JP2008274361A - フェライト系快削ステンレス鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性を劣化させることなく、Pb快削鋼と同等の切削性を有するフェライト系快削ステンレス鋼を提供すること。
【解決手段】C≦0.200mass%、0.01≦Si≦5.00mass%、0.01≦Mn≦5.00mass%、Ni≦5.00mass%7.50≦Cr≦30.00mass%、N≦0.027mass%、Al≦0.300mass%、0.0050≦O≦0.1000mass%、及び、0.0020≦B≦0.1000mass%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、B濃度([B])に対するO濃度([O])の比が(1)式を満たすフェライト系快削ステンレス鋼。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
【選択図】なし
【解決手段】C≦0.200mass%、0.01≦Si≦5.00mass%、0.01≦Mn≦5.00mass%、Ni≦5.00mass%7.50≦Cr≦30.00mass%、N≦0.027mass%、Al≦0.300mass%、0.0050≦O≦0.1000mass%、及び、0.0020≦B≦0.1000mass%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、B濃度([B])に対するO濃度([O])の比が(1)式を満たすフェライト系快削ステンレス鋼。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
【選択図】なし
Description
本発明は、フェライト系快削ステンレス鋼に関する。
フェライト系ステンレス鋼は、Cr、Mo等の合金元素を相当量含有しているため、素材自体が普通鋼と比較して高価である。そのため、部材全体の製造コストの低廉化のためには、加工性の向上が重要である。従来から、快削性が求められる用途には、Pb、Sなどの被削性向上元素を添加した快削ステンレス鋼(例えば、SUS430Fなど)が用いられてきた。
しかしながら、代表的な快削元素Pbは、近年、環境問題の観点から鋼材への添加が好まれていない。また、快削元素Sは、鋼中でMnSを始めとする硫化物の形態をとり、被削性を向上させる作用がある。しかしながら、多量の硫化物は、ステンレス鋼の最大の特徴である耐食性を低下させるので、その添加量には限りがある。さらに、各種快削元素の添加は、熱間加工性を低下させる場合がある。
しかしながら、代表的な快削元素Pbは、近年、環境問題の観点から鋼材への添加が好まれていない。また、快削元素Sは、鋼中でMnSを始めとする硫化物の形態をとり、被削性を向上させる作用がある。しかしながら、多量の硫化物は、ステンレス鋼の最大の特徴である耐食性を低下させるので、その添加量には限りがある。さらに、各種快削元素の添加は、熱間加工性を低下させる場合がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、C:0.012〜0.039mass%、Si:0.20〜0.56mass%、Mn:0.19〜0.42mass%、S:0.187〜0.369mass%、Cr:17.25〜23.46mass%、B:0.0151〜0.0408mass%、N:0.028〜0.067mass%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mn/S比が0.77〜1.31であるアウトガス特性に優れた非Pb快削ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、B及びNを所定量添加することによって、BNが生成し、BNと硫化物の複合効果により飛躍的に被削性が改善される点、及び、O量が多すぎると、酸化物量が増加して被削性を低下させる点が記載されている。
例えば、特許文献1には、C:0.012〜0.039mass%、Si:0.20〜0.56mass%、Mn:0.19〜0.42mass%、S:0.187〜0.369mass%、Cr:17.25〜23.46mass%、B:0.0151〜0.0408mass%、N:0.028〜0.067mass%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mn/S比が0.77〜1.31であるアウトガス特性に優れた非Pb快削ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、B及びNを所定量添加することによって、BNが生成し、BNと硫化物の複合効果により飛躍的に被削性が改善される点、及び、O量が多すぎると、酸化物量が増加して被削性を低下させる点が記載されている。
また、特許文献2には、C:0.001〜0.059wt%、Si:0.05〜0.98wt%、Mn:0.01〜1.97wt%、P:0.001〜0.050wt%、S:0.051〜0.485wt%、Cu:0.02〜1.59wt%、Ni:0.01〜1.97wt%、Cr:9.3〜24.9wt%、Mo:0.01〜1.48wt%、Ti:0.07〜1.96wt%、Al:0.001〜0.081wt%、O:0.0009〜0.0089wt%、N:0.0021〜0.0210wt%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、[Ti]/[S]比、[Mn]/[S]比、並びに、硫化物中のTi量、Cr量、及びMn量が所定の範囲にある耐アウトガス性に優れたフェライト系快削ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、TiS等のTi系硫化物を分散させることによって、耐食性及び耐アウトガス性が向上すると同時に、良好な被削性が得られる点、及び、O量が過剰になると、被削性の向上に寄与しない酸化物が形成される点が記載されている。
同文献には、TiS等のTi系硫化物を分散させることによって、耐食性及び耐アウトガス性が向上すると同時に、良好な被削性が得られる点、及び、O量が過剰になると、被削性の向上に寄与しない酸化物が形成される点が記載されている。
また、特許文献3には、C:0.020〜0.072wt%、Si:0.18〜0.58wt%、Mn:0.15〜0.87wt%、P:0.017〜0.039wt%、S:0.0005〜0.0061wt%、Cr:16.03〜16.68wt%、Ni:0.06〜0.45wt%、Cu:0.01〜0.42wt%、Mo:0.01〜0.20wt%、O:0.0027〜0.0055wt%、B:0.0062〜0.0228wt%、V:0.012〜0.110wt%、N:0.0082〜0.0311wt%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、γpが20〜60%である鋼を、所定の条件下で圧延するフェライト系ステンレス鋼の製造方法が開示されている。
同文献には、加熱条件、熱延条件等を制御することによってロービングを低減することができる点、及び、Oは、製鋼技術上許される範囲で少ないほど好ましい点が記載されている。
同文献には、加熱条件、熱延条件等を制御することによってロービングを低減することができる点、及び、Oは、製鋼技術上許される範囲で少ないほど好ましい点が記載されている。
