JPH05221897A - オクタジエノール類の製造方法及びパラジウム錯体 - Google Patents

オクタジエノール類の製造方法及びパラジウム錯体

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JPH05221897A
JPH05221897A JP4257996A JP25799692A JPH05221897A JP H05221897 A JPH05221897 A JP H05221897A JP 4257996 A JP4257996 A JP 4257996A JP 25799692 A JP25799692 A JP 25799692A JP H05221897 A JPH05221897 A JP H05221897A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 パラジウム化合物、特定構造のホスフィン化
合物及び二酸化炭素の存在下に、1,3−ブタジエンと
水とを反応させてオクタジエノール類を製造する方法、
並びに該ホスフィン化合物とパラジウムからなる新規な
ビス(ホスフィン)パラジウム錯体。 【効果】 本発明のオクタジエノール類の製造方法によ
れば、高収率で、また、高選択的に2,7−オクタジエ
ン−1−オールを製造することが出来るので工業的に極
めて有利である。また、本発明の新規なビス(ホスフィ
ン)パラジウム錯体は、熱安定性に優れ取扱いが容易
で、前記オクタジエノール類の製造方法で反応生成液か
ら析出させ再び反応系に供給しても殆ど触媒の活性低下
はなく有利に循環使用できるので工業的に極めて有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パラジウム化合物、ホ
スフィン化合物及び二酸化炭素の存在下に1,3−ブタ
ジエンと水とを反応させて、該ブタジエンの二量化水和
物であるオクタジエノール類を製造する改善された方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オクタジエノール類のうち、特にオクタ
−2,7−ジエン−1−オールは、n−オクタノール及
びそのエステル等を製造するための中間体として、化学
工業的に重要な化合物である。パラジウム化合物、ホス
フィン化合物及び二酸化炭素の存在下に1,3−ブタジ
エンと水とを反応させて、二量化水和物であるオクタジ
エノール類を製造する方法は例えば、(ケミカル・コミ
ュニケーションズ(Chemical Communi
cations)330(1971))及び特公昭50
−10565号に記載されている。この場合、パラジウ
ム触媒の配位子として用いられるホスフィン化合物とし
ては、トリフェニルホスフィンが有利であることが知ら
れているが、オクタジエノール類の収率並びに所望のオ
クタ−2,7−ジエン−1−オールへの選択率は未だ充
分なものではない。また、パラジウムに対してトリフェ
ニルホスフィンを約6倍モル程度過剰に使用すると、オ
クタジエノール類の収率が低下することが知られており
(前記ケミカル・コミュニケーションズ)、操業条件に
制約を受ける問題もあった。
【0003】また、この方法により、オクタジエノール
類を製造するための反応を液相系で行う場合において
は、上記触媒成分にブタジエンと水を同時に接触させ、
生成するオクタジエノール類を蒸留等の手段により触媒
から分離する作業が連続的にあるいは、回分的に実施さ
れる。そして、少なくとも、パラジウム化合物とホスフ
ィンを含有する触媒液は再び反応に循環使用される。
【0004】なお、本出願人は、先にアルカジエノール
類の製造に際し、上記触媒成分での反応液の、少なくと
も一部からパラジウム錯体を析出させた後、該錯体を再
び前記反応系へ供することにより、反応を阻害する恐れ
のある高沸点物質の副生成物を含まない形態での触媒循
環使用法を提案した。(特開平2−174736)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】錯体触媒反応は触媒に
用いる金属成分が重要な役割を示すが、それと共に使用
される配位子も触媒反応の活性及び選択性に重大な影響
を及ぼす。本発明者らはパラジウム化合物、ホスフィン
化合物および二酸化炭素の存在下、1,3−ブタジエン
と水とを反応させる二量化水和反応に最適なホスフィン
配位子を用いることにより、所望の2,7−オクタジエ
ン−1−オールを高収率及び高選択率で得ることが出来
る工業的に有利なオクタジエノール類の製造方法を提供
するべく鋭意検討を行なった。
【0006】また、触媒反応液中には、パラジウム、ホ
スフィン等の高価な物質が含有されており、これらの触
媒成分を有効に利用しない場合の経済的損失は極めて大
きい。それ故、触媒活性を損なうこと無く、経済的な手
段で、触媒成分のみを安定な形で取り出し、反応に循環
使用することが、オクタジエノールの製造を工業的に有
利に実施するために重要である。
【0007】なお、前記特開平2−174736に開示
される方法は、触媒成分のひとつであるホスフィンの種
類によっては、析出循環使用されるパラジウム錯体は空
気中での安定性に問題が有る場合もあり、より取扱いの
