JP2019183257A - フェライト系s快削ステンレス鋼 - Google Patents
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Abstract
Description
C:0.005〜0.050%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.10〜1.50%、
S:0.25〜0.60%、
P:0.010〜0.050%、
Cr:11.0〜20.0%、
Ni:0〜3.0%、
Mo:0〜3.0%、
N:0.005〜0.050%、
Al:0.004%以下、
Mg:0.002%以下、
O:0.010〜0.030%、
Ca:0〜0.003%、
Te:0〜0.024%、
REM:0〜0.003%
B:0〜0.02%、
Nb:0〜1.00%、
Ti:0〜1.00%、
V:0〜0.50%、
Ta:0〜0.5%、
W:0〜0.5%、
Co:0〜1.00%、
Zr:0〜0.020%、
Cu:0〜3.0%、
Sn:0〜0.5%、
Sb:0〜0.5%
Ga:0〜0.0050%
残部Feおよび不純物であり、
Oが0.5質量%以上の(Mn,Cr)(S,O)系介在物を含有することを特徴とするフェライト系S快削ステンレス鋼。
[2] 質量%で、さらに、
Ca:0.0005〜0.003%、
Te:0.003〜0.024%、
REM:0.0005〜0.003%
から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
[3] 0.3質量%以上のCa、1質量%以上のTe、0.3質量%以上のREMのいずれか1種または2種以上を含む(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
[4] 質量%で、さらに、
B:0.0001〜0.02%、
Nb:0.005〜1.00%、
Ti:0.001〜1.00%、
V:0.05〜0.50%、
Ta:0.05〜0.5%、
W:0.10〜0.5%、
Co:0.05〜1.00%、
Zr:0.001〜0.020%、
Cu:0.05〜3.0%、
Sn:0.005〜0.5%、
Sb:0.005〜0.5%
Ga:0.0005〜0.0050%
から選択される1種以上を含有する、[1]乃至[3]の何れか一項に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
[5] 前記(Mn,Cr)(S,O)系介在物のアスペクト比が4.0以下である、[1]乃至[4]の何れか一項に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
[6] 前記(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物のアスペクト比が4.0以下である、[3]または[4]に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
Cは、炭化物を生成し、必要な強度を得るために必要である。このため、C含有量は、0.005%以上とし、C含有量は0.010%以上であるのが好ましい。一方、過剰な炭化物は、切削加工時に構成刃先の生成を促進して切削面精度を劣化させるため、C含有量は0.050%以下とする。
Siは、脱酸のために添加される。このため、Si含有量は0.01%以上とし、Si含有量は0.20%以上であるのが好ましい。一方で、1.0%を超えると、棒線熱間圧延時のスケール生成を抑制し、熱間圧延疵の生成を助長するため、Si含有量は、1.0%以下とする。
Mnは、Crと共に硫化物を生成し、被削性、特に表面精度を向上させる元素である。このため、Mn含有量は、0.10%以上とする。一方、Mn含有量が1.50%を超えると、硫化物におけるMn/Crが高くなり、硫化物が展伸してアスペクト比が大きくなる。そのため、Mn含有量は1.50%以下としたが、Mn含有量は1.00%以下であるのが好ましい。
Sは、硫化物を形成し、硫化物には切削加工時に応力が集中する。また、切りくず生成時におけるせん断変形域で硫化物を起点にき裂が発生し、構成刃先の成長が抑制される。このため、線材の切削面精度が向上する。この効果を得るために、S含有量は、0.25%以上とし、S含有量は0.30%以上であるのが好ましい。一方で、0.60%を超えて含有させると、熱間加工性が著しく劣化する。そのため、S含有量は0.60%以下としたが、S含有量は0.50%以下であるのが好ましい。
Pは、粒界偏析して切削加工時の材料延性を低下させて、表面精度を向上させる。このため、P含有量は、0.005%以上とし、P含有量は、0.010%以上であるのが好ましい。一方、0.050%を超えると製造性が著しく劣化する。そのため、P含有量は、0.050%以下とする。
Crは、Mnと共に硫化物を形成し、特に硫化物中のMnとCrの組成比(Mn/Cr)を適正化することで、硫化物のアスペクト比を制御できる。アスペクト比を小さくし、切削面精度を向上させるためには、Cr含有量は、11.0%以上とし、Cr含有量は、16.0%以上であるのが好ましい。しかしながら、多量に含有させると、硫化物中のMn/Crが小さくなりすぎて、硫化物が展伸しやすくなり、アスペクト比が大きくなる。そのため、Cr含有量は20.0%以下とし、Cr含有量は18.0%以下であるのが好ましい。
