JPH05146216A - 穀粒排出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】穀粒排出装置による穀粒搬送中の穀粒損傷を抑
えながら、効率良く排出作業を行う。 【構成】穀粒貯留装置１の穀粒排出装置２において、穀
粒貯留装置１内の穀粒を横方向一側へ搬送する横搬送装
置３と、該横搬送装置３から穀粒を引き継いで上方へ搬
送する縦搬送装置４とを設けるに、前記両搬送装置３，
４を同時に駆動する状態と、前記横搬送装置３のみを駆
動する状態とにその駆動状態を変更する駆動状態変更手
段５を設けると共に、前記穀粒貯留装置１外部における
前記横搬送装置３の搬送下手側部分には、外部へ向けて
開閉自在の穀粒排出口６を設けたことを特徴とする穀粒
排出装置の構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、穀粒貯留装置に設け
る穀粒排出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、コンバイン等の穀粒貯留装置
には該穀粒貯留装置内の穀粒を適宜排出するために、穀
粒排出装置として穀粒排出オ−ガを設けている。該穀粒
排出オ−ガは、縦軸心を有して横方向回動自在に構成し
た縦搬送装置（揚穀部）と、該縦搬送装置の上端に上下
回動（昇降）自在に接続した横送り部とから成るもので
あり、前記縦搬送装置の下端部を前記穀粒貯留装置底部
の横搬送装置の搬送終端部に接続して穀粒排出装置を形
成する。前記縦搬送装置の横方向回動（旋回）、及び横
送り部の上下回動（昇降）は、作業者の操作による油圧
シリンダ等の駆動手段の作動によって行われる。

【０００３】この構成により、前記穀粒貯留装置内の穀
粒は、穀粒貯留装置底部の横搬送装置によって穀粒貯留
装置外部まで横方向搬送され、この終端部から、前記縦
搬送装置によって引き継がれて揚穀される。そして、こ
の上端部から横送り部によって引継ぎ搬送されて、該横
送り部の終端部（穀粒排出オ−ガ先端部）の穀粒排出口
から排出されるのである。

【０００４】また、一般的に穀粒搬送装置は螺旋形態の
搬送装置、即ち前記横搬送装置、縦搬送装置（、及び横
送り部）を螺旋式の搬送装置としたものであり、これは
主に、稲麦収穫用のコンバイン等に用いられている。該
穀粒排出装置の駆動は、横搬送装置の螺旋始端部にクラ
ッチを介して動力を入力し、該螺旋終端部から縦搬送装
置の螺旋下端部に入力する（更には該螺旋上端部から横
送り部の螺旋始端部に入力する）ことによって行なわれ
る。また、前記縦搬送装置の螺旋下端部と、横搬送装置
の螺旋終端部に同時に入力する形態のものもある。ま
た、前記横搬送装置終端部と縦搬送装置始端部との引継
ぎ部に掃除口を設けたものがある。

【０００５】一方、大豆の収穫を行なう際、大豆粒を螺
旋によって搬送すると大豆粒に損傷を与え、等級を劣化
させてしまう。このため、従来より、大豆収穫における
穀粒排出装置としてはバケット式の搬送装置が用いられ
ている。しかし、このバケット式の搬送装置は穀粒径の
小さい稲麦収穫には使用できない。そこで、稲麦収穫と
大豆収穫を共に行なえるコンバインを具現するために、
従来より穀粒排出装置として、穀粒貯留装置に、螺旋式
の穀粒排出装置とバケット式の穀粒排出装置との両方を
備えたものも考え出されている。また、穀粒貯留装置内
部を上下方向中間位置で仕切ることにより上下２室に分
割可能とし、更に上室の外側面には開閉自在の排出口を
設けて、上部から投入されてくる大豆粒を底部の螺旋に
作用させることなく外部へ流下排出できる構成としたも
のが既に具現されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来の穀粒排出
装置において、穀粒貯留装置に螺旋式の穀粒排出装置と
バケット式の穀粒排出装置とを併設するものは非常にコ
スト高となり、該コストに比してメリットが少ない。ま
た、穀粒貯留装置内部を上下方向中間位置で仕切ること
により上下２室に分割可能とし、更に上室の外側面に開
閉自在の排出口を設けるものにおいては、穀粒貯留装置
の全容積のうち有効に利用することができるものが上室
のみに限られてしまう。このため、例えばコンバイン作
業においては、作業走行中にすぐに穀粒貯留装置が満杯
になってしまい、この度に作業走行を中断して穀粒排出
作業を行なわねばならず、甚だ作業効率の低いものとな
ってしまっていた。また、穀粒貯留装置を上下２室に分
割するための切り換え又は組替え作業自体も容易ではな
く、作業条件に迅速に対応できるものではなかった。更
には、該穀粒貯留装置からの穀粒の排出は、排出口の開
放によって穀粒が自然流下することによるものであるた
め排出作業に長時間を要し、作業効率の低いものであっ
た。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、上述の如き
課題を解決するために、次の様な技術的手段を講ずる。
すなわち、穀粒貯留装置１内の穀粒を外部へ排出する穀
粒排出装置２の構成において、穀粒貯留装置１内の穀粒
を横方向一側へ向けて搬送する横搬送装置３と、該横搬
送装置３から穀粒を引き継いで上方へ搬送する縦搬送装
置４とを設けるに、前記両搬送装置３，４を同時に駆動
する状態と、前記横搬送装置３のみを駆動する状態とに
その駆動状態を変更する駆動状態変更手段５を設けると
共に、前記穀粒貯留装置１外部における前記横搬送装置
３の搬送下手側部分には、外部へ向けて開閉自在の穀粒
排出口６を設けたことを特徴とする穀粒排出装置の構成
としたものである。

【０００８】

【発明の作用効果】例えば穀粒貯留装置１内に貯留され
た稲麦等の穀粒を排出する際、横搬送装置３と縦搬送装
置４とを共に駆動状態とすると、穀粒貯留装置１内の穀
粒は横搬送装置３によって横方向一側に搬送された後、
縦搬送装置４に引き継がれて上方へ搬送され、前記横送
り部等から外部へ排出される。

【０００９】また、例えば大豆等の穀粒を排出する際に
は、横搬送装置３の搬送下手側部分に設けた穀粒排出口
６を開放状態とすると共に、駆動状態変更手段５によっ
て縦搬送装置４を停止させ、横搬送装置３のみを駆動状
態とする。これによって、穀粒貯留装置１内の穀粒は横
搬送装置３によって横方向一側に搬送された後、前記穀
粒排出口６から外部へ排出される。このとき前記縦搬送
装置４は停止状態にあるので、穀粒は該縦搬送装置４に
引き継がれることなく、円滑に前記穀粒排出口６から外
部へ排出される。即ち、穀粒の排出までの搬送行程が短
くでき、搬送途中における穀粒の損傷が抑えられるので
ある。また、特に縦搬送装置４によって揚穀を行なう際
に穀粒の損傷を来たし易いのであるが、この発明の構成
においては縦搬送装置４を介さずに穀粒を排出できるの
で、穀粒の損傷を抑える効果は大である。これらの効果
は、横搬送装置３と縦搬送装置４とが穀粒に損傷を与え
易い螺旋式の搬送装置である場合に特に有効である。

【００１０】以上により、穀粒貯留装置１の全容積を有
効に利用でき、排出作業を、搬送装置の駆動による強制
排出によって短時間で行なうことができ、しかもこの強
制排出時に穀粒に損傷を与えることはない。もって、多
種の穀粒の貯留、排出装置として利用でき、また、穀粒
の品質を劣化させることなく高い効率で作業を行なうこ
とができるものである。

【００１１】

【実施例】この発明の一実施例をコンバインを例に説明
する。コンバインの車体７は、無限軌道帯式の走行装置
８の上方に脱穀装置９、穀粒貯留装置１、操縦部１０等
を設けて構成する。前記脱穀装置９の前方には刈取装置
１１を昇降自在に設ける。

【００１２】前記穀粒貯留装置１には、穀粒排出装置２
を設ける。該穀粒排出装置２の構成を以下に述べる。前
記穀粒貯留装置１には、その底部に前後方向の螺旋式の
横搬送装置３を設け、また、その後方部位には前記横搬
送装置３終端部から穀粒を引継ぎ、内装した縦方向の螺
旋によって揚穀する縦搬送装置４を、旋回駆動手段１２
によって縦軸心を有して回動自在に取り付ける。該旋回
駆動手段１２は、旋回用油圧シリンダ１３、ギヤ１４、
ギヤ１５よりなる構成である。また、前記縦搬送装置４
の上端には、横方向の螺旋を内装した横送り部１６を昇
降用油圧シリンダ１７により昇降自在に接続する。前記
旋回用油圧シリンダ１３、昇降用油圧シリンダ１７は、
前記操縦部１０に設けた操作レバ−の傾動操作によって
作動する。

【００１３】しかして、前記横搬送装置３の横螺旋軸１
８の外部突出後端には入力プ−リ１９を取り付ける。一
方、エンジンの出力軸から減速装置（図示せず）を介し
て出力する出力軸２０に、出力プ−リ２１を取り付け
る。そして、該出力プ−リ２１と前記入力プ−リ１９と
の間に伝動ベルト２２を巻きかけ、排出クラッチレバ−
２３の操作により前記伝動ベルト２２に対してテンショ
ンロ−ラ２４を当接押圧、離脱切り換え自在に構成し
て、テンション式の排出クラッチ２５を構成する。

【００１４】また、前記横螺旋軸１８の外部突出部に
は、後端の入力プ−リ１９に至るまでの間に、クラッチ
爪２６付きの係合体２７をスプライン係合する。そし
て、該係合体２７を前記排出クラッチレバ−２３の操作
によるシフトア−ム２８の作動によって軸方向摺動のみ
自在とする。また、同軸上に、前記クラッチ爪２６に相
対向するクラッチ爪２９を有する駆動力分岐スプロケッ
ト３０を遊嵌して設ける。そして、前記横螺旋軸１８に
平行に設ける中間軸３１の両端には中間スプロケット３
２，３３を取り付け、前記駆動力分岐スプロケット３０
と前記中間スプロケット３２の間に伝動チェン３４を巻
き掛ける。更に、前記横螺旋軸１８の後端部（穀粒貯留
装置１外部に位置する）には、縦搬送装置４の縦螺旋軸
３５の下端部を側面視、直交させて設ける。また、該縦
螺旋軸３５の外部突出下端には入力スプロケット３６を
取り付け、該入力スプロケット３６と前記中間スプロケ
ット３３とを常時噛み合いさせる。

【００１５】しかして、前記排出クラッチレバ−２３は
コ字形状の案内溝に沿って操作可能とし、案内溝両端の
相平行する２つの縦方向の操作によって、クラッチワイ
ヤ３７を介し前記排出クラッチ２５を入り切り操作する
ように構成する。また、この２つの操作方向に直交する
横方向の操作によって、切り換えワイヤ３８を介して前
記シフトア−ム２８を作動させ前記係合体２７をスライ
ドさせることにより、該係合体２７のクラッチ爪２６を
前記駆動力分岐スプロケット３０のクラッチ爪２９に係
合、離脱切り換えさせる。これが駆動状態変更手段５で
ある。これによって、前記横搬送装置３の横螺旋軸１８
と前記縦搬送装置４の縦螺旋軸３５とを同時に駆動する
状態と、前記縦搬送装置４の縦螺旋軸３５を停止した状
態で前記横搬送装置３の横螺旋軸１８のみを駆動する状
態とにその駆動状態を変更することができるのである。

