JPH0519295Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、主として自動二輪車のライダ等が使
用するヘルメツト、特に、帽体にシールド板が帽
体の前面開口部を閉じる閉鎖位置と、この閉鎖位
置より上方にあつて同開口部を開く開放位置との
間を回動し得るように軸支された、シールド板付
ヘルメツトの改良に関する。

(2) 従来の技術 この種ヘルメツトは、例えば実開昭63−115033
号公報に開示されているように、既に知られてい
る。

(3) 考案が解決しようとする課題 従来のこの種ヘルメツトでは、シールド板を不
使用の開放位置に置く場合でも、シールド板は外
部に露出しているので、他物との接触により傷付
けられることがある。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもの
で、 開放位置でのシールド板を他物との接触から保
護し得る構造簡単なヘルメツトを提供することを
目的とする。

Ｂ 考案の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために本考案は、帽体に、
先端が帽体の前面開口部上方より前方へ張出し且
つ基端が開面位置のシールド板の後端よりも後方
に延びるバイザを取付けて、このバイザと帽体と
の間に、開放位置のシールド板を格納するシール
ド格納室を画成したことを特徴とする。

(2) 作用 シールド板をその開放位置まで回動すれば、そ
の開放位置のシールド板後端よりも後方に長く延
ばされるバイザと、帽体との間のシールド格納室
にシールド板の大部分が格納されるため、そのシ
ールド板が他物と接触して傷つくような虞れはな
くなる。

また特にバイザの基端が、開放位置のシールド
板後端よりも後方に比較的長く延ばされたことに
より、バイザによるシールド板に対する保護面積
が十分広く確保され、しかもバイザの基端近傍を
後方上向きに急激に立ち上げずとも該基端を帽体
表面に近接させることができて、バイザ上方を流
れる走行風を帽体頂部にスムーズに誘導できるよ
うになる。

(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明する。

先ず第１図及び第２図において、ヘルメツト１
の帽体２は、前面の開口部即ち窓孔３直下に顎覆
い部２ａを有するフルフエイス型に構成される。
この帽体２にはシールド板４及びバイザ５が着脱
可能に取付けられる。

それらの取付構造を第２図及び第３図に示す。

同図において、帽体２の左右両側壁にナツト
６，６が埋設され、また前壁中央部に支持板７が
ビス８により固着される。この支持板７はその前
面から突出するピン９を一体に備える。一方、バ
イザ５には、左右両端部に取付孔１０，１０が設
けられ、また中央部内面に支筒１１が一体に突設
される。而して、支筒１１を前記ピン９に嵌合
し、取付孔１０，１０に通したビス１２，１２を
前記ナツト６，６に螺着することによりバイザ５
は帽体２に取付けられる。

またバイザ５の内面には、取付孔１０，１０を
囲むボス１３，１３が形成され、これらボス１
３，１３にシールド板４の両端部の支持孔１４，
１４が回動可能に嵌合される（第５図参照）。し
たがつて、第３図に示すようにシールド板４はボ
ス１３，１３を軸として窓孔３を閉じる閉鎖位置
（実線位置）と、この閉鎖位置より上方にあつて
窓孔３を開く開放位置（鎖線位置）との間を回動
することができる。そして、シールド板４はその
閉鎖位置で窓孔３周縁のシールゴム２４に密接す
るようになつている。

バイザ５は、帽体２の頂部から僅かに前方へ寄
つた位置から帽体２表面の略接線に沿つて配設さ
れていて、その先端が窓孔３前方まで張出し且つ
その基端が前記開放位置のシールド板４の後端よ
りも後方に長く延びるように形成されており、こ
のバイザ５と帽体２との間に、閉鎖位置でのシー
ルド板４を格納するシールド格納室２３が画成さ
れる。

