JP4398362B2 - 包装固形培地および調製済み固形培地の提供方法 - Google Patents

包装固形培地および調製済み固形培地の提供方法 Download PDF

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Description

本発明は、細菌類・酵母・カビその他の微生物、生体組織を培養するための包装固形培地、および雑菌の混入もなく速やかに固形培地として使用できる調製済み固形培地の提供方法に関する。
固形培地は、臨床検査分野あるいは食品・医薬品の品質管理分野で病原菌或いは食品汚染菌などの微生物の検出に使用される。かかる固形培地は、通常、1.5〜2重量%の寒天を含有し、含水率95〜98重量%程度の液状微生物検出用培地を、プラスチック製シャーレに無菌状態で分注後、冷却し、寒天をゲル化・固体状にした状態で微生物バリア性のある包装材料で包装して作製されている(特許文献1、特許文献2参照)。
そして、微生物による品質低下のおそれのある食品、医薬品等を包装する包装袋においては、二重包装を行った包装袋を使用することが知られている(特許文献3、段落番号0025参照)。また、調製済み固形培地のうち、高度な清浄度を要求される環境、たとえば無菌医薬品の製造環境等で使用されるものについても、二重包装後にγ線滅菌を行った調製済み固形培地を使用することが知られている(非特許文献1参照)。外側の包装材料は、梱包材料あるいは外部環境と接触しており微生物が付着している可能性が高いため、かかる外側包装材料を、高度な清浄度が要求される環境に持ち込む直前に取り除くことにより、環境内への微生物の持込を防止しようとするものである。しかし、透湿度の異なる内側包装と外側包装を使用するとの記載も示唆もない。
なお、特許文献4には、互いにガス透過率の異なる2種類のフィルムで二重包装した培地を開示しているが、これは液体培地であって、特に固形培地に適度な水分量を維持調節するとの課題はなく、また、特許文献4にいうガスとは酸素を意味し、酸素による液体培地の変質を問題にしており、また、合成樹脂フィルムのガス透過率は、一般にガスの種類によって全く異なる挙動を示すことから本願とは無関係である。
特開平10−262646号公報 特開昭55−029963号公報 特開2000−159210号公報 特開平04−071482号公報 BD BBLTM Sterile Pack Media 1−2324 June 2000 Printed in USA
一般的に調製済み固形培地の包装材料としては、ガスバリアー性を有するポリエチレンフィルムの単体やポリエチレンとポリプロピレンフィルムとの重合体からなる合成樹脂が知られている(特許文献1参照)。これらのガスバリアー性を有するフィルムを二重包装する場合、固形培地からの水分蒸発がないため、余剰水分を使用時に調節しなければならない。しかし、使用前に包装材料を取り除き、固形培地を乾燥させる必要があるため、乾燥のための手間と場所が必要になるとともに、乾燥中の微生物汚染の可能性もある。
そこで、二重包装の包装材料として、通気性に優れたポリエチレン不織布(登録商標 Tyvek)/ポリエチレン複合材料を使用した包装固形培地も知られている。しかし、保管温度が高いと乾燥が進みすぎるため、冷蔵保管が必要となる。
従って、本発明は、室温で長期間、無菌状態のまま保存できるとともに、使用直前の余剰水分の乾燥の手間を大幅に低減できる包装固形培地、および乾燥中の雑菌の混入もなく速やかに固形培地として使用できる調製済み固形培地の提供方法を与えることを課題とする。
本発明の包装固形培地は、固形培地を充填した容器を、内側包装と外側包装とで包装した培地において、22℃、湿度50%の条件において、前記内側包装と外側包装とで包装した固形培地の20日間保存後の培地重量減少率が約0.10重量%/日以下であり、内側包装のみで包装された固形培地の7日間保存後の培地重量減少率が約0.20重量%/日以上であることを特徴とする。
また、本発明の調製済み固形培地の提供方法は、以下の工程1〜4を行うことを特徴とする。
(工程1) 本発明の包装固形培地を無菌環境下に持ち込む工程、
(工程2) 前記包装固形培地の外側包装を除去し、内側包装を露出させる工程、
(工程3) 得られた内側包装のみで包装された固形培地を培地重量減少量が約3〜20重量%の範囲内になるように、放置して乾燥させる工程、
(工程4) 内側包装を除去し、調製済み固形培地を取り出す工程。
本発明の包装培地によれば、室温で長期間、無菌状態のまま保存でき、使用直前の余剰水分の乾燥の手間を大幅に低減できるとともに乾燥中の雑菌の混入もない。また、本発明の調製済み固形培地の提供方法によれば、乾燥中の雑菌の混入もなく速やかに使用に適した調製済み固形培地を得ることができる。
