JPH10237603A - 耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼Info
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- JPH10237603A JPH10237603A JP7430997A JP7430997A JPH10237603A JP H10237603 A JPH10237603 A JP H10237603A JP 7430997 A JP7430997 A JP 7430997A JP 7430997 A JP7430997 A JP 7430997A JP H10237603 A JPH10237603 A JP H10237603A
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- Japan
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- less
- corrosion resistance
- stainless steel
- sulfide
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被削性を確保しつつ、硫化物の耐食性を向上さ
せ、且つ、硫化水素の発生を抑えたフェライト系快削ス
テンレス鋼を提供する。 【解決手段】C、N、Si、Mn、Cr、S、Se、M
o、Nb、Ta、Ti、V、W、Cu、Ni、B、M
g、Al、O、Pb、Bi、Te、Caの重量%を特定
し、硫化物、セレン化物中に20%以上のCrを含有
し、且つ、長さ10μm以上の硫化物、セレン化物系の
介在物の個数割合が80%以上であることを特徴とする
残部実質的にFeから成る組成を有することを特徴とす
る耐食住に優れた決削フェライト系ステンレス鋼。
せ、且つ、硫化水素の発生を抑えたフェライト系快削ス
テンレス鋼を提供する。 【解決手段】C、N、Si、Mn、Cr、S、Se、M
o、Nb、Ta、Ti、V、W、Cu、Ni、B、M
g、Al、O、Pb、Bi、Te、Caの重量%を特定
し、硫化物、セレン化物中に20%以上のCrを含有
し、且つ、長さ10μm以上の硫化物、セレン化物系の
介在物の個数割合が80%以上であることを特徴とする
残部実質的にFeから成る組成を有することを特徴とす
る耐食住に優れた決削フェライト系ステンレス鋼。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐食性に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼に関する。
フェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】SUS430Fに代表される従来のフェ
ライト系快削ステンレス鋼は、被削性が非常に優れる反
面、硫化物等の非金属介在物が孔食の起点となり耐食性
が劣化するため、例えば、屋内で使用される部品等に適
用範囲が限られていた。また、硫黄系快削ステンレス鋼
の不動態化処理品等では、高温多湿環境下で、硫化水素
を放出するため、電気製品に使用される銅線を腐食する
問題がある。
ライト系快削ステンレス鋼は、被削性が非常に優れる反
面、硫化物等の非金属介在物が孔食の起点となり耐食性
が劣化するため、例えば、屋内で使用される部品等に適
用範囲が限られていた。また、硫黄系快削ステンレス鋼
の不動態化処理品等では、高温多湿環境下で、硫化水素
を放出するため、電気製品に使用される銅線を腐食する
問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、被削性を確
保しつつ、硫化物の耐食性を向上させ、且つ、硫化水素
の発生を抑えたフェライト系快削ステンレス鋼を提供す
る。
保しつつ、硫化物の耐食性を向上させ、且つ、硫化水素
の発生を抑えたフェライト系快削ステンレス鋼を提供す
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明は、重量%でC:0.12%以下、N:0.0
5%以下、Si:0.10〜2.0%、Mn:1.0%
以下、Cr:15.0〜25.0%を含有させ、S :
0.50%以下、Se:0.30%以下(但し、S+S
e≧0.10%)の量で何れか一種または二種を添加さ
せ、Mn/(S+Se)比を2以下に調整し、硫化物、
セレン化物中に20%以上のCrを含有し、且つ、長さ
10μm以上の硫化物、セレン化物系の介在物の個数割
合が80%以上であることを特徴とする残部実質的にF
eから成る組成を有する耐食住に優れた快削フェライト
系ステンレス鋼を提供する。(請求項1)
の本発明は、重量%でC:0.12%以下、N:0.0
5%以下、Si:0.10〜2.0%、Mn:1.0%
以下、Cr:15.0〜25.0%を含有させ、S :
0.50%以下、Se:0.30%以下(但し、S+S
e≧0.10%)の量で何れか一種または二種を添加さ
せ、Mn/(S+Se)比を2以下に調整し、硫化物、
セレン化物中に20%以上のCrを含有し、且つ、長さ
10μm以上の硫化物、セレン化物系の介在物の個数割
合が80%以上であることを特徴とする残部実質的にF
eから成る組成を有する耐食住に優れた快削フェライト
系ステンレス鋼を提供する。(請求項1)
【0005】本発明は、更にMo:1.0%以下の量で
含有させても良い。(請求項2)
含有させても良い。(請求項2)
【0006】本発明は、第1項又は第2項の鋼に、更に
Nb+Ta:0.3%以下、Ti:0.3%以下、V
:0.3%以下、W :0.3%以下の量で何れか1
種または2種以上を、C+Nの5倍未満の重量%を含有
させても良い。(請求項3)
Nb+Ta:0.3%以下、Ti:0.3%以下、V
:0.3%以下、W :0.3%以下の量で何れか1
種または2種以上を、C+Nの5倍未満の重量%を含有
させても良い。(請求項3)
【0007】本発明は、第1項から第3項の鋼に、更に
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下の量で何れか
1種または2種を含有させさせても良い。(請求項4)
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下の量で何れか
1種または2種を含有させさせても良い。(請求項4)
【0008】本発明は、第1項〜第4項の鋼に、更に
B:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.
