JPH07145321A - 易滑性ポリイミド系押出成形体 - Google Patents

易滑性ポリイミド系押出成形体

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JPH07145321A
JPH07145321A JP5291611A JP29161193A JPH07145321A JP H07145321 A JPH07145321 A JP H07145321A JP 5291611 A JP5291611 A JP 5291611A JP 29161193 A JP29161193 A JP 29161193A JP H07145321 A JPH07145321 A JP H07145321A
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formula
group
polyimide
slippery
molded article
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JP5291611A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Katsuyama
仁之 勝山
Yasuhiko Ota
靖彦 太田
Masumi Saruwatari
益巳 猿渡
Kazunari Okada
一成 岡田
Yasuko Fujii
靖子 藤井
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面粗度および静止摩擦係数が小さく、しか
も耐熱性に優れた易滑性ポリイミド系押出成形体を提供
する。 【構成】 熱可塑性ポリイミド50〜97重量%、及び
ポリエーテルエーテルケトン3〜50重量%を含有する
ポリイミド系押出成形体であって、その中心線平均粗度
(Ra)が0.2μm以下であり、且つ、静止摩擦係数
が0.5以下であることを特徴とする易滑性ポリイミド
系押出成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面精度が良好で、且
つ、易滑性に優れたポリイミド系押出成形体に関する。
より詳細には、熱可塑性ポリイミド50〜97重量%、
およびポリエーテルエーテルケトン3〜50重量%を含
有するポリイミド系押出成形体であって、表面精度及び
易滑性に優れた熱可塑性ポリイミド系押出成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリイミド成形体は、優れた耐
熱性、機械的特性、寸法安定性、電気絶縁性等を有する
ことから、電気・電子工業分野、機械工業分野、原子力
工業分野、自動車工業分野等の分野で広く使用されてい
る。
【0003】しかしながら、熱可塑性ポリイミド成形体
は、易滑性において必ずしも充分であるとはいえない。
例えば、フィルムについては、易滑性が劣るとフィルム
とフィルム、またはフィルムと他の材料とが接触する際
に、表面に傷がつきフィルムの外観が損なわれるばかり
でなく、機械的特性、光学的特性、電気的特性等が劣化
する原因となる。すなわち、フィルムをスリットして所
定の寸法に仕上げる場合、フィルム表面に他の資材をコ
ーティング等を施す場合、フィルム間あるいはフィルム
とロール等の機器、材料間の摩擦力により、大きな張力
がかかりフィルムが送りにくく、また、ロール状に巻き
取ることも困難である。また、他の成形体についても、
滑り性が悪いと加工時の作業性が非常に悪くなる。
【0004】従来、成形体の滑り性を改善する手段とし
て、フィルムの表面に無機充填剤の突起を形成する方法
が提案されている。例えば、特開平2−38429号公
報には、ポリイミドフィルムの片面側に沿って全面的に
微細な無機充填剤が偏在して内蔵されている層状部分を
有すると共に、該フィルムの面の側では無機充填剤を実
質的に含有していない層状部分を有する芳香族ポリイミ
ドフィルムであり、該フィルムの無機充填剤が内蔵され
ている片面側の表面には前記無機充填剤による微細な突
起が多数突出している該表面が0.2〜0.6の静摩擦
係数を有しており、しかも、該フィルムの無機充填剤を
含有していない他の面の側における表面は、平均表面粗
さが20Åより小さい値を有する平滑面である記録媒体
用ポリイミドフィルムが開示されている。しかし、この
方法で得られたフィルムは、無機充填剤の添加量が少な
いとその効果が小さく、多いとフィルムの透明性を損な
うこととなり、さらに、激しい磨耗等により無機充填剤
が剥離、脱落する欠点があり好ましい方法ではない。
【0005】また、表面をブラスト処理もしくはエンボ
ス加工する方法が考えられる。しかし、この場合、滑り
性(易滑性)は改善されるが表面精度を犠牲にしなけれ
ばならず好ましい方法とはいえない。
【0006】更に、特定の水溶性有機溶媒、水、無機粒
子等を特定の比率で含むポリエステル樹脂の水系分散液
をポリエステルフィルムの表面に塗布して滑性を改善す
る方法が提案されている。例えば、特公平3−7620
7号公報には、主要触媒としてゲルマニウムを用いて重
合された実質的に外部滑剤を含有せず、しかも温度10
±1℃の冷媒で冷却した金型で射出成形した板厚4mm
の成形板の曇価が20%以下の値を示すポリエステルを
