JP2009242910A - 被削性と強度異方性に優れた機械構造用鋼および機械構造用部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の機械構造用鋼は、化学成分組成を適切に調整し、且つ、圧延方向の断面を観察したときに、酸化物系介在物のうち、CaOとTiO2の含有量比率が下記(1)式の関係を満足するTiO2系複合酸化物の個数割合が30%以上であると共に、硫化物系介在物のうち、前記TiO2系複合酸化物に隣接または包含される介在物が、個数割合で40%以上存在するものである。
0≦[CaO]/[TiO2]≦2/3 …(1)
但し、[CaO]および[TiO2]は、夫々CaOおよびTiO2のTiO2系複合酸化物中の含有量(質量%)を示す。
【選択図】図1
Description
0≦[CaO]/[TiO2]≦2/3 …(1)
但し、[CaO]および[TiO2]は、夫々CaOおよびTiO2のTiO2系複合酸化物中の含有量(質量%)を示す。
Cは、機械構造用部品としての必要な芯部硬さを確保する上で重要な元素であり、こうした効果を発揮させるためには0.10%以上含有させる必要がある。しかしCを過剰に含有させると鋼材の硬さが過度に高くなり過ぎて、被削性(特に、切削加工時の工具寿命)や冷間鍛造性が低下することになる。こうした観点から、C含有量は0.30%以下とする必要がある。尚、C含有量の好ましい下限は、0.13%であり、好ましい上限は0.25%である。
Siは、表面硬化層の軟化抵抗性の向上に大きく寄与する元素である。こうした効果を発揮させるためには、0.03%以上含有させる必要がある。しかしながら、Si含有量が過剰になって1.5%を超えると、機械加工時の被削性や冷間鍛造性が著しく劣化することになる。尚、Si含有量の好ましい下限は0.1%であり、好ましい上限は1.0%である。
Mnは、脱酸剤として作用し、酸化物系介在物を低減して鋼部材の内部品質を高めると共に、焼入れ性を向上させて鋼部品の芯部硬さや硬化層深さを高め、部品の強度を確保するのに有効な元素である。こうした作用を発揮させるためには、Mn含有量は0.3%以上とする必要があるが、1.8%を超えて過剰になると、Pの粒界への偏析を助長して粒界強度が低下し、疲労強度を低下させることになる。尚、Mn含有量の好ましい下限は0.4%であり、好ましい上限は1.5%である。
Pは、鋼材中に不可避的に含まれる元素(不純物)であり、熱間加工後の割れを助長するので、できるだけ低減する必要がある。こうした観点から、P含有量の上限は0.03%とした。尚、P含有量の好ましい上限は0.02%であり、より好ましくは0.01%以下とするのがよい。
Sは、鋼中でMnと反応してMnS系介在物を形成し、鋼部品の衝撃強度の異方性を誘発するので、できるだけ低減することが好ましい。こうした観点から、S含有量は0.03%以下(0%を含まない)とする必要がある。尚、S含有量の好ましい上限は0.02%である。
Crは、鋼材の焼入れ性を高め、安定した硬化層深さや必要な芯部硬さを与えることによって、歯車などの構造部品としての静的強度および疲労強度を確保する上で重要な元素である。こうした作用を発揮させるためには、Crは0.3%以上含有させる必要がある。しかし、Cr含有量が過剰になって2.5%を超えると、旧オーステナイト(γ)粒界に炭化物として偏析するため、疲労強度低下の原因となる。尚、Cr含有量の好ましい下限は0.8%であり、好ましい上限は2.0%である。
Alは溶製時に脱酸剤として有用に作用し、そのためには0.001%以上含有させる必要がある。Al含有量が増加するにつれて、酸化物(Al2O3)等の非金属介在物が生成し、切削時の工具摩耗を増大させてしまうので、その上限を0.009%とする必要がある。尚、好ましい上限は0.007%であり、より好ましくは0.005%以下とするのが良い。
Caは、Tiと低融点複合酸化物を形成し、切削工具の摩耗を抑制すると共に、鋼材中の硫化物生成時の核となり得るため、硫化物の巨大化抑制や展伸抑制に寄与し、横目の強度を改善する硬化を発揮する。こうした効果を有効に発揮させるためには、Ca含有量は0.0005%以上とする必要があるが、0.005%を超えると、粗大なCa酸化物が生成し、Ca含有硫化物も硬くなって、工具寿命を低下させることになる。そのため、Ca含有量は0.005%以下とする必要があり、好ましくは0.003%以下とするのが良い。
Tiは、新たな低融点酸化物(CaO−TiO2系酸化物)を生成するのに不可欠な合金元素である。Ti含有量が0.03%未満であると、殆どのTiがNと反応して酸化物を構成するTiが消失してしまうことになる。またTiの含有量が過剰になると、鋼材素地への固溶Tiが増大して鋼材硬さが増すため、工具寿命を低下させてしまうことになる。こうした観点から、Tiの含有量は0.l0%以下とする必要があり、好ましくは0.06%以下とするのが良い。
Nは他の元素と窒化物を形成し、組織微細化に寄与するが、硬質窒化物を生成するため、工具寿命を劣化させることになる。更に、熱間加工性および延性に悪影響を及ぼすので、0.009%以下に抑える必要があり、好ましくは0.007%以下に抑えるのが良い。
Oは、鋼材に不可避的に含まれる元素であり、他元素と反応して粗大な酸化物系介在物を生成して鋼材の熱間加工性および延性に悪影響を及ぼすので、できるだけ少なくすることが好ましい。こうした観点から、O含有量は0.005%以下に抑制する必要がある。好ましくは、0.003%以下にするのが良い。
Cuは、耐候性向上に有効な元素であり、こうした効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有させると鋼材の熱間加工性および延性を低下させて割れや疵が発生しやすくなるので、0.5%以下とすることが好ましい。尚、Cuを含有させることによる効果をより有効に発揮させるためには、その含有量は0.1%以上とすることが好ましい。またCuを含有させるときには、熱間加工性の低下(熱間加工脆性)の劣化を発生させないという観点から、後述するNiとの同時添加が好ましい。
Niはマトリックス中に固溶し、靭性を増大させる上で有効な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有させるとベイナイトやマルテンサイト組織が発達し、靭性の劣化を招くのでその上限は2.0%とすることが好ましい。尚、Niを含有させることによる効果をより有効に発揮させるためには、その含有量は0.1%以上とすることが好ましい。
MoおよびBは、鋼材の焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。このうち、Moは鋼材の焼入れ性を確保して不完全焼入れ組織の生成を抑制するのに有効に作用する。しかしながら、その含有量が過剰になると、芯部の硬度が必要以上に硬くなって機械加工時における被削性や冷間鍛造性が劣化するので、1.0%以下(より好ましくは0.5%以下)とすることが好ましい。
Zr,VおよびNbは、いずれも炭素や窒素と活発に反応し、微細な析出物を形成することによって、結晶粒粗大化防止特性を向上できるが、その含有量が過剰になると、硬質な窒化物や炭化物が多量に生成して工具寿命を低下させるので、いずれも0.1%以下(より好ましくは0.05%以下)とすることが好ましい。
Biは、鋼材の被削性を向上させる元素であり、必要によって含有させることも有効である。しかしながら、過剰に含有させると、強度が低下するので、その上限を0.1%とすることが好ましい。尚、その効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.02%であり、より好ましい上限は0.08%である。
SeおよびTeは、Mn(S,Se)、Mn(S,Te)等の化合物を形成し、硫化物の展伸抑制に働くことによって圧延方向に直角な方向(C方向)の強度低下を抑えるのに有効な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有させてもその効果が飽和するだけであるので、いずれも0.01%以下(より好ましくは0.004%以下)とすることが好ましい。
酸化物系介在物中のCaOとTiO2の含有量比率の測定は、エネルギー分散型電子プルーブマイクロアナライザー(「JXA8100」JEOL社製)にて、鋼材長手方向断面の半径方向D/4(D:直径)の位置25mm2の視野において、反射電子像を用いて2μm以上の介在物とサイズを測定し、同介在物の自動定性分析を実施後、CaO,TiO2,SiO2,Al2O3,MgO,ZrO2,MnOについて、ZAFによる定量補正法(但し、原子番号効果、吸収効果、蛍光励起効果による補正)を用いてX線スペクトル強度から定量分析を行い、酸化物を含む介在物(酸化物系介在物)の個数と、TiO2系複合酸化物[上記(1)式を満足する酸化物]の個数を測定した。この酸化物、複合酸化物の定義は、定量補正誤差も勘案して含有量5質量%以下の酸化物を除外したものである。
被削性評価は、切削速度:200m/分、送り:0.25mm/rev、切り込み:1.5mmの乾式条件で超硬旋削加工を行い、逃げ面摩耗量が0.05mmになるまでの時間(分)によって工具寿命を測定した。
直径:75mmの展伸材から、展伸方向(縦目)、径方向(横目)に沿ってノッチ形状がR10(mm)のシャルピー衝撃試験片を削り出し、930℃浸炭−油焼入れした後、170℃で焼戻し処理を行い、室温(25℃)での夫々の方向のシャルピー衝撃値(吸収エネルギー)を測定した(3回の平均値)。
Claims (8)
- C:0.10〜0.30%(質量%の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.03〜1.5%、Mn:0.3〜1.8%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、Cr:0.3〜2.5%、Al:0.001〜0.009%、Ca:0.0005〜0.005%、Ti:0.03〜0.10%、N:0.009%以下(0%を含まない)およびO:0.005%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ、圧延方向の断面を観察したときに、酸化物系介在物のうち、CaOとTiO2の含有量比率が下記(1)式の関係を満足するTiO2系複合酸化物の個数割合が30%以上であると共に、硫化物系介在物のうち、前記TiO2系複合酸化物を隣接または包含する介在物が、個数割合で40%以上存在することを特徴とする被削性と強度異方性に優れた機械構造用鋼。
0≦[CaO]/[TiO2]≦2/3 …(1)
但し、[CaO]および[TiO2]は、夫々CaOおよびTiO2のTiO2系複合酸化物中の含有量(質量%)を示す。 - 更に、Cu:0.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1に記載の機械構造用鋼。
- 更に、Ni:2.0%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の機械構造用鋼。
- 更に、Mo:1.0%以下(0%を含まない)および/またはB:0.005%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の機械構造用鋼。
- 更に、Zr:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.1%以下(0%を含まない)およびNb:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の機械構造用鋼。
- 更に、Bi:0.1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の機械構造用鋼。
- 更に、Se:0.01%以下(0%を含まない)および/またはTe:0.01%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の機械構造用鋼。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の機械構造用鋼からなる機械構造用部品。
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