JPH05169528A - 二軸延伸ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリイミドフィルムおよびその製造方法

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JPH05169528A
JPH05169528A JP34289591A JP34289591A JPH05169528A JP H05169528 A JPH05169528 A JP H05169528A JP 34289591 A JP34289591 A JP 34289591A JP 34289591 A JP34289591 A JP 34289591A JP H05169528 A JPH05169528 A JP H05169528A
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JP
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film
biaxially stretched
polyimide
inorganic filler
temperature
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JP34289591A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Katsuyama
仁之 勝山
Yasuhiko Ota
靖彦 太田
Masumi Saruwatari
益巳 猿渡
Kazunari Okada
一成 岡田
Yasuko Honchi
靖子 本地
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明により、熱可塑性ポリイミド100重
量部および平均粒径0.002〜1μmの無機充填剤1
〜5重量部を含む二軸延伸フィルムであって、該フィル
ムの表面粗度が0.005μm以下、静止摩擦係数が
0.3〜0.6である二軸延伸ポリイミドフィルムが提
供される。 【効果】 本発明の二軸延伸ポリイミドフィルムは、優
れた耐熱性、機械特性、寸法安定性を有しているばかり
か、優れた易滑性をも有し、フィルムの巻取り、巻き返
し工程、あるいは、スリット等の加工工程における作業
性が良好であり、フィルム表面へ傷が付き難くなる等、
電気絶縁用フィルム、記録媒体ベースフィルム、誘電体
フィルム等の用途に有用かつ実用的なものである。ま
た、本発明の二軸延伸ポリイミドフィルムは、溶融成形
により得られるため生産性がよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた易滑性を有する
二軸延伸ポリイミドフィルムおよびその製造方法に関す
る。更に詳しくは、特定の表面粗度および静止摩擦係数
を有し、易滑性に優れた二軸延伸ポリイミドフィルムお
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性ポリイミドフィルムは、
優れた耐熱性、機械的特性、寸法安定性、電気絶縁性を
有することから、磁気テープのベースフィルム、配線基
板、摺動材などに利用されている。
【0003】しかしながら、熱可塑性ポリイミドフィル
ムは、滑り性(易滑性)において必ずしも充分でなく、
フィルムを加工する際の作業性に大きな影響を及ぼすば
かりか、フィルム間あるいはフィルムと他の材料間の接
触時に傷がつきフィルムの機械的特性が劣化する等の問
題がある。すなわち、フィルムにスリット、コーティン
グ等の加工を施す場合、フィルム間あるいはフィルムと
ロール等の他の材料間の摩擦力により、大きな張力がか
かりフィルムが送りにくく、また、ロール状に巻き取る
ことも困難である。特に、磁気テープのベースフィルム
あるいはコンデンサー用フィルムとして用いる場合、製
品として組み立てられる過程で多くの巻取り、巻き返し
工程を経る。これらの工程でフィルムの易滑性が悪い
と、フィルムが破れたり、しわが入ったり、傷が付いた
りする。このような現象は、製品を製造することを困難
にし、もしくは製造不可能とし、たとえ製品が出来上が
ったとしても磁気テープ上への記録欠損、コンデンサー
内で絶縁破壊等内部に重大な欠陥を有する製品になる恐
れがある。
【0004】また、逆に、フィルムの易滑性が極端に良
い場合でも、フィルムの巻取り、巻き変え時に、巻きた
るみ、巻きはずれが発生するなどかえって作業性が悪く
なることがある。このようなポリイミドフィルムを製造
する方法として、例えば、特開平2−38429号公報
には溶液流延法による方法が提案されているが、該方法
は溶融成形が困難なポリイミドを用いる方法であり、成
形加工性の点で問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題のない、特定の表面粗度および静止摩擦係
数を有して易滑性に優れた二軸延伸ポリイミドフィルム
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、溶
融成形法による上記二軸延伸ポリイミドフィルムの製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定の構造を有する熱可塑性ポリイミドおよ
び特定の粒径を有する無機充填剤を特定の割合で混合
し、フィルムに溶融成形した後、特定の温度で二軸延伸
し、さらに熱処理することにより、上記目的が達成でき
ることを見出し本発明に到った。
【0007】即ち、本発明は、熱可塑性ポリイミド10
0重量部および平均粒径0.002〜1μmの無機充填
剤1〜5重量部を含む二軸延伸フィルムであって、該フ
ィルムの表面粗度が0.005μm以下、静止摩擦係数
が0.3〜0.6である二軸延伸ポリイミドフィルムお
よびその製造方法である。
【0008】本発明の二軸延伸ポリイミドフィルムを製
造する方法の態様は、熱可塑性ポリイミド100重量部
