JP3826762B2 - 板厚制御方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷間圧延機などの圧延機により圧延される鋼帯などの被圧延材の板厚を所望値に制御する方法に係り、特に、硬度むらなどの長手方向の板厚変動を抑制するに好適な板厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷間圧延機などの圧延機により圧延される被圧延材の長手方向の板厚精度は、製品品質の重要な要素であるため、従来から種々の板厚制御方法が実施されてきた。
【0003】
通常、冷間タンデム圧延機では、図1に例示するように、上流側の第1(圧延)スタンド11において、圧下位置を操作端とするBISRA−AGCおよびモニタAGCが用いられ、下流側の第2(圧延)スタンド12以降では、ミル速度を操作端とする板厚制御が行われている。図において、10は被圧延材、11〜15は、第1乃至第5(圧延)スタンド、20は油圧圧下装置、22は圧延荷重検出器、24は、BISRA−AGCによる制御装置、30は板厚計、32は、モニタAGCによる板厚制御装置、40は張力検出器である。
【0004】
ところで冷間圧延では、母材の硬度むらに起因する板厚変動が発生する。母材の硬度むらは、例えば、冷間圧延の上工程である熱間圧延工程で圧延され巻き取られた母材コイルを焼きなます際の円周方向の温度むらに起因して発生する。
【0005】
硬度むらに起因する板厚変動に対しては、ゲージメータAGC、BISRA−AGC、ミル剛性可変制御などの、圧延荷重から圧延スタンドのミル伸び量を推定して圧下位置を操作するゲージメータ方式の板厚制御方法が有効である。
【0006】
ゲージメータ方式の板厚制御方法は、次の(1)式に示すように、圧延荷重Pの付加に伴う圧延スタンドのミル伸び量δから圧延スタンド出側板厚hを推定し、該圧延スタンド出側板厚hを所望の板厚に制御するものである。
【0007】
h=S+δ ・・・(1)
ここで、Sは圧下位置である。
【0008】
なお圧延スタンドのミル伸び量δについては、ミル剛性Mを用いて、次の(2)式のように線形化し、なおかつ、チューニング率αを導入する場合もある。
【0009】
δ=(α/M)・P ・・・(2)
【0010】
又、ゲージメータ方式に基づく板厚制御実施時の等価ミル剛性Meqは、次の(3)式となり、入側板厚偏差(スタンド入側において測定した被圧延材の板厚と、予め設定された入側目標板厚との差)ΔHによる出側板厚偏差(スタンド出側において測定した被圧延材の板厚と、予め設定された出側目標板厚との差)Δhへの影響は、次の(4)式で表される。
【0011】
Meq=M/(1−α) ・・・(3)
【0012】
Δh=[Q/(Meq+Q)]・ΔH ・・・(4)
ここで、Qは塑性定数である。
【0013】
従って、ミル剛性Mが正しく設定され、チューニング率αが1であれば、等価ミル剛性Meqは無限大となり、圧延荷重変動に伴うミル伸び量変動が発生せず、入側板厚変動や硬度むらなどに伴う出側板厚偏差を抑制できる。
【0014】
しかしながら、ミル剛性Mは設定値であり、設定誤差により実質上のチューニング率αは、α>1あるいはα<1になる。α>1の場合はオーバーアクションとなり、不安定な板厚変動を引き起こすことがある。従って、ミル可変制御には、調整パラメータとしてチューニング率αが導入されている。
【0015】
ゲージメータ方式の板厚制御では、ミル伸び量の設定精度が板厚制御精度に大きな影響を与えるため、例えば、特開昭62−130710号公報、特開昭63−140721号公報に、圧延実績からミル剛性値を修正する方法が開示されている。
【0016】
又、ゲージメータ方式の板厚制御以外の方法としては、特開平10−211512号公報に、硬度むらに起因する入側板厚偏差を計測し、該入側板厚偏差に応じた圧下位置操作量を算出する際の制御ゲインについて、出側板厚偏差のスペクトルを用いて、該制御ゲインを修正する方法が開示されている。
【0017】
