JP4475702B2 - サル脂分別油の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はサル脂分別油及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来からカカオ代用脂として、対称型トリグリセリドの1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS、S:飽和酸、U:不飽和酸)を主成分とした油脂、すなわちカカオバター代用脂が使用されている。対称型トリグリセリドを構成する代表的な飽和酸(S)はパルミチン酸(P)、ステアリン酸(St)、アラキジン酸(A)であり、不飽和酸(U)はオレイン酸(O)である。主にPOPはパーム油、チャイニーズタローの分別脂から得られ、POStはイリッペ脂、モーラー脂等、及びそれらの分別脂から得られる。また、StOStはコクム脂、マンゴ核油、シア脂、サル脂、モーラー脂、及びそれらの分別脂から得られる。
【0003】
サル脂はSOS(主成分はStOSt、AOSt)を多く含むので、精製サル脂あるいはサル脂分別油は、カカオ代用脂の原料油としてますます重要になっている。
【0004】
しかし、サル脂にはジヒドロキシステアリン酸(DHS)やエポキシステアリン酸(ES)を含有するトリグリセリド(TG)が存在し、特にジヒドロキシステアリン酸トリグリセリド(DHS−TG)が多く含まれる。サルシード原油にはDHS−TGが2〜10重量%、精製サル脂や従来のサル脂分別油でも通常は1.0重量%以上含まれ、カカオ代用脂としての物性を損ねることが知られている。具体的にはチョコレート製造時の粘度上昇によるテンパリングが困難となり、型剥がれ(離型性)も不良となる。それ故、チョコレートの艶がなく、口融けも不良となる。
【0005】
一方、その除去方法については幾つか知られている。例えば、特開昭53−111307号公報には、サル脂の脱ガムやアルカリ脱酸による精製、及び非極性溶剤のヘキサン分別や活性剤分別によるDHS−TG、ES−TGの除去方法が記載されている。また、特開昭56−58444号公報には、サル脂を分画して得られるSUSが80〜90重量%であるサル脂フラクションからなるハードバターが記載されている。文献(J.Am.Oil Chem.Soc.62(7),1126(1985))には、サル脂の乾式分別、又は極性溶剤のアセトン分別によるDHS−TGの除去法、あるいは、サル脂中のDHS−TGを高濃度に分画する方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、上記の特開昭53−111307号公報の方法では、DHS−TG及びES−TGの除去を目的としているが、SUSの量が少ないサル脂分別油を提供するものであった。また、特開昭56−58444号公報に記載の方法は、へキサン等の溶剤を使用して分別するものであり、一旦溶液を比較的弱く冷却して析出する高融点部の結晶を除去した後、再び低温にまで冷却し、析出する中融点フラクションの結晶を集める方法が記載されている。この方法では一段目の分別で残存したDHS−TGは、2段目の分別で中融点部と共に結晶化するため、DHS−TGの除去が不充分であった。
【0007】
また、文献(J.Am.Oil Chem.Soc.62(7),1126(1985))にはサル脂に極性溶剤のアセトンを用いて低温分別し、結晶部のDHS−TGを減少させる方法が記載されているが、この方法もDHS−TGの除去が不十分である。さらに同文献に記載の別の方法では、ヘキサンを用い、シリカゲルカラムでDHS−TGをほぼ完全に除去しているが、本方法は高価なシリカゲルを用い、このシリカゲルを再生するため、多量の強極性の溶媒を使用する欠点があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、カカオバター代用脂として使用することができ、チョコレートに使用した場合に、スナップ性、口溶け、作業性が良好であるサル脂分別油及びその製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検討の結果、ジヒドロキシステアリン酸含有トリグリセリド(DHS−TG)の含有量が少なく、1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS)の含有量が多いサル脂分別油が上