JPH0521975B2 - - Google Patents
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- JPH0521975B2 JPH0521975B2 JP60058993A JP5899385A JPH0521975B2 JP H0521975 B2 JPH0521975 B2 JP H0521975B2 JP 60058993 A JP60058993 A JP 60058993A JP 5899385 A JP5899385 A JP 5899385A JP H0521975 B2 JPH0521975 B2 JP H0521975B2
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Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は電磁バルブ、電磁クラツチおよび内燃
機関の電子燃料噴射装置等に用いられる冷間鍛造
性、磁気特性、耐食性に優れた冷間鍛造用軟磁性
ステンレス鋼に関する。 (従来技術) 従来、軟磁性ステンレス鋼に要求される特性と
して、最大透磁率、磁束密度および保持力などの
磁気特性と、電気抵抗、耐食性、被削性等があ
り、特に優れた磁気特性を得るため1si−0.20Al
−13Cr−0.02C鋼等が開発され一部、実用に供せ
られている。近年、軟磁性ステンレス鋼の用途開
発が進み、電子燃料噴射装置のボデイやコアーな
どの複雑な形状を有する部品に適用されるように
なり、前記特性に加えてさらに冷間鍛造性の優れ
た鋼の開発が要求されていた。 上記要求に対して、たとえば13Cr−1si−0.2Al
−0.2pb−0.01C鋼等のC量を0.01%程度まで低減
させた鋼が開発され、一部で使用されている。 (解決しようとする問題点) しかし、これらの鋼についても引張り強さが、
44.5Kgf/mm2、絞りが74%、限界加工率が57%と
十分な冷間加工性を得るものでなく、前記の電子
燃料噴射装置のボデイやコアーなどの複雑な形状
を有する部品を冷間鍛造することは困難であり、
より優れた冷間鍛造性と耐食性を有する軟磁性ス
テンレス鋼の開発が望まれていた。 (問題点を解決するための手段) 本発明はかかる従来鋼の欠点に鑑みてなしたも
のであり、本発明者等は、13Cr鋼の磁気特性と
冷間鍛造性に及ぼす各種合金元素の影響について
調査した結果、磁気特性は、Si、Al、Ti添加と
低C+N化によつて改善され、一方冷間鍛造性
は、Ti添加と低C+N化によつて改善され、Si、
Al添加は冷間鍛造性を大巾に損なうことを見い
出した。他方、低S化によつても冷間鍛造性が改
善されることを見い出した。 特に、TiはC+N量が0.06%程度と通常の値の
場合には冷間鍛造性は殆ど改善されず、しかも磁
気特性の改善もわずかである。ところが、C+N
量が0.04%以下と極低減においては0.1%程度の
Tiの添加によつて、磁気特性、冷間鍛造性とも
に大巾に向上する。Tiのこの作用は、相当量の
C+N量を含む場合、すべてのC+NをTiで固
定すると大きなTiC、TiNの析出物が形成されて
しまい、これによつて冷間鍛造性が低下してしま
うが、C+N量が0.04%以下と非常に少ない場合
にはすべてのC+NをTiで固定化すると無害で
小さなTiC、TiN析出物のみが形成され、もつぱ
らC+Nの侵入型の固溶強化作用のみが消減し
て、冷間鍛造性、磁気特性が大巾に向上すると考
えられる。 本発明はこれらの知見をもとに13Cr鋼におい
てS量を0.009%以下とし、C+N量を0.04%以
下とするとともに0.4〜1.5%のSiと0.02〜0.40%の
Tiを含有させ、磁気特性を大巾に改善すると同
時に冷間鍛造性を改善したものがあり、本発明鋼
は4000〓以上の最大透磁率と、11500G以上の磁
束密度(B10)と、1.20e以下の保持力と優れた磁
気特性を有し、かつ、冷間加工性についても引張
り強さが41.0Kg/mm2以下、絞りが77%以上、限界
加工率が62%以上と、優れた冷間鍛造性を有する
冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼であり、電磁バル
ブ、電磁クラツチ、内燃機関の電子燃料噴射装置
などに適した鋼である。 すなわち、本発明鋼は重量比にしてC0.03%以
下、Si0.40〜1.50%、Mn0.50%以下、Cr9.0〜19.0
