JP2001131684A - 切り屑処理性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

切り屑処理性に優れた機械構造用鋼

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JP2001131684A
JP2001131684A JP31436699A JP31436699A JP2001131684A JP 2001131684 A JP2001131684 A JP 2001131684A JP 31436699 A JP31436699 A JP 31436699A JP 31436699 A JP31436699 A JP 31436699A JP 2001131684 A JP2001131684 A JP 2001131684A
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machine structural
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Masami Somekawa
雅実 染川
Satoshi Abe
安部  聡
Hiroshi Kako
浩 家口
Takehiro Tsuchida
武広 土田
Katsuhiko Ozaki
勝彦 尾崎
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 切削工程の自動化において重要な特性である
切り屑処理性を大幅に向上させることができる機械構造
用鋼を提供する。 【解決手段】 本発明の機械構造用鋼は、Mn硫化物系
介在物中の平均酸素含有量が10%以下で、その主要組
成は重量%で、C 0.05〜0.7,Si 2.5以
下,Mn 0.1〜3,Al 0.1以下,S 0.0
03〜0.2,N 0.002〜0.025,θ 0.
003以下と残部がFeで、更に希土類元素、Caおよ
びMgよりなる群から選択される1種以上を合計で0.
01以下を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被削性のうち特に
切り屑処理性に優れた機械構造用鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】機械構造用鋼の被削性を向上させる手段
として、鉛や硫黄の如き被削性向上元素の添加によるも
のが広く実用化されている。このうち、硫黄はMnと介
在物を形成して硫化物として鋼中に存在し、これが切削
中に応力集中源として作用し、加工性を容易にする効果
がある。
【0003】上記の様な硫化物形態を制御して被削性を
向上させる試みが、従来から様々な角度からなされてお
り、例えば特開昭50−75111号では、MnS中に
Zrを固溶させて(Zr,Mn)Sとし、硫化物形態を
紡錘状に制御する方法が示されている。また、特公平5
−15777号には、Caの添加によって硫化物を(C
a,Mn)Sとして紡錘状に制御し、被削性を向上させ
る技術が提案されている。更に、特開平10−2879
53号には、同じくCaを添加して硫化物を形態制御す
ると共に、被削性に有害な硬質酸化物を硫化物で包んで
無害化させることによって、被削性を向上させる方法も
提案されている。
【0004】本発明者らも、機械構造用鋼の被削性を向
上させるべく、かねてより検討を進めており、その研究
の一環としてこれまで提案されている上記従来技術の効
果について確認した。その結果、上記した従来技術で
は、いずれも硫化物は紡錘状に制御できて工具寿命に関
してはそれなりの向上効果が発揮されることが判明し
た。しかしながら、実際の製造ライン(切削工程)の自
動運転で行なう際に要求される切り屑処理については、
期待する程の効果が発揮できす、却って低下する場合が
あることが明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な状況
の下でなされたものであり、その目的は、切削工程の自
動化において重要な特性である切り屑処理性を大幅に向
上させることができる機械構造用鋼を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の機械構造用鋼とは、Mn硫化物系介在物中の平均
酸素含有量が10%以下である点に要旨を有するもので
ある。本発明の機械構造用鋼においては、Mn硫化物系
介在物中の平均酸素含有量を上記の様に規制する為に
は、希土類元素、CaおよびMgよりなる群から選択さ
れる1種以上を合計で0.01%以下を含有させること
が好ましい。
【0007】本発明の機械構造用鋼における基本的な化
学成分組成としては、C:0.05〜0.7%、Si:
2.5%以下(0%を含む)、Mn:0.1〜3%、A
l:0.1%以下(0%を含む)、S:0.003〜
0.2%、N:0.002〜0.025%、O:0.0
03%以下(0%を含む)を夫々含有するものが挙げら
れる。
【0008】また、本発明の機械構造用鋼には、必要に
