JPH05139051A - 熱転写記録方法、熱転写シートおよび熱転写記録装置 - Google Patents

熱転写記録方法、熱転写シートおよび熱転写記録装置

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JPH05139051A
JPH05139051A JP3301655A JP30165591A JPH05139051A JP H05139051 A JPH05139051 A JP H05139051A JP 3301655 A JP3301655 A JP 3301655A JP 30165591 A JP30165591 A JP 30165591A JP H05139051 A JPH05139051 A JP H05139051A
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JP
Japan
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particles
thermal transfer
ink layer
dye
dyeable
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JP3301655A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Onishi
宏 大西
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 染着層のない受像体にも染料による良好な階
調画像を得る。 【構成】 熱転写シート1は、耐熱性のシート状基体2
上に、染料とバインダ材からなるインク層3上に、加熱
により粘度が低下する室温で固形の軟化転写材5に染着
性粒子4を分散した粒子転写層6を積層している。記録
は、まず、熱転写シート1を受像体に押圧しながら加熱
すると、熱量に応じてインク層3内の染料が軟化転写層
6に拡散して染着性粒子4を染着すると共に、軟化転写
材5が軟化する。したがって、軟化転写材5と共に染着
された粒子が受像体10に転写し、記録像を形成する。
この転写された粒子に含まれる染料は、加熱量に比例す
るために、加熱量を制御することにより連続階調記録が
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は染着層のないパルプ紙な
どの受像体を使用しても、染料による連続階調画像を容
易に得ることができる熱転写記録方法、熱転写シートお
よび熱転写記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、昇華性染料を含有したインク層を
有するインクシートと、このインクシートの裏面からの
熱印字により熱拡散する染料を受容する染着層を有する
受像体とを用いる昇華型熱転写記録方式は、優れた中間
調記録が可能で、フルカラー画像記録を提供するものと
して注目されている。この昇華型熱転写記録方式は、例
えば、画像電子学会誌 Vol.12,No.1,pp.
18〜23,1983などで既に公知である。
【0003】図9に従来の一実施例における昇華型熱転
写記録装置の概略構成図を示す。図9において、100
は薄い耐熱性フィルムなどからなるシート状基体、10
1は染料とバインダ材からなるインク層、102はシー
ト状基体100の表面にインク層101を形成したイン
クシート、103はプラスチックフィルムなどからなる
基体、104はインク層101に含まれる染料に対して
染着性を示す染着層、105は基体103上に染着層1
04を形成した受像体、106は発熱体107を有する
サーマルヘッド、108はサーマルヘッド106との間
にインクシート102と記録紙105を圧接するプラテ
ンである。
【0004】以上のように構成された熱転写記録装置に
ついて、以下にその動作について説明する。インクシー
ト102のインク層101と、受像体105の染着層1
04とをサーマルヘッド106とプラテン108との間
に圧接して記録信号源(図示せず)からの信号に応じて
サーマルヘッド106の発熱体107を発熱させ、イン
ク加熱部109を生じさせる。このとき、加熱量に応じ
てインク層101から染着層104内へ染料が拡散す
る。この後、プラテン108の回転Uにより受像体10
5を矢印V方向へ、インクシート102を矢印W方向へ