%、Ti0.02〜0.40%、N0.03%以下、S0.009%以
下を含有し、かつ、C+N0.04%以下で、残部Fe
ならびに不純物元素からなるもので、第2発明鋼
は第1発明鋼にMo2.5%以下、Cu0.5%以下、
Ni0.5%以下のうち1種ないし2種以上を含有さ
せ、第1発明鋼の耐食性をさらに向上させたもの
で、第3発明鋼は第1発明鋼にPb0.10〜0.30%、
S0.010〜0.050%、Ca0.002〜0.02%、Te0.010〜
0.02%のうち1種ないし2種以上を含有させて、
第1発明鋼の切削性を改善したものである。 以下に本発明鋼の成分限定理由について説明す
る。 Cは、固溶強化作用によつて冷間鍛造性を害す
るとともに磁気特性にも悪影響を与える元素であ
り、本発明においてはできるだけ低下させること
が望ましくその上限を0.03%とした。なお、冷間
鍛造性、磁気特性をさらに向上させるためには好
ましくは0.15%以下にすることが望ましい。 Siは最大透磁率、磁束密度、保持力などの磁気
特性を改善し、しかも電気抵抗を増加させる元素
であり、軟磁性鋼としては重要な元素であり、少
なくとも0.40%以上含有させる必要がある。 しかし、Siは固溶強化作用によつて冷間鍛造性
を害する元素でもありその上限を1.50%とした。
MnはSiと同様に製鋼時の脱酸に必要な元素であ
り、磁気特性を損うことのない範囲とし、その上
限を0.50%とした。 Crはステンレス鋼の耐食性を付与する基本的
な元素であり、少なくとも9.0%以上含有させる
必要がある。 しかしながら、その含有量が増加すると磁束密
度など磁気特性を損うのでその上限を19.0%とし
た。なお、磁気特性をより向上させるためには好
ましくは14.0%以下にすることが望ましい。 Tiは最大透磁率、磁束密度、保持力などの磁
気特性を大巾に改善するとともにC+N量が0.04
%以下と極低域においては、C+Nを微細な炭窒
化物に固定化することによつて、引張り強さ、限
界加工率などの冷間鍛造性を大巾に改善する元素
であり、さらにTiは耐食性についても改善する
元素であり、本発明においては最も重要な元素で
ある。 これらの効果を得るには少なくとも0.02%以上
含有させる必要があり、その下限を0.02%とし
た。 なお、より優れた磁気特性、冷間鍛造性を得る
にはC+N量の5倍を目標に添加すべきであり、
0.05%以上含有させることが望ましい。 しかし、0.40%以上のTiを含有させてもその効
果が飽和するので、上限を0.40%とした。 NはCと同様に固溶強化作用によつて冷間鍛造
性を損う元素であり、本発明においてはできるだ
け低下させることが望ましくその上限を0.03%以
下とした。 なお、冷間鍛造性をより向上させるには0.020
%以下にすることが望ましい。 C+Nはいずれも固溶強化作用によつて冷間鍛
造を損う元素である。本発明においては引張り強
さ41.0Kg/mm2以下、限界加工率62%以上と優れた
冷間鍛造性を得ることを目的とするものであり、
C+N量をできるだけ低下させることが必要であ
り、上限を0.04%とした。 また、Sは切削性を改善する元素であるが、反
面、冷間鍛造性および耐食性を低下させる元素で
もある。優れた冷間鍛造性を得るためには、
0.009%以下に低下することが好ましく、その上
限を0.009%とした。 Mo、Cu、Nは、本発明において耐食性を改善
する元素である。 しかし、Moは2.5%、CuとNiはそれぞれ0.5%
を越えて含有させるといずれも磁気特性、冷間鍛
造性を損うのでその上限をMoは2.5%、Cu、Ni
は0.5%とした。 Pb、S、Ca、Teは被削性を改善する元素であ
る。優れた被削性を得るにはPbは0.10%以上、S
は0.010%、Caは0.002%、Teは0.01%以上含有さ
せる必要があり、その下限をPb0.10%、S0.010
%、Ca0.002%、Te0.01%とした。 しかし、Pbを0.30%、Teを0.20%越えて含有
させると磁気特性、冷間鍛造性を害し、かつSを
0.050%を越えて含有させると耐食性、冷間鍛造
性を損い、さらにCaは0.02%を越えて含有させる
と冷間鍛造性を損うので、その上限をPb0.30%
S0.050%、Ca0.02%、Te0.02%とした。 (実施例) つぎに本発明鋼の特徴を従来鋼、比較鋼と比べ
て実施例でもつて明らかにする。 第1表はこれらの供試鋼の化学成分を示すもの
である。
