JPH05200422A - 板厚偏差外乱除去制御方法 - Google Patents

板厚偏差外乱除去制御方法

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JPH05200422A
JPH05200422A JP4009502A JP950292A JPH05200422A JP H05200422 A JPH05200422 A JP H05200422A JP 4009502 A JP4009502 A JP 4009502A JP 950292 A JP950292 A JP 950292A JP H05200422 A JPH05200422 A JP H05200422A
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谷 直 治 芳
Shuichi Nibu
生 修 一 丹
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱間圧延プロセスの仕上圧延工程における板
厚制御の2大外乱であるスキッドマーク外乱とロール偏
芯外乱を同時に低減し、高精度な全長板厚精度を実現す
る。 【構成】 0.2〜1.0[Hz]付近のスキッドマーク外乱対
応の自動板内板厚偏差制御系と、0.2〜1.0[Hz]付近の
スキッドマーク外乱対応の自動板内板厚偏差制御系を組
み合わせることにより、スキッドマーク外乱とロール偏
芯外乱を同時に低減する。このとき、一つの自動板内板
厚偏差制御系には,ダイナミクスを全く入れず、もう1
つの自動板内板厚偏差制御系には,低域フィルタを装備
する。低域フィルタの一例として,一般の二次系が挙げ
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延機の自動板厚制御
システムに関するものである。
【0002】
【従来技術】近年の板厚制御においては、例えば、「塑
性と加工」 Vol.16 no.168(1975-1) P.25〜P.31及び「シ
ステム制御情報学会誌」 Vol.2,No.5,P.147〜P.154,1989
及び「板圧延の理論と実際」 P.223〜P.256等に示される
ように、自動板内板厚偏差制御系{以下、AGC(Automatic
Gauge Control)と称する}が採用されている。
【0003】発明者らは、スキッドマークとロール偏芯
を同時に低減する方法として,特願平2−278519
号を提案している。
【0004】以下、図面を参照しながら、従来技術を説
明する。
【0005】図8は、従来の自動板内板厚偏差制御系を
取り入れた圧延システムを示す図であり、図8におい
て、1が圧延機、2が圧延材、3が圧下位置検出器、4
が圧延荷重計、5が圧下機構、6が自動板内板厚偏差制
御系(I)であり、圧延機1が圧延材2を圧延している
とき、自動板内板厚偏差制御系6は、圧延荷重計4から
の信号と圧下位置検出器3からの信号とを入力として圧
下位置制御信号を圧下機構5に対して出力する。
【0006】従来のAGCは、一般に自動板内板厚偏差
制御系(I)を有し、図9にその原理図を示す。図9
は、従来の板内板厚偏差制御系を装備した圧延システム
の原理図をブロック線図で表現したものである。図9に
おいて、 M:圧延機剛性係数[kgW/mm] Q:圧延材塑性係数[kgW/mm] Δu:圧下系機構動作指令量[mm] ΔS:圧下位置偏差[mm] ΔP:圧延荷重偏差[kgW] GR :圧下機構の伝達関数[---] Δh:出側板厚偏差[mm] ΔH:入側板厚偏差[mm] ΔSe :ロ−ル偏芯[mm] ΔRr :圧下リファレンス[mm] I:自動板内板厚偏差制御系(一点鎖線内) C1 :伝達関数。圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を用
