JP3203528B2 - 気密検査方法及びその装置 - Google Patents

気密検査方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特にヘリウムガス等
の漏洩検査媒体を用いて、各種テストワークの気密検査
を行うための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の工業製品など、その一例としてダ
イキャスト製品に対してこの種の気密検査が行われる。
従来、例えばガス式気密検査装置では、漏洩検査媒体と
してフロンガスを用い、又チャージタンク方式のリーク
ディテクタが使用されている。この気密検査装置によれ
ば、真空工程もしくは真空ポンプ等を必要としないで済
むなどの特徴を有している。漏洩検査媒体としてフロン
ガスを用いる場合、人体等への影響から環境問題が生
じ、装置の使用が実際上、困難になる。
【0003】また、検査媒体としてフロンガスの代わり
にヘリウムガスを使用することが可能である。このヘリ
ウムガスを使用すれば、環境問題を解消することができ
る。一方で、このフロンガス代替のヘリウムガスを使用
する場合、装置のチャンバ内でのヘリウムガスの拡散が
困難であり、このため検査時間が長くかかってしまう等
の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の装
置では、被検体を収容するためのチャンバ及び試料ガス
を採取するためのタンク等を用いるが、上記のヘリウム
ガスを使用する場合、気密検査の際に大気圧下で検査す
る方式と、チャンバ又はタンク等を真空にして検査する
方式とがある。前者の方式では、その装置自体を簡易に
構成し得るが、検査精度は一般には真空方式に比較して
低い。一方、後者の真空方式では、高い検査精度を得る
ことができるが、装置の構成が複雑化する等の問題があ
る。
【0005】本発明は上記の点に鑑み、装置構成が比較
的簡単で、且つ検査精度を向上し得る気密検査方法及び
装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の気密検査方法
は、被検体をシーリング状態でチャンバ内の所定位置に
セットして、上記チャンバ内に空気を供給及び排出して
クリーニングした後、上記被検体内に気体を封入して、
差圧漏れ検査を行い、この封入気体を再び排気する工程
と、上記チャンバ内を大気圧状態にして、上記被検体内
にヘリウムガス及び空気を所定圧力で封入・混合する工
程と、上記チャンバ内の試料ガスを一定時間、拡散・攪
拌する工程と、その試料ガスを上記チャンバから試料チ
ャージタンクへ採取する際、該試料チャージタンクを真
空引きする工程と、試料ガスがチャージされた上記試料
チャージタンクからHe−リークディテクタへその試料
ガスを導入する工程と、を有している。
【0007】また本発明の気密検査装置は、被検体を収
容するチャンバと、収容された被検体の内部をチャンバ
室内からシールするシール手段と、上記チャンバ室内に
気体を封入して差圧漏れ検査を行うための手段と、上記
チャンバ室内に空気を給・排気するための手段と、上記
被検体の内部にヘリウムガスを給・排気するための手段
と、上記チャンバ内の試料ガスを拡散・攪拌するための
手段と、上記チャンバ内の試料ガスを採取するための手
段と、この試料ガスを採取するための手段を真空引きす
るための手段と、採取した試料ガスを検査してヘリウム
漏れを検出するリークディテクタと、を備えている。
【0008】上記チャンバ室に接続した排気管には、開
閉バルブが付設され得る。
【0009】
【作用】この発明によれば、検査媒体としてヘリウムガ
スを使用することにより、環境問題等の心配を払拭する
ことができるが、この気密検査に際して、被検体を収容
するチャンバ内は大気圧状態にして行うことができ、真
空工程等の必要がなくなる。従って、真空設備及びその
制御等のための装置構成を簡略化することができる。一
方、試料ガスをチャンバから試料チャージタンクへ採取
する際、該試料チャージタンクを真空引きすることによ
り、試料チャージタンク内へ効率良く、そして迅速に試
料ガスを採取することができ、この結果高い測定精度を
得ることができる。
【0010】上記の場合、チャンバ室に接続した排気管
の適所に、開閉バルブが付設され得るが、試料チャージ
タンク内へ試料ガスを導入する際、その開閉バルブを閉
弁しておくことにより、その試料ガスを希釈させること
なく導入し、試料ガスを効率的に採取することができ
る。
【0011】
【実施例】以下、図1に基づき、本発明による気密検査
方法及び装置の一実施例を説明する。図1は、この発明
の気密検査を実施するための装置の全体構成を示してい
る。図において、1は装置本体、2は後述する被検体3
を収容するチャンバである。チャンバ2には掃気用の排
気管2aが接続されている。4はOリング等のシール部
材、5はチャンバ2を装置本体1に対して進退させる空
圧もしくは油圧シリンダ等で成る駆動装置である。
【0012】この実施例では、上記被検体3として、例