機関の電子燃料噴射装置等に用いられる冷間鍛造
性、磁気特性、耐食性に優れた冷間鍛造用軟磁性
ステンレス鋼に関する。 (従来技術) 従来、軟磁性ステンレス鋼に要求される特性と
して、最大透磁率、磁束密度および保持力などの
磁気特性と、電気抵抗、耐食性、被削性等があ
り、特に優れた磁気特性を得るため1si−0.20Al
−13Cr−0.02C鋼等が開発され一部、実用に供せ
られている。近年、軟磁性ステンレス鋼の用途開
発が進み、電子燃料噴射装置のボデイやコアーな
どの複雑な形状を有する部品に適用されるように
なり、前記特性に加えてさらに冷間鍛造性の優れ
た鋼の開発が要求されていた。 上記要求に対して、たとえば13Cr−1si−0.2Al
−0.2pb−0.01C鋼等のC量を0.01%程度まで低減
させた鋼が開発され、一部で使用されている。 (解決しようとする問題点) しかし、これらの鋼についても引張り強さが、
44.5Kgf/mm2、絞りが74%、限界加工率が57%と
十分な冷間加工性を得るものでなく、前記の電子
燃料噴射装置のボデイやコアーなどの複雑な形状
を有する部品を冷間鍛造することは困難であり、
より優れた冷間鍛造性と耐食性を有する軟磁性ス
テンレス鋼の開発が望まれていた。 (問題点を解決するための手段) 本発明はかかる従来鋼の欠点に鑑みてなしたも
のであり、本発明者等は、13Cr鋼の磁気特性と
冷間鍛造性に及ぼす各種合金元素の影響について
調査した結果、磁気特性は、Si、Al、Ti添加と
低C+N化によつて改善され、一方冷間鍛造性
は、Ti添加と低C+N化によつて改善され、Si、
Al添加は冷間鍛造性を大巾に損なうことを見い
出した。他方、低S化によつても冷間鍛造性が改
善されることを見い出した。 特に、TiはC+N量が0.06%程度と通常の値の
場合には冷間鍛造性は殆ど改善されず、しかも磁
気特性の改善もわずかである。ところが、C+N
量が0.04%以下と極低減においては0.1%程度の
Tiの添加によつて、磁気特性、冷間鍛造性とも
に大巾に向上する。Tiのこの作用は、相当量の
C+N量を含む場合、すべてのC+NをTiで固
定すると大きなTiC、TiNの析出物が形成されて
しまい、これによつて冷間鍛造性が低下してしま
うが、C+N量が0.04%以下と非常に少ない場合
にはすべてのC+NをTiで固定化すると無害で
小さなTiC、TiN析出物のみが形成され、もつぱ
らC+Nの侵入型の固溶強化作用のみが消減し
て、冷間鍛造性、磁気特性が大巾に向上すると考
えられる。 本発明はこれらの知見をもとに13Cr鋼におい
てS量を0.009%以下とし、C+N量を0.04%以
下とするとともに0.4〜1.5%のSiと0.02〜0.40%の
Tiを含有させ、磁気特性を大巾に改善すると同
時に冷間鍛造性を改善したものがあり、本発明鋼
は4000〓以上の最大透磁率と、11500G以上の磁
束密度(B10)と、1.20e以下の保持力と優れた磁
気特性を有し、かつ、冷間加工性についても引張
り強さが41.0Kg/mm2以下、絞りが77%以上、限界
加工率が62%以上と、優れた冷間鍛造性を有する
冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼であり、電磁バル
ブ、電磁クラツチ、内燃機関の電子燃料噴射装置
などに適した鋼である。 すなわち、本発明鋼は重量比にしてC0.03%以
下、Si0.40〜1.50%、Mn0.50%以下、Cr9.0〜19.0
%、Ti0.02〜0.40%、N0.03%以下、S0.009%以
下を含有し、かつ、C+N0.04%以下で、残部Fe
ならびに不純物元素からなるもので、第2発明鋼
は第1発明鋼にMo2.5%以下、Cu0.5%以下、
Ni0.5%以下のうち1種ないし2種以上を含有さ
せ、第1発明鋼の耐食性をさらに向上させたもの
で、第3発明鋼は第1発明鋼にPb0.10〜0.30%、
S0.010〜0.050%、Ca0.002〜0.02%、Te0.010〜
0.02%のうち1種ないし2種以上を含有させて、
第1発明鋼の切削性を改善したものである。 以下に本発明鋼の成分限定理由について説明す
る。 Cは、固溶強化作用によつて冷間鍛造性を害す
るとともに磁気特性にも悪影響を与える元素であ
り、本発明においてはできるだけ低下させること
が望ましくその上限を0.03%とした。なお、冷間
鍛造性、磁気特性をさらに向上させるためには好
ましくは0.15%以下にすることが望ましい。 Siは最大透磁率、磁束密度、保持力などの磁気