いるときは1,圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を用い
ないときは0[---] C2 :圧延荷重偏差信号を板厚偏差信号に変換する伝達
関数[mm/kgW] C3 :一般の伝達関数[---] であり、C1 ,C2 ,C3 に具体的な伝達関数を付与す
ることにより従来の自動板内板厚偏差制御系を装備した
圧延システムとなる。また、ここで言う偏差とは、基準
値からの偏差を言うものとする。
【0007】図9において、入側板厚偏差(ΔH)から
出側板厚偏差(Δh)への伝達関数G1 とロ−ル偏芯
(ΔSe )から出側板厚偏差(Δh)への伝達関数G2
は、 W=Q/(M+Q) ・・・(5) を用いて、 G1 =W・(1−M・GR ・C3 ・C2 +GR ・C3 ・C1) /(1−M・W・GR ・C3 ・C2 +GR ・C3 ・C1)・・・(6) G2 =(1−W)・(1+GR ・C3 ・C1) /(1−M・W・GR ・C3 ・C2 +GR ・C3 ・C1)・・・(7) と表現され、任意のC1 ,C2 ,C3 に対して、 G1 +G2 =1 ・・・(8) が成立している。
【0008】したがって、従来AGCはG1 ,G2 のい
ずれか一方の特性を決めると他方も自動的に決まってし
まう性質をもつ。以下、具体的に従来の鋼板の板厚制御
方法を図9,図10及び図11を参照しながら説明す
る。
【0009】まず、Mill Modulus Control タイプのA
GCを装備した圧延システムについて説明する。Mill M
odulus Control タイプのAGCは、図9において、 C1 =0 ・・・(9) C2 =α/M ・・・(10) C3 =1 ・・・(11) なる代表値を採用した場合を言うものとする。具体的に
は、図10に示すものである。ただし、図10におい
て、 α:チュ−ニングファクタ[---] (α:任意の実数) であり、GR は油圧圧下機構等の高速圧下機構を用いた
場合には、 T1 :時定数[sec]但し、T1 ≪1 を用いて、 GR =1/(1+T1 ・s) ・・・(12) となる。このとき、入側板厚偏差(ΔH)から出側板厚
偏差(Δh)への伝達関数G1とロ−ル偏芯(ΔSe
から出側板厚偏差(Δh)への伝達関数G2 は、 G1 =W・〔T1 ・s+(1−α)〕/T1 ・s+(1−W・α) ・・・(13) G2 =(1−W)・(T1 ・s+1)/〔T1 ・s+(1−W・α)〕 ・・・(14) である。
【0010】次に、Gauge MeterタイプのAGCを装備
した圧延システムについて説明する。 すなわち、図9
において、 C1 = 1 ・・・(15) C2 = α/M ・・・(16) C3 = G/s ・・・(17) なる代表値を採用した場合と定義する。具体的には、図
11に示すものである。Gauge MeterタイプのAGCを
装備した圧延システムは、一般的に自動板内板厚偏差制
御系 I を有するが、Mill Modulus Control タイプのA
GCとの相違点は、自動板内板厚偏差制御系 I におい
て、C2 は同じ関数系であるがC1 が異なることであ
る。また、Gauge MeterタイプのAGCでは、圧下位置
偏差を表す信号(ΔS)と圧延荷重偏差を表す信号(Δ
P)を用いて、 Δh=Δs+(α/M)・ΔP ・・・(18) なるGauge Meter式に基づいて出側板厚偏差信号(Δ
h)をつくり、フィードバックをおこなっている。
【0011】図11において、 α:チュ−ニングファクタ[---] (0≦α≦1) s:ラプラスの演算子[1/sec] なお、ラプラスの演算子は、1/sと書かれた場合、
【0012】
【数1】
【0013】を実施することを意味する。また、 G:積分定数[1/sec] である。
【0014】GR は、油圧圧下機構等の高速圧下機構を
用いた場合には、 GR =1/(1+T1 ・s) ・・・(19) と表せる。ただし、 T1 :時定数[sec]かつ、T1 〈〈1 である。