各々送り、インクシート102を受像体105から剥離
し、転写した染料により染着層104に転写インク像1
13を得る。
【0005】このインクシート102は、例えば厚さが
9μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルムなどのシート状基体100の表面に、バインダ材
としてスチレンアクリロニトリル共重合樹脂10重量
部、昇華分散染料6重量部からなるインク層101をソ
ルベントコーティング法で形成した。また、受像体10
5は、例えばプラスチックフィルムや上質紙からなる基
体103表面にポリエステルなどからなる染着層104
を形成した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うなインクシートの構成では、染着層への染料の熱拡散
を利用するために、一般的に筆記用紙として使用するパ
ルプ紙など、平滑な染着層のない受像体に対しては記録
することができないという問題点を有していた。
【0007】本発明は上記問題点に鑑み、染着層の無い
受像体にも、染料の拡散量を利用した高画質な階調画像
を得る熱転写記録方法、熱転写シートおよび熱転写記録
装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の熱転写記録方法は、熱可塑性樹脂を含んだ
染着性粒子を介して、染料とバインダ材からなるインク
層と受像体とを圧接すると共に選択的に加熱し、この加
熱により染料で染着された染着性粒子の少なくとも一部
を受像体に転写して記録する。
【0009】
【作用】本発明は上記した熱転写記録方法により、加熱
量に応じて染着性粒子の染着量を制御できるので、連続
階調記録が容易である。また、染着性粒子の加熱時での
軟化状態で生じる粘着力で転写するので、受像体に染着
層を必要としない。このとき、染着性粒子が従来の染着
層と同様の染料保持性を発揮する。つまり、染着層のな
い受像体にも、染料の拡散を利用した高画質な階調記録
像を得ることができる。
【0010】更に、本発明では、加熱された部分だけに
染着性粒子が付着転写されるので、画像記録部以外の所
には染着粒子が存在せず、筆記性も受像体とほぼ同様で
ある。なお、本発明において、熱可塑性樹脂の転移点と
はガラス転移点、融点または軟化点のことを示す。
【0011】
【実施例】以下に本発明の熱転写記録方法、熱転写シー
トおよび熱転写記録装置について、図面を参照しながら
説明する。
【0012】図1は本発明の第1の実施例における熱転
写シートの部分断面構成図を示すものである。図1にお
いて、1は熱転写シート、2は記録時の加熱に耐えられ
る耐熱性のシート状基体、3は染料とバインダ材からな
るインク層、4は熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子、5
は染着性粒子を保持すると共に加熱により粘度が低下す
る室温で固形の軟化転写材、6は染着性粒子4を軟化転
写材5に分散配置した粒子転写層である。
【0013】以上のように構成された熱転写シートを使
用した本実施例の第1の熱転写記録方法について、図2
を用いて記録手順を3段階にわけて説明する。
【0014】まず図2(a)で示すように、矢印Pに従
い、受像体10に熱転写シート1の粒子転写層6表面を
圧接する。このとき図2(b)で示しているように、信
号源からの信号に応じてシート状基体2側から加熱手段
であるサーマルヘッド11で加熱する。このとき、矢印
Aに示すようにインク層3内にある染料が粒子転写層6
へ熱拡散すると共に、矢印Bに示すように加熱により軟
化した軟化転写材5が染着性粒子4の表面を浸透して受
像体側へ移行する。更に熱可塑性樹脂で主に構成された
染着性粒子4も熱によって軟化して受像体10と接触し
ている部位で粘着し、受像体への転写力が生じる。この
後、受像体10から熱転写シート1を剥離する図2
(c)と、移行した軟化転写材5および染着性粒子4の
粘着力により、加熱量に応じて染着された染着性粒子4
が転写して記録像13を得る。
【0015】以上のように本実施例によれば、染着性粒
子4と加熱により粘度の低下する軟化転写材5からなる
粒子転写層6をインク層上に構成した熱転写シート1を
使用することにより、染着層のない受像体10にも、染
着した粒子および軟化転写材5により良好な階調性を有
する画像記録ができる。また、加熱されない部分には軟
化転写材5および染着性粒子4がほとんど転写されない
