JPH05184297A - トリグリセライドを含有してなるハードバターおよびチョコレート類 - Google Patents

トリグリセライドを含有してなるハードバターおよびチョコレート類

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JPH05184297A
JPH05184297A JP4026104A JP2610492A JPH05184297A JP H05184297 A JPH05184297 A JP H05184297A JP 4026104 A JP4026104 A JP 4026104A JP 2610492 A JP2610492 A JP 2610492A JP H05184297 A JPH05184297 A JP H05184297A
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triglyceride
chocolate
sxs
hard butter
mono
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JP4026104A
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Toshinori Ikehara
俊則 池原
Sunao Ito
直 伊藤
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】口融け性や製造時の作業性を損なうことなく、
ファットブルーム発生防止効果を有するチョコレート類
を得る。 【構成】2-位にC12以下の飽和脂肪酸(X) が結合し、1,
3-位にC16以上の飽和脂肪酸(S) が結合する1,3-ジ(S)-
2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) を直接、または前
記トリグリセライド(SXS) を含むハードバターを加え、
チョコレートの原料油分中に1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型ト
リグリセライド(SXS) を0.2 重量%以上含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なトリグリセライ
ドを含有してなるハードバターおよび前記トリグリセラ
イドやハードバターを用いて製造するチョコレート類に
関するものであり、更に詳しくは、前記トリグリセライ
ドがファットブルーム耐性向上剤として作用するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】今日、チョコレート類製品についての消
費者からの苦情の殆どは、いわゆるファットブルームに
関するものであり、この問題を解決するために従来か
ら、ファットブルームの発生を防止し、あるいは遅延さ
せるための数多くの研究がなされてきている。前記ファ
ットブルーム防止法としては、古くは乳脂、硬化ピーナ
ッツ油、テンパリング型ハードバター等の油脂自体が対
象とされてきたが、最近では蔗糖エステル、ポリグリセ
リン、ソルビタンエステル等の乳化剤の他、カカオ脂と
は異なった特定のトリグリセライド組成物の活用、更に
はチョコレートの乳化による製法等の製品が上市されて
いる。具体的には、例えばシア油、サル油およびパー
ム油の中融点画分の利用(特開平1−157341
号)、特定の非対称型トリグリセライドを利用する方
法(特開平2−138937号)、ベヘン酸を含むト
リグリセライドを利用する方法(特開昭63−5625
0号、特開昭63−240745号、特開平1−603
30号)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを利用する
方法(特開昭60−130341号、特開昭61−18
1339号、特開昭62−104547号)、ベヘン
酸含有トリグリセライドと乳化剤との組み合わせを利用
する方法(特開昭62−118848号)、更にはエ
ルカ酸、トランス型脂肪酸を含むトリグリセライドと乳
化剤とを組み合わせる方法(特開平1−157342
号、特開平1−285153号)等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の各種防止方法では、ファットブルーム防止効果は
奏しても他の性質を損なう場合が多い。例えば、の耐
熱保型性を向上させる方法およびの非対称型トリグリ
セライドを用いる方法では口融け性の低下が避けられ
ず、或いはテンパリング中の生地粘度を上昇させて作業
性を低下させるという問題があり、これを回避せんとす
ればファットブルーム防止効果を不充分な範囲にとどめ
ざるを得ず、従って大幅なファットブルーム防止効果は
期待し難い。また、のベヘン酸含有の対称型トリグリ
セライドを用いる方法では、充分なファットブルーム防
止効果を得るためには、安定型結晶の微細粉末を使用し
なければならず、結晶型のコントールおよび粉砕技術等
を必要とする。更に、〜の如く乳化剤を添加する方
法や硬化油と組み合わせる方法では、非テンパリング系
チョコレートに限られたり、また、テンパリング系チョ
コレートの場合、その効果はファットブルーム発生テス
トの温度が30℃以下の低温である等、必ずしも充分とは
いえず、満足し得る状態とは言い難いのが実情である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる実情
