JPH0516948U - 金属製板体の吊子構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 上ハゼに嵌め込んだ吊子が抜け落ちるのを防
止して垂直壁や急傾斜屋根等での施工時においても作業
を楽にしかも能率的にできる金属製板体の吊子構造を提
供することを目的とする。 【構成】 金属プレート１２の長手方向一端寄り側を所
定長折り返し、折り返し辺１３の折り返し方向中途部を
プレート対向面ａに接触又は近接させて板体２に対する
挟着部１４を形成すると共に、折り返し先端側を対向面
ａから離反する方向に折曲又は湾曲させた金属製板体の
吊子構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば銅板等の金属製屋根板や内・外装材等金属製板体を建造物に 固定するために使用する吊子の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、銅板等で形成された金属製屋根板をハゼ結合により上下左右方向に係 合させて屋根板を葺くようにしたいわゆる一文字構法における屋根板は公知であ り、このような屋根板は、通常、軒先側から左右方向に配設しながら棟に向って 徐々に上方に葺き上げていくものであるが、屋根板を屋根に固定するには一般に 吊子と称する止め金具を屋根板の上ハゼ部分に係合しこの吊子を介し野地板に釘 を打ち込んで固定した後、順次一段上の屋根板の下ハゼを吊子の上から固定済み の（下段の）屋根板の上ハゼに係合させるようにして施工するようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の吊子は、通常、金属製プレートの一端を単にＶ字状に折り曲げ た構造のものであるため、垂直壁や急傾斜な屋根では、吊子を上ハゼに一旦嵌め 込んでも吊子が上ハゼから外れて落ちたり、グラついたりするため、一々吊子を 手で押えながら釘を打ち込まなければならず、作業性が悪いものであった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る金属製板体の吊子構造は、上記のような実状に基づいて創案され たものであって、金属製屋板体等の板体の一側折曲部に一端を係合して板板を建 造物に固定する吊子において、金属プレートの長手方向一端寄り側を所定長折り 返し、折り返し辺の折返し方向中途部を前記金属プレートの対向面ａに接触又は 近接させて、該部に板体に対する挟着部を形成すると共に、折り返し先端側を前 記対向面ａから離反する方向に折曲又は湾曲させたことを要旨とするものであ る。

【０００５】

【作用】

屋根板の上ハゼ部分に適間隔を存して複数個（例えば２〜３個）の吊子を嵌め 込むものであるが、吊子を上ハゼに嵌め込む際、折り返し先端側の隙間に上ハゼ の折り返し端縁を介入させた後、吊子を屋根板の傾斜面に沿って引き上げるよう にして引っ張ると吊子の折り返し辺が弾性変形して吊子が上ハゼに簡単に嵌め込 まれる。そして、一旦嵌め込まれると挟着部により吊子が上ハゼを弾発的に挟持 するため吊子が上ハゼから外れることはなく、所望位置に確実に保持される。上 ハゼへの嵌合した後は吊子に左右方向への力を加えることにより吊子は上ハゼの 長手方向に沿って摺動するので位置の調整は自在である。

【０００６】

【実施例】

本考案の構成を図面に示された一実施例により説明すれば、１は銅板やステン レス板等からなる金属製の屋根板で、図１４及び図１５に示すように方形状板体 ２の左右両側を表面側又は裏面側に折り返して縦ハゼ３、４を形成し、該縦ハゼ ３、４と共に板体２の上下両側を夫々表裏反対方向に折り返して上ハゼ５と下ハ ゼ６を形成してなるものである。ところで、方形状板体２の四隅には予め円弧状 の切欠き７，８と傾斜状の切欠き９，１０が形成されており、隣接する左右の屋 根板１、１を連結する際、図１６に示すように円弧状の切欠き７，８同士を入り 込ませた状態で屋根板１を上下方向に上ハゼ５，５同士が当接するまでスライド させた後、屋根板１を横方向に引っ張って連結させるようになっている。３ａ， ４ａは縦ハゼ３，４の長手方向に一体的に突設した位置決め用の突条であり、左 右の屋根板１，１を連結する際、適正連結位置で一方の突条が他方の突条の裏面 側凹陥部に弾性的に係合するようになっている。１１は銅板又はステンレス等か らなる金属製の吊子で、この吊子１１は金属プレート１２の長手方向一端寄り側 を所定長折り返し、折り返し辺１３の折返し方向中途部を前記金属プレート１２ の折り返し辺１３に対する対向面ａに接触又は近接させてあり、該部に屋根板１ の上ハゼ５に対する挟着部１４が形成されている。そして、折り返し先端側は前 記対向面ａから離反する方向に折曲又は湾曲させてある。なお、折り返し辺１３ の側面形状は本実施例では緩やかなＳ字形状となるように構成してあるが、Ｓ字 状に限定されるものではなく種々の側面形状が考えられる（図１０乃至図１３参 照）。また、金属プレート１２に傾斜状の段部１５を設け、この傾斜状段部１５ の下面側で上ハゼ５の折曲始端５ａ側を上方から押えつけるようにしてもよい。 また、図３及び図４に示すようにプレート１２の上面にエンボス加工等による凹 部１６を設けることにより釘先端が滑らず釘打ちが容易となる。さらに、図６に 示すように折り返し辺１３の横巾方向中間部を切欠いて折り返し辺１３を左右に 分離したり、図２に示すようにプレート１２に長手方向の突条１７を一体的に突 設してもよい。

