JPH051480Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のドアのトリムに装備された
電気機器と、車体に搭載されたバツテリ電源とを
接続するためにドアの内部に導入されるハーネス
の結線構造に関するものである。

（従来の技術） 一般に、自動車のドアに装備される各種電気機
器のうち、例えば夜間、ドアを開いた時に乗員の
足元付近を照明するカーテイシランプ、あるいは
パワーウインドレギユレータ装置や電動ドアロツ
ク装置を備えたドアにあつてはそれら装置に具備
するモータの正逆回転を制御するためのスイツチ
等はドアの車室内側に設けたトリムに配置されて
いる。

ところで、従来、このようなドアスリムに設け
られた電気機器を車体側のバツテリ電源に、車体
からドア内部に導入されたハーネスにより接続す
る場合、該ハーネスの長さを所要の長さより若干
長目に設定してハーネスに余裕を持たせておき、
トリムをドアボデイに組み付けた後、該トリムに
開設された電気機器取付孔からハーネスの先端部
を引き出して電気機器と接続し、しかる後、上記
引き出したハーネスを上記電気機器取付孔からト
リム内側に元通りに押し込みながら電気機器をそ
のケースと共に電気機器取付孔に嵌挿してトリム
に固定することが行われている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、その場合、トリムをドアボデイ
に組み付けたのち該トリムに対してハーネスを出
し入れするため、ハーネスの結線作業に手間がか
かるという欠点があつた。

また、ハーネスを電気機器との接続後にトリム
内側に押し込むので、特にハーネスが大径のもの
で可撓性に欠ける場合には、そのハーネスからの
反発力により、電気機器のケースがトリムから浮
き上つたり、あるいはトリムが変形したりして自
動車走行時に振動ガタを発生する虞れがある。

さらに、ハーネスを引き出すためにその長さを
所要長さよりも長く設定する必要があることか
ら、コスト的に不利となる問題があつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、ドア内部を通るハーネスを電源
側と電気機器側とに２分割した上で、さらにその
接続構造を特定することにより、ハーネスの結線
作業を容易化するとともに、ハーネスの反発力を
抑えて電気機器の浮上がりやトリムの変形をなく
し、さらにはハーネスの長さを必要最小限の長さ
に抑えてその無駄をなくすようにすることにあ
る。

（課題を解決するための手段） 上記目的の達成のため、本考案の解決手段は、
上記の如く、ドアの内部からドアインナパネルを
通してドアの車室内側に導入されるハーネスを、
予め電気機器に接続されている電気機器側ハーネ
スと電源側ハーネスとに分割して、その分割部分
に各々コネクタを取り付ける。

また、ドアのインナパネルに開口部を設けると
ともに、上記電源側ハーネスのコネクタを該開口
部を貫通させた状態で開口部近傍のインナパネル
に係合保持する係合手段を設け、該係合手段に上
記コネクタを、コネクタ接続軸が上記インナパネ
ルとほぼ平行になるように係合保持する。

さらに、上記電気機器を、上記電源側ハーネス
のコネクタが係合保持された位置から所定距離隔
てた位置に配設し、上記電気機器側のハーネスは
ほぼ上記所定距離、つまり電気機器と電源側ハー
ネスのコネクタ係合位置との距離に対応した長さ
に設定する。

（作用） 上記の構成により、本考案では、ドアトリムに
設けた電気機器と車体側の電源とを接続する場
合、先ず、電源側ハーネスのコネクタを係合手段
を介してインナパネルに係合保持する。また、予
め、トリムには電気機器を取り付けて該電気機器
に電気機器側ハーネスを接続しておく。そして、
上記トリムをドアインナパネルに組み付ける際、
同時に、上記電気機器側ハーネスのコネクタを、
上記インナパネルに係合保持された電源側ハーネ
スのコネクタにそれぞれ連結すればよく、このこ
とにより電気機器側ハーネスと電源側ハーネスと
を結線することができる。よつてハーネスのトリ
ムからの出し入れ操作が不要で、その結線作業を
短時間でかつ容易に行うことができる。

