JPH05194A - 電子ミシンにおける縫製品取扱い装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 縫製品の取扱い作業がスムーズで、能率的
に縫製作業ができる電子ミシンにおける縫製品取扱い装
置を提供する。 【構成】 送り板４の上にセットされた縫製品Ｍ，Ｋ
が、プログラムによって縫製されるようになっている電
子ミシンにおいて、このミシンは、少なくとも縫製品押
さえ装置１０と、押さえ装置１０を制御する制御装置と
を備え、縫製品押さえ装置１０は、送り板４の上の縫い
位置にセットされた縫製品を固定する第１位置と、送り
板４から所定方向に退避した第２位置とを採るように構
成すると共に、制御装置は、送り板４の上の縫い位置に
縫製品がセットされたことを検知すると、縫製品押さえ
装置１０を第１位置へ、また縫製が終わったことを検知
すると、第２位置へ駆動するようする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、送り板の上にセットさ
れた縫製品が、プログラムによって縫製されるようにな
っている電子ミシンにおける縫製品取扱い装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】電子ミシンあるいはプログラム式電子ミ
シンは、文献名を挙げるまでもなく従来周知で、外形的
には図３に示されているように構成されている。すなわ
ち図示されているように、ボックス状をなす本体１と、
該本体から上方へ立設されている支柱部２と、この支柱
部の上端部からオーバハングしている水平部３と、この
水平部の下方に配置されている送り板４とから概略構成
されている。本体の中にはモータ等が、また水平部３の
中にはミシン針を駆動する回転軸等が収納されている。
また付属品として縫製品押さえ部材５０を備え、さらに
は制御装置を内蔵した制御ボックス６０も備えている。
また図には示されていないが、足踏み式の起動スイッ
チ、押さえ部材を作動するフットスイッチ等も備えてい
る。

【０００３】縫製品押さえ部材５０は、図３に示されて
いるように、上下方向に駆動されるアーム５１、５１’
と、このアームの先端にピン５２、５２’により水平面
内で回動するように取り付けられている押さえ腕５３、
５３’とから構成されている。

【０００４】したがって、上記の電子ミシンを用いる
と、次のような手順によって例えば靴の甲バンドにマジ
ックテープ（登録商標）を縫いつけることも、また靴の
外側側面にマークなどを縫い付けることもできる。すな
わちオペレーター（作業者）は縫い形状を制御装置にイ
ンプットする。次に甲バンドとマジックテープ等の縫製
品を送り板４の上にセットする。その後、作業者が縫製
品押さえ部材５０を下げるためのフットスイッチを踏
む。そうすると、押さえ部材５０は、下方に下がり送り
板４上の上に重ねられていセットされている甲バンドと
マジックテープは押さえ腕５３、５３’で固定される。
そこで縫い起動スイッチを踏むと、縫いを開始する。縫
製は、送り板４、縫製品押さえ装置５０、縫製品すなわ
ち甲バンドとマジックテープ等は一体となりプログラム
に従い位置制御され移動し、針装置はその動きに沿って
進められる。

【０００５】縫製が終了すると縫製品押さえ部材５０
は、制御装置からの信号により自動的に上る。上がった
だけでは、押さえ腕５３、５３’は縫製品の真上にある
ので取り出だしの邪魔になる。そこで縫製品押さえ部材
の押さえ腕５３、５３’を矢印Ｄで示す方向に手により
回動し、押さえ腕５３、５３’を送り板４の上から退避
させる。そして縫いが終了した縫製品すなわち甲バンド
とマジックテープが縫い合わされている製品を取り出
す。縫製品の取り出しが済んだら次の縫製品と部品をセ
ットする。その後また、先の取り出しの際に横に回動待
避させていた押さえ部材を元の位置にオペレーターが手
で戻す。これらの工程を繰り返し製品を仕上げていくこ
とができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述の電子ミシンもプ
ログラムにより作動するので、縫製機能そのものには格
別問題はない。また縫製品押さえ部材５０も自動的に上
下動するので、ある程度は満足できる。しかしながら、
縫製品のハンドリング機能に問題があり必ずしも満足の
いくものではない。すなわちミシン自体は自動化されて
いるが、縫製品押さえ部材の押さえ腕５３、５３’を１
製品毎に回動操作しなければならず、作業効率が悪いと
いう欠点がある。また縫い終わった製品の取り出しは、
手動に頼っているので、非能率であり、危険でもある。

