JP4478137B2 - B含有低炭非鉛快削鋼の製造方法 - Google Patents

B含有低炭非鉛快削鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車や一般機械などに用いられ、切削時の工具寿命と仕上げ面粗さおよび切屑処理性に優れる、Bを添加した低炭快削鋼の製造方法に関わり、詳しくは、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損防止を図る方法に関するものである。
自動車や一般機械は多種の部品を組み合わせて製造されているが、その部品は要求精度と製造効率の観点から、多くの場合切削工程を経て製造されている。その際、コスト低減と生産能率の向上が求められ、鋼にも被削性の向上が求められている。特に低炭硫黄快削鋼(SUM23)や低炭硫黄鉛複合快削鋼(SUM24L)は被削性を重視して発明され、S、Pbなどの元素が被削性向上に有効であることが広く知られている。
しかし需要家によっては、環境負荷の大きい元素であるPbを含有する快削鋼の使用を避ける場合があり、その使用量は削減される方向にある。Pbを使用しない快削鋼として、例えば特許文献1および特許文献2にて開示されているように、Bを添加して鋼中でBNを析出させ、被削性を確保する対策がとられている。
一方、連続鋳造において、タンディッシュから鋳型への溶鋼注入量制御のため、一般的にタンディッシュと浸漬ノズルとの間に2枚重ねあるいは3枚以上の中部に孔を有したスライディングノズルプレートが用いられている。タンディッシュのスライディングノズルプレートの耐火材料としては、耐熱衝撃性や鋼中介在物(主に酸化物)との反応性の観点から、質量%で80%以上のZrO2とその他の成分からなるZrO2系耐火物(以後単にZrO2系と称する)が広く適用されている。
特開2001−329335号公報 特開2004−176176号公報
B含有低炭快削鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュにZrO2系耐火物を用いたスライディングノズルを適用した場合、スライディングノズルプレートの溶鋼と接する内孔部(孔の壁および摺動面)が特に溶損しやすく、鋳造中に溶鋼の流量が乱れて安定的な鋳造ができなくなるばかりか、鋳造間でのタンディッシュ交換が必要となるなど連々鋳の実施にも支障をきたし、生産障害をきたす場合がある。このような問題を回避する方法に関して、前述した特許文献1および特許文献2にて開示されている発明は何ら言及していない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、自動車や一般機械などに用いられ、切削時の工具寿命と仕上げ面粗さおよび切屑処理性に優れる、Bを添加した低炭快削鋼の製造において、ZrO2系耐火物製の連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止する製造方法を提供するものである。
ZrO2系スライディングノズルプレートの溶損は、溶鋼中に非金属介在物として存在するMnOあるいはMnO−B23系酸化物(以後まとめてMnO−B23系酸化物と称する)が耐火物に付着し、その結果、耐火物の粒界を侵食することにより発生、進行する。B含有低炭快削鋼を従来の方法で溶製すると、溶鋼中にMnO−B23系酸化物が生成する。B含有低炭快削鋼を連続鋳造するに際してスライディングノズルプレートの溶損が激しかった理由はここにあり、それがために良好な被削性と耐溶損性を両立させることは困難であった。
本発明者らは、ZrO2系スライディングノズルプレートを用いてB含有低炭非鉛快削鋼を製造する方法の開発を狙いとして、ZrO2系スライディングノズルプレートと介在物の反応性抑制について鋭意検討し、新たな金属学的効果を知見して本発明に至った。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.005〜0.2%、Si:0.5%以下、Mn:0.3〜3.0%、P:0.2%以下、S:0.03〜1.0%、B:0.001〜0.015%、O:0.005〜0.035%、N:0.003〜0.015%、Al:0.01%以下、Zr:0.004〜0.04%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼を、ZrO2系スライディングノズルプレートを用いて連続鋳造により製造するに際し、連続鋳造に供する溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を質量%で10〜70%とすることを特徴とするB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