Nは、マトリックスのフェライト強度を高める。このため、N含有量は0.005%以上とした。しかし、0.050%を超えて含有させると、過度の強度上昇により工具寿命を劣化させる。そのため、N含有量は、0.050%以下とし、N含有量は0.030%以下であるのが好ましい。
Alは、脱酸元素として使用するが、硬質なAl系の酸化物を形成して低酸素化するために、棒状の硫化物(共晶型)が生成させる。そのため、Al含有量は0.004%以下とし、Al含有量は、0.003%以下であるのが好ましい。
Mgは、脱酸元素として使用するが、硬質なMg系の酸化物を形成して低酸素化するために、棒状の硫化物(共晶型)が生成させる。そのため、Mg含有量は0.002%以下とし、Mg含有量は、0.001%以下であるのが好ましい。
Oは、凝固時の脱酸生成物を粗大化させるとともに、粒状の硫化物系介在物(偏晶型)を生成させることで被削性を向上させる。このため、O含有量は0.010%以上とし、0.015%以上であるのがより好ましい。しかし、0.030%を超えて含有させると、硬質な介在物が増加して被削性を劣化させるため、O含有量は0.030%以下とした。
Niは、固溶強化により材料の硬さを高めて構成刃先の生成を防止し、切削加工時の表面精度を向上させるため、含有させてもよい。その場合は、Ni含有量が0.1%以上であるのが好ましい。しかしながら、3.0%を超えると、硬質化して工具寿命劣化を引き起こす。そのため、Ni含有量は、3.0%以下とし、Ni含有量は、1.5%以下であるのが好ましい。Ni含有量は0%であってもよい。
Moは、耐食性を向上させる元素であり、含有させてもよい。しかしながら、Moを多量に含有させると、硬質化して工具寿命劣化を引き起こす。このため、Mo含有量は3.0%以下とし、Mo含有量は2.0%以下であるのが好ましい。一方で、上記効果を得るためには、Mo含有量は0.1%以上であるのが好ましい。Mo含有量は0%であってもよい。
Caは、粒状の硫化物系介在物(偏晶型)を生成させることで被削性を向上させる。また、酸化物系介在物を軟質化して、工具寿命を改善する効果もあるため、含有させてもよい。しかしながら、0.003%を超えて含有させると、その効果が飽和して逆に熱間加工性を低下させる。このため、Ca含有量は、0.003%以下とする。Ca含有量は、0.002%以下であることが好ましい。Caを含有させる場合は、0.0005%以上または0.001%以上がよい。Caは0%であってもよい。
Teは、本発明において被削性、特に切削面精度を向上させるために重要な元素である。Teは、硫化物中へ1質量%以上固溶することにより硫化物の変形を抑制して、アスペクト比を小さくする。その結果、構成刃先の成長を抑制し、切削面精度を向上させる。このため、Teを含有させる場合は0.003%以上または0.010%以上であるのが好ましい。一方で、Teを0.024%を超えて含有させると、その効果は飽和するばかりか、硫化物周囲のMnTeの形成により製造性が著しく劣化する。そのため、Te含有量は0.024%以下とし、Te含有量は0.015%以下であるのが好ましい。Teは0%であってもよい。
REMは、Caと同様に粒状の硫化物系介在物(偏晶型)を生成させることで被削性を向上させる。また、酸化物系介在物を軟質化して、工具寿命を改善する効果もあるため、含有させてもよい。しかしながら、0.003%を超えて含有させると、その効果が飽和するだけでなく、介在物の一部に硬質なREM系酸硫化物が生成して、工具寿命劣化を引き起こす。このため、REM含有量は、0.003%以下とする。REM含有量は0.002%以下であることが好ましい。REMを含有させる場合は、0.0005%以上または0.001%以上がよい。REMは0%であってもよい。
Bは、熱間加工性を改善するために使用する元素であり、安定した効果を得るために、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると、Bの化合物が析出し、熱間加工性を劣化させるので、B含有量は0.02%以下とし、B含有量は、0.015%以下であるのが好ましい。一方で、上記効果を得るためには、B含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、B含有量は0.0002%以上であるのがより好ましい。Bは0%であってもよい。
Ti:0〜1.00%
V:0〜0.50%
Ta:0〜0.5%
W:0〜0.5%
Nb、Ti、V、Ta、Wは炭窒化物を形成し、耐食性を改善する効果があるため、含有させてもよい。しかしながら、多量の含有は、被削性が劣化することから、Nb含有量は、1.00%以下とし、Ti含有量は、1.00%以下とする。また、V含有量は、0.50%以下とし、Ta含有量は、0.5%以下とし、W含有量は、0.5%以下とする。一方で、上記効果を得るためには、Nb含有量は、0.005%以上または0.05%以上であるのが好ましく、Ti含有量は、0.001%以上または0.05%以上であるのが好ましく、V含有量は、0.05%以上であるのが好ましい。また、Ta含有量は、0.05%以上または0.10%以上であるのが好ましく、W含有量は、0.10%以上であるのが好ましい。Nb、Ti、V、Ta、Wは0%であってもよい。
