JPH05227683A - モータ用磁石の固定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石のヨークへの固定位置のばらつきを
排除して、安定したモータの性能が得る。 【構成】 永久磁石３の固定位置に対応して、ヨーク２
の周面と一端面に穴２ａと切欠き２ｂを設ける。ゲート
５ａから注入された樹脂は、穴２ａから永久磁石３をし
た金型６に押しつけ、切欠き２ｂを流入した樹脂は、永
久磁石３を段部６ａに押しつける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、円筒状のヨークの内周
面に配設した永久磁石とロータとからなるモータに関
し、特に、射出成形によりヨークに永久磁石を一体的に
固定する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種のモータの構造は、円筒
状のヨークと、このヨークの内周面にその周方向に等間
隔に固定された複数の永久磁石と、この永久磁石の内側
に近接し回転自在に支持されたロータとからなり、永久
磁石は接着剤によりヨークに固定されている。しかしな
がら、接着剤で固定する方法は、永久磁石を位置決めす
る作業が煩雑であると共に、接着剤での固定は量産性に
乏しいといった欠点がある。

【０００３】そこで、この点を改善した方法として、図
３に示すように、永久磁石３とヨーク１２とを金型内に
インサートしておき、射出成形法により、永久磁石３と
ヨーク１２とを合成樹脂１４によって包み込むようにし
て、一体成形する方法が提案され、量産性の向上を図っ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、永久磁
石とヨークとは、単品において寸法のばらつきが大き
く、上述した射出成形を行う場合に、金型内へこれら永
久磁石とヨークとをインサートしたときに、インサート
位置が安定しない。このため、永久磁石の固定位置がば
らつき、これにより最終製品であるモータの性能にもば
らつきが生じるといった問題が発生している。

【０００５】したがって、本発明では、上記したような
従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的をす
るところは、永久磁石のヨークへの固定位置のばらつき
を排除して、安定したモータの性能が得られるモータ磁
石の固定方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明に係るモータ用磁石の固定方法は、射出成形
により円筒状のヨークの内周面に複数のモータ用磁石を
一体成形により固定する方法であって、前記モータ用磁
石の固定位置に対応して前記ヨークの周面と端面にそれ
ぞれ穴と切欠きを設け、この穴と切欠きから流入させた
樹脂によって、前記モータ用磁石を金型に押しつけなが
ら固定したものである。

【０００７】

【作用】本発明においては、穴と切欠きから流入させた
樹脂によって、モータ用磁石を金型に押しつけることに
より、モータ用磁石が金型に対して、常に一定の位置で
位置決めされる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図に基づいて説明
する。図１は、本発明に係るモータ用磁石の固定方法に
おけるヨークの全体斜視図、図２は同じく固定方法を示
し、（ａ）は側断面図、（ｂ）は樹脂の流れを示す要部
側断面図である。これらの図において、本発明の特徴と
する構造は、永久磁石３が固定される位置に対応して、
円筒状のヨーク２の周面に穴３を穿設し、一方端面に切
欠き２ｂを設けた点にある。

【０００９】５および６は、それぞれ上金型および下金
型で、これら両金型によって形成される空間７がキャビ
ティーとなり、上金型５に設けられた一対のゲート５ａ
からキャビティー７内に溶融樹脂が注入される。ここ
で、ゲート５ａは、前記穴３に対して、最短距離となる
位置に設けられている。下金型６の周面中央には、永久
磁石３の位置決め用の段部６ａが設けられている。

【００１０】本発明のモータ用磁石の固定方法は以上の
ような構成であり、以下に樹脂の流入の動作状態を説明
する。まず、図２（ａ）に示すように、永久磁石３とヨ
ーク２とを両金型５、６のキャビティー７内にインサー
トして固定する。この状態では、永久磁石３とヨーク２
との寸法のばらつきが大きくて、永久磁石３とヨーク２
との間および永久磁石３と下金型６との間に隙間が発生
している。

【００１１】次に、同図（ｂ）に示すように、ゲート５
ａから樹脂を注入する。このとき、注入された樹脂は、
最も流路抵抗の小さい空間Ａを充填し、空間Ａを充填し
終わると、穴２ａに流入して、永久磁石３を下金型６に
押しつける。空間Ａを充填した樹脂は、次に流路抵抗の
小さい空間Ｂに流入し、永久磁石３を下金型６の段部６
ａに押しつける。このとき、ゲート５ａと空間Ｂとの間
には切欠き２ｂが設けられているので、空間Ｂへの流入
は円滑に行われる。空間Ａ、Ｂを充填した樹脂は、最後
に、最も流路抵抗の大きい空間Ｃに流入して、キャビテ
ィー７内には、樹脂が充填される。

【００１２】このように、永久磁石３の固定位置に対応
してヨーク２の周面と端面にそれぞれ穴２ａと切欠き２
ｂとを設けたので、永久磁石３は、キャビティー７内を
流入する樹脂が、穴２ａと切欠き２ｂを通過して、永久
磁石３を下金型６に押しつけ、位置決めをするので、永
久磁石３およびヨーク２の寸法のばらつきに無関係に、
常に一定位置に位置決めされてヨーク２に固定され、こ
のためロータとの位置関係が一定し、安定したモータの
性能を得ることができる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、射
出成形により円筒状のヨークの内周面に複数のモータ用
磁石を一体成形により固定するにあたり、モータ用磁石
の固定位置に対応してヨークの周面と端面にそれぞれ穴
と切欠きを設け、この穴と切欠きから流入させた樹脂に
よって、モータ用磁石を金型に押圧させて固定したの
で、永久磁石およびヨークの寸法のばらつきに無関係
に、常に一定位置に位置決めされて永久磁石がヨークに
固定され、このため永久磁石の固定位置の精度を高める
ことができ、安定したモータの性能を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るモータ用磁石の固定方法における
ヨークの全体斜視図である。

【図２】本発明に係るモータ用磁石の固定方法を示し、
（ａ）は側断面図、（ｂ）は樹脂の流入状態を示す要部
側断面図である。

【図３】従来のモータ用磁石の固定方法を示し、（ａ）
は全体斜視図、（ｂ）は分解斜視図である。

【符号の説明】

２ ヨーク ２ａ 穴 ２ｂ 切欠き ３ 永久磁石

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形により円筒状のヨークの内周面
   に複数のモータ用磁石を一体成形により固定する方法で
   あって、前記モータ用磁石の固定位置に対応して前記ヨ
   ークの周面と端面にそれぞれ穴と切欠きを設け、この穴
   と切欠きから流入させた樹脂によって、前記モータ用磁
   石を金型に押しつけながら固定したことを特徴とするモ
   ータ用磁石の固定方法。