えば車両用のアルミホイール又はロードホイールとす
る。なお、これらの場合の他に種々の被検体3に対して
適用可能であることは勿論である。被検体3は、図示の
ようにチャンバ2内の所定位置に収納・セットされる
が、その際、クランプシール6を介して、シール圧プレ
ート7によりその両側から弾圧される。このシール圧プ
レート7は、空圧もしくは油圧シリンダ等で成る駆動装
置8によって進退する。
【0013】また9,10及び11はそれぞれ空気圧源
であり、このうち空気圧源9はチャンバ2内に空気を供
給し、また空気圧源10,11は被検体3の内部に空気
を供給する。空気圧源11には、差圧ゲージ12が付設
されている。13は被検体3の内部にヘリウムガスを供
給するヘリウムガス圧源である。14は被検体3の内部
に通じる排出用管路である。さらに、15はチャンバ2
内に設置された攪拌用のファンであり、駆動モータ16
により回転駆動される。
【0014】17は検査に供する試料ガスを採取するた
めのチャージタンクであり、このチャージタンク17は
開閉バルブ18を介してチャンバ2と接続されている。
19は開閉バルブ20を介してチャージタンク17と接
続された真空ポンプ、21はチャージタンク17から試
料ガスを導入されるHe−リークディテクタであり、こ
のHe−リークディテクタ21は、開閉バルブ22を介
してチャージタンク17と接続されている。上記の場
合、排気管2aの適所に、開閉バルブ23を付設しても
よく、この開閉バルブ23を適宜開閉制御してチャンバ
2を掃排気することができる。なお上記開閉バルブ1
8,20,22、駆動装置5,8及び駆動モータ16等
は、図示しない制御回路により作動制御されるようにな
っている。
【0015】次に、上記気密検査装置による気密検査方
法を説明する。被検体3は、チャンバ2内の所定位置に
セットされるように、該チャンバ2内でセンタリングさ
れ、駆動装置8を前進させることにより、クランプシー
ル6によって両側からシールされる。そして駆動装置5
を前進させることにより、チャンバ2全体を装置本体1
に押圧させ、これによりチャンバ2は外気から大気圧で
遮断され、密閉される。
【0016】次に、空気圧源9からチャンバ2内に空気
を供給すると共に、その空気を排気管2aから排出し、
チャンバ2内をクリーニングする。なおチャンバ2内の
クリーニングを行うための空気は、可能な限り乾燥して
いるものを使用する。また排気管2aに開閉バルブ23
を付設した場合、該開閉バルブ23は開弁される。
【0017】チャンバ2内のクリーニング後、空気圧源
11から上記被検体3内に気体、本実施例では空気(4
kg/cm2 G程度)を封入して、差圧漏れ検査(グロ
スリーク)を行う。この差圧漏れ検査は、被検体3に比
較的大きな穴等が存在するか否かを予め検査する予備検
査であり、このような予備検査結果が可もしくは良であ
れば、その後の検査が続行される。この差圧漏れ検査の
終了後、封入された空気は排出用管路14を介して再び
排気される。気体として、空気の他、例えば窒素ガスと
空気の混合ガスを用いてもよい。
【0018】予備検査終了後、ヘリウムガス圧源13か
ら被検体3内にヘリウムガスが封入される。更に空気圧
源10から被検体3内に空気が供給され、一定圧力まで
加圧し、被検体3内でヘリウムガス及び空気が混合され
る。なおこの場合、ヘリウムガス及び空気を予め適量で
混合させて成る混合ガスを例えば4.5kg/cm2
程度、被検体3内に直接封入するようにしてもよい。上
記のように被検体3内にヘリウムガス及び空気を所定圧
力で封入・混合した後、駆動モータ16によりファン1
5を回転駆動させ、チャンバ3内の試料ガスを一定時
間、拡散・攪拌する。
【0019】次に、チャンバ3内で拡散・攪拌された試
料ガスをチャージタンク17へチャージする際、該試料
チャージタンク17は、真空ポンプ19によって真空引
きされる。即ち、開閉バルブ18及び20を開弁させ、
一方開閉バルブ22は閉弁させ、この状態で真空ポンプ
19を作動させることにより、チャージタンク17内へ
試料ガスが採取される。なお、この場合先ず開閉バルブ
20のみを開弁させ、即ち開閉バルブ18及び22双方
を閉弁させてチャージタンク17内を一旦真空状態に
し、この後開閉バルブ18を開弁させることにより試料
ガスを採取することもできるが、これは、使用する検知
ガスの種類等によりいずれの方法によるべきかが選択さ
れる。そして次に、He検査を開始するが、チャージタ
ンク17内の攪拌試料ガスをHe−リークディテクタ2
1に導入・採取する際、開閉バルブ22のみを開弁させ
て行う方法と、開閉バルブ20及び開閉バルブ22双方
を開弁させ且つ真空ポンプ19を作動させて行う方法と
がある。
【0020】このように試料ガスを、チャンバ3からチ
ャージタンク17へチャージし、更にチャージタンク1
7からHe−リークディテクタ21に採取・導入するに
あたり、開閉バルブ18,20又は22の開・閉状態を
上記のように設定して、適宜真空引きを行う。これによ
り試料チャージタンク17内へ、そしてその後He−リ
ークディテクタ21内へ効率良く、迅速に試料ガスを採
