JP5365499B2 - 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント - Google Patents
尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント Download PDFInfo
- Publication number
- JP5365499B2 JP5365499B2 JP2009287477A JP2009287477A JP5365499B2 JP 5365499 B2 JP5365499 B2 JP 5365499B2 JP 2009287477 A JP2009287477 A JP 2009287477A JP 2009287477 A JP2009287477 A JP 2009287477A JP 5365499 B2 JP5365499 B2 JP 5365499B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- less
- duplex stainless
- production plant
- urea production
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
1.5×Nd−5×(P+5S)+10×Al−0.01×Mo ≧0・・・(1)
但し、(1)式中のNd、P、S、AlおよびMoは、各元素の含有量(質量%)である。
1.5×Nd−5×(P+5S)+10×Al−0.01×Mo ≧0・・・(1)
但し、(1)式中のNd、P、S、AlおよびMoは、各元素の含有量(質量%)である。
Cは、オーステナイト生成元素であり、強度を向上させるのに有効な元素であるが、その含有量が多すぎると、熱影響部に炭化物が析出し、耐食性を低下させる。従って、本発明では、Cを不純物として、その許容上限を0.03%とした。C含有量は、これ以下でできるだけ少なくするのが望ましい。好ましい上限は0.02%である。
Siは、溶鋼の脱酸に有効な元素であるが、その含有量が多すぎると、耐食性を低下させる。従って、製鋼時に脱酸剤として添加するのは差し支えないが、含有量(鋼中残留量)は0.5%以下に抑えるべきである。好ましくは0.3%以下である。含有量は不純物レベルでもよい。
Mnも溶鋼の脱酸に有効な元素であるが、その含有量が2.0%を超えると耐食性の劣化を招く。従って、Mnの含有量は2.0%以下とすべきである。好ましくは、1.0%以下である。下限は不純物レベルでもよい。
Pは、鋼の熱間加工性や機械的性質に悪影響を及ぼす不純物である。さらにステンレス鋼のフェライト相/オーステナイト相の界面に偏析して耐食性を低下させる。0.04%は、不純物としての許容上限であり、これ以下で、できるだけ少ない方がよい。好ましくは、0.03%以下である。
Sも鋼の加工性その他に悪影響を及ぼす不純物である。また、Pと同じくステンレス鋼のフェライト相/オーステナイト相の界面に偏析して耐食性を損なう。従って、Sの含有量は0.003%以下で可能なかぎり少ない方がよい。
Crは、フェライト生成元素であるとともに、耐食性を向上させる二相ステンレス鋼の基本成分の一つである。その含有量が26.0%未満では特に尿素製造プラントのような厳しい腐食環境に耐える耐食性が十分でない。一方、その含有量が過剰な場合、熱影響部相当の熱履歴を受けたときにシグマ相の析出が多くなり硬さが増すので、熱影響部における耐食性が低下する。また、Cr含有量が28.0%以上になると、熱間加工においてフェライト粒の不均一変形によるリジングが発生し、その結果、製品表面にしわ疵が発生して歩留りの低下を招く。従って、Cr含有量を26.0%以上、28.0%未満とした。
Niは、オーステナイト生成元素であり、二相組織をもたらす主要合金成分であるとともに靱性および耐食性を向上させるのに有効な元素である。その含有量が6.0%未満では上記の効果が十分ではない。他方、過剰なNiはシグマ相の生成を促し、熱影響部の耐食性を低下させるので、本発明ではNi含有量の上限を10%とした。従って、Ni含有量は6.0〜10%である。好ましくは、7.0〜9.0%である。
Moは、フェライト生成元素であり、二相ステンレス鋼では特に耐孔食性を改善する合金成分として積極的に使用される。しかしながら、前記のとおり、Moはシグマ相の生成を促進する成分であり、特にステンレス鋼のフェライト相/オーステナイト相の界面を主体にシグマ相析出の核が形成されるため、二相ステンレス鋼ではシグマ相が生成しやすい。Mo含有量が約2%またはそれ以上では、熱影響部相当の熱履歴を受けたときにシグマ相析出による耐食性劣化が避けがたい。そこで、本発明では、Moの含有量を必要最小限の1.7%以下に抑えて、代わりにMoと同様に耐食性向上の効果があって、しかもMoよりもシグマ相を生成させる作用の小さいWを比較的多量に添加することとした。Mo含有量の0.2%は必要最少量であり、1.7%はWの添加を考慮した上でシグマ相の析出を抑制できる上限値である。
Wは、Moと同じくフェライト生成元素であり、Moとの共存下で二相ステンレス鋼の耐食性を顕著に改善する成分である。Wの積極的利用によってMoの作用効果を補う。この効果は、2.0%以下では得られない。しかし、Wの過剰添加もシグマ相析出を促すので、その上限は3.0%とする。
