JPH05192117A - 食品の保存方法 - Google Patents
食品の保存方法Info
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- JPH05192117A JPH05192117A JP4258784A JP25878492A JPH05192117A JP H05192117 A JPH05192117 A JP H05192117A JP 4258784 A JP4258784 A JP 4258784A JP 25878492 A JP25878492 A JP 25878492A JP H05192117 A JPH05192117 A JP H05192117A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 食品をカビ等から守る保存方法
【構成】 常温における平衡含水率が28重量%以下
で、細孔容積が0.6ml/g以上の粉末状多孔性吸着
剤にエタノール又は含水エタノールを担持させた粉末状
食品保存剤を目的の食品と同一の空間内に配置する食品
の保存方法。
で、細孔容積が0.6ml/g以上の粉末状多孔性吸着
剤にエタノール又は含水エタノールを担持させた粉末状
食品保存剤を目的の食品と同一の空間内に配置する食品
の保存方法。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品の保存方法に関し、
更に詳しくはエタノールを効果的に発散して食品を保存
する粉末状食品保存剤を使用する食品の保存方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】本出願人はエタノールを吸着物質に吸着
せしめた吸着体を用いる食品保存方法に関して出願し特
許第1046326号を取得したが、その出願後本発明
者等はエタノール蒸気を利用する食品の保存方法、用具
等について研究を行い、特開昭55−141182号、
特開昭56−142267号、特開昭57−22680
号及び特開昭57−125683号等に開示された発明
を完成している。これらの従来技術にあってはエタノー
ルを二酸化珪素、凍結乾燥α澱粉等に担持させたものか
ら発散するエタノール蒸気を利用するものが多い。とこ
ろがこれらの従来方法においては「使用すべきエタノー
ルの量は如何にあるべきか」といった点が十分に検討さ
れていないままであつた。その結果細孔容積の小さい通
常のシリカゲルを用い、必要以上のエタノールを吸着物
質に担持せしめるなどの無駄を生じている。 【0003】本発明者らは、この点に着目して鋭意究明
したところ、同一の食品に対して同一のエタノール絶対
量を共存させても、使用する吸着剤の種類により効果の
異なることを発見した。又、本発明者は吸着剤の効果に
この様な差異を生ずるのは、それぞれの吸着剤の「担持
エタノール発散性」と関係が深いことを見出した。この
「担持エタノール発散性」は吸着剤が一旦担持したエタ
ノールを開放された環境下で蒸気として発散する割合で
示すことが出来るが、本発明者は、吸着剤によりこの割
合が1のものから0に近いもの迄各段階のものがあるこ
とを見出し、さらに本発明者はこれが吸着剤の平衡含水
率によって支配されていることを発見し本発明に到達し
た。 【0004】 【発明の構成と効果】本発明は「常温における平衡含水
率(但し環境の相対湿度は保存すべき食品の水分活性に
対応する)が28重量%以下で、細孔容積が0.6ml
/g以上の粉末状多孔性吸着剤に、エタノール又はエタ
ノール含有率が80容量%以上の含水エタノールが担持
されてなる粉末状食品保存剤を当該食品と同一空間内に
配置することを特徴とする食品の保存方法」である。な
お、以下この粉末状食品保存剤を単に本食品保存剤又は
本発明の食品保存剤ということがある。上記の本発明の
要旨の中で、常温とは15°C乃至30°Cを意味す
る。又、「食品の水分活性」とは当該食品の表面に接す