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、ジヒドロキシステアリン酸含有トリグリセリド(DHS−TG)の含有量が0.4重量%以下、1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS)の含有量が90〜98重量%であるサル脂分別油を製造する方法であって、サルシード原油を精製して得られるサル脂を、乾式分別又はヘキサンでシードを添加して分別し、得られた液状部を極性溶剤でシードを添加して溶剤分別して結晶部を得ることを特徴とするサル脂分別油の製造法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のサル脂分別油の製造法により得られるサル脂分別油(以下、本発明のサル脂分別油という)は、ジヒドロキシステアリン酸含有トリグリセリド(DHS−TG)の含有量が0.4重量%以下、1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS)の含有量が90〜98重量%である。
【0013】
本発明のサル脂分別油のDHS−TGの含有量は、上記のように0.4重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。DHS−TGが0.4重量%よりも多いとチョコレートに使用したとき、テンパリングする際にチョコレート生地の粘度上昇や型剥がれが悪化するので好ましくない。
【0014】
さらに、本発明のサル脂分別油に含まれるDHS−TGは、9,10−ジヒドロキシステアロイル−ジステアリン(StDSt)の含有量が0.4重量%以下、9,10−ジヒドロキシステアロイル−ステアロイル−アラキジン(StDA)の含有量が0.1重量%以下、9,10−ジヒドロキシステアロイル−ステアロイル−パルミチン(StDP)の含有量が0.4重量%以下からなるものであるのが好ましく、さらに好ましくはStDStの含有量が0.2重量%以下、StDAの含有量が0.05重量%以下、StDPの含有量が0.2重量%以下である。
【0015】
本発明のサル脂分別油のSUSの含有量は、上記のように90〜98重量%である。SUSの含有量が85重量%よりも少ないと、チョコレートにサル脂分別油を使用したとき、テンパリング温度が低くなり、チョコレート生地の粘度上昇を招いたり、スナップ性の悪いチョコレートとなってしまうので好ましくない。
【0016】
次に、本発明のサル脂分別油の製造方法について説明する。
本発明のサル脂分別油の製造方法は、サルシード原油(ショリアロブスタの種子より抽出した油脂)を精製して得られるサル脂を、溶剤を使用しない乾式分別又はヘキサン分別で、高融点のDHS−TG(StDSt、StDA)と微量の三飽和トリグリセリドを結晶化して分別除去し、得られた液状部を極性溶剤で溶剤分別し、低融点のDHS−TG(StDP)を溶剤に溶解して、結晶部を得ることを特徴とする。
【0017】
サルシード原油の精製は、一般的な方法であればよく、例えばサルシード原油に対して好ましくは0.1〜0.4重量%のリン酸を添加して脱ガム、アルカリによる脱酸、湯洗、脱水、漂白を行うが、原油の品質によっては、これら工程の一部を省略できる。
【0018】
まず、上記のような方法で得られた精製サル脂を乾式分別する場合について説明する。精製サル脂を完全に融解し、好ましくは50〜80℃に30〜90分保持して融解し、撹拌しながら好ましくは0.02〜20℃/時の速さで、好ましくは30〜36℃、さらに好ましくは33〜35℃まで徐々に冷却、ホールドし、高融点のDHS−TGを結晶化させる。結晶化時間は温度にもよるが、通常24時間以上を要する。このとき結晶核となるシード(種晶)を精製サル脂に対して、好ましくは0.001〜0.1重量%添加するとよい。シードの種類は特に制限はないが、例えば大豆極度硬化油、ナタネ極度硬化油、パームステアリン、サル脂高融点部等を使用することができる。そして、好ましくは圧力0.1〜5MPa、さらに好ましくは、0.2〜2MPaで加圧濾過し、好ましくは圧力0.2〜5MPa、さらに好ましくは、0.5〜5MPaで圧搾し、液状部と結晶部を分離する。得られた液状部を次の工程に使用する。
【0019】
