JPH0519796U - 断熱エルボカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業性、経済性に優れる断熱エルボカバーを
得ること。 【構成】 左右の両開口端面を含む二つの平面が交差す
る左右対称の筒型をなす単位断熱筒（１）を複数個単位
筒の最長母線を合わせて並べ、両端には１面が前記単位
筒の開口端面と同じ形状で相対する面が筒軸に垂直な端
面の単位断熱筒（２）を単位断熱筒（１）に端面および
最長母線を合わせて配し最長母線を中心に筒周の１／２
の範囲においてシート状物及び／または紐状物で少なく
とも１箇所以上を連結し、連続一体化したことを特徴と
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、流体流動配管の断熱カバーに関し、詳しくは曲路形成用エルボの外 周面に容易に嵌着し得る断熱エルボカバーを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

従来、直筒状配管用の断熱カバーとしては、ガラスウール、ロックウール、発 泡スチレンフォームなどの僅かに弾性変形を有する軟質直筒カバー、あるいは珪 酸カルシウムなどの硬質直筒カバーがそのままあるいはその半割筒、あるいは軟 質直筒の場合は筒壁に切開部を設けて拡開可能にしたものが用いられているが、 曲管部には上記のような成形直筒体は使用できなく通常エルボ外径に適合した半 割り筒成型曲筒を用いるか、ガラスウール、ロックウールなどの無機繊維マット を巻着する手段あるいは分割型エルボカバー嵌着する手段が行われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記のエルボ断熱カバーとする半割筒成形曲筒はその製造方法として一体成形 方式、素材切削加工方式のいずれかが採用され、前者は特定の成形型を要し通常 成形物の加熱硬化養生しなければならなく、後者はならい切削などの準備、切削 粉の発生などがありいずれも生産性が低く、したがって規格寸法の小なるエルボ 断熱カバーに利用されているに過ぎなく大口径管の断熱施工は、直筒用断熱筒を 施工現場で切断して使用するか、断熱材マットの切断巻付けなどを行っているが 、作業者の熟練を要し往々にして施工不良を生じやすかった。また分割型エルボ カバーの場合部品数が多くなり、運搬性においては１個ずつバラバラなので持ち 運びずらく、施工性においては１個ずつ施工するので手間が掛かる等の欠点があ る。また両端に使用する分割型エルボカバーの形状が異なるため他の分割型エル ボカバーと取り違えたりする欠点もある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 前記課題は本考案の左右の両開口端面（４）（５）を含む二つの平面（ａ）（ ｂ）が交差する左右対象の短筒形をなす僅かに弾性変形性を有する断熱材料製の 単位断熱筒（１）を複数個最長母線を合わせて直線状に並べ、両端には１面が前 記単位断熱筒（１）と同じ端面であり相対する面が筒軸にたいし垂直端面である 単位断熱筒（２）を夫々前記単位断熱筒（１）に端面及び最長母線を合わせて配 し、前記最長母線を中心に筒周の１／２の範囲においてシート状物及び／又は紐 状物によって連結し、連続一体化したことを特徴とする断熱エルボカバーによっ て解決される。以下本考案について説明する。

【０００５】 上記の単位断熱筒は、ガラスウール、ロックウールなどの無機繊維マットをマ ンドレルに巻回成形した筒状体、あるいは発泡ポリスチレン等の合成樹脂多泡体 製筒状体などの僅かに弾性変形性を有したものであり、両開口端面は筒軸線に対 し互いに反対方向に傾斜し、両開口端面を含む二つの平面は、管外の特定位置で 交差し、しかも左右対称をなす短筒である。また上記の単位断熱筒は表面にＡＬ ＧＣ（ガラスクロスにアルミ箔を貼り合わせたもの）、ＡＬＫ（クラフト紙にア ルミ箔を貼り合わせたものまたはクラフト紙にアルミを蒸着したもの）、紙等が 貼られていても良い。

【０００６】 上記の二つの平面の交差線と筒軸との距離は断熱されるエルボの中心線の曲率 半径と一致せしめること、二つの平面の面交差角は、断熱エルボの屈曲角度を複 数に等分した角度に一致せしめることが必要である。

【０００７】 この単位断熱筒（１）は僅かに弾性変形性を有する断熱材料製の長尺円筒体を 該円筒軸線を含む中央面に直角で該軸線に互いに逆傾斜して前記面交差角をなす 平面位置で切断することにより容易に製造することができる。また本考案の断熱 エルボカバーの両端に配する単位断熱筒（２）は例えば単位断熱筒（１）を筒軸 に垂直に２等分することによっても得られる。単位断熱筒（２）を両端に配する ことによって断熱エルボの直管部の断熱筒の垂直端面と同じ垂直端面をもって接 続することができる。