【００１６】また、前記横搬送装置３の搬送下手側、こ
の実施例においては前記横螺旋軸１８の後端部と前記縦
螺旋軸３５との交叉部分（搬送引継ぎ部）近傍部位に
は、横搬送装置３の横外筒３９の一部に開口して穀粒排
出口６を設ける。そして該穀粒排出口６にはこれを開閉
するシャッタ−４０を設け、該シャッタ−４０の開閉作
動を、ワイヤ４１を介して前記排出クラッチレバ−２３
に連動させる。即ち、前記排出クラッチレバ−２３の操
作によって前記駆動状態変更手段５を作動させ、これに
よって前記縦搬送装置４の縦螺旋軸３５を停止し、前記
横搬送装置３の横螺旋軸１８のみを駆動する状態とした
とき、これと共に前記シャッタ−４０が開放されるよう
に構成するのである。この構成により、前記穀粒排出口
６からの穀粒の排出作業が前記排出クラッチレバ−２３
の操作のみで行え、作業の容易化が図れる。尚、３７は
前記横螺旋軸１８後端部に設ける跳ね出し羽根であり、
該跳ね出し羽根３７の回転により、前記穀粒排出口６か
らの穀粒排出を促進することができる。

【００１７】尚、上記の実施例における駆動状態変更手
段５は、縦搬送装置４を停止して横搬送装置３のみを駆
動する状態に切り換え可能としたものであるが、これに
限らず、横搬送装置３を駆動しながら縦搬送装置４の駆
動回転速度を低下させ得る構成のもとしてもよい。ま
た、前記コンバインの構成において、左右のロ−リング
シリンダ４２，４２の伸縮作動により左右の走行装置
８，８を車体７に対して昇降させ、車体７の左右傾斜姿
勢を変更自在とする構成とするもよい。そして、前記車
体７に搭載する穀粒貯留装置１の外側面低位置にシャッ
タ−を有する穀粒取出口４３を設け、該穀粒取出口４３
近傍に前記左右のロ−リングシリンダ４２，４２を作動
させるロ−リングスイッチ４４を設ける。また、大豆等
の収穫時には、前記穀粒貯留装置１内部に仕切り板４５
を設け、穀粒貯留装置１上部から投入されてくる穀粒を
底部の横搬送装置３の螺旋に作用させないようにする。
前記仕切り板４５は前記穀粒取出口４３の直下部に設け
るものである。

【００１８】以上の構成により、前記ロ−リングスイッ
チ４４を操作し、前記左右のロ−リングシリンダ４２，
４２を互いに逆方向に伸縮させて車体７を右傾斜させ、
もって穀粒貯留装置１を外側方へ傾斜させる。この状態
で穀粒取出口４３のシャッタ−を開放すれば内部の穀粒
が円滑に外部へ流出する。即ち、穀粒貯留装置１を強制
的に傾斜させることによって穀粒取出口４３からの穀粒
の流出を促進するのである。このように構成すれば、穀
粒貯留装置１の底部（仕切り板４５部）の形状を扁平化
でき、穀粒貯留装置１の容量を有効に利用できるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例におけるコンバインの側面
図である。

【図２】この発明の一実施例における要部の背面図であ
る。

【図３】この発明の一実施例における要部の説明用側面
図である。

【図４】この発明の一実施例における要部の斜視図であ
る。

【図５】この発明の一実施例における一部の説明用側面
図である。

【図６】この発明の一実施例における別構成のコンバイ
ンの側面図である。

【図７】この発明の一実施例における別構成のコンバイ
ンの説明用背面図である。

【符号の説明】

１ 穀粒貯留装置 ２ 穀粒排出装置 ３ 横搬送装置 ４ 縦搬送装置 ５ 駆動状態変更手段 ６ 穀粒排出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 穀粒貯留装置１内の穀粒を外部へ排出す
   る穀粒排出装置２の構成において、穀粒貯留装置１内の
   穀粒を横方向一側へ向けて搬送する横搬送装置３と、該
   横搬送装置３から穀粒を引き継いで上方へ搬送する縦搬
   送装置４とを設けるに、前記両搬送装置３，４を同時に
   駆動する状態と、前記横搬送装置３のみを駆動する状態
   とにその駆動状態を変更する駆動状態変更手段５を設け
   ると共に、前記穀粒貯留装置１外部における前記横搬送
   装置３の搬送下手側部分には、外部へ向けて開閉自在の
   穀粒排出口６を設けたことを特徴とする穀粒排出装置。