1 包装固形培地
本発明の第一の態様は、固形培地を充填した容器を、内側包装袋と外側包装袋とで包装した培地において、22℃、湿度50%の条件において、前記内側包装袋と外側包装袋とで包装した固形培地の培地重量減少率が約0.10重量%/日以下であり、内側包装のみで包装された固形培地の培地重量減少率が約0.20重量%/日以上であることを特徴とする包装固形培地を与えるものである。
図1に本発明の一実施形態を示す。一枚或いは複数枚の調製済み固形培地2は、透湿性の高い包材4に封入され、該包材4は微生物の侵入がないように完全にシールされている。調製済み固形培地2および前記包材4は、さらに、透湿性の低い包材6に封入され、前記包材4と同様、該包材6も微生物の侵入がないように完全にシールされている。
(1) 内側包装
内側包装とは、固形培地を充填した容器を多重包装する包装のうち、内側に位置する包装であって、7日間保存後の培地重量減少率が約0.20重量%/日以上、好ましくは約0.50重量%/日以上、より好ましくは約0.60重量%以上、さらに好ましくは約1.0重量%/日以上となるような良好な透湿性を有する包装材料で構成されている包装のことをいう。さらに該包装は微生物バリア性を有することが望ましい。ここで、微生物バリア性を有するとは、フィルム面に微生物または微生物胞子の侵入が可能な最低直径である0.2μm以上のピンホールが存在せず、かつフィルムが気密に接着されていることをいう。
また、滅菌工程でガンマ線等の放射線を用いるため、該内側包装はガンマ線耐性を有することが望ましい。2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)等の適切な抗酸化剤を配合して、ガンマ線の照射によって発生するラジカルによる低級カルボン酸の生成を抑制することにより、ガンマ線耐性を得ることができる。
使用直前に外側包装を除去し、内側包装を露出させることで、該内側包装の良好な透湿性により、固形培地を速やかに使用に適した乾燥度に調整できる。この際、任意に乾燥剤を併用すれば、より速やかに乾燥度を調整できる。また、該内側包装が微生物バリア性を有する材料を用いることで、乾燥中でも、より有効に雑菌の混入を防ぐこともできる。
ここで、内側包装による7日間保存後の培地重量減少率(%/日)とは、内側包装のみで包装された容器入り固形培地、すなわち本発明の包装固形培地において外側包装を除去し内側包装を露出させたものに対応する包装固形培地を、外側包装除去時から、22℃、湿度50%の条件で7日間保存した場合において、以下の式1により計算されるものをいう。これは内側包装の全体としての透湿性の尺度となるパラメーターである。
内側包装の使用に適した包装材料としては、透湿度[JIS Z0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)、厚さ0.03mmに換算]が好ましくは約50g/m/24hr以上、より好ましくは約100〜400g/m/24hrである材料が好ましく、たとえば、ナイロン(透湿度120〜150g/m/24hr)、ポリビニルアルコール(透湿度100〜400g/m/24hr)からなる群から選択される材料の単独若しくは複合フィルムを用いることができる。かかる透湿度を有する材料を用いてヒートシール等により密封することで、上記培地重量減少率を充分に充たすことができる。また、滅菌紙や不織布を包装材料の一部として用いることで透湿度を調整した複合材料も用いることができ、たとえばポリエチレン不織布、より具体的にはTyvek(登録商標)/ポリエチレン複合材料を用いることができる。これらの中でも特に包装体全体での透湿度を任意に調整できる複合材料が好ましい。
また、該内側包装は、固形培地入り容器との間に一定の空間を残して包装してもよいし、真空包装することでほとんど空間のないものにしてもよい。
該内側包装は、たとえば、上記の好ましい包装材料をヒートシール等の当業者に周知の包装技術を用いて製袋することで準備できる。
(2) 外側包装
外側包装とは、固形培地を充填した容器を多重包装する包装袋のうち、外側に位置する包装であって、本発明の多重包装した固形培地の培地重量減少率が約0.10重量%/日以下、好ましくは約0.05重量%/日以下、さらに好ましくは約0.01重量%/日以下となるような透湿性の低い包装材料で構成されている包装のことをいう。滅菌工程でガンマ線等の放射線を用いるため、ガンマ線耐性を有することが望ましい。2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)等の適切な抗酸化剤を配合して、ガンマ線の照射によって発生するラジカルによる低級カルボン酸の生成を抑制することにより、ガンマ線耐性を得ることができる。
