JP2001234279A - 切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼 - Google Patents

切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼

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JP2001234279A JP2000044821A JP2000044821A JP2001234279A JP 2001234279 A JP2001234279 A JP 2001234279A JP 2000044821 A JP2000044821 A JP 2000044821A JP 2000044821 A JP2000044821 A JP 2000044821A JP 2001234279 A JP2001234279 A JP 2001234279A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた冷鍛性を保持したまま、切削工程の自
動化において重要な切屑処理性を大幅に向上させた冷間
鍛造用鋼を提供する。 【解決手段】 鋼中に0.2%以下のBiを含有させる
とともに、鋼中のMn硫化物系介在物中の平均酸素量を
10%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間鍛造後に切削
加工を行う鋼材に関するものであって、被削性のうち特
に切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】鋼材の被削性を向上させる為に、鉛や硫
黄の如き被削性向上元素を添加した鋼が広く実用化され
ている。鋼中に添加された硫黄は、Mn等と硫化物を形
成して鋼中に分散し、これが鋼材切削中に応力集中源と
して作用する為、切屑が細かく分断され易くなって加工
が容易になる。また鉛は、その柔らかさ故に鋼材切削中
に応力集中源として作用するだけでなく、融点が低いの
で切削熱で溶解し、部分的に溶融金属脆化を引き起こす
為に、切屑が分断され易く被削性が向上する。
【0003】一方、冷間鍛造用鋼は、従来より精密機械
部品用の素材として用いられることが多く、まず冷間加
工され、その後仕上げの為に切削加工が行われる。従っ
て、冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造性(以下、冷鍛性とい
う)に加えて被削性に優れていることを要する。しかし
ながら被削性向上の為に鉛や硫黄を添加すると、上記諸
性質が災いして冷鍛性に悪影響を及ぼし、厳しい冷間鍛
造に耐え難くなる。その為、上記精密機械部品の製造に
は、冷鍛性劣化の悪影響が生じない程度の単純な形状に
まで冷間鍛造した後、残部を切削する工程が採用されて
いる。しかしこの方法では、切削加工に多くの時間を要
するだけでなく歩留りも低下する。従って、厳しい冷間
鍛造に耐え得るだけの冷鍛性を保持しつつ、被削性を高
めた冷間鍛造用鋼が望まれている。尚、切削は、実際の
製造ラインでは自動運転で行われる為、被削性としては
特に切屑処理性の向上が要求されている。
【0004】この問題に対処する従来技術として、特許
第1609794号公報には被削性に優れた機械構造用
鋼が開示されているが、被削性を改善するために鉛の添
加を必須としているので、上述の通り優れた冷鍛性は望
めない。また、特公平1−33544号公報には、冷鍛
性と被削性の優れた機械構造用鋼が開示されている。し
かし、その手段は介在物をCaS−CaOの形態に制御
するものであり、介在物中に多量の酸素が含まれる為、
該介在物は上述の通り細かく分散されず、優れた切屑処
理性を期待することができない。この被削性の向上をB
iやPbを添加して図るが、これらの元素は、鋼中に介
在物として析出し応力集中源となる為、更に微細分散等
を行わない限り、一般に冷鍛性もあまり良くない。ま
た、特開昭63−216952号公報にも冷間鍛造用鋼
について開示されているが、硫化物を細かく分散させる
ことについては検討されておらず、優れた切屑処理性は
望めない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な事
情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、優れた冷鍛性を保持したまま、自動切削工程におい
て重要な特性である切屑処理性を向上させた冷間鍛造用
鋼を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の鋼材とは、Bi:0.2%(質量%の
意味、以下同じ)以下を含むとともに、Mn硫化物系介
在物中の平均酸素量が10%以下であることを要旨とす
る。尚、Biにおける%表示は0%を含むものではな
い。
【0007】本発明の冷間鍛造用鋼は、上記2つの要件
を満たすことによって目的を達成するものであるが、一
般に次に示す様な化学成分、即ちC:0.7%以下、M
n:0.1〜3%、Si:2.5%以下、Cr:1.5
%以下、A1:0.1%以下、S:0.025%以下、
N:0.025%以下、O:0.003%以下を満たす
ものが挙げられる。尚、これらの元素等における%表示
はいずれも0%を含むものではない。
【0008】また、本発明の冷間鍛造用鋼には、希土類