る空間の相対的な湿度(相対湿度が100%の場合を1
であらわす)を示す数値である。後に述べる「裂きい
か」の水分活性は0.75であるがこれは、その「裂き
いか」の表面に接する空間の相対湿度が75%であるこ
とを示すのである。従って、上記の「相対湿度が保存す
べき食品の水分活性に対応し」は上記の裂きいかの例で
は〔相対湿度が75%〕ということになる。 【0005】又前記の平衡含水率を説明すると、多孔性
吸着剤自身の乾燥重量をWgとし、所定の温度及び相対
湿度の条件下に水分を吸着して平衡状態に入った時の重
量の増加(水分)をwgとした場合その平衡含水率は次
式により表現される。 【0006】本発明において、多孔性吸着剤に担持され
る「エタノール又は含水エタノールの量」には限定はな
い。然し実用的には、「エタノール又は含水エタノー
ル」を容積で多孔性吸着剤の細孔容積の30〜90%で
使用するのが好ましい。更に好ましくはこの範囲は50
〜90%である。なお、この範囲の下限は本食品保存剤
の見掛けの容積を大きくすることによる不利を避ける為
にきめられ、上限は本食品保存剤の「粉体流動性」によ
りきめられ、上限を余り大にすると流動性がやや悪化す
る。 【0007】さて、水分活性0.75、即ち食品を密閉
空間に保持した時この空間に対して相対湿度75%を与
える食品(裂きいか)では、エタノールを細孔容積が
0.8ml/g以上の吸着体、好ましくは1.1ml/
g以上の吸着体に担持させた時、少量のエタノールで該
食品の保存効果を挙げることが判明した(第1表及び第
2表参照)。同様に水分活性0.825の食品(カステ
ラ)では細孔容積が1.1ml/g、好ましくはそれが
1.5ml/g以上が、又水分活性0.895の食品
(人形焼)では細孔容積が1.5/g以上の吸着剤が少
量のエタノールで良好な保存効果を挙げることが出来た
(第1、第3表及び第1、第4表参照)。これらの結果
は、一見不規則な様に考えられるが、これらを異なる相
対湿度の環境下における吸着剤の平衡含水率を示す第5
表と照合すれば、少量のエタノールで食品の保存に効果
のある範囲は、使用環境下の吸着剤の平衡含水率が一定
値(28重量%、好ましくは15重量%)以下であると
統一的に表現可能であると理解される。 【0008】少量のエタノールで効果のある範囲が、こ
の様なパラメーターに支配される理由は明らかでなく、
予想外であり、本発明者らによりはじめて発見されたこ
とである。このようなパラメーターによって、食品の保
存剤に必要なエタノール量を、その食品の水分活性値か
ら予測して、好ましい吸着剤とエタノール量を決定し、
無駄なく確実に食品の保存効果を挙げることが可能とな
った。かかる特性を有する本発明に用いられる吸着剤
は、従来食品保存用に利用されている細孔容積の小さい
一般のシリカゲル等と異なり、きわめて限定されたもの
である。又本発明において吸着剤に担持されるエタノー
ルの含水量は20容量%未満に限定される。これはエタ
ノールの含水量が20容量%未満の場合に効果がある為
で、このことは、例えば第1表No.5の吸着体を使用
して市販の茶まんじゅうの保存試験を行った結果を示す
第6表に示されている。 【0009】本発明に使用される吸着剤の細孔容積は、
その平衡含水量と密接な関係があるが、該吸着剤が粉末
状を保持しつつ本来液状であるエタノールを担持する能
力の指標となるものであり、その点からこの細孔容積は
0.6ml/g以上であることが必要で、本発明の必須
要件となっている。この数値は、より好ましくは1ml
/g以上、更に好ましくは1.5ml/gである(第1
表と第5表を合わせて参照)。この数値が大きなもの
は、平衡含水率が小さいことの他、エタノールを担持せ
しめても流動性が良好で、それを小袋に充填する操作が
良好で、充填量のバラツキが小さい利点を有する。な
お、吸着剤の平均孔径は、孔径分布の広いものでは表現
が困難であるが、第1表のNo.1は約20Å、No.