に鑑み、上記問題を解決するべく鋭意研究の結果、特定
の組成物が顕著なファットブルーム耐性向上効果を有す
ることを見出し、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明の第1は、2-位にC12以下の
飽和脂肪酸(X) が結合し、1,3-位にC16以上の飽和脂肪
酸(S) が結合する1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセラ
イド(SXS) を1.0 重量%以上含有することを特徴とする
ハードバターを内容とするものであり、また、本発明の
第2は、前記の1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライ
ド(SXS) が1,3-位特異性のリパーゼを用い、エステル交
換反応によって製造されたものであることを特徴とする
ハードバターを内容とするものであって、更に、本発明
の第3は、前記のような、2-位にC12以下の飽和脂肪酸
(X) が結合し、1,3-位にC16以上の飽和脂肪酸(S) が結
合する1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS)
、または前記のハードバターを加えることにより、チ
ョコレートの原料油分中に1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリ
グリセライド(SXS) を0.2 重量%以上含有することを特
徴とするチョコレート類を内容とするものである。
【0006】上記のように、本発明においてファットブ
ルーム耐性向上剤として用いる、1,3-ジ(S)-2-モノ(X)
型トリグリセライド(SXS) においては、飽和脂肪酸(X)
としてはC12以下の飽和脂肪酸であることを要し、好ま
しくはC4 以上の飽和脂肪酸がよい。この飽和脂肪酸
(X) がC14より長い長鎖になると、チョコレート類の製
造時において、しばしば問題となるテンパリング工程で
の粘度上昇を来してデポジット性を悪化させる原因とな
るので好ましくない。次に、飽和脂肪酸(S) としてはC
16以上の飽和脂肪酸であれば特に限定されないが、望ま
しくはC16またはC18がよい。
【0007】この1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセラ
イド(SXS) を他のトリグリセライドとの混合物としてチ
ョコレートに添加して用いる場合、混合物中の1,3-ジ
(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) の含有量が20
重量%以上、望ましくは40重量%以上あるように調製さ
れる。この(SXS) 型トリグリセライドの含有率が低い
と、チョコレート中の1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリ
セライド(SXS) 含有量を効率よく高めることができず、
また、この1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(S
XS) 以外の成分によってはチョコレート類の品質が損な
われる場合がある。従って、チョコレート製造時におい
て、しばしば問題となるテンパリング工程で粘度上昇を
来してデポジット性を悪化させる原因となる三飽和トリ
グリセライドと、チョコレート製品のスナップ性を悪化
させる原因となる低融点成分を溶剤分別等により除去す
ることが好ましい。具体的には、組成物中の1,3-ジ(S)-
2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) 以外の三飽和トリ
グリセライドは20重量%以下、望ましくは10重量%以下
とし、分子中に不飽和またはC12以下の短鎖飽和脂肪酸
が2個以上結合したトリグリセライドの合計は50重量%
以下、望ましくは30重量%以下とするのがよい。
【0008】本発明で使用するトリグリセライド(SXS)
は、1,3-位と2-位の位置特異性を必要とする関係から、
これを得るには1,3-位特異性を有するリパーゼによるエ
ステル交換法を用いる事が好ましい。即ち、例えば合成
した中鎖脂肪酸トリグリセライド等の短鎖脂肪酸のみか
らなるトリグリセライドや比較的短鎖脂肪酸に富むヤシ
油、パーム核油等の1モルに対し、パルミチン酸、ステ
アリン酸等の脂肪酸、または脂肪酸エステル2〜3モル
を加えるか、同モル程度のトリグリセライドを加え、1,
3-位特異性を有するリパーゼでエステル交換を行い、必
要に応じて該反応物から1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグ
リセライド(SXS) 以外の成分を分別や分子蒸留で除去す
ることにより製造することができる。
【0009】前記エステル交換反応は、1,3-位に選択的
に作用するリパーゼもしくはリパーゼ製剤を用いる方法
であっても、リパーゼを含有する乾燥菌体を用いる方法
(特開昭60−34189号)であってもよい。また、
1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) 以外の
成分の分別は、ヘキサンまたはアセトンのような有機溶
剤を用いて行う方法、または乾式分画法が挙げられ、ト
リグリセライド分子量にかなりの差異があるときは分子
蒸留等の方法が好適に使用できる。尚、本発明に使用す
る1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) は、
