JP5754692B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関し、特に、ポリイミドフィルム製造時の延伸倍率を増大させることにより熱膨張係数を制御するポリイミドフィルムの製造方法に関する。
耐熱性、電気絶縁性および耐溶剤性等の各種の優れた特性を有するポリイミド樹脂は、従来からエレクトロニクス分野において広く用いられている。例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)、TABテープ、COF(チップオンフィルム)、あるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等に用いられている。
しかしながら、近年のFPC、半導体パッケージの高精細化に伴い、用いられるポリイミドフィルムも、耐熱性、電気絶縁性、耐溶剤性等の基本的な特徴だけではなく、より複雑な多くの特徴が要求されるようになっている。特に寸法変化においては、従来までは銅などの金属との貼り合わせが一般的な用途であり、金属と同等の熱膨張係数を持つことを要求されていたが、最近ではガラスやシリコンなど、一般的な金属よりも小さい寸法変化率を要求されている。
さらに、最近ではポリイミドフィルムを用いた用途が細分化しており、用途毎に要求される寸法変化の値が異なることが少なくない。
一般的に、ポリイミドフィルムの寸法変化率、すなわち熱膨張係数を小さくするためにはポリイミドを構成する分子構造を変化させることで可能となるが、用途毎に分子構造を変化させることは工業的に好ましくない。また、フィルム搬送方向(MD方向)とそれに直交する方向(TD方向)ともにガラス並である3ppm/Kの熱膨張係数を持つ全芳香族ポリイミドフィルムはこれまで工業化されていない。
これらの問題に対し、延伸技術を用いることでこれらの問題を達成しようとしたことがある。例えば、特許文献1ではポリイミドフィルムを製造する過程において同時二軸で、縦、横方向いずれも最大で2倍まで延伸して得られる高強度、低熱膨張係数の全芳香族ポリイミドフィルムを提案している。しかし、この方法はポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへ転化させるのではなく、一部をポリイソイミドへ転化させてから、さらにポリイミドへ転化させている。特に特許文献2においては、支持体上に流延させたポリアミック酸をイミド/イソイミド化溶液に15分間浸漬させ、かつその後に洗浄溶液に20分間浸漬させて不純物を取り除いている。同方法では延伸倍率が高くすることで低熱膨張係数のポリイミドを得ることができるが、浸漬時間が長く連続的に生産することが不可能なため、工業的に有用ではない。
また、特許文献3には連続的に製造が可能で、かつ延伸倍率の高くすることが可能な全芳香族ポリイミドフィルムの製造方法が提案されているが、この方法での延伸倍率は面倍で約2.24倍であり、得られるポリイミドフィルムの熱膨張係数も平均で27.5ppm/Kであり、熱膨張係数を十分低減させられなかった。
特開2003−268133号公報 特開2007−56198号公報 特許3635085号明細書
本発明は、熱膨張係数を制御することが可能なポリイミドフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明は、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で反応して得られるポリアミック酸に触媒と脱水剤を添加して支持体にキャストし、自己支持性を持たせた状態でゲルフィルムを得て、該ゲルフィルムを支持体から剥がし、加熱しながらフィルム長手方向(MD)に延伸し、次いで長手と垂直方向(TD)に延伸してポリイミドフィルムを製造する方法であって、ゲルフィルムの固形分濃度が19%以下で、かつゲルフィルムのイミド化率が50%以上の状態のゲルフィルムを延伸し、さらに、ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が2倍以上であるポリイミドフィルムの製造方法である
本発明により、ポリイミドフィルムの延伸倍率を制御することで、熱膨張係数を任意に選択することができるポリイミドフィルムの製造方法を得ることが可能となる。本発明ポリイミドフィルムの製造方法より、用途によって要求の異なる熱膨張係数の値も延伸倍率を制御することで対応可能とすることができる。
本発明により、少なくとも平面方向の1方向の熱膨張係数が10ppm/K以下であるポリイミドフィルムが得られる。
以下に本発明のポリイミドフィルムの製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法は、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で反応して得られるポリアミック酸に触媒と脱水剤を添加して支持体にキャストし、自己支持性を持たせた状態でゲルフィルムを得て、該ゲルフィルムを支持体から剥がし、加熱しながらフィルム長手方向(MD)に延伸し、次いで長手と垂直方向(TD)に延伸してポリイミドフィルムを製造する方法であって、ゲルフィルムの固形分濃度が19%以下で、かつゲルフィルムのイミド化率が50%以上の状態のゲルフィルムを延伸し、さらに、ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が2倍以上であるポリイミドフィルムの製造方法である。
本発明におけるポリイミドフィルムは、酸二無水物とジアミンを溶媒中で反応させて前駆体であるポリアミック酸を作成し、それをポリイミドへ転化する二段合成法で製造することが望ましい。