(2) 連続鋳造に供する溶鋼のMn、B、およびZrの成分調整に際して、MnおよびBを先に添加した後、Zrを添加することを特徴とする上記(1)に記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
(3)鋼の成分が、さらに、質量%で、Ca:0.0030%以下、Sn:2.0%以下、Zn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
(4)鋼の成分が、さらに、質量%で、V:0.2%以下、Nb:0.2%以下、W:1.0%以下の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
(5)鋼の成分が、さらに、質量%で、Cr:2.0%以下、Mo:1.0%以下の内の1種または2種を含有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
(6)鋼の成分が、さらに、質量%で、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下の内の1種または2種を含有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
本発明によれば、自動車や一般機械などに用いられ、切削時の工具寿命と仕上げ面粗さおよび切屑処理性に優れる、Bを添加した低炭快削鋼を連続鋳造で製造する場合において、連続鋳造用スライディングノズルプレートの溶損を防止することができる。
本発明で知見した新たな金属学的効果について以下に説明する。
ZrO2系スライディングノズルプレートの溶損は、溶鋼中の非金属介在物であるMnOを主成分とする酸化物が耐火物に付着し、耐火物の粒界を侵食することにより発生、進行する。さらに被削性確保に有効なBが共存する場合、MnO酸化物がB23と複合する。このMnO−B23系酸化物は耐火物を溶損させる効果が大きく、ZrO2系スライディングノズルプレートを用いた安定操業は困難であった。
そこで、ZrO2系スライディングノズルプレートの構成元素であり、かつ鋼中Oとの親和力においてMnやB以上であるZrを添加することで、被削性を劣化させることなくMnO−B23系酸化物とZrO2系スライディングノズルプレート間での反応性を抑制することを検討した。
以下に、Zrの添加によりZrO2系スライディングノズルプレートの溶損が大幅に抑制される理由を説明する。
ZrO2系スライディングノズルプレートの溶損は、MnO−B23系酸化物が耐火物の粒界を侵食することにより発生、進行する。言い換えれば、製鋼温度において、MnO−B23系溶融酸化物へのZrO2の溶解度が大きいことがZrO2系スライディングノズルプレート溶損の直接の原因となっている。
本発明は、上に述べたMnO−B23系溶融酸化物へのZrO2の溶解度に注目してなされたものである。すなわち、溶鋼中に予めZrを含有させておくことにより脱酸生成物として生成されるZrO2とMnO−B23系酸化物が反応し、MnO−B23−ZrO2系酸化物となる。この酸化物は既にZrO2を含有しているため、ZrO2系スライディングノズルプレートと接触した場合、MnO−B23系溶融酸化物と比較して大幅に溶損量は抑制される。
本発明で規定した溶鋼中酸化物は、例えば、以下のような方法で定量的に測定される。
タンディッシュから溶鋼サンプルを採取し、水冷する。これを鏡面研磨し、光学顕微鏡を用いて1000倍の倍率で少なくとも1mm2以上の面積にわたって観察する。
対象となる酸化物のうち少なくとも10個以上について、X線マイクロアナライザー(EPMA)に付属の波長分散型分光法(WDS)を用いて組成を分析し、酸化物の平均組成を求める。このとき、ほぼZrO2のみ検出される相、MnOやB23が共に検出される相の両方が存在するが、その場合は観察面の面積分率で重み付けすることにより酸化物の平均組成を求める。また、酸化物組成の分析値に地鉄のFeが検出される場合は、分析値からFeを除外して酸化物の平均組成を求める。