【０００７】したがって本発明は、縫製品の取扱い作業
がスムーズで、能率的に縫製作業ができる電子ミシンに
おける縫製品取扱い装置を提供することを目的としてい
る。また他の発明は、上記目的に加えて縫製品の取り出
し作業も効率的に行える電子ミシンにおける縫製品取扱
い装置を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、送り板の上にセットされた縫製品が、プ
ログラムによって縫製されるようになっている電子ミシ
ンにおいて、該ミシンは、少なくとも縫製品押さえ装置
と、該押さえ装置を制御する制御装置とを備え、前記縫
製品押さえ装置は、前記送り板の上の縫い位置にセット
された縫製品を固定する第１位置と、前記送り板から所
定方向に退避した第２位置とを採るように構成されてい
ると共に、前記制御装置は、前記送り板の上の縫い位置
に縫製品がセットされたことを検知すると、前記縫製品
押さえ装置を第１位置へ、また縫製が終わったことを検
知すると、第２位置へ駆動するように制御するように構
成される。また請求項２記載の発明は、 送り板の上に
セットされた縫製品が、プログラムによって縫製される
ようになっている電子ミシンにおいて、該ミシンは、少
なくとも縫製品押さえ装置と、縫製品取り出し装置と、
これらの装置を制御する制御装置とを備え、前記縫製品
押さえ装置は、前記送り板の上の縫い位置にセットされ
た縫製品を固定する第１位置と、前記送り板から所定方
向に退避した第２位置とを採るように構成され、前記縫
製品取り出し装置は、縫い終わった縫製品を掴む第１位
置と、縫製品を放出する第２位置とを採るように構成さ
れていると共に、前記制御装置は、前記送り板の上の縫
い位置に縫製品がセットされたことを検知すると、前記
縫製品押さえ装置を第１位置へ、また縫製が終わったこ
とを検知すると、第２位置へ駆動すると共に、前記縫製
品押さえ装置が第２位置にあるときに、前記縫製品取り
出し装置を第１位置へ駆動して縫製品を掴むように制御
するように構成される。

【０００９】

【作用】請求項１記載の発明は、上記のように構成され
ているので、送り板の上面に縫うべき品をセットする。
このとき縫製品押さえ装置は、送り板の上方から退避し
た第２位置にあるものと仮定する。セットしたらその信
号を制御装置に入力する。例えば縫製開始ペダルを踏
む。そうすると、制御装置は縫製品押さえ装置を第１位
置へ駆動する。この第１位置では、縫製品は送り板の縫
い位置に固定されているので、電子ミシンはプログラム
に従い縫製作業を開始する。縫い終わると、縫製品押さ
え装置は、第２位置に退避するので、縫い終わった製品
を適宜取り出す。以下上述の手順を繰り返し、製品を仕
上げていく。

【００１０】請求項２記載の発明は、上記作用に続いて
次のように作用する。すなわち縫製作業が終わると、縫
製品押さえ装置は制御装置により第２位置の退避位置へ
駆動され、退避するとその信号が制御装置に入力され、
縫製品取り出し装置は、第１位置へ移動し縫製品を掴
む。そして所定方向に移動して縫製品を放出する。そこ
で再び送り板の上面に縫うべき品をセットする。以下前
述の手順を繰り返し、製品を仕上げていく。

【００１１】

【実施例】以下本発明の実施例を説明するが、本発明は
図示の例に限定されることなく色々な形で実施できる。
例えば縫製品押さえ装置は、押さえ部材が垂直方向に上
昇し、そして水平方向に回動して第１位置を採り、逆の
手順をたどって第２位置を採るように実施した例が示さ
れているが、回動に代えて横あるいは後方にスライドす
る形式でも実施できる。また縫製品取り出し装置は、図
では吸着パッドで実施した例が示されているが、把持装
置等で実施することもできる。さらには取り出し装置等
を駆動するエアシリンダに代えて、電気的に作動するモ
ータでも実施できる。しかしながら図にはこれらの例は
示されていない。