溶融押出して得られた未延伸ポリエステルフィルムまた
は一軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
(A)全ジカルボン酸成分中に0.5〜15モル%のス
ルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸を含有する混合
ジカルボン酸をポリエステルのジカルボン酸成分とする
二次転移点が50℃以上のポリエステル共重合体を過剰
の80℃熱水中で24時間撹拌処理した後のポリエステ
ル共重合体の重量減少が5%以下の水不溶性ポリエステ
ル共重合体、(B)沸点60〜200℃の水溶性有機溶
媒、(C)水、及び(D)無機粒子を含有し、且つ上記
各々が(A)/(B)=100/20〜5000、
(B)/(C)=100/50〜10000、(A)/
(D)=100000/5〜300の重量割合に配合さ
れたポリエステル樹脂の水系分散液を塗布したのち、こ
の塗布フィルムを更に少なくとも一軸延伸することを特
徴とする透明易滑性フィルムの製法が開示されている。
しかし、この方法で得られたフィルムは耐熱性が要求さ
れる用途には使用出来ない欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、中心線平均粗度および静止摩擦係数が小
さく、しかも耐熱性に優れた易滑性ポリイミド系押出成
形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性ポリイミド
とポリエーテルエーテルケトンとを特定の重量割合で混
合した樹脂組成物から得られた押出成形体が中心線平均
粗度および静止摩擦係数が小さく、優れた易滑性を有
し、しかも耐熱性にも優ていることを見出し、本発明に
到った。
【0009】すなわち、本発明は、熱可塑性ポリイミド
50〜97重量%、及びポリエーテルエーテルケトン3
〜50重量%を含有するポリイミド系押出成形体であっ
て、その中心線平均粗度(Ra)が0.2μm以下であ
り、且つ、静止摩擦係数が0.5以下であることを特徴
とする易滑性ポリイミド系押出成形体である。
【0010】本発明の易滑性ポリイミド系押出成形体の
特徴は、熱可塑性ポリイミドとポリエーテルエーテルケ
トンとが特定の重量割合で混合された押出成形体であっ
て、小さな中心線平均粗度と静止摩擦係数を有し、且
つ、すぐれた易滑性および耐熱性を有することにある。
本発明の易滑性ポリイミド系押出成形体は、押出成形を
利用して得られた成形体であり、フィルム、シート、繊
維、チューブ、棒状等の成形体が含まれる。これらの
内、好ましい押出成形体はフィルムまたはシートであ
る。
【0011】本発明における中心線平均粗度および静止
摩擦係数は、後述する実施例に示した方法により測定し
た値である。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で使用する熱可塑性ポリイミドは、既に耐熱性のポ
リイミドとして知られている式(9)〔化9〕
【0013】
【化9】 (式中、RおよびR1は、炭素数2以上の脂肪族基、環
式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基からなる群より選ばれた基であり、R
は4価の基、R1は2価の基を示す)で表わされる繰り
返し構造単位を有するものの内、熱可塑性を有するポリ
イミドが用いられる。
【0014】好ましくは、式(1)〔化10〕
【0015】
【化10】 (式中、Rは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、
単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接
または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香
族基からなる群より選ばれた4価の基を示し、Xは単結
合、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、イソプロピ
リデン基またはヘキサフルオロイソプロピリデン基の2
価の基を示す)で表されるの繰り返し構造単位を有する
熱可塑性ポリイミドである。
【0016】さらに好ましくは、式(1)〔化11〕に
おけるRが、式(2)〔化11〕
【0017】
【化11】 式(3)〔化12〕
【0018】
【化12】 式(4)〔化13〕
【0019】
【化13】 式(5)〔化14〕
【0020】
【化14】 または式(6)〔化15〕
【0021】
【化15】 で表される4価の結合基である熱可塑性ポリイミドであ
る。
【0022】最も好ましい熱可塑性ポリイミドは、式
(7)〔化16〕
【0023】
【化16】 で表される繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイミ
ドである。上記熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの脱水縮合反応に
よって得ることができる。
【0024】これらの可塑性ポリイミドを得るために用
いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例え