もう1つの方法である上記のヘキサン分別について説明する。精製サル脂に対して、好ましくは300〜900重量%、さらに好ましくは100〜500重量%のヘキサンを添加し、撹拌しながら、好ましくは0.02〜20℃/時の速さで、好ましくは結晶化温度である−5〜20℃、さらに好ましくは0〜15℃まで徐々に冷却し、高融点のDHS−TGを結晶化させる。結晶化時間は温度にもよるが、通常3時間以上を要する。このとき結晶核となるシード(種晶)を精製サル脂に対して、好ましくは0.1〜3重量%添加するとよい。シードの種類は特に制限はないが、例えば大豆極度硬化油、ナタネ極度硬化油、パームステアリン、サル脂高融点部等を使用することができる。そして濾過を行う。濾過は減圧、常圧、加圧のいずれでも良いが、濾過時間の短縮のため、減圧が望ましい。さらに結晶をヘキサンで洗浄するのが好ましい。この時のヘキサンの温度は、結晶化温度と同じ温度〜結晶化温度から10℃低い温度を採用する。得られた液状部は溶剤を除去し、次の工程に使用する。
【0020】
上記のような乾式分別又はヘキサン分別により得られた液状部を、極性溶剤に溶解し、溶剤分別に供する。溶剤は極性溶剤を用い、得られた液状部に対して、好ましくは100〜900重量%、さらに好ましくは200〜800重量%の極性溶剤を添加し、撹拌しながら、好ましくは0.02〜20℃/時の速さ、好ましくは−20〜20℃、さらに好ましくは−10〜15℃まで、徐々に冷却する。結晶化時間は濾過時間を含めて最大でも5時間以内であり、0.5〜3時間程度が望ましい。
【0021】
本発明で使用する極性溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、エチルアルコール、n−ブチルアルコール等を使用することができるが、アセトンが望ましい。このとき、DHS−TGが結晶化しないよう短時間にSUS画分を結晶化させるため、結晶核となるシード(種晶)を液状部に対して、好ましくは0.01〜3重量%添加するとよい。シードとしては、大豆極度硬化油、サル脂、高融点部を除去したサル脂等を使用することができる。そして濾過を行い、結晶部と液状部に分別する。濾過は減圧、常圧、加圧のいずれでも良いが、濾過時間の短縮のため、減圧が望ましい。また、結晶部は低融点のDHS−TGが混入しているので、分別するときに使用した極性溶剤で洗浄するのが好ましい。このときの極性溶剤の温度は、結晶化温度と同じ温度〜結晶化温度から10℃低い温度を採用する。
【0022】
洗浄した結晶部は常法により脱溶剤して、漂白、脱臭される。例として、脱溶剤は減圧蒸留、漂白は白土吸着処理後、濾過で白土が除去される。漂白油は好ましくは温度180〜270℃で減圧下で水蒸気蒸留される。この場合の脱臭温度はトリグリセリド組成が実質的に変化しない温度範囲の210℃〜250℃が望ましい。
【0023】
また、脱臭はサル脂分別油単独ではなく、パーム分別中部油のような他のカカオ代用脂を混合してから脱臭することもできる。脱臭で得られたサル脂分別油は風味・色調が良好である。
【0024】
このようにして得られたサル脂分別油は、カカオ代用脂として使用することができる。本発明のサル脂分別油をカカオバター代用脂として使用する場合、本発明のサル脂分別油のみをカカオバター代用脂としてもよいが、カカオ脂、パーム油、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー核油、コクム脂及びこれらの分別油、エステル交換油等の油脂を本発明のサル脂分別油に配合してもよい。この場合、本発明のサル脂分別油の配合量は、カカオ代用脂中1重量%以上、好ましくは3重量%以上である。
【0025】
また、本発明のサル脂分別油からなるカカオバター代用脂は、チョコレートに用いられる。この場合、カカオバター代用脂の配合量は、チョコレートの全配合成分中、好ましくは1〜60重量%、さらに好ましくは1〜50重量%である。
【0026】
本発明のサル脂分別油はカカオ代用脂として使用されるとき、チョコレート製造工程での作業性が良くなるだけでなく、シャープな口融けとスナップ性に優れたチョコレートの製造が可能となる。
【0027】
また、本発明のサル脂分別油はカカオ代用脂としてチョコレートに使用する以外にも、いろいろな食品に使用することが可能である。例えば製菓製パン用油脂、カレー等のルー用油脂、フライ油等の油脂としていろいろな食品に用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、以下の例中、特に断りのない限り、「%」は「重量%」を意味する。
【0029】
〔実施例1〕