合成法によって得ることもできる。
【0010】上記のトリグリセライド(SXS) をチョコレ
ート類のファットブルーム耐性向上剤として使用する場
合は、これを直接チョコレート原料組成物中に含有させ
てもよいし、また、ハードバターに含有させて使用して
もよい。直接チョコレート原料組成物中に含有させる場
合、ファットブルーム耐性向上剤はチョコレート中の油
脂全体に対してトリグリセライド(SXS) が0.2 重量%以
上含有するように使用される。この場合、トリグリセラ
イド(SXS) が0.2 重量%より少ないとファットブルーム
防止効果は得られるものの、その効果は少なく、また、
含有率を高くする程ファットブルーム防止効果は大きく
なるものの、あまり含有量を高くし過ぎるとテンパリン
グ型チョコレート製造の場合は作業の困難性が出てく
る。
【0011】
【作用】前記トリグリセライド(SXS) を含有させること
によりチョコレート類の耐ファットブルーム効果が向上
する理由は、カカオ脂の主成分である1,3-飽和 -2-オレ
イン酸型トリグリセライド(SOS) のオレイン酸残基(O)
が、短鎖の飽和脂肪酸残基(X) に置換された1,3-ジ(S)-
2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) の特殊な分子構造
によるものと推定される。即ち、複雑な結晶多形を呈す
る (SOS)トリグリセライド分子間に、同じ対称型トリグ
リセライドである1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセラ
イド(SXS) が効果的に入り込み、β2 型(V型)結晶生
成後の結晶転移速度を大幅に遅延せしめ、このことが油
脂結晶の粗大化を防ぎ、ファットブルーム防止に役立っ
ていると推定される。
【0012】本発明者らの行った実験によれば、カカオ
バター(a) 、またはカカオバターに本発明で使用する1,
3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS) を5.0 %
含有させた油脂(b) について、これを融解→サンプリン
グ→0℃への急冷→20℃, 24時間保存により油脂のβ結
晶を生成せしめ、これを20℃,3.5 時間と、32℃,3.5
時間(昇降温に各30分)の交互繰り返しを1サイクルと
する条件下で、X線回折に現れるβ1 型(VI型結晶)ピ
ーク(3.65Å)のβ2 型(V型結晶)ピーク(4.00Å)
に対する強度比率およびその相対比がどのように変化す
るかを調べたところ、表1の結果を得た。
【0013】
【表1】
【0014】尚、本発明が対象とするチョコレート類
は、前記に特定する油分の他に、通常チョコレートを構
成する材料であるカカオマス、砂糖類、乳製品、乳化
剤、香料等を含有する。また、ハードバターは、所謂テ
ンパリング型のものであってもよいし、例えば高エライ
ジン型等の非テンパリング型のものであってもよい。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら制限を受けるものではな
い。
【0016】実施例1 PC4P (1,3-ジパルミトイル -2-ブチレイト) の合成 (1) 1,3- ジパルミチンの合成 1,3-ジヒドロキシアセトン(50mmol)、パルミチン酸(105
mmol) および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,100mmol)
を四塩化炭素(CCl4,1000ml) に溶解し、これにジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC,105mmol) を加えて室温で
2時間攪拌した。析出したジシクロヘキシルウレア(DCU
rea)を濾去し、濾液を減圧下で濃縮した後、メタノール
を加えて冷却放置した。次いで、析出した結晶を濾取
し、これにテトラヒドロフラン(THF,1000ml)、水(100m
l) およびNaBH4(1.5g) を加えて室温に30分間放置し
た。酢酸(10ml)を添加して反応を停止させた後、クロロ
ホルム(CHCl3,500ml) を加え、5%炭酸水素ナトリウム
水溶液、10%クエン酸水溶液、水の順に洗浄し、有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過した後、溶媒
を減圧下で留去して目的物を得た。以下に収率および純
度(常法によりキャピラリーガスクロマトグラフィーで
測定)を記す。 収 率 80.3%(40.2mmol) 純 度 98.7% (モノパルミチン 1.3%)
【0017】(2) PC4P の合成 n-酪酸(22mmol)、DMAP(20mmol)、DCC(22mmol) および前
記(1) で得られた1,3-ジパルミチン(20mmol)をCCl4(500
ml) に溶解し、室温で2時間攪拌した。難溶性のDCUrea
を濾去した後、メタノールを加えて冷却放置し、析出し
た結晶を濾取し、乾燥させて目的物を得た。 収 率 95.1%(19.0mmol) 純 度 98.9% (PC4C4 0.8 %、ジパルミチン 0.3
%)
【0018】実施例2 PC8P (1,3-ジパルミトイル-2- カプリレイト) の合成 実施例1の(1) で得られた1,3-ジパルミチン(20mmol)、
カプリル酸(22mmol)、DMAP(20mmol)、およびDCC(22mmo
l) を用い、実施例1の(2) と同様の操作を行い目的物