硬度むらに起因する板厚偏差は、母材コイルの1巻に1回発生するように、短い周期で発生する。更に、第1スタンド出側における板厚偏差が、最終スタンド出側における板厚偏差として残る割合が多いため、第1スタンドにおいて硬度むらによる板厚偏差を確実に抑制しておくことが重要である。即ち、最終製品とほぼ同等の高精度な板厚精度を、第1スタンド出側において達成しておくことが望まれる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭62−130710号公報、特開昭63−140721号公報において開示されている、圧延実績からミル剛性値を修正する方法では、厳格化するユーザが求める数μm以内の板厚精度を実現するための高精度のミル剛性Mを設定することは難しい。
【0019】
他方、硬度むらに起因する板厚変動は、主として被圧延材内質の問題であり、第1スタンド入側においては板厚変動が発生していない場合が多いため、特開平10−211512号公報に開示されている入側板厚偏差を用いる手法は適用できない。
【0020】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、圧延機により圧延される被圧延材の板厚を所望値に制御する方法に係り、特に、硬度むらなどの長手方向の板厚変動を抑制することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、被圧延材の長手方向の各位置における圧延荷重変化量を記憶し、圧延機出側に設置された板厚計により計測した板厚から求める板厚変化量と、前記板厚計位置相当における前記記憶された圧延荷重変化量との相関係数を算出し、該相関係数の値に応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することにより、前記課題を解決したものである。
【0022】
又、前記相関係数の算出に際し、前記板厚変化量および前記記憶された圧延荷重変化量について、低周波成分を除去するようにしたものである。
【0023】
本発明は、又、圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、被圧延材の長手方向の各位置における圧下位置補正量の変化量を記憶し、圧延機出側に設置された板厚計により計測した板厚から求める板厚変化量と、前記板厚計位置相当における前記記憶された圧下位置補正量の変化量との相関係数を算出し、該相関係数の値に応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することにより、前記課題を解決したものである。
【0024】
又、前記相関係数の算出に際し、前記板厚変化量および前記記憶された圧下位置補正量の変化量について、低周波成分を除去するようにしたものである。
【0025】
本発明は、又、圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、上流側圧延スタンドにおける被圧延材の長手方向の各位置における圧延荷重変化量を記憶し、圧延スタンド間張力変化量と、下流側圧延スタンド位置相当における前記記憶された上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量との相関係数を算出し、該相関係数の値に応じて、上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することにより、前記課題を解決したものである。
【0026】
又、前記相関係数の算出に際し、前記圧延スタンド間張力変化量および前記記憶された上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量について、低周波成分を除去するようにしたものである。
【0027】
本発明は、又、圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、上流側圧延スタンドにおける被圧延材の長手方向の各位置における圧下位置補正量の変化量を記憶し、圧延スタンド間張力変化量と、下流側圧延スタンド位置相当における前記記憶された上流側圧延スタンドの圧下位置補正量の変化量との相関係数を算出し、該相関係数の値に応じて、上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することにより、前記課題を解決したものである。
【0028】
又、前記相関係数の算出に際し、前記圧延スタンド間張力変化量および前記記憶された上流側圧延スタンドの圧下位置補正量の変化量について、低周波成分を除去するようにしたものである。