ので、受像体10の風合いを失わず、筆記性も受像体1
0と同様である。
【0016】本実施例では、軟化転写材5の軟化と共に
染着性粒子4を受像体5に転写するため、パルプ紙など
表面の凹凸が大きくて染着性粒子4が十分に接触しない
場合でも、軟化転写材5が受像紙10に浸透することに
よって染着性粒子を転写させることができる。
【0017】平滑な受像体を使用する場合は、粒子の頂
部が表面に接触するので、軟化転写材5が殆どなくて
も、染着性粒子4の粘着転写のみで記録ができ、粒子を
インク層3上に配置しただけの構成とすることもでき
る。但し、加熱時にインク層3と染着性粒子が融着しな
いように、染着性粒子を構成する熱可塑性樹脂とインク
層3に含まれるバインダ材とを非相溶に選ぶことが好ま
しい。
【0018】なお、図2では染料が染着性粒子5の底部
のみから拡散するように図示しているが、実際には、軟
化転写材5を通って染着性粒子の側面から拡散してくる
染料も多い。
【0019】この記録手順を実現する装置して、例えば
図9に示すような従来の熱転写記録装置を用いることが
できる。
【0020】受像体10は、合成紙、アート紙、コート
紙、上質紙、バライタ紙、セルロース繊維紙、プラスチ
ックフィルム等が単独でまたはそれらの積層体で、好適
に使用される。しかし、軟化転写材5に水溶性材料を用
いた場合は、表面が親油性のプラスチックフィルムなど
は親水性処理、例えばポリビニルアルコールによる薄膜
を形成したものなどを用いることが望ましい。
【0021】シート状基体2は、例えばポリエチレンテ
レフタレート、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルム、
またはコンデンサ紙などを使用することができる。な
お、インク層3が形成されない表面、つまりサーマルヘ
ッド11が圧接される表面にシリコーン、またはシリコ
ーンオイルを分散させた樹脂などからなる耐熱性皮膜を
形成したものを用いることもできる。
【0022】染着性粒子4に含まれる熱可塑性樹脂は、
インク層3に含まれる染料に対して染着性を示す樹脂で
あればよく、特に限定されるものではない。この熱可塑
性樹脂は、例えばポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、エチレ
ン酢ビ共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ナイロン樹脂、シリコン
樹脂、ブチラール樹脂等の単体または混合体で構成され
る。また、染着性粒子4として使用する熱可塑性樹脂
は、印加エネルギーが低い場合での受像体10への染着
性粒子の接着性を考慮するとなるべく軟化し易い樹脂を
用いることが良く、例えばガラス転移点が100℃以下
のものを使用することが望まれる。
【0023】染着性粒子4は、前述の熱可塑性樹脂だけ
で構成することもできるが、更に、加熱時での軟化特性
を助長するためにフタル酸ジメチル、オイル、パラフィ
ンなどの可塑材を、逆に熱転写シート1の保存時での融
着を避けるためにシリカ、タルクなどの微粒子、各種界
面活性剤などを適宜混合した構成にできる。
【0024】染着性粒子4の形状は、球形が最も好まし
いが、多角形状、鱗片状など各種の形状で使用すること
ができる。
【0025】染着性粒子4に使用する樹脂材料は、染料
の色を濁らさないように、着色度合の小さいもの、例え
ば淡黄色、白色などを使用する。更に色重ねを考慮して
透明度の高いもの、特に無色透明なものが最も好まし
い。
【0026】インク層3は、加熱により熱拡散する染料
とバインダ材からなり、この染料として、例えば水溶性
染料、油性染料、分散性染料、昇華性染料など各種染料
を使用できる。
【0027】インク層3のバインダ材は、染料の保持力
が強く、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂な
どの熱硬化性樹脂、または前述の熱可塑性樹脂などの単
体または混合体で構成することができる。特に、軟化転
写材5が軟化した温度でも軟化しないような高耐熱性の
樹脂が好ましい。なお、バインダ材はこれらの樹脂類以
外に、パラフィンなどのワックス、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルなどの各種界面活性剤、シリカなどの
各種粉体などを含むことができる。
【0028】また、染着性粒子4および軟化転写材5が
転写し易いように、少なくとも室温時にインク層3と融
着しないことが望まれる。したがって、染着性粒子4お
よび軟化転写材5と、インク層3を構成するバインダ材
とがお互いに非相溶な材料に選ぶことが推奨される。
【0029】しかし、軟化転写材5はインク層3との接
触面積が染着性粒子4と比較してかなり大きいので、融
着に対する影響も大きい。したがって、軟化転写材5を
インク層3のバインダ材と非相溶に選ぶことが特に望ま
れる。そこで、インク層3のバインダ材と軟化転写材5
との相溶性を明らかに異ならせるために、各材料の親液
性を異なるように選択することが好ましい。つまり、バ
インダ材が親油性であれば軟化転写材5を親水性に、バ
インダ材が親水性であれば軟化転写材5を親油性に選
ぶ。例えば、インク層3を構成するバインダ材として分
子量の大きな親油性の樹脂類を使用することが多いの
で、軟化転写材として親水性の水溶性材料の使用が好ま
しい。
【0030】この軟化転写材5には、例えば、室温で固
形のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カル
ナバワックス、キャンデリラワックス、カスターワック
ス、ライスワックス、モンタンワックス、モンタン酸ワ
ックス、酸化ワックス、モンタンエステルワックス、モ
ンタン部分けん化エステルワックス、フィッシャートロ
プシュワックス、ミツロウ、セレシン、サゾールワック
ス、セレシンワックス、ホホバ油、12ヒドロキシステ
アリン酸、12ヒドロキシステアリン酸の誘導体、脂肪
酸アミド、ポリエチレンワックス、グリセリン脂肪酸エ
ステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのワ
ックス類、またはヒドロキシプロピルセルロース、ポリ
エチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロー
ス、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリ
コールエステル、アラビアゴム、コラーゲン、ポリアク
リル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、水溶性アクリ
ル樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性ポリエステル、
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアルコ
ール、でんぷん、寒天、にかわ、カラギーナン、ゼラチ
ンなどの水溶性材料、これらの単体または混合を使用す
る。更に、成膜性を上げるためにインク層3のバインダ
材と非相溶な樹脂類を、粘度低下時の粘度やシート形成
時の塗布改善に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチ
レンラノリンアルコールエーテルなどの界面活性剤を、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、流動パ
ラフィンなどの可塑剤を、炭酸カルシウム、タルクなど
の微粒子などを軟化転写材5に混入することもできる。
【0031】軟化転写材5は、隣接する加熱部と非加熱
部の境界において軟化転写材5の転写と非転写を明確に
区別するように、加熱により大きく粘度が低下する、つ
まり融点を有する材料を使用することが好ましい。ま
た、シートは巻かれた状態で保存されることが多いの
で、室温でシートの裏面に軟化転写材5が粘着しないよ
うに、少なくとも融点または軟化点が50℃以上のもの
が好ましい。
【0032】特に、水溶性材料を軟化転写材として使用
する場合は、50〜70℃で軟化する平均分子量が20
00〜40万程度のポリエチレンオキサイドが好まし
い。なお、分子量が2万以下のものは、ポリエチレング
リコールと一般的に呼ばれることが多い。なお、以下に
示す実験例で、2万以下の低分子量の物はポリエチレン
グリコールと呼ぶ。
【0033】また、軟化転写材5の少なくとも一部とし
て前述のワックスを使用する場合、酸価が20以下のも
のが好ましい。以下にその理由を述べる。まず、酸価が
大きくなるほど低分子量の遊離脂肪酸が多くなり、室温
でも軟化転写材5の内部で低分子の遊離脂肪酸が移動し
易くなる。したがって、転写した後でも遊離脂肪酸が移
動し易く、それに伴って染着性粒子4以外にワックス内
