JPH05140465A - 熱硬化性木粉樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱硬化性木粉樹脂組成物及びその製造方法

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JPH05140465A
JPH05140465A JP32807891A JP32807891A JPH05140465A JP H05140465 A JPH05140465 A JP H05140465A JP 32807891 A JP32807891 A JP 32807891A JP 32807891 A JP32807891 A JP 32807891A JP H05140465 A JPH05140465 A JP H05140465A
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wood flour
phenol
wood
thermosetting
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JP32807891A
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Kunio Okamoto
岡本邦男
Shigeru Nakanishi
滋 中西
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KYOTO MOKUZAI SHIGEN KAIHATSU
KYOTO MOKUZAI SHIGEN KAIHATSU KYODO KUMIAI
Meisei Chemical Works Ltd
Original Assignee
KYOTO MOKUZAI SHIGEN KAIHATSU
KYOTO MOKUZAI SHIGEN KAIHATSU KYODO KUMIAI
Meisei Chemical Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料とする木粉の種類に関係なく、製材鋸
屑、間伐材の木粉、なども原料として用いることがで
き、かつ各種用途に幅広く適用できる、実用性の高い熱
硬化性木粉樹脂組成物として提供する。 【構成】 各種木粉にフェノール類を反応させて得たノ
ボラック様の木粉樹脂に可塑剤として5〜33重量%の
フェノールを加熱混練して得た、軟化点35〜110℃
の熱硬化性木粉樹脂を含む熱硬化性木粉樹脂組成物。こ
の熱硬化性木粉樹脂は、木粉の酸触媒フェノリシス反応
の反応生成物から、未反応フェノールを減圧蒸留で除い
て得たノボラック様の木粉樹脂に、可塑剤として5〜3
3重量%のフェノールを配合し、加熱混練することによ
って、又は、上記減圧蒸留中の反応生成物に含まれる残
留フェノール量を随時検量し、樹脂に対して残留フェノ
ール量が5〜33重量%に達した時点で、蒸留を停止す
ることによって製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種木粉を原料とする
加工性に富んだ熱硬化性木粉樹脂組成物及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】木粉とフェノールの化学反応、すなわ
ち、木粉のフェノリシスによって木粉樹脂を製造するこ
とは公知であり、その方法として、酸触媒常圧法と無触
媒高圧法が提案されている。
【0003】酸触媒常圧法では、強酸を触媒とし常圧か
つ比較的低温(130〜180℃)でフェノールに木粉
を随時添加しながらフェノリシスが行われ(特公昭61
−2697号公報参照)、無触媒高圧法では、加圧反応
器中、30〜50kgf/cm2 、200〜300℃で
木粉のフェノリシスが行われる(特開昭61−2613
58号公報、特開平3−59035号公報及び特開平3
−126728号公報参照)。
【0004】これらの方法による反応生成物には、未反
応フェノールが残存し、そのため本来は常温で固体であ
る木粉樹脂が、常温で液状又は半固体となるため、扱い
難いものであった。そこで、本発明者等は、未反応フェ