質量%でC:0.05〜0.08%、Si:0.01〜0.02%、Mn:1.0〜1.5%、P:0.065〜0.120%、S:0.33〜0.50%、Al:0.001%〜0.009%、Zr:0%〜0.055%、B:0.006〜0.014%、O:0.0081〜0.0242%、N:0.0046〜0.0139%の溶鋼の連続鋳造において、質量%でZrO2:92〜94%、CaO:2〜4%、C:3〜5%であるZrO2系スライディングプレートを使用したときの、該プレートのノズル溶損状況と鋼材の被削性について調査した。
図1は、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度とノズル溶損状況の関係を示す。なお、TD−SN溶損指数は、上記溶鋼組成のうちZrを添加していない例におけるZrO2系スライディングノズルプレートの平均溶損速度(溶損量/通過溶鋼量)を1として、各々のスライディングノズルプレートの溶損速度を指数化した値である。
図2は、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度と鋼材の被削性の関係を示す。なお、被削性は鋳造後鋳片を50mmφの丸棒に圧延することにより得た鋼材製品のプランジ切削試験による仕上面粗さで表す。
図1より、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度が質量%で10%未満の場合、ZrO2系スライディングノズルプレートの溶損抑制効果が十分でない。これは、MnO−B23−ZrO2系酸化物がさらなるZrO2溶解能を有するためである。よって溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度の下限は10%とする。
一方、図2により、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度が質量%で70%を超える場合、鋼材の被削性は大幅に劣化する。これは、ZrO2の凝集合体挙動や酸化物硬度の極端な増大が見られるようになるためである。さらにこのような酸化物が溶鋼中で凝集合体により粗大化すると、浸漬ノズル閉塞による操業上の懸念もあるため望ましくない。よって溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度の上限は70%とする。
溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を上記本発明範囲内に制御するためには、鋼中にZrを添加し、鋼中のZr濃度を規定範囲内に調整することが有効である。即ち、ZrはZrO2系スライディングノズルプレートの溶損の原因となるMnO−B23系酸化物を改質し、溶損を抑制する上で重要な元素である。Zr濃度が0.004%未満の場合、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を10質量%以上とすることができず、MnO−B23−ZrO2系酸化物中のMnO、B23濃度低減効果が小さく、溶損抑制の効果が発現しない。よって下限を0.004%とする。一方、Zr濃度が0.04%を超えると、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を70質量%以下とすることができず、MnO−B23系酸化物の還元が過剰に進行し、酸化物中のMnOおよびB23濃度が極端に小さくなる。その結果、鋼中酸化物は硬質化し、被削性の低減を招くため好ましくない。よって上限を0.04%とする。
さらに、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を制御するためには、添加するZrを溶鋼中O濃度に応じて調整することが有効である。そのためには、Zr濃度に関して本発明の範囲内でさらに以下の式で限定される範囲とすることが好ましい。
0.29≦[%Zr]/[%O]≦2.4
ここで、[%Zr]および[%O]はそれぞれ鋼中ZrおよびO濃度を質量%で表したものである。なお、O濃度は介在物等を含めた溶鋼全体中の濃度であり、鋼中に溶存している酸素を示すものではない。
Zrは鋼中Oとの親和力においてMnやBより大きい。よって、MnやBが既にMnO−B23系酸化物として溶鋼中に存在する状態でZrを添加した場合、上記酸化物の一部を還元し、本発明範囲内の添加により溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度として質量%で10%以上70%以下含有するMnO−B23−ZrO2系酸化物を生成する。逆に、Zrが既にZrO2として溶鋼中に存在する状態でMn、Bを添加したとしても、ZrO2を安定して還元することはできない。よって、Zrを添加しない状態で前記溶鋼中にMn、Bを添加した後にZrを添加することが好ましい。ここで、Zrを添加するとは、Zrを積極的に添加することを意味しており、製鉄原料等から不可避的に混入しているZrを意味するものではなく、この不可避的に混入しているZrがMn、Bを添加する前に含有していても問題はない。