【0015】このとき、入側板厚偏差(ΔH)から出側
板厚偏差(Δh)への伝達関数G1 とロ−ル偏芯(ΔS
e )から出側板厚偏差(Δh)への伝達関数G2 は、 G1=W〔T1 ・s2+s+G(1−α)〕/〔T1 ・s2+s+G(1−α・W)〕 ・・・(20) G2 =(1−W)(T12+s+G)/〔T1 ・s2+s+G(1−α・W)〕 ・・・(21) である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自動板内板厚偏差制御系を用いた制御方法では、以下に
詳細に示すような問題点がある。まず、熱間圧延プロセ
スにおいては、 塑性係数の変化(ΔQ[kgW/mm]), 圧延機入側板厚偏差(ΔH[mm]),および、 ロ−ル偏芯(ΔSe [mm])、 が、圧延機出側板厚偏差(Δh[mm])に大きく影響す
る。
【0017】のΔQは、主に加熱炉中でスラブを支え
るスキッドがスラブ長手方向にスキッド間距離と等しい
周期をもつ温度のむらを生じさせるために生じるスラブ
長手方向の変形抵抗の、スキッド間距離と等しい周期を
もつ偏りであり、これにより、圧延機出側板厚に大きな
偏差を誘発する。これは一般に、スキッドマ−クと言わ
れている。
【0018】のΔHは、圧延機入側板厚偏差で、タン
デムに装備された圧延機では、前段圧延機においてスキ
ッドマ−ク(ΔQ)によって生じた板厚偏差は、次段の
圧延機による圧延においては、入側板厚偏差の中に含ま
れる。以下、入側板厚偏差(ΔH)には、スキッドマ−
ク(ΔQ)が含まれると考える。
【0019】のΔSe は、圧延機のバックアップロ−
ルの軸受部のキ−溝が原因となって、ロ−ルが偏芯する
ために生ずる圧延荷重の変動が、圧下位置偏差を引き起
こすために生ずる板厚偏差であり、ロ−ル偏芯と称され
ている。
【0020】スキッドマ−クは、0.2Hz〜1.0Hzの外
乱であり、ロ−ル偏芯は4.0[Hz]〜10.0[Hz]の外乱であ
り、周波数帯域が近接している。
【0021】従来の自動板内板厚偏差制御系 I を使用
しないか、使用しても使用方法が不適切な場合には、横
軸を時刻[sec]とし、縦軸を板厚[mm]とした図15
の製品板厚グラフに示されるように、100[μm]ほ
どの大きな板厚偏差を生じる。
【0022】図15において、大きな周期の波はスキッ
ドマ−ク等の入側板厚偏差に起因するものであり、小さ
な周期の波はロ−ル偏芯に起因するものである。
【0023】従来の自動板内板厚偏差制御系 I を使用
した場合でも、横軸を時刻[sec]とし、縦軸を板厚[m
m]とした図14の製品板厚グラフに示されるように、
板厚偏差は軽減されていない。
【0024】0.2[Hz]〜1.0[Hz]の外乱であるスキッ
ドマ−クを除去するには、0.2[Hz]〜1.0[Hz]におけ
る20・LOG|G1 |をできるだけ小さくするため、s=0.0
[rad/sec]において通常20・LOG|G1 |を−∞[dB]に
なるように設計したいが、極めて実現が困難である。
【0025】ここで、LOGは常用対数を意味し、|G1 |
はG1 の絶対値を意味する。従って、|G1 |が零となれ
ば、20・LOG|G1 |は−∞[dB]となる。
【0026】以下、従来の制御方法を用いた場合、20・
LOG|G1 |を−∞[dB]になるように設計することが困
難である理由を、20・LOG|G1 |及び20・LOG|G2 |の特
性を横軸を[Hz]として対数目盛りをとり、縦軸を[d
B]として表している図12及び図13と、従来の制御
方法を用いた場合の製品板厚グラフを横軸に時刻[se
c]を、縦軸を板厚[mm]として表している図14及び
図15を参照しながら詳細に説明する。
【0027】まず、Mill Modulus ControlタイプのAG
Cの場合について説明する。
【0028】s=0.0[rad/sec]において、20・LOG|G
