JPH0517248U - 摩擦伝動チエーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無段変速用摩擦伝動チェーンの騒音および衝
撃音を抑止し、さらに、ストラットおよびリンクプレー
トの耐久性を向上させるとともに摩擦伝達力を大巾に増
大させることを目的としている。 【構成】 ストラットの左右空所に挿通した摩擦伝動チ
ェーンＣ１，Ｃ２のピッチを同位相とし、夫々のチェー
ンのリンクプレートに左右両翼部を係止したチェーン伝
動ストラットと、夫々のチェーンの伝動ストラット間に
介装した駆動プーリと従動プーリのＶ溝伝動面に挾圧さ
れた巾広の摩擦力伝達面を有する複数の摩擦力伝達スト
ラットと、からなる摩擦伝動チェーン。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、無段変速用の摩擦伝動チェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の摩擦伝動チェーンは、特開平1-316544号公報に開示されているように、 Ｉ形断面を有する多数のストラットの左右空所に１／２ピッチ位相を異にした伝 動チェーンを挿通して、該チェーンの長手方向に多数のストラットを重合整列し て、離間配設した一対の駆動Ｖプーリと従動プーリ間に該伝動チェーンを無端懸 回し、ストラットの下部翼部外側Ｖ形端面と前記Ｖプーリの円錐形伝動面との挾 圧摩擦力によって摩擦伝動を行い、両プーリの夫々の円錐伝動面間を補完拡縮す ることにより無段変速伝動を行っていた。

【０００３】 そして、リンクプレートの上辺および下辺の中央部位に形成した切欠凹部に嵌 合係入するストラットの上部翼部と下部翼部は、夫々の伝動チェーンのピッチが １／２ずれているために該切欠凹部も１／２ピッチずれるので、図５〜図７に示 す如く、一方の伝動チェーンＣ１のリンクプレートＬ１の中央切欠凹部には、ス トラットＦ１の上部並びに下部翼部の夫々の左側部が嵌入係止しているが、右側 部は他方の伝動チェーンＣ２のリンクプレートＬ２の中央切欠凹部には嵌入せず （図７参照）、また、前記他方の伝動チェーンＣ２のリンクプレートＬ２の中央 切欠凹部には、ストラットＦ２の上部並びに下部翼部の夫々の右側部が嵌入係止 しているが、左側部は前記一方の伝動チェーンＣ１のリンクプレートＬ１の中央 切欠凹部には嵌入せず、結局、一方のストラットＦ１は一方の伝動チェーンＣ１ に上、下翼部の左側部のみが嵌入係合し、他方のストラットＦ２は他方の伝動チ ェーンＣ２に上、下翼部の右側部のみが嵌入係合している。なお、ストラットＦ １とＦ２の間に介装されたストラットＦ３はストラットＦ１とストラットＦ２の 間隔隙間を埋めるスペーサ用のストラットであって、図８に示すようにいづれの 伝動チェーンとも係合していない。

【０００４】 したがって、摩擦伝動はストラットＦ１の下部翼部の両側端面Ｔ１，Ｔ１が駆 動プーリのＶ溝伝動面に挾圧されて駆動プーリの回転をストラットＦ１に摩擦伝 達し、ストラットＦ２の下部翼部の両側端面も駆動プーリのＶ溝伝動面に挾圧さ れて駆動プーリの回転をストラットＦ２に摩擦伝達し、ストラットＦ１は係合し ている伝動チェーンＣ１に、ストラットＦ２は係合している伝動チェーンＣ２に 、夫々牽引力を伝達して従動プーリに回転を伝えるものであり、駆動プーリのＶ 溝間隔および従動プーリのＶ溝間隔を夫々補完拡縮することにより無段変速伝動 を行っている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来技術においては、ストラットの左右空所に挿通する夫々の伝動チ ェーンのピッチを１／２ずらすことによってプーリの巻付半径の変動を小さくし 、ストラットの下部翼部の両外側端面（摩擦伝動面）とプーリのＶ溝伝動面との 衝接音を抑止し騒音の低減を図ることができる反面、夫々のストラットにおいて は、ストラットの左右空所に挿通される伝動チェーンの一方のチェーンリンクプ レートに係合し他方のチェーンリンクプレートには全く係合していないので、夫 々のストラットの左右翼部の一方の翼部にのみ伝動負荷が作用する片持ち梁とな り、ストラットおよびリンクプレートに過大な負荷が作用して、耐久性に欠ける という問題点を有していた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した従来技術の欠点を除去するため、ストラットの左右空所に挿 通される夫々の伝動チェーンのピッチを１／２ずらすことなく同位相とし、スト ラットの左右両翼部を同時に夫々の伝動チェーンのリンクプレートに係止するチ ェーン伝動ストラットと、リンクプレートには係止せず伝動プーリのＶ溝伝動面 に挾圧される巾広の摩擦力伝達面を有する複数の摩擦力伝達ストラットと、を有 している。

【０００７】

【作用】

駆動プーリのＶ溝伝動面に挾圧された摩擦力伝達ストラットは駆動プーリによ って駆動力を受け、摩擦力伝達ストラットに当接しているチェーン伝動ストラッ トに該駆動力を押圧伝動し、チェーン伝動ストラットはリンクプレートに係止し てその駆動力を伝動チェーンに伝え、伝動チェーンを無端駆動する。そして、従 動プーリにおいては、伝動チェーンの駆動力をチェーン伝動ストラットより摩擦 力伝達ストラットに伝え、摩擦力伝達ストラットはその摩擦力伝達面を介して従 動プーリのＶ溝伝動面に伝えて従動プーリを回転させるものである。