Ndは、本発明において重要な元素である。Ndは、Ce等の他の希土類元素と比べ、不純物元素であるPおよびSとの親和力が強く、二相ステンレス鋼のフェライト相/オーステナイト相の界面において、これらの不純物元素を効果的に補足することができる。その結果、界面へのPおよびSの偏析による選択腐食を抑制することでき、尿素製造プラント環境での耐食性を向上させることができる。その効果を得るには0.005%以上の含有が必要である。一方、0.50%を超えると、介在物が増えて鋼質を害し、熱間加工性および延性を低下させる。そのため、Nd含有量は0.005〜0.50%とした。より好ましくは0.01〜0.30%、さらに好ましくは0.03〜0.20%である。
Nは、オーステナイト生成元素であるとともに、耐食性を向上させるのに有効な元素である。その含有量が0.30%以下では上記の効果が十分ではなく、一方、その含有量が0.40%を超えると、熱間加工性が低下する。従って、Nの含有量は0.30%を超えて0.40%までとした。
Alは、酸化物を生成し、これが鋼中に残存して耐食性を低下させる。従って、不純物としてのAlの含有量は、0.05%以下とする。一方、Alは酸化物を形成し易いため、NdがPおよびSと結合せずにOと結合して、NdによるPおよびSの捕捉効果が低下するのを抑制する効果がある。このため、Alを微量の含有させるのが望ましい。その場合のAl含有量の下限は0.005%であり、0.01%がより好ましい。
Oは、酸化物系介在物を生成し、二相ステンレス鋼の加工性および耐食性を低下させるので、不純物としてのOの含有量は、0.01%以下とする。
1.5×Nd−5×(P+5S)+10×Al−0.01×Mo ≧0・・・(1)
但し、(1)式中のNd、P、S、AlおよびMoは、各元素の含有量(質量%)である。なお、好ましくは0.035以上である。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.04%以下、S:0.003%以下、Cr:26%以上で28%未満、Ni:6.0〜10%、Mo:0.2〜1.7%、W:2.0%を超え3.0%まで、Nd:0.005〜0.50%、N:0.30%を超え0.40%まで、Al:0.05%以下およびO:0.01%以下を含み、下記(1)式を満たし、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする尿素製造プラント用二相ステンレス鋼。
1.5×Nd−5×(P+5S)+10×Al−0.01×Mo ≧0・・・(1)
但し、(1)式中のNd、P、S、AlおよびMoは、各元素の含有量(質量%)である。 - さらに、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびB:0.01%以下の中から選択される一種以上を含有する化学組成を有することを特徴とする請求項1に記載の尿素製造プラント用二相ステンレス鋼。
- ストリッパー管、コンデンサー管、反応器および配管の少なくとも一つが請求項1または請求項2に記載される化学組成を有する二相ステンレス鋼で構成されていることを特徴とする尿素製造プラント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009287477A JP5365499B2 (ja) | 2009-12-18 | 2009-12-18 | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009287477A JP5365499B2 (ja) | 2009-12-18 | 2009-12-18 | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011127186A JP2011127186A (ja) | 2011-06-30 |
JP5365499B2 true JP5365499B2 (ja) | 2013-12-11 |
Family
ID=44290086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009287477A Active JP5365499B2 (ja) | 2009-12-18 | 2009-12-18 | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5365499B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014172786A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Sumitomo Chemical Co Ltd | ヒドロキシルアンモニウム塩の製造装置 |
WO2024043259A1 (ja) * | 2022-08-24 | 2024-02-29 | 日本製鉄株式会社 | 二相ステンレス鋼材 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09316602A (ja) * | 1996-05-30 | 1997-12-09 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 高強度、高耐食性2相ステンレス鋳鋼 |