02%の量で何れか1種または2種を含有させさせても
良い。(請求項5)
B:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.
02%の量で何れか1種または2種を含有させさせても
良い。(請求項5)
【0009】本発明は、第1項〜第5項の鋼に、更にA
l:0.003〜0.020%、O:0.003〜0.
030%の量で何れか1種または2種を含有させても良
い。(請求項6)
l:0.003〜0.020%、O:0.003〜0.
030%の量で何れか1種または2種を含有させても良
い。(請求項6)
【0010】本発明は、第1項〜第6項の鋼に、更にP
b:0.30%以下、Bi:0.30%以下、Te:
0.15%以下、Ca:0.0 3%以下の量で何れか
1種または2種以上を含有させても良い。(請求項7)
b:0.30%以下、Bi:0.30%以下、Te:
0.15%以下、Ca:0.0 3%以下の量で何れか
1種または2種以上を含有させても良い。(請求項7)
【0011】
【作用および発明の効果】本発明の成分範囲の限定理由
を述べる。
を述べる。
【0012】C:0.12%以下 Cは、代表的な固溶強化元素であるが、耐食性及び常温
靭性を低下させるといった害が大きいため低い方が望ま
しい。しかし、極端に低減することは製造コストを上げ
るため精錬技術を考慮し、その上限を0.12%とす
る。
靭性を低下させるといった害が大きいため低い方が望ま
しい。しかし、極端に低減することは製造コストを上げ
るため精錬技術を考慮し、その上限を0.12%とす
る。
【0013】N:0.05%以下 Nは、代表的な固溶強化元素であるが、耐食性及び常温
靭性を低下させるといった害が大きいため低い方が望ま
しい。しかし、極端に低減することは製造コストを上げ
るため精錬技術を考慮し、その上限を0.05%とす
る。
靭性を低下させるといった害が大きいため低い方が望ま
しい。しかし、極端に低減することは製造コストを上げ
るため精錬技術を考慮し、その上限を0.05%とす
る。
【0014】Si:0.10〜2.0% Siは、固溶強化元素であり、且つ脱酸剤である。必要
とされる強度に応じて添加しても良い。但し、2.0%
を超えた添加は熱間加工性を低下させるため、その上限
を2.0%とする。また、0.10%未満では、脱酸剤
として十分出ないため、その下限を0.10%とする。
とされる強度に応じて添加しても良い。但し、2.0%
を超えた添加は熱間加工性を低下させるため、その上限
を2.0%とする。また、0.10%未満では、脱酸剤
として十分出ないため、その下限を0.10%とする。
【0015】Mn:1.0%以下 Mnは、S、Seと化合物を生成し、被削性向上の補助
的な役割を持つ元素であるが、その化合物が耐孔食性に
劣化させるため、その量をMn/(S+Se)≦2に規
制することで、MnがCrと置換し(Mn、Cr)
(S、Se)化合物を生成し、耐孔食性を向上させる。
しかし、1.0%を超える添加は、上記式を満たすS添
加が、熱間加工性を害するため、その上限を1.0%と
した。
的な役割を持つ元素であるが、その化合物が耐孔食性に
劣化させるため、その量をMn/(S+Se)≦2に規
制することで、MnがCrと置換し(Mn、Cr)
(S、Se)化合物を生成し、耐孔食性を向上させる。
しかし、1.0%を超える添加は、上記式を満たすS添
加が、熱間加工性を害するため、その上限を1.0%と
した。
【0016】Cr:15.0〜25.0% Crは、耐食性の確保に必須の元素であり、十分な耐食
性を持たせるためには15.0%以上の添加が必要であ
るが、25.0%を超えるとコストが高くなり、また、
熱間加工性が劣化するため、その範囲を15.0%〜2
5.0%とした。
性を持たせるためには15.0%以上の添加が必要であ
るが、25.0%を超えるとコストが高くなり、また、
熱間加工性が劣化するため、その範囲を15.0%〜2