元素を合計で100ppm以下、Ca:100ppm以
下、Mg:100ppm以下よりなる群から選択される
少なくとも1種の元素を含有させることが望ましい。更
に、Cu:2%以下、又はNi:2%以下、又はMo:
1%以下、又はTi:0.3%以下、又はV:0.5%
以下、又はNb:0.3%以下、又はB:0.01%以
下のいずれかを含有させることも有効である。尚、ここ
に示す元素も選択的に含有される場合の%を表示するも
のであるから、いずれも0%を含むものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前述した様な状況
の下で、切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼の開発を期し
て鋭意研究を進めた結果、鋼中のMn硫化物系介在物中
の平均酸素量を制御すると共に、少量のBiを添加する
ことが有効であることを突き止め、前記Mn硫化物系介
在物中の平均酸素量及び鋼中Bi含有量の定量的作用効
果について更に追求を重ねた結果、上記本発明に想到し
たものである。
【0010】以下、本発明において鋼材の化学成分等を
定めた理由を述べる。
【0011】まず本発明者らは、冷鍛性の向上に有効
に寄与するMn硫化物系介在物中の平均酸素量について
調べた。その結果を図1に示す。図1は、鋼中のMn硫
化物系介在物中の平均酸素量と、冷鍛性の指標である割
れ発生限界圧縮率との関係を示している。実験には、後
述する表1のAグループ試料を用いた。これらの試料は
いずれもBiを0.02%含有している。また、比較ベ
ース鋼としては、Biが無添加であり且つMn硫化物系
介在物中の酸素濃度が10%を超える鋼(以下、第1ベ
ース鋼と略す)を用いた。
【0012】図1より、適量のBi存在下で、Mn硫化
物系介在物中の酸素量を低減すれば割れ発生限界圧縮率
が改善されることが分かる。即ち、本発明者らは、適量
のBiを存在させた上でMn硫化物系介在物中の酸素量
を10%以下に抑制することで、第1べース鋼と同等若
しくはより優れた冷鍛性が得られることを見出した。こ
の様に、Mn硫化物系介在物中の酸素量の低減が、冷鍛
性の改善に有効に作用した理由として、Mn硫化物系介
在物中の酸素濃度を下げることでMn硫化物系介在物が
微細化し、Bi粒が、微細化されたMn硫化物にとりつ
いて微細分散するためと推察される。また、上記Mn硫
化物系介在物の微細化は、前記介在物中の酸素の低減で
Mn硫化物系介在物が軟らかくなり、圧延段階で展伸さ
れ、更に比較的低温域の圧延最終段階で上記介在物が細
かく分断され易くなるためと推察される。
【0013】また、Mn硫化物系介在物中の平均酸素量
の低減は、切屑処理性の向上にも寄与する。その理由と
して、Mn硫化物系介在物中の平均酸素量が低い場合に
は、Mn硫化物がデンドライト状に析出し易いこと、及
び、上述の通り延性が高く熱間圧延時に微細分散し易い
ことが推察される。
【0014】切屑処理性の改善は、上記Mn硫化物系介
在物中の平均酸素量を10%以下に抑えることで達成さ
れるが、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは4
%以下に抑える。
【0015】上記Mn硫化物系介在物中の酸素濃度の調
整は、溶鋼処理の段階において、Mn硫化物の析出する
温度域(約1700℃〜凝固温度)で酸素と結合し易い
REM,Ca,Mg等を添加して行う。尚、これらの添
加元素は、酸素と結合しほとんどがスラグ中に出るの
で、最終製品の品質には影響を及ぼさない。
【0016】次に、優れた冷鍛性を保持したまま切屑
処理性を著しく向上させるBiの定量的効果について調
べた。その結果を図2に示す。図2は、被削性の指標で
ある切屑処理性指数と、冷鍛性の指標である割れ発生限
界圧縮率との関係について、Bi添加鋼とPb添加鋼と
を比較した結果を示している。実験には、ベース鋼とし
て、Bi及びPbを添加せず且つMn硫化物系介在物中
の平均酸素量が10%以下の鋼(以下、第2ベース鋼と
略す)を用いた。また実験には、第2ベース鋼にBi量
又はPb量のいずれかを変化させて添加した鋼を用い
た。切屑処理性指数は、後述の実施例で示す切削試験法
と同じ方法で求めた。
【0017】尚、図2において、第2べース鋼が第1ベ
ース鋼よりも割れ発生限界圧縮率が高い、即ち冷鍛性が
良いのは、第2べース鋼のMn硫化物系介在物中の酸素
含有量が、第1ベース鋼よりも低く10%以下であるこ
とに起因する。
【0018】図2より、0.2%までのBiを鋼に含有
させると、第1べース鋼と同等若しくはそれ以上の優れ
た冷鍛性を保持したまま、切屑処理性が著しく向上する
ことが分かる。これに対し、Pbを添加した場合は、切
屑処理性指数が向上するにつれて冷鍛性が著しく劣化
し、優れた切屑処理性と冷鍛性とを同時に得ることがで
きない。
【0019】即ち、本発明者らは優れた冷鍛性及び被削
性を同時に実現するには、0.2%以下、望ましくは
0.1%以下のBiを鋼中に含有させる必要があること
を見出した。尚、Biはごく微量でもその効果を発揮す
るが、効果をより明確に発現させるには、0.01%以
上添加することが好ましい。
【0020】次に本発明の冷間鍛造用鋼における基本的
な成分の好ましい範囲及びその理由について述べる。
【0021】C:0.7%以下 Cは最終製品の強度を確保するために重要な元素であ
り、通常は0.002%程度以上を必要とするが、0.