次に、各々の化学成分の限定理由について、すでに説明したZrを除いた成分について説明する。なお、%はいずれも質量%を意味する。
Cは鋼材の基本強度と鋼中のO量に関係するので被削性に大きな影響を及ぼす。Cの下限である0.005%は母材の強度、および溶存O過多に起因するピンホールを抑制するための最小値である。一方、Cを多く添加して強度を高めると被削性を低下させるので、その上限を0.2%とする。
Siは脱酸のために鋼に含有されるが、多すぎると硬質介在物を生じて被削性を低下させるため、上限を0.5%とする。本発明の脱酸はMn、B、Zrだけでも十分可能であり、十分な被削性を得るためには、Siを0.1%以下にするのが望ましい。また下限は0%である。
Mnは鋼中SをMnSとして固定・分散させるために必要である。また、鋼中酸化物を軟質化させ、酸化物を無害化するために必要である。その効果は添加するS量にも依存するが、0.3%未満では鋼中SをMnSとして十分に固定できず、表面疵や割れの発生要因となり望ましくない。よって下限を0.3%とする。一方、Mn濃度が過大になると素地の固さが大きくなり、被削性や冷間加工性が低下する。よって上限を3.0%とする。
Pは本発明方法においては不純物元素であり、0.2%以下とする。Pの低減は偏析の軽減を通じて鋳造特性や加工性を改善する。したがって、下限は0%である。
SはMnと結合してMnSを主成分とする硫化物として存在する。MnSを主成分とする硫化物は被削性を向上させるが、延伸したMnSを主成分とする硫化物は鍛造時の異方性を生じる原因の1つである。大きなMnSを主成分とする硫化物は避けるべきであるが、被削性向上の観点からは適量の添加は望ましい。よって下限を0.03%とする。一方、S濃度が過大になると粗大MnSを主成分とする硫化物の生成が避けられないだけでなく、FeSなどによる鋳造特性、熱間変形特性の劣化をもたらし製造中に割れを生じる。よって上限を1.0%とする。
BはBNとして析出すると被削性向上に効果がある。特にMnSを主成分とする硫化物と複合析出して母材中に微細分散することでより顕著となる。これらの効果はB濃度0.001%未満では十分に得られないため、下限を0.001%とする。一方、B濃度が0.015%を超えるとその効果は飽和し、コスト増を招き望ましくない。よって上限を0.015%とする。
本発明の快削鋼はMnSの微細分散により被削性を向上させる際に析出核として酸化物を利用するため、O濃度の制御が必要である。O濃度0.005%未満では十分にMnSを主成分とする硫化物を微細分散させることができず、粗大なMnSを生じ、被削性や機械的性質にも悪影響を及ぼす。さらに溶鋼中で脱硫反応が促進され、鋼中S濃度の制御が困難になる。よって下限を0.005%とする。
一方、Oは酸化物とならず鋼中に単独で存在する場合には冷却時に気泡となり、ピンホールの原因となる。硬質酸化物の生成により被削性の劣化や疵の原因になる場合もある。さらに被削性向上のために添加しているBを溶鋼中で酸化物として消費してしまい、BNになる有効B量を減少させて被削性に影響を及ぼす場合がある。O濃度0.035%を超えるとピンホールの発生原因となるだけでなく、溶鋼中でBの酸化物が生成しやすくなり、実質的にBNとなるBが減少して被削性を劣化させる。よって上限を0.035%とする。
NはBと結合してBNを生成し、被削性を向上させる。この効果はN濃度0.003%未満では十分に得られず、さらにB濃度によっては多量の固溶Bが残存し、鋼材の硬化を招き好ましくない。よって下限を0.003%とする。また、N濃度が0.015%を超えるとBNによる被削性向上効果が飽和し、さらにB濃度によっては多量の固溶Nが残存し、圧延疵の発生を招き好ましくない。よって上限を0.015%とする。そのうえで、製造性と被削性の両立を図るには、N濃度に関して本発明の範囲内でさらに以下の式で限定される範囲とすることが好ましい。
1.3×[%B]−0.0022≦[%N]≦1.3×[%B]+0.0034
ここで、[%B]および[%N]はそれぞれ鋼中BおよびN濃度を質量%で表したものである。