および平均粒径0.002〜1μmの無機充填剤1〜5
重量部を含む樹脂組成物を溶融成形して未延伸フィルム
とし、該フィルムをガラス転移温度〜結晶化開始温度未
満の温度において二軸延伸し、さらにガラス転移温度〜
融点未満の温度において熱処理することを特徴とする二
軸延伸ポリイミドフィルムの製造方法である。本発明の
二軸延伸ポリイミドフィルムの特徴は、優れた耐熱性、
機械的特性、寸法安定性および電気絶縁性を有すること
に加え、表面粗度および静止摩擦係数が特定の範囲に制
御され、易滑性に優れていることにある。本発明の二軸
延伸ポリイミドフィルムの製造方法の特徴は、特定の構
造を有する熱可塑性ポリイミドを溶融成形法によりフィ
ルム成形することにある。尚、本発明におけるフィルム
の表面粗度、動摩擦係数および静止摩擦係数は、後述の
実施例に示す方法により測定した値である。
【0009】以下、本発明の構成について詳細に説明す
る。本発明で使用する熱可塑性ポリイミドは、既に耐熱
性のポリイミドとして知られている一般式(1)〔化
1}
【0010】
【化1】 (式中、RおよびR1は、炭素数2以上の脂肪族基、環
式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基からなる群より選ばれた基であり、R
は4価の基、R1は2価の基を示す)で表わされる繰り
返し構造単位を有するものの中から熱可塑性を有するポ
リイミドが用いられる。好ましくは、一般式(2)〔化
2}
【0011】
【化2】 (式中、Rは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、
単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接
または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香
族基からなる群より選ばれた4価の基を示し、Xは単結
合、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、イソプロピ
リデン基またはヘキサフルオロイソプロピリデン基の2
価の基を示す)で表される繰り返し構造単位を有するポ
リイミド、および、一般式(3)〔化3}
【0012】
【化3】 〔式中、Aは硫黄原子、酸素原子、スルホン基、メチレ
ン基、エチリデン基、イソプロピリデン基またはヘキサ
フルオロイソプロピリデン基の2価の基を示し、Rは一
般式(4)〔化4}
【0013】
【化4】 (式中、Bは硫黄原子、スルホン基、メチレン基、エチ
リデン基、イソプロピリデン基またはヘキサフルオロイ
ソプロピリデン基の2価の基を示す)を示す〕で表され
る繰り返し構造単位を有するポリイミドである。
【0014】さらに、好ましく使用されるポリイミド
は、一般式(2)〔化2}において、Rが式(5)〔化
5}、
【0015】
【化5】 式(6)〔化6}、
【0016】
【化6】 式(7)〔化7}、
【0017】
【化7】 式(8)〔化8}、
【0018】
【化8】 式(9)〔化9}
【0019】
【化9】 である繰り返し構造単位を有するポリイミドが挙げられ
る。上記のポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無
水物と芳香族ジアミンとの脱水縮合反応によって得るこ
とができる。
【0020】これらポリイミドを得るために用いる芳香
族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタン
テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカル
ボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,
3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,
6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,
4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無
水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェ
ニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボ
キシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−
ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)1,1,1,3,
3,3−ヘキサクロロプロパン二無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビ
ス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸
二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフ
タル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルフィドジオ
キシビス(4−フタル酸)二無水物、4,4’−ジフェ
ニルスルホンジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、
メチレンビス−(4−フエニレンオキシ−4−フタル
酸)二酸無水物、エチリデンビス−(4−フエニレンオ
キシ−4−フタル酸)二酸無水物、イソプロピリデンビ
ス−(4−フエニレンオキシ−4−フタル酸)二酸無水
物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス−(4−フエ
ニレンオキシ−4−フタル酸)二酸無水物等が挙げられ
る。
【0021】また、ポリイミドを得るために用いる芳香