特性を改善し、しかも電気抵抗を増加させる元素
であり、軟磁性鋼としては重要な元素であり、少
なくとも0.40%以上含有させる必要がある。 しかし、Siは固溶強化作用によつて冷間鍛造性
を害する元素でもありその上限を1.50%とした。
MnはSiと同様に製鋼時の脱酸に必要な元素であ
り、磁気特性を損うことのない範囲とし、その上
限を0.50%とした。 Crはステンレス鋼の耐食性を付与する基本的
な元素であり、少なくとも9.0%以上含有させる
必要がある。 しかしながら、その含有量が増加すると磁束密
度など磁気特性を損うのでその上限を19.0%とし
た。なお、磁気特性をより向上させるためには好
ましくは14.0%以下にすることが望ましい。 Tiは最大透磁率、磁束密度、保持力などの磁
気特性を大巾に改善するとともにC+N量が0.04
%以下と極低域においては、C+Nを微細な炭窒
化物に固定化することによつて、引張り強さ、限
界加工率などの冷間鍛造性を大巾に改善する元素
であり、さらにTiは耐食性についても改善する
元素であり、本発明においては最も重要な元素で
ある。 これらの効果を得るには少なくとも0.02%以上
含有させる必要があり、その下限を0.02%とし
た。 なお、より優れた磁気特性、冷間鍛造性を得る
にはC+N量の5倍を目標に添加すべきであり、
0.05%以上含有させることが望ましい。 しかし、0.40%以上のTiを含有させてもその効
果が飽和するので、上限を0.40%とした。 NはCと同様に固溶強化作用によつて冷間鍛造
性を損う元素であり、本発明においてはできるだ
け低下させることが望ましくその上限を0.03%以
下とした。 なお、冷間鍛造性をより向上させるには0.020
%以下にすることが望ましい。 C+Nはいずれも固溶強化作用によつて冷間鍛
造を損う元素である。本発明においては引張り強
さ41.0Kg/mm2以下、限界加工率62%以上と優れた
冷間鍛造性を得ることを目的とするものであり、
C+N量をできるだけ低下させることが必要であ
り、上限を0.04%とした。 また、Sは切削性を改善する元素であるが、反
面、冷間鍛造性および耐食性を低下させる元素で
もある。優れた冷間鍛造性を得るためには、
0.009%以下に低下することが好ましく、その上
限を0.009%とした。 Mo、Cu、Nは、本発明において耐食性を改善
する元素である。 しかし、Moは2.5%、CuとNiはそれぞれ0.5%
を越えて含有させるといずれも磁気特性、冷間鍛
造性を損うのでその上限をMoは2.5%、Cu、Ni
は0.5%とした。 Pb、S、Ca、Teは被削性を改善する元素であ
る。優れた被削性を得るにはPbは0.10%以上、S
は0.010%、Caは0.002%、Teは0.01%以上含有さ
せる必要があり、その下限をPb0.10%、S0.010
%、Ca0.002%、Te0.01%とした。 しかし、Pbを0.30%、Teを0.20%越えて含有
させると磁気特性、冷間鍛造性を害し、かつSを
0.050%を越えて含有させると耐食性、冷間鍛造
性を損い、さらにCaは0.02%を越えて含有させる
と冷間鍛造性を損うので、その上限をPb0.30%
S0.050%、Ca0.02%、Te0.02%とした。 (実施例) つぎに本発明鋼の特徴を従来鋼、比較鋼と比べ
て実施例でもつて明らかにする。 第1表はこれらの供試鋼の化学成分を示すもの
である。
【表】
【表】
第1表においてA〜G鋼は本発明鋼で、H〜L
鋼は比較鋼で、M、N鋼は従来鋼である。 第2表は第1表の供試鋼について、900℃×
2Hr保持し、ついで冷却速度100℃/Hrという熱
処理を施したA〜N鋼の引張り強さ、絞り、限界
加工率、最大透磁率、磁束密度、保持力、耐食
性、電気抵抗を示したものである。引張り強さ、
絞りについては、JIS4号試験片を用いて測定した
ものであり、限界加工率については、日本塑性加
工加工学会冷間鍛造分科会基準、冷間据込み性試
験方法(暫定基準)にもとづいて、試験片として
直径14〓、高さ21mm、ノツチ付を用い、圧縮試験
を行い割れ発生率50%時の据込率を測定したもの
である。磁気特性については、直流型BHトレー
サーを用いて、試験片として外径24〓、内径
16φ、厚さ16mmのリングを作製し、最大透磁率、
磁束密度、保持力を測定したものである。 また、耐食性については、3.5%、NaCl、30℃
水溶液中に1Hr浸漬させ、その発銹率を測定し発