を得た。 収 率 97.2%(19.4mmol) 純 度 98.7% (PC8C8 1.1 %、ジパルミチン 0.2
%)
【0019】実施例3 カカオバター(対照)に対して、実施例1で得られたト
リグリセライド(c) を2.5 %、5.0 %、10.0%含有させ
た油脂(c-1,c-2,c-3) 、および実施例2で得られたトリ
グリセライド(d) を使って同様に調製した油脂(d-1,d-
2,d-3) について、X線回折測定を行った。測定は、X
線回折測定用ガラスセル上にサンプリングした試料を0
℃で30分間急冷し、20℃に24時間保存した後、これを20
℃,3.5 時間と、32℃,3.5 時間(昇降温に各30分)の
交互繰り返しを1サイクルとする周期的な温度変化を自
動制御できるエアーバスを使って、20℃で保持している
ときに実施した。X線回折に現れるβ1 型(VI型結晶)
ピーク(3.65Å)とβ2 型(V型結晶)ピーク(4.00
Å)から結晶の転移度(=3.65Åの強度/4.00Åの強
度)、およびその相対比を求めた。表2にその結果を示
した。
【0020】
【表2】
【0021】表2の結果から明らかなように、実施例
1、2で得られたトリグリセライドは、カカオバターに
対する転移抑制効果を有する。
【0022】実施例4 トリカプリル(1mol)とパルミチン酸(6mol)に、1,3-位特
異性を有するリパーゼを作用させてエステル交換油を
得、ヘキサンを用いて分別し、中融点画分を得た。この
画分のトリグリセライド組成は、(PXX)(ただし、P はパ
ルミチン酸残基、X はカプリル酸残基)8.6%、(PXP) 8
6.2%、(XXX) 5.2 %であった。尚、トリグリセライド
組成の分析法は下記のとおりである。
【0023】トリグリセライド組成分析 <ガスクロマトグラフィー> ヒューレットパッカード社製 HP5890 SERISE II <キャピラリーカラム> J&W Inc. 25μm DB-1 <分析条件> Initial Temp. 100[℃] Rate 10[℃/min] Final Temp. 300[℃] Injection Temp. 320[℃] Derector Temp. 320[℃] Carrier gas (N2) 25[KPa ] H2 gas 30[ml/min] 10Air 400[ml/min] <試 料> 濃度 2.5[ mg/ml] 注入量 1.0[μl ]
【0024】実施例5 基質をトリカプリルからトリラウリンに変えた他は、実
施例4と同様にしてエステル交換し、中融点画分を得
た。この画分の組成は、(PXX)(ただし、X はラウリン酸
残基)9.6%、(PXP) 83.4%、(XXX) 7.0 %であった。
【0025】実施例6 脂肪酸をパルミチン酸からステアリン酸に変えた他は実
施例4と同様にしてエステル交換し、中融点画分を得
た。この画分の組成は、(StXX)( ただし、Stはステアリ
ン酸残基、X はカプリル酸残基)8.7%、(StXSt) 87.0
%、(XXX) 4.3 %であった。
【0026】実施例7 ヤシ油1部とステアリン酸8部を使用する他は実施例4
と同様にしてエステル交換をし、中融点画分を得た。こ
の画分の2-位脂肪酸組成およびトリグリセライド組成は
表3のとおりであった。2-位脂肪酸組成は、1,3-位特異
性を有するリパーゼで処理した後、反応物から高速液体
クロマトグラフィーより2-モノグリを分取し、キャピュ
ラリーガスクロマトグラフィーで分析した。
【0027】
【表3】
【0028】比較例1 脂肪酸としてラウリン酸(2mol)を使用し、これをトリパ
ルミチン(1mol)の1,3-位に選択的に導入するリパーゼに
よりエステル交換し、中融点画分を得た。この画分の組
成は(XPX)(ただし、X はラウリン酸残基) 10.1%、(PP
X) 81.2%、(PPP) 9.7 %であった。
【0029】比較例2 基質をトリカプリルからトリミリスチンに変えた他は、
実施例4と同様にしてエステル交換し、中融点画分を得
た。この画分の組成は、(PXX)(ただし、X はミリスチン
酸残基)11.2 %、(PXP) 78.4%、(XXX) 10.4%であっ
た。
【0030】実施例8 実施例4〜7で得られたファットブルーム耐性向上剤を
使って、表4に示すチョコレート配合と添加量によって
チョコレート組成物を得、その性能についてテストし
た。同時に向上剤を添加しない場合(対照)および比較
例1,2を使った場合について上記と同様にチョコレー
ト組成物を得、同様の性能テストを実施しした。チョコ
レートの作成方法は通常実施される製造方法により、ミ
キシング、ロールがけ、コンチング、テンパリングをし
て成型したモールドチョコレートを20℃で10日間エージ
ングした後、ファットブルーム発生テストを実施した。
作業の状況は、チョコレート生地をケトルテンパリング
し、デポジットする粘性と10℃、30分間のクーリングに
おける離型性を観察した。ファットブルーム発生テスト
は、エージングしたモールドチョコレートサンプルを20
℃, 3.5 時間と、32℃, 3.5 時間(昇降温に各30分)の
交互繰り返しを1サイクルとする条件下の20℃で保持し
ている時のファットブルーム発生状況を観察した。結果
を表5に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】表5の結果から明らかなように、チョコレ
ート油分中の(SXS) 含有量が高い程、ファットブルーム
耐性向上効果が高かった。また、実施例5(No.6〜No.