2は約70Å、No.3は約150Å、No.4は約2
00〜600Å程度、No.5は5,000〜10,0
00Å程度、No.6は約20Å、No.7は約2,0
00Åであって平均孔径の大きなものが細孔容積も大き
い。 【0010】本発明の食品保存剤には、エタノールの
他、有機酸等の補助的なものや、着香料などを添加する
ことは任意である。又、食品保存効果を向上させるた
め、脱酸素剤、二酸化炭素発生剤など公知の、他の作用
機構による保存剤を併用することも差し支えない。 【0011】本発明の食品保存剤は、パン、洋菓子、和
菓子、珍味類、農産食品、畜産食品、水産食品やこれら
の加工食品や、これらの原料や半製品などカビの発生、
腐敗、虫害等のおそれのある食品に対して広範囲に利用
可能であり、また食品の(特にパン等の)柔軟性の保持
などの効果も併せて発揮する。 【0012】本発明の食品保存剤は、通常、その一定量
を吸着剤が漏出せず且つエタノール蒸気や水蒸気が容易
に透過するフイルムや紙、布、不織布など任意の材料の
小袋に入れて、食品と共に密閉した箱や袋の中に配置し
て使用するのが便利であるが、その使用の態様はこれに
限定されず食品保存の容器や袋内に散布したり、成型物
として用いる等各種の使用方法が採用され得る。次に本
発明の実施例を織り込んだ食品の保存方法の試験の結果
を述べる。 【0013】 【試験例1】 〔エタノールを担持した多孔性吸着剤の粉末を充填した
小袋の製造〕第1表に示した多孔性吸着剤に対して、そ
の細孔容積の80%に相当する容積の無水エタノールを
加えて、密閉容器中で混合し担持せしめた。エチレン酢
酸ビニルコポリマー(EVA)フィルム(膜厚30n
m)と和紙(坪量40g/m2)のラミネート紙をEV
Aを内側にして5cm×5cmの小袋とし、所定のエタ
ノール量となるように計算量のエタノール担持粉末をこ
の小袋に充填し、その開口部をヒートシールした。 【0014】 【表1】【0015】 【食品の保存試験】各種の市販の食品(固形ゼリー、裂
きいか、カステラ及び人形焼)各約100gを、それぞ
れ20cm×20cmの塩化ビニリデンコートのナイロ
ン−ポリエチレン(18nm/30nm)ラミネートフ
ィルム袋(エタノールハイバリアー性)に、処定量のエ
タノール担持吸着剤入りの前述の小袋各1袋と共に入れ
て口元をヒートシールして密閉した。この各袋を25°
Cに保ち、黴の発生を目視により観察した。 【0016】この結果を第2表に裂きいか(水分活性
0.75)、第3表にカステラ(水分活性0.82
5)、第4表に人形焼(水分活性0.895)をそれぞ
れ示した。また表にまとめるのを省略したが、固形ゼリ
ー(水分活性0.59)の結果は第2表とほぼ同様の傾
向で、No.1及びNo.6の吸着剤を使用した場合、
他の吸着剤を使用したときよりも日持ちが悪い結果であ
った。第2〜4表において、表中の数字はカビの発生す
るまでの日数を示す。また、この日数が「90」とある
のは90日で観察を打ち切ったため、90日以上を意味
する。 【0017】 【表2】【0018】 【表3】 【0019】 【表4】【0020】第5表に、第1表に示した各種吸着剤の平
衡含水率を示す。この第5表を第2〜4表の各表と対照
すれば、使用環境下における吸着剤の平衡含水率が28
重量%以下、更に好ましくは15重量%以下の場合が、
同一エタノール量でも平衡含水率がこれを越えるものよ
り良く、エタノールの無駄が少ないことが明らかであ
る。 【0021】 【表5】 【0022】上記の試験例1に於いて使用された本発明
の実施例は例えば相対湿度75%(裂きいかの保存)の
場合の吸着剤No.2,No.3,No.4,No.5
及びNo.7がエタノールを1.00g吸着したものな
ど吸着剤の平衡含水率が第5表の太枠内のものであり何
れも食品の保存効果が大きい。 【0023】 【試験例2】第1表のNo.5の二酸化珪素に対して容
積でその細孔容積の80%に相当する種々の含水量の含
水エタノールを加えて、密閉容器中で混合して担持粉末
とした。有孔ポリエチレンフィルム(膜厚30nm)と
和紙(坪量40g/m2)のラミネート紙を用い有孔ポ
リエチレン層を内側にして5cm×5cmの小袋とし
て、エタノール分がそれぞれ所定量となるように計算量
の担持粉末を充填して、口元をヒートシールした。この
小袋を1袋ずつ市販の茶まんじゅう(水分活性0.88
5)100gと共に、試験例1で用いたと同じエタノー
ルハイバリアー性フィルムの袋(20cm×20cm)
に入れてヒートシールして密閉し、25°Cで保存し、
かびの発生を目視により観察した。結果を第6表に示
す。 【0024】 【表6】 この試験例2において用いられたエタノール濃度80容
量%以上の含水エタノールを担持した二酸化珪素(第1
表のNo.5)を用いたものが本発明の食品の保存方法
の実施例である。
更に詳しくはエタノールを効果的に発散して食品を保存
する粉末状食品保存剤を使用する食品の保存方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】本出願人はエタノールを吸着物質に吸着