【００１２】以下、図１により甲バンドにマジックテー
プを縫いつける実施例について説明するが、図３に示す
従来例と同様な部材には同じ参照番号を付けて重複説明
は省略する。縫製品押さえ装置１０は、第１アーム１１
〜１３と、このアームの先端に回動自在に取り付けられ
ている第２アーム１４と、この第２アームに交換可能に
取り付けられガイドの作用もする押さえ部材１５とから
構成されている。第１アームは、駆動装置６から水平方
向に延びている基部分１１と、この部分から垂直に下が
っている垂直部分１２と、さらに直角に水平方向に延び
ている水平部分１３とから形成されている。基部分１１
は、駆動装置６から外部に出ている。そして上下方向に
駆動され、その上下限はリミットスイッチ、近接スイッ
チ等の検知手段により検知され、例えばマイコンからな
る制御装置に入力されるようになっている。第２のアー
ム１４は、水平部分１３の先端部において水平面内で所
定量回動できるように取り付けられている。

【００１３】縫製品である甲バンドとマジックテープと
を押さえる押さえ部材１５は、ガイドの作用も兼ねてい
るので、甲バンドと同様な略馬蹄形をしている。そして
第２アーム１４の下面に固定されている。第２アーム１
４したがって押さえ部材１５を、退避位置と押さえ位置
とに回動するためのロータリ式のエアシリンダ１７がブ
ラケット１８により垂直部分１２に固定されている。図
には示されていないが、エアシリンダ１７にエアを給排
すると、第２アーム１４は、図において矢印Ａ−Ａ’で
示すように軸１６を中心として回動する。すなわちＡ方
向に回動して送り板４の上方から退避した第２位置と、
送り板の上に位置する第１位置との間を回動する。そし
てこれらの位置は、リミットスイッチ、近接スイッチ等
の検知手段により検知され、同様に制御装置に入力され
る。

【００１４】縫製品取り出し装置２０は、エアシリンダ
２１と、このシリンダ内に伸縮自在に設けられているロ
ッド２２と、ロッドの先端に取り付けられている吸着パ
ッド２３とから構成されている。エアシリンダは、図に
は示されていないが送り板４上の縫製品を吸着する位置
と、送り板から離れた放出位置との間を移動できるよう
に支柱２等に適宜取り付けられている。制御装置は、例
えばマイコンから構成され、詳しくは説明しないが図２
のフローチャートで説明するような機能を備えている。

【００１５】次に上記実施例の作用を主として図２に基
づき説明する。送り板４の上面には、甲バンドＫをセッ
トし易いようにバンドの形をした窪みが形成されている
ので、作業者はまずマジックテープＭを窪みにいれ、そ
して甲バンドＫをその上にセットする（ステップＳ
１）。このときロータリ式のエアシリンダ１７に空気が
供給され、押さえ部材１５はＡ方向に回動して送り板４
の上方から退避した第２位置にあるものと仮定する。し
たがって押さえ部材が邪魔になることなくスムーズにマ
ジックテープＭと甲バンドＫを送り板４の窪みにセット
できる。次に縫製開始ペダルを踏む（ステップＳ２）。
そうすると、エアシリンダ１７から圧縮空気が排出さ
れ、押さえ部材１５はＡ’の方向に回転し、送り板の上
方の第１位置へ回動する（ステップＳ３）。ステップＳ
４で第１位置かどうか判断され、第１位置が検知される
と、第１アーム１１は、下降する（ステップＳ５）。そ
して押さえ部材１５が甲バンドＫを押さえたかどうか判
断され（ステップＳ６）、押さえが完了し、甲バンドＫ
が送り板４に固定されると、プログラムに従い縫製作業
を開始する（ステップＳ７）。このとき針は、馬蹄形の
押さえ部材１５に沿って移動し、略全周を縫う。マジッ
クテープＭは、図１に示されているように、甲バンドＫ
の先端に配置されているが全周を縫うので、縫い目が意
匠効果を奏する。