5.0%とした。
【0017】S:0.50%以下 Sは、快削元素であり、鋼中で主に(Mn、Cr)Sを
形成し切り屑の切れ性を良くし工具寿命を伸ばす。しか
し、0.50%を超えた添加は熱間加工性を著しく低下
させるので、その上限を0.50%とする。
形成し切り屑の切れ性を良くし工具寿命を伸ばす。しか
し、0.50%を超えた添加は熱間加工性を著しく低下
させるので、その上限を0.50%とする。
【0018】Se:0.30%以下 Seは、快削元素であり、鋼中で主に(Mn、Cr)S
eを形成し切り屑の切れ性を良くし工具寿命を伸ばす。
しかし、0.30%を超えた添加は熱間加工性を著しく
低下させるので、その上限を0.30%とする。尚、
S、Seは、その添加量の総和が0.10%未満では十
分な被削性が得られないため、その総和をS+Se≧
0.10%とする。
eを形成し切り屑の切れ性を良くし工具寿命を伸ばす。
しかし、0.30%を超えた添加は熱間加工性を著しく
低下させるので、その上限を0.30%とする。尚、
S、Seは、その添加量の総和が0.10%未満では十
分な被削性が得られないため、その総和をS+Se≧
0.10%とする。
【0019】ここで、Mn/(S+Se)≦2に限定し
た理由は、Mn/(S+Se)が小さくなるに従って、
化合物中のMnがCrと置換し、Crの含有量が増加す
ることで化合物の耐孔食性が向上するためである。Mn
/(S+Se)>2場合、化合物中のCr含有量が少な
く十分な耐孔食性が得られないため、その上限を2とし
た。被削性は、硫化物、セレン化物が大きいほど優れる
ため、熱間加工後の冷却速度を調整し、長さ10μm以
上の硫化物、セレン化物系の介在物の個数割合が80%
以上とする。
た理由は、Mn/(S+Se)が小さくなるに従って、
化合物中のMnがCrと置換し、Crの含有量が増加す
ることで化合物の耐孔食性が向上するためである。Mn
/(S+Se)>2場合、化合物中のCr含有量が少な
く十分な耐孔食性が得られないため、その上限を2とし
た。被削性は、硫化物、セレン化物が大きいほど優れる
ため、熱間加工後の冷却速度を調整し、長さ10μm以
上の硫化物、セレン化物系の介在物の個数割合が80%
以上とする。
【0020】Mo:1.0%以下 Moは、固溶強化元素であり、強度を向上させる。ま
た、耐食性も向上させるため必要に応じてその添加量を
調整して良い。但し、1.0%を超えた添加はコスト高
になるため、その上限を1.0%とする。
た、耐食性も向上させるため必要に応じてその添加量を
調整して良い。但し、1.0%を超えた添加はコスト高
になるため、その上限を1.0%とする。
【0021】Nb+Ta:0.3%以下、Ti:0.3
%以下、V:0.3%以下、W:0.3%以下 Nb+Ta、Ti、V、Wの適量の添加は、炭窒化物の
生成により、C、Nの固溶量が減少し、母相を軟化さ
せ、被削性の向上に寄与する。しかしその総和が重量%
でC+Nの5倍以上では、逆に余剰Nb+Ta、Ti、
V、Wの固溶強化により、被削性が劣化するためその範
囲をNb+Ta+Ti+V+W<5とする。
%以下、V:0.3%以下、W:0.3%以下 Nb+Ta、Ti、V、Wの適量の添加は、炭窒化物の
生成により、C、Nの固溶量が減少し、母相を軟化さ
せ、被削性の向上に寄与する。しかしその総和が重量%
でC+Nの5倍以上では、逆に余剰Nb+Ta、Ti、
V、Wの固溶強化により、被削性が劣化するためその範
囲をNb+Ta+Ti+V+W<5とする。
【0022】Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下 Cu、Niは、耐食性の向上に寄与するが、オーステナ
イト生成元素であり、フェライト相を不安定にするた
め、その上限を1.0%とした。
イト生成元素であり、フェライト相を不安定にするた
め、その上限を1.0%とした。
【0023】B:0.001〜0.02%、Mg:0.