せしめた吸着体を用いる食品保存方法に関して出願し特
許第1046326号を取得したが、その出願後本発明
者等はエタノール蒸気を利用する食品の保存方法、用具
等について研究を行い、特開昭55−141182号、
特開昭56−142267号、特開昭57−22680
号及び特開昭57−125683号等に開示された発明
を完成している。これらの従来技術にあってはエタノー
ルを二酸化珪素、凍結乾燥α澱粉等に担持させたものか
ら発散するエタノール蒸気を利用するものが多い。とこ
ろがこれらの従来方法においては「使用すべきエタノー
ルの量は如何にあるべきか」といった点が十分に検討さ
れていないままであつた。その結果細孔容積の小さい通
常のシリカゲルを用い、必要以上のエタノールを吸着物
質に担持せしめるなどの無駄を生じている。 【0003】本発明者らは、この点に着目して鋭意究明
したところ、同一の食品に対して同一のエタノール絶対
量を共存させても、使用する吸着剤の種類により効果の
異なることを発見した。又、本発明者は吸着剤の効果に
この様な差異を生ずるのは、それぞれの吸着剤の「担持
エタノール発散性」と関係が深いことを見出した。この
「担持エタノール発散性」は吸着剤が一旦担持したエタ
ノールを開放された環境下で蒸気として発散する割合で
示すことが出来るが、本発明者は、吸着剤によりこの割
合が1のものから0に近いもの迄各段階のものがあるこ
とを見出し、さらに本発明者はこれが吸着剤の平衡含水
率によって支配されていることを発見し本発明に到達し
た。 【0004】 【発明の構成と効果】本発明は「常温における平衡含水
率(但し環境の相対湿度は保存すべき食品の水分活性に
対応する)が28重量%以下で、細孔容積が0.6ml
/g以上の粉末状多孔性吸着剤に、エタノール又はエタ
ノール含有率が80容量%以上の含水エタノールが担持
されてなる粉末状食品保存剤を当該食品と同一空間内に
配置することを特徴とする食品の保存方法」である。な
お、以下この粉末状食品保存剤を単に本食品保存剤又は
本発明の食品保存剤ということがある。上記の本発明の
要旨の中で、常温とは15°C乃至30°Cを意味す
る。又、「食品の水分活性」とは当該食品の表面に接す
る空間の相対的な湿度(相対湿度が100%の場合を1
であらわす)を示す数値である。後に述べる「裂きい
か」の水分活性は0.75であるがこれは、その「裂き
いか」の表面に接する空間の相対湿度が75%であるこ
とを示すのである。従って、上記の「相対湿度が保存す
べき食品の水分活性に対応し」は上記の裂きいかの例で
は〔相対湿度が75%〕ということになる。 【0005】又前記の平衡含水率を説明すると、多孔性
吸着剤自身の乾燥重量をWgとし、所定の温度及び相対
湿度の条件下に水分を吸着して平衡状態に入った時の重
量の増加(水分)をwgとした場合その平衡含水率は次
式により表現される。 【0006】本発明において、多孔性吸着剤に担持され
る「エタノール又は含水エタノールの量」には限定はな
い。然し実用的には、「エタノール又は含水エタノー
ル」を容積で多孔性吸着剤の細孔容積の30〜90%で
使用するのが好ましい。更に好ましくはこの範囲は50
〜90%である。なお、この範囲の下限は本食品保存剤
の見掛けの容積を大きくすることによる不利を避ける為
にきめられ、上限は本食品保存剤の「粉体流動性」によ
りきめられ、上限を余り大にすると流動性がやや悪化す
る。 【0007】さて、水分活性0.75、即ち食品を密閉
空間に保持した時この空間に対して相対湿度75%を与
える食品(裂きいか)では、エタノールを細孔容積が
0.8ml/g以上の吸着体、好ましくは1.1ml/
g以上の吸着体に担持させた時、少量のエタノールで該
食品の保存効果を挙げることが判明した(第1表及び第
2表参照)。同様に水分活性0.825の食品(カステ
ラ)では細孔容積が1.1ml/g、好ましくはそれが
1.5ml/g以上が、又水分活性0.895の食品
(人形焼)では細孔容積が1.5/g以上の吸着剤が少
量のエタノールで良好な保存効果を挙げることが出来た
(第1、第3表及び第1、第4表参照)。これらの結果
は、一見不規則な様に考えられるが、これらを異なる相
対湿度の環境下における吸着剤の平衡含水率を示す第5
表と照合すれば、少量のエタノールで食品の保存に効果
のある範囲は、使用環境下の吸着剤の平衡含水率が一定
値(28重量%、好ましくは15重量%)以下であると
統一的に表現可能であると理解される。 【0008】少量のエタノールで効果のある範囲が、こ
の様なパラメーターに支配される理由は明らかでなく、
予想外であり、本発明者らによりはじめて発見されたこ
とである。このようなパラメーターによって、食品の保
存剤に必要なエタノール量を、その食品の水分活性値か
ら予測して、好ましい吸着剤とエタノール量を決定し、
無駄なく確実に食品の保存効果を挙げることが可能とな
った。かかる特性を有する本発明に用いられる吸着剤
は、従来食品保存用に利用されている細孔容積の小さい