【0029】
本発明は、ゲージメータ方式の板厚制御において、板厚制御へ大きな影響を及ぼすミル剛性について、板厚制御結果としての出側板厚変動あるいはスタンド間張力変動を用いてミル剛性を修正するものである。
【0030】
以下、第1スタンドのゲージメータ方式の板厚制御方法としてBISRA−AGCを用いる場合を例に、本発明の作用を説明する。
【0031】
BISRA−AGCにより、制御開始時点からの圧延荷重変化量ΔPを用いて、前出(2)式により、制御開始時点からのミル伸び量変化量Δδを算出すると、次の(5)式のようになる。
【0032】
Δδ=(α/M)・ΔP ・・・(5)
【0033】
更に、前出(1)式から、圧延スタンド出側板厚hが変化しないとして、圧下位置補正量ΔSを求めると、次の(6)式のようになる。
【0034】
ΔS=(−α/M)・ΔP ・・・(6)
【0035】
この圧下位置補正量ΔSを用いて圧下位置操作量を補正し、出力する。
【0036】
硬度むらが存在すると、被圧延材の硬い部位において圧延荷重が増大し、閉方向の圧下位置補正量が出力されることとなる。
【0037】
ところで、第1スタンドにおける圧延荷重を被圧延材長手方向に逐次記憶し、被圧延材が第1スタンド出側の板厚計位置に到達した時点において、上記記憶された圧延荷重と前記板厚計により検出された出側の板厚とを両者の被圧延材長手方向位置が一致するようにして対比させると、図2中の▲1▼に示すように、圧延荷重の増加した部位において検出された出側の板厚が増加するように、両者には相関が見られる。
【0038】
この相関が強い場合、即ち相関係数が大きな場合には、板厚の制御に修正が必要であると判断し、例えば圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数であるチューニング率αを補正する。この補正を加えた圧下位置補正量ΔSを用いて圧下位置操作量を補正し、板厚を制御する。
【0039】
具体的には、圧延荷重変化量と板厚変化量との相関係数を求め、相関係数の大きさに応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出するチューニング率αを補正することで、第1スタンド出側の板厚変動を抑制することができる。
【0040】
ここで圧延荷重変化量とは、前記の制御開始時点からの圧延荷重変化量ΔPなど、計測された圧延荷重と任意の一定の値との差を意味する。なお、圧延荷重変化量は、相関係数を求めるための数値の取扱いを容易にするために用いるものであり、任意の一定の値としては、例えば制御開始時点の圧延荷重としてもよいし、任意の一定の値を0とし、圧延荷重変化量として、圧延荷重自体を用いてもよい。また、板厚変化量とは、出側板厚偏差など、圧延機出側に設置された板厚計により計測された板厚からもとめる、前記板厚と任意の一定の値との差を意味する。なお、板厚変化量は、相関係数を求めるための数値の取扱いを容易にするために用いるものであり、任意の一定の値としては、例えば圧延機出側の目標板厚としてもよいし、任意の一定の値を0とし、板厚変化量として、圧延機出側に設置された板厚計により計測された板厚自体を用いてもよい。
【0041】
なお、圧延荷重と板厚の間だけでなく、図2中の▲2▼に示したように、圧延荷重と、第1−第2スタンド間の圧延スタンド間張力との間にも相関がある。従って、上流側スタンドである第1スタンドの圧延荷重と、該圧延荷重を記憶した部位が第1スタンドよりも下流側スタンドである第2スタンドに達した時点での第1−第2スタンド間の圧延スタンド間張力との相関係数を求め、前述と同様に、相関係数の大きさに応じて、例えば圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数であるチューニング率αを補正することで、第1スタンド出側の板厚変動を抑制することもできる。
【0042】
又、上記では、圧延荷重変化量を用いて説明したが、圧下位置補正量を開方向(正の方向)とすると圧延荷重が減少し、圧下位置補正量を閉方向(負の方向)とすると圧延荷重が増加する関係が成り立つため、圧延荷重変化量の代わりに圧下位置補正量の変化量を用いても、前述の相関関係が成立する。従って、圧下位置補正量の変化量と板厚変化量との相関係数、あるいは、圧下位置補正量の変化量と圧延スタンド間張力変化量との相関係数を求めて、前述と同様に、相関係数の大きさに応じて、例えば圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数であるチューニング率αを補正することで、第1スタンド出側の板厚変動を抑制することができる。