ば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン
テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、
1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラ
カルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジ
カルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水
物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−
1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン二無水
物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エ
タン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)
メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオ
キシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレ
ンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニ
ルスルフィドジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、
4,4’−ジフェニルスルホンジオキシビス(4−フタ
ル酸)二無水物、メチレンビス−(4−フエニレンオキ
シ−4−フタル酸)二酸無水物、エチリデンビス−(4
−フエニレンオキシ−4−フタル酸)二酸無水物、イソ
プロピリデンビス−(4−フエニレンオキシ−4−フタ
ル酸)二酸無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビ
ス−(4−フエニレンオキシ−4−フタル酸)二酸無水
物等が挙げられる。
【0025】また、芳香族ジアミンとしては、例えば、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフ
ィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]
スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)
ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェ
ニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’
−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ジ(p−アミノ
フェニル)エタン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)
プロパン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げ
られる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物また
は芳香族ジアミンはそれぞれ単独で、または2種以上を
混合して使用できる。
【0026】本発明で使用するポリイミドは、これらの
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンと
を、通常の公知の方法、例えば、モノマー同志またはモ
ノマーを有機溶媒中に懸濁または溶解させた後、加熱ま
たは化学的に脱水し、生成物を分離、精製する一般的な
方法により得ることが出来る。熱可塑性ポリイミドの溶
融粘度は、フィルムの成形性に影響を及ぼす。溶融粘度
が低いと得られるフィルムの表面面状態が悪くなり、機
械強度も低下する。また、溶融粘度が高いと成形性が低
下する。かかる点を考慮して、本発明で使用する熱可塑
性ポリイミドは、400℃、200sec-1の剪断速度
のもとで100〜600,000ポイズの範囲の溶融粘
度を有するものが好ましく用いられる。
【0027】また、本発明で使用されるポリエーテルエ
ーテルケトンとは、代表的には各種ビスフェノールのジ
アルカリ金属塩と2個のハロゲン原子がオルト位または
パラ位、好ましくはパラ位の−CO−により、また場合
により−CO−の一部が−SO2−により置き換えられ
て活性化されている芳香族ジハライドとを、例えば溶媒
である芳香族スルホンの存在下で重縮合反応させること
により得られる重合体である。代表的な例としては、例
えば、式(8)〔化17〕
【0028】
【化17】 で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルエー
テルケトンが挙げられる。本発明において、これらのポ
リエーテルエーテルケトンの内、成形性を考慮して、A
STM−D1238に規定される方法に準じて、360
℃、2.16kg荷重条件下で測定したメルトフローイ