また、このように、トリムをドアインナパネル
に組み付ける際にハーネスを結線するため、ハー
ネスに従来の如くトリムから引き出すための所要
以上の余裕長さを持たせる必要がない。しかも、
電気機器は電源側ハーネスのコネクタが係合保持
された位置から所定距離隔てた位置に配設され、
上記電気機器側のハーネスはほぼその所定距離に
対応した長さに設定されていることから、電気機
器側ハーネスのコネクタと電源側ハーネスのコネ
クタとを連結する際、電気機器と電源側コネクタ
の係合位置との距離に相当する距離を最大として
トリムをインナパネルから離隔させることができ
る。また、係合手段にコネクタが、そのコネクタ
接続軸（コネクタの接続方向の向き）がインナパ
ネルとほぼ平行になるように係合保持されるの
で、電源側及び電気機器側の各ハーネスを最短距
離的に接続することができる。このため、ハーネ
スの長さを必要最小限の長さに保ちながら、イン
ナパネルとトリムとの間にコネクタを連結するた
めに作業者の手の入る十分なスペースを形成する
ことができ、ハーネスの結線作業をさらに容易化
できるとともに、ハーネスの無駄をなくしてコス
トダウンを図ることができる。

さらに、電気機器の取付時にハーネスを出し入
れする必要がなく、予め電気機器をトリムに固定
しておくことができるので、電気機器がトリムか
ら浮き上つたり、トリムが変形したりする虞れは
なく、よつて自動車走行時の振動ガタの発生を防
止することができるのである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図〜第３図において、１は自動車の運転席
側のフロントドアであつて、該ドア１は、インナ
パネル２ａ及びアウタパネル２ｂよりなるドアボ
デイ２と、該ドアボデイ２の上方に枠組み形成さ
れたドアサツシユ３と、該ドアサツシユ３に案内
されて昇降するウインドガラス４と、上記ドアボ
デイ２の車室内側に取り付けられたトリム５とを
備えている。

上記ドアボデイ２の内部には、図示していない
が、上記ウインドガラス４をモータの駆動によつ
て昇降させるためのパワーウインドレギユレータ
装置と、モータの駆動によりドア１を車体に対し
ロツク及びアンロツクさせるための電動ドアロツ
ク装置とが装備されている。

また、上記トリム５の車室内側面の所定位置に
は、水平方向に延びるドアアームレスト６と、該
ドアアームレスト６の前端部から上方に一体的に
延びるハンドル７とが固定されている。上記ドア
アームレスト６の上面前部にはドアロツクスイツ
チ８と４つのパワーウインドスイツチ９，９，…
とが取り付けられている。上記ドアロツクスイツ
チ８は、上記運転席側のフロントドア１のみなら
ず助手席側のフロントドア及び左右のリヤドア
（共に図示せず）の各々に装備された電動ドアロ
ツク装置を同時に制御するものである。また、パ
ワーウインドスイツチ９，９，…は、運転席側の
フロントドア１及び他のドアに各々装備されたパ
ワーウインドレギユレータ装置を個々に制御する
ものである。一方、ドアアームレスト６の下面後
部には夜間にドア１を開いた時に乗員の足元付近
を照明するカーテイシランプ１０が取り付けられ
ている。そして、上記ドアロツクスイツチ８、パ
ワーウインドスイツチ９，９，…及びカーテイシ
ランプ１０は電気機器を構成しており、この電気
機器は、車体に搭載されたバツテリ電源並びに各
ドアの電動ドアロツク装置及びパワーウインドレ
ギユレータ装置に対し、上記ドアボデイ２の前面
下部に開設した孔１１からドアボデイ２内部に導
入されたハーネス１２を介して接続される。

そして、上記ハーネス１２はその途中で、予め
上記電気機器に接続されている電気機器側ハーネ
ス１２ａと電源側ハーネス１２ｂとに分割され、
その分割部分における電気機器側ハーネス１２ａ
の端部には電気機器側コネクタ１３ａ〜１５ａ
が、また電源側ハーネス１２ｂの端部には上記電
気機器側コネクタ１３ａ〜１５ａの各々に連結可
能な電源側コネクタ１３ｂ〜１５ｂがそれぞれ取
り付けられている。

