JPH05159733A - エネルギー分散型x線検出器及びその真空排気方法 - Google Patents

エネルギー分散型x線検出器及びその真空排気方法

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JPH05159733A
JPH05159733A JP3324507A JP32450791A JPH05159733A JP H05159733 A JPH05159733 A JP H05159733A JP 3324507 A JP3324507 A JP 3324507A JP 32450791 A JP32450791 A JP 32450791A JP H05159733 A JPH05159733 A JP H05159733A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 X線検出素子が配置される空間の真空排気を
良好に且つ効率よく行う。 【構成】 X線検出素子8が使用されない場合には、制
御部15はコンプレッサ1を不動作とし、冷凍機の動作
を停止する。これによって吸着材5の温度が上昇し、一
旦は吸着されたガスが空間Aに放出されるので、空間A
内の真空度は低下するが、その後、操作部16からX線
検出器の動作が指示されると、制御部15は、排気ポン
プ14を動作させると共に、排気弁12を開き、空間A
内の排気を行った後、真空ゲージ6の出力信号により空
間A内の真空度が所定の真空度に達したことを検知する
と、排気弁12を閉じ、排気ポンプ14の動作を停止さ
せると共に、コンプレッサ1の動作を開始させる。これ
によって吸着材5が冷却されるので、その後は空間Aの
内部は所定の真空度に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エネルギー分散型X線
分析装置(EDS)等のX線検出器に係り、特に、X線
検出素子が配置される空間の真空度を良好に保つための
構成及びその真空排気方法に関する。
【0002】
【従来の技術】EDSにおいてはX検出素子が配置され
る空間を良好な真空状態に保つことが要求され、そのた
めに液体窒素により活性炭等の吸着材を冷却し、その吸
着作用により当該空間内のガスを吸着させて真空度を維
持しているのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ものにおいては、吸着材の温度が上昇すると吸着材に吸
着されていたガスがX線検出素子が配置されている空間
内に放出されることになるので、EDSを使用しない場
合においても液体窒素を枯渇させることができず、液体
窒素の補給をしばしば行わなければならないというメン
テナンス上の問題があり、また液体窒素の取り扱いには
危険が伴うという問題もあった。
【0004】これに対して、吸着材を冷却するものとし
て冷凍機を使用することが考えられ、これによれば上述
した問題点を解消できることが期待できる。しかしなが
ら、X線検出素子が配置される空間は密閉されているの
が通常であり、従って当該EDSを使用していないから
といって冷凍機を停止させてしまうと吸着材の温度が上
昇し、一旦吸着されたガスが再び当該空間内に放出さ
れ、真空度が悪化してしまうことになるので、このよう
な冷凍機により吸着材を冷却する構成の場合にも冷凍機
を常時運転する必要があり、そのために冷却機の部品の
消耗が激しく、頻繁に部品交換や蓄熱材の交換を行う必
要が生じるという問題がある。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、X線検出素子が配置される空間の真空排気を良好
に且つ効率よく行うことができ、しかもメンテナンスを
簡単に行うことができるエネルギー分散型X線検出器及
びその真空排気方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のエネルギー分散型X線検出器は、X線検
出素子と、ヘッドに吸着材が配置されてなる冷凍機と、
前記X線検出素子と冷凍機ヘッドとの間に配置された熱
伝導棒と、前記X線検出素子と冷凍機ヘッド及び熱伝導
棒とを収容する保護容器と、前記保護容器と排気管及び
排気弁を介して接続された排気系とを備えることを特徴
とする。
【0007】また、本発明のエネルギー分散型X線検出
器の真空排気方法は、X線検出素子と、ヘッドに吸着材