1 |が−∞[dB]となるためには、前述の(13)式 G1 =W・〔T1 ・s+(1−α)〕/T1 ・s+(1−W・α) ・・・(13) より、α=1.0が必要である(油圧圧下機構のようにス
キッドマーク低減に効果的な高速圧下機構を用いること
を前提として)が、α=1.0とすると、T1 ≪1.0である
ため、図12の実線に示されるように、スキッドマーク
の周波数帯域(0.2[Hz]〜1.0[Hz])のみならず、ロ
−ル偏芯外乱の周波数帯域(4.0[Hz]〜10.0[Hz])おい
ても20・LOG|G1 |が−40〜−20[dB]近傍となること
があり、前述の(8)式 G1 +G2 =1 ・・・(8) の関係から必然的に20・LOG|G2 |はロ−ル偏芯外乱の
周波数帯域(4.0[Hz]〜10.0[Hz])おいて−40[dB]に
まで下げることが困難であり、図13の実線に示される
特性しか得られない。
【0029】その結果として、自動板内板厚偏差制御系
I を用いた場合、図14に示されるようにロ−ル偏芯
外乱(ΔSe )が顕著に圧延材にプリントされ、70[μ
m]ほどの板厚偏差が生じてしまうのである。
【0030】反対に、チュ−ニングファクタαを0.7ま
たは0.5と設定した場合等は、図15に示されるように
ロ−ル偏芯の出側板厚偏差(Δh)に対する影響はなく
なるが、低周波域でG1 ゲインが低減されきれずにスキ
ッドマ−ク等の入側板厚偏差(ΔH)が圧延材に残り、
100[μm]ほどの板厚偏差が生じるのである。
【0031】図12及び図13にそれぞれ点線でえがか
れた20・LOG|G1 |及び20・LOG|G2|の特性が望ましい
のである。
【0032】次に、Gauge MeterタイプのAGCの場合
について説明する。
【0033】この場合も、s=0.0[rad/sec]において
20・LOG|G1 |を−∞[dB]に近づけるためには、前述
の(20)式 G1 =W〔T1 ・s2+s+G(1−α)〕/〔T1 ・s2+s+G(1−α・W)〕 ・・・(20) より、α=1.0が必要(油圧圧下機構のようにスキッドマ
−ク低減に効果的な高速圧下機構を用いることを前提と
して)であるが、α=1.0とすると、T1≪1.0であるた
め、図12の実線に示されるように、スキッドマ−クの
周波数帯域(0.2[Hz]〜0.4[Hz])のみならず、
ロ−ル偏芯外乱の周波数帯域(4.0[Hz]〜10.0[H
z])おいても20・LOG|G1 |が−40〜−20[dB]近傍
となることがあり、前述の(8)式 G1 +G2 =1 ・・・(8) の関係から必然的に、20・LOG|G2 |はロ−ル偏芯外乱
の周波数帯域(4.0[Hz]〜10.0[Hz])おいて−40[dB]
にまで下げることが困難であり、図13の実線に示され
る特性しか得られない。その結果として、自動板内板厚
偏差制御系 I を用いても、図14図に示されるように
ロ−ル偏芯外乱(ΔSe )が顕著に圧延材にプリントさ
れ、70[μm]ほどの板厚偏差が生じてしまうのである。
【0034】反対に、チュ−ニングファクタαを0.7ま
たは0.5と設定した場合等は、図15に示されるよう
に、ロ−ル偏芯の出側板厚偏差(Δh)に対する影響は
なくなるが、低周波域でG1 ゲインが低減されきれずに
スキッドマ−ク等の入側板厚偏差(ΔH)が圧延材に残
り、100[μm]ほどの板厚偏差が生じるのである。
【0035】いずれにせよ、図12及び図13にそれぞ
れ点線でえがかれた20・LOG|G1 |及び20・LOG|G2 |の
特性が望ましいのである。
【0036】言い換えれば、従来の板厚偏差制御方法で
は、ただ1個の自動板内板厚偏差制御系しかもたないた
めに、s=0.0[rad/sec]における20・LOG|G1 |を−
∞[dB]にするためにチュ−ニングファクタαを1.0に
近づけると、20・LOG|G2 |を高めてしまい、ロ−ル偏
芯(ΔSe )の圧延材へのプリントを助長することにな