一方、上記ドアボデイ２のインナパネル２ａに
おいて上記ハーネス１２の分割部分と対応する位
置には開口部１６が形成され、該開口部１６近傍
のインナパネル２ａには係合手段としてのターミ
ナル１７が開口部１６を上下方向に跨ぐように取
り付けられている。該ターミナル１７は、第３図
に拡大詳示するように、上下方向に延びる板状の
本体１７ａと、該本体１７ａの上下両端部背面側
（ドア外側）に突出する１対の係合突起１７ｂ，
１７ｂと、本体１７ａの表面中間部から各々車体
前後方向、つまりインナパネル２ａと平行な方向
に対向して突出し、上記各コネクタ１３ａ〜１５
ａ，１３ｂ〜１５ｂを係合可能な３対の係合部１
７ｃ，１７ｃ，…とからなる。そして、上記係合
突起１７ｂ，１７ｂをドアボデイ２のインナパネ
ル２ａに形成した取付孔（図示せず）に係合する
ことにより、ターミナル１７がドアボデイ２に固
定されている。また、上記各係合部１７ｃには上
記各ハーネス１２ａ，１２ｂのコネクタ１３ａ〜
１５ａ，１３ｂ〜１５ｂが、各々のコネクタ接続
軸（両コネクタ１３ａ〜１５ａ，１３ｂ〜１５ｂ
の接続方向の向き）が上記インナパネル２ａとほ
ぼ平行になるように係合されて保持される。よつ
て、電気機器側及び電源側の両ハーネス１２ａ，
１２ｂは、上記ドアインナパネル２ａの開口部１
６を貫通した状態で結線されているとともに、そ
の端部の両コネクタ１３ａ〜１５ａ，１３ｂ〜１
５ｂを互いに連結した状態でターミナル１７の係
合部１７ｃ，１７ｃ，…に係合保持されている。

そして、上記ドアロツクスイツチ８、パワーウ
インドスイツチ９，９，…等の電気機器は、上記
電源側ハーネス１２ｂのコネクタ１３ｂ〜１５ｂ
がターミナル１７の係合部１７ｃ，１７ｃ，…に
係合保持された位置から所定距離だけ隔てた位置
に配設されており、換言すると電気機器とコネク
タ１３ｂ〜１５ｂのターミナル１７への係合位置
とはオフセツトしており、電気機器側ハーネス１
２ａは上記電気機器とコネクタ１３ｂ〜１５ｂの
係合位置との距離にほぼ対応した長さに設定され
ている。

したがつて、上記実施例においては、ドア１の
トリム５側の電気機器と車体側のバツテリ電源と
をハーネス１２によつて接続する場合、第２図に
示すように、予め、電源側ハーネス１２ｂの各コ
ネクタ１３ｂ〜１５ｂをターミナル１７の前側の
各係合部１７ｃに係合固定しておく。また同様
に、予め、トリム５にドアアームレスト６及びド
アロツクスイツチ８等の電気機器を取り付け、か
つ該電気機器に電気機器側ハーネス１２ａを接続
しておく。そして、上記トリム５をドアボデイ２
に組み付ける際、上記電気機器側ハーネス１２ａ
の各コネクタ１３ａ〜１５ａを上記ターミナル１
７の後側の各係合部１７ｃに係合固定してそれぞ
れ上記電源側コネクタ１３ｂ〜１５ｂと連結す
る。このことにより、電気機器側ハーネス１２ａ
と電源側ハーネス１２ｂとが結線されて電気機器
がバツテリ電源に接続される。よつてハーネス１
２の結線作業を短時間でかつ容易に行うことがで
きる。

また、このように、トリム５をドアボデイ２に
組み付ける際にハーネス１２を結線するため、ハ
ーネス１２に従来の如くトリム５から引き出すた
めの所要以上の余裕長さを持たせる必要がなく、
ハーネス１２の使用長さを短くしてコストダウン
を図ることができる。

さらに、電気機器の取付時にハーネス１２を出
し入れする必要がなく、予め電気機器をトリム５
に固定しておくことができるので、電気機器のケ
ースがトリム５から浮き上つたりトリム５が変形
したりする虞れはなく、自動車走行時の振動ガタ
の発生を防止することができる。

さらにまた、ドアボデイ２に取り付けたターミ
ナル１７において両ハーネス１２ａ，１２ｂが連
結されるため、該ターミナル１７によりハーネス
１２を位置決めしてクリツプすることができる利
点がある。

しかも、電気機器は電源側ハーネス１２ｂのコ
ネクタ１３ｂ〜１５ｂがターミナル１７により係
合保持された位置から所定距離だけ隔てた位置に
配置され、上記電気機器側ハーネス１２ａの長さ
はほぼその所定距離に対応した長さに設定されて
いるので、電気機器側のコネクタ１３ａ〜１５ａ
と電源側のコネクタ１３ｂ〜１５ｂとをそれぞれ
連結する際、電気機器とコネクタ１３ｂ〜１５ｂ
の係合位置との距離に相当する距離までトリム５
をドアインナパネル２ａから離隔させることがで
きる。このため、ハーネス１２の長さを必要最小
限の長さに保ちながら、インナパネル２ａとトリ
ム５との間にコネクタ１３ａ〜１５ａ，１３ｂ〜
１５ｂ同士を連結するための作業者の手の入る十
分なスペースを形成することができる。よつて、
ハーネス１２の結線作業をさらに容易化できると
ともに、ハーネス１２の無駄をなくしてより一層
のコストダウンを図ることができる。