【０００７】 上記の構成において、屋根板１の上ハゼ５部分に複数個（例えば２〜３個）の 吊子１１を嵌め込むものであるが、吊子１１を上ハゼ５に嵌め込む際、折り返し 先端側の隙間ｂに上ハゼ５の折り返し終端縁５ｂを介入させた後、吊子１１を屋 根板１の傾斜面に沿って引き上げるようにして引っ張ると吊子１１の折り返し辺 １３が弾性変形して吊子１１が上ハゼ５に簡単に嵌め込まれる。そして、一旦嵌 め込まれると挟着部１４により吊子１１が上ハゼ５を上下両側から弾発的に挟持 するため吊子１１が上ハゼ５から外れることはなく、所望位置に確実に保持され る。上ハゼ５へ嵌合した後は吊子１１に左右方向への力を加えることにより吊子 １１は上ハゼ５の長手方向に沿って摺動するので吊子１１を野地板１８位置への 移動調整し吊子１１の上から垂木Ｔ上の野地板１８に釘１９を打ち込むことによ り屋根板１は固定される。このようにして下段の屋根板１を横方向にわたって順 次野地板１８に固定した後は固定屋根板１側の上ハゼ５に上段の屋根板１の下ハ ゼ６を嵌合させながら上記同様の作業を繰り返し行ない屋根板１を葺き上げるも のである。さて、屋根板１の組み付け後においては、上ハゼ５は吊子１１の下面 ａにより面接触して上方から弾発的に押圧されるので上ハゼ５が立ち上るのが規 制されると共に、吊子１１の折り返し辺１３側の挟着部１４が上ハゼ５の下面側 を下方から受止め支持しているので上ハゼ５が下方へさらに屈曲するのが規制さ れる。このため、上ハゼ５と下ハゼ６の連結部が組み付け後、立ち上ったり座屈 したりするのが防止される。また、上記のように、吊子１１を屋根板１の上ハゼ ５に嵌め込んだ後は、吊子１１の挟着部１４が上ハゼ５を挟持し屋根板１から不 用意に外れることがないので、垂直壁や急傾斜屋根等での施工時においても吊子 １１をその都度抜け落ちないように手で押えながら釘を打つ煩わしさがなく作業 が楽になるばかりでなく作業能率も一層高められる。さらに、本考案の抜け落ち 防止機能により、吊子１１を予め各屋根板１に複数個ずつセットした状態で保管 ・運搬ができ、また、施工現場での吊子１１の組み付け工程を省略できるので極 めて好都合である。

【０００８】 なお、上記本実施例では、吊子１１を屋根板１に適用した場合について説明し たが、本考案は屋根板１に限らず、建築物の内・外装材として使用する金属製の 板体についても適用される。

【０００９】

【考案の効果】

本考案は、上記のように構成したので、吊子を屋根板等板体の上ハゼに嵌め込 んだ後は、吊子の挟着部が上ハゼを挟持し板体から不用意に外れることがないの で、垂直壁や急傾斜屋根等での施工時においても吊子をその都度抜け落ちないよ うに手で押えながら釘を打つ煩わしさがなく作業が楽になるばかりでなく、吊子 の抜け落ち防止機能により、吊子を予め板体の上ハゼにセットした状態で保管・ 運搬ができ、また、施工現場での吊子の組み付け工程を省略できるので現場での 作業能率を大巾に高めることができる。さらに、板体の組み付け後においては、 上ハゼは吊子の下面ａに面接触して上方から弾発的に押圧されるので上ハゼが外 力を受けても立ち上るのが規制されると共に、吊子の折り返し辺側の挟着部が上 ハゼの下面側を下方から受止め支持するので上ハゼの下方への曲りが規制される 結果、組み付け後において上ハゼと下ハゼの連結部が乱りに立ち上ったり座屈し たりするのを防止することができる等構造簡単で安価に製造できるものでありな がら極めて有用な実用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の全体斜視図である。

【図２】長手方向に突条を一体的に設けた吊子の斜視図
である。

【図３】釘滑り防止用の凹部を設けた吊子の斜視図であ
る。

【図４】釘滑り防止用の凹部を設けた吊子の作用説明図
である。

【図５】上辺側を平坦に形成した吊子の全体斜視図であ
る。

【図６】折り返し辺の横巾方向中途部を切欠いた吊子の
斜視図である。

【図７】本考案により屋根板を固定した状態の断面図で
ある。

【図８】上辺側が平坦な吊子により屋根板を固定した状
態の断面図である。

【図９】本考案の使用状態を示す斜視図である。

【図１０】折り返し辺の変形例を示す側面図である。

【図１１】折り返し辺の変形例を示す側面図である。

【図１２】折り返し辺の変形例を示す側面図である。

【図１３】折り返し辺の変形例を示す側面図である。

【図１４】屋根板の全体斜視図である。

【図１５】屋根板の展開図である。

【図１６】左右に隣接する屋根板同士を連結している状
態の説明図である。

【図１７】屋根板を葺き上げた状態の斜視図である。

【符号の説明】

１ 屋根板 ２ 方形板体 ３ 縦ハゼ ４ 縦ハゼ ５ 上ハゼ ６ 下ハゼ １１ 吊子 １２ 金属プレート １３ 折り返し辺 １４ 挟着部 １５ 傾斜状段部 ａ 対向面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製屋板体等の板体の一側折曲部に一
   端を係合して板板を建造物に固定する吊子において、金
   属プレートの長手方向一端寄り側を所定長折り返し、折
   り返し辺の折返し方向中途部を前記金属プレートの対向
   面ａに接触又は近接させて、該部に板体に対する挟着部
   を形成すると共に、折り返し先端側を前記対向面ａから
   離反する方向に折曲又は湾曲させたことを特徴とする金
   属製板体の吊子構造。