7%を超えると強度が高くなりすぎて冷鍛性が劣化する
ので、上限を0.7%とする。
【0022】Mn:0.1〜3% MnもCと同様、最終製品の強度を確保するために必要
な元素であり、また本発明では、特にMn硫化物を形成
させて被削性の向上を図る必要があるため、0.1%以
上を含有させる。しかし、過剰に添加すると鋼が硬質化
して冷鍛性が低下するので3%以下に抑える。
【0023】Si:2.5%以下、A1:0.1%以下 Si及びA1は共に脱酸に有効な元素であり、しかもS
iは、鋼の固溶強化に有効に作用して最終製品の強度を
向上させるので、Siは0.1%以上、Alは0.01
%以上含有させることが好ましい。しかし、いずれの元
素も多すぎると冷鍛性を劣化させるので、Siは2.5
%以下、A1は0.1%以下に抑える。尚、Siは冷間
鍛造時の変形抵抗を高める元素なので、切削性の評価と
して工具寿命を重視する場合は、0.1%以下に抑える
ことが望ましい。
【0024】Cr:1.5%以下 Crは、固溶炭素による時効を抑制して冷鍛性を向上さ
せる為、0.1%以上含有させることが好ましい。しか
し、過剰に添加すると鋼材が硬質化するので上限を1.
5%とする。
【0025】S:0.025%以下 Sは、被削性の向上に有効なMn硫化物系介在物を形成
するのに必要な元素である。従って、0.005%以上
添加することが好ましい。しかし、多過ぎると冷鍛性を
著しく劣化させるので0.025%以下、好ましくは
0.015%以下とする。
【0026】N:0.025%以下 Nは、鋼中に硬い窒化物、炭窒化物を生成して冷鍛性の
向上を阻害する元素であるので、冷鍛性を重視する場合
は、低含有量であることが望ましい。一方、Nは時効効
果を促進し、切削熱で切屑の時効脆化を起こし易くする
元素でもあるので、被削性を重視する場合には高含有量
であることが望ましい。しかしNが過剰になると、冷間
鍛造時の時効硬化が大きくなり冷鍛性が劣化するので、
0.025%以下に抑える。
【0027】O:0.003%以下 O含有量が0.003%を超えるとアルミナ等の硬質な
酸化物系介在物等が増加して工具摩耗を促進するので、
上限を0.003%とする。
【0028】本発明における基本的な化学成分組成は以
上の通りであるが、必要によっては、希土類元素、C
a、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも1種、及び
/又はCu、Ni、Mo、Ti、V、Nb、Bのいずれ
かを適量含有させて、次の様な改善効果を得ることも有
効である。
【0029】希土類元素:合計で100ppm以下、C
a:100ppm以下、Mg:100ppm以下 これらの元素は、上述の通り、鋼中の酸素濃度の低減に
大きく寄与する。即ち、これらの元素をMn硫化物の析
出温度域(Mn硫化物が析出する温度はMn含有量やS
含有量によって異なる)で溶鋼中に添加すると、Mn硫
化物系介在物の低酸素濃度化が一層助長される。上記元
素は鋼中酸素の低減の為に添加するので、最終的に残存
させる必要性はないが一部残存してもよい。ただし、上
記いずれの元素も100ppmを超えると、酸化物系介
在物が多くなり冷鍛性を阻害するので、含有量の上限を
それぞれ100ppmとする。
【0030】Cu:2%以下、Ni:2%以下、Mo:
1%以下、Ti:0.3%以下、V:0.5%以下、N
b:0.3%以下、B:0.01%以下 これらの元素は、主に強度や焼入れ性の向上に有効に作
用する。また、BはNと結合してBNを形成し、被削性
を改善する作用も有している。しかし、いずれの元素も
過剰に添加すると冷鍛性を劣化させるので、上記の通り