サルシード原油(DHS−TG:4.1%含有)に対してリン酸を0.2%添加して脱ガムした。脱ガム油を常法によりアルカリ脱酸し、次いで常法による白土処理して精製サル脂を得た。精製サル脂には高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、DHS−TGが1.8%含まれていた。
【0030】
この精製サル脂1kgを60℃にて30分間保持して完全に溶解させた。そして、撹拌しながら0.5℃/時の冷却速度で34℃に冷却した。シードとして大豆極度硬化油を0.02%添加して、34℃±0.2℃で62時間撹拌した。次いで、0.2MPaで加圧濾過し、0.5MPaで圧搾し、結晶部と液状部に分離した。液状部の収量は978g、液状部のDHS−TGの含有量は0.71%であった。
【0031】
続いて、液状部に対して6倍重量のアセトン(水分0.2%含有)に溶解し、撹拌しながら5℃/時の冷却速度で5℃に冷却した。シードとして予め冷却結晶化した液状部のアセトン溶液を1%添加して、温度5℃±0.5℃で2時間、撹拌し、結晶化させた。そして、減圧下吸引濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を0℃に冷却したアセトンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は655g、液状部の収量は323gであった。
【0032】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG0.29%、StDSt0.2%、StDA0%、StDP0.09%、SUS92.3%をそれぞれ含有していた。
【0033】
〔実施例2〕
サルシード原油(DHS−TG:5.8%含有)を実施例1と同様に脱ガムして、さらに常法のアルカリ脱酸を2回繰り返し、次いで常法による白土処理して、DHS−TGを1.6%を含有する精製サル脂を得た。
【0034】
精製サル脂1kgを実施例1と同様に乾式分別し、液状部970gと結晶部 30gを得た。得られた液状部のDHS−TGの含有量は0.70%であった。次いで、実施例1と同様に溶剤分別して、結晶部660gと液状部310gを得た。
【0035】
得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油は、DHS−TG0.33%、StDSt0.25%、StDA0%、StDP0.08%、SUS91.5%をそれぞれ含有していた。
【0036】
〔実施例3〕
サルシード原油(DHS−TG:5.1%含有)を実施例1と同様に精製し、DHS−TGを1.9%含有する精製サル脂を得た。
【0037】
精製サル脂1kgを60℃にて30分間保持して完全に溶解させた。次いで、撹拌しながら0.5℃/時の冷却速度で34℃に冷却した。シードとして大豆極度硬化油を0.03%添加して、34.3℃±0.2℃で48時間、撹拌した。次いで、0.2MPaで加圧濾過し、1MPaで圧搾して、結晶部と液状部に分離した。液状部の収量は980g、液状部のDHS−TGの含有量は0.68%であった。
【0038】
続いて、液状部に対して4倍の重量のアセトン(水分0.1%含有)に溶解し、撹拌しながら、5℃/時の冷却速度で13℃に冷却した。シードとして予め冷却結晶化した液状部のアセトン溶液を1%添加して、温度13℃±0.5℃で1時間、撹拌し、結晶化させた。次いで、減圧下吸引濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を5℃に冷却したアセトンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は652g、液状部の収量は328gであった。
【0039】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG0.19%、StDSt0.15%、StDA0%、StDP0.04%、SUS91.5%をそれぞれ含有していた。
【0040】
〔比較例1〕
実施例1と同様の方法で精製した精製サル脂1kgを実施例1と同様の方法で乾式分別した。得られた液状部(DHS−TG0.71%含有)に対して4倍重量のn−ヘキサンに溶解し、撹拌しながら徐々に冷却した。温度0℃±0.5℃で2時間、撹拌し、結晶化させた。次いで、減圧下吸引濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を0℃に冷却したn−ヘキサンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は555g、液状部の収量は445gであった。
