JPH0519072U - 自動車のサスペンシヨンタワー部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車体重量をそれ程増大させることなく、サス
ペンションタワーと、車体の側壁パネルとの接合部を効
果的に補強することができるともに、上記サスペンショ
ンタワーが設置されたトランクルーム等のスペースが狭
められるのを防止することができるようにした。 【構成】 ホイールハウスインナパネル２に設けたサス
ペンションタワー５の上面板７にサスペンションダンパ
ー１４の上端部を取付けるように構成された自動車のサ
スペンションタワー部構造において、上記サスペンショ
ンタワー５の周壁部６に、上方に伸びるガセット８を設
け、このガセット８の外側端部を車体の側壁パネル９に
接合してこの部分を補強することにより、サスペンショ
ンダンパー１４から入力される荷重に対する支持強度を
確保するようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、サスペンションダンパーを支持する自動車のサスペンションタワー 部構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば特開平２−１４７４８０号公報に示されるように、後部車体のホ イールハウスインナパネルに設けられたサスペンションタワー（ストラットタワ ー）の上壁部にサスペンションダンパーを取付けてなる自動車のサスペンション タワー部構造において、上記サスペンションタワーの内方側に、上下方向に伸び る閉断面を形成する支持部材を配設してこの部分を補強することにより、上記サ スペンションタワーの上端部が接合された車体の側壁パネルが、サスペンション ダンパーから入力される荷重に応じて車室の内方側に倒れるように変形するのを 防止することが行われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようにサスペンションタワーの内側面に沿って支持部材を設置した場合 には、所定幅を有するサスペンションタワーと、上記支持部材とが車幅方向に連 続して配設されるため、サスペンションタワーが設置されたトランクルーム等の 内部スペースが狭められるという問題がある。また上記支持部材は、サスペンシ ョンタワーの上下方向の全長に亘って設置され、かなりの大きさを有するため、 この支持部材を設置することによって車体重量が増大するという問題がある。

【０００４】 本考案は、上記問題点を解決するためになされたものであり、車体重量をそれ 程増大させることなく、サスペンションタワーと、車体の側壁パネルとの接合部 を効果的に補強することができ、しかも上記サスペンションタワーが設置された トランクルーム等のスペースが狭められるのを防止することができる自動車のサ スペンションタワー部構造を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

請求項１に係る考案は、ホイールハウスインナパネルに設けたサスペンション タワーの上面板にサスペンションダンパーの上端部を取付けるように構成された 自動車のサスペンションタワー部構造において、上記サスペンションタワーの周 壁部に、上方に伸びるガセットを設け、このガセットの外側端部を車体の側壁パ ネルに接合したものである。

【０００６】 請求項２に係る考案は、車体の側壁パネルの外面側において、サスペンション タワーの設置部に対向した位置に補強部材を接合し、この補強部材の接合部と、 上記ガセットの接合部とを車体の側壁パネルを挾んで相対向させて配設したもの である。

【０００７】

【作用】

上記請求項１記載の本考案によれば、サスペンションタワーの周壁部に設けら れたガセットによってサスペンションタワーの上壁部と、車体の側壁パネルとの 接合部が効果的に補強され、サスペンションダンパーから入力される衝撃荷重に 対する上記接合部の剛性が十分に確保されることになる。

【０００８】 上記請求項２記載の本考案によれば、車体の側壁パネルの外面側に配設された 補強部材の接合部と、上記側壁パネルの内面側に配設されたガセットの接合部と がホイールハウスインナパネルを挾んで相対向して設置され、これらの部材から なる３枚重ね部が形成されることによってこの部分が効果的に補強されることに なる。

【０００９】

【実施例】

図１ないし図３は、後部車体に設置された本考案に係る自動車のサスペンショ ンタワー部構造の実施例を示している。上記後部車体には、トランクルームの底 壁部を構成するフロアパネル１と、その側辺部に設置されたホイールハウスイン ナパネル２とが設けられ、その外面側にはホイールハウスアウタパネル３および リヤフェンダパネル４が配設されている。

【００１０】 上記ホイールハウスインナパネル２の上面部には、サスペンションタワー５の 周壁部を構成する筒状部６が突設されている。そして上記筒状部６の上端には、 サスペンションタワー５の上壁部を構成する上面板７が取付けられるとともに、 この上面板７の取付け部から上方に伸びる前後一対のガセット８が設けられてい る。このガセット８は、上記筒状部６の上端部を上方に突出させることによって 形成され、この突出量がガセット８の外側端部に至る程大きくなるように設定さ れている。そして上記ガセット８の外側端部には接合フランジ部１０が形成され 、この接合フランジ部１０が上記ホイールハウスアウタパネル３の上端部に連設 されたルーフサイドインナパネル９の内壁面に接合されている。

【００１１】 また、上記ルーフサイドインナパネル９の外壁面には、サスペンションタワー ５の設置部に対向した位置から上方に伸びる補強部材１１が取付けられ、この補 強部材１１は、図４に示すように、車外側に突出する断面コ字状の本体部１２と 、この本体部１２の側辺部に突設された接合フランジ部１３とを有している。上 記補強部材１１の接合フランジ部１３と、ガセット８の接合フランジ部１０とは 、上記ルーフサイドインナパネル９からなる車体の側壁パネルを挾んで相対向し た位置に配設され、これらがスポット溶接等の手段で一体に接合されるようにな っている。