さらに、特許文献4には、C:0.01〜0.05質量%、Si:0.1〜0.5質量%、Mn:0.2〜1.0質量%、S:0.02〜0.3質量%、P:0.02〜0.06質量%、Ni:0.1〜0.4質量%、Cr:15.8〜21.5質量%、Mo:0.01〜2.3質量%、Cu:0.005〜2.2質量%、Al:0.002〜0.015質量%、O:0.003〜0.013質量%、Sn:0.05〜0.25質量%、N:0.01〜0.05質量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなるフェライト系快削ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、快削元素としてSnを使用し、BiとCuとを複合添加することにより、被削性と冷間加工性を向上させることができる点、及び、O量が過剰になると、硬質な酸化物の割合が増え、被削性が低下する点が記載されている。
同文献には、快削元素としてSnを使用し、BiとCuとを複合添加することにより、被削性と冷間加工性を向上させることができる点、及び、O量が過剰になると、硬質な酸化物の割合が増え、被削性が低下する点が記載されている。
快削元素Pbの快削効果とは、溶融脆化効果のことをいう。鋼の切削加工時に切削部が高温になると、低融点金属であるPb(融点:330℃)が溶け出す。溶け出したPbは被削材を脆化させ、被削性を向上させる。
これまでに非Pb快削鋼として様々なPb無添加鋼が開発されてきた。しかしながら、そのすべてが「ある切削条件時」にPb快削鋼と同等の切削性を実現できるという報告であり、快削元素Pbと同等の快削効果(溶融脆化効果)を代替する快削元素は、資源的に乏しいBiを除けば、これまで報告例はない。
これまでに非Pb快削鋼として様々なPb無添加鋼が開発されてきた。しかしながら、そのすべてが「ある切削条件時」にPb快削鋼と同等の切削性を実現できるという報告であり、快削元素Pbと同等の快削効果(溶融脆化効果)を代替する快削元素は、資源的に乏しいBiを除けば、これまで報告例はない。
本発明が解決しようとする課題は、耐食性を劣化させることなく、Pb快削鋼と同等の切削性を有するフェライト系快削ステンレス鋼を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、
C≦0.200mass%、
0.01≦Si≦5.00mass%、
0.01≦Mn≦5.00mass%、
Ni≦5.00mass%
7.50≦Cr≦30.00mass%
N≦0.027mass%、
Al≦0.300mass%、
0.0050≦O≦0.1000mass%、及び、
0.0020≦B≦0.1000mass%、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
B濃度([B])に対するO濃度([O])の比が(1)式を満たすものからなる。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
フェライト系快削ステンレス鋼は、Bを含む酸化物系介在物が分散しているものが好ましい。
また、フェライト系ステンレス鋼は、所定の組成を有する鋼を900〜1300℃の熱処理温度で熱処理し、Bを含む酸化物系介在物を析出させたものが好ましい。
C≦0.200mass%、
0.01≦Si≦5.00mass%、
0.01≦Mn≦5.00mass%、
Ni≦5.00mass%
7.50≦Cr≦30.00mass%
N≦0.027mass%、
Al≦0.300mass%、
0.0050≦O≦0.1000mass%、及び、
0.0020≦B≦0.1000mass%、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
B濃度([B])に対するO濃度([O])の比が(1)式を満たすものからなる。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
フェライト系快削ステンレス鋼は、Bを含む酸化物系介在物が分散しているものが好ましい。
また、フェライト系ステンレス鋼は、所定の組成を有する鋼を900〜1300℃の熱処理温度で熱処理し、Bを含む酸化物系介在物を析出させたものが好ましい。
一定量のBを含有するフェライト系ステンレス鋼に対し、従来から被削性に対して有害であると言われていたOをある一定量以上含有させ、かつ、所定の温度で熱処理すると、S、Pb、Se、Teなどの従来から知られている快削元素を含まない場合であっても、高い被削性が得られる。これは、相対的に多量のOを含有させることによって、鋼中に低融点酸化物であるBの酸化物(融点:480℃)又はBを含む複合酸化物が分散し、切削加工時に溶融脆化効果が発現するためと考えられる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、以下のような元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、以下のような元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(1) C≦0.200mass%。
C含有量が過剰になると、被削性向上に対し効果的でない単体の炭化物が多量に生成する。従って、C含有量は、0.200mass%以下が好ましい。C含有量は、さらに好ましくは、0.100mass%以下である。
C含有量が過剰になると、被削性向上に対し効果的でない単体の炭化物が多量に生成する。従って、C含有量は、0.200mass%以下が好ましい。C含有量は、さらに好ましくは、0.100mass%以下である。
(2) 0.01≦Si≦5.00mass%。
Siは、鋼の脱酸剤として添加されるが、硬さを向上させる効果もある。十分な硬さを得るためには、Si含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Si含有量が過剰になると、σ相が生成し、耐食性を劣化させる。従って、Si含有量は、5.00mass%以下が好ましい。切削加工性を重視する場合、Si含有量は、さらに好ましくは、3.0mass%以下である。
Siは、鋼の脱酸剤として添加されるが、硬さを向上させる効果もある。十分な硬さを得るためには、Si含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Si含有量が過剰になると、σ相が生成し、耐食性を劣化させる。従って、Si含有量は、5.00mass%以下が好ましい。切削加工性を重視する場合、Si含有量は、さらに好ましくは、3.0mass%以下である。
(3) 0.01≦Mn≦5.00mass%。
Mnは、鋼の脱酸剤として作用する。そのためには、Mn含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Mn含有量が過剰になると、多量のMnSが生成し、耐食性を劣化させる。従って、Mn含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
Mnは、鋼の脱酸剤として作用する。そのためには、Mn含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Mn含有量が過剰になると、多量のMnSが生成し、耐食性を劣化させる。従って、Mn含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
(4) Ni≦5.00mass%。