容易な形態のパラジウム錯体で取り扱うことができるな
らば、さらに工業的なプロセスとして、有利である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のオクタジエノー
ル類の製造方法は、パラジウム化合物、ホスフィン化合
物及び二酸化炭素の存在下に1,3−ブタジエンと水と
を反応させてオクタジエノール類を製造する方法におい
て、該ホスフィン化合物として、一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1 、R5 及びR9 は夫々相互に
異なっていてもよい炭化水素基を表わし、また、R2
3 、R4 、R6 、R7 、R8 、R10、R11及びR12
その少なくとも1つは電子供与性置換基であって、水素
又は夫々相互に異なっていてもよい置換基を表わす)で
表わされる化合物を存在させることを特徴とし、また、
本発明の新規なビス(ホスフィン)パラジウム錯体は、
一般式(I)で表わされるホスフィンとパラジウムから
なることを特徴とする。
【0011】即ち、本発明者らは、パラジウム化合物、
ホスフィン化合物及び二酸化炭素の存在下に1,3−ブ
タジエンと水とからオクタジエノール類を製造する反応
において、ホスフィン配位子として、従来知られていな
い、前記特定構造のホスフィン化合物を存在させると、
驚くべきことに、オクタジエノール類が高収率でまた
2,7−オクタジエン−1−オールが高選択的に得られ
ること及び広範囲の操業条件を選択できること、さらに
は、反応により得られる反応生成液の少なくとも一部か
ら、空気中であっても安定で、熱安定性も高く、取扱い
の容易な新規なビス(ホスフィン)パラジウム錯体を含
む触媒を析出させた後、該触媒を再び前記反応系へ供す
ることにより、触媒としての有効性を失うことなく、触
媒成分のみを循環使用し得ることを見いだし、本発明を
完成した。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明方
法により水と反応させてオクタジエノール類を製造する
ためのブタジエン原料として通常容易に入手可能のもの
は、精製1,3−ブタジエンおよび所謂BBP即ちナフ
サ分解生成物中のC4 留分混合物等である。主に経済性
を考慮してBBPを原料とする場合においては、原料B
BP中に含有されるアセチレン類およびアレン類を予め
分離除去しておくことが望ましい。アセチレン類および
アレン類を低減化するための方法はとくに限定されず、
公知の諸法が適宜採用可能である。アセチレン類および
アレン類を除去あるいは低減化した後、オクタジエノー
ル類を製造するための二量化水和反応工程に供すべき
1,3−ブタジエン原料中のアセチレン類およびアレン
類の総濃度は、可能な限り低いことが望ましいが、通常
1,3−ブタジエンに対して1.0重量%以下が好まし
い量である。
【0013】他の原料である水としては二量化水和反応
に影響を与えない程度の純度の水が適宜使用される。水
の使用量については特に限定的ではないが、1,3−ブ
タジエンの1モルに対して、通常0.5〜10モル、好
ましくは1〜5モルの範囲から選択される。本発明にお
いて主触媒として使用されるパラジウム化合物の形態及
びその原子価状態については必ずしも限定的ではない。
ホスフィンの構造式が、一般式(I)の構造である新規
なビス(ホスフィン)パラジウム錯体のほか例えば、テ
トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリ
ス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、(1,5
−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム
等の0価パラジウム錯体、硝酸パラジウム等のパラジウ
ム無機酸塩、酢酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩、
ビス(アセチルアセトン)パラジウム等のパラジウムキ
レート化合物のほか、ビス(トリ−n−ブチルホスフィ
ン)パラジウム酢酸塩等の2価パラジウム錯体等が挙げ
られる。
【0014】これらのパラジウム化合物の使用量は広範
囲に可変であるが、通常、1,3−ブタジエン1モルに
ついてパラジウムとして0.00001〜1グラム原
子、好ましくは0.0001〜0.1グラム原子の範囲
内で選択される。本発明方法で使用されるホスフィン化
合物は、前記一般式(I)で示される化合物である。
【0015】前記一般式(I)中のR1 、R5 及びR9
は夫々相互に異なっていてもよい炭化水素基を表わす
が、通常炭素数1〜4の低級アルキル基が好適であり、
特にメチル基が好ましい。R2 、R3 、R4 、R6 、R
7 、R8 、R10、R11及びR12はその少なくとも一つは
ハメットのσ値が負である電子供与性置換基であって水
素又は相互に異なっていてもよい置換基、好ましくは電
子供与性置換基を表わす。
【0016】電子供与性置換基としては通常アルキル
基、アルキルアミノ基、アミノ基、アルコキシ基、ヒド
ロキシル基等およびそれらの基にさらに電子吸引性のハ
ロゲン原子、シアノ基、カルボニル基、スルホネート基