【０００８】 得られた単位断熱筒の最長母線を合わせて直線状に並べ前記最長母線を中心に 筒周の１／２の範囲においてシート状物及び／又は紐状物によって連結し、連続 一体化する。最長母線を中心に筒周の１／２の範囲において連結する理由は最長 母線が固定され安定化するため使用上最も取扱いやすいからである。 単位断熱筒の連結は連結箇所ごとに独立して連結しても良いし、最長母線に沿 って全連結箇所を通して、連続したテープ状のシート状物あるいは紐状物を貼着 したりあるいは通して連結しても良い。また単位断熱筒の連結は例えば細い紐状 物を使用し１箇所だけでの連結では取扱い上安定性に欠けるような場合など、必 要に応じて前記箇所に加えて別の箇所で連結することも好ましい。

【０００９】 単位断熱筒の連結に使用するシート状物としては紙、布、寒冷沙、ガラスクロ ス、ＡＬＧＣ、金属箔、不織布、およびそれらのテープ等を接着剤を用いて接着 する。接着剤は接着時に塗布しても良いし予めシート状物に付着しているものを 使用しても良い。また単位断熱筒の連結に使用する紐状物としては綿、ガラス繊 維、合成繊維の紐類等で接着剤を用いて接着して用いられるほか開口端面を通し て使用される。

【００１０】 単位断熱筒にシート状物あるいは紐状物を接着するための接着剤としては特に 限定されず充分な接着強度を有するものであれば使用できる。

【００１１】

【作用】

本考案の断熱エルボカバーは前記の如き両開口端面が交差する傾斜面を有する 対称形をなす単位断熱筒（１）と両端に垂直端面を有する単位断熱筒（２）配し 、夫々の単位断熱筒は互いに断面と最長母線が合うように直線状に並べられ、最 長母線を中心に筒周の１／２の範囲で接続され連続一体化されているので、複数 個の単位筒を一体として扱え、作業効率が向上すると共にエルボ曲管外面の最短 曲率半径部に夫々の単位断熱筒の最短母線が位置するように嵌着することによっ て、その弾性変形性と相俟って、エルボ曲管部外周に密接連続した良好な断熱層 を形成することができる。また本考案の断熱エルボカバーの両端面は筒軸に対し て垂直端面となっているのでエルボ直管部の断熱カバーの垂直端面とも合い密接 連続するのでより良好な断熱効果が得られるとともに曲管部と直管部の接続部の 断熱カバーの施工も容易である。

【００１２】 なお、上記の単位断熱筒の筒壁を、筒の半径方向或いは半径方向に傾斜した方 向に切開してスリットを設け該スリットにおいて弾性的に拡開可能になし、さら には該切開部に対向した筒壁の内面にスリットを設けてより容易に拡開可能とし 、或いは最短母線を含む筒直径方向に切断して半割筒とすることにより、エルボ 曲管の外周から簡単に嵌着被覆できるようにすることができ、したがってエルボ 両端にフランジがある場合、既設配管系統のまま断熱施工を能率的に行うことが でき好ましい。

【００１３】

【実施例】

本考案の実施例を図面によって説明する。 第１図は単位断熱筒１の斜視図、第２図はその一部を断面として示した側面図で あり、３は孔部、４は左開口端面、５は右開口端面であり、６は外周の最長母線 、ａは左開口端面４を含む仮想平面、ｂは５を含む仮想平面、αは両仮想の平面 ａ，ｂの交差角度である。第３図は本考案の断熱エルボカバーの端部を構成する 単位断熱筒２の側面図であり、８は単位断熱筒１の開口端面と同じ形状の開口端 面、９は筒軸１０にたいし垂直である開口端面、１０は筒軸である。

【００１４】 第４図は複数の単位断熱筒１と両端に単位断熱筒２を配し連続したシート状物 の連結材１１によって最長母線を含む箇所で連結した本考案の断熱エルボカバー の側面図。第５図はその正面図で最短母線７位置で筒の半径方向にスリット１２ およびスリット１２に対向する筒壁の内面に外壁面に達しないスリット１３を設 けて容易に拡開できるようにしたことを示す。第６図は複数の単位断熱筒１と両 端に単位断熱筒２を配し連続した短い紐状物の連結材１４による最長母線を含む 箇所での連結に加えて側辺部の２か所において短い紐状物の連結材１５および１ ６により連結した本考案の断熱エルボカバーの側面図。第７図はその正面図で最 短母線７位置で筒の半径方向にスリット１２およびスリット１２に対向する筒壁 の内面に外壁面に達するスリット１７を設けてより容易に拡開できるようにした ことを示す。

【００１５】 第８図は本考案の断熱エルボカバーによって９０°エルボ部を断熱被覆した場 合の側面図であって、単位断熱筒１はその開口両端面のなす各αが２２．５°で あるものが３個連設嵌着され、その両端に直角端面とこれに対し１／２αが１１ ．２５°の傾斜する端面を有する短筒２が嵌着され、単位断熱筒１，２の最長母 線に沿ってテープ状のシート状物が接着され単位断熱筒１，２を連結一体化され ている状態を示す。