【0041】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG0.69%、StDSt0.39%、StDA0.15%、StDP0.15%、SUS90.3%をそれぞれ含有していた。
【0042】
〔比較例2〕
実施例1と同様の方法で精製した精製サル脂1kgに対して6倍重量のアセトン(水分0.2%含有)に溶解し、撹拌しながら徐々に冷却した。温度5℃±0.5℃で2時間、撹拌し、結晶化させた。次いで、減圧下吸引濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を0℃にアセトンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は715g、液状部の収量は285gであった。
【0043】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG1.09%、StDSt0.6%、StDA0.3%、StDP0.19%、SUS93%をそれぞれ含有していた。
【0044】
〔実施例4〕
実施例2と同様の方法で精製した精製サル脂500gを、4倍重量のヘキサンと混合し、50℃にて30分保持して完全に溶解した。次いで、撹拌しながら5℃/時の冷却速度で15℃まで冷却した。さらに冷却し、12℃に達したところで、サル脂とヘキサンの重量比で1:4混合物を予め冷却結晶化したもの1%をシードとして添加し、さらに2時間結晶化後、減圧濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を10℃のヘキサンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。そして得られた液状部と結晶部をそれぞれ脱溶剤した。液状部の収量は488g、液状部のDHS−TGの含有量は0.72%であった。
【0045】
続いて、液状部に対して4倍重量のアセトン(水分0.2%含有)に溶解し、実施例1と同様の方法で結晶部と液状部に分離した。結晶部を0℃に冷却したアセトンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は337g、液状部の収量は151gであった。
【0046】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG0.23%、StDSt0.15%、StDA0%、StDP0.08%、SUS90.5%をそれぞれ含有していた。
【0047】
〔比較例3〕
実施例2と同様の方法で精製した精製サル脂500gを、4倍量のヘキサンと混合し、50℃にて30分保持して完全に溶解した。次いで、撹拌しながら5℃/時の冷却速度で15℃まで冷却した。さらに冷却し、12℃に達したところで、サル脂とヘキサンの重量比で1:4混合物を予め冷却結晶化したもの1%をシードとして添加し、さらに2時間結晶化後、減圧濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を10℃のヘキサンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。そして得られた液状部と結晶部をそれぞれ脱溶剤した。液状部の収量は488g、液状部のDHS−TGの含有量は0.72%であった。
【0048】
得られた液状部に対して4倍重量のn−ヘキサンに溶解し、撹拌しながら徐々に冷却した。温度0℃±0.5℃で2時間、撹拌し、結晶化させた。次いで、減圧下吸引濾過して、結晶部と液状部に分離した。結晶部を0℃に冷却したn−ヘキサンで洗浄し、洗浄液を液状部に加えた。得られた結晶部と液状部をそれぞれ脱溶剤した。結晶部の収量は338g、液状部の収量は150gであった。
【0049】
また得られた結晶部を常法により漂白、脱臭した。このようにして得られたサル脂分別油を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、DHS−TG0.92%、StDSt0.28%、StDA0.05%、StDP0.59%、SUS90%をそれぞれ含有していた。
【0050】
実施例1〜4及び比較例1〜3のサル脂分別油のDHS−TG含量、SUS含量、固体脂含量、冷却曲線の結果を表1に示す。なお、これらの測定方法は下記に準じて行った。
【0051】
<測定方法>