かかる外側包装は、さらに微生物バリア性を有することが好ましく、該バリア性により、保存時の雑菌混入を防止できるとともに、該外側包装の透湿性が低いことから、冷蔵保存しなくても保存時の固形培地の乾燥を防止できる。ここで、微生物バリア性を有するとは、内側包装の場合と同様である。
また、前記多重包装した固形培地の培地重量減少率とは、内側包装と外側包装とで多重に包装した容器入り固形培地、すなわち本発明の多重包装培地に対応する包装培地を、22℃、湿度50%の条件で20日間保存した場合において、以下の式2により計算されるものをいう。これは直接的には前記内側包装袋と外側包装袋との包装袋全体の透湿性の尺度となるパラメーターであるが、前記内側包装袋の透湿性は高く設定されていることから、外側包装袋の透湿性の低さを示す尺度としても参酌できる。
外側包装の使用に適した包装材料としては、透湿度[JIS Z0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)、厚さ0.03mmに換算]が好ましくは約10g/m/24hr以下、より好ましくは約5〜10g/m/24hrである材料であり、たとえば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートあるいはそれらのポリプロピレンフィルムとの積層フィルムを好ましく用いることができる。これらの中でも特にポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンの積層フィルムが好ましい。かかる透湿度を有する材料を用いてヒートシール等により密封することで、上記培地重量減少率を充分に充たすことができる。
また、該外側包装と内側包装との間の空間の有無については、前記内側包装と固形培地入り容器との間の空間と同様である。
さらに、内側包装と外側包装との間に任意に乾燥剤を配置して、保存中の適度な水分調整を行うこともできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、内側包装と外側包装との間に、第3の包装を介在させてもよい。
該外側包装は、たとえば、上記の好ましい包装材料をヒートシール等の当業者に周知の包装技術を用いて製袋することで準備できる。
(3) 固形培地を充填した容器
固形培地とは、固体状の培地をいい寒天のようにゲル化したものを含む。たとえば、寒天を1.5〜2.0重量%、水95〜98重量%を含むゲル状固体を好ましく用いることができる。
前記固形培地を充填すべき容器としては、プラスチック製あるいはガラス製の蓋付シャーレ等を挙げることができ、たとえば液状寒天溶液を注ぎ入れて冷却することにより、固形培地を充填した容器を作製する。
(4) 包装固形培地の作製方法
本発明の包装固形培地は、当業者に知られている任意の方法で作製できるが、たとえば以下のような工程を行うことで好ましく作製することができる。
(a) 培地調製工程
たとえば寒天培地を作製する場合、栄養分と寒天を含んだ粉末を水に溶解し加熱する。水分量は通常、95重量%程度の量を用いる。
(b) 滅菌工程
得られた培地溶液中の雑菌を、高温で一定時間(たとえば121℃、20分以上)処理して、滅菌する。
(c) 分注工程
上記の滅菌した培地溶液を容器に分注する。たとえば、容器として直径100mmあるいは150mmのシャーレを用い、これに上記の滅菌した培地溶液をクリーンルーム内で分注する。直径100mmのシャーレの場合、20ml、直径150mmのシャーレの場合、75ml程度の量で分注する。
(d) 固化工程
上記注ぎいれた培地溶液が固まるまで冷却する。
(e) スリーブ包装工程
得られた容器入り固形培地を包装する。容器として直径100mmのシャーレを用いた場合は10枚程度、直径150mmのシャーレを用いた場合は4枚程度を内側包装袋に収納し、ヒートシールするのが通常である。
(f) 箱詰め工程
クリーンルームから包装固形培地を取り出し、箱詰めする。
(g) 滅菌工程
箱詰めされた包装固形培地を滅菌する。好ましくは、ガンマ線を照射して滅菌する。
このようにして得られた本発明の包装固形培地は、冷蔵保管は必ずしも必要ではなく、室温で保管することができる。
2 調製済み固形培地の提供方法
本発明の第2の態様は、以下の工程1〜4を行うことを特徴とする培地の提供方法である。
(工程1) 本発明の包装固形培地を無菌環境下に持ち込む工程、
(工程2) 前記包装固形培地の外側包装を除去し、内側包装を露出させる工程、