【0043】
ここで圧下位置補正量の変化量とは、圧下位置補正量と任意の一定の値との差を意味する。なお、圧下位置補正量の変化量は、相関係数を求めるための数値の取扱いを容易にするために用いるものであり、任意の一定の値としては、例えば制御開始時点の圧下位置補正量としてもよいし、任意の一定の値を0とし、圧下位置補正量の変化量として、圧下位置補正量自体を用いてもよい。
【0044】
また、圧延スタンド間張力変化量とは、圧延スタンド間張力と任意の値との差を意味する。なお、圧延スタンド間張力変化量は、相関係数を求めるための数値の取扱いを容易にするために用いるものであり、任意の一定の値としては、例えば目標板厚圧延時の目標張力としてもよいし、任意の一定の値を0とし、圧延スタンド間張力変化量として、計測された圧延スタンド間張力自体を用いてもよい。
【0045】
更に、圧延荷重変化量あるいは圧下位置補正量の変化量、および、板厚変化量あるいは圧延スタンド間張力変化量の各々について、低周波数成分除去フィルタによるフィルタ処理を施すことにより、硬度むら特有の高周波の周期的な板厚変動に伴う変動分を効率的にとらえることができ、前述の相関係数を精度良く安定的に求めることができる。なお、ここで低周波成分とは、硬度むら特有の高周波の周波数の数分の1、例えば1/5程度以下の周波数を意味する。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0047】
図3は、タンデム圧延機における板厚制御システムを示す例であって、被圧延材10が通板する方向に、第1スタンド11、第2スタンド12、第3スタンド13・・・第Nスタンド15を通過する。
【0048】
各スタンドには、被圧延材10を上下方向から圧下する一対のワークロール16が設けられ、各ワークロール16には、圧下力を付与するバックアップロール18が転接されている。
【0049】
図3において第1スタンド11以外では省略してあるが、一般に各スタンドにはワークロール16のロール間のギャップを制御する制御装置が接続されている。
【0050】
以下、第1スタンド11のゲージメータ方式の板厚制御方法としてBISRA−AGCを用いる場合を例に、第1スタンド11に接続された制御装置50について説明する。
【0051】
前記制御装置50には、一対のワークロール16のロール間のギャップを設定するために、バックアップロール18を介して、ワークロール16に圧下力を付与する油圧圧下装置20と、該油圧圧下装置20によりワークロール16に付与された圧延荷重を検出する圧延荷重検出器22と、圧延機出側に設置された、被圧延材10の出側板厚を計測する板厚計30と、スタンド間張力を検出するための張力検出器40が接続されている。
【0052】
前記板厚計30により計測された被圧延材10の出側板厚、張力検出器40により検出されたスタンド間張力、圧延荷重検出器22により検出された圧延荷重を制御装置50に入力し、圧下位置補正量を算出し、算出結果に基づいて、油圧圧下装置20に対し圧下位置操作量を出力する。
【0053】
なお、以下に説明するような実施形態に応じて、板厚計30あるいは張力検出器40のいずれかが備えられていれば充分である。
【0054】
本発明の第1実施形態の制御ブロックを図4に示す。図において、52は、制御開始時点からの圧延荷重変化量ΔPを用いて、前出(2)式により制御開始時点からのミル伸び量Δδを算出するミル伸び演算器、54は、前記ミル伸び量Δδを圧下位置補正量ΔSrefとして圧下位置指令に加える加算器、56は、板厚計30で出側板厚を計測した被圧延材長手方向位置と同じ位置に圧延荷重変化量ΔPを対応させるための、第1スタンド11における圧延荷重変化量ΔPを圧延材長手方向に逐次記憶し、被圧延材10の同じ部分が第1スタンド出側板厚計30の位置に到達した時点において、前記記憶していた圧延荷重変化量ΔPを、圧延荷重測定時刻とスタンド出側での板厚測定時刻のずれ分だけ遅延させて出力する遅延装置、58、59は、それぞれ、該遅延装置56及び板厚計30の出力から、硬度むらに特有の高周波の周期的な板厚変動による変動を抽出して効率的にとらえる低周波数成分除去フィルタ(以下、単にフィルタと称する)、60は、該フィルタ58、59によりフィルタ処理された圧延荷重変化量ΔPと出側板厚検出値の相関係数rを算出し、前記ミル伸び演算器52で使用されるチューニング率α(パラメータ)を変更するためのパラメータ補正装置である。