銹率が5%以下のものを〇、発銹率が5〜25%の
ものを〓とした。電気抵抗についてはホイースト
ンブツジ法により試験片として1.2〓×500mm線を
用いて測定したものである。
鋼は比較鋼で、M、N鋼は従来鋼である。 第2表は第1表の供試鋼について、900℃×
2Hr保持し、ついで冷却速度100℃/Hrという熱
処理を施したA〜N鋼の引張り強さ、絞り、限界
加工率、最大透磁率、磁束密度、保持力、耐食
性、電気抵抗を示したものである。引張り強さ、
絞りについては、JIS4号試験片を用いて測定した
ものであり、限界加工率については、日本塑性加
工加工学会冷間鍛造分科会基準、冷間据込み性試
験方法(暫定基準)にもとづいて、試験片として
直径14〓、高さ21mm、ノツチ付を用い、圧縮試験
を行い割れ発生率50%時の据込率を測定したもの
である。磁気特性については、直流型BHトレー
サーを用いて、試験片として外径24〓、内径
16φ、厚さ16mmのリングを作製し、最大透磁率、
磁束密度、保持力を測定したものである。 また、耐食性については、3.5%、NaCl、30℃
水溶液中に1Hr浸漬させ、その発銹率を測定し発
銹率が5%以下のものを〇、発銹率が5〜25%の
ものを〓とした。電気抵抗についてはホイースト
ンブツジ法により試験片として1.2〓×500mm線を
用いて測定したものである。
【表】
【表】
第2表より知られるように、従来鋼でるM鋼は
最大透磁率が4400(〓)、磁束密度が11800G保持
力が1.20eと磁気特性については優れているが、
必要量のTiを含有しないことによつて引張り強
さが44.5Kgf/mm2、絞りが74%、限界加工率が57
%と冷間鍛造性について劣るものであり、またN
鋼はSi量が0.35%と低く、かつ必要量のTiを含有
していないため最大透磁率、磁束密度、保持力な
どの磁気特性については大巾に劣るものであり、
かつ引張り強さが45.7Kgf/mm2と冷間鍛造性につ
いても劣るものである。 また、比較鋼であるH鋼は必要以上のSiを含有
することによつて最大透磁率が3800(〓)、保持力
が1.30eと磁気特性が劣り、かつ引張り強さ、限
界加工率についても劣るものであり、I鋼は必要
量のSiを含有しないことによつて最大透磁率が
3300(〓)、保持力が1.50eと磁気特性が劣つてお
り、J鋼は必要量のTiを含有しないことによつ
て磁気特性、冷間鍛造性、耐食性のいずれについ
ても劣つており、K鋼はC+Nが0.046%と高い
ことによつて最大透磁率が2800(〓)、限界加工率
が59.7(%)と磁気特性、冷間鍛造性が劣つてお
り、L鋼はMn含有量が0.82%と高いことにより
最大透磁率が3200(〓)、磁束密度が9500G、保持
力が2.10eと磁気特性が劣るものである。 (本発明の効果) これらに対して本発明鋼であるA〜G鋼は、
C、N等の固溶強化作用によつて冷間鍛造性を劣
化させる元素の含有量を極力低下させるとともに
0.009%以下のS、0.02〜0.40%のTi、0.40%〜
1.50%のSi、0.50%以下のMn、9.0〜19.0%のCr
を含有させたことによつて引張り強さが40Kgf/
mm2以下、絞りが77(%)以上、限界加工率が62%
以上と優れた冷間鍛造性を有しており、磁気特性
についても最大透磁率が4600(〓)以上、磁束密
度11800G以上、かつ保持力が、1.20e以下と優れ
ており、さらに耐食性、電気抵抗についても優れ
ているものである。 上述のように、本発明鋼はC、Nの含有量を極
力抵減させるとともに適量のTiを含有させ、さ
らにSの含有量をも低減させ、かつSi、Mnの上
限を規制することによつて磁気特性を損うことな
く冷間鍛造性を改善したものであり、かつ適量の
CrとTiを含有させることによつて耐食性につい
ても優れており、本発明鋼は電磁バルブ、電磁ク
ラツチ、内燃機関の電子燃料噴射装置等に適した
冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼であり高い実用性
を有するものである。
最大透磁率が4400(〓)、磁束密度が11800G保持
力が1.20eと磁気特性については優れているが、
必要量のTiを含有しないことによつて引張り強
さが44.5Kgf/mm2、絞りが74%、限界加工率が57
%と冷間鍛造性について劣るものであり、またN
鋼はSi量が0.35%と低く、かつ必要量のTiを含有
していないため最大透磁率、磁束密度、保持力な