本発明の製造方法では、ポリイミドフィルムを構成する酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3‘,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2‘,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−カルボキシフェニル)エーテル二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6,−ジクロロナフタレン−1,4,58−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられ、これらを単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの酸二無水物の中で好ましいものはピロメリット酸二無水物、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。好ましい形態としては、本発明で用いるポリイミドフィルムの全酸成分のうち、ピロメリット酸成分を0〜100mol%含有することが好ましく、さらに好ましくは30〜100mol%、さらに好ましくは60〜100mol%、さらに好ましくは80〜100mol%である。
また、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分は0〜60mol%が好ましく、さらに好ましくは0〜40mol%である。
本発明の製造方法では、ポリイミドフィルムを構成するジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−3’,4−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2‘−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらを単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらのジアミンの中で好ましいものは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンである。好ましい形態としては、本発明で用いるポリイミドフィルムの全ジアミン成分のうち、4,4‘―ジアミノジフェニルエーテルを10〜100mol%含有することが好ましく、さらに好ましくは30〜100mol%、さらに好ましくは50〜100mol%である。
また、パラフェニレンジアミン成分は0〜60mol%が好ましく、さらに好ましくは0〜50mol%、さらに好ましくは0〜40mol%である。
本発明で使用される有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性アミド系溶媒が挙げられ、これらの有機溶媒は単独で、又は二つ又はそれ以上を組み合わせて使用しても、又はベンゼン、トルエン、キシレンのような非溶媒と組み合わせて使用してもよい。本発明で用いるポリアミック酸の固形分濃度は5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%、さらにより好ましくは10〜20重量%である。
本発明において芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とはそれぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるがその一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対し過剰に配合されていてもよい。重合反応は有機溶媒中で撹拌そして/または混合しながら0〜80℃の温度範囲で10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。共重合においてはランダム共重合およびブロック共重合共に好ましく適用できる。重合反応中に真空脱泡することは良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御することを行ってもよい。
重合反応完了後のポリアミック酸の粘度は、ブルックフィールド粘度計による20℃における測定値で100〜20,000ポイズ、好ましくは1,000〜10,000ポイズのものが安定した送液のために好ましい。また有機溶媒溶液中のポリアミド酸は部分的にイミド化されていてもよく、少量の無機化合物を含有していてもよい。
本発明に係るポリイミドフィルムは、無機粒子などの添加物を、前駆体であるポリアミック酸をポリイミドへ環化、脱溶媒する前であれば、いかなる工程においても添加することが可能である。この時の添加物の好ましい形態は、粒子径が3.0μm以下の無機粒子をフィルム樹脂重量あたり0.01〜3.0重量%の割合で添加することが好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で反応して得られるポリアミック酸に触媒と脱水剤を添加して支持体にキャストする。
ポリアミック酸をポリイミドへイミド化する場合、一般的に知られている方法は、加熱することにより脱水をおこなう熱閉環法と触媒、脱水剤を使用して化学的に脱水をおこなう化学閉環法があるが、本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、化学閉環法を用いる。本発明の製造方法では、2種類以上の触媒、2種類以上の脱水剤、その他の溶媒、溶液等を同時/または個別に添加しても構わない。
ポリアミック酸へ触媒と脱水剤を添加する工程において、添加する雰囲気温度は−10℃以下であることが好ましい。これは、雰囲気温度が高くなると触媒、脱水剤とポリアミック酸が反応しポリイミドとなるため粘度が著しく上昇して口金から吐出出来なくなるためである。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、好ましくは、ポリアミック酸へ触媒、脱水剤を添加、一様になるように撹拌し、スリット付口金から支持体上に流延してフィルム状に成型する。