【0055】
該パラメータ補正装置40は、図5に処理手順を示す如く、まずステップ100で、前記フィルタ58、59によりフィルタ処理された圧延荷重変化量ΔPと出側板厚検出値の相関係数rを演算し、計算された相関係数の値rに応じて、チューニング率αの補正値を演算する。
【0056】
このチューニング率αの補正処理は、具体的には、例えばステップ102〜108に示す如く、(7)式に従って行われる。
【0057】
(a)r >0.3 の時 α←α+Δα
(b)0≦r≦0.3 の時 αの補正なし
(c)r <0 の時 α←α−Δα …(7)
ここで、αの初期値は、例えば0.9(0.8や1.0でも可)、1回当りのチューニング率変更量Δαは0.05とすることができる。
【0058】
圧延荷重変化量ΔPと、板厚計30により計測された被圧延材10の板厚とを、両者の被圧延材長手方向位置が一致するようにして、表示した例が図2の▲1▼である。圧延荷重変化量ΔPの増加した部位に対応して、板厚が増加し、両者の間には強い正の相関が見られる。
【0059】
図2の▲1▼の事例は、上記(7)式の(a)に該当し、圧下位置補正量が不足した場合であり、硬度が高い部位に対応して閉方向の圧下位置補正量が出力され、圧延荷重変化量ΔPは増大したが、増加方向の板厚偏差を解消するに至らず、正の板厚偏差が残存したものである。第1スタンド出側の板厚変動を抑えるためには、チューニング率αを大きくして、圧延荷重変化量ΔPから圧下位置補正量への換算係数(α/M)を大きくし、より振幅の大きな圧下位置補正量を出力する必要がある。そこで、チューニング率αを(α+Δα)に変更する。
【0060】
図2の▲1▼の事例では、正の板厚偏差が残存したものであるが、反対に、検出された板厚が減少する場合、即ち、負の板厚偏差が残存する場合には、圧下位置補正量が閉方向に過大となっている場合である。この時、相関係数は負となり、(7)式の(c)に該当する。この場合は、圧延荷重から圧下位置補正量への換算係数(α/M)を小さくするため、チューニング率αを(7)式に示すように、(α−Δα)に変更し、小さくなるようにする。
【0061】
本領域(c)は、板厚制御が過大な圧下位置補正を行うため、ハンチングなど不安定な板厚変動を引き起こし、板厚不良や操業トラブルとなる領域である。
【0062】
従って(7)式(b)の設定は、チューニング率αの変更を過度に行わないように設けるものであり、rの許容範囲を設定している。
【0063】
また相関係数の大小の判断は、要求される精度などに応じて適宜決定すればよく、例えば(7)式の例のように上限が0.3、下限が0程度の値とすれば良い。
【0064】
ここで相関係数の上限値を0.3とするのは、次ステップのチューニング率変更処理により、相関係数が(a)の領域へ入ってしまうのを防止するためである。下限値を0とするのも、上記と同様に、チューニング率変更処理により、相関係数が(c)の領域へ入るのを防止するためである。
【0065】
なお、1回当りのチューニング率変化量Δαは、固定値でもよく、αの値に応じて変更してもよい。
【0066】
以上の説明では、圧延荷重変化量ΔPと板厚との相関を用いたものであるが、図2の▲2▼の事例で示すように、圧延荷重と、第1−第2スタンド間のスタンド間張力との間にも、圧延荷重が増加した部位においてスタンド間張力が増大するといった相関がある。従って、図6に示す第2実施形態のように、上流側スタンドである第1スタンドの圧延荷重変化量ΔPと、該圧延荷重変化量を記憶した部位が、第1スタンドよりも下流側スタンドである第2スタンドに達した時点での第1−第2スタンド間のスタンド間張力変化量との相関係数を求め、前述と同様に相関係数の大きさに応じて、チューニング率αを(7)式に示すように補正することで、第1スタンド出側の板厚変動を抑制することができる。
【0067】