が配置されてなる冷凍機と、前記X線検出素子と冷凍機
ヘッドとの間に配置された熱伝導棒と、前記X線検出素
子と冷凍機ヘッド及び熱伝導棒とを収容する保護容器
と、前記保護容器と排気管及び排気弁を介して接続され
た排気系とを備えるエネルギー分散型X線検出器におい
て、前記X線検出素子の不使用時には前記冷凍機を不動
作として前記排気系により前記保護容器内の真空排気を
行い、前記X線検出素子の使用時には前記冷凍機を動作
させて前記保護容器内の真空を維持することを特徴とす
る。
【0008】更に、本発明のエネルギー分散型X線検出
器の真空排気方法は、X線検出素子と、ヘッドに吸着材
が配置されてなる冷凍機と、前記X線検出素子と冷凍機
ヘッドとの間に配置された熱伝導棒と、前記X線検出素
子と冷凍機ヘッド及び熱伝導棒とを収容する保護容器
と、前記保護容器と前記X線検出素子が取り付けられる
電子顕微鏡の試料室とを接続する排気管及び排気弁とを
備えるエネルギー分散型X線検出器において、前記X線
検出素子の不使用時には前記冷凍機を不動作として前記
電子顕微鏡の試料室内を排気する排気系により前記保護
容器内の真空排気を行い、前記X線検出素子の使用時に
は前記冷凍機を動作させて前記保護容器内の真空を維持
することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明のエネルギー分散型X線検出器は、X線
検出素子と、そのヘッドに吸着材が配置された冷凍機
と、熱伝導棒と、保護容器と、排気系を備える。熱伝導
棒はX線検出素子と冷凍機ヘッドとの間に配置されるも
のであり、保護容器はX線検出素子と冷凍機ヘッド及び
熱伝導棒とを収容するものである。また、排気系は排気
管及び排気弁を介して保護容器と接続されている。
【0010】そして、冷凍機はX線検出素子の不使用時
には不動作となされる。冷凍機の動作が停止されると吸
着材の温度が上昇し、ガスが放出されるが、X線検出素
子を使用する際には、まず排気系によりこの放出ガスの
排気を行った後に冷凍機を動作させる。これにより吸着
材が冷却され、ガスの吸着が行われるので、保護容器内
の空間は良好な真空度に保たれる。
【0011】また、X線検出素子が電子顕微鏡に取り付
けられる場合には、保護容器内の排気を行うための排気
系として当該電子顕微鏡本体の排気を行うための排気系
を用いる。この場合も冷凍機はX線検出素子の不使用時
には不動作となされ、X線検出素子を使用する際には、
まず電子顕微鏡本体の排気系により保護容器内のガスの
排気を行った後に冷凍機を動作させる。これにより吸着
材が冷却され、ガスの吸着が行われるので、保護容器内
の空間は良好な真空度に保たれる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
図1は本発明に係るX線検出器を、X線検出用半導体素
子の前方にベリリウム(Be)薄膜等からなるウィンド
ウを有する、いわゆるウィンドウ型のX線検出器に適用
した場合の一実施例の構成を示す断面図であり、図中、
1はコンプレッサ、2は冷凍機ヘッド、3,4は連結
管、5は吸着材、6は真空ゲージ、7は熱伝導棒、8は
X線検出素子、9は保護容器、10はウィンドウ、1
1,13は排気管、12は排気弁、14は排気ポンプ、
15は制御部、16は操作部、17は真空容器を示す。
【0013】図1において、冷凍機はコンプレッサ1、
ヘッド2、連結管3,4で構成される。ヘッド2には冷
媒を断熱膨張させるためのピストン・シリンダー等が含
まれるが、その具体的な構成、動作については周知であ
るので説明は省略する。連結管3,4は、コンプレッサ
1により圧縮された冷媒をコンプレッサ1からヘッド2
へ送るための連結管及びヘッド2で断熱膨張された冷媒
をコンプレッサ1に送るための連結管である。
【0014】冷凍機のヘッド2の外周には活性炭等から
なる吸着材5が配置されている。また、冷凍機ヘッド2
とX線検出素子8の間には熱伝送棒7が配置されてお
り、ヘッド2、吸着材5、X線検出素子8及び熱伝導棒
7は保護容器9に収容されている。保護容器9のX線検
出素子8側の端部にはベリリウム薄膜等からなるウィン
ドウ10が設けられている。
【0015】保護容器9内の空間Aは、排気管11、排
気弁12、排気管13を介して排気ポンプ14に接続さ
れている。この排気ポンプ14は独立した排気ポンプで
構成できることは勿論であるが、当該EDS本体の排気
