JPH05171535A - 多層構造捲縮糸の製造方法 - Google Patents

多層構造捲縮糸の製造方法

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JPH05171535A
JPH05171535A JP3357069A JP35706991A JPH05171535A JP H05171535 A JPH05171535 A JP H05171535A JP 3357069 A JP3357069 A JP 3357069A JP 35706991 A JP35706991 A JP 35706991A JP H05171535 A JPH05171535 A JP H05171535A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 羊毛様の外観と張り,腰,弾発性のある風合
を有し,製織編時にも毛羽玉や単糸切れを生じることの
ない多層構造捲縮糸の製造方法を提供する。 【構成】 切断伸度が80〜 150%のポリエステル高配向
未延伸糸に,延伸熱処理を施し,構成する単フイラメン
トの断面方向に外層では高く,内層では低い複屈折率を
有する糸条とする。次いで,前記延伸熱処理された糸条
と,切断伸度が80〜 150%のポリエステル高配向未延伸
糸とを引き揃えて摩擦仮撚加工を行った後,流体交絡処
理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,羊毛様の外観と張り,
腰,弾発性のある風合を有し,製織編時にも毛羽玉や単
糸切れを生じることのない多層構造捲縮糸の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,熱可塑性合成繊維フイラメント糸
を仮撚加工して得られる仮撚捲縮加工糸は,加工糸自体
の状態,すなわち無緊張に近い微小張力下においては著
しく嵩高性に富むが,これを織編物にした場合は,その
嵩高性の大半が消失してしまうという欠点がある。
【0003】また,特公昭60−5692号公報には,伸度の
異なる2本の高配向未延伸糸を供給糸として,これらを
引き揃えて仮撚加工を施し,高伸度マルチフイラメント
糸を鞘糸に,低伸度マルチフイラメント糸を芯糸とする
2層構造の捲縮加工糸を製造する方法が提案されてい
る。しかしながら, この方法で得られる捲縮加工糸は,
芯糸と鞘糸に糸長差が生じ, 製織編時に張力を受けると
鞘糸がずれてしまい,鞘糸による塊状物が長手方向に散
在した状態で製織編されるため,得られる布帛は欠点反
となる。
【0004】さらに,特公昭59-21970号公報には,伸度
の異なる2本の高配向未延伸糸を引き揃え仮撚加工を施
して得られた2層構造の捲縮加工糸を交絡処理する方法
も提案されているが,この方法で得られる捲縮加工糸
も, 糸長差の大きなものは上記と同様の欠点を生じ,こ
れを防止するには,糸長差を10%以下に設定する必要が
ある。さらに,この加工糸を使用した織編物は,張り,
腰及び弾発性に劣るものであった。
【0005】一方,特公昭61-19733号公報には,あらか
じめ交絡処理を施した伸度の異なる高配向未延伸糸を仮
撚加工する方法が提案されている。この方法で得られる
捲縮加工糸には, 鞘糸のずれによる塊状物の発生はな
い。しかしながら,この加工糸から得られる織編物は,
通常の単糸からなる仮撚加工糸使いの織編物に比べて張
り,腰,弾発性に劣るものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上述した従
来の捲縮加工糸の欠点を解消し,かつ製織編時に毛羽玉
や単糸切れを生じることがなく,布帛にしたときに張
り,腰,弾発性が生じ,しかも染色時等に加熱処理を受
けると,糸長差の増大による布帛のふくらみを生じさせ
る多層構造の捲縮糸を,高速で製造可能な方法を提供す
ることを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は,切断伸度が80
〜 150%のポリエステル高配向未延伸糸に,乾熱温度25
0℃以上,処理時間0.2秒以下,延伸倍率1.01〜1.3で
延伸熱処理を施し,構成する単フイラメントの断面方向
に外層では高く,内層では低い複屈折率を有する糸条と
なし,次いで,前記延伸熱処理された糸条と, 切断伸度
が80〜150%のポリエステル高配向未延伸糸とを引き揃
えて摩擦仮撚加工を行った後,流体交絡処理を施すこと
を特徴とする多層構造捲縮糸の製造方法を要旨とするも
のである。
【0008】以下,本発明について詳細に説明する。
【0009】まず,本発明において,延伸熱処理に供給
する糸条と延伸熱処理を施すことなく摩擦仮撚加工工程
に供給する糸条は両方とも,切断伸度が80〜 150%,好
ましくは 100〜 130%のポリエステル高配向未延伸糸が
好ましい。切断伸度が 150%を超えると,経日変化が起
こりやすく,摩擦仮撚加工すると糸切れや毛羽が発生し
やすいので,操業上問題となる。一方,切断伸度が80%
未満になると,伸度が低すぎて摩擦仮撚加工で毛羽が出
やすくなるので好ましくない。
【0010】本発明では,まず,切断伸度が80〜 150%
のポリエステル高配向未延伸糸に延伸熱処理を施すが,
延伸熱処理条件は,乾熱温度 250℃以上,処理時間0.2
秒以下,延伸倍率1.01〜1.3にする必要がある。すなわ
ち,延伸熱処理において, 延伸倍率を1.01〜1.3倍に,
かつ延伸熱処理時の乾熱温度を 250℃以上,好ましくは
700℃以下の高温にして,0.2秒以下の短時間熱処理を
施すことにより,糸条を構成するフイラメントの最外層
の複屈折率から最内層の複屈折率を差し引いた示差的複
屈折率を5×10-3以上となし,内層が低配向,外層が高
配向の層状の構造差のあるフイラメントとなすことがで
き,後述する張り,腰,弾発性を与える要因を付与する
ものである。また,引き揃え摩擦仮撚加工する他糸条と
の間で,製織編時のしごきによって毛羽玉を生じない程
度の糸長差を付与することが可能となる。延伸倍率が1.