(工程3) 得られた内側包装のみで包装された固形培地を培地重量減少量が約3〜20重量%の範囲内になるように、放置して乾燥させる工程、
(工程4) 内側包装を除去し、調製済み固形培地を取り出す工程。
本発明に係る包装固形培地につき、上記のような工程を経ることにより、雑菌の混入することなく、かつ比較的速やかに固形培地の乾燥度を調節して使用できる状態の固形培地を提供できる。
(1)工程1において、本発明の多重包装固形培地をクリーン・ルーム等の無菌環境下に持ち込む。好ましくは、無菌環境下に持ち込む前に外側包装の表面を殺菌剤液に浸漬あるいは殺菌剤液で拭き取る等、殺菌剤により殺菌することで、より一層、雑菌の混入の防止が図れる。たとえば、3〜10重量%濃度程度の過酸化水素水等の殺菌剤溶液に本発明の包装固形培地を浸漬することが挙げられる。本発明の包装固形培地の外側包装は、透湿性が低いため、かかる処理によっても、殺菌液が包装袋内部に浸透することがないという利点を有する。
(2)工程2において外側包装を除去し、内部包装を露出させる。
(3)工程3において、使用に適した乾燥度、すなわち約3〜20重量%、より好ましくは約3〜10重量%、さらに好ましくは約5〜8重量%の培地重量減少量の範囲内になるまで、放置して乾燥する。室温で乾燥させるのが簡便であり、さらに乾燥剤を並存させておけばさらに乾燥速度を速めることができる。ここでいう、培地重量減少量とは、外側包装を除去し、内側包装を暴露した際の固形培地そのもの(包装及び容器の重量を含まない)の重量を100として、固形培地の重量減少の程度を百分率で表現したものをいう。暴露された内側包装の透湿性が高いため、速やかに使用に適する乾燥度に調整できる。
標準的な寒天培地による実験の結果では、調製済み培地の培地分注量が3重量%程度減少した時に培地表面に余剰水分が存在しなくなることを確認した。また、培地分注量の20重量%以上が減少した場合、調製済み培地の使用目的である微生物の発育性能に悪影響を生じることが判明した。したがって、ここにおける培地重量減少量としては約3〜20重量%の範囲内になるように乾燥すべきである。また、好ましい乾燥度になることを視覚化するため濾紙に微量の塩化コバルトを染み込ませた湿度センサー等の湿度インジケーターを内側包装に備えてもよい。
(4) 上記工程3で適度な乾燥度にした後、工程4で、内側包装を除去し、雑菌の混入のない、即時に使用できる調製済み固形培地を与えることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施例1)
直径100mmのペトリディシュ10枚に各々20mlのソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地(水1リットル当たりカゼイン製ペプトン 15g、ダイズ製ペプトン 5g、塩化ナトリウム 15g、寒天 15gを含む)を分注した調製済み培地を用意した。次いで、内側包装として、ポリエチレン不織布であるTyvek(デュポン社登録商標)を総表面積の40%およびポリエチレンを総表面積の60%組み合わせた複合素材(透湿度50g/m/24hr以上)を、外側包装として、ポリエチレンテレフタレート12μmと無延伸ポリプロピレンフィルム40μmとの積層フィルム(透湿度10g/m/24hr)を使用して、該調製済み培地を二重包装した。この際、内側包装、外側包装ともに、ガンマ線に耐性を有するように適切な抗酸化剤を配合した原材料を使用し、また微生物が侵入しないように完全にヒートシールした。得られた包装固形培地を、22℃、相対湿度50%の環境下、20日間保管した。
保管前の該包装固形培地重量が350g(このうち培地そのものの総重量は200g、残りは容器と内側及び外側包装の合計重量となる)、20日間保管後の該包装固形培地重量は349gであった。前記式2より内側包装と外側包装とからなる多重包装された固形培地の培地重量減少率(重量%/日)を算出すると、{1/(200×20)}×100重量%/日、すなわち0.025重量%/日であった。
次いで、外側包装であるポリエチレンフィルムを除去し、Tyvek/ポリエチレン複合素材である内側包装のみの一重包装とした。外側包装を除去した直後の包装固形培地重量は345g(このうち培地そのものの総重量は199g、残りは容器と内側包装の合計重量となる)、さらにこれを22℃、相対湿度50%の環境下、7日間保管した後の包装固形培地重量は336.6gであった。前記式1より内側包装のみで包装された固形培地の培地重量減少率を算出すると、{8.4/(199×7)}×100重量%/日、すなわち0.60重量%/日であった。