り、反対に、チュ−ニングファクタαを0.7または0.5と
設定した場合等は、ロ−ル偏芯の出側板厚偏差(Δh)
に対する影響はなくなるが、スキッドマークの周波数帯
域(0.2[Hz]〜1.0[Hz])で20・LOG|G1 |が低
減されきれずにスキッドマ−ク等の入側板厚偏差(Δ
H)が圧延材に残ってしまうのである。
【0037】以上述べたように、従来の板厚偏差制御方
法では、スキッドマ−ク等の入側板厚偏差(ΔH)を除
去しようとすると、ロ−ル偏芯(ΔSe )が除去できな
くなり、ロ−ル偏芯(ΔSe )を除去しようとすると、
スキッドマ−ク等の入側板厚偏差(ΔH)が除去できな
くなる。
【0038】本発明の制御方法は、 ロ−ル偏芯(ΔSe )を除去する、及び、 ロ−ル偏芯(ΔSe )と入側板厚偏差(ΔH)とを同
時に除去する、 ための板厚偏差外乱除去制御方法を提供するものであ
る。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、以下の
特徴を有する。
【0040】(1)鋼板圧延時に、圧延荷重計からの圧
延荷重偏差を表す信号(ΔP[kgw])及び圧下位置検
出器からの圧下機構動作量を表す信号(ΔS[mm])を
入力とし、演算結果を圧下機構に出力し鋼板の厚さを制
御する自動板内板厚偏差制御系を有する板厚偏差外乱除
去制御方法において、周波数特性が異なる自動板内板厚
偏差制御系 I と自動板内板厚偏差制御系 II を併設す
る。
【0041】(2)自動板内板厚偏差制御系 I では、
圧延機剛性係数(M[kgw/mm])とチュ−ニングファク
タ(α[---])とにより、 ΔF1 =−〔ΔS+(α/M)・ΔP〕 ・・・(1) なる演算によりΔF1 ([mm])を算出するとともに、
自動板内板厚偏差制御系II では、圧延機剛性係数(M
[kgw/mm])と、チュ−ニングファクタ(α[---])
と、圧延材の塑性係数(Q[kgw/mm])と、ラプラスの
演算子(s[1/sec])を含む低域フィルタH(s)と
により、 ΔF2 =−〔ΔS+(α/M)・ΔP〕・H(s) ・・・(2) なる演算によりΔF2 ([mm])を算出し、圧下系機構
動作指令量(Δu[mm])を、ΔF1 [mm]とΔF2
[mm]と圧下リファレンス(ΔRr [mm])により、 Δu=ΔRr −ΔF1 −ΔF2 ・・・(24) なる式に基づいて算出する。
【0042】(3)低域フィルタH(s)として、 H(s)=(Q・ωn 2・α)/〔M・s2+2・M・η・ωn ・s+Q(α−1)・ωn 2〕 ・・・(25) を採用する。
【0043】
【作用】以下、本発明について図面を参照しながら詳細
に説明する。
【0044】図1は、本発明の板厚外乱除去制御方法の
原理を説明するブロック線図である。図1において、本
発明は、自動板内板厚偏差制御系 I (一点鎖線内)及
び自動板内板厚偏差制御系 II (一点鎖線内)を有す
る。図1において、 C11 :伝達関数。圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を
用いるときは1圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を用い
ないときは0[---] C12 :圧延荷重偏差信号を板厚偏差信号に変換する伝
達関数[mm/kgW] C13 :一般の伝達関数[---] C21 :伝達関数。圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を
用いるときは1圧下位置偏差(ΔS)を表す信号を用い
ないときは0[---] C22 :圧延荷重偏差信号を板厚偏差信号に変換する伝
達関数[mm/kgW] C23 :一般の伝達関数[・・・] ΔF1 :自動板内板厚偏差制御系 I の出力[mm] ΔF2 :自動板内板厚偏差制御系 II の出力[mm] である。
【0045】本発明の方法は図1に示す自動板内板厚偏