シールド板４の開放位置は、その上端が前記支
筒１１に当接することにより規制されるが、その
当接時の衝撃を緩和するため前記支筒１１はゴム
製の緩衝パイプ１５で被覆される。またシールド
板４の開閉位置を保持するために、それらの位置
で互いに弾力的に係合する突起１６及び凹部１
７，１７′がバイザ５及びシールド板４にそれぞ
れ形成される。

さらに、シールド板４の閉じ位置で該板４の左
右両側縁を帽体２と協働して弾力的に挟持する挟
持片１８が棒体２に付設される。

而して、シールド板４を開放位置へ回動する
と、シールド板４はシールド格納室２３に格納さ
れる。したがつて、シールド板４は不使用時、バ
イザ５によつて覆われることになり、他物との接
触から保護される。このようにバイザ５がシール
ド板４の保護カバーとして機能するので、専用の
保護カバーを設ける必要はない。

また、バイザ５及び帽体２間には、前記シール
ド格納室２３に連続してバイザ５後方に開口する
通風路１９が画成され、シールド格納室２３に進
入した走行風が通風路１９を通つて流出するよう
になつており、これによりバイザ５の走行風によ
る煽りを防止することができる。

第２図ないし第４図に明示するように、帽体２
の前壁には左右一対の空気導入孔２０，２０が穿
設され、これらの前端は前記通風路１９に、また
後端は帽体２の内面にそれぞれ開口する。前記支
持板７には、これら空気導入孔２０，２０の前方
開口端の上半部周縁に沿つて起立する誘導壁２
１，２１が一体に形成される。また前記バイザ５
には、誘導壁２１の下面に向つて開口する補助入
口２２が設けられる。したがつて、バイザ５の前
端側または補助入口２２から通風路１９に進入し
た走行風の一部は誘導壁２１，２１により進路を
曲げられて空気導入孔２０，２０へ導びかれ、帽
体２内部の換気に寄与する。

再び第３図において、帽体２は、シエル２５
と、このシエル２５の内面に嵌装される発泡ポリ
スチレン製の緩衝ライナ２６と、この緩衝ライナ
２６の天井面を被覆するトツプパツド２７と、緩
衝ライナ２６の天井面及び顎覆い部２ａを除く内
周面を被覆するフイツトパツド２８とから構成さ
れる。前記シエル２５は、顎覆い部２ａの位置で
シエル上部体２５Ａと、シエル下部体２５Ｂとに
分割され、この両者２５Ａ，２５Ｂは、前半部で
はシエル下部体２５Ｂを外側に、後半部ではシエ
ル上部体２５Ａを外側にして数個所をリベツト２
９により相互に結着される。シエル上部体２５Ａ
は繊維強化されたポリエステル等の熱硬化性合成
樹脂から成形され、シエル下部体２５ＢはABS
等の熱可塑性合成樹脂から射出成形される。この
ようにシエル２５を上下に分割すると、下方開口
部を窄めた形状であつても、シエル２５を容易に
製作することができる。

第３図、第６図及び第７図において、顎覆い部
２ａの中央部には、シエル下部体２５Ｂ及び緩衝
ライナ２６により分配室３０が画成され、この分
配室３０に走行風を取入れるためのスクリーン付
空気取入口３１がシエル下部体２５Ｂの前部に設
けられる。また緩衝ライナ２６には、分配室３０
に面して方形の開口３２が穿設され、この開口３
２に、多数の通孔３３，３３…を有する合成樹脂
製のグリル３４が装着される。このグリル３４
は、開口３２の周囲で緩衝ライナ２６後面に当接
する第１鍔部３４ａと、分配室３０内で緩衝ライ
ナ２６前面に当接する左右一対の第２鍔部３４
ａ，３４ｂとを備え、これら第１、第２鍔部３４
ａ，３４ｂに緩衝ライナ２６を挟持させている。
こうしてグリル３４は緩衝ライナ２６に取付けら
れると共に、該ライナ２６の開口３２周縁部を補
強する。