001〜0.02% B、Mgは、熱間加工性を向上させる元素である。その
効果は、0.001%未満では小さく、0.02%を超
えると、逆に熱間加工住を害するため、その範囲を0.
001〜0.02%とする。
001〜0.02% B、Mgは、熱間加工性を向上させる元素である。その
効果は、0.001%未満では小さく、0.02%を超
えると、逆に熱間加工住を害するため、その範囲を0.
001〜0.02%とする。
【0024】Al:0.003〜0.020%、O:
0.003〜0.030% AlはOと酸化物を生成し、硫化物、セレン化物の核と
なる。0.003%未満では効果が薄く、0.020%
以上では逆に被削性を劣化させるためその範囲を0.0
03〜0.020%とする。また、酸素は、酸化物を生
成させるため必要な元素であり、0.003%未満では
効果が薄く、0.030%超えると被削性を劣化させる
ためその範囲を0.003〜0.030%とする。
0.003〜0.030% AlはOと酸化物を生成し、硫化物、セレン化物の核と
なる。0.003%未満では効果が薄く、0.020%
以上では逆に被削性を劣化させるためその範囲を0.0
03〜0.020%とする。また、酸素は、酸化物を生
成させるため必要な元素であり、0.003%未満では
効果が薄く、0.030%超えると被削性を劣化させる
ためその範囲を0.003〜0.030%とする。
【0025】Pb、Bi:0.30%以下 Pb、Biは、快削元素であり、鋼中にPb、Bi単体
で分散し、工具と切り屑間の潤滑作用により工具寿命を
伸ばす。しかし、0.30%を超えた添加は熱間加工性
を著しく低下させるので、その上限を0.30%とす
る。
で分散し、工具と切り屑間の潤滑作用により工具寿命を
伸ばす。しかし、0.30%を超えた添加は熱間加工性
を著しく低下させるので、その上限を0.30%とす
る。
【0026】Te:0.15%以下 Teは、S、Se系快削ステンレス鋼中で、硫化物、セ
レン化物を球状化させ、材料強度の異方性を小さくし、
加工性、被削性を向上させる。しかし、0.15%を超
えると、その効果が飽和することから、その上限を0.
15%とする。また、Pb単味の快削ステンレス鋼には
添加する必要は無い。
レン化物を球状化させ、材料強度の異方性を小さくし、
加工性、被削性を向上させる。しかし、0.15%を超
えると、その効果が飽和することから、その上限を0.
15%とする。また、Pb単味の快削ステンレス鋼には
添加する必要は無い。
【0027】Ca:0.03%以下 Caは、被削性を向上させる元素である。しかし、多量
の添加は酸化物の生成で歩留まりが悪くなるため、その
上限を0.03%とする。
の添加は酸化物の生成で歩留まりが悪くなるため、その
上限を0.03%とする。
【0028】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。表1に示す化学成分のものを
50kg高周波誘導炉で溶製した後、50kg鋼塊に鋳
造し、グリーブル試験片を採取。続いて残りの鋼片を一
辺60mmの角材と直径20mmの丸棒に鍛伸、900
℃まで徐冷し、780℃×4Hr加熱冷却の熱処理を施
し、その後、角材よりドリル寿命試験片を、丸棒より引
張試験片、塩水噴霧試験片を採取した。
にその実施例を詳述する。表1に示す化学成分のものを
50kg高周波誘導炉で溶製した後、50kg鋼塊に鋳
造し、グリーブル試験片を採取。続いて残りの鋼片を一
辺60mmの角材と直径20mmの丸棒に鍛伸、900
℃まで徐冷し、780℃×4Hr加熱冷却の熱処理を施
し、その後、角材よりドリル寿命試験片を、丸棒より引
張試験片、塩水噴霧試験片を採取した。
【0029】ここで、グリーブル試験は、M6×110
1の試験片を採取し、100secで所望の温度に加
熱、60sec保持後に2in/secの速度で引っ張
った。その時の絞り値が60%以上である温度範囲が2
00℃以上ある場合に熱間加工良好と判断した。ドリル
寿命試験はφ5のドリル(SKH51)を使用し、潤滑
油を用いず、切削不能になる切削距離が1000mmと
なる(VL=1000)切削速度を、比較鋼1を1.0
として比較した。塩水噴霧試験は、JIS Z2371
に沿って実施した。試験後の評価は、A:腐食せず、
B:若干の腐食あり、C:腐食あり、D:全面腐食の四
段階で評価した。また、硫化水素ガス放出性は、少量の
純水を入れたビーカーに、10mm四方の薄い銀板とφ
20×50lの60℃の30%硝酸水溶液中で1Hr不
動態化処理を施した供試材を、純水に触れないように底
上げした試料台の上に、お互い接触しないように入れた
後、ビーカーの蓋を閉じて、80℃の恒温槽に24Hr
放置後、銀板の変色の有無を確認した。硫化物、セレン
化物中のCr含有量は、EPMAにて分析した。それら
の結果を表2に示す。
1の試験片を採取し、100secで所望の温度に加
熱、60sec保持後に2in/secの速度で引っ張
った。その時の絞り値が60%以上である温度範囲が2
00℃以上ある場合に熱間加工良好と判断した。ドリル
寿命試験はφ5のドリル(SKH51)を使用し、潤滑
油を用いず、切削不能になる切削距離が1000mmと
なる(VL=1000)切削速度を、比較鋼1を1.0
として比較した。塩水噴霧試験は、JIS Z2371
に沿って実施した。試験後の評価は、A:腐食せず、