01未満では,以降の摩擦仮撚加工によって糸長差や張
り,腰,弾発性を与えることができない。また,1.3倍
を超えると,切れ毛羽が発生し,製織編に支障をきたす
とともに,布帛上のピリングの原因になる。
【0011】熱処理工程の乾熱温度が 250℃未満では,
0.2秒以下の短時間熱処理では上述のフイラメント内断
面方向での複屈折率差を与えることができない。また,
延伸熱処理時の処理時間が0.2秒を超えると,熱処理に
よって糸条を構成するフイラメントはほぼ均一に熱を受
け,フイラメント内断面方向の熱処理斑,配向斑を起生
させることができなくなり,張り,腰,弾発性に優れた
織編物とすることができる多層構造の捲縮糸を得ること
ができない。
【0012】次に,本発明では,このようにして延伸熱
処理された糸条と延伸熱処理を施さない糸条を引き揃え
て摩擦仮撚加工を施し,延伸熱処理された糸条が芯糸,
延伸熱処理を施さない糸条が鞘糸となった仮撚複合糸を
得る。前述したように,延伸熱処理の条件は,乾熱温度
が250℃以上,0.2秒以下の短時間処理であり,これは瞬
間的に高温で熱処理することを意味し,高速で糸条を走
行させなければならない。例えば1mの長さのヒータを
用いれば,糸速は300m/分以上の速さで走行させなけれ
ばならない。ところで,この走行する糸条に撚切れする
限界近くの仮撚数を付与するためには,スピンドルピン
による施撚装置では回転数に制限があり,本発明では回
転数に制限のない摩擦式の仮撚施撚装置を採用する必要
がある。摩擦仮撚加工の条件は特に限定されるものでは
ないが,延伸倍率1.2 〜1 .5, デイスクの表面速度Dと
糸速Yとの比(D/Y)が1.6〜1.8,ヒータ温度 190〜2
50℃, 糸速 300〜1000m/分の条件が好ましい。
【0013】延伸熱処理された糸条を構成するフイラメ
ントの配向度は,内層が低く,外層が高いという配向差
をもつため,摩擦仮撚加工を施して得られる多層構造捲
縮糸で形成される織物は,芯糸となる延伸熱処理された
糸条によって,張り,腰,弾発性に優れるという特性が
付与される。芯糸となる延伸熱処理された糸条の仮撚加
工後の熱応力を測定すると,例えば,熱応力ピーク値が
0.25g/dの高い値を示す。この熱応力ピーク値と張
り,腰,弾発性との間には相関性があり,単なる伸度差
のある高配向未延伸糸を引き揃えて仮撚加工した従来の
加工糸の芯糸は,この熱応力ピーク値が高くてもせいぜ
い0.2g/dであり,本発明で芯糸となる糸条に比べ
て,張り,腰,弾発性が劣る。一方,延伸熱処理を施さ
ない高配向未延伸糸のフイラメントの断面方向の配向度
の分布は,前述の瞬間的延伸熱処理を施した糸条とは異
なり,内層が高く,外層が低い傾向にあり,引き揃えて
仮撚加工すると,延伸熱処理した糸条に比べて大きく捩
じれながら伸ばされて鞘糸となり,その熱応力ピーク値
も0.1g/d程度になり,得られる多層構造捲縮糸によ
って形成される織物に手触り感のソフトな,しなやかさ
を付与することができる。
【0014】すなわち,本発明では,高配向未延伸糸を
延伸する際に,瞬間的に融点以上の高温で熱処理するこ
とにより,フイラメント外層を高配向,フイラメント内
層を低配向にし,次いで,延伸を施さない高配向未延伸
糸と引き揃えて摩擦仮撚加工を施し,熱処理を施した糸
条を張り,腰,弾発性のある芯糸として多層構造捲縮糸
の骨格を形成させるとともに,熱処理を施していないソ
フトでしなやかな加工糸を鞘糸として多層構造捲縮糸の
表層部を形成させ,この加工糸から得られる織編物に,
張り,腰,弾発性に優れ,しかもソフトな手触りのする
羊毛様風合を付与するものである。
【0015】フイラメントの内層が低配向で,フイラメ
ントの外層を高配向にした糸条が芯糸となるように他の
高配向未延伸糸と引き揃えて仮撚加工した場合,得られ
る糸条で製織編し,染色仕上げ処理した布帛が張り,腰
及び弾発性に優れる理由は十分解明されてはいないが,
次のように考えられる。
【0016】単に伸度差のある高配向未延伸糸を引き揃
え仮撚加工して得られる加工糸の場合,芯糸の熱応力ピ