Alは脱酸元素であり、鋼中でAl23やAlNを生成する。しかしAl23は硬質で凝集しやすいため、大径の有害介在物となりやすく、切削時に工具摩耗を促進させる。またAlNを生成することでBNを生成するためのNを消費してしまい、被削性の低下を招く。したがって上限を0.01%とする。また下限は0%である。
本発明においては、製品に求める特性を発現させるため、さらに以下の元素を1種または2種以上溶鋼に添加してもよい。なお、すべての元素について選択元素として添加する場合、0%は含まない。
Caは脱酸元素であり、鋼中の酸素量を制御することができ、酸化物を形成しやすいBの歩留りを安定させ、更に硬質酸化物の生成を抑制することができる。また微量であれば軟質酸化物を生成し、被削性を向上させる働きがある。しかし、0.0030%を超えると多量の軟質酸化物が生成することで工具刃先へ凹凸をもって付着し、そのため仕上げ面粗さが極端に悪くなるばかりでなく、硬質の酸化物も大量に生成し、更に被削性や熱間延性を低下させる。よって上限を0.0030%とする。
Snはフェライトを脆化させ、工具寿命を延ばすとともに、表面粗さ向上に効果がある。しかし、2.0%を超えて添加してもその効果が飽和し、コスト増を招くため好ましくない。よって上限を2.0%とする。
Znはフェライトを脆化させ、工具寿命を延ばすとともに、表面粗さ向上に効果がある。しかし、0.5%を超えて添加してもその効果が飽和し、コスト増を招くため好ましくない。よって上限を0.5%とする。
Vは炭窒化物を形成し、二次析出硬化により鋼を強化することができる。しかし、0.2%を超えると多くの炭窒化物を析出し、かえって機械的性質を損なう。よって上限を0.2%とする。
Nbも炭窒化物を形成し、二次析出硬化により鋼を強化することができる。しかし、0.2%を超えると多くの炭窒化物を析出し、かえって機械的性質を損なう。よって上限を0.2%とする。
Wも炭窒化物を形成し、二次析出硬化により鋼を強化することができる。しかし、1.0%を超えると多くの炭窒化物を析出し、かえって機械的性質を損なう。よって上限を1.0%とする。
Crは焼入れ性向上、焼戻し軟化抵抗付与元素であり、母材の強度を向上させる。しかし、2.0%を超えるとCr炭化物を生成し脆化させる。よって上限を2.0%とする。
Moは焼戻し軟化抵抗を付与するとともに、焼入れ性を向上させる。しかし、1.0%を超えて添加してもその効果は飽和し、コスト増を招くため好ましくない。よって上限を1.0%とする。
Niはフェライトを強化し、延性を延性向上させるとともに焼入れ性向上、耐食性向上にも有効である。しかし、2.0%を超えて添加しても機械的性質の点では効果が飽和し、コスト増を招くため好ましくない。よって上限を2.0%とする。
Cuはフェライトを強化し、焼入れ性向上、耐食性向上にも有効である。しかし、2.0%を超えて添加しても機械的性質の点では効果が飽和し、コスト増を招くため好ましくない。よって上限を2.0%とする。なお、Cuは特に熱間延性を低下させ、圧延時の疵の原因となりやすいので、Niと同時に添加することが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成の鋼を300t転炉−LFプロセスにて溶製した。Mn、B、ZrはいずれもLF操業中に添加し、Zr添加前には金型サンプラーを用いてサンプルを採取し、溶鋼中O濃度を測定した。その後、質量%でZrO2:90〜94%、CaO:2〜4%、C:3〜5%からなるZrO2系スライディングノズルプレートを設置した浸漬ノズルを用いて1辺220mmの鋳片に鋳造した。その際、いくつかの比較例においては鋳造時にノズルの顕著な溶損が生じた。
酸化物組成はタンディッシュ中の溶鋼から金型サンプラーにて採取したサンプル中から任意の10個を選択後EPMAに付属のWDSにより定量し、平均組成を求めた。
また、鋳造後はスライディングノズルを回収し、溶損量から溶損指数を計算した。ここで、溶損指数とは不可避的に混入するZr以外にZrを添加しない場合の鋼B1、B2のZrO2系スライディングノズルプレートの平均溶損速度を1として、各々の溶損速度を指数化した値である。
鋳片は50mm径の丸棒に圧延し、後に示す被削性試験に供した。いずれも結果は表2に示す。