族ジアミンとしては、例えば、ビス[4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’
−ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビ
ス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニル
メタン、1,1−ジ(p−アミノフェニル)エタン、
2,2−ジ(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−
ジ(p−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらの芳香
族テトラカルボン酸二無水物または芳香族ジアミンはそ
れぞれ単独で、または2種以上を混合して使用できる。
【0022】本発明で使用するポリイミドは、これらの
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンと
を、通常の公知の方法、例えば、モノマー同志またはモ
ノマーを有機溶媒中に懸濁または溶解させた後、加熱ま
たは化学的に脱水し、生成物を分離、精製する一般的な
方法により得ることが出来る。上述のようにして得られ
たポリイミドの内、本発明で原料として使用するポリイ
ミドは、400℃、200sec-1の剪断速度のもとで
100〜600000ポイズの範囲の溶融粘度を有する
ものが好ましく用いられる。100ポイズ未満のもの
は、溶融成形が難しく、得られるフィルムの面状態が悪
く、機械強度も低下するので好ましくない。また、60
0000ポイズを越えるものは、溶融粘度が高すぎてフ
ィルムへの成形が困難である。
【0023】本発明の二軸延伸ポリイミドフィルムに内
蔵される無機充填剤としては、一般的に使用される無機
微粒子を使用することができ、例えば、炭酸カルシウ
ム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、酸化マグネ
シウム、酸化珪素、酸化チタン等が挙げられる。これら
の内で粒径が微細で、かつ、高精度に均一であるシリカ
およびアルミナが好適に用いられる。本発明の二軸延伸
ポリイミドフィルムは、突起径が0.01μm以上であ
る無機充填剤かららる突起物が表面上に平均約1×10
4〜5×107個/mm2、好ましくは、1×104〜1×
107個/mm2の程度で突出していることが望ましい。
1×104個/mm2未満と極端に少ない場合、接触面積
が大きくなり摩擦係数が充分に低下しないため易滑性の
劣るものとなる。また、5×107個/mm2より大きい
場合、フィルムが滑りすぎ、かえって作業性が悪くな
る。
【0024】以下、本発明の二軸延伸ポリイミドフィル
ムの製造方法について説明する。本発明の方法におい
て、熱可塑性ポリイミドをフィルムに製膜加工する前の
原料ポリイミドにすでに上記無機充填剤が混入、分散さ
れていなければならない。無機微粒子を熱可塑製ポリイ
ミドと混合する方法は、以下のような態様に分類され
る。
【0025】熱可塑性ポリイミドの重合段階(モノマ
ー状態)において装入する方法 上記芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジア
ミンと同時に上記無機充填剤を反応器に装入し、公知の
方法により反応、加熱または化学的に脱水することで、
無機充填剤が混入されたポリマーを得、分離、精製する
方法が挙げられる。なお、ポリマー中に無機微粒子が均
一に混入されるためには、重合工程において充分に撹拌
される必要がある。
【0026】こうして得られた無機充填剤を含有するポ
リイミドは通常の公知の方法でペレット化・フィルム製
膜される。この時、ペレット化される粉体原料は含水分
量が50ppm未満のものが好ましく、50ppmを越
えるとペレット中に気泡が発生し、製膜時にフィルム内
に気泡が発生したり、酸化劣化を起こすことがあり好ま
しくない。また、フィルム製膜されるペレット原料とし
ては、ボイドを含まず、含水分量が50ppm未満であ
るこのが好ましく、ボイドおよび50ppmを越える含
水分量がある場合、製膜時にフィルム内に気泡が発生す
ることがあり好ましくない。
【0027】粉体状ポリイミドに混入する方法 上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン
とを、公知の方法により反応、加熱または化学的に脱水
し、得られたポリイミド粉体に上記無機充填剤を添加
し、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等を用いて
均一に混合する方法が挙げられる。得られた原料を公知
の方法でペレット化・フィルム化する。ペレット化され
る粉体原料は含水分量が50ppm未満のものが好まし
く、50ppmを越えるとペレット中に気泡が発生し、
製膜時にフィルム内に気泡が発生したり、酸化劣化を起
こすことになる。また、フィルム製膜されるペレット原
料としては、ボイドを含まず、含水分量が50ppm未
満であるこのが好ましく、ボイドおよび50ppmを越
える含水分量がある場合、製膜時にフィルム内に気泡が
発生したりすることになる。
【0028】ポリイミドペレット中に混入させる方
法;上記の方法において、無機充填剤を混入せずに得
られたポリイミドからなるペレットと、上記無機充填剤
とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等を用いて
混合し、公知の方法でフィルムに製膜する方法が例示さ
れる。フィルムに製膜されるペレットは、ボイドを含ま
ず、含水分量が50ppm未満であることが好ましく、
ボイドおよび50ppmを越える含水分量がある場合、
製膜時にフィルム内に気泡が発生することがあり好まし
くない。上記方法の中では、の方法が最も無機充填剤
の分散性が良好であり好適に用いられる。
【0029】本発明に用いられる無機充填剤の平均粒径
は、0.002〜1μm、好ましくは0.005〜0.