また、ターミナル１７の各係合部１７ｃに各ハ
ーネス１２ａ，１２ｂのコネクタ１３ａ〜１５
ａ，１３ｂ〜１５ｂが、そのコネクタ接続軸（両
コネクタ１３ａ〜１５ａ，１３ｂ〜１５ｂの接続
方向の向き）がインナパネル２ａとほぼ平行にな
るように係合保持されるので、電源側及び電気機
器側の各ハーネス１２ａ，１２ｂを最短距離的に
接続することができ、ハーネス１２の無駄をさら
に有効になくすことができる。

尚、上記実施例では、本考案を自動車の運転席
側のフロントドア１に適用した場合を述べたが、
本考案はその他、トリムにスイツチ等の電気機器
が設けられた自動車の助手席側のフロントドア、
左右のリヤドア、ハツチバツクドア等の各種ドア
に適用することができるのは言うまでもない。

（考案の効果） 以上説明した如く、本考案によれば、自動車の
ドアボデイ内部を通つてトリム上の電気機器に接
続されるハーネスを、予め電気機器に接続されて
いる電気機器側ハーネスと車体電源側ハーネスと
に分け、その両ハーネスをコネクタによつて互い
に連結する構造とする一方、ドアインナパネルに
開口部を形成し、その開口部近傍のインナパネル
に、上記電源側ハーネスのコネクタを開口部を貫
通した状態で係合保持する係合手段を設け、この
係合手段にハーネスがコネクタ接続軸がドアイン
ナパネルとほぼ平行になるように係合保持される
ようにし、上記電気機器を、上記電源側ハーネス
のコネクタの係合位置から所定距離隔てた位置に
配設し、上記電気機器側のハーネスをほぼその所
定距離に対応した長さに設定したことにより、ト
リムをドアインナパネルに組み付ける際にドアの
内部に導入されるハーネスをインナパネルとトリ
ムとの間の十分なスペース内でワンタツチ操作に
より結線することができ、結線作業の簡易化及び
作業時間の短縮化を図ることができる。また、電
気機器の浮上がりやトリムの変形を防止して、自
動車走行時の振動ガタの発生防止化をも図ること
ができ、さらにはハーネスの長さを必要最小限と
してコストダウン化を図ることができるという実
用上優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
トリムのターミナル相当部分を切り除いて示すド
アの正面図、第２図はドアボデイからトリムを取
り外した状態のドアの分解斜視図、第３図はター
ミナルの斜視図である。 １……ドア、２……ドアボデイ、２ａ……イン
ナパネル、２ｂ……アウタパネル、５……トリ
ム、８……ドアロツクスイツチ、９……パワーウ
インドスイツチ、１０……カーテイシランプ、１
２……ハーネス、１２ａ……電気機器側ハーネ
ス、１２ｂ……電源側ハーネス、１３ａ〜１５ａ
……電気機器側コネクタ、１３ｂ〜１５ｂ……電
源側コネクタ、１６……開口部、１７……ターミ
ナル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インナパネルとアウタパネルとで構成されるド
   アの該インナパネル側に固定されたトリムに設け
   た電気機器と車体に設けた電源とを接続するため
   ドアの内部に導入されるハーネスを、予め電気機
   器に接続されている電気機器側ハーネスと電源側
   ハーネスとに分割して、該分割部分に各々コネク
   タを取り付けるとともに、上記インナパネルに開
   口部を設け、上記電源側ハーネスのコネクタを上
   記開口部を貫通させた状態で開口部近傍のインナ
   パネルに係合保持する係合手段を設け、該係合手
   段に上記コネクタがコネクタ接続軸が上記インナ
   パネルとほぼ平行になるように係合保持され、上
   記電気機器を上記電源側ハーネスのコネクタが係
   合保持された位置から所定距離隔てた位置に配設
   し、上記電気機器側のハーネスは上記電気機器と
   電源側ハーネスのコネクタ係合位置との距離にほ
   ぼ対応した長さを有していることを特徴とする自
   動車のドアのハーネス結線構造。