よって、(a)Cr:1.5%以下(0%を含まな
い)、Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%
以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含ま
ない)よりなる群から選択される1種以上、(b)T
i:0.3%以下(0%を含まない)、V:0.5%以
下(0%を含まない)、Nb:0.3%以下(0%を含
まない)よりなる群から選択される1種以上、(c)
B:0.01%以下(0%を含まない)、(d)Pb:
0.4%以下(0%を含まない)、Bi:0.4%以下
(0%を含まない)、Sn:0.4%以下(0%を含ま
ない)、In:0.4%以下(0%を含まない)よりな
る群から選択される1種以上、(e)Te:0.2%以
下(0%を含まない)および/またはSe:0.3%以
下(0%を含まない)、等を含有させることも有効であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題を解決す
るべく、特に切り屑分断性とMn硫化物系介在物形態と
の関係について、様々な角度から検討した。その結果、
これまで提案されている硫化物を紡錘状に制御する方法
では、硫化物の変形能を低下させることによって形状を
丸く制御すると同時に、硫化物個数が減少してしまい、
切削過程において切り屑分断の起点となる応力集中源を
減らしてしまい、被削性のうちの切り屑処理性に関して
はその効果が発揮されないことが判明した。
【0010】そこで本発明者らは、逆に硫化物の変形能
を向上させ、延性に富んだ組成に制御すれば、鋳造後の
熱間加工においてMn硫化物系介在物が微細に分散し
て、応力集中源を増加させることができるとの着想が得
られた。そして、延性に富んだ硫化物に制御する為に
は、硫化物中の平均酸素含有量を10%以下となる様に
することによって達成されることを見出し、本発明を完
成した。
【0011】また本発明者らが検討したところによれ
ば、Mn硫化物系介在物中の平均酸素含有量を10%以
下に制御する為には、鋼の製造工程において、鋳造前段
階で最終製品の要求特性が得られる成分に調整した後、
鋳造直前に各種希土類元素,Ca,Mg等を添加して、
更に脱酸を行なう様にすれば、溶鋼中の酸素含有量が減
少し、その後生成する硫化物中の酸素含有量を制御でき
ることを突き止めた。
【0012】上記希土類元素,CaおよびMg等の添加
成分は、鋼中の酸素レベルを下げることが目的であっ
て、多く歩留まらせる必要はなく、鋼中に微量歩留まれ
ば良い。逆に、これらの元素が0.01%を超えて過剰
になると硫化物系介在物が大型で析出し、その結果とし
てMn硫化物系介在物の個数を減少させることになるの
で、希土類元素,CaおよびMg等の添加は0.01%
以下の範囲に抑制する必要がある。
【0013】尚、本発明で対象とするMn硫化物系介在
物とは、MnSを主体としたものであるが、他の添加元
素Xを固溶した複合の介在物が(Mn,X)Sとして存
在するものも含むものである。このときの添加元素Xと
しては、Fe,Cr,Zr,Ti,Ca,Mg等が挙げ
られる。また、Al23等の酸化物が核となっているM
nS系介在物が存在している場合は、酸化物以外の硫化
物の部分を硫化物系介在物として考慮できる。
【0014】本発明で対象とする鋼材の種類については
特に限定されるものではなく、例えばJIS G 40
51に規定される機械構造用炭素鋼鋼材、JIS G
4102に規定されるニッケルクロム鋼鋼材、JIS
G 4103に規定されるニッケルクロムモリブデン鋼
鋼材、JIS G 4104に規定されるクロム鋼鋼
材、JIS G 4105に規定されるクロムモリブデ
ン鋼鋼材、JIS G4106に規定される機械構造用マ
ンガンクロム鋼鋼材等に適用できる。また、これらの他
にも、ボロン鋼鋼材、熱間鍛造型非調質鋼鋼材等にも適
用できる。
【0015】本発明の機械構造用鋼における基本的な成
分であるC,Si,Mn,Al,S,NおよびO等の好
ましい範囲およびその理由は下記の通りである。
【0016】C:0.05〜0.7% Cは、最終製品の強度を確保するのに最も重要な元素で
あり、こうした効果を発揮させる為には、C含有量は
0.05%以上とするのが好ましい。しかしながら、C
含有量が過剰になると靭性が低下すると共に、硬くなり
過ぎて工具寿命等の被削性が悪くなるので、0.7%以
下にすることが好ましい。尚C含有量のより好ましい下
限は0.08%であり、より好ましい上限は0.6%で
ある。
【0017】Si:2.5%以下(0%を含む) Siは、脱酸元素として有効である上に、固溶強化によ
り部品の強度に有効に作用する。しかしながら、Siの
含有量が過剰になると被削性に悪影響が出てくるので
2.5%以下とすることが好ましい。尚Si含有量のよ
り好ましい上限は1.5%である。
【0018】Mn:0.1〜3% Mnは、鋼材の焼入れ性を高めて強度増大に寄与するば
かりでなく、硫化物系介在物を形成して被削性向上にも
重要な元素である。こうした効果を発揮させる為には、
Mn含有量は0.1%以上とすることが好ましいが、過
剰になると被削性が低下するので、3%以下にするのが
良い。尚Mn含有量のより好ましい下限は0.3%であ
り、より好ましい上限は2.5%である。
【0019】Al:0.1%以下(0%を含む) Alは、鋼材の溶製時の脱酸元素として重要であるほ
か、窒化物を形成してオーテナイト結晶粒の微細化に寄
与する。しかしながら、Alの含有量が過剰になると逆
に結晶粒が粗大化して靭性に悪影響を及ぼすことになる
ので、0.1%以下とするのが良い。尚Al含有量のよ
り好ましい上限は0.006%である。
【0020】S:0.003〜0.2% Sは、MnS等の硫化物系介在物を形成し、被削性を向
上させる為に有用な元素であり、こうした効果を発揮さ
せる為には0.003%以上含有させることが好まし
い。しかしながら、Sの量が過剰になると熱間鍛造や冷
間鍛造時の割れ発生の起点となって変形能を低下させる
ので、0.2%以下とするのが良い。尚S含有量のより
好ましい下限は0.01%であり、より好ましい上限は
0.15%である。
【0021】N:0.002〜0.025% Nは、AlやTi等の窒化物を形成し、オーステナイト
結晶粒を微細化し、靭性や疲労強度を高めるのに有効に
作用する。こうした効果を発揮させる為には、N含有量
は0.002%以上とすることが好ましい。しかしなが
ら、N含有量が過剰になると逆に靭性を低下させるの
で、0.025%以下とするのが好ましい。尚N含有量
のより好ましい下限は0.003%であり、より好まし
い上限は0.02%である。
【0022】O:0.003%以下(0%を含む) Oは、Al23等の硬質の酸化物として鋼中に存在し、
切削時に工具の摩耗を促進させるので、できるだけ低減
するのが良く、こうした観点から0.003%以下とす
るのが好ましい。尚O含有量のより好ましい上限は0.
002%である。
【0023】本発明の機械構造用鋼の基本的な化学成分
組成の好ましい範囲は上記の通りであり、残部は実質的
にFeからなるものであるが、必要によって、(a)C
r:1.5%以下(0%を含まない)、Cu:2%以下
(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まな
い)、Mo:1%以下(0%を含まない)よりなる群か
ら選択される1種以上、(b)Ti:0.3%以下(0
%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まな
い)、Nb:0.3%以下(0%を含まない)よりなる
群から選択される1種以上、(c)B:0.01%以下
(0%を含まない)、(d)Pb:0.4%以下(0%
を含まない)、Bi:0.4%以下(0%を含まな
い)、Sn:0.4%以下(0%を含まない)、In:
0.4%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
れる1種以上、(e)Te:0.2%以下(0%を含ま
ない)および/またはSe:0.3%以下(0%を含ま
ない)、等を含有させることも有効である。これらを添
加するときの各成分の範囲限定理由は下記の通りであ
る。
【0024】Cr:1.5%以下(0%を含まない)、
Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:0.2%以
下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まな
い)よりなる群から選択される1種以上 Cr,Cu,Ni,Moは、いずれも強度を確保するの
に有用な元素であるが、これらの含有量が多くなり過ぎ
ると被削性が低下する等といった悪影響を及ぼすので、
用途に応じて適性量を添加することがましい。こうした
観点から、上記の範囲で含有させるのが良い。
【0025】Ti:0.3%以下(0%を含まいな
い)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:
0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
れる1種以上 これらの元素は、調質後の組織の微細化、強度・靭性バ
ランスの向上に有効である。また非調質鋼でも強度を大
幅に向上させると共に、組織も微細化して靭性を向上さ
せるのに有効である。しかしながら、過剰に含有させて
も却って被削性に悪影響を及ぼすので、上記の範囲で含
有させるのが良い。
【0026】B:0.01%以下(0%を含まない) Bは、微量で焼入れ性を確保できる元素であるが、過剰
に含有させてもその効果が飽和するので、その含有量は
0.01%以下、より好ましくは0.005%以下とす
るのが良い。尚Bによる上記の効果を発揮させる為に
は、少なくとも0.0003%以上含有させることが好
ましく、より好ましくは0.0005%以上とするのが
良い。
【0027】Pb:0.4%以下(0%を含まない)、
Bi:0.4%以下(0%を含まない)、Sn:0.4
%以下(0%を含まない)、In:0.4%以下(0%
を含まない)よりなる群から選択される1種以上 Pb,Bi,SnおよびIn等の低融点金属は、被削性
を向上させるのに非常に有効な元素である。しかしなが
ら、過剰に含有させても被削性向上効果は飽和し、また
靭性が大きく劣化するので、上記の範囲で含有させるの
が良い。
【0028】Te:0.2%以下(0%を含まない)お
よび/またはSe:0.3%以下(0%を含まない) TeとSeは共に良く知られた被削性向上元素である
が、過剰に含有させると熱間加工時に延性が低下し、割
れが発生し易くなるので、含有量はTeで0.2%以
下、Seで0.3%以下とすべきである。
【0029】尚本発明の機械構造用鋼には、上記の各種
成分以外にも快削鋼の特性を阻害しない程度の微量成分
を含み得るものであり、こうした快削鋼も本発明の技術
的範囲に含まれるものである。上記微量成分としては、
As,Sb,P等の不純物、特に不可避的不純物が挙げ
られる。
【0030】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0031】
【実施例】下記表1(発明鋼)および表2(比較鋼)に
示す化学成分組成の各種機械構造用鋼を溶製、鋳造後、
9.5mmφの棒鋼に圧延して熱処理して供試材とし、
得られた各供試材について切削試験を行なった。
【0032】下記表1、2において、発明鋼と比較鋼の
略番の数値が同じものは、同じ成分系とし、夫々の成分
系にて本発明の効果を確認できる様にしたものである。
即ち、発明鋼1〜4および比較鋼C1〜C4は、S45
CをベースとしてS含有量を変化させたものであり、発
明鋼2と2’、および発明鋼3と3’は、夫々同一成分
系のものを、溶製、鋳造前に添加する最終脱酸元素の種
類を変えたものである。
【0033】また、発明鋼5〜10および比較鋼C5〜
C10は、同じくS45CをベースとしてSを添加した
鋼材に、Pb,Bi,Sn,In,Te,Se等の被削
性向上元素を添加したものである。発明鋼11〜16お
よび比較鋼C11〜C16は、SCM,SCR等の各種
合金鋼やボロン鋼を用いたものである。発明鋼17〜2
3および比較鋼C17〜C23は、熱間鍛造若しくは温
間鍛造用非調質鋼を用いて本発明の効果を確認したもの
である。
【0034】尚表1、2における希土類元素(REM)
は、その合計量を示しており、本発明ではLa,Ce,
Pr,Ndを分析したものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】このときの切削試験は、次の様にして行な
った。発明鋼1〜16、および比較鋼C1〜C16につ
いては、圧延した後長さ:40mmに切断し、油冷(8
50℃×1時間)→水冷(550℃×2時間)にて焼入
れ・焼戻し処理した。引き続き、D/8位置を、10m
mφのハイスドリルを用いて穴あけ加工を実施し、得ら
れた切り屑について1g当たりの切り屑個数を求め、こ
の値の大小にて切り屑処理性を評価した。また、発明鋼
17〜23、および比較鋼C17〜C23については、
圧延した後に長さ:40mmに切断し、1200℃×2
0分で空冷の熱処理を施し、上記と同様にして切削試験
を実施した。この結果を、下記表3、4に示す。尚、切
削試験の詳細な条件は、下記の通りである。
【0038】<切削試験条件> 工具:10mmφのストレートドリル(SKH51,表
面コーティングなし) 切削速度:20m/mim 送り:0.2mm/rev 穴深さ:30mm 切削油:なし(乾式) 切削性評価:単位重量当たりの切り屑個数(個/g)
【0039】また、各供試材についてMn硫化物系介在
物中の酸素含有量を、次の様にして求めた。即ち、各鋼
種を50mmφに圧延した後、縦断面切断、樹脂埋込み
サンプルを作製して研磨し、切削試験を実施したD/8
位置より無作為にMn硫化物中の酸素含有量をEPMA
にて測定し、各サンプルの酸素含有量の平均値を算出し
た。この結果を、下記表3、4に示す。
【0040】尚測定するMnS硫化物系介在物が小さい
場合、マトリックスのFeの影響を受け、実際の介在物
中の酸素量よりも測定値が小さくなることがあるので、
比較的大きな介在物を測定対象とし、更に測定値がマト
リックスのFeの影響を受けていると思われる場合に
は、Fe量を無視してFe以外の測定値の合計が100
%となる様に補正した。
【0041】本発明者らは、本発明の骨子であるMn硫
化物系介在物の平均酸素含有量により、実際にその形態
が制御されていることを確認する為に、介在物の個数に
ついても測定した。このとき、EPMA分析を実施した
サンプルを用い、D/8位置での面積1mm2の視野に
ついて、光学顕微鏡の倍率を200倍として観察し、C
CDカメラにて3倍に拡大して取り込んだ画像を、画像
解析にて測定した。尚測定した介在物の大きさは、長さ
および幅ともに0.5μm以上のものとした。この結果
を下記表3、4に示すが、本発明鋼のMnS硫化物系介
在物の個数は、介在物中の酸素含有量を制御することに
よって、比較鋼に比べて増大していることがわかる。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】上記表3、4のデータに基づき、切り屑処
理性の評価結果を図1〜4にまとめて示す。まず発明鋼
1〜4、および比較鋼C1〜4の結果を図1に示すが、
本発明鋼の切り屑処理性は比較鋼よりも優れていること
が分かる。
【0045】また、発明鋼5〜10、および比較鋼C5
〜10については、S以外の快削元素を添加しているた
めに、各々同一成分系同士で切り屑処理性を比較した。
その結果を図2にまとめて示すが、本発明鋼の効果が確
認できる。
【0046】以下、同様にして発明鋼11〜16、およ
び比較鋼C11〜16の結果を図3に、発明鋼17〜2
3、および比較鋼C17〜23の結果を図4に夫々示す
が、いずれにおいても本発明鋼が切り屑処理性に優れて
いることが分かる。
【0047】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、M
n硫化物系介在物の形態を最適な状態に制御することに
よって、被削性、特に切り屑処理製を向上させることが
可能となった。こうした機械構造用鋼の実現によって、
被削性がより優れた機械構造用鋼を供給することが可能
となり、切削工程の自動化に大きく貢献できるものと期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切り屑処理性の評価結果について、発明鋼1〜
4と比較鋼C1〜C4を比較して示したグラフである。
【図2】切り屑処理性の評価結果について、発明鋼5〜
10と比較鋼C5〜C10を比較して示したグラフであ
る。
【図3】切り屑処理性の評価結果について、発明鋼11
〜16と比較鋼C11〜C16を比較して示したグラフ
である。
【図4】切り屑処理性の評価結果について、発明鋼17
〜23と比較鋼C17〜C23を比較して示したグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 家口 浩 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 土田 武広 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 尾崎 勝彦 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn硫化物系介在物中の平均酸素含有量
    が10%(質量%の意味、以下同じ)以下であることを
    特徴とする切り屑処理性に優れた機械構造用鋼。
  2. 【請求項2】 希土類元素、CaおよびMgよりなる群
    から選択される1種以上を合計で0.01%以下を含有
    する請求項1に記載の機械構造用鋼。
  3. 【請求項3】 C:0.05〜0.7%、Si:2.5
    %以下(0%を含む)、Mn:0.1〜3%、Al:
    0.1%以下(0%を含む)、S:0.003〜0.2
    %、N:0.002〜0.025%、O:0.003%
    以下(0%を含む)を夫々含有するものである請求項1
    または2に記載の機械構造用鋼。
  4. 【請求項4】 更に、Cr:1.5%以下(0%を含ま
    ない)、Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2
    %以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含
    まない)よりなる群から選択される1種以上を含有する
    請求項3に記載の機械構造用鋼。
  5. 【請求項5】 更に、Ti:0.3%以下(0%を含ま
    ない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:
    0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
    れる1種以上を含有する請求項3または4に記載の機械
    構造用鋼。
  6. 【請求項6】 更に、B:0.01%以下(0%を含ま
    ない)を含有するものである請求項3〜5のいずれかに
    記載の機械構造用鋼。
  7. 【請求項7】 更に、Pb:0.4%以下(0%を含ま
    ない)、Bi:0.4%以下(0%を含まない)、S
    n:0.4%以下(0%を含まない)、In:0.4%
    以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種
    以上を含有する請求項3〜6のいずれかに記載の機械構
    造用鋼。
  8. 【請求項8】 更に、Te:0.2%以下(0%を含ま
    ない)および/またはSe:0.3%以下(0%を含ま
    ない)を含有する請求項3〜7のいずれかに記載の機械
    構造用鋼。
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