(1)DHS−TG含量、StDSt含量、StDA含量、StDP含量、SUS含量;
HPLC(カラム:ODS、溶離液:アセトン/アセトニトリル=70/30、流量:1ml/分、カラム温度:37℃、検出機:示差屈折計)で測定した。本方法によればDHS−TGはジグリセリドに続いて、StDP、StDSt、StDAの順に溶出し、簡便に各成分の定量が可能である。
【0052】
(2)固体脂含量;
基準油脂分析試験法、暫定法1−1996、固体脂含量NMR法に基づいて測定した。但し、試料のエージングは0℃で30分固化後、20℃で2h、30℃で1hの温度処理を7回繰り返し、さらに20℃で2h固化した後、0℃で30分に冷却し、NMR法に基づいて測定した。
【0053】
冷却曲線;
サル脂分別油を加熱、溶解し、12gの油脂を20ml容のエアジャケット付き試験管に入れ、12℃の恒温水槽中で冷却したときの変化を縦軸を温度とし、横軸を放置時間としてグラフにしたものであり、サル脂分別油を冷却、結晶化したときの温度変化を示したものである。この冷却曲線は、溶解された油脂が冷却されるに従い、油脂の温度が下がるが、結晶化が起こると結晶化熱により油脂の温度が上昇し、その後再び油脂の温度が下がるグラフとなる。
【0054】
ここで肩温度とは、結晶化が起こり始める温度であり、肩温度が高いとテンパリング時にチョコレート生地の粘度が高くなり作業性に悪影響を与える場合があり、カカオバター代用脂としては肩温度が低いほうがよい。
【0055】
また、ΔTは、結晶化熱による温度上昇の大きさを示すものであり、△Tが小さい場合はテンパリング後の離型性が劣る等の問題があるため、カカオバター代用脂としては△Tが大きいほうがよい。
【0056】
【表1】
Figure 0004475702
【0057】
表1に示されるように、実施例1〜4は、比較例1〜3に比して、肩温度が低く、また△Tが大きい。
【0058】
〔実施例5〕
実施例1で得られたサル脂分別油と常法で調製したパーム分別中部油を用いて、チョコレート試験を実施した。表2の配合でチョコレートを試作した。表3にチョコレート性能の評価を示した。なお、表3におけるチョコレート性能の評価方法は次の通りである。
【0059】
<評価方法>
(1)粘度;
溶解したチョコレート生地を撹拌しながら、28℃で2分間、そして30℃で3分間のテンパリングを行った後、測定したチョコレート生地の粘度を示す。
【0060】
(2)離型率;
上記のテンパリングを行ったチョコレート生地12gを型に流し、5℃で20分間で固化させた。このときの固化させたチョコレートが型から剥がれた割合を示す。
【0061】
(3)レオメーター加重値:
不動工業(株)製レオメータを使い、各温度に調温したチョコレート(大きさ61×24×8mm、重さ12g)をテーブル(折芯JIS用)に載せ、クサビ型のアダプター(歯型押棒B)を用い、2cm/minの試料台上昇速度で破断したときの最大荷重として測定した。
【0062】
〔比較例4〕
比較例1で得られたサル分別油と常法で調製したパーム分別中部油を用いて、実施例5と同様にチョコレートを作製し、チョコレート性能を評価し、結果を表3に示した。
【0063】
【表2】
Figure 0004475702
【0064】
【表3】
Figure 0004475702
【0065】
表3に示されるように、実施例5は、比較例4に比して、粘度が低く、離型率が高く、しかも加重値も高い値を示す。
【0066】
【発明の効果】
本発明のサル脂分別油は、ジヒドロキシ酸含有トリグリセリド(DHS−TG)の含有量が0.4重量%以下、1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS)の含有量が90〜98重量%であり、カカオバター代用脂として使用することができ、このサル脂分別油を使用したチョコレートは、スナップ性、口溶け、作業性が良好である。

Claims (1)

  1. ジヒドロキシステアリン酸含有トリグリセリド(DHS−TG)の含有量が0.4重量%以下、1,3ジ飽和−2不飽和トリグリセリド(SUS)の含有量が90〜98重量%であるサル脂分別油を製造する方法であって、
    サルシード原油を精製して得られるサル脂を、乾式分別又はヘキサンでシードを添加して分別し、得られた液状部を極性溶剤でシードを添加して溶剤分別して結晶部を得ることを特徴とするサル脂分別油の製造法。
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