取することができ、この結果高い測定精度を得ることが
できる。またその場合、試料チャージタンク17内へ試
料ガスをチャージする際、開閉バルブ23を閉弁してお
くことにより、その試料ガスを希釈させることなく導入
し、試料ガスを効率的に採取することができる。
【0021】He−リークディテクタ21は、採取した
試料ガスに対して、He漏れ検査を行い、被検体3の漏
れ判断が行われる。He漏れ検査完了後、チャージタン
ク17を真空ポンプ19によって真空引きし、これによ
り該チャージタンク17のクリーニングが行われる。
【0022】He漏れ検査終了後、被検体3内の混合ガ
スは、排出用管路14を介して外部へ排出又は回収さ
れ、被検体3の内部は大気圧に戻される。またHe漏れ
検査結果が不可(NG)の場合には、チャンバ2内に残
存している攪拌試料ガスを排気するために、空気圧源9
からチャンバ2内に空気を供給して前記と同様に、チャ
ンバ2内をクリーニングする。なお本発明方法において
は、チャンバ2又は被検体3のクリーニングは、試料ガ
スの採取後であれば、漏れ判断を行う前に行うことがで
きる。最後に、駆動装置5及び駆動装置8にてチャンバ
2及びシール圧プレート7をそれぞれ後退させて、被検
体3をアンクランプし、こうして検査が終了する。
【0023】上記のように、被検体3に対して予備検査
を行い、これにより予め被検体3のグロスリークの検査
・判断を行うことができる。He漏れ検査では、検査媒
体として使用するヘリウムガスは環境問題等の心配がな
い。また特に差圧漏れ検査に際して、被検体3を収容す
るチャンバ2内を大気圧状態にして行うことができ、真
空工程等の必要がなく、これにより真空設備及びその制
御等のための装置構成を簡略化することができる。一
方、ガスをチャンバ2からチャージタンク17へ採取し
てHe漏れ検査を行う際、該チャージタンク17を真空
引きすることにより、チャージタンク17内へ、そして
その後He−リークディテクタ21内へ効率良く、迅速
に試料ガスを採取することができる。
【0024】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、この種の
気密検査において、環境問題を生じさせる危険が全くな
く、安全に実施することができる。更にチャンバ内を大
気圧状態にして検査を行い、これにより装置を簡素化
し、また試料ガスをチャージ,採取する際、適宜真空引
きし、これにより効率良く試料ガスを採取することがで
き、この結果、装置を複雑化することなく、高い測定精
度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気密検査装置の一実施例による全体構
成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 チャンバ 2a 排気管 3 被検体 5 駆動装置 6 クランプシール 7 シール圧プレート 8 駆動装置 9 空気圧源 10 空気圧源 11 空気圧源 13 ヘリウムガス圧源 15 ファン 17 チャージタンク 18,20,22,23 開閉バルブ 19 真空ポンプ 21 He−リークディテクタ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体をシーリング状態でチャンバ内の
    所定位置にセットして、上記チャンバ内に空気を供給及
    び排出してクリーニングした後、 上記被検体内に気体を封入して、差圧漏れ検査を行い、
    この封入気体を再び排気し、 次いで、上記チャンバ内を大気圧状態にし、上記被検体
    内にヘリウムガス及び空気を所定圧力で封入・混合し、 上記チャンバ内の試料ガスを一定時間、拡散・攪拌し、 その試料ガスを上記チャンバから試料チャージタンクへ
    採取する際、該試料チャージタンクを適宜真空引きし、 その後、試料ガスがチャージされた試料チャージタンク
    からHe−リークディテクタへその試料ガスを導入する
    ようにしたことを特徴とする気密検査方法。
  2. 【請求項2】 被検体を収容するチャンバと、収容され
    た被検体の内部をチャンバ室内からシールするシール手
    段と、上記チャンバ室内に気体を封入して差圧漏れ検査
    を行うための手段と、上記チャンバ室内に空気を給・排
    気するための手段と、上記被検体の内部にヘリウムガス
    を給・排気するための手段と、上記チャンバ内の試料ガ
    スを拡散・攪拌するための手段と、上記チャンバ内の試
    料ガスを採取するための手段と、この試料ガスを採取す
    るための手段を真空引きするための手段と、採取した試
    料ガスを検査してヘリウム漏れを検出するリークディテ
    クタと、を備えていることを特徴とする気密検査装置。
  3. 【請求項3】 前記チャンバ室に接続した排気管に、開
    閉バルブを付設したことを特徴とする、請求項2に記載
    の気密検査装置。
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