Niは、Cr含有のみで十分でない耐食性を補填するために必要な元素で、必要に応じて添加することができる。但し、Ni含有量が過剰になると、コストの上昇をまねくことに加えて、フェライト相を維持することができなくなる。従って、Ni含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
Niは、Cr含有のみで十分でない耐食性を補填するために必要な元素で、必要に応じて添加することができる。但し、Ni含有量が過剰になると、コストの上昇をまねくことに加えて、フェライト相を維持することができなくなる。従って、Ni含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
(5) 7.50≦Cr≦30.00mass%。
Crは、耐食性を向上させる元素である。そのためには、Cr含有量は、7.50mass%以上が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、15.0mass%以上である。
一方、Cr含有量が過剰になると、コストを上昇させるだけでなく、熱間加工性を低下させる。従って、Cr含有量は、30.00mass%以下が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、25.00mass%以下である。
Crは、耐食性を向上させる元素である。そのためには、Cr含有量は、7.50mass%以上が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、15.0mass%以上である。
一方、Cr含有量が過剰になると、コストを上昇させるだけでなく、熱間加工性を低下させる。従って、Cr含有量は、30.00mass%以下が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、25.00mass%以下である。
(6) N≦0.027mass%。
Nは、被削性の向上には有効でない窒化物を形成することから、極力低く抑制すべきである。そのためには、N含有量は、0.027mass%以下が好ましい。N含有量は、さらに好ましくは、0.025mass%以下、さらに好ましくは、0.023mass%以下である。
Nは、被削性の向上には有効でない窒化物を形成することから、極力低く抑制すべきである。そのためには、N含有量は、0.027mass%以下が好ましい。N含有量は、さらに好ましくは、0.025mass%以下、さらに好ましくは、0.023mass%以下である。
(7) Al≦0.300mass%。
Alは、酸化物形成元素であり、過剰の添加で優先的にAl2O3を生成し、本発明で被削性を向上させるBを含む酸化物が形成しづらくなる。そのためには、Al含有量は、0.300mass%以下が好ましい。
Alは、酸化物形成元素であり、過剰の添加で優先的にAl2O3を生成し、本発明で被削性を向上させるBを含む酸化物が形成しづらくなる。そのためには、Al含有量は、0.300mass%以下が好ましい。
(8) 0.0050≦O≦0.1000mass%。
Oは、一般に、鋼の清浄度を低下させ、耐食性、熱間加工性、被削性を著しく劣化させると言われている。しかしながら、フェライト系ステンレス鋼にBを添加し、さらに一定量以上のOを添加すると、従来知られている快削元素を添加しなくても、Pb快削鋼と同等の快削性が得られる。このような効果を得るためには、O含有量は、0.0050mass%以上が好ましい。O含有量は、さらに好ましくは、0.0100mass%以上、さらに好ましくは、0.0200mass%以上である。
一方、O含有量が過剰になると、耐食性や熱間加工性を劣化させる。従って、O含有量は、0.1000mass%以下が好ましい。O含有量は、さらに好ましくは、0.0500mass%以下である。
Oは、一般に、鋼の清浄度を低下させ、耐食性、熱間加工性、被削性を著しく劣化させると言われている。しかしながら、フェライト系ステンレス鋼にBを添加し、さらに一定量以上のOを添加すると、従来知られている快削元素を添加しなくても、Pb快削鋼と同等の快削性が得られる。このような効果を得るためには、O含有量は、0.0050mass%以上が好ましい。O含有量は、さらに好ましくは、0.0100mass%以上、さらに好ましくは、0.0200mass%以上である。
一方、O含有量が過剰になると、耐食性や熱間加工性を劣化させる。従って、O含有量は、0.1000mass%以下が好ましい。O含有量は、さらに好ましくは、0.0500mass%以下である。
(9) 0.0020≦B≦0.1000mass%。
Bは、一般に、強度の向上、熱間加工性の向上に有効であると言われている。しかしながら、Bをマトリックス中に固溶させるのではなく、Bを含む酸化物系介在物として鋼中に分散させると、被削性が向上する。このような効果を得るためには、B含有量は、0.0020mass%以上が好ましい。B含有量は、さらに好ましくは、0.0080mass%以上、さらに好ましくは、0.0120mass%以上である。
一方、Bの過剰添加は、熱間加工性を害するとともに、耐食性を劣化させる。従って、B含有量は、0.1000mass%以下が好ましい。B含有量は、さらに好ましくは、0.0800mass%以下である。
Bは、一般に、強度の向上、熱間加工性の向上に有効であると言われている。しかしながら、Bをマトリックス中に固溶させるのではなく、Bを含む酸化物系介在物として鋼中に分散させると、被削性が向上する。このような効果を得るためには、B含有量は、0.0020mass%以上が好ましい。B含有量は、さらに好ましくは、0.0080mass%以上、さらに好ましくは、0.0120mass%以上である。
一方、Bの過剰添加は、熱間加工性を害するとともに、耐食性を劣化させる。従って、B含有量は、0.1000mass%以下が好ましい。B含有量は、さらに好ましくは、0.0800mass%以下である。
(10) [O]/[B]比
本発明においては、快削性を向上させるために、Bを含む酸化物系介在物を鋼中に分散させたことを特徴とする。この点が、従来の快削ステンレス鋼とは異なる。
実用十分な快削効果を得るためには、B濃度([B])に対するO濃度([O])の比([O]/[B]比)が(1)式を満たしているのが好ましい。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
[O]/[B]比が小さすぎると、相対的にOが不足し、十分な量の酸化物系介在物を鋼中に分散させることができない。従って、[O]/[B]比は、0.60以上が好ましい。[O]/[B]比は、さらに好ましくは、0.8以上、さらに好ましくは、1.0以上である。
一方、[O]/[B]比が大きすぎると、Oが過剰となり、耐食性や熱間加工性を低下させる原因となる。従って、[O]/[B]比は、2.50以下が好ましい。[O]/[B]比は、さらに好ましくは、2.30以下、さらに好ましくは、2.0以下である。
本発明においては、快削性を向上させるために、Bを含む酸化物系介在物を鋼中に分散させたことを特徴とする。この点が、従来の快削ステンレス鋼とは異なる。
実用十分な快削効果を得るためには、B濃度([B])に対するO濃度([O])の比([O]/[B]比)が(1)式を満たしているのが好ましい。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1)
[O]/[B]比が小さすぎると、相対的にOが不足し、十分な量の酸化物系介在物を鋼中に分散させることができない。従って、[O]/[B]比は、0.60以上が好ましい。[O]/[B]比は、さらに好ましくは、0.8以上、さらに好ましくは、1.0以上である。
