JPH0521266U - マグネツトロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単であると共に、製作が容易であ
り、コンパクトかつ安価なマグネットロールを提供す
る。 【構成】 外周面に軸方向に延びる複数個の磁極を設け
てなる永久磁石部材と、非磁性材料により中空円筒状に
形成したスリーブとを、これらの両端部に設けた平板状
フランジとシャフト付フランジとを介して相対回転自在
に構成してなるマグネットロールにおいて、平板状フラ
ンジとスリーブとを超音波溶着により一体に固着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は電子写真や静電記録等において現像ロール用若しくはクリーニングロ ール用として使用されるマグネットロールに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来電子写真や静電記録等において現像ロール用若しくはクリーニングロール 用として使用するマグネットロールは、図３に示すような構造のものが多い。図 ３において、１は永久磁石部材であり、例えばハードフェライトのような焼結粉 末磁石材料により円柱状に一体成形し、若しくは強磁性材料とバインダーとの混 合物により円柱状に一体成形し、中心部に軸２を同軸的に固着する。

【０００３】 永久磁石部材１の外周面には軸方向に延びる複数個の磁極（図示せず）を設け る。次に軸２の両端部には平板状フランジ３およびシャフト付フランジ４を軸受 ５、５を介して回転自在に装着し、平板状フランジ３およびシャフト付フランジ ４には中空円筒状に形成したスリーブ６を嵌着する。なお平板状フランジ３およ びシャフト付フランジ４ならびにスリーブ６は、例えばアルミニウム合金若しく はステンレス鋼等の非磁性材料によって形成する。７はシール部材であり、平板 状フランジ３と軸２との間に嵌着する。なお永久磁石部材１の直径は15〜60mm、 長さは 200〜 350mmとする場合が多い。

【０００４】 上記の構成により、永久磁石部材１とスリーブ６との間の相対回転（例えば永 久磁石部材１を固定し、シャフト付フランジ４を回転させる）によって、スリー ブ６の外周面に磁性現像剤を吸着して磁気ブラシを形成し、所定の現像作業等を 行い、若しくは感光体表面から転写後の余剰の磁性現像剤を吸着して所定のクリ ーニング作業を行うのである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 上記従来のマグネットロールは、構成部品数が多いため、製作に要する時間お よび工数が大であり、必然的にコストが嵩むという問題点がある。特にスリーブ ６と平板状フランジ３およびシャフト付フランジ４とは相対回転することがない ように一体に固着する必要があるが、この場合両者間に接着剤を介在させて一体 化する手段が最も一般的である。しかしながら上記両者間の接着剤塗布面積が比 較的小であるため、均一厚さを確保するのが困難であるのみならず、スリーブ６ 内に平板状フランジ３およびシャフト付フランジ４を嵌着する際に余剰の接着剤 が非所望部分に付着することがあり、接着強度が確保されず、円周方向若しくは 軸方向に相対移動を起こすことがある。

【０００６】 なお余剰の接着剤が接着部位以外に付着した場合において、当該部位がスリー ブ６の外側である場合には余剰分を清掃若しくは払拭することによって処置する ことができるが、スリーブ６の内側である場合には上記の処置が不可能であるの みならず、スリーブ６と永久磁石部材１との相対回転が不可能であるという不測 の事故を惹起する。すなわちスリーブ６の表面における表面磁束密度を確保する ために、永久磁石部材１の外周面および外端面と、スリーブ６の内周面および平 板状フランジ３およびシャフト付フランジ４の内端面とは可能な限りにおいて近 接して構成してある。従って余剰の接着剤がスリーブ６および／または平板状フ ランジ３およびシャフト付フランジ４の内側に流出した場合には、この接着剤が 近接する永久磁石部材１の表面にも容易に付着することとなる。従って永久磁石 部材１とスリーブ６とを所謂ロック状態としてしまうという問題点がある。

【０００７】 また粉末状の接着剤を使用する場合には、非所望部分への付着を防止するため にマスキングを行う必要があり、何れにしても接着剤を使用してスリーブ６と平 板状フランジ３およびシャフト付フランジ４とを固着一体化する作業は、極めて 煩雑であり、多大の時間と工数とを要し、生産性が低いのみならず、品質の向上 が期待できないという問題点がある。特に近年においては低価格かつコンパクト な複写機若しくはプリンタの出現が強く望まれており、上記従来の構造のもので は上記要請に応えることができないという問題点も併存する。

【０００８】 一方上記接着剤を使用せずに機械的に固着する手段についてもスリーブ６の端 部にかしめ、絞り込み、カール等を施すことにより平板状フランジ３およびシャ フト付フランジ４と固着させる手段が開示されている（例えば実開昭59−161156 号、実公昭60−5537号、同62− 32295号、同62− 32296号、同62− 35090号公報 等）。しかしながら、これらの手段においても固着部位の加工が煩雑であると共 に、接合強度において不足し、寸法精度において不充分である等の問題点を包含 しており、更に改良を要する余地がある。