上限を規定する。
【0031】尚、本発明鋼中に含まれる元素については
上記説明したものの他、原料、資材、製造設備等の状況
によって持ち込まれる不可避的不純物、更には、本発明
の課題達成に悪影響を与えない元素が含まれる場合も、
本発明の技術的範囲に包含される。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0033】実施例 転炉にて下記表2及び表3に示す化学成分組成の冷間鍛
造用鋼を溶製、鋳造後に80mmφの棒鋼に圧延し、そ
の後熱処理して供試材を得た。得られた鋼材を用いて、
Mn硫化物系介在物中の平均酸素量、Mn硫化物系介在
物の個数、切屑処理性指数、及び割れ発生限界圧縮率を
調べた結果を表4に示す。
【0034】表2及び表4に示す記号Aグループは、M
n硫化物系介在物中の酸素含有量を変化させた実施例で
ある。Mn硫化物系介在物中の酸素濃度は、前述の通り
Mn硫化物の析出する温度域で酸素と結合しやすいRE
M、Ca、Mg等を添加して調整した。尚、酸素濃度は
溶鋼処理中に上昇し、最終製品の酸素濃度は、表2に示
す通り12ppm程度となっている。
【0035】また、表2及び表4に示すBグループは、
Bi添加量を変化させた実施例であり、Cグループは、
Biの代わりにPbを添加した場合の比較例である。更
に、表3及び表4に示すFグループは、Sの含有量を変
化させた実施例である。表2〜4には、その他にC,M
n,Si,Cr,Al,N,Oの含有量を変化させた実
施例、及びREM,Ca,Mg,V,Nb,Ti,M
o,Ni,Cu,Bを添加した実施例を示す。
【0036】各供試材のMn硫化物系介在物中の平均酸
素量は、以下の様にして求めた。即ち、上記80mmφ
棒鋼のD/8部より無作為に選択したMn硫化物系介在
物の酸素含有量をEPMAで測定し、n10の平均をそ
のサンプルのMn硫化物系介在物中の平均酸素量とし
た。尚、測定するMn硫化物が小さい場合には、マトリ
ックスであるFeの影響を受けて、上記酸素含有量が実
際の介在物中の酸素量よりも低値となり易いので、最大
半径5μm以上の介在物を測定対象とした。また、測定
結果がマトリックスであるFeの影響を受けていると思
われる場合には、Fe量を無視し、Fe以外の化学成分
の合計が100%となるように補正して酸素量を求め
た。
【0037】更に、本発明の骨子であるMn硫化物系介
在物中の平均酸素量を制御することで、実際にMn硫化
物系介在物の形態も制御されていること、即ち、Mn硫
化物系介在物の微細分散化により個数が増加しているこ
とを確認する為に、介在物の個数についても測定した。
Mn硫化物系介在物の個数は、前記EPMA分析を実施
したサンプルを用い、D/8位置での面積1mm2の視
野を光学顕微鏡で600倍で撮影した写真を画像解析
し、長さ及び幅がともに0.5μm以上のものを数え
た。表2に示す結果より、Mn硫化物系介在物の個数
は、介在物中の酸素含有量を低減させると増大すること
が分かった。
【0038】各供試材についての切削試験及び冷間鍛造
試験は以下の様に行った。尚、冷間鍛造試験には、サン
プルとして上記80mmφ棒鋼のD/8部から20mm
φ×30mmLの鋼片を切り出して用いた。
【0039】<切削試験> 切削速度:150m/min 切り込み:0.5,1.0,2.0mm、 送り:0.05,0.10,0.20,0.30mm/
rev の全組み合わせの12条件で切屑を観察した。切屑処理
性の評価には、12条件それぞれにおける切屑の状態を
図3より判断し、表1に示す様に12条件の評価点を合
計した切屑処理性指数を用いた。尚、表1は実験No.