一方、[O]/[B]比が大きすぎると、Oが過剰となり、耐食性や熱間加工性を低下させる原因となる。従って、[O]/[B]比は、2.50以下が好ましい。[O]/[B]比は、さらに好ましくは、2.30以下、さらに好ましくは、2.0以下である。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、後述するように、所定の組成を有する鋼を溶解・鋳造後、所定の条件下で熱処理することにより得られる。所定の条件下で熱処理すると、鋼中に含まれるBの全部又は一部を、Bを含む酸化物系介在物として鋼中に分散させることができる。高い被削性を得るためには、酸化物系介在物は、さらにSiを含んでいるものが好ましい。
一般に、Bを含む酸化物系介在物が多くなるほど、被削性は向上する。高い被削性を得るためには、Bを含む酸化物系介在物の面積率は、0.01%以上が好ましい。
一方、酸化物系介在物の量が過剰になると、熱間加工性や耐食性を低下させる。従って、Bを含む酸化物系介在物の面積率は、0.10%以下が好ましい。
また、鋼中には、Bを含む酸化物系介在物以外の介在物も存在する。Bを含む酸化物系介在物以外の酸化物は、被削性の向上に寄与しない。従って、酸化物全体に占めるBを含む酸化物系介在物の割合は、50%以上が好ましい。
一方、酸化物系介在物の量が過剰になると、熱間加工性や耐食性を低下させる。従って、Bを含む酸化物系介在物の面積率は、0.10%以下が好ましい。
また、鋼中には、Bを含む酸化物系介在物以外の介在物も存在する。Bを含む酸化物系介在物以外の酸化物は、被削性の向上に寄与しない。従って、酸化物全体に占めるBを含む酸化物系介在物の割合は、50%以上が好ましい。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、Bを含む酸化物系介在物を鋼中に分散させることによって被削性を向上させるものである。フェライト系快削ステンレス鋼は、Bを含む酸化物系介在物のみが含まれていても良く、あるいは、Bを含む酸化物系介在物に加えて、従来の快削元素(すなわち、被削性向上効果がある硫化物、窒化物、炭硫化物、又はセレン化物のいずれか1以上)の双方が含まれていても良い。
すなわち、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した元素に加えて、S及びSeからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素(第1添加元素)をさらに含んでいても良い。
(11) 0.01≦S≦0.50mass%
Sは、鋼中のMnとMnSを形成し、被削性の向上に有効である。このような効果を得るためには、S含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Sの過剰添加は、熱間加工性を低下させるとともに、MnSの形成により耐食性を劣化させる。また、Sの必要以上の低減は、製造コストの上昇を招く。従って、S含有量は、0.50mass%以下が好ましい。
(12) 0.01≦Se≦0.50mass%
Seも同様に、被削性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Se含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Seの過剰添加は、耐食性、靱延性、熱間加工性を劣化させる。従って、Se含有量は、0.50mass%以下が好ましい。
(11) 0.01≦S≦0.50mass%
Sは、鋼中のMnとMnSを形成し、被削性の向上に有効である。このような効果を得るためには、S含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Sの過剰添加は、熱間加工性を低下させるとともに、MnSの形成により耐食性を劣化させる。また、Sの必要以上の低減は、製造コストの上昇を招く。従って、S含有量は、0.50mass%以下が好ましい。
(12) 0.01≦Se≦0.50mass%
Seも同様に、被削性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Se含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Seの過剰添加は、耐食性、靱延性、熱間加工性を劣化させる。従って、Se含有量は、0.50mass%以下が好ましい。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した第1添加元素に加えて、又は、これらに代えて、Pb、Bi、Te、Sn、及びPからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素(第2添加元素)をさらに含んでいても良い。
(13) 0.01≦Pb≦0.40mass%
(14) 0.01≦Bi≦0.40mass%
(15) 0.01≦Te≦0.40mass%
(16) 0.01≦Sn≦0.40mass%
(17) 0.01≦P≦0.40mass%
Pb、Bi、Te、Sn、及びPは、いずれも、被削性を向上させる効果がある。このような効果を得るためには、これらの含有量は、それぞれ、0.01mass%以上が好ましい。
一方、これらの元素の過剰添加は、靱性の添加を招く。従って、これらの元素の添加量は、それぞれ、0.40mass%以下が好ましい。
(13) 0.01≦Pb≦0.40mass%
(14) 0.01≦Bi≦0.40mass%
(15) 0.01≦Te≦0.40mass%
(16) 0.01≦Sn≦0.40mass%
(17) 0.01≦P≦0.40mass%
Pb、Bi、Te、Sn、及びPは、いずれも、被削性を向上させる効果がある。このような効果を得るためには、これらの含有量は、それぞれ、0.01mass%以上が好ましい。
一方、これらの元素の過剰添加は、靱性の添加を招く。従って、これらの元素の添加量は、それぞれ、0.40mass%以下が好ましい。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した第1添加元素及び/又は第2添加元素に加えて、又は、これらに代えて、Mo、W、及びCuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素(第3添加元素)をさらに含んでいても良い。
(18) 0.01≦Mo≦8.00mass%
Moは、耐食性を著しく向上させる。また、固溶強化元素として強度を向上させる。このような効果を得るためには、Mo含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Moの過剰添加は、脆性相の生成により靱延性を低下させ、鍛造時にも有害となる。従って、Mo含有量は、8.00mass%以下が好ましい。
(18) 0.01≦Mo≦8.00mass%
Moは、耐食性を著しく向上させる。また、固溶強化元素として強度を向上させる。このような効果を得るためには、Mo含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Moの過剰添加は、脆性相の生成により靱延性を低下させ、鍛造時にも有害となる。従って、Mo含有量は、8.00mass%以下が好ましい。
(19) 0.01≦W≦4.00mass%