【００１６】縫製が終了すると（ステップＳ８）、ステ
ップＳ９において押さえ部材は自動的に上昇する。押さ
え部材１０が上方の格納位置まで上昇すると、これを検
知する信号が入力され（ステップＳ１０）、押さえ部材
１５はロータリ式のエアシリンダ１７により第２位置の
退避位置へ回動する（ステップＳ１１）。退避するとそ
の信号が制御装置に入力され（ステップＳ１２）、縫製
品取り出し装置２０のロッド２２が伸張し、吸着パッド
２３が縫い終わった製品である甲バンドＫの上面に当接
し吸引を開始する（ステップＳ１３）。吸着したら例え
ば真空圧が大きくなるので、これを検知して（ステップ
Ｓ１４）、ロッド２２は縮み、エアシリンダ２１は所定
方向に回動する。そして所定位置に放出する（ステップ
Ｓ１５）。この状態では押さえ部材１０は、第２位置の
退避位置にあり、取り出し装置２０も送り板４から離れ
た位置にあるので、前述したようにして、マジックテー
プＭおよび甲バンドＫを送り板４の上にセットできる。
すなわちステップＳ１に戻る。前述したこれらの一連の
工程は制御装置にプログラムされており連続して、作業
者が指示をおこなうことなく進められる。

【００１７】

【発明の効果】請求項１記載の発明によると、縫製品押
さえ装置は、送り板の上の縫い位置にセットされた縫製
品を固定する第１位置と、送り板から所定方向に退避し
た第２位置とを採るように制御されるので、縫製品押さ
え装置が縫製品のセットおよび取り出しの邪魔にならな
ず、作業能率が向上するという本発明特有の効果が得ら
れる。また請求項２記載の発明によると、上記効果に加
えて縫製終了後、自動的に縫製が終了した部品を取り出
し装置で取り出すことができるので、作業者は次の縫製
部品のセットに取り掛かることができ、効率的に作業を
進めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示す斜視図である。

【図２】本実施例の作用を示すフローチャート図であ
る。

【図３】従来例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０ 縫製品押さえ装置 １５ 押さえ部材 １７ ロータリ式のエアシリンダ ２０ 縫製品取り出し装置 ２３ 吸着パッド

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送り板の上にセットされた縫製品が、プ
   ログラムによって縫製されるようになっている電子ミシ
   ンにおいて、該ミシンは、少なくとも縫製品押さえ装置
   と、該押さえ装置を制御する制御装置とを備え、前記縫
   製品押さえ装置は、前記送り板の上の縫い位置にセット
   された縫製品を固定する第１位置と、前記送り板から所
   定方向に退避した第２位置とを採るように構成されてい
   ると共に、前記制御装置は、前記送り板の上の縫い位置
   に縫製品がセットされたことを検知すると、前記縫製品
   押さえ装置を第１位置へ、また縫製が終わったことを検
   知すると、第２位置へ駆動するように制御することを特
   徴とする電子ミシンにおける縫製品取扱い装置。
2. 【請求項２】 送り板の上にセットされた縫製品が、プ
   ログラムによって縫製されるようになっている電子ミシ
   ンにおいて、該ミシンは、少なくとも縫製品押さえ装置
   と、縫製品取り出し装置と、これらの装置を制御する制
   御装置とを備え、前記縫製品押さえ装置は、前記送り板
   の上の縫い位置にセットされた縫製品を固定する第１位
   置と、前記送り板から所定方向に退避した第２位置とを
   採るように構成され、前記縫製品取り出し装置は、縫い
   終わった縫製品を掴む第１位置と、縫製品を放出する第
   ２位置とを採るように構成されていると共に、前記制御
   装置は、前記送り板の上の縫い位置に縫製品がセットさ
   れたことを検知すると、前記縫製品押さえ装置を第１位
   置へ、また縫製が終わったことを検知すると、第２位置
   へ駆動すると共に、前記縫製品押さえ装置が第２位置に
   あるときに、前記縫製品取り出し装置を第１位置へ駆動
   して縫製品を掴むように制御することを特徴とする電子
   ミシンにおける縫製品取扱い装置。