5μmのものが使用される。平均粒径が0.002μm
未満では、無機充填剤の均一分散が困難であり、また、
均一に分散したとしても、接触面積が大きく易滑性の劣
るフィルムとなる。また、1μmを越えると滑り性が良
すぎて作業性の劣るものとなるので好ましくない。上記
粒径を有する無機充填剤は、熱可塑製ポリイミド100
重量部に対し、1〜5重量部の範囲で混入されることが
好ましい。さらに好ましくは、1〜3重量部の範囲であ
る。二軸延伸後のフィルム表面上に無機充填剤からなる
突起径が0.01μm以上である微細突起が平均約1×
104〜5×107個/mm2、好ましくは、1×104
1×107個/mm2の範囲で突出するように無機充填剤
の量を上記範囲内で調整する。
【0030】本発明による方法において、フィルム製膜
は公知の方法で行われるが、Tダイ式溶融押出成形が、
操作が容易で、フィルムの平板性が良く、無機充填剤の
分散性が良好である、などのことから好適に用いられ
る。これらの方法により得られた未延伸フィルムは、機
械強度、寸法安定性等の物性を向上させるため二軸延伸
および熱処理される。二軸延伸および熱処理の方法は、
延伸処理の条件によってつぎの態様に分けられる。
【0031】逐次二軸延伸法 前記の未延伸フィルムを特定温度範囲で一方向に延伸
し、その後、その直角方向に特定温度範囲で延伸し、つ
いで熱固定して二軸延伸フィルムを製造する方法であ
る。二軸延伸の具体的条件は、一段目の延伸がガラス転
移温度(以下、Tgと言う)〜結晶化開始温度(以下、
Tcと言う)、好ましくはTg+10℃〜Tc−10℃
の温度範囲で、一方向に1.5〜3.0倍延伸し、二段
目の延伸が一段目の延伸方向と直角方向に、Tg+10
℃〜Tc、好ましくはTg+20℃〜Tc−10℃の温
度範囲で、1.5〜3.0倍延伸する。
【0032】延伸させる手段としては一対以上のロール
群を用いて延伸する方法、テンターを用いて延伸する方
法、ロールを用いた圧延による延伸方法等の公知の方法
を用いることができる。その際、一段目の延伸温度がT
g未満では延伸が困難であり、Tcを越えるとフィルム
が透明性を失い脆化し延伸することが出来ないので好ま
しくない。また、延伸倍率が1.5倍未満では後の熱処
理工程でしわが入ったり、脆いフィルムが得られたりし
て好ましくなく、3.0倍を越えると延伸中に高度に配
向し、二段目の延伸時に破れを起こしたりするなど不都
合な問題が起きて好ましくない。
【0033】また、二段目の延伸温度がTg+10℃未
満では延伸が困難であり破れが多発し、またTcを越え
るとフィルムの脆化、フィルムの破れ等のトラブルが発
生し好ましくない。延伸時の延伸速度は1〜10000
0%/minの範囲が好ましい。また、延伸前にフィル
ムを結晶化が進行しない程度に予熱することは、円滑な
延伸ができて好ましい。このようにして得られた二軸延
伸フィルムは、次いでTg以上、融点(以下、Tmと言
う)未満、好ましくはTg+10℃〜Tm−10℃の範
囲で、1〜5000秒間、緊張下または制限収縮下で熱
固定する。
【0034】同時二軸延伸法 前記の未延伸フィルムを特定温度範囲で互いに直角をな
す二方向に面積倍率が2〜10倍の範囲で同時に延伸
し、次いでTg以上、Tm未満の温度範囲で熱固定して
二軸延伸ポリイミドフィルムを製造する方法である。同
時二軸延伸の具体的条件は、未延伸フィルムをTg〜T
c、好ましくはTg+10℃〜Tc−10℃の温度範
囲、面積倍率で2〜10倍の範囲で延伸することにより
二軸延伸フィルムが得られる。延伸温度がTg未満では
延伸応力が高く延伸が不可能であり、Tcを越えると上
記逐次二軸延伸における一段目の延伸時と同様になり好
ましくない。また、延伸倍率がその面積比で2倍未満で
は後の熱処理工程でしわになったり脆いフィルムが得ら
れたりして好ましくなく、10倍を越える倍率では延伸
できない。これらの延伸方法において、延伸速度は1〜
100000%/minの範囲が好ましい。また、延伸
前にフィルムを結晶化が進行しない程度に予熱すること
はスムーズな延伸ができて好ましい。
【0035】このようにして得られた二軸延伸フィルム
は、Tg以上融点(以下、Tmと言う)未満、好ましく
はTg+10℃〜Tm−10℃の範囲で、1〜5000
秒間、緊張下または制限収縮下で熱固定する。このよう