ンデックスが1〜5g/10minの範囲の熱可塑性ポ
リエーテルエーテルケトンが好ましく用いられる。かか
る特性を有するポリエーテルエーテルケトンとして市販
されている代表的なものには、英国ICI社製、VIC
TREX−PEEK−450P、VICTREX−PE
EK−380P、VICTREX−PEEK−150P
等が挙げられる。
【0029】尚、本発明で使用されるポリエーテルエー
テルケトンは式(8)〔化17〕で表される繰り返し構
造単位の他に、式(10)〔化18〕
【0030】
【化18】 (式中、Aは直接結合、酸素、硫黄、−SO2−、−C
O−または二価の炭化水素基を示す)、式(11)〔化
19〕
【0031】
【化19】 (式中、オキシフェニレン基の酸素原子は、基Qまたは
Q’に対しオルト位またはパラ位にあり、QおよびQ’
は同一または異なる−CO−または−SO2−であり、
Ar’は二価の芳香族基であり、mは0、1、2または
3である)、または、式(12)〔化20〕
【0032】
【化20】 で表される繰り返し構造単位を含むポリエーテルエーテ
ルケトンを用いることができる。これらのポリエーテル
エーテルケトンは、例えば特開昭50−27897号公
報、同51−119797号公報、同52−38000
号公報、同54−90296号公報、特公昭55−23
574号公報、同56−2091号公報等に記載の方法
によって製造することができ、少なくともこれらの1種
又は2種以上の混合物が用いられる。
【0033】ポリイミドとポリエーテルエーテルケトン
の配合割合は、得られる押出成形体の高温機械物性およ
び静止摩擦係数に影響を及ぼす。ポリエーテルエーテル
ケトンの配合割合が本発明の配合範囲を超えて多いと得
られる成形体の高温機械物性が低下し、ポリイミド樹脂
の優れた高温物性を損なうことになる。また、逆に少な
いと得られる成形体の静止摩擦係数が高くなる。かかる
観点から、本発明において、ポリイミドとポリエーテル
エーテルケトンの配合割合は、ポリイミド樹脂50〜9
7重量%に対しポリエーテルエーテルケトン3〜50重
量%の範囲から選択される。
【0034】本発明の易滑性ポリイミド系押出成形体に
は、上記両樹脂の他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線
吸収剤、着色剤等の他の添加剤が本発明の目的を損なわ
ない範囲で配合されても良い。
【0035】次に、本発明の易滑性ポリイミド系押出成
形体の製造方法について説明する。本発明の易滑性ポリ
イミド系押出成形体は、上記熱可塑性ポリイミドと上記
ポリエーテルエーテルケトンを特定の配合割合で混合
し、さらに必要な場合は他の添加剤を添加、混合し、得
られた樹脂組成物を押出成形することにより得られる。
両樹脂を混合する方法には特に制限がなく、公知の混合
方法、例えば、リボンブレンダー等を用いて混合する方
法が挙げられる。混合方法として、熱可塑性ポリイミド
とポリエーテルエーテルケトンをそれぞれ粉体状で混合
した後ペレット状に成形する方法、または、予め両樹脂
をペレット状に成形した後、混合する方法があるが、両
者を均一に混合するためには前者の方法が好ましい。
【0036】ペレット状に成形する方法には特に制限が
なく、公知の方法が用いられる。例えば、ストランドダ
イを装着した一軸または二軸式押出機を用いて、300
〜450℃の温度範囲で混練し、溶融樹脂をストランド
状に押出し、冷却した後切断してペレットとする方法、
または、溶融ストランドを切断した後、冷却する方法等
が挙げられる。ペレット化せずに熱可塑性ポリイミドと
ポリエーテルエーテルケトンをそれぞれ粉体状で混合
し、それから直接フィルムを成形してもよいが、両樹脂
を均一に混合するためにはペレット化した後、押出成形
する方法が好ましい。
【0037】得られたペレットを用いて押出成形する方
法は、公知の方法が適用される。例えば、押出機を用い
てフィルムまたはシートを押出成形する方法として、特
開平2−209924号公報に開示されるように、上記
熱可塑性ポリイミドと上記ポリエーテルエーテルケトン
を乾燥して水分含有量を200ppm以下にした後、こ
れをTダイが装着された押出機に供給し、300〜45
0℃の温度範囲において混練、溶融押出する方法が挙げ
られる。チューブを成形する場合には円筒型スリットダ
イ、丸棒または繊維を成形する場合には円筒型ノズルが
それぞれ装着された押出機を用いる。押出機としては、
一軸または二軸式押出機が好ましく用いられる。押出温
度は、300〜450℃の温度範囲が好ましい。ダイか
ら押し出された溶融状樹脂は、表面温度が樹脂のガラス
転移点未満の温度に制御された冷却ロール等を用いて冷
却する。
【0038】本発明のポリイミド系押出成形体の形状に
は特に制限はないが、一般的には、フィルムの場合は厚
み5〜300μm程度、シートの場合は厚み2〜10m
m程度、チューブの場合は外径1〜400mm、内径5
〜1000μm程度、丸棒の場合は直径1〜200mm
程度である。
【0039】このようにして得られた特定量の熱可塑性
ポリイミドおよびポリエーテルエーテルケトンを含む易
滑性ポリイミド系押出成形体は、表面精度が良好でその
中心線平均粗度(以下、Raという)は0.2μm以下
であり、且つ、滑り性が良好でその静止摩擦係数が0.