この結果、本発明の二重包装した包装固形培地を室温保管した場合、調製済み培地の微生物発育性能に影響の出る培地重量減少量である20重量%にまで到達するためには、計算上、800日(=20重量%/0.025重量%)かかる。通常の生培地の有効期限としては半年程度で充分であることからすれば、上記の二重包装した包装固形培地は室温で保存しても充分に長い有効期限を有することができる。
また、外側包装であるポリエチレンフィルムを除去し、Tyvek/ポリエチレン複合素材である内側包装のみの一重包装とした場合、余剰水分がなくなる3重量%の培地重量減少量にまで到達するためには、調製直後の調製済み培地でも計算上、5日(=3重量%/0.6重量%)であり、本発明の二重包装された包装固形培地を室温で100日間保管後の場合には、0.83日[=(3重量%−0.025重量%×100)/0.6重量%]であり、速やかに調製済み培地の余剰水分を微生物的汚染がない状態で乾燥させることが可能である。
(試験例1)
ペトリディッシュ入り調製済み寒天培地として、第14改正日本薬局方 一般試験法 50.微生物限度試験法に開示されているソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地(以下、SCD寒天培地)を作製し、直径150mmのペトリディッシュに75mlづつ加え 固化させたもの4枚を下記表1のスリーブで包装したサンプル1〜4を、各2セット準備した。
得られた包装培地サンプル1〜4をガンマ線照射前後から冷蔵保管し(5℃)、常法によるガンマ線滅菌処理の後、保冷配送によりガンマ線照射施設から各サンプルを回収した。
(試験例2)
上記各サンプル1〜4の各1セットを冷蔵温度(5℃)で、ガンマ線照射施設から戻ってきた時点から、1週間置きに重量減少量を測定した。その結果を表2に示す。
上記表2の結果から、冷蔵保存条件下では、いずれのサンプルも28日間保存後でもその重量減少量は3重量%未満であり固形培地に余剰水を残した状態で保存できていることがわかる。
(試験例3)
上記各サンプル1〜4の各1セットをガンマ線照射施設から戻ってきた時点から、5日間冷蔵温度(5℃)で保管後、室温保存に切り替え、室温切り替えから起算して1週間置きに重量減少量を測定した。その結果を表3に示す。
上記表3の結果から、本発明であるサンプル品1は、低透湿性スリーブで2重に包装した比較品であるサンプル品2と同様、室温で28日間保存後でも、重量減少量は3重量%未満であり、固形培地に余剰水を残した状態で保存できることがわかる。これに対して、高透湿性スリーブで2重に包装した比較品であるサンプル品3および高透湿性スリーブで1重に包装した比較品であるサンプル品4では、室温で28日間保存後では、重量減少量が3重量%を越えており、余剰水を残して保存できないことを示している。
本発明は、雑菌の混入の防止を必要とする細菌類・酵母・カビその他の微生物、生体組織を培養するための調製済み固形培地を提供する用途に適用できる。
本発明の実施例である包装固形培地を示した図である。
符号の説明
2 容器
4 固形培地
6 内側包装
8 外側包装

Claims (4)

  1. 固形培地を充填した容器を、内側包装と外側包装とで包装した培地において、
    外側包装が、透湿度が10g/m /24hr以下の単独若しくは複合フィルムからなり、内側包装が、透湿度が50g/m /24hr以上の単独または複合フィルムからなり、
    22℃、相対湿度50%の条件において、前記内側包装と外側包装とで包装した固形培地の20日間保存後の培地重量減少率が0.10重量%/日以下であり、内側包装のみで包装された固形培地の7日間保存後の培地重量減少率が0.20重量%/日以上であることを特徴とする培地。
  2. 内側包装、外側包装共に、微生物バリア性を有するものであることを特徴とする請求項に記載の培地。
  3. 以下の工程1〜4を行うことを特徴とする培地の提供方法。
    (工程1) 請求項1または2に記載の包装固形培地を無菌環境下に持ち込む工程、
    (工程2) 前記包装固形培地の外側包装を除去し、内側包装を露出させる工程、
    (工程3) 得られた内側包装のみで包装された固形培地を培地重量減少量が3〜20重量%の範囲内になるように、放置して乾燥させる工程、
    (工程4) 内側包装を除去し、調製済み固形培地を取り出す工程。
  4. 前記工程1の包装固形培地を無菌環境下に持ち込む前に、包装固形培地の外側包装の外表面を殺菌剤液に浸漬あるいは殺菌剤液で拭き取ることにより殺菌することを特徴とする請求項記載の培地の提供方法。
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