JPH0516336B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は熱可塑性樹脂シートのスタンピング成
形装置に関する。

（従来技術） 熱可塑性樹脂シートのスタンピング成形装置
は、一般に樹脂をシート状に押し出し成形する押
出機、この押し出された樹脂シートを所定寸法に
切断するカツター、樹脂シートの搬送手段および
スタンピング成形機をライン上で順に並べて設け
るという構成がとられている（例えば、特開昭57
−150523号公報参照）。この場合、上記押出機か
らの樹脂シートはその厚みが略一定になされる
が、これをスタンピング成形機で上下の型により
比較的複雑な形状に加圧成形すると、樹脂成形品
に局部的な薄肉部を生ずることがある。例えば、
第３図に示す如く比較的凹凸の段差の大きい樹脂
成形品ａを得ようとする場合、まず、樹脂シート
が下型ｂの成形面に載置されて上型が下降し加圧
成形されるが、樹脂シートは下型の成形面の凸部
面ｃとの接触によりその接触部が他の部分よりも
先に冷却されて硬化していき、成形時の伸びが小
さくなるとともに、また、この接触部と、上型の
下降によりこの上型に対して接触する部分とは、
それぞれ接触により両型の成形面の角部でのすべ
りが抑制される。従つて、樹脂シートは、樹脂成
形品ａの凹部ｄと凸部ｅとの段差部ｆとなる部分
がその両側を両型との接触により拘束された状態
で下型ｂの斜面部に沿つて伸ばされ、結局、上記
段差部ｆが薄肉となる。また、上記凹部ｄから凸
部ｅにわたつてビードを設けようとする場合に
は、段差部ｆと凹部ｄとのコーナ部のビードにし
わが発生することがある。かかる成形時における
局部的な伸びやしわの発生は、押出機から成形機
に至るまでの搬送中での樹脂シートの冷却進行に
より全体の可塑性が低下することもその一因とな
つている。

（発明の目的） 本発明は、かかる点に鑑み、押し出し成形され
た熱可塑性樹脂シートをスタンピング成形機へ搬
送する途中で予備成形するようにして、成形品で
の伸びやしわの発生を低減し、さらに成形時間の
短縮も図ることができるようにしようとするもの
である。

（発明の構成） 本発明においては、押し出し成形されて所定寸
法に切断された熱可塑性樹脂シートをスタンピン
グ成形機に搬送する搬送手段が、この樹脂シート
を予備成形する成形面と、搬送工程でこの樹脂シ
ートを吸引により上記成形面に沿わせて保持し、
スタンピング成形機への搬入終了後に上記吸引を
解除する吸引手段を備えていて、樹脂シートを搬
送途中で予備成形するようにしている。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図には熱可塑性樹脂シートのスタンピング
成形装置の全体構成が示されており、同成形装置
は、押出成形機１、板厚調整送り手段２、シート
切断機３、ベルトコンベヤ４、予備成形搬送手段
５およびスタンピング成形機６をライン上に配置
して構成されている。

押出成形機１は、押出スクリユを挿入した加熱
筒７と、この加熱筒７の基端側に設けたホツパ８
と、加熱筒７の先端に接続した押出ダイ９とを備
え、ホツパ８から供給されるポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニルなど熱可塑性樹脂材
料を加熱流動化して押出ダイ９から樹脂シート１
０として押し出す。

板厚調整送り手段２は、上下で対にして送り方
向に並設した３組のローラ１１を備え、各組のロ
ーラ１１の上下間隔および回転速度の調節によ
り、押出成形機１から押し出された樹脂シート１
０を略一定の板厚に調整しながらシート切断機３
へ供給する。

シート切断機３は、上下に対向させた一対のカ
ツター１２，１３を備え、上カツター１２を下降
せしめて樹脂シート１０をスタンピング成形する
に適した所定寸法に切断する。ベルトコンベヤ４
はシート切断機３で切断された樹脂シート１０を
予備成形搬送手段５に供するため所定位置へ搬送
する。