5以下である。Raが0.2μmを超えるものは摺動材
として用いた場合、摺動部での磨耗が激しくなり、磨耗
粉が生ずるため好ましくない。また、静止摩擦係数が
0.5を超えると、押出成形体の滑り性が悪く、例えば
フィルム、シート、繊維などを巻き取る際に皺、折れ等
が発生し取扱が非常に困難になるため好ましくない。
【0040】本発明のポリイミド系押出成形体は優れた
ポリイミド単体からなる成形体と略同等の耐熱性、機械
物性、寸法安定性を有しているので、各分野において広
く用い得るものである。
【0041】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説
明する。なお、実施例において記述したポリイミド系押
出成形体の特性値の測定方法を以下に示す。 (1)溶融粘度(ポイズ) 装置:島津製作所製フローテスターCFT−500を用
いて、下記の条件において測定する。 条件:ノズル径;φ1mm、ノズル長さ;10mm 断面積;1cm2 温度;400℃、荷重;100kgf プランジャー移動距離;2mm (2)中心線平均粗度(Ra)の測定方法(単位:μ
m) (株)小坂研究所製「サーフコーダAY−31」を用い
て、JIS−B0601に規定される方法に従って中心
線平均粗度(Ra)を測定する。 (3)静止摩擦係数(μS) 摩擦係数測定装置((株)東洋精機製作所製)を使用し
て、ASTM−D1894に規定される方法に従って測
定する。 (4)ブロッキング性 フィルム状成形品について、フィルム巻取り機で巻き取
った際の外観から判断し、次のようにしてブロッキング
性を判定する。 ○:しわ等が無いものを良好とする。 ×:しわ、折れ等が認められたものを不良とする。
【0042】実施例1 4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルと
ピロメリット酸二無水物を原料として得られた溶融粘度
4000ポイズのポリイミド(ポリイミドA)パウダー
(以下、PI−Aという)およびポリエーテルエーテル
ケトンパウダー(ICI社製、VICTREX−PEE
K450P)(以下、PEEKという)を150℃にお
いて10時間乾燥した。乾燥した両樹脂をそれぞれ〔表
1〕に示す割合(重量%)で用い、リボンブレンダーを
用いて室温において乾式混合した。得られた混合樹脂を
ストランドダイが装着された二軸押出機を用いて370
〜400℃で押出してペレットを得た。得られたペレッ
トを巾150mmのT−ダイが装着された一軸単軸押出
機(20mmΦ、シリンダー温度370〜410℃)に
供給し、混練、溶融押出して、厚み100μmのフィル
ムを得た。得られたフィルムについて上記方法により、
中心線平均粗度、静止摩擦係数およびブロッキング性を
測定した。樹脂の配合割合(重量%)および評価結果を
〔表1〕に示す。
【0043】実施例2 得られたペレットを円筒型スリットダイが装着された一
軸単軸押出機(20mmΦ、シリンダー温度370〜4
10℃)に供給した以外、実施例1と同様にして外径1
0mm、内径9.8mmのチューブを得た。得られたチ
ューブについて実施例1と同様にして中心線平均粗度お
よび静止摩擦係数を測定した。樹脂の配合割合(重量
%)および評価結果を〔表1〕に示す。
【0044】実施例3 得られたペレットを円筒型ノズルが装着された一軸単軸
押出機(20mmΦ、シリンダー温度370〜410
℃)に供給した以外、実施例1と同様にして径10mm
の丸棒を得た。得られた丸棒について実施例1と同様に
して中心線平均粗度および静止摩擦係数を測定した。樹
脂の配合割合(重量%)および評価結果を〔表1〕に示
す。
【0045】実施例4〜6 ポリイミドパウダー(PI−A)とポリエーテルエーテ
ルケトンパウダー(PEEK)の配合割合を〔表1〕に
示す重量比とした以外は、実施例1と同様にして、フィ
ルムを押出成形した。得られた各成形体について実施例
1と同様にして中心線平均粗度、静止摩擦係数およびブ
ロッキング性を測定した。樹脂の配合割合(重量%)お
よび評価結果を〔表1〕に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例7 ビス[4−(3アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
とピロメリット酸二無水物(PMDA)を原料として得
られた溶融粘度4000ポイズのポリイミドパウダー
(以下、PI−Bという)75重量%、および、PEE
K25重量%を使用した以外、実施例1と同様の操作を
行って厚さ100μmのフィルムを成形した。得られた
フィルムについて実施例1と同様にして中心線平均粗
度、静止摩擦係数およびブロッキング性を測定した。樹
脂の配合割合(重量%)および評価結果を〔表2〕に示
す。
【0048】比較例1〜2 樹脂の配合割合を〔表2〕に示す重量比とした以外、実
施例1と同様の操作を行って厚さ100μmのフィルム
を成形した。得られたフィルムについて実施例1と同様
にして中心線平均粗度、静止摩擦係数およびブロッキン
グ性を測定した。樹脂の配合割合(重量%)および評価
結果を〔表2〕に示す。
【0049】比較例3 PEEKを用いずに、PI−Aのみを実施例1と同様に
してペレット化し、得られたペレットを用いた以外、実
施例1と同様の操作を行ってダイより溶融状に押出し、
それをブラスト処理したロール(中心線平均粗度(R
a)5μm)上にキャスティングすることによりフィル
ム表面にエンボス処理を施し、厚さ100μmエンボス
フィルムを得た。得られたエンボスフィルムについて、
実施例1と同様にして中心線平均粗度、静止摩擦係数お
よびブロッキング性を測定した。樹脂の配合割合(重量