を行うための排気ポンプあるいは当該X線検出器が電子
顕微鏡に取り付けられているものである場合には当該電
子顕微鏡本体の排気を行うための排気ポンプを兼用する
ことも可能である。なお図1において17は当該EDS
または電子顕微鏡の真空容器である。また、空間Aの所
定の位置には真空ゲージ6が配置されており、この真空
ゲージ6の出力信号は制御部15に送られる。
【0016】制御部15はマイクロプロセッサ及びその
周辺回路で構成され、冷凍機のコンプレッサ1、排気弁
12及び排気ポンプ14を制御するものである。なお、
制御部15は後述する本発明に係る動作を行わせるため
に特別に設けることができることは当然であるが、当該
EDSまたは電子顕微鏡の動作あるいは分析のための信
号処理等を行うための制御部を兼用することも可能であ
ることは明きらかである。操作部16は当該EDSまた
は電子顕微鏡の種々の操作を行うためのボタン類やキー
ボードを備えている。
【0017】次に、制御部15の動作について説明す
る。まず、X線分析が行われない場合等、X線検出素子
8が使用されない場合には、制御部15はコンプレッサ
1を不動作とする。これによって冷凍機の動作は停止さ
れる。冷凍機の動作が停止すると吸着材5の温度が上昇
し、一旦は吸着されたガスが空間Aに放出されるので、
空間A内の真空度は低下する。
【0018】操作部16からX線検出器の動作が指示さ
れると、制御部15は、まず排気ポンプ14を動作させ
ると共に、排気弁12を開く。これによって空間A内の
排気が開始される。その後、制御部15は真空ゲージ6
の出力信号から空間A内の真空度が所定の真空度に達し
たことを検知すると、排気弁12を閉じ、排気ポンプ1
4の動作を停止させると共に、コンプレッサ1の動作を
開始させる。これによって吸着材5が冷却されるので、
その後は空間Aの内部は所定の真空度に保たれる。な
お、制御部15がX線検出素子8の出力信号の処理をも
行う場合には、制御部15のX線検出素子8からの出力
信号の取り込みは真空ゲージ6の出力信号により空間A
内の真空度が所定の真空度に達した後に行うようにす
る。上述した実施例においては、排気ポンプを常時動作
させる必要がないので、排気ポンプのランニングコスト
は小さい。
【0019】図2はX線検出器が電子顕微鏡に取り付け
られている場合に、保護容器の排気を行うための排気ポ
ンプを別個に設けることなく、電子顕微鏡本体の排気を
行うための排気ポンプによって保護容器の排気を行うよ
うにした実施例を説明するためのものである。
【0020】図1と同一の構成要素に対しては同一番号
が付されている図2において、22は電子顕微鏡の筐体
であり、筐体22で包囲された試料室24には試料23
が配置されている。保護容器9は試料室24内へ挿入さ
れており、試料23への電子線の照射によって試料23
より発生したX線はウィンドウ10を通過してX線検出
素子8に検出される。試料室24は排気ポンプ21によ
って排気できるようになっている。前記保護容器9に連
通する排気管18が試料室24に挿入されており、試料
室24は排気ポンプ21によって排気できるようになっ
ている。19及び20は排気弁である。排気ポンプ21
の稼働と排気弁19、21の開閉は制御部15によって
制御できるようになっている。
【0021】このような構成においても、X線分析が行
われない場合等、X線検出素子8が使用されない場合に
は、コンプレッサ1を不動作として冷凍機の動作を停止
させると、吸着材5の温度が上昇してガスが空間A内に
放出される。
【0022】いま、制御部15の制御によって排気ポン
プ21が稼働しており、排気弁20が開放されていると
する。操作部16からX線検出器の動作が指示される
と、制御部15は、まず排気弁19を開いて前記空間A
と試料室24とを連通させる。その結果、空間Aの排気
が開始される。その後、制御部15は真空ゲージ6の出
力信号から空間Aが所定の真空度に達したことを検知す
ると、排気弁19を閉じると共に、コンプレッサ1の動
作を開始させる。これにより、吸着材5が冷却され、そ
の後空間Aの内部は所定の真空度に保たれる。
【0023】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく種々
の変形が可能である。例えば、上記実施例では、本発明
に係るX線検出器をいわゆるウィンドウ型のX線検出器