【００１２】 このように、サスペンションタワー５の周壁部を構成する筒状部６に、上方に 伸びる前後一対のガセット８を設け、このガセット８の外側端部に設けられた接 合フランジ部１０をルーフサイドインナパネル９からなる車体の側壁パネルに接 合するように構成したため、上記サスペンションタワー５と、ルーフサイドイン ナパネル９との接合部を簡単かつ効果的に補強し、上記サスペンションタワー５ に取付けられたサスペンションダンパー１４から入力される荷重に対する上記接 合部の剛性を十分に確保することができる。

【００１３】 すなわち、上記ガセット８を設けることによってサスペンションタワー５の上 面板７と、ルーフサイドインナパネル９との接合部をその上下方向の所定範囲に 亘って支持する前後一対の支持部が形成されることになる。したがって、図３に 示すように、上端部が内方側に傾斜した状態で設置されたサスペンションダンパ ー１４からサスペンションタワー５の上面板７に入力される荷重に応じ、サスペ ンションタワー５と、ルーフサイドインナパネル９との接合部が上部内方側に押 されることによって生じる応力、つまり上記接合部を剥離させる方向に作用する 応力およびルーフサイドインナパネル９を内倒れさせる方向に作用する応力を上 記ガセット８によって効果的に支持することができるため、従来構造のように車 体の内方側に突出する支持部材等を設けることなく、上記接合部の剛性を十分に 確保することができる。

【００１４】 また、上記のように車体の側壁パネルを構成するルーフサイドインナパネル９ の外面側に補強部材１１を配設し、その接合フランジ部１３と、上記ガセット８ の接合フランジ部１０とを相対向させた状態で、上記ルーフサイドインナパネル ９の外壁面および内壁面に接合するように構成した場合には、上記サスペンショ ンタワー５の支持部に補強部材１１の接合フランジ部１３と、ルーフサイドイン ナパネル９と、上記ガセット８の接合フランジ部１０とからなる三枚重ねの接合 部が形成されるため、この部分の剛性が十分に確保されて上記サスペンションタ ワー５に入力される荷重に対する支持強度を効果的に向上させることができる。

【００１５】 なお、上記実施例では、補強部材１１の上面部を開放しているが、図５に示す ように、補強部材１１の上端部に上壁部１５を設けるとともに、その先端部に接 合フランジ部１６を設け、この接合フランジ部１６を上記サスペンションタワー ５の上面板７の設置部に対向した位置あるいは上記ガセット８の接合フランジ部 １０の上端接合部に対向した位置に接合した構造としてもよい。

【００１６】 また、図６に示すように、上記ガセット８の上端部に折り曲げフランジ１７を 設けた構造としてもよく、この場合には、簡単な構成でガセット８の剛性を顕著 に増大させることができるため、上記サスペンションダンパー１４から入力され る荷重に対する上記サスペンションタワー５の支持強度を、より効果的に向上さ せることができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、サスペンションタワーの周壁部に設けたガセッ トの外側端部を車体の側壁パネルに接合することにより、サスペンションタワー と、車体の側壁パネルとの接合部を補強するように構成したため、簡単な構成で サスペンションダンパーからサスペンションタワーに入力される荷重に対する支 持強度を十分に確保することができる。したがって、上記サスペンションダンパ ーから入力される荷重に応じてサスペンションタワーと、車体の側壁パネルとの 接合部が剥離したり、車体の側壁パネルが車体の内方側に倒れるように変形した りするのを効果的に防止することができる。

【００１８】 しかも、従来構造のように車体の内方側に突出する支持部材を設けることなく 、上記接合部の剛性を確保することができるため、サスペンションタワーが設置 されるトランクルーム等の内部スペースが狭められるのを防止できるとともに、 車体の重量が増大するのを防止できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るサスペンションタワー部構造の実
施例を示す斜視図である。

【図２】上記サスペンションタワー部構造の構成を示す
側面断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】本考案の別の実施例を示す第３図相当図であ
る。

【図６】本考案のさらに別の実施例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

２ ホイールハウスインナパネル ５ サスペンションタワー ６ 筒状部（周壁部） ７ 上面板 ８ ガセット ９ ルーフサイドインナパネル（車体の側壁パネル） １０ 接合フランジ部（ガセット接合部） １１ 補強部材 １３ 接合フランジ部（補強部材の接合部）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホイールハウスインナパネルに設けたサ
   スペンションタワーの上面板にサスペンションダンパー
   の上端部を取付けるように構成された自動車のサスペン
   ションタワー部構造において、上記サスペンションタワ
   ーの周壁部に、上方に伸びるガセットを設け、このガセ
   ットの外側端部を車体の側壁パネルに接合したことを特
   徴する自動車のサスペンションタワー部構造。
2. 【請求項２】 車体の側壁パネルの外面側において、サ
   スペンションタワーの設置部に対向した位置に補強部材
   を接合し、この補強部材の接合部と、上記ガセットの接
   合部とを車体の側壁パネルを挾んで相対向させて配設し
   たことを特徴とする請求項１記載の自動車のサスペンシ
   ョンタワー部構造。