ーク値は0.2g/d以下の値でしかなく,張り,腰及び
弾発性が不良であることが分かっている。フイラメント
内層が比較的低配向で,フイラメント外層が高配向の糸
条に仮撚加工を施す場合の加工時の変形,すなわち延伸
と捩じれ変形について考察すると,延伸変形に対しては
フイラメントの外層が変形抵抗に働き,捩じれ変形に対
してはフイラメントの内層が容易に捩じれ変形を受け入
れ,かつ強固な熱固定効果が得られるため,より強固な
捲縮構造を形成し,さらに高配向化されたフイラメント
の外層部の存在により,より高い熱収縮応力を発揮する
ためではないかと考えられる。
【0017】本発明では,上記で得られた仮撚加工糸に
流体交絡処理を施して各フイラメントを混繊・交絡さ
せ,2種の糸条がよく絡み,鞘糸で構成されるループ毛
羽がきめ細かく生じた羊毛紡績糸様の形態を有する多層
構造捲縮糸を得る。
【0018】本発明では,仮撚加工後の2本の糸条間の
糸長差が少ないので,そのまま用いても,しごきによる
毛玉や単糸切れを起こし難いが,芯糸と鞘糸間の物性差
による布帛のふくらみを有効に具現するためには,芯糸
と鞘糸を交絡させることが必須の要件であり,流体交絡
処理は不可欠のものである。流体交絡処理の条件は特に
限定されるものではないが,オーバーフイード率1〜5
%,流体圧力1〜4kg/cm2 の条件が好ましい。
【0019】従来の多層構造捲縮糸は,仮撚加工後の糸
長差が大きく, S,Zの交互撚で捲回していたり,融着
して集束しているものであるが,本発明で得られる多層
構造捲縮糸には,2本の糸条間の糸長差がほとんどない
にもかかわらず,混繊・交絡により絡み合っているため
膨らみがあり,製織編すれば,ソフトで張り,腰のある
織編物となる。また,この織編物を染色加工すれば,糸
長差がさらに増大して布帛に膨らみが増し,あたかも羊
毛紡績糸使いの外観と風合を有する織編物を得ることが
できる。さらに,糸長差がほとんどない2本の糸条が混
繊・交絡しているため,製織編時にしごきを受けても毛
羽玉や単糸切れを生じることがない。
【0020】なお,延伸熱処理を施すポリエステル高配
向未延伸糸の単糸繊度を,延伸熱処理を施さないポリエ
ステル高配向未延伸糸の単糸繊度よりも太くすれば,単
糸繊度の大きい糸条が芯となり,単糸繊度の細い糸条が
表面により多く現れることとなり,この多層構造捲縮糸
を製織編した織編物は,表面が一層ソフトな風合で,か
つ張り,腰,弾発性に優れたものとなる。
【0021】次に,本発明を図面により説明する。
【0022】図2は,本発明の一実施態様を示す概略工
程図である。
【0023】図2において,ポリエステル高配向未延伸
糸1は,第1フイードローラ3を経て,第1フイードロ
ーラ3と第2フイードローラ5との間でヒータ4によっ
て乾熱温度 250℃以上,処理時間0.2秒以下,延伸倍率
1.01〜1.3倍で延伸熱処理が施され,次いで,第2フイ
ードローラ5でポリエステル高配向未延伸糸2と引き揃
えられ,第2フイードローラ5を経て,第2フイードロ
ーラ5と第1デリベリローラ9との間で延伸されると同
時に,摩擦仮撚装置8により施撚されつつヒータ6によ
り熱固定され,クーリングプレート7を経て第1デリベ
リローラ9に供給される。引き続き,第1デリベリロー
ラ9と第2デリベリローラ12との間に設けられた流体交
絡装置10により混繊・交絡された後,第2デリベリロー
ラ12を経てパツケージ13として捲き取られる。また,第
1デリベリローラ9と第2デリベリローラ12との間にヒ
ータ11を設けて再熱処理を施し,仮撚加工糸のトルクの
低減化や芯糸の収縮によるバルキー化等の捲縮形態の改
良を行ってもよい。
【0024】なお,本発明では,一方の高配向未延伸糸
を熱処理してフイラメント外層を高配向,フイラメント
内層を低配向にすることにより,多層構造捲縮糸の芯糸
を構成する熱処理糸条で, 織編物に張り,腰及び弾発性
を付与するものであるが,本発明でいうフイラメント内
断面方向での複屈折率差は,透過定量型干渉顕微鏡を使
用して得られる外層屈折率(Nx ,0.9,Ny ,0.9)
と中心屈折率(Nx ,0,Ny ,0)との差である。