%)および評価結果を〔表2〕に示す。
【0050】〔表2〕に示したデータから明らかな如
く、実施例1〜7で得られた押出成形体は、いずれも中
心線平均粗度(Ra)が0.2μm以下であり表面精度
が良好である。また、静止摩擦係数がいずれも0.5以
下であり滑り性が良好である。フィルムのブロッキング
性も良好である。
【0051】一方、比較例1〜2で得られたフルムは、
ポリエーテルエーテルケトンの配合割合が低くすぎたた
め静止摩擦係数が0.5以上、ブロッキング性も悪く巻
物にはしわが発生した。更に、比較例3ではフィルム表
面をエンボス処理することにより静止摩擦係数を0.5
とし得たが、表面精度が悪いものとなった。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の易滑性ポリイミド系押出成形体
は、中心線平均粗度および静止摩擦係数が小さく、優れ
た易滑性を有する。その上、ポリイミド単体からなる押
出成形体と略同等の耐熱性、機械的特性、寸法安定性、
電気絶縁性等を有するので電気、電子工業分野、機械産
業、原子力、自動車工業等の分野で広く使用され得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 一成 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 藤井 靖子 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリイミド50〜97重量%、
    及びポリエーテルエーテルケトン3〜50重量%を含有
    するポリイミド系押出成形体であって、その中心線平均
    粗度(Ra)が0.2μm以下であり、且つ、静止摩擦
    係数が0.5以下であることを特徴とする易滑性ポリイ
    ミド系押出成形体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリイミドが、式(1)〔化
    1〕 【化1】 (式中、Rは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、
    単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接
    または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香
    族基からなる群より選ばれた4価の基を示し、Xは単結
    合、硫黄原子、スルホン基、カルボニル基、イソプロピ
    リデン基またはヘキサフルオロイソプロピリデン基の2
    価の基を示す)で表されるの繰り返し構造単位を有する
    熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする請求項1記
    載の易滑性ポリイミド系押出成形体。
  3. 【請求項3】 式(1)〔化1〕におけるRが、式
    (2)〔化2〕 【化2】 式(3)〔化3〕 【化3】 式(4)〔化4〕 【化4】 式(5)〔化5〕 【化5】 または式(6)〔化6〕 【化6】 で表される4価の結合基であることを特徴とする請求項
    2記載の易滑性ポリイミド系押出成形体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリイミドが、式(7)〔化
    7〕 【化7】 で表されるの繰り返し構造単位を有する熱可塑性ポリイ
    ミドであることを特徴とする請求項2または3記載の易
    滑性ポリイミド系押出成形体。
  5. 【請求項5】 ポリエーテルエーテルケトンが分子内に
    式(8)〔化8〕 【化8】 で表される繰り返し構造単位を有することを特徴とする
    請求項1記載の易滑性ポリイミド系押出成形体。
  6. 【請求項6】 易滑性ポリイミド系押出成形体が、フィ
    ルム、シート、チューブおよび丸棒から選ばれた少なく
    とも一種の押出成形体であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の易滑性ポリイミド系押出成形
    体。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999037704A1 (fr) * 1998-01-21 1999-07-29 Mitsubishi Plastics, Inc. Film isolant resistant a la chaleur, support vierge pour carte imprimee comprenant le film et procede de production du support
US8945694B2 (en) * 2005-09-16 2015-02-03 Sabic Global Technologies B.V. Poly aryl ether ketone polymer blends
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US9400091B2 (en) 2008-12-19 2016-07-26 Sabic Global Technologies B.V. Moisture resistant polyimide compositions
CN114773846A (zh) * 2022-04-25 2022-07-22 中国科学院兰州化学物理研究所 一种聚酰亚胺聚醚醚酮合金材料及其制备方法和应用

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