ノールを除去し、扱い易い固体のノボラック様木粉樹脂
粉末を製造する方法を開発した(特願平2−17557
8号参照)。
【0005】しかし、この木粉樹脂から製造される成形
用粉末、接着剤などの物性は、使用する原料木粉の樹種
に応じて異なるため、その利用価値が著しく制約され、
また、たとえ、使用する木粉の樹種を特定して、一定し
た性能をもつ木粉樹脂を提供したとしても、その性能
は、必ずしも最終製品(例えば、成形用粉末、接着剤、
シェルモールド用バインダー等)の製造や品質に要求さ
れる諸条件に適合しないという欠点があった。
【0006】例えば、純粋な木粉樹脂の軟化点、流動点
は、スギ、カラマツ、カバのような一般的な針葉樹、広
葉樹を原料とした場合、約120〜140℃の範囲であ
る。この温度は、通常の硬化剤(ヘキサメチレンテトラ
ミン)による架橋反応温度(115℃〜)より高く、こ
のような木粉樹脂を成形しようとすると、樹脂が半固体
状態で、その流れの悪いうちに、架橋反応が起こり始め
るため、硬化反応が均一に進行せず、成形品に班点を生
じ、機械的強度や耐アセント性等の良好な製品を得るこ
とができない。
【0007】また、ノボラック様木粉樹脂をホルマリン
処理して木材用接着剤を製造するにあたり、メチロール
化反応混合物が不均一となる。すなわち、木粉樹脂をメ
チロール化するのに必要な反応温度では、木粉樹脂は、
実際上、殆ど溶解せず、固体粉末のまま存在するばかり
でなく、しばしば団粒化するので、メチロール化反応系
が均一とならず、反応を均一系で進ませるためには、補
助溶媒としてメタノールを使用しなければならない(特
願平2−175578号参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
ノボラック様木粉樹脂(以下、木粉ノボラック樹脂と述
べる)を改質して、原料とする木粉の樹種に、あまり影
響されることなく、最終製品の製造条件に幅広く適応で
きる、工業原料として利用価値の高い熱硬化性木粉樹脂
組成物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、木粉ノボラ
ック樹脂に、特定量のフェノールを可塑剤とする使用す
ることにより、上記課題を解決した。即ち、本発明の熱
硬化性木粉樹脂組成物は、各種木粉にフェノール類を反
応させて得た木粉ノボラック樹脂に、可塑剤として5〜
33重量%(好ましくは5〜25重量%)のフェノール
を加熱混練して得た、軟化点35〜110℃(好ましく
は40〜110℃)の熱硬化性木粉樹脂を含むことを特
徴とする。
【0010】本発明の熱硬化性木粉樹脂組成物は、フェ
ノールの可塑剤としての作用により、木粉樹脂を軟化点
35〜110℃の樹脂として取り扱えるため、成形材料
などとして非常に安定して使用することができる。な
お、成形用粉末として、本発明の組成物を使用する時に
は、通常、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤、ステ
アリン酸カルシウムのような離型剤、木粉その他の充填
増量剤を配合使用するのが好ましい。
【0011】また、本発明の熱硬化性木粉樹脂組成物
は、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を配合して、
シェルモールド用バインダー、研削砥石用バインダー、
積層品用熱硬化性含浸剤原料としても効果的に使用でき
る。
【0012】更に、フェノールで可塑化した木粉樹脂
を、塩基触媒で、メチロール化して、木材接着用水溶性
接着剤や積層品用熱硬化性含浸剤として使用することも
できる。
【0013】本発明の組成物は、軟化点35〜110℃
の熱硬化性木粉樹脂を含むものであるが、この熱硬化性
木粉樹脂の製法としては、本発明者等が特願平2−17
5578号明細書に開示した方法で得た木粉ノボラック
樹脂、即ち、酸触媒の存在下で、各種木粉にフェノール
類を反応させて得た反応生成物から、未反応フェノール
を減圧蒸留で除いて得た木粉ノボラック樹脂に、可塑剤
として5〜33重量%、好ましくは5〜25重量%、の
フェノールを配合し、加熱混練することによって得られ
る。
【0014】また、この樹脂は、酸触媒の存在下で、各
種木粉にフェノール類を反応させて得た反応生成物か
ら、未反応フェノールを除くための減圧蒸留中の反応生
成物に含まれる残留フェノール量を随時検量し、樹脂に
対して残留フェノール量が5〜33重量%、好ましくは
5〜25重量%、に達した時点で、蒸留を停止すること
によって製造することも可能である。
【0015】なお、フェノールに対する各種木粉仕込比
を、予め検定した所定の仕込み量、反応温度、及び反応
時間に設定することにより、フェノリシス終了と同時
に、所定のフェノール残存量、軟化点及び流動点を有す
る熱硬化性木粉樹脂を製造することも可能である。
【0016】木粉樹脂の製造方法を例示すると、次の通
りである。 〔方法A〕−従来法− 特願平2−175578号の明細書に記載した方法で、
スギ、カラマツ、マカンバ等の木粉から樹脂粉末を製造
する。例えば、反応容器中で480部のフェノールを溶
融し、4.8部の濃硫酸を加え、120℃に加熱した後、
10メッシュ全通の木粉110部を加え、100〜15
0℃で、2時間反応させ、反応中に生じた水を留去させ
た後、温度を110℃に下げて、更に木粉90部を加
え、150〜187℃で3時間加熱し、この間に生じた
水を留去させることにより、未反応のフェノールを含む
粘稠液体を得る。その後、この粘稠液体に2.4部の酸化
マグネシウムを加えて、硫酸を中和した後、200部の
テトラリンを加えて、減圧蒸留して、未反応のフェノー
ルとテトラリンを留去して、155〜168℃で溶融す
る脆い樹脂400部を得た。この樹脂をボールミルで粉
砕し、80〜100メッシュの樹脂粉末とする。
【0017】〔方法B〕−本発明の方法− 方法Aで得た木粉樹脂に、可塑剤としてフェノール(前
記樹脂に対して5〜25%)を添加し、加熱混練し、放
冷後、粉砕して、樹脂粉末とする。この方法では、可塑
剤としてのフェノール含有量を調節することによって、
樹脂の種類にかかわらず、所定の軟化点、流動点硬化速
度をもった成形用粉末を製造することができる。
【0018】〔方法C〕−本発明の方法− 方法Aにおいて、木粉とフェノールの仕込比を変化さ
せ、反応時間、反応温度を予め所定の値に設定し、未反
応フェノールを所定の値で含有する木粉樹脂を製造す
る。例えば、酸触媒フェノリシス反応生成物を減圧蒸留
し、未反応フェノールを除く過程で、随時、ガスクロマ
トグラフ、あるいは高速液体クロマトグラフを用いて反
応生成物中のフェノール量を検量し、規定のフェノール
含有量に達した時、減圧蒸留を停止することによって、
規定の軟化点、流動点をもつ木粉ノボラック樹脂を製造
することができる。
【0019】また、原料の仕込比、反応時間、反応温度
を調整することによって、減圧蒸留工程を除いた一段法
で、本発明の熱硬化性木粉樹脂を得ることも可能であ
る。即ち、この方法では、反応時間を長くすることによ
り、フェノール含有量のより少ない樹脂を製造すること
ができ、またフェノールの仕込比を増やすことで、フェ
ノールの含有量の多い樹脂を製造することができるの
で、条件を選べば、減圧蒸留工程を除いて一段で目的の
フェノール含有量をもった樹脂を製造できる。
【0020】しかし、この方法は、フェノール含有量1
5重量%以上の製品は得るには適するが、木粉仕込量を
増やして、木粉に対するフェノールの仕込比を1.7以
下に下げて、生成する木粉樹脂中のフェノール含有量を
少なくしようとすると、反応混合物の粘度が上昇し、反
応温度(150〜190℃)での反応継続が困難となる
ため、フェノール含有量が15重量%より少ない樹脂を
得ることは困難である。
【0021】前記3種の方法で得た木粉樹脂の熱的物性
を、表1に示す。この結果から、本発明の方法で得たフ
ェノール含有樹脂(No. 2〜5、7〜11及び13〜1
8)は、可塑剤としてのフェノールの含有量に応じて軟
化点、流動点が低い樹脂となることが分かる。ただし、
可塑剤としてのフェノールの量が25重量%を越えると
軟化点が低くなり過ぎて、取扱難くなる場合がある(N
o. 13、18)。
【0022】次に、本発明で得られる樹脂の応用例につ
いて説明する。なお、下記において、部及び%とあるの
は、特に断らない限り、重量部及び重量%を示す。 〔成形品について〕木粉樹脂の粉末5部に対して、充填
剤(100メッシュの木粉)5部、硬化剤(ヘキサメチ
レンテトラミン)1部及び離型剤(ステアリン酸カルシ
ウム)0.1部の割合で添加混合し、加熱時に流れの良い
粉末配合物とし、これを120〜150℃で、金型中
で、加圧し、成形品とした。表1に示す18種の樹脂に
ついて、このような成形品を製造し、それぞれの曲げ強
さをJIS K 6911、5.17に準ずる方法で測
定した。その結果を、表1に示す。これより、本発明の
方法で得た樹脂を使用した成形品は、いずれも実用性あ
る曲げ強さ(6kgf/mm2 以上) を示すことが分かる。
【0023】また、これらの成形品は、耐アセトン性に
も優れている。すなわち、上記混合割合の配合粉から成
形した成形品のアセトン抽出液には、架橋剤が微量抽出
されるだけで、フェノール抽出量は検出限界に近いもの
であった(1ppm以下)。従って、本発明に従った木粉
樹脂に含まれるフェノールは、可塑剤として作用するだ
けでなく、硬化剤すなわち架橋剤(ヘキサメチレンテト
ラミン)と反応して、オリゴマーを生じ、このオリゴマ
ーが、更に木粉樹脂成分と架橋反応を起こすため、成形
品中の成分として、完全に変換固定されているものと思
われる。
【0024】なお、フェノール含有量20%前後の木粉
樹脂粉末は、木粉の種類にかかわらず、そのままでは保
存中に団粒化するが、粉砕直後に、充填剤として等重量
の木粉を配合して置けば、保存中団粒化を防ぐことがで
きることがわかっている。
【0025】更に、本発明で得られる製品の、硬化速度
を知るために、木粉樹脂5部に、ヘキサメチレンテトラ
ミン1部とステアリン酸カルシウム0.06部を混合し、
これを150℃、40kgf/cm2 で、10分間加熱加圧
し、得られた硬化樹脂をアセトンで抽出した結果を、表
1に示す。この結果から明らかなように、本発明の樹脂
粉末を硬化剤と配合したものは、木粉の種類に関係な
く、フェノールを含まない従来の木粉樹脂の場合と比較
して、硬化速度が速く、シェルモールド用バインター、
研削砥石用バインダー、又は溶剤(アセトン、メタノー
ル)に溶解した積層品用熱硬化性含浸剤として使用する
のに適することが分かる。
【0026】〔木材用水溶性接着剤の製造]本発明によ
る、流動点が80℃以下─例えば、フェノール含有量1
5%以上─の木粉樹脂は、メタノールを使用せずに、水
溶液だけで、メチロール化を行うことができる。即ち、
このような樹脂は、70℃前後で液状となる(表1参
照)ため、触媒量の水酸化ナトリウムを含むホルマリン
水溶液と約70℃、15分程度の攪拌で、メタノールを
用いなくても、完全に均一系となり、メチロール化が円
滑に進行し、所定の反応時間後には、均一な木粉レゾー
ル樹脂の水溶液を得ることができ、接着剤として使用で
きる。
【0027】
【表1】
【0028】このように、本発明では、製品性能の点
で、樹種の違いを問題にする必要が実際上殆どなくな
り、その結果、各種木粉を、幅広く工業的に利用可能と
する。即ち、鋸屑、間伐材、廃材などの有効使用が可能
となる。
【0029】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明をさらに詳しく
説明するが、実施例は単に例示的なものであって、これ
によって本発明が限定されるものではない。実施例1 ─フェノールを可塑剤として15%含む樹脂粉
末(表1のNo.4)─ 本実施例では、方法Bによりフェノール含有木粉樹脂を
製造した。まず、攪拌器、温度測定管、仕込口、覗き
窓、循環熱媒による加熱装置、溜出液冷却装置、溜出液
受器及び加熱装置付取り出し弁を備えた100リットル
の琺瑯内張り反応釜に、フェノール50kg、濃硫酸0.5
00kgを仕込んだ後、反応液温度範囲98〜121℃
で、スギ木粉(42〜80メッシュ、含水率8.0%)2
1kgを2回にわけて仕込んだ。各仕込時間は10分以内
とし、第1回仕込後、30分間、121〜108℃で反
応させてから、第2回の仕込を行う、第2回仕込後、1
01〜126℃で30分、126〜167℃で40分反
応させた。この間、水‐フェノールの混合物15.3kg
(含有フェノール6.65kg)が溜出した。マグネシア0.
250kgを加えて、酸成分を中和した後、80mmHgで減
圧蒸留を行い、溜出温度116〜117℃で、未反応フ
ェノール11.0kgを回収した。減圧蒸留を中断して、テ
トラリン20.0kgを仕込み、83〜96mmHg、溜出温度
128℃で減圧蒸留を行い、12mmHgまで減圧にして、
蒸留を終わった。溜出したテトラリン‐フェノール混合
物24.2kg中には、5.20kgのフェノールが含まれた。
その後、釜底の加熱装置付取り出し弁を開いて、軟化温
度119.5℃、流動温度130.2℃、重量平均分子量
(ゲル浸透クロマトグラフィーによる)2161の木粉
ノボラック樹脂40.0kgを得た。この樹脂は、0.60kg
のアセトン不溶物を含むが、これは中和によって生じた
硫酸マグネシウム(計算値0.65kg)であり、樹脂中の
木粉由来成分は12.2kg(仕込木粉重量の58%)、フ
ェノール由来成分は27.2kgと計算される。このように
して得た木粉ノボラック樹脂70.00kgに、フェノール
10.50kgを加え、120〜180℃で混練し、軟化温
度59.1℃、流動温度73.3℃、樹脂に対するフェノー
ル含有量14.4%(実測値)の木粉樹脂79.3kgを得
た。
【0030】このフェノール含有木粉樹脂の粉末5重量
部に対して、ヘキサメチレンテトラミン1重量部とステ
アリン酸カルシウム0.06重量部を加え、室温で混合
し、得られた混合物2gを20cm角のステンレス板2
枚に挟み、150℃、40kgf/cm2 で10分間熱圧し
て、硬化樹脂を得た。この樹脂は、アセトンによるソッ
クスレー抽出を12時間行った場合、3.5%が抽出さ
れ、硬化率は96.5%であった。
【0031】また、実施例1で得たフェノール含有木粉
樹脂の粉末5重量部、100メッシュの木粉5重量部、
ヘキサメチレンテトラミン1重量部及びステアリン酸カ
ルシウム0.1重量部の混合粉を用い、150kgf/cm2
120〜150℃で加熱加圧して得た試験片をJIS
K 6911 5.17に準拠して、測定した結果、曲げ
強さは、6.47kgf/mm2(試験片10個の平均値、標準偏
差0.52kgf/cm2)であった。
【0032】フェノールを含まない木粉樹脂(表1の N
o.1の樹脂)の粉末を、同様に硬化試験すると、アセト
ンで15.7%が抽出され、硬化率は84.3%に過ぎなか
った。また、この木粉樹脂を用いて作った試験片の曲げ
強さは、6.44kgf/mm2(試験片13個の平均値、標準偏
差0.56kgf/cm2)であった(表1の No.1参照)。
【0033】実施例2─フェノールを可塑剤として27
%含む樹脂粉末(表1のNo.12)─ 本実施例では、方法C(但し、一段製造法)によって、
フェノール含有木粉樹脂を製造した。まず、攪拌器、温
度計、蒸留用リービッヒコンデンサー、仕込口を備えた
1リットルのセパラブルフラスコに、フェノール340.
05gと濃硫酸3.64gを仕込み、温度範囲120〜1
50℃で、カラマツ木粉(42メッシュ以下、含水率1
6.6%)200.0gを4回に分けて、70分間で添加し
た(フェノール:木粉仕込重量比1.7:1)。添加終了
後、攪拌を続けながら、60分間で反応温度を150℃
から190℃まで上げ、水の溜出がなくなった時点で反
応を終了した。木粉仕込開始から反応終了まで130分
間で、蒸留用リービッヒコンデンサーを通じて、フェノ
ールを含んだ水が、二層にわかれて104.5g溜出し
た。その上層85.1mlに含まれるフェノールは6.91
g、下層17.9mgに含まれるフェノールは12.85gで
あった。反応終了後、マグネシア2.04gを加えて、酸
を中和し、軟化点53.6℃、流動点69.2℃の黒褐色固
体432.56gを得た。この樹脂は、ゲル浸透クロマト
グラフィーによる分析により、重量平均分子量3641
を示し、またガスクロマトグラフィーによる分析の結
果、木粉ノボラック樹脂に対してフェノール27.1%を
含むことが判明した。
【0034】実施例3─フェノールを可塑剤として18
%含む樹脂粉末(表1のNo.11)─ 本実施例では、方法C(但し、反応時間の延長と反応の
昇温速度の低下による一段製造法)によって、フェノー
ル含有木粉樹脂を製造した。実施例2を基準に、フェノ
ール550.0g、カラマツ木粉323.53g(フェノー
ル:木粉仕込重量比1.7:1)を用いて実験を行う際
に、昇温速度を下げ、反応時間を延長して(木粉仕込開
始から反応終了まで278分間)、軟化点55.2℃、流
動点73.2℃の黒褐色固体705.54gを得た。この樹
脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分析により、
重量平均分子量4189を示し、ガスクロマトグラフィ
ーによる分析の結果、木粉ノボラック樹脂に対してフェ
ノール17.9%を含むことが判明した。即ち、本実施例
の方法では、木粉とフェノールを実施例2と同様の割合
で使用しながら、製品のフェノール含有量を実施例2の
製品より減少させることができた。
【0035】このようにして得た製品を、実施例1と同
様の方法で試験した結果、硬化率は98.0%で、成形し
た試験片の曲げ強さは、6.85kgf/mm2(試験片10個の
平均値、標準偏差0.34kgf/cm2)であり、硬化速度、曲
げ強度共に、フェノールを含まない木粉樹脂(表1の N
o.6参照) に比して、非常に優れたものであり、成形用
樹脂として適したものであった。
【0036】実施例4─フェノールを可塑剤として33
%含む樹脂粉末(表1のNo.13)─ 本実施例では、方法C(但し、フェノール仕込比を増加
した一段製造法)により、フェノール含有木粉樹脂を製
造した。実施例2を基準に、同様の実験を、フェノール
300.00g、カラマツ木粉150.00g(フェノー
ル:木粉仕込重量比2:1)を用いて実施し、軟化点3
7.7℃、流動点50.4℃の黒褐色固体367.63gを得
た。この樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分
析によると、重量平均分子量2094を示し、ガスクロ
マトグラフィーによる分析の結果、木粉ノボラック樹脂
に対してフェノール32.6%を含むことが判明した。即
ち、本実施例では、フェノールの仕込量を増加して、木
粉樹脂のフェノール含有量を増すことができた。
【0037】この樹脂を、実施例1と同様の方法で試験
した結果、硬化率は98.7%、成形試験片の曲げ強さは
6.73kgf/mm2(試験片12個の平均値、標準偏差0.68
kgf/cm2)であり、硬化速度、曲げ強度共に、フェノール
を含まない木粉樹脂(表1のNo. 6参照) に比して、非
常に優れたものであり、成形用樹脂として適したもので
あった。
【0038】実施例5─実施例4で得たフェノール含有
木粉樹脂から水溶性接着剤の製造─ 攪拌器、温度計、還流冷却器、仕込口を備えた1リット
ルのセパラブルフラスコに、実施例4で得た木粉樹脂
(カラマツから得た木粉ノボラック樹脂に対してフェノ
ールを33%含有する樹脂)の粉末100.00gと、1
36.59gの37%ホルマリンを仕込み、70℃で攪拌
しながら、50%苛性ソーダ5.1gを加えて、100分
間反応させた。この間、反応液は黒褐色の均一系とな
り、反応温度は、69〜76℃の範囲で変化し、反応液
のpHは10から9に低下した。反応終了後、反応液
は、20〜25℃で固化するので、10%苛性ソーダ2
00mlを加え、21〜27℃で、90分かけて溶解させ
ると、25.0℃で20.5cPの粘度を有し、135℃、
10gのゲル化時間30分、pH11の黒褐色水溶液4
55.72g(固形分37.7%)となった。この黒褐色水
溶液100部にスミテンダー7部、小麦粉3部を加えた
接着剤とした。該接着剤を、塗布量300g/m2として、
135℃、10kgf/cm2 、6分間の加熱加圧で、ニレ
(1×80×80mm3 )の3プライ合板を作製した。J
IS規格6802、5.5.3および5.5.4に準拠
して測定した接着強さ(常態)は17.2kgf/cm2 (試験
片11個の平均値、標準偏差値3.0kgf/cm2 、木破率1
7.2%)、煮沸繰り返し後の接着強さは9.48kgf/cm2
(紙片件10個の平均値、標準偏差値2.82kgf/cm2
木破率3.0%)であった。
【0039】
【発明の効果】本発明では、原料木粉の種類に関係な
く、製材鋸屑、間伐材の木粉などを原料に用いても、調
節された量のフェノールを可塑剤として含む熱硬化性木
粉樹脂組成物が容易に得られるものであり、この製品
は、樹種の違いにかかわりなく、流動点及び軟化点の低
い扱い易いものとなり、しかも、硬化速度が速いため、
広範な使用目的で、実用性ある成形品に製造することが
できる。また、本発明の製品をメチロール化することに
より、接着力に優れた木材接着剤を容易に製造すること
ができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各種木粉にフェノール類を反応させて得
    たノボラック様木粉樹脂に、可塑剤として5〜33重量
    %のフェノールを加熱混練して得た、軟化点35〜11
    0℃の熱硬化性木粉樹脂を含有することを特徴とする熱
    硬化性木粉樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 硬化剤を併含することを特徴とする請求
    項1の熱硬化性木粉樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 硬化剤、離型剤及び充填増量剤を併含す
    ることを特徴とする請求項1の熱硬化性木粉樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 軟化点35〜110℃の熱硬化性木粉樹
    脂を含む樹脂組成物の製造方法であって、酸触媒の存在
    下で、各種木粉にフェノール類を反応させて得た反応生
    成物から、未反応フェノールを減圧蒸留で除いて得たノ
    ボラック様木粉樹脂に、可塑剤として5〜33重量%の
    フェノールを配合し、加熱混練することによって、上記
    熱硬化性木粉樹脂を製造することを特徴とする熱硬化性
    木粉樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 軟化点35〜110℃の熱硬化性木粉樹
    脂を含む樹脂組成物の製造方法であって、酸触媒の存在
    下で、各種木粉にフェノール類を反応させて得た反応生
    成物から、未反応フェノールを除くための減圧蒸留中の
    反応生成物に含まれる残留フェノール量を随時検量し、
    樹脂に対して残留フェノール量が5〜33重量%に達し
    た時点で、蒸留を停止することによって、上記熱硬化性
    木粉樹脂を製造することを特徴とする熱硬化性木粉樹脂
    組成物の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7276591B2 (en) 2003-05-06 2007-10-02 Fuji Carbon Co., Ltd. Biomass resin composition, process for preparing the same and molding material using the biomass composition

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