【0025】外層屈折率と中心屈折率は,次の方法で測
定するものである。透過定量型干渉顕微鏡(例えば,ド
イツ,カールツアイスイエナ社製干渉顕微鏡インターフ
アコ)を使用して得られる干渉縞法によって,繊維の側
面から観察した平均屈折率の分布を測定するものである
が,この方法は円形断面の繊維及び繊維軸を対称軸とし
て対称形の異形断面繊維に適用される。繊維の屈折率
は,繊維軸の平行方向に振動している偏光に対する屈折
率(Ny ) と繊維軸の垂直方向に振動している偏光に対
する屈折率(Nx ) によって特徴づけられる。ここに説
明する測定は,すべて光源としてタングステンランプを
用い,偏光下,干渉フイルター波長 544mμの緑色光源
を使用して得られる屈折率(Ny 及びNx ) を用いて実
施する。
【0026】次に,Ny の測定及びNy より求められる
y ,0とNy ,0.9について詳細に説明するが,Nx
(Nx ,0及びNx ,0.9)についても同様に測定でき
る。試験される繊維は,光学的にフラツトなスライドグ
ラスとカバーグラスで挟持し,0.2〜1波長の範囲内の
干渉縞のいずれかを与える屈折率(NE ) をもつ繊維に
対して不活性の封入剤中に浸漬する。封入剤の屈折率
(NE ) は,緑色光源(波長λ= 544mμ)を光源とし
て,アツペの屈折計を用いて測定した20℃における値で
ある。この封入剤は,例えば,流動パラフインとα−ブ
ロムナフタリンの混合液で1.48〜1.65の屈折率に調整す
る。この封入剤中に1本の繊維を浸漬する。この干渉縞
のパターンを写真撮影し,1000 〜2000倍に拡大して解析
する。繊維の封入剤の屈折率をNE , 図1の(b)に略
示したごとく繊維のS'−S"間の平均屈折率をNy ,
S'−S"間の厚みをt,使用光線の波長をλ,バツクグ
ランドの平行干渉縞の間隔(1λに相当)をDn,繊維
による干渉縞のずれをdnとすると,光路長LはL=
(dn/Dn)λ=(Ny−NE)tで表される。試料の屈
折率をNs とすると,封入液の屈折率N1及びN2は,N
S <N1,NS>N2 の2種のものを用いて,図1の
(a)に示すような干渉縞のパターンを評価する。 L1=(d1/D1)λ=(Ny −N1)t L2=(d2/D2)λ=(Ny −N2)t Ny=(L12−L21)/(L1−L2)───(1)
【0027】したがって,(1)式に基づいて,繊維の
中心から外周までの各位置での光路差から,各位置r
(r:繊維の中心軸から半径方向への距離)における繊
維の平均屈折率(Ny )の分布を求めることができる。
厚みtは,得られる繊維が円形断面と仮定して,計算に
よって求める。しかしながら,製造条件の変動や製造後
のアクシデントによって円形断面になっていない場合も
考えられる。このような不都合を除くため,測定する個
所は,繊維軸を対象軸として干渉縞のずれが左右対称に
なっている部分を使用することが適当である。測定は,
繊維の半径をRとすると,0〜0.9Rの間を0.1Rの間
隔で行い,各位置の平均の屈折率を求める。同様にして
x の分布も求められるので,複屈折率分布は Δn(r/R)=Ny (r/R)−Nx (r/R)───(2) より求める。Δn(r/R)は,少なくとも5本のフイ
ラメント,好ましくは8〜10本のフイラメントについて
測定したものを平均して求める。
【0028】
【実施例】次に,本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0029】実施例1〜2,比較例1〜4 図2に示す工程に従い,ポリエチレンテレフタレートを
高速紡糸して得られた切断伸度 125%で230d/30fのポ
リエステル高配向未延伸糸に瞬時の延伸熱処理を施した
後,熱処理していない種々の切断伸度を有する220d/72
fのポリエステル高配向未延伸糸と引き揃えて,施撚装
置のデイスク構成が1−10−1の摩擦仮撚加工機で延伸
摩擦仮撚加工を施し,次いで, 流体交絡処理を施した
後, パツケージに捲き取った。なお,比較例4は,ピン
タイプの仮撚加工機を使用して加工を行った。表1に供