に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、いわゆるウィンドウレス型のX
線検出器に対しても同様に適用することができるもので
ある。また、上記実施例では冷凍機のコンプレッサ1、
排気弁12、排気ポンプ14の制御は制御部15により
行うものとしたが、これらの制御は手動で行ってもよい
ものである。更に、CRT等の表示装置を設け、真空ゲ
ージ6で測定した真空度を表示したり、あるいはX線検
出素子8の使用の可否を表示することも可能である。ま
た更に、コンプレッサ1あるいはヘッド2に対しては、
ゴム等の防振材で隔離する等の適宜の防振対策を施すこ
とができることも当業者に明きらかである。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、冷凍機の運転はX線検出器の使用時のみ行え
ばよいので、ランニングコストを低減させることができ
るばかりでなく、部品交換のインターバルが長くなる。
また、吸着材は常時ガス吸着を行う必要がなく、また吸
着材から放出されたガスは排気系により外部に排気され
るので、寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るX線検出器をウィンドウ型のX
線検出器に適用した場合の一実施例の構成を示す断面図
である。
【図2】 本発明に係るX線検出器をウィンドウ型のX
線検出器に適用した場合の他の実施例の構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
1…コンプレッサ、2…ヘッド、3,4…連結管、5…
吸着材、6…真空ゲージ、7…熱伝導棒、8…X線検出
素子、9…保護容器、10…ウィンドウ、11,13…
排気管、12…排気弁、14…排気ポンプ、15…制御
部、16…操作部、17…真空容器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線検出素子と、ヘッドに吸着材が配置
    されてなる冷凍機と、前記X線検出素子と冷凍機ヘッド
    との間に配置された熱伝導棒と、前記X線検出素子と冷
    凍機ヘッド及び熱伝導棒とを収容する保護容器と、前記
    保護容器と排気管及び排気弁を介して接続された排気系
    とを備えることを特徴とするエネルギー分散型X線検出
    器。
  2. 【請求項2】 前記排気系は前記X線検出素子が取り付
    けられる電子顕微鏡の試料室内を排気する排気系である
    ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー分散型X線
    検出器。
  3. 【請求項3】 X線検出素子と、ヘッドに吸着材が配置
    されてなる冷凍機と、前記X線検出素子と冷凍機ヘッド
    との間に配置された熱伝導棒と、前記X線検出素子と冷
    凍機ヘッド及び熱伝導棒とを収容する保護容器と、前記
    保護容器と排気管及び排気弁を介して接続された排気系
    とを備えるエネルギー分散型X線検出器において、前記
    X線検出素子の不使用時には前記冷凍機を不動作として
    前記排気系により前記保護容器内の真空排気を行い、前
    記X線検出素子の使用時には前記冷凍機を動作させて前
    記保護容器内の真空を維持することを特徴とするエネル
    ギー分散型X線検出器の真空排気方法。
  4. 【請求項4】 X線検出素子と、ヘッドに吸着材が配置
    されてなる冷凍機と、前記X線検出素子と冷凍機ヘッド
    との間に配置された熱伝導棒と、前記X線検出素子と冷
    凍機ヘッド及び熱伝導棒とを収容する保護容器と、前記
    保護容器と前記X線検出素子が取り付けられる電子顕微
    鏡の試料室とを接続する排気管及び排気弁とを備えるエ
    ネルギー分散型X線検出器において、前記X線検出素子
    の不使用時には前記冷凍機を不動作として前記電子顕微
    鏡の試料室内を排気する排気系により前記保護容器内の
    真空排気を行い、前記X線検出素子の使用時には前記冷
    凍機を動作させて前記保護容器内の真空を維持すること
    を特徴とするエネルギー分散型X線検出器の真空排気方
    法。
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