にして得られた二軸延伸熱可塑性ポリイミドフィルム
は、表面粗度が0.005μm以下、静止摩擦係数が
0.3〜0.6であるポリイミドフィルムとなり、優れ
た耐熱性、機械特性、寸法安定性を有しているばかり
か、優れた易滑性をも有し、フィルムの巻取り、巻き返
し工程、あるいは、スリット等の加工工程における作業
性が良好であり、フィルム表面へ傷が付き難くなる等、
電気絶縁用フィルム、記録媒体ベースフィルム、誘電体
フィルム等に有用かつ実用的なものである。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。なお、実施例において記述したポリイミドフィル
ムの特性値の測定方法を以下に示す。
【0037】(1)表面粗度(Ra) 表面粗度の測定には、(株)小坂研究所製、サーフコー
ダーAY−31を用いた。また、表面粗度(中心線平均
粗さ)はJIS B−0601に規定される方法に従っ
て求めた。
【0038】(2)静止摩擦係数(μs) 静止摩擦係数の測定には、(株)東洋精機製作所製、摩
擦係数測定装置を使用し、ASTM D−1894に規
定される方法に従って測定した。
【0039】(3)動摩擦係数(μm) 動摩擦係数の測定には、(株)東洋精機製作所製、スラ
スト磨耗試験機を使用し、ASTM D−1894に規
定される方法に従って測定した。
【0040】(4)フィルム表面の突起物の数(n) 電子顕微鏡を用いて倍率10000倍でフィルム表面を
写真撮影し、直径0.01μm(実物長さ)以上の突起
物を計数し、1平方ミリメートル当たりの個数に換算し
た。
【0041】実施例1 撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応容器
に、4,4, −ビス(3−アミノフェノキシ) ビフェニ
ル3.68kg(10モル)、N,N−ジメチルアセト
アミド25kg及び平均粒子径1μmのアルミナ粉体1
16.4gを装入し、窒素雰囲気下に、ピロメリット酸
二無水物2.14kg(9.80モル)を溶液温度の上
昇に注意しながら分割して加え、さらに無水フタル酸5
9g(0.4モル)を加えて室温で約20時間かきま
ぜ、続けて303g(3モル)のトリエチルアミンおよ
び306g(3モル)の無水酢酸を約50分かけて添加
し、その後約2時間かきまぜた。この溶液に20kgの
メタノールを装入し、30℃においてポリイミド粉を濾
別した。得られたポリイミド粉をメタノールおよびアセ
トンで洗浄した後、窒素雰囲気下に、300℃で8時間
乾燥して、約5kgのアルミナ粒子を含有するポリイミ
ド粉を得た。得られたポリイミドの溶融粘度は高下式フ
ローテスター(島津製作所社製、CFT−500)を用
いて測定し、200sec-1の見掛け剪断速度、400
℃での見掛け粘度で5500ポイズであった。
【0042】得られたポリイミド粉を180℃で24時
間乾燥し、25mmベント式押出機により、410℃で
溶融し、直径2mmのノズルより押出し、自然放冷によ
り径約1.8mmのストランドを得た。これを長手方向
に約3mmに切断し、アルミナ粒子を含有するペレット
を得た。このポリイミドペレットの溶融粘度は400
℃、200sec の剪断速度の条件で5600ポイズ
であった。また、ガラス転移温度はDS法(昇温速度4
℃/min.)により求め、248℃であった。得られ
たペレットを熱風乾燥機に入れ、180℃で24時間乾
燥した。これをT−ダイ式30mm押出機に供給し、加
熱溶融して押出し、厚み100μmの未延伸フィルムを
得た。
【0043】該未延伸フィルムをバッチ式延伸機(岩本
製作所(株)製、形式;BIX−702)を用いて、2
80℃において縦横それぞれに3倍逐次二軸延伸し、二
軸延伸フィルムとし、さらに、該二軸延伸フィルムを緊
張下、延伸方向と逆の二方向に7%制限収縮させながら
310℃において10分間熱処理し、アルミナ粒子を含
有する二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィ
ルムの表面粗度(Ra)、静止摩擦係数(μs)、動摩
擦係数(μm)およびフィルムの表面上の突起物数を測
定した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0044】実施例2 熱可塑性ポリイミド(三井東圧化学(株)製、商品名;