8) と比較例1(No.15 〜No.17)の対比では、脂肪酸組
成上はほとんど同じであるにもかかわらず、非対称型ト
リグリセライドである比較例1の耐性向上効果は低く、
また、No.17 ではテンパリング時に粘度上昇を来した。
一方、実施例5(No.8)ではこのような作業上の問題点
は全くなかった。更に、(SXS) のX をミリスチン酸にし
た比較例2(No.18 〜No.20)では耐性向上効果はなく、
テンパリング時の増粘が大きく作業性も悪かった。
【0034】実施例9 表4に示したチョコレート配合(対照)のカカオバター
のかわりに、カカオバターの10%を市販のテンパー型ハ
ードバター(鐘淵化学工業株式会社製造「ベルコ♯2
0」)に実施例6のファットブルーム耐性向上剤を4重
量%含有させたバードバターで置き換え、実施例8と同
様にしてチョコレート組成物を得た。このもののファッ
トブルーム耐性は前記条件で、35サイクルと優れてい
た。
【0035】実施例10 カカオマス(18部)、粉糖(45部)、全脂粉乳(15
部)、および市販のノーテンパー型ハードバター(鐘淵
化学工業株式会社製造「KCF 500M」)に実施例6のファ
ットブルーム耐性向上剤を8重量%含有させたハードバ
ター(22部)を配合してチョコレート組成物を得た。チ
ョコレートは、ミキシング、ロールがけ、コンチングを
して成型した後、20℃で10日間エージングして製造し
た。このものはファットブルーム耐性に優れていた。
【0036】実施例11 表4に示したチョコレート配合(対照)のカカオバター
のかわりに、カカオバターの10%を市販の耐熱テンパー
型ハードバター(鐘淵化学工業株式会社製造「ベルコ♯
48」)に実施例6のファットブルーム耐性向上剤を2重
量%含有させたハードバターで置き換え、実施例8と同
様にして、チョコレート組成物を得た。このもののファ
ットブルーム耐性は前記条件で51サイクルと優れてい
た。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のトリグリセ
ライド、およびそれを配合してなるハードバターは、口
融け性や作業性を損なうことなく、ファットブルームに
対して著しい防止効果を有し、チョコレート類の製造上
極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2-位にC12以下の飽和脂肪酸(X) が結合
    し、1,3-位にC16以上の飽和脂肪酸(S) が結合する1,3-
    ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS)を1.0 重量
    %以上含有することを特徴とするハードバター。
  2. 【請求項2】 1,3-ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライ
    ド(SXS) が1,3-位特異性のリパーゼを用い、エステル交
    換反応によって製造されたものであることを特徴とする
    請求項1記載のハードバター。
  3. 【請求項3】 2-位にC12以下の飽和脂肪酸(X) が結合
    し、1,3-位にC16以上の飽和脂肪酸(S) が結合する1,3-
    ジ(S)-2-モノ(X) 型トリグリセライド(SXS)、または請
    求項1もしくは請求項2記載のハードバターを加えるこ
    とにより、チョコレートの原料油分中に1,3-ジ(S)-2-モ
    ノ(X) 型トリグリセライド(SXS) を0.2 重量%以上含有
    することを特徴とするチョコレート類。
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Cited By (5)

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