予備成形搬送手段５は、ガイドレール１４に懸
架されて上記ベルトコンベヤ４上からスタンピン
グ成形機６へ向けて走行する走行体１５と、この
走行体１５にアーム１６を介して支持された搬送
体１７とを備えている。上記アーム１６は走行体
１５に対しシリンダ装置１８にて昇降可能に支持
されているとともに、旋回装置１９にて回動可能
に支持されている。搬送体１７は第２図に示す如
く加熱ヒータ２０を組込んだ中空の基体２１と、
この基体２１の下面に装着した耐熱ラバー製の成
形型２２を備える。この成形型２２の下面には、
スタンピング成形機６における本成形型面に倣い
且つこの本成形型面よりもその凹凸の段差を小さ
くして比較的なだらかに形成した予備成形面２３
が形成されている。そして、上記基体２１の中空
部２４から延設した複数の孔２５が予備成形面２
３の複数個所に開口し、また、上記中空部２４に
は真空ポンプ（図示省略）から延設したパイプ２
６が接続され、このパイプ２６の途中に切替バル
ブ２７を介してコンプレツサ（図示省略）が接続
されている。

スタンピング成形機６は、ベツト２８に取り付
けた下型２９と、昇降用のラム３０に取り付けた
上型３１とを備えており、上記予備成形搬送手段
５は、ベルトコンベヤ４上の樹脂シート１０を上
記下型２９の上まで搬送するようになされてい
る。

すなわち、上記予備成形搬送手段５において
は、加熱ヒータ２０にて予備成形面２３が樹脂シ
ート１０の可塑性を低下させないように加温（例
えば100〜160℃）されており、搬送体１７をベル
トコンベヤ４の上に位置させて下降せしめ、パイ
プ２６、中空部２４および孔２５を介しての真空
引きにより樹脂シート１０を予備成形面２３に吸
引して保持する。そして、搬送体１７は樹脂シー
ト１０を保持した状態で上昇、回動し、スタンピ
ング成形機６へ向けて移動し、下型２９の上で下
降し、切替バルブ２７の切替えにより予備成形面
２３にエアが送られ、樹脂シート１０は下型２９
に載せられる。この搬送工程においては、樹脂シ
ート１０は予備成形面２３での吸引、保持により
スタンピング成形機６での型面に倣つた状態まで
予備成形されることになる。従つて、このスタン
ピング成形機６での上型３１の下降による本成形
時には樹脂シート１０の加工変形量が少なくな
り、また、予備成形搬送手段５にて加温された状
態で搬入されることもあつて、伸びやしわの発生
が防止される。そして、この本成形時での加圧保
持時間も短くてよく、また、本成形時に生ずる残
留応力も小さくなる。

なお、上記実施例では、予備成形搬送手段５は
回転と直線方向の送りとを利用して樹脂シートを
スタンピング成形機６へ搬入するようになつてい
るが、ベルトコンベヤ４からの取上げ位置とスタ
ンピング成形機６への搬入位置とを予備成形搬送
手段の予備成形面の回動軌跡上に設定し、回動の
みで樹脂シートを搬送するようにしてもよい。

また、回動のみによる搬送の場合、吸引用のパ
イプでもつて搬送体を支持し、このパイプを回動
させるようにしてもよい。

また、樹脂シートを予備成形面から下型へ供給
するにあたつては、真空引きの通路を大気開放し
て樹脂シートを自重で下型へ落下させるようにし
てもよい。

（発明の効果） 本発明によれば、樹脂シートを搬送途中で予備
成形することができるため、本成形時の加圧保持
時間が短くて済むこともあつて、樹脂成形品を得
るにあたつての全体の製造時間の短縮が図れると
ともに、本成形時において樹脂成形品に伸び、つ
まり局部的な薄肉部やしわが発生することを低減
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はスタン
ピング成形装置の全体構成図、第２図は搬送手段
部分の縦断面図、第３図は樹脂成形品の薄肉とな
り易い部分を示す縦断面図である。 １……押出成形機、３……シート切断機、５…
…予備成形搬送手段、６……スタンピング成形
機、２３……予備成形面、２７……切替バルブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 押し出し成形されて所定寸法に切断された熱
   可塑性樹脂シートをスタンピング成形する装置に
   おいて、切断した上記樹脂シートをスタンピング
   成形機へ搬送する搬送手段が、この樹脂シートを
   予備成形する成形面と、搬送工程でこの成形面に
   上記樹脂シートを吸引して沿わせて保持し、この
   樹脂シートの上記スタンピング成形機への搬入終
   了後に上記樹脂シートの吸引を解除する吸引手段
   とを備えていることを特徴とする熱可塑性樹脂シ
   ートのスタンピング成形装置。