NEW−TPI)の粉体100重量部および平均粒子径
1μmのアルミナ粉体2重量部を、室温において30分
間リボンブレンダーを用いて混合し組成物とした。得ら
れた組成物を実施例1と同様にしてペッレット化、溶融
押出、延伸および熱処理し、アルミナ粒子を含有する二
軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの品
質評価を実施例1と同様にして行い、その結果を〔表
1〕に示す。
【0045】実施例3 無機充填剤として平均粒子径1μmのシリカ粉体を用い
た以外、実施例1と同様にしてシリカ粒子を含有する二
軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの品
質評価を実施例1と同様にして行い、その結果を〔表
1〕に示す。
【0046】比較例1 平均粒子径1μmのアルミナ粉体を用いなかった以外、
実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られ
た二軸延伸フィルムの品質評価を実施例1と同様にして
行い、その結果を〔表1〕に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明の二軸延伸ポリイミドフィルム
は、優れた耐熱性、機械特性、寸法安定性を有している
ばかりか、優れた易滑性をも有し、フィルムの巻取り、
巻き返し工程、あるいは、スリット等の加工工程におけ
る作業性が良好であり、フィルム表面へ傷が付き難くな
る等、電気絶縁用フィルム、記録媒体ベースフィルム、
誘電体フィルム等の用途に有用かつ実用的なものであ
る。また、本発明の二軸延伸ポリイミドフィルムの製造
方法は、特定の構造を有する熱可塑性ポリイミドを主原
料として用いるため、溶融成形法によるフィルム成形が
可能であり、成形加工性がよい利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 一成 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 本地 靖子 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリイミド100重量部および
    平均粒径0.002〜1μmの無機充填剤1〜5重量部
    を含む二軸延伸フィルムであって、該フィルムの表面粗
    度が0.005μm以下、静止摩擦係数が0.3〜0.
    6である二軸延伸ポリイミドフィルム。
  2. 【請求項2】 無機充填剤がシリカまたはアルミナであ
    る請求項1記載の二軸延伸ポリイミドフィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリイミド100重量部および
    平均粒径0.002〜1μmの無機充填剤1〜5重量部
    を含む樹脂組成物を溶融成形して未延伸フィルムとし、
    該フィルムをガラス転移温度〜結晶化開始温度未満の温
    度において二軸延伸し、さらにガラス転移温度〜融点未
    満の温度において熱処理することを特徴とする二軸延伸
    ポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 無機充填剤がシリカまたはアルミナであ
    る請求項3記載の二軸延伸ポリイミドフィルムの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006057099A (ja) * 2002-02-06 2006-03-02 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂組成物
EP3722069A4 (en) * 2017-12-04 2021-08-18 Kolon Industries, Inc. PROCESS FOR MANUFACTURING A POLYIMIDE-BASED FILM AND POLYIMIDE-BASED FILM MANUFACTURED THEREFORE

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