JP3716372B2 (ja) * | 2002-02-05 | 2005-11-16 | 住友金属工業株式会社 | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼、溶接材料、尿素製造プラントおよびその機器 |
KR100460346B1 (ko) * | 2002-03-25 | 2004-12-08 | 이인성 | 금속간상의 형성이 억제된 내식성, 내취화성, 주조성 및열간가공성이 우수한 슈퍼 듀플렉스 스테인리스강 |
JP4502131B2 (ja) * | 2005-09-20 | 2010-07-14 | 住友金属工業株式会社 | 熱間加工性に優れた二相ステンレス鋼 |
JP4787007B2 (ja) * | 2005-11-25 | 2011-10-05 | 住友金属工業株式会社 | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼、溶接材料及び尿素製造プラント |
-
2009
- 2009-12-18 JP JP2009287477A patent/JP5365499B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011127186A (ja) | 2011-06-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2954755C (en) | Austenitic stainless steel | |
KR100512757B1 (ko) | 요소제조 플랜트용 2상 스테인레스강 | |
JP5589965B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法及びオーステナイト系ステンレス鋼管 | |
JP2009046759A (ja) | 二相ステンレス鋼管の製造方法 | |
KR20130034042A (ko) | 페라이트계 스테인리스 강 | |
JP4787007B2 (ja) | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼、溶接材料及び尿素製造プラント | |
WO2013058274A1 (ja) | 二相ステンレス鋼、二相ステンレス鋼鋳片、および、二相ステンレス鋼鋼材 | |
JP2005023353A (ja) | 高温水環境用オーステナイトステンレス鋼 | |
JP6513495B2 (ja) | 二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管 | |
JP5842769B2 (ja) | 二相ステンレス鋼およびその製造方法 | |
KR101539520B1 (ko) | 2상 스테인리스강 | |
JP3716372B2 (ja) | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼、溶接材料、尿素製造プラントおよびその機器 | |
JP4502131B2 (ja) | 熱間加工性に優れた二相ステンレス鋼 | |
JP5857914B2 (ja) | 二相ステンレス鋼用溶接材料 | |
JP2012158798A (ja) | 溶接熱影響部の耐粒界応力腐食割れ性に優れたラインパイプ用Cr含有鋼管 | |
JP5365499B2 (ja) | 尿素製造プラント用二相ステンレス鋼および尿素製造プラント | |
JP5035831B2 (ja) | 高窒素オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP2017020054A (ja) | ステンレス鋼およびステンレス鋼管 | |
JP3848463B2 (ja) | 溶接性に優れた高強度オーステナイト系耐熱鋼およびその製造方法 | |
JP6736964B2 (ja) | オーステナイト系耐熱合金部材 | |
JP3814836B2 (ja) | 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JP5883761B2 (ja) | 二相系ステンレス鋼材および二相系ステンレス鋼管 | |
JP2021143407A (ja) | 二相ステンレス鋼とその製造方法 | |
JP2672437B2 (ja) | 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JP6848483B2 (ja) | Ni耐熱合金部材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121011 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20121011 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130730 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130813 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130826 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5365499 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |