JP5234904B2 - 被削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、産業機械、電気製品等の部品を製造するために有用な機械構造用鋼に関するものであり、殊にPbを実質的に含まずに(いわゆるPbフリーで)、被削性に優れた機械構造用鋼に関するものである。
自動車、産業機械、電気製品等の部品は、一般に、機械構造用鋼を切削する工程を経て製造される。そのため機械構造用鋼は、被削性が良好であることが要求される。被削性を改善するには、鋼にPbを含有させることが有効である。しかし現在、Pbによる環境汚染の問題がクローズアップされている。そのため、いわゆるPbフリーで被削性に優れた機械構造用鋼について、様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1は、黒鉛を利用することによってPbフリー鋼の被削性を向上させる技術を開示している。また特許文献1では、酸化物系介在物、特に硬質なAl系酸化物は、被削性を低下させることが記載されている。
特許文献2は、鋼中の初析フェライト面積率を所定範囲内に制御することによって、および化学成分量のパラメーターを所定範囲内に制御することによって、被削性(特にドリル寿命と切屑破砕性)を向上させる技術を開示している。また特許文献2では、鋼中にCaを含有した酸化物系介在物を形成させることによって、旋削工具寿命を向上させ得ることが記載されている。
特許文献3は、Pbフリー鋼にMgを添加することによって、被削性(特にドリルによる穴加工性)を向上させる技術を開示している。また特許文献3では、硬度が高いAl23等の酸化物系介在物は被削性に悪影響を及ぼすことが記載されている。
特開2005−105359号公報 特開2005−179753号公報 特開2003−119545号公報
上述のようにPbフリー鋼の被削性を向上させる様々な技術がこれまで提案されている。しかし該分野では、被削性のさらなる改善が絶えず求められている。そこで本発明の目的は、Pbフリーで、従来のものよりも優れた被削性を有する機械構造用鋼を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の被削性に優れた機械構造用鋼は、
C:0.15〜0.5%(質量%の意味、鋼の化学成分について以下同じ)、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.1〜2%、
Cr:0.01〜2%、
P:0.1%以下(0%を含まない)、
S:0.01〜0.3%、
Al:0.001〜0.01%、
O:0.001〜0.02%、
N:0.001〜0.025%
を含有し、さらに
Ca:0.0001〜0.01%およびZr:0.01〜0.2%の少なくとも1種を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、
鋼中の酸化物系介在物の合計100質量%に対して、MgO量が0.1〜10質量%である点に要旨を有する。
本発明の機械構造用鋼には、上記化学成分の他、必要に応じてさらに、(1)Ti:0.2%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、Cu:1%以下(0%を含まない)、およびNi:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(2)Se:0.01%以下(0%を含まない)、Te:0.01%以下(0%を含まない)、Bi:0.1%以下(0%を含まない)、希土類元素(以下「REM」と略称する):0.01%以下(0%を含まない)、およびB:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種等を含有させることも有効であり、含有させる成分の種類に応じて、鋼の特性がさらに改善される。
本発明によれば、鋼中のMgO量が制限される結果、MnSの微細化を抑制でき、優れた被削性(特に工具寿命)を実現することができる。
本発明者らが鋭意検討した結果、鋼中に含まれるMgOの量を抑制すれば、Pbフリー鋼の被削性を充分に向上させ得ることを見出した。詳しくは、機械用構造鋼を従来の量産炉で製造する方法では、炉の耐火物またはスラグからMgが溶出するために、鋼中に必ずMgOが含まれてしまう。そして本発明者らは、このMgOが、Pbフリー鋼で被削性を改善するために用いられるMnSに悪影響を及ぼし、被削性(特に工具寿命)を低減させることを見出した。
上述の特許文献1〜3に記載されているように、酸化物について、硬質のAl系酸化物が被削性に悪影響を及ぼすこと、Ca含有酸化物が工具寿命を向上させることは該分野で知られている。しかしMgOが被削性に悪影響を及ぼすことは、これまで知られていなかった。それどころか特許文献3では、Mgを積極的に添加することによって被削性を向上させることが記載されている。
MgOを低減することによって機械用構造鋼の被削性が向上する推定メカニズムとしては、次のようなことが考えられる:鋼中のMnSは、丸くて、大きいほど、被削性(特に工具寿命)を向上させると考えられる。しかし鋼中に微細なMgOが多量に存在すると、MnSは、このMgOを核として微細に析出してしまうため、被削性向上作用が低下する。そのためMgO量を低減すれば、MnSの微細化を防止でき、その結果、良好な被削性を達成することができる。
通常の機械構造用鋼では、鋼中の酸化物系介在物の合計100質量%に対して、通常15質量%程度のMgOが含まれる。このMgO量を15質量%から10質量%まで低減させると、ドリル寿命(ドリルが焼き付いて穴が開けられなくなるまでのドリル穴の長さ)を50%増加させることができる(図1)。よって被削性(特にドリル寿命)を向上させるために、鋼中の酸化物系介在物の合計100質量%に対するMgO量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。殊にMgO量を15質量%から3質量%まで低減させると、ドリル寿命を倍増させることができる(図1)。一方、本発明の機械構造用鋼中のMgO量の下限は、通常、0.1質量%程度である。
機械構造用鋼中のMgO量は、下記実施例で示すように、X線マイクロアナリシス(EPMA)のエネルギー分散方式(EDS)で測定することができる。
鋼中のMgO量を低減させるためには、造滓剤の成分を調整して、溶鋼処理時のスラグ塩基度(CaO/SiO2)を下げれば良いことも、本発明者らは見出した(図2)。このメカニズムとしては、スラグ塩基度が低いほど、スラグや耐火物から金属Mgが生成されにくく、鋼中へのMgの混入が抑制されることが考えられる。鋼中に混入したMgはMgOとなるので、混入を抑制することによってMgO量を低減させることができる。なお鋼中のMgO量は、後述するように、鋼中のAl量にも影響される。
図2の近似曲線は、y=2.01x1.37、y:MgO量(質量%)、x:スラグ塩基度(CaO/SiO2)、寄与率R2=0.997として計算した。この近似曲線から、目標とするMgO量を達成するためには、どの程度スラグ塩基度を低減させれば良いか予想することができる。具体的には、スラグ塩基度が3.2程度であれば、鋼中のMgO量は10質量%程度であり、スラグ塩基度が2.5程度であれば、MgO量は7質量%程度であり、スラグ塩基度が1.3程度であれば、MgO量は3質量%程度である。
次に本発明の機械構造用鋼の化学成分について説明する。
<C:0.15〜0.5%>
Cは、最終製品(部品)の強度を確保するために重要な元素である。しかしC量が過剰であると、鋼の靱性が低下すると共に、硬くなりすぎて被削性(特に工具寿命)が低下する。そこでC量を、0.15%以上(好ましくは0.20%以上)、0.5%以下(好ましくは0.45%以下)とした。
<Si:0.01〜2%>
Siは、脱酸元素として有効である上に、固溶強化によって部品強度を向上させる作用を有する。しかしSi量が過剰であると、被削性に悪影響を及ぼす。そこでSi量を、0.01%以上(特に固溶強化の観点から、好ましくは0.2%以上)、2%以下(好ましくは1.5%以下)とした。
<Mn:0.1〜2%>
Mnは、鋼の焼入性を向上させて強度増大に寄与する上に、硫化物系介在物を形成して被削性を向上させる重要な元素である。しかしMn量が過剰であると、かえって被削性が低下する。そこでMn量を、0.1%以上(好ましくは0.6%以上)、2%以下(好ましくは1.5%以下)とした。
<Cr:0.01〜2%>
Crは、鋼の焼入性を向上させて強度増大に寄与する元素である。しかしCr量が過剰であると、被削性が低下する。そこでCr量を、0.01%以上(好ましくは0.1%以上)、2%以下(好ましくは1%以下)とした。
<P:0.1%以下(0%を含まない)>
Pは、粒界偏析を起こして耐衝撃性を劣化させる元素であるため、その量は、できる限り低いことが好ましい。そこでP量を、0.1%以下(好ましくは0.05%以下)と定めた。但しPは、鋼に不可避的に混入するため、工業生産上、その量を0%にすることは困難である。
<S:0.01〜0.3%>
Sは、MnS等の硫化物系介在物を形成し、被削性を向上させるのに有効な元素である。しかしS量が過剰になると、熱間または冷間鍛造時の割れの起点となって、変形能が低下する。そこでS量を、0.01%以上(好ましくは0.04%以上)、0.3%以下(好ましくは0.15%以下)とした。
<Al:0.001〜0.01%>
溶鋼中のAlは、炉の耐火物からMgの溶出を促進して、鋼中のMgO量を増加させるため、鋼の被削性に悪影響を及ぼす。またAl量が増加すると、鋼中のO量が減少するためMnSが低温で生成する。その結果、MnSが微細化され、被削性に悪影響を及ぼす。さらにAlは、硬質なAl系酸化物を形成することによっても、被削性に悪影響を及ぼす。そこで本発明においてAl量は、できる限り低いことが好ましい。そこでAl量を、0.01%以下(好ましくは0.005%以下)とした。しかし工業生産上、Al量を0%にすることは困難である。そこで生産コスト等の観点からAl量の下限を、0.001%と定めた。なお機械構造用鋼は、通常Alキルド鋼であり、そのAl量は、通常0.02%程度以上である。そのため従来の機械構造用鋼はMgO量が多く、Pbフリーでは、充分な被削性を確保することができなかった。
<O:0.001〜0.02%>
O量が過剰であると、被削性(特に工具寿命)が劣化する。そこでO量を、0.02%以下(好ましくは0.005%以下)とした。なお本発明では、鋼中のMgO量を低減させるために、スラグ塩基度を下げているので、鋼のO量は0.001%以上に増加する。
<N:0.001〜0.025%>
Nは、AlやTi等と窒化物を形成して、オーステナイト結晶粒を微細化し、その結果、靱性や疲労強度を向上させる作用を有する。しかしN量が過剰であると、かえって靱性が低下する。そこでN量を、0.001%以上(好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.003%以上)、0.025%以下(好ましくは0.02%以下)とした。
<Ca:0.0001〜0.01%およびZr:0.01〜0.2%の少なくとも1種>
CaおよびZrは、MnS中に固溶して、MnSの球状化を促進させる作用を有し、その結果、被削性(特に工具寿命)を向上させるために重要な元素である。逆に言えば、CaおよびZrの双方が無い場合、MnSが細長く伸びて、MnSの被削性向上効果が低下する。そこで本発明では、CaおよびZrの少なくとも1種を必須元素とした。しかし溶鋼中でCaおよびZr量が過剰であると、炉の耐火物中のMgが還元・溶出し、鋼中のMgO量が増大する。そこでCa量を、0.0001%以上(好ましくは0.0005%以上)、0.01%以下(好ましくは0.005%以下)と、Zr量を、0.01%以上(好ましくは0.02%以上)、0.2%以下(好ましくは0.15%以下)とした。
本発明の機械構造用鋼の基本成分組成は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が鋼中に含まれることは、当然に許容される。さらに本発明の鋼は、必要に応じて、以下の選択元素を含有していても良い。
<Ti:0.2%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、Cu:1%以下(0%を含まない)、およびNi:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種>
Ti、V、Mo、Nb、CuおよびNiは、強度を向上させるために有効な元素であり、必要に応じて鋼に含有させても良い。強度の観点から、Ti量は、好ましくは0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)であり、V量は、好ましくは0.03%以上(より好ましくは0.06%以上)であり、Mo量は、好ましくは0.05%以上(より好ましくは0.10%以上)であり、Nb量は、好ましくは0.010%以上(より好ましくは0.025%以上)であり、Cu量は、好ましくは0.02%以上(より好ましくは0.1%以上)であり、Ni量は、好ましくは0.02%以上(より好ましくは0.1%以上)である。
しかしこれらの元素量が過剰であると、被削性に悪影響を及ぼす。そこでこれらの元素を含有させる場合、Ti量を0.2%以下(好ましくは0.1%以下)、V量を0.5%以下(好ましくは0.3%以下)、Mo量を1%以下(好ましくは0.5%以下)、Nb量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下)、Cu量を1%以下(好ましくは0.5%以下)、およびNi量を2%以下(好ましくは1%以下)とした。
<Se:0.01%以下(0%を含まない)、Te:0.01%以下(0%を含まない)、Bi:0.1%以下(0%を含まない)、希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)、およびB:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種>
Se、Te、Bi、REMおよびBは、被削性を向上させるために有効な元素であり、必要に応じて鋼に含有させても良い。なお希土類元素(REM)は、Sc、Yおよびランタノイドの15元素を含む。工業的にはREMとして、ミッシュメタルを用いる。被削性の観点から、Seは、好ましくは0.001%以上(より好ましくは0.005%以上)であり、Te量は、好ましくは0.001%以上(より好ましくは0.005%以上)であり、Biは、好ましくは0.005%以上(より好ましくは0.010%以上)であり、REM量は、好ましくは0.0001%以上(より好ましくは0.001%以上)であり、B量は、好ましくは0.0005%以上(より好ましくは0.002%以上)である。
しかしこれらの量が過剰であると、熱間変形能が低下し、部品製造が困難になる。そこでこれらの元素を含有させる場合、Se量を0.01%以下、Te量を0.01%以下、Bi量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下)、REM量を0.01%以下(好ましくは0.005%以下)、B量を0.005%以下(好ましくは0.0035%以下)とした。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
表1および2に示す化学成分組成の鋼を溶製した。そして塩基度の低い組成の造滓剤、或いは、塩基度の高い組成の造滓剤を適宜用いて、溶鋼処理時のスラグ塩基度を変化させた。各鋼のスラグから、直接分析したスラグ塩基度の値を、表3および表4に示す。次いで溶鋼を鋳造し、80mmφの棒鋼に圧延して、供試材を作製した。各供試材で、MgO量(質量%)、MnSの平均サイズ(μm2)、MnSのアスペクト比を測定した。また下記のような切削試験(ドリル試験および超硬旋削試験)を行った。これらの結果も併せて表3および表4に示す。
<MgO量の測定>
MgO量の測定は、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いて行った。詳細には、鋼材中から無作為に10個の酸化物系介在物を抽出した。通常は、研磨面において10mm×10mmの領域を観察すれば、10〜30個程度の酸化物系介在物を見出すことができる。研磨面(観察領域)は任意の断面をとることができるが、圧延方向に対して平行であることが好ましい。酸化物と硫化物との位置関係が分かりやすいからである。次いで、上記のように抽出した10個の酸化物系介在物を、EDSで定量分析して、各介在物に含まれる金属元素の割合を求めた。これらの割合から、MgはMgOに、AlはAl23に、CaはCaOに、MnはMnOに、SiはSiO2に、ZrはZrO2になると想定して、これら想定酸化物の合計100質量%に対するMgO量を、各酸化物系介在物について求めた。なおMn等は硫化物となる場合もあるが、酸化物系介在物を観察しているため、全て酸化物となると想定した。また酸化物は黒色に、硫化物は灰色に見えるため、酸化物と硫化物とは明確に区別できる。このようにして求めた各介在物のMgO量から計算した平均値を、その鋼の「MgO量」とした。
<MnSの平均サイズおよびアスペクト比の測定(計算)方法>
D/4部(D:板厚)の縦断面にて、倍率1000倍で1mm2の視野を光学顕微鏡で観察し、1μm以上の各硫化物系介在物の面積を観察した。各面積の平均値を、鋼の「MnSの平均サイズ」とした。さらに各硫化物系介在物の長径および長径方向に直交する方向の幅を測定し、これから各アスペクト比(長径/幅)を求めた。各アスペクト比の平均値を、鋼の「MnSのアスペクト比」とした。
<ドリル試験>
10mmφのストレートドリル(SKH51、表面コーティング無し)を、切削速度:20m/min、送り:0.2mm/rev、被削鋼材の厚さ:40mm、乾式(切削油無し)の条件で用いて、ドリル試験を行った。ドリル試験は、被削鋼材に深さ30mmの穴(未貫通)を次々と開けてゆき、そして工具寿命として、ドリルが焼き付いて、穴が開けられなくなるまでのドリル穴の総長さを測定した。
<超硬旋削試験>
超硬工具P10(JIS B4053)のチップを、切削速度:150m/min、切込み量:1.5mm、送り:0.25mm/rev、乾式(切削油無し)の条件で用いて、超硬旋削試験を行った。そして工具寿命として、工具側面の摩耗長さが0.2mmになるまでの切削時間を測定した。
Figure 0005234904
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表3および4の結果から、本発明のMgO量および化学成分量の要件を満たす鋼No.3〜23および26〜58は、良好な工具寿命(ドリル穴の長さおよび切削時間)を示すことが分かる。これに対してスラグ塩基度が高い鋼No.1および2では、MgO量が10質量%を超えており、いずれも工具寿命が不充分である。また鋼No.24および25は、Al量が過剰であるためにMgO量が過剰であり、鋼No.1および2と同様に工具寿命が不充分である。
MgO量と工具寿命(ドリル穴の長さ)との関係、およびスラグ塩基度とMgO量との関係を、理解し易くするために、化学成分組成が類似する鋼No.1〜7のデータを用いたグラフを、図1および2に示す。
実施例1の鋼No.1〜7におけるMgO量とドリル穴の長さ(工具寿命)との関係を示すグラフである。 実施例1の鋼No.1〜7におけるスラグ塩基度とMgO量との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. C:0.15〜0.5%(質量%の意味、鋼の化学成分について以下同じ)、
    Si:0.01〜2%、
    Mn:0.1〜2%、
    Cr:0.01〜2%、
    P:0.1%以下(0%を含まない)、
    S:0.01〜0.3%、
    Al:0.001〜0.01%、
    O:0.001〜0.02%、
    N:0.001〜0.025%
    を含有し、さらに
    Zr:0.01〜0.2%を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、
    鋼中の酸化物系介在物の合計100質量%に対して、MgO量が0.1〜10質量%であることを特徴とする被削性に優れた機械構造用鋼。
  2. Ca:0.0001〜0.01%をさらに含有する請求項1に記載の機械構造用鋼。
  3. Ti:0.2%以下(0%を含まない)、
    V:0.5%以下(0%を含まない)、
    Mo:1%以下(0%を含まない)、
    Nb:0.1%以下(0%を含まない)、
    Cu:1%以下(0%を含まない)、および
    Ni:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する請求項1または2に記載の機械構造用鋼。
  4. Se:0.01%以下(0%を含まない)、
    Te:0.01%以下(0%を含まない)、
    Bi:0.1%以下(0%を含まない)、
    希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)、および
    B:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の機械構造用鋼。
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