差制御系 I 及び自動板内板厚偏差制御系 II を併設す
ることにより(以下、2自由度自動板内板厚偏差制御系
と称する)、0.2[Hz]〜1.0[Hz]の周波数帯域におけ
る20・LOG|G1 |を−40〜−20[dB]近くにまで低減
し、4.0[Hz]〜10.0[Hz]の周波数帯域における20・LOG|
2 |をも−40[dB]近くにまで低減することにより、
スキッドマ−ク外乱とロ−ル偏芯外乱を同時に低減する
ことを保証する。
【0046】0.2[Hz]〜1.0[Hz]の周波数帯域における20
・LOG|G1 |を−40[dB]近くにまで低減し、4.0[Hz]〜
10.0[Hz]の周波数帯域における20・LOG|G2 |を−40[d
B]近くにまで低減するために、20・LOG|G1 |には図3
に示すような特性を、20・LOG|G2 |には図4に示すよ
うな特性が与えられるようにCij (i=1〜2,j=
1〜3)を C11 =1 ・・・(26) C12 =α/M ・・・(27) C13 =−1 ・・・(28) C21 =1 ・・・(29) C22 =α/M ・・・(30) C23 =(Q・ωn 2・α)/〔M・s2+2・M・η・ωn ・s+Q(α−1)・ωn 2〕 ・・・(31) のように与える。
【0047】また、GR は油圧圧下機構等の高速圧下機
構を用いた場合には、 GR =1/(1+T1 ・s) ・・・(32) と表せる。ただし、 T1 :圧下機構の時定数[sec] s:ラプラスの演算子[1/sec] なお、ラプラスの演算子は1/sと書かれた場合、
【0048】
【数2】
【0049】を実施することを意味する。
【0050】以下、Cij (i=1〜2,j=1〜3)
を、(26)式から(31)式のように与えた理由を詳細に説
明する。
【0051】まず、図2において、入側板厚偏差(Δ
H)から出側板厚偏差(Δh)への伝達特性G1 とロ−
ル偏芯(ΔSe )から出側板厚偏差(Δh)への伝達特
性G2を算出するにあたり、図1の入側板厚偏差(Δ
H)から出側板厚偏差(Δh)への伝達特性G1 とロ−
ル偏芯(ΔSe )から出側板厚偏差(Δh)への伝達特
性G2 を算出してから、(26)式から(32)式をCij (i
=1〜2,j=1〜3)及びGR に具体的に代入するこ
ととする。
【0052】図1において、入側板厚偏差(ΔH)から
出側板厚偏差(Δh)への伝達特性G1 は、W,M,G
R ,Cij (i=1〜2,j=1〜3)の関数系として表
すことができる。これを式(33)に示す。
【0053】 G1=W〔1−M・GR・(C13・C12+C23・C22)+GR・(C13・C11+C23・C21) 〕 /〔1−W・M・GR・(C13・C12+C23・C22) +〔GR・(C13・C11+C23・C21)〕 ・・・(33 ) また、ロ−ル偏芯(ΔSe )から出側板厚偏差(Δh)へ
の伝達特性G2 は、W,M,GR ,Cij (i=1〜
2,j=1〜3)の関数系として表すことができる。こ
れを式(34)に示す。
【0054】 G2=(1−W)・〔1+GR・(C13・C11+C23・C21)〕 /〔1−W・M・GR・(C13・C12+C23・C22) +GR・(C13・C11+C23・C21)〕 ・・・(34) 従って、図2において、入側板厚偏差(ΔH)から出側
板厚偏差(Δh)への伝達関数G1 と、ロ−ル偏芯(Δ
e )から出側板厚偏差(Δh)への伝達関数G2 はそ
れぞれ、(33)式及び(34)式に(26)式から(32)式を代入
し、さらに、T1は圧下機構の時定数であり、油圧圧下
機構等を用いたときはT1 ≒0(すなわちGR ≒1)で
あることを考慮すると、 G1 =(s2+2・η・ωn ・s)/(s2+2・η・ωn ・s+ωn 2) ・・・(35) G2 =(ωn 2)/(s2+2・η・ωn ・s+ωn 2) ・・・(36) と見なすことができる。