また顎覆い部２ａにおいて、シエル上部体２５
Ａ及び緩衝ライナ２６間には、分配室３０から窓
孔３の下縁まで延びる扁平な案内通路３５が画成
され、この案内通路３５の上方開口部を覆うよう
にして縁ゴム３６が窓孔３の周縁部に接着され
る。この縁ゴム３６の下部に、案内通路３５に連
通する複数の噴気孔３７，３７が穿設される。

而して、走行風が空気取入口３１から分配室３
０に流入すると、その走行風の一部はグリル３４
の通孔３３，３３…を通つて顎覆い部２ａ内側に
進入し、使用者の鼻先ないし口元に向つて流れ、
その者の呼気を後方ないし下方へ誘導すると共
に、帽体２内の換気を促す。また分配室３０に流
入した他の空気は案内通路３５を上昇しながら該
通路３５から整流作用を受け、次いで複数の噴気
孔３７，３７から噴出するので、その噴出空気は
周囲に分散することなくシールド板４の内面に沿
つて上昇する。このようにして使用者の呼気によ
るシールド板４内面の曇りを防止することができ
る。

最後に第３図及び第８図に示すように、帽体２
の後壁には、緩衝ライナ２６及びシエル下部体２
５Ｂ間に扁平な空室３８が形成されると共に、こ
の空室３８に段違いで連通する内側排気孔３９及
び外側排気孔４０が緩衝ライナ２６及びシエル下
部体２５Ｂに穿設される。

而して、帽体２の外表面を走行風が流れること
により外側の排気孔４０の周辺部に負圧が発生す
ると、その負圧の吸引作用により帽体２内の空気
が内側排気孔３９から空室３８を経て外側排気孔
４０へ流出するので、帽体２内部の換気が促進さ
れる。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、帽体に、先端が
帽体の前面開口部上方より前方へ張出し且つ基端
が開放位置のシールド板の後端よりも後方に延び
るバイザを取付けて、このバイザと帽体との間
に、開放位置のシールド板を格納するシールド格
納室を画成したので、シールド板をその開放位置
まで回動すれば、その開放位置のシールド板後端
よりも後方に長く延ばされるバイザと、帽体との
間のシールド格納室にシールド板の大部分を格納
することができて、そのシールド板が他物との接
触で傷つくのを未然に回避することができる。し
かもバイザが、開放位置のシールド板に対する保
護カバーを兼ねることになるから、専用の保護カ
バーは不要であり、したがつて構造が簡単で安価
に提供することができる。

また特にバイザの基端が、開放位置のシールド
板後端よりも後方に比較的長く延ばされたことに
より、バイザによるシールド板に対する保護面積
を十分広く確保することができ、その上、バイザ
の基端近傍を後方上向きに急激に立ち上げずとも
該基端を帽体表面に近接させることができるか
ら、バイザ上方を流れる走行風を帽体頂部にスム
ーズに誘導することができて、バイザ特設に伴う
風切り音の増加を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は乗車用ヘルメツトの斜視図、第２図は同ヘルメ
ツトの分解斜視図、第３図は第１図の−線断
面図、第４図は第２図の−線断面図、第５図
は第１図のＶ−Ｖ線断面図、第６図は第３図の
−線断面図、第７図は第３図の−矢視図、
第８図は第３図の矢視図である。 １……ヘルメツト、２……帽体、３……開口部
としての窓孔、４……シールド板、５……バイ
ザ、２３……シールド格納室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帽体２にシールド板４が帽体２の前面開口部３
   を閉じる閉鎖位置と、この閉鎖位置より上方にあ
   つて同開口部３を開く開放位置との間を回動し得
   るように軸支された、シールド板付ヘルメツトに
   おいて、帽体２に、先端が前記開口部３上方より
   前方へ張出し且つ基端が前記開放位置のシールド
   板４の後端よりも後方に延びるバイザ５を取付け
   て、このバイザ５と帽体２との間に、前記開放位
   置のシールド板４を格納するシールド格納室２３
   を画成したことを特徴とする、シールド板付ヘル
   メツト。