触媒としては、第三級アミン類が好ましく、具体例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、イソキノリン、2−エチルピリジン、2−メチルピリジン、N−エチルモルフォリン、N−メチルモルフォリン、ジエチルシクロヘキシルアミン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、4−ベンゾイルピリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、4−メチルピリジン、3−メチルピリジン、2−メチルピリジン、4−イソプロピルピリジン、N−ジメチルベンジルアミン、4−ベンジルピリジン、およびN−ジメチルドデシルアミンなどが挙げられる。これらの中でも特にメチルピリジンを用いることが好ましい形態である。
また、触媒の添加量はポリアミック酸単位に対して1〜4molであることが好ましい。より好ましくは2〜3molである。添加量がこれよりも少ない場合はイミド化剤が十分機能せずにイミド化が効率良く進まないため好ましくはない。またこの量よりも過剰に添加した場合、未反応の触媒不純物としてポリアミック酸/ポリイミドフィルム内に内包され、表面異物の原因になるため好ましくない。
また、脱水剤としては、有機カルボン酸無水物、N,N−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物およびチオニルハロゲン化物が挙げられる。これらの中でも特に無水酢酸を用いることが好ましい形態である。
また、脱水剤の添加量はポリアミック酸に対して1〜5molであることが好ましい。より好ましくは2〜4mol、さらにより好ましくは2.5〜3.5molである。添加量が少ない場合はイミド化が十分に進行せず、ゲルフィルムを延伸する際の張力に耐えきれずフィルムが破断するため好ましくない。またこの量よりも過剰に添加した場合はイミド化の進行度合が大きくなるため延伸時にフィルムの柔軟性が失われ延伸を十分行うことが出来ないため好ましくない。
触媒、脱水剤以外の溶液として用いられるものとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性アミド系溶媒などが挙げられ、これらの有機溶媒は単独で、又は二つ又はそれ以上を組み合わせて使用しても、又はベンゼン、トルエン、キシレンのような非溶媒と組み合わせて使用してもよい。溶液を添加する目的はキャスト時の固形分濃度を調整するためである。キャストするポリマーの粘度が高い場合、口金からの吐出が困難となるため好ましくない。このためポリマーの粘度を下げる目的で溶液をポリマーに添加する場合がある。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ポリアミック酸をキャストする支持体の温度が50〜100度であることが好ましい。支持体温度のより好ましい値は80〜100度である。温度が低い場合、イミド化が進行せず目標となるイミド化率に達する前に支持体から剥離、延伸しなければならないため好ましくない。また温度がこの値より高い場合はイミド化率、固形分濃度が目標値より高くなるため好ましくない。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、自己支持性を持たせた状態でゲルフィルムを得る。
本発明では延伸時のイミド化の割合(イミド化率)とゲルフィルムの固形分濃度が非常に重要な要因となる。イミド化率と固形分濃度はポリアミック酸へ添加する触媒、脱水剤、その他溶液の添加量、およびキャストする支持体の温度、支持体でのポリマーの滞在時間、雰囲気温度により変化する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、得られたゲルフィルムの固形分濃度は19%以下である。好ましくは、ゲルフィルムの固形分濃度は、10%以上18.5%以下であり、より好ましくは10%以上18%以下である。ゲルフィルムの固形分濃度が19%より大きい場合はゲルフィルムとしての強度が弱くなり延伸時の張力に耐えれられない。ゲルフィルムの固形分濃度が、10%以上18.5%以下であると、フィルムにかかる張力が大きくなりすぎず、また、ゲルフィルムの強度が高いので、フィルムが破断することがないので、好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、得られたゲルフィルムのイミド化率は50%以上である。好ましくは55〜85%、さらに好ましくは60〜80%である。イミド化率が、50%より小さい場合は、イミド化している分子の割合が少ないため延伸時の張力に耐えられず破断する。得られたゲルフィルムのイミド化率が85%より大きい場合はイミド化が進行し分子配列が殆ど決定されており、延伸しても再配列が生じにくくなるため好ましくない。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ゲルフィルムを支持体から剥がし、加熱しながらフィルム長手方向(MD)に延伸し、次いで長手と垂直方向(TD)に延伸してポリイミドフィルムを製造する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、かつゲルフィルムを作成し、該支持体から剥がすまでの時間が120秒以下であることが好ましい。ゲルフィルムを作成し、支持体から剥離するまでの時間は,より好ましくは5〜100秒、さらにより好ましくは15〜60秒である。ゲルフィルムを120秒より長い時間支持体上で加熱した場合、固形分濃度が目標値よりも高くなってしまうため好ましくない。