【０００８】 すなわち、駆動プーリ側においては、摩擦力伝達ストラットがチェーン伝動ス トラットを押すことにより動力の伝達が行われ、駆動プーリと従動プーリ間のチ ェーンの直線部分においては、リンクプレートが後続のリンクプレートを引張る ことにより動力の伝達が行われる。

【０００９】

【実施例】

図１〜図４は本考案の実施例を示し、ストラットの左右空所に夫々挿通される 伝動チェーンＣ１およびＣ２は同位相のピッチで連結ピンＰ１，Ｐ２により連鎖 された無端チェーンであって、図示しない駆動プーリと従動プーリ間に懸回され ている（図１）。

【００１０】 伝動チェーンＣ１，Ｃ２の夫々のリンクプレート１の中央部の上、下辺にはス トラットの係止切欠凹部Ａ１，Ａ１’およびＡ２，Ａ２’が形成され、該切欠凹 部Ａ１，Ａ１’およびＡ２，Ａ２’にはチェーン伝動ストラット２の左右両翼部 の上下翼部が係止している（図３）。

【００１１】 また、リンクプレート１の前記切欠凹部に係止しない摩擦力伝達ストラット３ は、駆動Ｖプーリおよび従動ＶプーリのＶ溝伝動面に挾圧される摩擦力伝達面３ Ａ，３Ｂを下部翼部の両側端面に形成している（図４）。

【００１２】 そして、夫々のチェーン伝動ストラット２間には巾広の摩擦力伝達面を有する 複数の摩擦力伝達ストラット３が介装されている。図２においてストラットの下 部翼部とリンクプレート下辺間に隙間があるのはＶプーリのＶ溝に巻付くことを 可能にするものであって、巻付け時、すなわち、摩擦力伝達時には隙間は生じな くなる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、ストラットの左右空所に挿通する伝動チェーンのリンクプレート連 結ピンのピッチを同位相にすることにより、ストラットの左右翼部を夫々の伝動 チェーンのリンクプレートの上、下辺に夫々係入することができたので、ストラ ットの左右両翼部に伝動負荷が均等に作用し、ストラットおよびリンクプレート に片持ち荷重が負荷されないから、ストラットおよびリンクプレートの耐久性が 増大し、また、夫々の伝動チェーンのリンクプレートに係合するチェーン伝動ス トラットのピッチは、既述する従来技術における１／２ピッチだけ夫々のチェー ンの位相をずらした場合におけるストラットのピッチと同一であるから、Ｖプー リのＶ溝にチェーンが巻付く際に生ずるストラットの摩擦伝動面とＶ溝の摩擦伝 動面との衝接音は従来技術の場合と同じであり、チェーンの弦振動による騒音は 従来技術の場合より大になることはない。

【００１４】 さらに、本考案は、伝動チェーンの連結ピンのピッチを同位相にしたことによ って、チェーン伝動ストラット間には巾広の摩擦力伝達面を有する複数の摩擦力 伝達ストラットを介装することができるので、摩擦伝達力を大巾に増大すること を可能にしたものであり、また、スペーサストラットが不要であるのでストラッ トの組付数も減少させることができる等、その実用的効果は著大である。

【００１５】 さらにまた、チェーン伝動ストラットには、前述の如く両翼部に均等な伝動負 荷が作用するので、ストラットの破損原因が除去され、しかも、チェーン伝動ス トラットおよび摩擦力伝達ストラットは、夫々異なる役割を分担していているの で、夫々のストラットが相互に関係なく最適の形状を有することができるもので ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示し、一部断面による同位相
の摩擦伝動チェーンの要部拡大平面図である。

【図２】図１の摩擦伝動チェーンの正面図である。

【図３】チェーン伝動ストラットの拡大側面図である。

【図４】摩擦力伝達ストラットの拡大側面図である。

【図５】従来例を示しており、一部断面による１／２ピ
ッチずらせた摩擦伝動チェーンの要部拡大平面図であ
る。

【図６】図５の摩擦伝動チェーンの正面図である。

【図７】従来例を示しており、一方のチェーンにのみ係
合する伝動ストラットの拡大側面図である。

【図８】従来例を示しており、スペーサストラットの拡
大側面図である。

【符号の説明】

１ リンクプレート ２ チェーン伝動ストラット ３ 摩擦力伝達ストラット ３Ａ，３Ｂ 摩擦力伝達面 Ａ１，Ａ１’，Ａ２，Ａ２’ ストラット係入切欠凹部 Ｃ１，Ｃ２ 摩擦伝動チェーン Ｐ１，Ｐ２ 連結ピン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 藤本 信之 大阪府大阪市鶴見区鶴見４丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｉ形断面を有する多数のストラットの左
   右空所に夫々位相を同じくした伝動チェーンを挿通して
   該チェーンの長手方向に多数のストラットを重合整列
   し、多数のストラットは、夫々のチェーンのリンクプレ
   ート上辺および下辺の中央部に係止するチェーン伝動ス
   トラットと、夫々のチェーン伝動ストラット間に介装し
   駆動プーリおよび従動プーリのＶ溝伝動面に挾圧される
   巾広の摩擦力伝達面を有する複数の摩擦力伝達ストラッ
   トとからなる摩擦伝動チェーン。