どの磁気特性については大巾に劣るものであり、
かつ引張り強さが45.7Kgf/mm2と冷間鍛造性につ
いても劣るものである。 また、比較鋼であるH鋼は必要以上のSiを含有
することによつて最大透磁率が3800(〓)、保持力
が1.30eと磁気特性が劣り、かつ引張り強さ、限
界加工率についても劣るものであり、I鋼は必要
量のSiを含有しないことによつて最大透磁率が
3300(〓)、保持力が1.50eと磁気特性が劣つてお
り、J鋼は必要量のTiを含有しないことによつ
て磁気特性、冷間鍛造性、耐食性のいずれについ
ても劣つており、K鋼はC+Nが0.046%と高い
ことによつて最大透磁率が2800(〓)、限界加工率
が59.7(%)と磁気特性、冷間鍛造性が劣つてお
り、L鋼はMn含有量が0.82%と高いことにより
最大透磁率が3200(〓)、磁束密度が9500G、保持
力が2.10eと磁気特性が劣るものである。 (本発明の効果) これらに対して本発明鋼であるA〜G鋼は、
C、N等の固溶強化作用によつて冷間鍛造性を劣
化させる元素の含有量を極力低下させるとともに
0.009%以下のS、0.02〜0.40%のTi、0.40%〜
1.50%のSi、0.50%以下のMn、9.0〜19.0%のCr
を含有させたことによつて引張り強さが40Kgf/
mm2以下、絞りが77(%)以上、限界加工率が62%
以上と優れた冷間鍛造性を有しており、磁気特性
についても最大透磁率が4600(〓)以上、磁束密
度11800G以上、かつ保持力が、1.20e以下と優れ
ており、さらに耐食性、電気抵抗についても優れ
ているものである。 上述のように、本発明鋼はC、Nの含有量を極
力抵減させるとともに適量のTiを含有させ、さ
らにSの含有量をも低減させ、かつSi、Mnの上
限を規制することによつて磁気特性を損うことな
く冷間鍛造性を改善したものであり、かつ適量の
CrとTiを含有させることによつて耐食性につい
ても優れており、本発明鋼は電磁バルブ、電磁ク
ラツチ、内燃機関の電子燃料噴射装置等に適した
冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼であり高い実用性
を有するものである。
第1図は最大透磁率、磁束密度とSi、Ti量と
の関係を示した線図で、第2図は限界加工率と
Si、Ti量との関係を示した線図で、第3図は限
界加工率の向上とC+N量との関係を示した線図
である。
の関係を示した線図で、第2図は限界加工率と
Si、Ti量との関係を示した線図で、第3図は限
界加工率の向上とC+N量との関係を示した線図
である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比にしてC0.03%以下、Si0.40〜1.50%、
Mn0.50%以下、Cr9.0〜19.0%、Ti0.02〜0.40%、
N0.03%以下、S0.009%以下を含有し、かつC+
N0.04%以下で、残部Feならびに不純物元素から
なることを特徴とする冷間鍛造用軟磁性ステンレ
ス鋼。 2 重量比にしてC0.03%以下、Si0.40〜1.50%、
Mn0.50%以下、Cr9.0〜19.0%、Ti0.02〜0.40%、
N0.03%以下、S0.009%以下を含有し、かつC+
N0.04%以下で、さらにMo2.5%以下、Cu0.5%以
下、Ni0.5%以下のうち1種ないし2種以上を含
有し、残部Feならびに不純物元素からなること
を特徴とする冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼。 3 重量比にしてC0.03%以下、Si0.40〜1.50%、
Mn0.50%以下、Cr9.0〜19.0%、Ti0.02〜0.40%、
N0.03%以下を含有し、かつC+N0.04%以下で、
さらにPb0.10〜0.30%、S0.010〜0.050%、
Ca0.002〜0.02%、Te0.01〜0.20%以下のうち1
種ないし2種以上を含有し、残部Feならびに不
純物元素からなることを特徴とする冷間鍛造用軟
磁性ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60058993A JPS61217552A (ja) | 1985-03-23 | 1985-03-23 | 冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60058993A JPS61217552A (ja) | 1985-03-23 | 1985-03-23 | 冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61217552A JPS61217552A (ja) | 1986-09-27 |