また、ゲルフィルムを作成する際の雰囲気温度は支持体と同じ温度が好ましい。具体的には、支持体温度のプラスマイナス20度の範囲に設定することが望ましい。これ以上温度差が大きくなると、支持体に接する面のイミド化率と、それに対する反対面のイミド化率に差が生じ、均一に延伸できない場合があるためである。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が2倍以上である。
面延伸倍率はゲルフィルムに対するMD方向、TD方向それぞれの延伸前の長さに対してどの程度延伸したかで規定する。すなわち、
Figure 0005754692
で表される。
ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が2倍未満の場合、少なくとも平面方向の1方向の熱膨張係数を10ppm/K以下とすることが困難となる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が、好ましくは2.2〜20倍、さらに好ましくは2.4〜15倍である。
本発明におけるポリイミドフィルムの製造方法は、ポリアミック酸へ触媒、脱水剤等を添加した際の固形分濃度と、支持体へキャストし自己支持性を持つゲルフィルムとして支持体から剥離して延伸する直前の状態のゲルフィルムの固形分濃度との割合が、好ましくは、70%以上であり、より好ましくは75〜90%である。
ポリアミック酸へ触媒、脱水剤等を添加した際の固形分濃度は、ポリアミック酸、および、必要に応じて添加した無機物を固形分としたときの固形分濃度であり、脱水剤、触媒は固形分に含まれない。また、ゲルフィルムの固形分濃度は、ゲルフィルムの固形分すなわちポリイミド成分が全体に対してどの程度の割合含まれているかを示す指数である。
本発明におけるポリイミドフィルムの製造方法では、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離し、MD方向、TD方向への延伸を行いながら加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う方法が好ましい。
延伸後のゲルフィルムは通常のポリイミドフィルムを製造する方法でイミド化を進行させることができる。延伸後の温度条件、搬送速度、雰囲気温度、雰囲気ガスに特に指定は無いが、ポリマーのガラス転移温度まで段階的に温度を上昇させ、最終的にはガラス転移温度より100℃高い温度を上限とする雰囲気温度でフィルムを処理することが好ましい。これは、イミド化を完全に完結させるとともに、フィルムの熱収縮率を低減させる目的がある。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、得られたポリイミドフィルムを100〜1500度の範囲に設定した雰囲気下で熱処理することが好ましい。より好ましくは、200〜1000度、さらにより好ましくは250〜900度の範囲である。これは、得られたフィルムの残存応力を取り除くためであり、フィルムを用いて加工を行う際に熱によって収縮することを避けるためである。
得られたポリイミドフィルムは製造後、コロナ放電処理やプラズマ放電処理等の表面処理法によって処理されていても良い。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法により、得られたポリイミドフィルムの配向については、MDとTD方向とが均一である必要はない。これは目的とする用途によってはMD方向、TD方向の熱膨張係数の目標値が異なる場合があるためであり、このような場合はMD方向とTD方向の延伸倍率が異なるためフィルムの配向は均一にならないためである。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法で得られたポリイミドフィルムは、熱膨張係数が小さく、少なくとも平面方向の1方向の熱膨張係数が10ppm/K以下であるポリイミドフィルムを容易に製造することができる。
また、本発明のポリイミドフィルムは、オキシジアニリンとピロメリット酸を主成分とするポリアミック酸から得られるポリイミドフィルムであって、少なくとも平面方向の1方向の熱膨張係数が10ppm/K以下である。本発明のポリイミドフィルムは、好ましくは、少なくとも平面方向の1方向の熱膨張係数が、−10〜10ppm/Kであり、より好ましくは−9〜9ppm/Kである。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法で得られるポリイミドフィルムの厚さ、2〜200μm好ましい。より好ましくは5〜175μm、より好ましくは5〜150μmである。
以下に、ゲルフィルムのイミド化率、固形分濃度、および、ポリイミドフィルムの熱膨張係数の測定方法を記載した。
[ゲルフィルムのイミド化率]
イミド化率とは、製品のポリイミドフィルムに対して対象とするフィルムのイミド基がどの程度存在するかを相対的に表す指数である。FT-IRを用いて1375cm−1、1500cm−1のピーク高さの比によって求める。すなわち
Figure 0005754692
である。
[ゲルフィルムの固形分濃度]
固形分濃度とは、ゲルフィルムの固形分すなわちポリイミド成分が全体に対してどの程度の割合含まれているかを示す指数である。測定したいゲルフィルムを秤で秤量し、次いで300度に設定したオーブンで30分加熱する。オーブンから取り出して20分間自然冷却させ、その後の重量を秤量して求める。すなわち、
Figure 0005754692
である。
[ポリイミドフィルムの熱膨張係数]
熱膨張係数は引っ張りモードにて、20g荷重で室温〜230度までを温度勾配10度/分で上昇させ、2回繰り返した際の2回目のデータの50−200度の傾きを熱膨張係数とした。
