて、ピストンリング
    の外周面に形成された窒化クロム層がイオンプレーティ
    ング法により形成された CrNまたは Cr2N でなる組成あ
    るいは CrNとCr2Nとの混合組成でなるディーゼルエンジ
    ン用のシリンダライナとピストンリングの組合せ。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項記載のシリ
    ンダライナとピストンリングの組合せにおいて、ピスト
    ンリングの外周面に形成された柱状晶組織でなる窒化ク
    ロム層が該柱状晶組織に沿って1.5〜20 vol%の空孔
    を微細に分散して有していることを特徴とするディーゼ
    ルエンジン用のシリンダライナとピストンリングの組合
    せ。
  5. 【請求項5】 請求項1または4のいずれかに記載のシ
    リンダライナとピストンリングの組合せにおいて、ピス
    トンリングの外周面に形成された窒化クロム層の柱状晶
    組織が、摺動面に(111)面を向けて配向しているこ
    とを特徴とするディーゼルエンジン用のシリンダライナ
    とピストンリングの組合せ。
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