Wは、Moと同様に耐食性の向上に寄与すると共に、固溶強化元素として強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、W含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Wの過剰添加は、Moと同様に脆化相の生成により靱延性が低下し、鍛造時にも有害となる。従って、W含有量は、4.00ass%以下が好ましい。
Wは、Moと同様に耐食性の向上に寄与すると共に、固溶強化元素として強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、W含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Wの過剰添加は、Moと同様に脆化相の生成により靱延性が低下し、鍛造時にも有害となる。従って、W含有量は、4.00ass%以下が好ましい。
(20) 0.01≦Cu≦5.00mass%
Cuは、耐すきま腐食性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Cu含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Cuの過剰添加は、熱間加工性を低下させる。従って、Cu含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
Cuは、耐すきま腐食性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Cu含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Cuの過剰添加は、熱間加工性を低下させる。従って、Cu含有量は、5.00mass%以下が好ましい。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した第1添加元素〜第3添加元素に加えて、又は、これらに代えて、Ti、V、Nb、及びZrからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素(第4添加元素)をさらに含んでいても良い。
(21) 0.01≦Ti≦2.00mass%
Tiは、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Ti含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Tiの過剰添加は、鋼中に多量の酸化物、窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、Ti含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
(21) 0.01≦Ti≦2.00mass%
Tiは、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Ti含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Tiの過剰添加は、鋼中に多量の酸化物、窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、Ti含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
(22) 0.01≦V≦2.00mass%
Vは、Ti、Nbと同様に、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、V含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Vの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、V含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
Vは、Ti、Nbと同様に、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、V含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Vの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、V含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
(23) 0.01≦Nb≦2.00mass%
Nbは、Tiと同様に、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Nb含有量は、0.01mass%以下が好ましい。
一方、Nbの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、Nb含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
Nbは、Tiと同様に、C、Nと結合して強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Nb含有量は、0.01mass%以下が好ましい。
一方、Nbの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、耐食性を低下させる。従って、Nb含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
(24) 0.01≦Zr≦2.00mass%
Zrは、強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Zr含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Zrの過剰添加は、靱延性の低下を招く。従って、Zr含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
Zrは、強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Zr含有量は、0.01mass%以上が好ましい。
一方、Zrの過剰添加は、靱延性の低下を招く。従って、Zr含有量は、2.00mass%以下が好ましい。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した第1添加元素〜第4添加元素に加えて、又は、これらに代えて、Mg及びCaからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素(第5添加元素)をさらに含んでいても良い。
(25) 0.0001≦Mg≦0.0100mass%
(26) 0.0001≦Ca≦0.0100mass%
Mg、Caは、熱間加工性を向上させるために有効である。また、Caは、被削性を向上させるためにも有効である。このような効果を得るためには、Mg及びCaの含有量は、それぞれ、0.0001mass%以上が好ましい。
一方、これらの元素の過剰添加は、かえって熱間加工性を害する。従って、これらの添加量は、それぞれ、0.0100mass%以下が好ましい。
(25) 0.0001≦Mg≦0.0100mass%
(26) 0.0001≦Ca≦0.0100mass%
Mg、Caは、熱間加工性を向上させるために有効である。また、Caは、被削性を向上させるためにも有効である。このような効果を得るためには、Mg及びCaの含有量は、それぞれ、0.0001mass%以上が好ましい。