等の置換基がついていても全体として電子供与性である
ものが挙げられ、中でもアルキル基、アルコキシ基が好
適である。特にこれらアルキル基及びアルコキシ基の中
でも炭素数1〜20のものが好適である。
【0017】具体的なホスフィン化合物としては、トリ
ス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス
(2,3−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス
(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス
(2,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ
ス(2,3,4−トリメチルフェニル)ホスフィン、ト
リス(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)ホスフ
ィン、トリス(2−メチル−4−エチルフェニル)ホス
フィン、トリス(2−メチル−4−オクチルフェニル)
ホスフィン、トリス(2−メチル−4−(2−ナトリウ
ムスルホネート)エチルフェニル)ホスフィン、トリス
(2−メチル−4−(2−リチウムスルホネート)エチ
ルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジメチルフェ
ニル)(2−メチルフェニル)ホスフィン、(2,4−
ジメチルフェニル)ビス(2−メチルフェニル)ホスフ
ィン、ビス(2,4−ジメチルフェニル)(2−エチル
フェニル)ホスフィン、トリス(2−メチル−4−メト
キシフェニル)ホスフィン、トリス(2−メチル−4−
エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−メチル−
4−オクトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−メ
チル−4−(2−エトキシ)エトキシフェニル)ホスフ
ィン、トリス(2−メチル−4−(2−ナトリウムスル
ホネート)エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2
−メチル−4−(2−リチウムスルホネート)エトキシ
フェニル)ホスフィン、ビス(2−メチル−4−メトキ
シフェニル)(2−メチルフェニル)ホスフィン、(2
−メチル−4−メトキシフェニル)ビス(2−メチルフ
ェニル)ホスフィン、トリス(2−メチル−4−ジメチ
ルアミノフェニル)ホスフィン、トリス(2−メチル−
4−デコキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−メチ
ル−4−(1−メチル−ヘプトキシ)フェニル)ホスフ
ィン、トリス(2−メチル−4−(t−ブチル)フェニ
ル)ホスフィン等が挙げられるが、これに限定されるも
のではない。
【0018】前記ホスフィン化合物の使用量は、通常、
パラジウム1グラム原子に対して0.1〜100モル程
度の広範囲から選択されるが、好ましくは3〜50モ
ル、特に好ましくは4〜20モルの割合であり、広範囲
の操業条件を選択できる。また、本発明方法において使
用される二酸化炭素は、反応系で二酸化炭素として存在
するものであれば良く、特にその供給形態は問わない。
例えば、分子状の二酸化炭素、炭酸、炭酸塩、重炭酸
塩、或いは二酸化炭素又は炭酸とアミンとの付加物等が
挙げられる。二酸化炭素の使用量の上限は経済的理由に
より決定されるものであり、過剰に使用することは特に
反応を阻害するものではない。通常、二酸化炭素はパラ
ジウム1グラム原子について1モル以上、好ましくは1
0モル以上使用される。
【0019】本発明方法を実施するにあたって、反応を
より円滑に行なうためには溶媒を使用するのが好適であ
る。使用し得る溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオ
キサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメ
チルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエー
テル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、
ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチル−
n−ブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン
類、ヘキセン、オクテン等のアルケン類、ジメチルスル
ホキシド等のスルホキシド類、ニトロベンゼン、ニトロ
メタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等の
ピリジン誘導体、アセトアミド、プロピオンアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド等
が挙げられる。その他、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イ
ソブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール等の
アルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカ
ルボン酸類などが例示される。これらのうち、特に低級
アルコールを使用した場合はアルコキシオクタジエン等
の副生物の生成を伴ない、低級カルボン酸を使用した場
合はアシルオキシオクタジエン等の副生物の生成を伴な
い、反応系を複雑にするので共に注意を要する。
【0020】溶媒を使用する場合の使用量に関しても必
ずしも限定的ではないが、通常、1,3−ブタジエン1
重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜
10重量部の範囲から任意に選択される。本発明により
1,3−ブタジエンと水とを反応させるための反応温度
は、室温から180℃程度の広い範囲から選択すること
ができるが、50〜130℃の温度範囲を選ぶのがより
一般的である。しかしながら、90℃以上の高温範囲で
は好ましくない副生成物が多量生じるため、より低温範
囲を選択するのがオクタジエノール類を収率良く得るた
めに好ましい。この場合反応速度が問題となるが、本発
明方法の特定構造のホスフィン化合物を使用することに
より、より低温範囲でも十分な速度でオクタジエノール
類を収率良く製造することが出来る。また、反応圧力は
常圧から200kg/cm2 程度の範囲で選択される。
この際、二酸化炭素の他に窒素、ヘリウム、アルゴン等
の反応に不活性な気体を共存させることも可能である。
【0021】本発明に於いては、以上に説明した反応原
料および反応条件にて1,3−ブタジエンと水とを反応
させてオクタジエノール類を生成させる。この反応によ
り得られる反応生成液中には、触媒、主生成物である
2,7−オクタジエン−1−オール、副生成物の1,7
−オクタジエン−3−オール、オクタトリエン類、ジオ
クタジエニルエーテル類、有機カルボン酸及びエステル
類、ならびに、溶媒、未反応の1,3−ブタジエン及び
水が含有されている。副生成物の生成量は、反応条件に
依存し、通常1,3−ブタジエン基準でそれぞれ数モル
パーセント内外である。
【0022】本発明方法においては、追加の工程として
反応により得られる反応生成液から、パラジウムとホス
フィンからなる錯体を含む触媒成分を析出させた後、該
触媒成分を再び反応系に供給することができるが、前記
一般式(I)で表されるホスフィンとパラジウムからな
る新規なビス(ホスフィン)パラジウム錯体は、熱安定
性が高く、取扱いも容易で循環に伴う触媒の活性低下を
殆ど生じることなく有利に循環使用される。
【0023】このような錯体を形成させるためには、反
応生成液中のホスフィンが、パラジウムに配位可能な遊
離の状態で、パラジウム1グラム原子に対して少なくと
も2倍モル、好ましくは、少なくとも3倍モル存在する
ように、反応液を処理するのが好適である。具体的に
は、反応液あるいは、触媒成分を含む反応液の一部を塩
基性物質と接触させる、あるいは水素等の還元剤と接触
させる、等の手段により、ホスフィンを配位可能な遊離
の状態にする操作を行う。当然ながら、反応液にホスフ
ィンを追加供給することも有効な手段である。
【0024】反応液あるいは、触媒成分を含む反応液の
一部を塩基性物質と接触させる場合に用いられる塩基性
物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属および
アンモニウムイオンの形成する水酸化物、酸化物、アル
コキサイド、カルボン酸塩、炭酸塩および重炭酸塩を使
用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、
酸化カルシウム、酸化バリウム、ナトリウムエトキサイ
ド、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0025】塩基性物質は通常水等の溶媒に溶解した形
で使用するのが一般的であるが、固体の形で使用するこ
とも可能である。溶液として使用する場合の塩基性物質
の濃度には特に制限はないが、通常0.05〜5モル/
1の溶液が有利に使用される。塩基性物質の使用量につ
いても、必ずしも限定的ではないが、ホスフィンと等モ
ル以上であることが望ましい。
【0026】反応生成液を塩基性物質または水素等の還
元剤と接触処理する場合の温度は、0〜150℃とりわ
け20〜100℃が好適である。さらに、効率よく触媒
を析出させるには、接触処理の後、冷却すればより好適
である。反応生成液または触媒成分を含む反応液の一部
から析出した触媒は、ろ過または、デカンテーション等
の公知技術により容易に分離回収することができる。分
離回収された触媒の一部または全部は、必要に応じて再
び1,3−ブタジエンと水とを反応させてオクタジエノ
ール類を生成させる反応に供される。
【0027】尚、ホスフィンの構造式が、前記一般式
(I)で表わされる、新規なビス(ホスフィン)パラジ
ウム錯体は、公知のパラジウム0価ホスフィン錯体、例
えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、等
と同様の方法でも合成することが出来る。即ち、D.