この場合は、図4の板厚の代わりに、図6のようにスタンド間張力を用いることで、いままで説明したと同様の構成において同等の効果が得られる。
【0068】
以上の説明では、圧延荷重変化量を用いて説明したが、圧下位置補正量を開方向(正の方向)とすると圧延荷重が減少し、圧下位置補正量を閉方向(負の方向)とすると圧延荷重が増加する関係が成り立つため、圧延荷重の代わりに圧下位置補正量を用いても、相関係数の正負の符号は逆転するが、前述の相関関係と同様の関係が成立する。従って、圧下位置補正量と板厚との相関係数、あるいは、圧下位置補正量とスタンド間張力との相関係数を求めて、前述と同様に相関係数の大きさに応じて、チューニング率αを(7)式に示すように補正することで、第1スタンド出側の板厚変動を抑制することができる。この時、圧延荷重、圧下位置補正量等の選択する変数の組み合せにより、相関係数の正負の符号が逆転するため(7)式の符号は見直す必要がある。
【0069】
なお、前述の相関係数rの算出に当っては、制御開始時点からの圧延荷重(変化量ΔPなどの圧延荷重変化量)あるいは圧下位置補正量などの圧下位置補正量の変化量、および、板厚などの板厚変化量あるいは圧延スタンド間張力などの圧延スタンド間張力変化量の各々について、低周波成分除去フィルタ58および59によるフィルタ処理を施すことにより、硬度むら特有の高周波の周期的な板厚変動による変動を効率的にとらえることができる。
【0070】
更に、硬度むらに起因する板厚変動は、被圧延材内質に起因する板厚変動であり、圧延速度に応じて板厚変動の周期が変化するため、データ採取に当っては、板厚変動の1周期分以上を含むような定時間毎に、例えば1周期につき8個以上のデータ採取を行い、圧延速度に応じて前記データの収集間隔を変更し、除去する低周波領域を変更することにより、より効率的に硬度むらに起因する板厚変動の抽出が可能となる。又、被圧延材の定長毎にデータ採取を行い、フィルタ処理も被圧延材長を基準に行うことによっても、同等の効果を得られる。
【0071】
今までの説明では、上流側スタンドを圧延機の最上流スタンドである第1スタンド、下流側スタンドを第2スタンドとして説明したが、上流側スタンド、下流側スタンドは、これに限定されるものではなく、第2スタンド以降のスタンドを本願における上流側スタンドとして、前述の板厚制御方法により板厚変動を抑制することができる。
【0072】
補正対象もチューニング率αに限定されない。
【0073】
【実施例】
本発明の板厚制御方法による試験結果について説明する。
【0074】
図7は、初期の時刻T1までの期間に、第1スタンド出側において、硬度むらにより±10μmほどの板厚変動が発生した事例である。
【0075】
このときのBISRA−AGCのチューニング率αは0.9であった。これは安定的に操業するために、通常用いられている値の一例である。
【0076】
前述した図4に示す本発明の板厚制御方法により求めた圧延荷重と板厚との相関係数rが、時刻T1において、約0.7であり、所定の値0.3より大きく、強い相関が認められたため、チューニング率変更量Δαを0.05として、前記チューニング率αを0.95に増加させた。その結果、時刻T1からT2の期間での板厚変動を±4μmほどに改善することができた。
【0077】
更に、時刻T2での前記相関係数rは約0.4であり、まだ所定の値0.3より大きいので、前記チューニング率αを1.0に再度変更し、時刻T2以降の期間での板厚変動を±2μmほどとすることができ、所望の板厚を達成することができた。
【0078】
なお時刻T2以降の期間での前記相関係数は約0.1であり、所定の値0.3より小さくなり、前記チューニング率αをこれ以上変更する必要はなかった。
【0079】
以上の試験結果により、板厚変動を充分抑制していることが示された。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、圧延後の板厚変動に応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する適切な係数を設定できるため、硬度むらなどの長手方向の板厚変動を抑制する効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンデム圧延機における板厚制御システムの一例を示すブロック図