【００１６】 第９図は本考案の断熱エルボカバーに設けるスリットの種々の態様をしめした もので、第９図（イ）（ロ）の正面図に示すように筒の半径方向にスリット１８ または半径方向に対し傾斜したスリット１９において筒壁を切断して該部におい て弾性的に拡開可能とし、さらには（ハ）にしめすように前記のごときスリット １２に対向する筒壁の内面に外壁面に達しないスリット１３を設けて容易に拡開 できるようにし、あるいは（ニ）に示すようにスリット１２に対向する筒壁の内 面に外壁面に達するスリット１７を設けてより容易に拡開できるようにして用い ることもできる。なお、前記の単位断熱筒１における両開口端面４，５がなす交 差角α並びに最短母線７長を増減変更することによって断熱被覆条件を変更する こともできる。

【００１７】 ［施工性比較試験］ 本考案の断熱エルボカバー：６Ｂ−４０ｔ（ＪＩＳ ２３０４による６イン チ配管９０°エルボの厚さ４０ｍｍの保温） 単位断熱筒１ … 材質：ロックウール，密度：１００ｋｇ／ｍ³ ， 外径：２４．５２ｍｍ，内径：１６．５２ｍｍ， 最長母線：１３７ｍｍ，最短母線：４１ｍｍ， 角度α＝２２．５°，個数：３個， 単位断熱筒２ … 最長母線：６８．５ｍｍ，最短母線：２０．５ｍｍ， 角度１／２α＝１１．２５°、個数：２個 上記単位断熱筒１を中に単位断熱筒２を両端に、最長母線と端面を合わせ最長 母線を中心に巾５ｃｍＡＬＧＣ製の粘着テープで貼着し一体とした本考案の断熱 エルボカバーと上記単位断熱筒１および単位断熱筒２を貼着一体化していない以 外は同じ条件の断熱エルボカバーを用いて，９０°エルボ … 材質：ＳＧＰ（ ＳｔｅｅｌＧａｓＰｉｐｅ）、曲率半径：２２８．６ｍｍ、管径：１６５．２ｍ ｍ、を断熱被覆し施工時間を測定した。本考案の断熱エルボカバーを使用した場 合の施工時間は５分２０秒であったのに対し、従来の分割した断熱エルボカバー の場合２分４５秒であった。

【００１８】

【考案の効果】

以上述べたとおり、本考案の断熱エルボカバーは前記ごとき単位断熱筒を複数 組み合わせ最長母線を含む筒周の１／２の範囲において連結一体化されているの で一個の物として取り扱えるのでエルボ断熱被覆が容易良好にでき、その製造も 簡単廉価にできるなど、従来のエルボ断熱被覆手段より優れた作業性，経済性が 得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】単位筒の斜視図

【図２】単位筒の側面図

【図３】断熱エルボカバーの両端に配する単位筒の側面
図

【図４】断熱エルボカバーの側面図。

【図５】断熱エルボカバーの正面図。

【図６】断熱エルボカバーの側面図。

【図７】断熱エルボカバーの正面図。

【図８】９０°エルボ部を断熱被覆した場合の側面図。

【図９】（イ）（ロ）（ハ）（ニ）は単位断熱筒の正面
図。

【符号の説明】

１ 単位断熱筒、 ２ 断熱エルボカバーの端部を構成する単位断熱筒、 ３ 孔部、 ４ 左開口端面、 ５ 右開口端面、 ６ 外周の最長母線、 ７ 最短母線、 ８ 単位断熱筒１の開口端面と同じ形状の開口端面、 ９ 筒軸、 １０ 筒軸に対し垂直である開口端面、 １１ 連結材、 １２，１３ スリット、 １４，１５，１６ 連結材、 １７，１８，１９ スリット、 ａ，ｂ 開口端面を含む仮想平面、 α 両仮想の平面ａ，ｂの交差角度。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右の両開口端面（４）（５）を含む二
   つの平面（ａ）（ｂ）が交差する左右対称の短筒形をな
   す僅かに弾性変形性を有する断熱材料製の単位断熱筒
   （１）を複数個最長母線を合わせて直線状に並べ、両端
   には１面が前記単位断熱筒（１）の開口端面と同じ形状
   の端面（８）であり相対する面が筒軸にたいし垂直な端
   面（９）である単位断熱筒（２）を夫々前記単位断熱筒
   （１）に端面及び最長母線を合わせて配し、前記最長母
   線を中心に筒周の１／２の範囲においてシート状物及び
   ／又は紐状物の連結材（１１）によって少なくとも一箇
   所以上連結し、連続一体化したことを特徴とする断熱エ
   ルボカバー。
2. 【請求項２】 単位断熱筒（１）が筒壁の一箇所におい
   て開口されている請求項１記載の断熱エルボカバー。