材料の被削性はドリル穿孔試験、プランジ切削試験、長手旋削試験の代表的な3種類の切削方法によって評価した。ドリル穿孔試験は累積穴深さ1000mmまで切削可能な最高の切削速度(いわゆるVL1000、単位:m/min)で被削性を評価する方法である。プランジ切削試験は高速度鋼の突切工具によって工具形状(構成刃先形状)を転写して仕上げ面粗さを評価する方法である。長手旋削試験は超硬工具を長手方向に送りながら鋼材外周を切り込む切削方法で、プランジ切削と同様、工具形状の転写での仕上げ面粗さを評価する方法である。実験では工具摩耗が進行した状態での被削性の差を評価できる800個切削後の仕上げ面粗さで評価した。仕上げ面粗さは触針式粗さ計で測定し、10点表面粗さRz(単位:μm)を仕上面粗さを示す指標とした。切屑処理性に関しては切屑カール時の半径が小さいもの、あるいは分断されているものが好ましく、○とした。巻き数が多くとも曲率半径が小さいもの、あるいは曲率半径が大きくとも切屑長さが100mmに達しなかったものは良好で○とした。切屑が20mmを超えた曲率半径で3巻き以上連続してカールして長く延びた切屑を不良とし、×とした。
Figure 0004478137
Figure 0004478137
表1および2から、本発明例(A1〜A12)では、ドリル穿孔試験、プランジ切削試験、長手旋削試験いずれも良好な値を示す上、溶損指数も小さい。
一方、本発明の範囲から外れる比較例をB1〜B15およびC1〜C6に示す。鋼B1〜B15はZr量が発明の要件を満たさないため、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度が本発明範囲を外れた例である。鋼C1〜C4は本発明の成分範囲を満たしているが、溶鋼中O濃度に対するZr添加量が好ましい範囲から外れているため、溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度が本発明範囲から外れ、望ましい効果が得られなかった例である。また、鋼C5〜C6はMn、B、Zrの添加順序が不適切であったため、溶鋼中酸化物中ZrO2濃度が本発明範囲を外れた例である。
溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度とノズル溶損状況の関係を示す図である。 溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度と鋼材の被削性の関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.005〜0.2%
    Si:0.5%以下
    Mn:0.3〜3.0%
    P:0.2%以下
    S:0.03〜1.0%
    B:0.001〜0.015%
    O:0.005〜0.035%
    N:0.003〜0.015%
    Al:0.01%以下
    Zr:0.004〜0.04%
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼を、ZrO2系スライディングノズルプレートを用いて連続鋳造により製造するに際し、連続鋳造に供する溶鋼中酸化物中の平均ZrO2濃度を質量%で10〜70%とすることを特徴とするB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
  2. 連続鋳造に供する溶鋼のMn、B、およびZrの成分調整に際して、MnおよびBを先に添加した後、Zrを添加することを特徴とする請求項1に記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
  3. 鋼の成分が、さらに、質量%で、
    Ca:0.0030%以下
    Sn:2.0%以下
    Zn:0.5%以下
    の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
  4. 鋼の成分が、さらに、質量%で、
    V:0.2%以下
    Nb:0.2%以下
    W:1.0%以下
    の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
  5. 鋼の成分が、さらに、質量%で、
    Cr:2.0%以下
    Mo:1.0%以下
    の内の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
  6. 鋼の成分が、さらに、質量%で、
    Ni:2.0%以下
    Cu:2.0%以下
    の内の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のB含有低炭非鉛快削鋼の製造方法。
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