一方、これらの元素の過剰添加は、かえって熱間加工性を害する。従って、これらの添加量は、それぞれ、0.0100mass%以下が好ましい。
次に、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した組成を有する鋼を溶解・鋳造後、所定の条件下で熱処理することにより得られる。所定の条件下で熱処理すると、鋼中に含まれるBの全部又は一部を、Bを含む酸化物系介在物として鋼中に分散させることができる。高い被削性を得るためには、酸化物系介在物は、さらにSiを含んでいるものが好ましい。
一般に、熱処理温度が低すぎると、Bを含む酸化物系介在物を鋼中に生成させることができない。Bを含む酸化物系介在物を生成させるためには、熱処理温度は、900℃以上が好ましい。熱処理温度は、さらに好ましくは、1000℃以上、さらに好ましくは、1100℃以上である。
一般に、熱処理温度が高くなるほど、Bを含む酸化物系介在物が生成しやすくなる。しかしながら、熱処理温度が高すぎると、局部溶融を起こし、素材が均一組成とならないので好ましくない。従って、熱処理温度は、1300℃以下が好ましい。熱処理温度は、さらに好ましくは、1250℃以下である。
熱処理時間は、Bを含む酸化物系介在物の量に影響する。一般に、熱処理時間が長くなるほど、Bを含む酸化物系介在物の量が増加する。実用上十分な酸化物系介在物を生成させるためには、熱処理時間は、5分〜24時間が好ましい。熱処理時間は、さらに好ましくは、5分〜4時間である。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、上述した組成を有する鋼を溶解・鋳造後、所定の条件下で熱処理することにより得られる。所定の条件下で熱処理すると、鋼中に含まれるBの全部又は一部を、Bを含む酸化物系介在物として鋼中に分散させることができる。高い被削性を得るためには、酸化物系介在物は、さらにSiを含んでいるものが好ましい。
一般に、熱処理温度が低すぎると、Bを含む酸化物系介在物を鋼中に生成させることができない。Bを含む酸化物系介在物を生成させるためには、熱処理温度は、900℃以上が好ましい。熱処理温度は、さらに好ましくは、1000℃以上、さらに好ましくは、1100℃以上である。
一般に、熱処理温度が高くなるほど、Bを含む酸化物系介在物が生成しやすくなる。しかしながら、熱処理温度が高すぎると、局部溶融を起こし、素材が均一組成とならないので好ましくない。従って、熱処理温度は、1300℃以下が好ましい。熱処理温度は、さらに好ましくは、1250℃以下である。
熱処理時間は、Bを含む酸化物系介在物の量に影響する。一般に、熱処理時間が長くなるほど、Bを含む酸化物系介在物の量が増加する。実用上十分な酸化物系介在物を生成させるためには、熱処理時間は、5分〜24時間が好ましい。熱処理時間は、さらに好ましくは、5分〜4時間である。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は、上述したBを含む酸化物系介在物を析出させるための熱処理に加えて、焼鈍を目的とする熱処理をさらに行っても良い。
Bを含む酸化物系介在物を効率よく生成させるためには、熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、酸化物系介在物を生成させるために高温で熱処理すると、フェライト中にCやNが過飽和に固溶する。その結果、鋼が硬くかつ脆くなり、加工性が低下する。
そこでこのような場合には、Bを含む酸化物系介在物の析出処理をした後、さらに焼鈍を目的とする熱処理を行うのが好ましい。
焼鈍を目的とする熱処理の温度(焼鈍温度)が低すぎると、焼鈍効果が得られないので好ましくない。従って、焼鈍温度は、650℃以上が好ましい。焼鈍温度は、さらに好ましくは、700℃以上である。
一方、焼鈍温度が高すぎると、結晶粒粗大化を招くので好ましくない。従って、焼鈍温度は、900℃以下が好ましい。焼鈍温度は、さらに好ましくは、850℃以下である。
さらに、焼鈍時間が短すぎると、十分な焼鈍効果が得られない。一方、焼鈍時間を必要以上に長くしても実益がない。従って、焼鈍時間は、5分〜24時間が好ましい。焼鈍時間は、さらに好ましくは、5分〜4時間である。
Bを含む酸化物系介在物を効率よく生成させるためには、熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、酸化物系介在物を生成させるために高温で熱処理すると、フェライト中にCやNが過飽和に固溶する。その結果、鋼が硬くかつ脆くなり、加工性が低下する。
そこでこのような場合には、Bを含む酸化物系介在物の析出処理をした後、さらに焼鈍を目的とする熱処理を行うのが好ましい。
焼鈍を目的とする熱処理の温度(焼鈍温度)が低すぎると、焼鈍効果が得られないので好ましくない。従って、焼鈍温度は、650℃以上が好ましい。焼鈍温度は、さらに好ましくは、700℃以上である。
一方、焼鈍温度が高すぎると、結晶粒粗大化を招くので好ましくない。従って、焼鈍温度は、900℃以下が好ましい。焼鈍温度は、さらに好ましくは、850℃以下である。
さらに、焼鈍時間が短すぎると、十分な焼鈍効果が得られない。一方、焼鈍時間を必要以上に長くしても実益がない。従って、焼鈍時間は、5分〜24時間が好ましい。焼鈍時間は、さらに好ましくは、5分〜4時間である。
次に、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼の作用について説明する。
快削元素Pbの快削効果とは、溶融脆化効果のことである。鋼の切削加工時に切削部が高温になると、低融点(330℃)金属であるPbは溶け出し、被削材を脆化させ、被削性を向上させる。一般に、溶融脆化効果は、低融点介在物を含む鋼で高温引張試験を実施することで確認することができる。すなわち、液体は、融点近傍では濡れ性が良好なため、溶けた介在物が粒界を伝わり、マトリックスを脆化させる。融点よりさらに高温領域では、液体は濡れ性が悪化し、(液体ではあるが)粒界を伝わらなくなる。このため低融点介在物を含有する鋼は、高温引張試験時に介在物融点近傍で絞り値が低下する。また、低融点介在物を含有する鋼は、切削時に被削性が良好となる。
快削元素Pbの快削効果とは、溶融脆化効果のことである。鋼の切削加工時に切削部が高温になると、低融点(330℃)金属であるPbは溶け出し、被削材を脆化させ、被削性を向上させる。一般に、溶融脆化効果は、低融点介在物を含む鋼で高温引張試験を実施することで確認することができる。すなわち、液体は、融点近傍では濡れ性が良好なため、溶けた介在物が粒界を伝わり、マトリックスを脆化させる。融点よりさらに高温領域では、液体は濡れ性が悪化し、(液体ではあるが)粒界を伝わらなくなる。このため低融点介在物を含有する鋼は、高温引張試験時に介在物融点近傍で絞り値が低下する。また、低融点介在物を含有する鋼は、切削時に被削性が良好となる。
一定量のBを含有するフェライト系ステンレス鋼に対し、従来から熱間加工性や被削性に対して有害であると言われていたOをある一定量以上含有させ、かつ、所定の温度で熱処理すると、S、Pb、Se、Teなどの従来から知られている快削元素を含まない場合であっても、高い被削性が得られる。これは、相対的に多量のOを含有させることによって、鋼中に低融点酸化物であるBの酸化物(融点:480℃)又はBを含む複合酸化物が分散し、切削加工時に溶融脆化効果が発現するためと考えられる。
また、酸化物系介在物中にBに加えてさらにSiが含まれていると、高い被削性が得られる。これは、酸化物系介在物中にSiを含有させることによって、切削加工時にBの酸化物を主成分とする液相が生成しやすくなるためと考えられる。