R.Coulson,Inorg.Synth.,1
3,121(1972)に記載されているように、所定
のホスフィン配位子の存在下に、例えば塩化パラジウム
のようなパラジウム2価錯体を、ヒドラジン水和物等の
還元剤で還元することにより得られる。
【0028】本発明の方法は、連続式、半連続式及び回
分式操作を含む周知の技術も用いて実施し得る。主生成
物のオクタジエノール類は、反応生成液または前記操作
により触媒を分離したろ液より種々の手段、例えば蒸留
により回収し得る。一部または全部の触媒及び残りの反
応混合物は、そのままあるいは前記操作により触媒を分
離取得して反応系に再循環することも出来る。
【0029】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
によって限定されるものではない。
【0030】実施例1 内容積300mlのステンレス製オートクレーブに、窒
素ガス雰囲気下で、0.36ミリモルの酢酸パラジウ
ム、1.44ミリモルのトリス(2,4−ジメチルフェ
ニル)ホスフィン、61gのアセトン及び6.5gの水
を仕込み、更に11gの1,3−ブタジエンと11gの
二酸化炭素を導入した。反応混合液を800rpmの速
度で撹拌しながら20分間かけて内温が80℃となるま
で加温した。80℃で更に2時間反応を継続したのち、
ガスクロマトグラフィーで反応生成物を分析した。結果
を表1に示す。
【0031】実施例2〜5及び比較例1〜2 実施例1において、トリス(2,4−ジメチルフェニ
ル)ホスフィンの代わりに表1に記載したホスフィン化
合物を用いた以外は同様に行なった。結果を表1に示
す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例6 0.5ミリモルの酢酸パラジウム、2ミリモルのトリス
(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、50gのア
セトン、18gの水、27gの1,3−ブタジエン及び
15gの二酸化炭素を用い、4時間反応させた以外は実
施例1と同じ操作条件で行なった。結果を表2に示す。
【0034】実施例7 反応温度を90℃に変えた以外は、実施例4と同様に行
なった。結果を表2に示す。
【0035】実施例8 トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンの使用
量を8ミリモル及び反応時間を3時間にした以外は実施
例3と同様に行なった。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例9 トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンの代わ
りにトリス(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)
ホスフィンを用いて、4時間反応させた以外は実施例1
と同様に行った。ΣHODは88.5%、1−HOD/
ΣHODは93%、NOTは1.6%、DODEは2.
9%であった。
【0038】実施例10 (ビス(トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィ
ン)パラジウム錯体の合成)内容積300mlのステン
レス製誘導撹拌オートクレーブに窒素ガス雰囲気下で5
mmolの酢酸パラジウム、17.5mmolのトリス
(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、50mlの
メタノールを仕込み、更に25mlの1,3−ブタジエ
ンを導入した。反応混合液を800rpmで撹拌しなが
ら20分かけて内温が80℃となるまで加温、80℃で
さらに1.5時間反応を継続した。室温に冷却後、生成
した黄色のパラジウム錯体をろ別し、メタノール40m
lで洗浄、さらにnヘキサン40mlで洗浄し、得られ
た結晶2.82gを室温下減圧乾燥した。
【0039】
【表3】 元素分析結果 Pd 13.3% C 72.82% H 7.03% (同計算値) (13.3) (72.13) (6.81)
【0040】元素分析結果より得られたパラジウム錯体
はビス(トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィ
ン)パラジウム錯体であることが確認された。熱安定
性、空気中での安定性をそれぞれDSC(示差走査熱量
計)、TG−DTA(示差熱重量測定)で調べた。結果
は表3に示すように既知の類似錯体(ビス(トリス(2
−メチルフェニル)ホスフィン)パラジウム)よりも良
好であった。
【0041】比較例3 (ビス(トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン)パ
ラジウム錯体の合成)実施例10において、トリス
(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンの代わりにト
リス(2−メチルフェニル)ホスフィンを用いた以外は
まったく同様の方法で合成した。DSC、TG−DTA
の結果を表3に示す。
【0042】
【表4】 *1)測定条件:試料 1mg、Ag耐圧セル(N2
封入) 10℃/min、N2 50ml/min *2)測定条件:試料 5mg、Alパン 10℃/min、Air 200ml/min
【0043】実施例11 ビス(トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィ
ン)パラジウムを0.75mmol、トリス(2,4−
