JPH0516902B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明はエチルアルコール含有脱酸素剤に関す
る。 〔従来技術〕 包装食品に脱酸素剤を使用すると包装内部が嫌
気的に保たれる結果カビ等の好気性微生物の増殖
が著しく抑制される。しかし、微生物の多くは嫌
気下でも旺盛な増殖を示し脱酸素剤の使用のみで
は実質的な保存性が確保できないことが多いこと
が分かつてきた。 そこで嫌気下で抗菌力を増強する特性を有する
エチルアルコールを併用する方法が試みられてい
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 エチルアルコールと脱酸素剤の併用法は前述の
通り包装食品の保存性向上の点で極めて有効であ
るが、一方、エチルアルコール蒸気が鉄系脱酸素
剤と接触するとエチルアルコールが酸化されて、
アセトアルデヒドに変化するという重大な問題が
あることが判明した。このアセトアルデヒドは食
品の変色や異臭発生の原因となるのでその発生は
好ましくない。 〔問題点を解決するための手段〕 そこで本発明者らは種々検討した結果、鉄系の
脱酸素能を有する成分、及びエチルアルコール吸
着体とともに高分子アミンを併存させた脱酸素剤
を食品包装容器に密封すると容器中のアルデヒド
量が高分子アミンを併存させない脱酸素剤を使用
した場合に比し大幅に減少することを見出した。 本発明は上記知見に基づいて完成されたもので
ある。 即ち本発明は鉄系の脱酸素能を有する成分、エ
チルアルコール吸着体及び高分子アミンを含有す
る脱酸素剤に関する。 本発明で使用する鉄系の脱酸素能を有する成分
としては例えば、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉
などが好ましくその粒度は通常10メツシユ以下、
好ましくは50メツシユ以下程度である。又、鉄粉
は純品である必要はなく、例えば、脱酸素能を高
めるため、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの
ハロゲン化金属の溶液でその表面が処理されてい
るものでもよい。又、粉状品でもそれを成形した
粒状品でもどちらでも使用できる。 エチルアルコール吸着体は、エチルアルコール
を多孔性物質に吸着させたもので、その吸着量は
多孔性物質に対し、0.1〜250W／Ｗ％、好ましく
は１〜200W／Ｗ％程度がよい。ここで使用する
多孔性物質としては、例えばゼオライト、カオリ
ン、ケイソウ土、タルク、ベントナイト、シリ
カ、アルミナ、シリカゲル、二酸化ケイ素、ケイ
酸アルミニウム、タルク、澱粉、砂糖、デキスト
リン、セルローズ末、メチルセルローズ、エチル
セルローズ、カルボキシビニルポリマーなどがあ
げられる。 高分子アミンとしては、高分子中に１級アミ
ン、２級アミン、３級アミン、及び／又は４級ア
ンモニウムを含むものなら特に制限ないが、好ま
しくは、弱塩基性陰イオン交換樹脂、ポリアミン
酸、アミノ糖を有するポリマーなどがあげられ
る。ここで陰イオン交換樹脂としては例えばアン
バーライトIRA45（ロームアンドハース社製）、デ
ユオライトＡ−365（ダイアモンドシヤムロツク社
製）などがあげられるが、交換基としてポリアミ
ンを有するものが好ましい。 ポリアミン酸としては特に制限はなく、例えば
ポリリジン、ポリアラニン、ポリグルタミン酸、
ポリグリシン、ポリアルギニンなどのホモポリマ
ー、ポリ（アラニン−グリシン）、グルタミン酸
−γ−メチル−ウレタン共重合体などのコポリマ
ーがあげられるが、構成成分としてリジンやアル
ギニンなどの塩基性アミン酸を有するものが好ま
しい。その平均分子量は特に制限はないが、例え
ば6000〜10000程度が実用的である。又その粒度
は10メツシユ以下、好ましくは50メツシユ以下、
さらに好ましくは100〜250メツシユ程度がよい。 アミン糖を有するポリマーとしては例えば、キ
チンやキトサンなどのアミン糖からなる多糖数な
どがあげむれる。 これらの高分子アミンはフリーであつてもよ
く、又一部又は全部が、酢酸塩、塩酸塩などの有
機又は無機の酸との塩となつていてもよい。特に
脱酸素能を有する成分として、還元鉄粉などの表
面が処理されていないものを使用する場合は脱酸
素能を高めるため、酸で処理し高分子アミンの一
部又は全部が酸塩の形になつたものを使用するこ
とが望ましい。なお高分子アミンは乾燥品、湿潤
品のどちらも使用できる。 本発明の脱酸素剤の各成分の使用割合は、鉄系
の脱酸素能を有する成分100重量部に対しアルコ
ール吸着体10〜150重量部、好ましくは20〜130重
量部、高分子アミン0.1重量部以上、好ましくは
0.2〜50重量部程度である。又本発明の脱酸素剤
全体に対しては、鉄系の脱酸素能を有する成分30
〜90W／Ｗ％、好ましくは50〜80W／Ｗ％、アル
コール吸着体７〜50W／Ｗ％、好ましくは10〜
30W／Ｗ％、高分子アミン２〜20W／Ｗ％、好ま
しくは３〜10W／Ｗ％程度がよい。 本発明の脱酸素剤を製造するには例えば次のよ
うにすればよい。即ち、鉄系の脱酸素能を有する
成分エチルアルコール吸着体及び高分子アミンを
混合し、通気性の袋に封入すればよい。 〔発明の効果〕 次に本発明の脱酸素剤の効果を実験例により説
明する。 実験例 〔試料〕 実験例１、２及び３の方法で得られた脱酸素剤
を本発明の試料１、２及び３とし、実施例１、２
及び３においてアンバーライトIRA−45、キトサ
ン及びポリリジンを使用しないで製造した脱酸素
剤を対照試料とした。 〔実験方法〕 試料及び水４mlを含浸させた脱脂綿を酸素不透
過性のナイロンラミネートした袋に封入し、袋内
の空気容量を約300c.c.とした。 次いで所定日数室温放置後、袋中のアセトアル
デヒド量をガスクロマトグラフイー法により測定
した。又、酸素濃度を酸素計で測定した。 〔結果〕 結果を表−１に示す。なおアルデヒド量は定量
値として示すことが困難なので対照試料を封入し
た袋中のアルデヒド量を100としたものの相対値
で示した。

〔実施例１〕

電解鉄粉100ｇに飽和食塩水２mlを配合し次い
で減圧、乾燥して脱酸素組成物を得る。 又、微粉シリカゲル37ｇにエチルアルコール63
ｇを吸着させてアルコール吸着体を得る。 上記脱酸素成分３ｇ及びアルコール吸着体１ｇ
とアンバーライトIRA−45〔脱イオン水で洗浄後
乾燥（60℃、30min）したもの〕0.3ｇを均一混
合し、このものを４cm×７cmの有孔ポリエチレン
フイルムをラミネートした紙袋に封入し、本発明
の脱酸素剤を得た。 〔実施例２〕 実施例１において、アンバーライトIRA−45の
かわりにキトサン0.3ｇを用い同様にして本発明
の脱酸素剤を得た。 〔実施例３〕 実施例１において、アンバーライトIRA−45の
かわりに平均分子量6000、粒径150メツシユのポ
リリジン0.3ｇを用い同様にして本発明の脱酸素
剤を得た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鉄系の脱酸素能を有する成分、エチルアルコ
   ール吸着体及び高分子アミンを含有する脱酸素
   剤。