さらに、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、工具摩耗が相対的に少ない。これは、工具表面にBを含有する酸化物の付着堆積物(いわゆる「ベラーグ」)が生成しやすくなるためと考えられる。
また、酸化物系介在物中にBに加えてさらにSiが含まれていると、高い被削性が得られる。これは、酸化物系介在物中にSiを含有させることによって、切削加工時にBの酸化物を主成分とする液相が生成しやすくなるためと考えられる。
さらに、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、工具摩耗が相対的に少ない。これは、工具表面にBを含有する酸化物の付着堆積物(いわゆる「ベラーグ」)が生成しやすくなるためと考えられる。
(実施例1〜37、比較例1〜12)
[1. 試料の作製]
加圧可能な高周波誘導炉により、表1及び表2の化学成分の合金を溶解・鋳造し、50kgの鋼塊を得た。次の、この鋼塊を均質加熱後、熱間鍛造で60角の角材とした。得られた角材について、熱処理を行った。熱処理条件は、1150℃で1時間保持した後、水冷とした。
[1. 試料の作製]
加圧可能な高周波誘導炉により、表1及び表2の化学成分の合金を溶解・鋳造し、50kgの鋼塊を得た。次の、この鋼塊を均質加熱後、熱間鍛造で60角の角材とした。得られた角材について、熱処理を行った。熱処理条件は、1150℃で1時間保持した後、水冷とした。
[2. 評価(1)]
得られた角材について、以下のような評価を行った。
(1) 介在物組成:
熱処理実施後、角材中央縦断面から採取した試料より、無作為に選んだ酸化物(30個)について、EPMAにより組成分析を行った。組成分析の結果、15個以上の酸化物でBが確認されるものを「○」、15個以下であるものを「×」とした。
(2) 酸化物面積率:
角材中央縦断面から採取した試料より、代表的ミクロ写真を200倍で測定し、すべての酸化物系介在物の色抽出を行った。画像処理により、酸化物系介在物の面積率を測定した。
(3) 耐食性:
熱処理後の角材から10φ×50Lの試験片を採取し、塩水噴霧雰囲気で96時間保持した。保持後、錆発生率を測定した。塩水噴霧後に発錆がないものを「A」、錆面積率3%未満のものを「B」、錆面積率3%以上のものを「C」とした。
(4) ドリル穴あけ性:
熱処理後の角材について、SKH51製ドリル(φ5)で穴を開けた。切削速度は、15mm/minとし、穴の深さは、15mmとした。ドリル穴あけ性は、ドリルが破損するまでにあけることができた穴の個数で評価した。
(5) 切削抵抗値:
ドリル穴あけ性試験の際の切削抵抗値を測定した。
(6) 切屑破砕性:
ドリル穴あけ性試験時に任意に採取した切屑のカールを測定した。カールが3巻以下であるものを「A」、3巻より多く10巻以下であるものを「B」、10巻を超えるものを「C」とした。
(7) 絞り:
JIS Z2241に準じた室温引張試験絞り値を測定した。
得られた角材について、以下のような評価を行った。
(1) 介在物組成:
熱処理実施後、角材中央縦断面から採取した試料より、無作為に選んだ酸化物(30個)について、EPMAにより組成分析を行った。組成分析の結果、15個以上の酸化物でBが確認されるものを「○」、15個以下であるものを「×」とした。
(2) 酸化物面積率:
角材中央縦断面から採取した試料より、代表的ミクロ写真を200倍で測定し、すべての酸化物系介在物の色抽出を行った。画像処理により、酸化物系介在物の面積率を測定した。
(3) 耐食性:
熱処理後の角材から10φ×50Lの試験片を採取し、塩水噴霧雰囲気で96時間保持した。保持後、錆発生率を測定した。塩水噴霧後に発錆がないものを「A」、錆面積率3%未満のものを「B」、錆面積率3%以上のものを「C」とした。
(4) ドリル穴あけ性:
熱処理後の角材について、SKH51製ドリル(φ5)で穴を開けた。切削速度は、15mm/minとし、穴の深さは、15mmとした。ドリル穴あけ性は、ドリルが破損するまでにあけることができた穴の個数で評価した。
(5) 切削抵抗値:
ドリル穴あけ性試験の際の切削抵抗値を測定した。
(6) 切屑破砕性:
ドリル穴あけ性試験時に任意に採取した切屑のカールを測定した。カールが3巻以下であるものを「A」、3巻より多く10巻以下であるものを「B」、10巻を超えるものを「C」とした。
(7) 絞り:
JIS Z2241に準じた室温引張試験絞り値を測定した。
[3. 結果(1)]
表3及び表4に、評価試験結果を示す。
表3及び表4に、評価試験結果を示す。
比較例1は、耐食性が悪い。これは、C量が過剰であり、Cr炭化物が生成したためである。比較例2は、耐食性が悪い。これは、Si量が過剰であり、σ相が多量に残留したためである。比較例3は、耐食性が悪い。これは、Mnが過剰であり、耐孔食性が劣化したためである。
比較例4は、耐食性が悪い。これは、Ni量が過剰であり、フェライト相が安定でないためである。比較例5は、耐食性が悪い。これは、Crが少なく、耐食性が向上しなかったためである。比較例6は、耐食性及び被削性が悪い。これは、Cr量が過剰であり、未固溶Cr窒化物が多量に残留し、さらにCrとBが化合物を形成したためである。
比較例7は、被削性が悪い。これは、N量が過剰であり、未固溶Cr窒化物が多量に残留し、さらにCrとNが化合物を形成したためである。比較例8は、被削性が悪い。これは、酸素量が少ないために、被削性改善に効くB系酸化物量が少ないためである。比較例9は、耐食性がやや悪く、被削性が悪い。これは、O量が過剰であり、酸化物中のB量が相対的に少なくなるためである。
比較例10は、耐食性及び加工性が悪い。これは、B量が少ないためである。比較例11は、耐食性が悪い。これは、B量が過剰であるためである。さらに、比較例12は、被削性が悪い。これは、Al量が過剰であるためである。
これに対し、実施例1〜37は、組成が最適化されており、かつ、適切な温度域で熱処理が行われているので、耐食性及び被削性とも、良好な結果が得られた。特に、酸素量が0.01mass%以上になると、他の成分組成によらず、高い被削性が得られた。また、酸素量が0.02mass%以上になると、さらに被削性が向上した。
[4. 評価(2)]
実施例1の組成物について、780〜1320℃×1時間の熱処理を行った。なお、1120℃の熱処理を行った試料については、750℃×4Hの追加焼鈍を行った。また、1230℃の熱処理を行った試料については、770℃×4Hの追加焼鈍を行った。
熱処理後の試料について、上述と同様の手順に従い、介在物組成、酸化物面積率、耐食性、ドリル穴あけ性、切削抵抗値、切屑破砕性、及び絞りを評価した。
実施例1の組成物について、780〜1320℃×1時間の熱処理を行った。なお、1120℃の熱処理を行った試料については、750℃×4Hの追加焼鈍を行った。また、1230℃の熱処理を行った試料については、770℃×4Hの追加焼鈍を行った。
熱処理後の試料について、上述と同様の手順に従い、介在物組成、酸化物面積率、耐食性、ドリル穴あけ性、切削抵抗値、切屑破砕性、及び絞りを評価した。
[5. 結果(2)]
表5に、その結果を示す。熱処理温度が900℃未満であるとと、被削性及び耐食性が悪い。これは、Bを含む酸化物系介在物が十分生成せず、CrとBが化合物を形成するためと考えられる。また、熱処理温度が1300℃を超えると、耐食性が悪くなる。これは、局部溶融を起こし、組成が部分的に不均一になったためと考えられる。