以下に実施例を記載するが、本発明は実施例に記載されたものに限定されない。
[実施例1]
N,N−ジメチルアセトアミド311.09g中に4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル50.06g、ピロメリット酸二無水物52.89gを添加し、1時間撹拌した。均一になったポリマーにピロメリット酸二無水物を6重量%の割合で調整したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を少量ずつ滴下し、3500ポイズに調整したポリマーを作成した。
得られたポリマー40gを容器に入れ、N,N−ジメチルアセトアミド16.55g、3−メチルピリジン4.22gを入れ、撹拌機にて撹拌、脱泡し−20度の冷凍機にて冷却した。別途、無水酢酸6.94gを秤量し、−20度の冷凍機にて8時間冷却した。
冷却後のポリマーに無水酢酸を投入し、撹拌機で均一になるまで撹拌し、次いで脱泡した。撹拌、脱泡後のポリマーを80度に加熱したガラス板上に流延し、アプリケーターを用いてフィルム状にした。このまま80度に設定したオーブンで60秒加熱し、加熱後直ぐにゲルフィルムをガラス板より剥離し、手動1軸延伸機を用いて1軸方向に3.2倍まで延伸した。この際、ゲルフィルムの固形分濃度は17.8重量%、イミド化率は62.9%、ポリアミック酸へ触媒、脱水剤等を添加した際の固形分濃度と、支持体へキャストし自己支持性を持つゲルフィルムとして支持体から剥離して延伸する直前の状態のゲルフィルムの固形分濃度との割合は78.9重量%であった。
延伸後のゲルフィルムを200度、300度、400度、450度に設定したオーブンで順次加熱し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの熱膨張係数は5.88ppm/Kであった。
[比較例1]
実施例1と同様にして得られたポリマー40gを容器に入れ、N,N−ジメチルアセトアミド9.93g、3−メチルピリジン6.33gを入れ、撹拌機にて撹拌、脱泡し−20度の冷凍機にて冷却した。別途、無水酢酸6.94gを秤量し、−20度の冷凍機にて8時間冷却した。
冷却後のポリマーに無水酢酸を投入し、撹拌機で均一になるまで撹拌し、次いで脱泡した。撹拌、脱泡後のポリマーを100度に加熱したガラス板上に流延し、アプリケーターを用いてフィルム状にした。このまま100度に設定したオーブンで60秒加熱し、加熱後直ぐにゲルフィルムをガラス板より剥離し、手動1軸延伸機を用いて1軸方向に1.7倍まで延伸した。ただし、これ以上は延伸できず、延伸しようとするとゲルフィルムが破断した。この際、ゲルフィルムの固形分濃度は21.6重量%、イミド化率は74.3%、ポリアミック酸へ触媒、脱水剤等を添加した際の固形分濃度と、支持体へキャストし自己支持性を持つゲルフィルムとして支持体から剥離して延伸する直前の状態のゲルフィルムの固形分濃度との割合は69.6重量%であった。
延伸後のゲルフィルムを200度、300度、400度、450度に設定したオーブンで順次加熱し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの熱膨張係数は21.63ppm/Kであった。
[比較例2]
実施例1と同様にして得られたポリマー40gを容器に入れ、3−メチルピリジン10.55gを入れ、撹拌機にて撹拌、脱泡し−20度の冷凍機にて冷却した。別途、無水酢酸11.57gを秤量し、−20度の冷凍機にて8時間冷却した。
冷却後のポリマーに無水酢酸を投入し、撹拌機で均一になるまで撹拌し、次いで脱泡した。撹拌、脱泡後のポリマーを120度に加熱したガラス板上に流延し、アプリケーターを用いてフィルム状にしようとしたが、イミド化が進行してフィルム状に流延することが出来なかった。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法より、任意に熱膨張係数を設定することが可能となり、用途によって要求の異なる熱膨張係数の値も延伸倍率を制御することで対応可能とすることができる。

Claims (4)

  1. 芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で反応して得られるポリアミック酸に触媒と脱水剤を添加して支持体にキャストし、自己支持性を持たせた状態でゲルフィルムを得て、該ゲルフィルムを支持体から剥がし、加熱しながらフィルム長手方向(MD)に延伸し、次いで長手と垂直方向(TD)に延伸してポリイミドフィルムを製造する方法であって、ゲルフィルムの固形分濃度が19%以下で、かつゲルフィルムのイミド化率が50%以上の状態のゲルフィルムを延伸し、さらに、ゲルフィルムの延伸倍率の面倍における値が2倍以上であるポリイミドフィルムの製造方法。
  2. ポリアミック酸へ触媒、脱水剤等を添加した際の固形分濃度と、自己支持性を持つゲルフィルムとして支持体から剥離して延伸する直前の状態のゲルフィルムの固形分濃度との割合が70%以上であるゲルフィルムを延伸する請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. ポリアミック酸をキャストする支持体の温度が50〜100度であり、かつゲルフィルムを作成し、該支持体から剥がすまでの時間が120秒以下である請求項1または2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 得られたポリイミドフィルムを100〜1500度の範囲に設定した雰囲気下で熱処理した請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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