B:若干の腐食あり、C:腐食あり、D:全面腐食の四
段階で評価した。また、硫化水素ガス放出性は、少量の
純水を入れたビーカーに、10mm四方の薄い銀板とφ
20×50lの60℃の30%硝酸水溶液中で1Hr不
動態化処理を施した供試材を、純水に触れないように底
上げした試料台の上に、お互い接触しないように入れた
後、ビーカーの蓋を閉じて、80℃の恒温槽に24Hr
放置後、銀板の変色の有無を確認した。硫化物、セレン
化物中のCr含有量は、EPMAにて分析した。それら
の結果を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表2に示すように、請求範囲外の比較鋼
は、熱間加工性、硬さ、被削性、耐食性のいずれかに問
題があることがわかる。
は、熱間加工性、硬さ、被削性、耐食性のいずれかに問
題があることがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明は、耐食性の
低下させないフェライト系快削ステンレス鋼が提供で
き、耐食性や硫化水素ガス発生が問題となる切削部品等
に最適である。
低下させないフェライト系快削ステンレス鋼が提供で
き、耐食性や硫化水素ガス発生が問題となる切削部品等
に最適である。
Claims (7)
- 【請求項1】重量%で C:0.12%以下 N:0.05%以下 Si:0.10〜2.0% Mn:1.0%以下 Cr:15.0〜25.0% の量で含有させ、S、Seの何れか一種または二種を S :0.50%以下 Se:0.30%以下(但し、S+Se≧0.10%) の量で、Mn/(S+Se)比を2以下に調整し、硫化
物、セレン化物中に20%以上のCrを含有し、且つ、
長さ10μm以上の硫化物、セレン化物系の介在物の個
数割合が80%以上であることを特徴とする残部実質的
にFeから成る組成を有する耐食性に優れた快削フェラ
イト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】請求項1の成分に加え更にMoを Mo:1.0%以下 の量で、含有させたことを特徴とする耐食性に優れた快
削フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】請求項1または2の成分に加え更にNb+
Ta、Ti、V、Wの何れか1種または2種以上を Nb+Ta:0.3%以下 Ti:0.3%以下 V :0.3%以下 W :0.3%以下 の量で、C+Nの5倍未満の重量%を含有させたことを
特徴とする耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス
鋼。 - 【請求項4】請求項1又は2又は3の成分に加え更にC
u、Niの何れか1種または2種を Cu:1.0%以下 Ni:1.0%以下 の量で含有させたことを特徴とする耐食住に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項5】請求項1又は2又は3又は4の成分に加え
更にB、Mgの何れか1種または2種を B:0.001〜0.02% Mg:0.001〜0.02% の量で含有させたことを特徴とする耐食性に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項6】請求項1又は2又は3又は4又は5の成分
に加え更にAl、Oの何れか1種または2種を Al:0.003〜0.020% O :0.003〜0.030% の量で含有させたことを特徴とする耐食性に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項7】請求項1又は2又は3又は4又は5又は6
の成分に加え更にPb、Bi、Te、Caの何れか1種
または2種以上を Pb:0.30%以下 Bi:0.30%以下 Te:0.15%以下 Ca:0.0 3%以下 の量で含有させたことを特徴とする耐食性に優れた快削
フェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7430997A JPH10237603A (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7430997A JPH10237603A (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10237603A true JPH10237603A (ja) | 1998-09-08 |
Family
ID=13543409
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7430997A Pending JPH10237603A (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 耐食性に優れた快削フェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10237603A (ja) |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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