JPH0521975B2 true JPH0521975B2 (ja) | 1993-03-26 |
Family
ID=13100368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60058993A Granted JPS61217552A (ja) | 1985-03-23 | 1985-03-23 | 冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61217552A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0765144B2 (ja) * | 1986-10-07 | 1995-07-12 | 大同特殊鋼株式会社 | 冷間鍛造用ステンレス鋼 |
CN102723158B (zh) * | 2012-07-06 | 2015-12-02 | 白皞 | 含稀土的高磁导率Ni-Fe软磁合金及其制备方法和用途 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS518736A (ja) * | 1974-07-11 | 1976-01-23 | Nippon Hodo | Asufuarutofuinitsushaano hosohabajizaichoseisochi |
JPS5263813A (en) * | 1975-11-22 | 1977-05-26 | Nisshin Steel Co Ltd | High cr ferritic soft magnetic steel |
JPS5319914A (en) * | 1976-08-10 | 1978-02-23 | Nisshin Steel Co Ltd | Low chrome ferritic soft magnetic steel |
JPS5414569A (en) * | 1977-06-29 | 1979-02-02 | Yoshio Nakamura | Kombu saving machine |
JPS59232258A (ja) * | 1983-06-14 | 1984-12-27 | Sanyo Tokushu Seikou Kk | 靭性にすぐれた快削・耐食軟磁性棒管用鋼 |
-
1985
- 1985-03-23 JP JP60058993A patent/JPS61217552A/ja active Granted
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS518736A (ja) * | 1974-07-11 | 1976-01-23 | Nippon Hodo | Asufuarutofuinitsushaano hosohabajizaichoseisochi |
JPS5263813A (en) * | 1975-11-22 | 1977-05-26 | Nisshin Steel Co Ltd | High cr ferritic soft magnetic steel |
JPS5319914A (en) * | 1976-08-10 | 1978-02-23 | Nisshin Steel Co Ltd | Low chrome ferritic soft magnetic steel |
JPS5414569A (en) * | 1977-06-29 | 1979-02-02 | Yoshio Nakamura | Kombu saving machine |
JPS59232258A (ja) * | 1983-06-14 | 1984-12-27 | Sanyo Tokushu Seikou Kk | 靭性にすぐれた快削・耐食軟磁性棒管用鋼 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61217552A (ja) | 1986-09-27 |
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