【0055】これを基に20・LOG|G1 |,20・LOG|G2
を横軸を[rad/sec]として対数目盛とし、縦軸を[dB]
として表現すると、図3及び図4に示される特性グラフ
が得られることがわかる。
【0056】本発明の、2自由度自動板内板厚偏差制御
系により、0.2[Hz]〜1.0[Hz]の周波数帯域における20・L
OG|G1 |を−40[dB]近くにまで低減し、4.0[Hz]〜1
0.0[Hz]の周波数帯域における20・LOG|G2 |をも−40
[dB]近くにまで低減することにより、スキッドマ−ク
外乱とロ−ル偏芯外乱を同時に低減し、板厚偏差を従来
の板厚偏差に比して1/2以下にすることができる。
【0057】
【実施例】鋼板の熱間圧延機及び鋼板の諸元が、一例と
して、 M=500,000[kgW/mm] ・・・(37) Q=2,000,000[kgW/mm] ・・・(38) T1 =1/240[sec/rad] ・・・(39) α=1[---] ・・・(40) の場合に本システムを採用した。
【0058】入側板厚偏差外乱(ΔH)は、0.2[Hz]
〜0.4[Hz]の帯域にあり、ロ−ル偏芯外乱が4.0[Hz]
〜10.0[Hz]の帯域にあるので、両者を分離する周波数
は0.55[Hz](3.5[rad/sec])と考え、角速度ωn を、 ωn =3.5[rad/sec] ・・・(41) とした。
【0059】このとき、図5に示すように、0.2[Hz]
〜0.4[Hz]の帯域において20・LOG|G1 |が低減されて
おり、図6に示すように、4.0[Hz]〜10.0[Hz]の帯
域において、20・LOG|G2 |が低減されており、実施例
をもちいれば、0.2[Hz]〜0.4[Hz]帯域のスキッドマ
ーク外乱と4.0[Hz]〜10.0[Hz]の帯域のロ−ル偏芯
外乱を同時に除去することが保証される。
【0060】以下、具体的な実施例を示す。
【0061】時刻0.0秒から0.1秒間、 圧延荷重偏差:ΔP=40,000[KgW] ・・・(42) 圧下位置偏差:ΔS=0.0700[mm] ・・・(43) と計測され、 圧下リファレンス:ΔRr =0.0300[mm] ・・・(44) と与えられた場合、0.1秒後は、自動板内板厚偏差制御
系 I の出力: ΔF1 =(−1)×〔0.0700 +{(1.0)/(500,000)}×40,000 〕 =−0.15 ・・・(45) 自動板内板厚偏差制御系 II の出力: ΔF2 =(−1)×〔0.0700 +{(1.0)/(500,000)}×40,000 〕×0.8 =−0.12 ・・・(46) ただし、このとき、 (Q・ωn 2・α)/〔M・s2+2・M・η・ωn ・s+Q(α−1)・ωn 2〕 =0.8 ・・・(47) であった。
【0062】従って、圧下機構動作指令量(Δu[m
m])は、 Δu=0.03−0.15−0.12=−0.24 ・・・(48) と算出されて圧下機構に送られる。
【0063】図7に示すように、製品板厚の偏差は、50
[μm]以下となり、図14に示す従来の方法による板
厚偏差(約100[μm])と比べて、約1/2以下に減少して
いる。
【0064】
【効果】本発明の2自由度自動板内板厚制御系導入によ
り、(1)比較的接近した入側板厚偏差外乱とロ−ル偏
芯外乱とを同時に除去できる,(2)板厚の精度を向上
させうる、および、(3)製品の歩留まりを向上させう
る、ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を一態様で実施する自動板内板厚偏差
制御系の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す構成要素の処理内容を示すブロッ
ク図である。
【図3】 本発明の実施によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G1│のものを示す。