Coは、マトリックスの靭性を高めるため、含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると、マルテンサイト組織が析出し、被削性を劣化させるため、Co含有量は1.00%以下とし、Co含有量は、0.60%以下であるのが好ましい。一方で、上記効果を得るためには、Co含有量は、0.05%以上であるのが好ましい。Coは0%であってもよい。
Zrは、強度を向上させる効果があるので、含有させてもよい。しかしながら、多量の含有は靭性を低下させるため、Zr含有量は、0.020%以下とする。一方で、強度効果を十分に得るためには、Zr含有量は、0.001%以上であるのが好ましい。Zrは0%であってもよい。
Cuは、固溶強化により材料の硬さを高めて構成刃先の生成を防止し、切削加工時の表面精度を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、3.0%を超えて含有させても、その効果は飽和し、鋳片割れが発生するなど、製造性が劣化するため、Cu含有量は、3.0%以下とする。一方で、上記効果を得るためには、Cu含有量は、0.05%以上または0.1%以上であるのが好ましい。Cuは0%であってもよい。
Sb:0〜0.5%
Sn、Sbは、耐食性を劣化させる硫化物と共存させることで、耐食性劣化を抑制するため、含有させてもよい。しかしながら、0.5%を超えて含有させると、製造性を劣化させるため、Sn,Sb含有量はそれぞれ0.5%以下とし、Sn,Sb含有量は0.3%以下であるのが好ましい。一方で、上記効果を得るためには、Sn,Sb含有量はそれぞれ、0.005%以上であるのが好ましく、0.020%以上であってもよい。また、Sn,Sb含有量はそれぞれ0%であってもよい。
Gaは冷間加工性向上のために必要に応じて0.0005%以上含有してもよい。しかしながら、0.0050%を超えると鍛造性が劣化する。そのため、Ga含有量の上限を0.0050%以下とする。Gaは0%であってもよい。
また、(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物とは、Mn、Cr、S、Oを全て含み、0.3%以上のCa、1%以上のTeまたは0.3%以上のREMの1種または2種以上を含む介在物である。更に(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物は、Oを0.5%以上含んでもよい。
また、酸素量が0.5質量%未満であるNo.59〜61は、(Mn,Cr)(S,O)系介在物が含まれなかった。
上記以外の試料では、(Mn,Cr)(S,O)系介在物が含まれていた。
一方、比較鋼のNo.50からNo.64は規定範囲を満たしておらず、いずれかの特性を満足していないことがわかる。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.005〜0.050%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.10〜1.50%、
S:0.25〜0.60%、
P:0.010〜0.050%、
Cr:11.0〜20.0%、
Ni:0〜3.0%、
Mo:0〜3.0%、
N:0.005〜0.050%、
Al:0.004%以下、
Mg:0.002%以下、
O:0.010〜0.030%、
Ca:0〜0.003%、
Te:0〜0.024%、
REM:0〜0.003%
B:0〜0.02%、
Nb:0〜1.00%、
Ti:0〜1.00%、
V:0〜0.50%、
Ta:0〜0.5%、
W:0〜0.5%、
Co:0〜1.00%、
Zr:0〜0.020%、
Cu:0〜3.0%、
Sn:0〜0.5%、
Sb:0〜0.5%
Ga:0〜0.0050%
残部Feおよび不純物であり、
Oが0.5質量%以上の(Mn,Cr)(S,O)系介在物を含有することを特徴とするフェライト系S快削ステンレス鋼。 - 質量%で、さらに、
Ca:0.0005〜0.003%、
Te:0.003〜0.024%、
REM:0.0005〜0.003%
から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。 - 0.3質量%以上のCa、1質量%以上のTe、0.3質量%以上のREMのいずれか1種または2種以上を含む(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
- 質量%で、さらに、
B:0.0001〜0.02%、
Nb:0.005〜1.00%、
Ti:0.001〜1.00%、
V:0.05〜0.50%、
Ta:0.05〜0.5%、
W:0.10〜0.5%、
Co:0.05〜1.00%、
Zr:0.001〜0.020%、
Cu:0.05〜3.0%、
Sn:0.005〜0.5%、
Sb:0.005〜0.5%
Ga:0.0005〜0.0050%
から選択される1種以上を含有する、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。 - 前記(Mn,Cr)(S,O)系介在物のアスペクト比が4.0以下である、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
- 前記(Mn,Cr,Ca,REM)(S,O,Te)系介在物のアスペクト比が4.0以下である、請求項3または請求項4に記載のフェライト系S快削ステンレス鋼。
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