【図2】本発明の原理を説明するための、圧延荷重変動と出側板厚変動およびスタンド間張力との関係の例を示すタイムチャート
【図3】本発明の実施形態における板厚制御システムの構成例を示すブロック図
【図4】本発明の第1実施形態の制御ブロックを示す構成図
【図5】同じくパラメータ補正処理の手順を示す流れ図
【図6】本発明の第2実施形態の制御ブロックを示す構成図
【図7】本発明による板厚変動を抑制する効果を示すタイムチャート
【符号の説明】
10…被圧延材
20…油圧圧下装置
22…圧延荷重検出器
30…板厚計
40…張力検出器
50…制御装置
52…ミル伸び演算器
56…遅延装置
58、59…フィルタ
60…パラメータ補正装置

Claims (8)

  1. 圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、
    被圧延材の長手方向の各位置における圧延荷重変化量を記憶し、
    圧延機出側に設置された板厚計により計測した板厚から求める板厚変化量と、前記板厚計位置相当における前記記憶された圧延荷重変化量との相関係数を算出し、
    該相関係数の値に応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することを特徴とする板厚制御方法。
  2. 前記相関係数の算出に際し、前記板厚変化量および前記記憶された圧延荷重変化量について、低周波成分を除去することを特徴とする請求項1に記載の板厚制御方法。
  3. 圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、
    被圧延材の長手方向の各位置における圧下位置補正量の変化量を記憶し、
    圧延機出側に設置された板厚計により計測した板厚から求める板厚変化量と、前記板厚計位置相当における前記記憶された圧下位置補正量の変化量との相関係数を算出し、
    該相関係数の値に応じて、圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することを特徴とする板厚制御方法。
  4. 前記相関係数の算出に際し、前記板厚変化量および前記記憶された圧下位置補正量の変化量について、低周波成分を除去することを特徴とする請求項3に記載の板厚制御方法。
  5. 圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、
    上流側圧延スタンドにおける被圧延材の長手方向の各位置における圧延荷重変化量を記憶し、
    圧延スタンド間張力変化量と、下流側圧延スタンド位置相当における前記記憶された上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量との相関係数を算出し、
    該相関係数の値に応じて、上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することを特徴とする板厚制御方法。
  6. 前記相関係数の算出に際し、前記圧延スタンド間張力変化量および前記記憶された上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量について、低周波成分を除去することを特徴とする請求項5に記載の板厚制御方法。
  7. 圧延荷重変化量に比例した圧下位置補正量を求め、この圧下位置補正量によって圧延ロールの圧下位置基準を補正し、被圧延材の板厚を制御する方法において、
    上流側圧延スタンドにおける被圧延材の長手方向の各位置における圧下位置補正量の変化量を記憶し、
    圧延スタンド間張力変化量と、下流側圧延スタンド位置相当における前記記憶された上流側圧延スタンドの圧下位置補正量の変化量との相関係数を算出し、
    該相関係数の値に応じて、上流側圧延スタンドの圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出する比例係数を補正することを特徴とする板厚制御方法。
  8. 前記相関係数の算出に際し、前記圧延スタンド間張力変化量および前記記憶された上流側圧延スタンドの圧下位置補正量の変化量について、低周波成分を除去することを特徴とする請求項7に記載の板厚制御方法。
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