ジメチルフェニル)ホスフィンを1.5mmol、55
gのアセトンおよび10gの水を仕込み、更に20.7
gの1,3−ブタジエンと11gの二酸化炭素を用い、
実施例1と同様に1.5時間反応させた。反応液を室温
下減圧にて、溶媒のアセトンを留去した後、トリス
(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンを1.5mm
ol追加し、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液1
00mlを加え、60℃で1時間反応させたのち氷冷し
た。水相を分離したのち、黄色の析出錯体を含む有機相
を50mlの水で2回洗浄したのち固形成分をろ別し
た。得られた固形成分(ビス(トリス(2,4−ジメチ
ルフェニル)ホスフィン)パラジウムを含有)と、55
gのアセトン、10gの水、20.2gの1,3−ブタ
ジエン、11gの二酸化炭素を用い、1回目と同様に
1.5時間反応させた。それぞれの反応生成物の分析結
果を表4に示す。
【0044】
【表5】
【0045】実施例12 酢酸パラジウムを0.377mmol、トリス(2−メ
チル−4−メトキシフェニル)ホスフィンを1.5mm
ol、55gのアセトンおよび10gの水を仕込み、更
に20.2gの1,3−ブタジエンと11gの二酸化炭
素を用い、実施例1と同様に5時間反応させた。反応液
を室温下減圧にて、溶媒のアセトンを留去した後、トリ
ス(2−メチル−4−メトキシフェニル)ホスフィンを
0.75mmol追加し、1mol/lの水酸化ナトリ
ウム水溶液100mlを加え、60℃で1時間反応させ
たのち氷冷した。水相を分離したのち、黄色の析出錯体
を含む有機相を50mlの水で2回洗浄したのち固形成
分をろ別した。得られた固形成分(ビス(トリス(2−
メチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン)パラジウ
ムを含有)と、55gのアセトン、10gの水、20.
1gの1,3−ブタジエン、11gの二酸化炭素を用
い、1回目と同様に5時間反応させた。それぞれの反応
生成物の分析結果を表5に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】本発明方法によれば、パラジウム化合
物、特定構造のホスフィン化合物及び二酸化炭素の存在
下に、1,3−ブタジエンと水とを反応させてオクタジ
エノール類を高収率で、また2,7−オクタジエン−1
−オールを高選択的に製造することが出来、工業的に有
利なオクタジエノール類の製造方法を提供するものであ
る。
【0048】また、本発明の新規なビス(ホスフィン)
パラジウム錯体は、熱安定性に優れ取扱いが容易で、上
記のオクタジエノール類の製造方法に於て、反応生成液
から析出させ、再び反応系に供給しても殆ど触媒の活性
低下はなく有利に循環使用される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物、ホスフィン化合物及
    び二酸化炭素の存在下に1,3−ブタジエンと水とを反
    応させてオクタジエノール類を製造する方法において、
    該ホスフィン化合物として、一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R5 及びR9 は夫々相互に異なっていて
    もよい炭化水素基を表わし、また、R2 、R3 、R4
    6 、R7 、R8 、R10、R11及びR12はその少なくと
    も1つは電子供与性置換基であって、水素又は夫々相互
    に異なっていてもよい置換基を表わす)で表わされる化
    合物を存在させることを特徴とするオクタジエノール類
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のオクタジエノール類の
    製造方法において、1,3−ブタジエンと水との反応に
    より得られる反応生成液から、パラジウムとホスフィン
    からなる錯体を含む触媒成分を析出させた後、該触媒成
    分を再び反応系に供給する追加の工程を含むことを特徴
    とするオクタジエノール類の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のオクタジエノール類の
    製造方法において、パラジウムとホスフィンからなる錯
    体が、前記一般式(I)で表されるホスフィンとパラジ
    ウムからなるビス(ホスフィン)パラジウム錯体である
    ことを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 前記一般式(I)で表されるホスフィン
    とパラジウムからなるビス(ホスフィン)パラジウム錯
    体。
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WO2023162973A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 株式会社クラレ 2,7-オクタジエン-1-オールの製造方法

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WO2023162973A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 株式会社クラレ 2,7-オクタジエン-1-オールの製造方法

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