一般のシリカゲル等と異なり、きわめて限定されたもの
である。又本発明において吸着剤に担持されるエタノー
ルの含水量は20容量%未満に限定される。これはエタ
ノールの含水量が20容量%未満の場合に効果がある為
で、このことは、例えば第1表No.5の吸着体を使用
して市販の茶まんじゅうの保存試験を行った結果を示す
第6表に示されている。 【0009】本発明に使用される吸着剤の細孔容積は、
その平衡含水量と密接な関係があるが、該吸着剤が粉末
状を保持しつつ本来液状であるエタノールを担持する能
力の指標となるものであり、その点からこの細孔容積は
0.6ml/g以上であることが必要で、本発明の必須
要件となっている。この数値は、より好ましくは1ml
/g以上、更に好ましくは1.5ml/gである(第1
表と第5表を合わせて参照)。この数値が大きなもの
は、平衡含水率が小さいことの他、エタノールを担持せ
しめても流動性が良好で、それを小袋に充填する操作が
良好で、充填量のバラツキが小さい利点を有する。な
お、吸着剤の平均孔径は、孔径分布の広いものでは表現
が困難であるが、第1表のNo.1は約20Å、No.
2は約70Å、No.3は約150Å、No.4は約2
00〜600Å程度、No.5は5,000〜10,0
00Å程度、No.6は約20Å、No.7は約2,0
00Åであって平均孔径の大きなものが細孔容積も大き
い。 【0010】本発明の食品保存剤には、エタノールの
他、有機酸等の補助的なものや、着香料などを添加する
ことは任意である。又、食品保存効果を向上させるた
め、脱酸素剤、二酸化炭素発生剤など公知の、他の作用
機構による保存剤を併用することも差し支えない。 【0011】本発明の食品保存剤は、パン、洋菓子、和
菓子、珍味類、農産食品、畜産食品、水産食品やこれら
の加工食品や、これらの原料や半製品などカビの発生、
腐敗、虫害等のおそれのある食品に対して広範囲に利用
可能であり、また食品の(特にパン等の)柔軟性の保持
などの効果も併せて発揮する。 【0012】本発明の食品保存剤は、通常、その一定量
を吸着剤が漏出せず且つエタノール蒸気や水蒸気が容易
に透過するフイルムや紙、布、不織布など任意の材料の
小袋に入れて、食品と共に密閉した箱や袋の中に配置し
て使用するのが便利であるが、その使用の態様はこれに
限定されず食品保存の容器や袋内に散布したり、成型物
として用いる等各種の使用方法が採用され得る。次に本
発明の実施例を織り込んだ食品の保存方法の試験の結果
を述べる。 【0013】 【試験例1】 〔エタノールを担持した多孔性吸着剤の粉末を充填した
小袋の製造〕第1表に示した多孔性吸着剤に対して、そ
の細孔容積の80%に相当する容積の無水エタノールを
加えて、密閉容器中で混合し担持せしめた。エチレン酢
酸ビニルコポリマー(EVA)フィルム(膜厚30n
m)と和紙(坪量40g/m2)のラミネート紙をEV
Aを内側にして5cm×5cmの小袋とし、所定のエタ
ノール量となるように計算量のエタノール担持粉末をこ
の小袋に充填し、その開口部をヒートシールした。 【0014】 【表1】【0015】 【食品の保存試験】各種の市販の食品(固形ゼリー、裂
きいか、カステラ及び人形焼)各約100gを、それぞ
れ20cm×20cmの塩化ビニリデンコートのナイロ
ン−ポリエチレン(18nm/30nm)ラミネートフ
ィルム袋(エタノールハイバリアー性)に、処定量のエ
タノール担持吸着剤入りの前述の小袋各1袋と共に入れ
て口元をヒートシールして密閉した。この各袋を25°
Cに保ち、黴の発生を目視により観察した。 【0016】この結果を第2表に裂きいか(水分活性
0.75)、第3表にカステラ(水分活性0.82
5)、第4表に人形焼(水分活性0.895)をそれぞ
れ示した。また表にまとめるのを省略したが、固形ゼリ
ー(水分活性0.59)の結果は第2表とほぼ同様の傾
向で、No.1及びNo.6の吸着剤を使用した場合、
他の吸着剤を使用したときよりも日持ちが悪い結果であ
った。第2〜4表において、表中の数字はカビの発生す
るまでの日数を示す。また、この日数が「90」とある
のは90日で観察を打ち切ったため、90日以上を意味
する。 【0017】 【表2】【0018】 【表3】 【0019】 【表4】【0020】第5表に、第1表に示した各種吸着剤の平
衡含水率を示す。この第5表を第2〜4表の各表と対照
すれば、使用環境下における吸着剤の平衡含水率が28
重量%以下、更に好ましくは15重量%以下の場合が、
同一エタノール量でも平衡含水率がこれを越えるものよ
り良く、エタノールの無駄が少ないことが明らかであ
る。 【0021】 【表5】 【0022】上記の試験例1に於いて使用された本発明
の実施例は例えば相対湿度75%(裂きいかの保存)の
場合の吸着剤No.2,No.3,No.4,No.5
及びNo.7がエタノールを1.00g吸着したものな
ど吸着剤の平衡含水率が第5表の太枠内のものであり何
れも食品の保存効果が大きい。 【0023】 【試験例2】第1表のNo.5の二酸化珪素に対して容
積でその細孔容積の80%に相当する種々の含水量の含
水エタノールを加えて、密閉容器中で混合して担持粉末
とした。有孔ポリエチレンフィルム(膜厚30nm)と
和紙(坪量40g/m2)のラミネート紙を用い有孔ポ
リエチレン層を内側にして5cm×5cmの小袋とし
て、エタノール分がそれぞれ所定量となるように計算量
の担持粉末を充填して、口元をヒートシールした。この
小袋を1袋ずつ市販の茶まんじゅう(水分活性0.88
5)100gと共に、試験例1で用いたと同じエタノー
ルハイバリアー性フィルムの袋(20cm×20cm)
に入れてヒートシールして密閉し、25°Cで保存し、
かびの発生を目視により観察した。結果を第6表に示
す。 【0024】 【表6】 この試験例2において用いられたエタノール濃度80容
量%以上の含水エタノールを担持した二酸化珪素(第1
表のNo.5)を用いたものが本発明の食品の保存方法
の実施例である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 (1) 常温における平衡含水率(但し環境の相対湿度
は保存すべき食品の水分活性に対応する)が28重量%
以下で、細孔容積が0.6ml/g以上の粉末状多孔性
吸着剤に、エタノール又はエタノール含有率が80容量
%以上の含水エタノールが担持されてなる粉末状食品保
存剤を当該食品と同一空間内に配置することを特徴とす
る食品の保存方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4258784A JPH0863B2 (ja) | 1992-08-14 | 1992-08-14 | 食品の保存方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4258784A JPH0863B2 (ja) | 1992-08-14 | 1992-08-14 | 食品の保存方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23204384A Division JPS61111675A (ja) | 1984-11-03 | 1984-11-03 | 食品保存剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05192117A true JPH05192117A (ja) | 1993-08-03 |
JPH0863B2 JPH0863B2 (ja) | 1996-01-10 |
Family
ID=17325032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4258784A Expired - Lifetime JPH0863B2 (ja) | 1992-08-14 | 1992-08-14 | 食品の保存方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0863B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5628640A (en) * | 1979-08-18 | 1981-03-20 | Tokuyama Soda Co Ltd | Molded product for absorbing liquid |
JPS5779870A (en) * | 1980-11-04 | 1982-05-19 | Toppan Printing Co Ltd | Storage of food product |
JPS5927783A (ja) * | 1982-08-05 | 1984-02-14 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 板継ぎ方法 |
-
1992
- 1992-08-14 JP JP4258784A patent/JPH0863B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5628640A (en) * | 1979-08-18 | 1981-03-20 | Tokuyama Soda Co Ltd | Molded product for absorbing liquid |
JPS5779870A (en) * | 1980-11-04 | 1982-05-19 | Toppan Printing Co Ltd | Storage of food product |
JPS5927783A (ja) * | 1982-08-05 | 1984-02-14 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 板継ぎ方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0863B2 (ja) | 1996-01-10 |
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