これに対し、900〜1300℃で熱処理を行うと、耐食性を劣化させることなく、被削性が向上することがわかった。さらに、Bを含む酸化物系介在物を析出させるための熱処理に加えて、追加焼鈍を行うと、絞りが大幅に向上することがわかった。
表5に、その結果を示す。熱処理温度が900℃未満であるとと、被削性及び耐食性が悪い。これは、Bを含む酸化物系介在物が十分生成せず、CrとBが化合物を形成するためと考えられる。また、熱処理温度が1300℃を超えると、耐食性が悪くなる。これは、局部溶融を起こし、組成が部分的に不均一になったためと考えられる。
これに対し、900〜1300℃で熱処理を行うと、耐食性を劣化させることなく、被削性が向上することがわかった。さらに、Bを含む酸化物系介在物を析出させるための熱処理に加えて、追加焼鈍を行うと、絞りが大幅に向上することがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、海洋関連機器、海浜環境部材、海洋構造物の構造部材、海水淡水化プラント用部材、海水熱交換器用部材、海底ケーブル、海底建築物の構造部材、係留ロープ、養殖用漁網、海浜地区での橋梁ワイヤー、海水用ポンプ、シャフト、ボルト・ナット・ねじ等の締結部材などに使用することができる。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、ボルト、ナット、シリンダーライナー、シャフト、ハブ、コネクター、軸受、レース、レール、歯車、ピン、ネジ、ロール、タービンブレード、金型、ダイス、ドリル、バルブ、弁座、刃物、ノズル、ガスケット、リング、バネ、工業炉部材、化学プラント部材、薬品製造用部材、食品製造プラント部材、食品製造装置部材、石油掘削部材、石油精製プラント部材、ごみ焼却炉部材、蒸気タービン部材、ガスタービン部材、原子炉部材、航空機部材、バイオマスプラント部材などに使用することができる。
また、本発明に係るフェライト系快削ステンレス鋼は、ボルト、ナット、シリンダーライナー、シャフト、ハブ、コネクター、軸受、レース、レール、歯車、ピン、ネジ、ロール、タービンブレード、金型、ダイス、ドリル、バルブ、弁座、刃物、ノズル、ガスケット、リング、バネ、工業炉部材、化学プラント部材、薬品製造用部材、食品製造プラント部材、食品製造装置部材、石油掘削部材、石油精製プラント部材、ごみ焼却炉部材、蒸気タービン部材、ガスタービン部材、原子炉部材、航空機部材、バイオマスプラント部材などに使用することができる。
Claims (15)
- C≦0.200mass%、
0.01≦Si≦5.00mass%、
0.01≦Mn≦5.00mass%、
Ni≦5.00mass%
7.50≦Cr≦30.00mass%
N≦0.027mass%、
Al≦0.300mass%、
0.0050≦O≦0.1000mass%、及び、
0.0020≦B≦0.1000mass%、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
B濃度([B])に対するO濃度([O])の比が(1)式を満たすフェライト系快削ステンレス鋼。
0.60≦[O]/[B]≦2.50 ・・・(1) - Bを含む酸化物系介在物が分散している請求項1に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- 前記Bを含む酸化物系介在物は、さらにSiを含む請求項2に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- 酸化物系介在物の総数に対する前記Bを含む酸化物系介在物の個数の割合は、50%以上である請求項2又は3に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- C≦0.100mass%、
0.01≦Si≦3.00mass%、
15.00≦Cr≦25.00mass%、
N≦0.025mass%、
0.0100≦O≦0.0500mass%、
0.0080≦B≦0.1000mass%、
0.80≦[O]/[B]≦2.30
である請求項1から4までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - N≦0.023mass%、
0.0200≦O≦0.0500mass%、
0.0120≦B≦0.0800mass%、
1.00≦[O]/[B]≦2.00
である請求項1から4までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 硫化物、窒化物、炭硫化物、及びセレン化物からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から6までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- 0.01≦S≦0.50mass%、及び、
0.01≦Se≦0.50mass%
からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から7までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 0.01≦Pb≦0.40mass%、
0.01≦Bi≦0.40mass%、
0.01≦Te≦0.40mass%、
0.01≦Sn≦0.40mass%、及び、
0.01≦P≦0.40mass%
からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から8までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 0.01≦Mo≦8.00mass%、
0.01≦W≦4.00mass%、及び、
0.01≦Cu≦5.00mass%、
からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から9までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 0.01≦Ti≦2.00mass%、
0.01≦V≦2.00mass%、
0.01≦Nb≦2.00mass%、及び、
0.01≦Zr≦2.00mass%、
からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から10までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 0.0001≦Mg≦0.0100mass%、及び、
0.0001≦Ca≦0.0100mass%、
からなる群から選ばれるいずれか1種以上をさらに含む請求項1から11までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - 900〜1300℃の熱処理温度で熱処理し、Bを含む酸化物系介在物を析出させることにより得られる請求項1から12までのいずれかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- 前記熱処理温度は、1000〜1300℃である請求項13に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
- 前記熱処理温度は、1100〜1250℃である請求項13に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
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