【０００９】 特に上記公報記載のものにおいては、スリーブ６と平板状フランジ３およびシ ャフト付フランジ４との位置決めのために、例えば実開昭59−161156号公報の第 ６図、第７図，第８図、第１４図および第１５図に示されるようにフランジ係止 薄肉部７、２０を形成する必要があり、スリーブ１、１Ａ〜１Ｄの両端部内面に 所謂いんろう加工をしなければならない。従ってコスト高となり、近年における 低コスト化の要求に応えられないという問題点がある。なお上記公報の第１２図 にはスリーブ１Ｃにいんろう加工をすることなく、フランジ３Ｃと固着する構成 のものが示されているが、この構成のものにおいては、スリーブ１Ｃの端部に切 欠溝３０と対応する突片３１を複数個突設する必要があり、極めて煩雑な加工を 要するため、コスト高となるという問題点がある。

【００１０】 本考案は上記従来技術に存在する問題点を解決し、構造が簡単であると共に、 製作が容易であり、コンパクトかつ安価なマグネットロールを提供することを目 的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案においては、外周面に軸方向に延びる複 数個の磁極を設けてなる永久磁石部材と、非磁性材料により中空円筒状に形成し たスリーブとを、これらの両端部に設けた平板状フランジとシャフト付フランジ とを介して相対回転自在に構成してなるマグネットロールにおいて、平板状フラ ンジとスリーブとを超音波溶着により一体に固着する、という技術的手段を採用 した。

【００１２】

【作用】

上記の構成により、スリーブと平板状フランジとの間の固着を完全にし得ると 共に、軸方向および円周方向における両者間の相対移動を完全に防止し、所望の 接合強度を確保することができる。

【００１３】

【実施例】

図１は本考案の実施例における平板状フランジとスリーブとの固着手段の例を 示す要部縦断面図であり、同一部分は前記図３と同一の参照符号で示す。図１に おいて、平板状フランジ３とスリーブ６との嵌着部は実質的に同一寸法に形成し 、隙間のない密着状態としておく。上記のように形成した平板状フランジ３とス リーブ６とを一体回転自在に支持し、スリーブ６の端部外周に溶接チップ８を当 接させ、軸方向に圧力Ｐを印加する。９はホーンであり、高周波発振器（図示せ ず）を介して矢印方向に超音波振動し、この振動を溶接チップ８に伝達可能に接 続してある。

【００１４】 上記の構成により、ホーン９の超音波振動（周波数２５ kＨz 、振幅２０μｍ ）を溶接チップ８に印加しながら平板状フランジ３とスリーブ６とを回転させれ ば、両者を固着することができる。すなわち平板状フランジ３とスリーブ６との 嵌着部における表面は、ミクロ的には平滑ではなく、微細な突起部相互間で接触 しているため、圧力Ｐによる圧縮変形と振動によるすべり移動によって前記突起 部の酸化皮膜などが破壊除去される。このため清浄な面と面とが接触すると共に 、弾性変形や塑性変形をして潰され、両金属の距離が極めて接近して原子間の吸 引力が働き、摩擦熱による境界面の温度上昇がこれを助長して金属原子間の結合 ができるのである。

【００１５】 図２は本考案の他の実施例における平板状フランジとスリーブとの固着手段の 例を示す要部縦断面図であり、同一部分は前記図１および図３と同一の参照符号 で示す。図２において１０はアンビルであり、平板状フランジ３の端部を支持し 得るように形成され、定盤１１上に載置される。１２は工具ホーンであり、下端 部を中空円筒状に形成すると共に、シャフト付フランジ４の端部と当接可能とし 、高周波発振器（図示せず）を介して軸方向に超音波振動するように形成する。 なお平板状フランジ３は例えばデルリン等のプラスチック材料によって形成する と共に、スリーブ６との嵌着部を実質的に同一寸法若しくはスリーブ６の嵌着部 内径より若干大なる嵌着部外径に形成する。

【００１６】 上記の構成により、工具ホーン１２を周波数２５ kＨz 、振幅２０μｍの条件 で超音波振動させながら圧力Ｐを印加すると、平板状フランジ３とスリーブ６と の嵌着部において摩擦熱が発生する。このため平板状フランジ３の外周面が軟化 し、スリーブ６の嵌着部の所定位置まで進入する。その後超音波振動を停止させ ると溶融状態のプラスチック材料が固化し、平板状フランジ３とスリーブ６とを 固着することができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は以上記述のような構成および作用であるから、構造が簡単であると共 に、実用上充分な強度を有するマグネットロールが得られる。そして従来のもの におけるような接着剤の塗布、清掃等の処理が不要となるから、生産性が大幅に 向上し、コンパクトかつ安価なマグネットロールを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例における平体状フランジとスリ
ーブとの固着手段の例を示す要部縦断面図である。

【図２】本考案の他の実施例における平板状フランジと
スリーブとの固着手段の例を示す要部縦断面図である。

【図３】従来のマグネットロールを示す一部省略縦断面
図である。

【符号の説明】

３ 平板状フランジ ６ スリーブ ９ ホーン １２ 工具ホーン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周面に軸方向に延びる複数個の磁極を
   設けてなる永久磁石部材と、非磁性材料により中空円筒
   状に形成したスリーブとを、これらの両端部に設けた平
   板状フランジとシャフト付フランジとを介して相対回転
   自在に構成してなるマグネットロールにおいて、平板状
   フランジとスリーブとを超音波溶着により一体に固着し
   たことを特徴とするマグネットロール。