【図4】 本発明の実施によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G2│のものを示す。
【図5】 本発明の実施によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G1│のものを示す。
【図6】 本発明の実施によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G2│のものを示す。
【図7】 本発明の実施による製品板厚を示すグラフで
ある。
【図8】 従来の圧延システムを示すブロック図であ
る。
【図9】 図8に示す従来の自動板内板厚偏差制御系6
の構成をIのブロックで示すブロック図である。
【図10】 図9に示すブロックI内の各ブロック内の
具体的な設定値の一例を示すブロック図である。
【図11】 図9に示すブロックI内の各ブロック内の
具体的な設定値のもう1つの例を示すブロック図であ
る。
【図12】 従来の方法によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G1│のものを示す。
【図13】 従来の方法によるゲインの変更特性を示す
グラフであり、20・LOG│G2│のものを示す。
【図14】 従来の1つの方法による製品板厚を示すグ
ラフである。
【図15】 従来のもう1つの方法による製品板厚を示
すグラフである。
【符号の説明】
1:圧延機 2:圧延材 3:圧下位置検出器 4:圧延荷重計 5:圧下機構 6,I ,II :自
動板内板厚偏差制御系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹 生 修 一 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板圧延時に、圧延荷重計からの圧延荷重
    偏差を表す信号及び圧下位置検出器からの圧下位置偏差
    を表す信号を入力とし、演算結果を圧下機構に出力し鋼
    板の厚さを制御する自動板内板厚偏差制御系を有する板
    厚偏差外乱除去制御方法において、周波数特性が異なる
    自動板内板厚偏差制御系 I と自動板内板厚偏差制御系
    II を併設することを特徴とする板厚偏差外乱除去制御
    方法。
  2. 【請求項2】自動板内板厚偏差制御系 I では、圧延荷
    重偏差ΔP[kgW],圧下位置偏差ΔS[mm],圧延機
    剛性係数M[kgw/mm]とチュ−ニングファクタαとによ
    り、 ΔF1 =−〔ΔS+(α/M)・ΔP〕 ・・・(1) なる演算によりΔF1 [mm]を算出するとともに、自動
    板内板厚偏差制御系 IIでは、圧延荷重偏差ΔP[kg
    W],圧下位置偏差ΔS[mm],圧延機剛性係数M[kgw
    /mm]と、チュ−ニングファクタαと、圧延材の塑性係
    数Q[kgw/mm]と、ラプラスの演算子s[1/sec]を含
    む低域フィルタH(s)とにより、 ΔF2 =−〔ΔS+(α/M)・ΔP〕・H(s) ・・・(2) なる演算によりΔF2 [mm]を算出し、圧下系機構動作
    指令量Δu[mm]を、ΔF1 [mm]とΔF2 [mm]と圧
    下リファレンスΔRr [mm]により、 Δu=ΔRr −ΔF1 −ΔF2 ・・・(3) なる式に基づいて算出する、請求項1記載の板厚偏差外
    乱除去制御方法。
  3. 【請求項3】入側板厚偏差外乱の周波数領域とロ−ル偏
    芯外乱の周波数領域の実質上中間の周波数の角速度をω
    n[rad/sec]とすると、低域フィルタH(s)は、 H(s)=(Q・ωn 2・α)/〔M・s2+2・M・η・ωn ・s+Q(α−1)・ωn 2〕 ・・・(4) である、請求項2記載の板厚偏差外乱除去制御方法。
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