給糸の切断伸度と加工条件を示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1,2で得られた糸条は,150d/72
fの糸条がループ状を呈しながら鞘部を形成して芯部を
形成する 150d/30fの糸条に絡みつき,芯鞘構造を有
する多層構造捲縮糸であった。
【0032】この多層構造捲縮糸を経密度64本/2.54c
m,緯密度56本/2.54cmの平組織で製織し,得られた織
物を通常のポリエステル加工糸と同じ方法で染色仕上げ
加工した。
【0033】表1から明らかなように,仕上げ後の織物
の手の感触による評価結果は,風合,ボリユーム感とも
羊毛紡績糸による織物と同等のものであり,張り,腰,
弾発性は羊毛紡績糸による織物よりも優れるものであっ
た。
【0034】一方,延伸熱処理を施さない糸条として切
断伸度が60%のものを用いた比較例1では,毛羽立った
加工糸となり,製織性が不良であった。また,延伸熱処
理を施さない糸条として切断伸度が 210%のものを用い
た比較例2では,得られた捲縮糸が多層構造とはなら
ず,この捲縮糸からの織物はガサツキがあり,通常の加
工糸織物の風合を有するものであった。次に,延伸熱処
理時のヒータ温度を 200℃とした比較例3では, 延伸熱
処理効果が乏しくて引き揃え加工糸となり,芯鞘構造の
捲縮糸は得られなかった。しかも,延伸熱処理フイラメ
ントの内外層間の複屈折率の差がほとんどなく,このた
め,製織しても,張り,腰,弾発性に優れた織物は得ら
れなかった。摩擦仮撚加工機に代えて低速のピンタイプ
の仮撚加工機を用いた比較例4では,延伸熱処理フイラ
メントの外層の複屈折率から内層の複屈折率を差し引い
た値がマイナスとなり,張り,腰,弾発性のない織物し
か得られなかった。
【0035】
【発明の効果】上述したように,本発明では,ポリエス
テル高配向未延伸糸に短時間,高温,かつ低延伸倍率で
熱処理を施し,延伸熱処理を施していない糸条と引き揃
えて摩擦仮撚加工した後,流体交絡処理を施すので,得
られる多層構造捲縮糸の芯糸となる糸条は熱応力のピー
ク応力値が0.2g/d以上の高応力値を示し,織編物に
張り,腰,弾発性を付与することができる。
【0036】また,本発明で得られる多層構造捲縮糸
は,糸長差がほとんどなく,しかも2本の糸条が混繊・
交絡した芯鞘構造を有しているため,これを製織編する
際にしごきを受けても毛羽玉や単糸切れが発生せず,ボ
リユーム感,ソフト感が羊毛紡績糸使いのものと同様な
織編物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は,熱延伸処理したフイラメントを干渉
顕微鏡で観察したときに見られる干渉縞を示す模式図で
ある。(b)は,熱延伸処理したフイラメント断面の模
式図である。
【図2】本発明の一実施態様を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1,2 ポリエステル高配向未延伸糸 4,6 ヒータ 7 クーリングプレート 8 摩擦仮撚装置 10 流体交絡装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 J D03D 15/00 A 7199−3B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切断伸度が80〜 150%のポリエステル高
    配向未延伸糸に,乾熱温度 250℃以上,処理時間0.2秒
    以下,延伸倍率1.01〜1.3で延伸熱処理を施し,構成す
    る単フイラメントの断面方向に外層では高く,内層では
    低い複屈折率を有する糸条となし,次いで,前記延伸熱
    処理された糸条と,切断伸度が80〜150%のポリエステル
    高配向未延伸糸とを引き揃えて摩擦仮撚加工を行った
    後,流体交絡処理を施すことを特徴とする多層構造捲縮
    糸の製造方法。
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