3の切屑処理性指数の算出方法を表したものであるが、
他の実施例についても、表1の様にして切屑処理性指数
を求めた。
【0040】
【表1】
【0041】<冷間鍛造試験>割れ発生限界圧縮率は、
神戸製鋼所技報「R&D/Vo1.23No2.p.9
0」に記載された方法で切欠きを入れた円柱状試験片を
同心円状の溝を付けた圧縮盤を用いて拘束圧縮し、割れ
が発生しない最大の圧縮率を測定した。尚、Mn硫化物
系介在物中の平均酸素量、及びBi含有量の制御の有無
が冷間鍛造性へ与える影響を調べる為に、Mn硫化物系
介在物中の平均酸素量が10%以上、且つBi無添加で
あることを除き、各実施例と化学成分がほぼ同じベース
鋼(以下、単にベース鋼という)についても、上記割れ
発生限界圧縮率を測定した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】表2〜4における実験No.3〜13及び
No.18〜42は、請求項1の規定要件を満たしてお
り、いずれも優れた冷鍛性を保持したまま切屑処理性を
向上させることができた。尚、実験No.36〜42は
V、Nb、Ti、Mo、Ni、Cu、Bのいずれかを添
加している例であるが、本実施例も請求項1の規定要件
を全て満たしている為、べース鋼と同等の割れ発生限界
圧縮率を確保したまま優れた切屑処理性を達成すること
ができた。
【0046】これに対して、実験No.1,2,14〜
17は、請求項1で定める要件のいずれかを欠き、下記
の如く割れ発生限界圧縮率又は切屑処理性が不良で本発
明の目的を達成することができない。
【0047】即ち、実験No.1及び2は、Mn硫化物
系介在物中の平均酸素量が高い為、割れ発生限界圧縮率
がベース鋼よりも劣化している。
【0048】また、実験No.14は、鋼中Bi含有量
が規定範囲を超えている為、割れ発生限界圧縮率がベー
ス鋼よりも劣化している。更に、実験No.15〜17
はBiの代わりにPbを添加しているが、ベース鋼と比
較して割れ発生限界圧縮率が著しく劣化しており、冷鍛
性を劣化させることなく十分な切屑処理性を付与させる
ことができない。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
中に0.2%以下のBiを含有させ、且つ鋼中のMn硫
化物系介在物中の平均酸素量を10%以下とすることに
よって、優れた冷鍛性を保持したまま、自動切削工程に
おいて重要な特性である切屑処理性を向上させた冷間鍛
造用鋼を提供し得ることとなった。こうした冷間鍛造用
鋼の実現によって、精密機械部品の製造では、仕上げの
切削加工前に厳しい冷間鍛造を行い得る為、切削加工に
要する時間が削減でき、且つ歩留りの向上も期待できる
こととなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mn硫化物系介在物中の平均酸素量と、冷鍛性
の指標である割れ発生限界圧縮率との関係を示したグラ
フである。
【図2】被削性の指標である切屑処理性指数と、冷鍛性
の指標である割れ発生限界圧縮率との関係について、B
iを添加した場合とPbを添加した場合とを比較したグ
ラフである。
【図3】切屑状態に対する切屑評価点を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi:0.2%(質量%の意味、以下同
    じ)以下を含むとともに、Mn硫化物系介在物中の平均
    酸素量が10%以下であることを特徴とする切屑処理性
    に優れた冷間鍛造用鋼。
  2. 【請求項2】 C:0.7%以下、Mn:0.1〜3
    %、Si:2.5%以下、Cr:1.5%以下、A1:
    0.1%以下、S :0.025%以下、N :0.0
    25%以下、O :0.003%以下を満たす請求項1
    に記載の切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。
  3. 【請求項3】 更に他の元素として、希土類元素:合計
    で100ppm以下、Ca:100ppm以下、Mg:
    100ppm以下よりなる群から選択される少なくとも
    1種の元素を含むものである請求項1または2に記載の
    切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。
  4. 【請求項4】 更に他の元素として、Cu:2%以下、
    又はNi:2%以下、又はMo:1%以下、又はTi:
    0.3%以下、又はV :0.5%以下、又はNb:
    0.3%以下、又はB :0.01%以下のいずれかを
    含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の切屑処
    理性に優れた冷間鍛造用鋼。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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