に分散されていた染料が凝集し始め、記録濃度と色の彩
度が低下してしまうのである。この現象は、ワックスの
酸価が20を超えると顕著であり、記録した画像の保存
性が極端に低くなる。したがって、酸価が20以下のワ
ックスの使用が特に好ましい。また、長期間の保存を考
慮すると、酸価はなるべく小さい方が良く、好ましく
は、15程度以下に抑えることが推奨される。
【0034】また、染料による染着性粒子4の染着は、
粒子を構成する熱可塑性樹脂の転移点以上で活発になる
(なお、この転移点とはガラス転移点、融点または軟化
点のことである)。なぜならば、転移点の中でもガラス
転移点を超えた温度領域では、樹脂を構成する分子のミ
クロブラウン運動が少なくとも生じ、分子間への染料の
拡散が容易になるからである(融点または軟化点を超え
ると分子のマクロブラウン運動も生じるので染料拡散が
更に容易になる)。
【0035】もし、融点を有する軟化転写材5を使用し
た場合、この融点よりも粒子を構成する熱可塑性樹脂の
転移点をかなり低く選ぶと、軟化転写材5の転写が始ま
る以前の低い印加エネルギーで、例えば室温で、インク
層3と接触する点から染料が拡散し、粒子が染着され
る。つまり、軟化転写材5が初めて転写されるときには
粒子はかなり染着された状態で、加熱制御できる最も低
濃度な記録濃度が高くなり、良好な画質の階調記録画像
を得ることが困難となる。
【0036】したがって、染着性粒子4を構成する熱可
塑性樹脂の転移点を、軟化転写材5の融点と同程度以上
に選ぶことが好ましい。更に紙面濃度から滑らかに濃度
が立ち上がるには、印加エネルギーが低いときには染着
されていない粒子を転写する領域があることが好まし
く、これを達成するために熱可塑性樹脂の転移点を、特
に転移点の中でも最も低温度であるガラス転移点を軟化
転写材5の融点よりも10℃以上高くすることが推奨さ
れる。
【0037】また、加熱時に軟化転写材5の粘度が低下
して液状になると、軟化転写材5が溶媒として挙動して
染料を溶解する。したがって、加熱に対する染料の拡散
力が小さくても、この溶解現象により軟化転写材5内に
染料を十分に含浸させることができ、染着性粒子4を染
着できる。
【0038】軟化転写材5からなる層の厚さh1は、
0.5μm以上、30μm以下にすることが望ましい。
0.5μm未満であると、染着性粒子4の保持が不十分
となり、熱転写シート1の保存が困難となるからであ
る。また、厚さが厚くなるほど軟化転写材を軟化させる
ために多くの熱エネルギーを必要として記録感度が落ち
る。特に、30μmを超えると、余りに多くの熱エネル
ギーを必要とするために、耐熱性のシート基材2として
安価なポリエチレンテレフタレートでは軟化し始め、シ
ートの搬送時の引っ張り力で破断してしまう。したがっ
て、安価な熱転写シート1としてポリエチレンテレフタ
レートをシート状基体として使用できるように、軟化転
写材からなる層の厚さh1は30μm以下とすることが
好ましい。特に、20μm以下が推奨される。
【0039】染着性粒子4のメジアン径は50μm以下
が好ましい。メジアン径とは、粒子の大きな粒径φから
重量を積算し、粒子総重量が50%となるときの粒径で
ある。本発明では、図3に示すように、加熱に応じてイ
ンク層3から矢印Cにように染料が拡散し、染着性粒子
4を染着する。染料の保持性は、分子量が大きいので軟
化転写材5よりも染着性粒子4の方が良好であり、長期
保存時での記録濃度は粒子の染着度合に対応する。
【0040】ところが、メジアン径が50μmを越える
と、例えば記録密度10ドット/mmでは1画素100
μm×100μm内に数個しか存在せず、1画素が数個
の着色点に分かれて見え、画質が大きく低下する。ま
た、粒子が大きくなるほど、最も温度が上昇する発熱部
中央に粒子の中心が配置された場合と粒子の端が配置さ
れた場合で、粒子の染着度合が大きく異なり、濃度むら
になり易い。したがって、メジアン径は50μm以下が
好ましい。
【0041】また、染着性粒子5の最大粒径が大きいほ
ど、前述と同様に画質の低下の要因となるため、最大粒
径もなるべく小さいことが好ましい。したがって、高画
質な記録をするために染着性粒子4の粒径φは最大粒子
径が50μm以下が好ましい。この場合、粒子の粒度分
布が存在するために、粒子のメジアン径は30μm程度
以下になる。
【0042】染着性粒子4の粒径φが軟化転写材5の厚
さh1よりも大きすぎると、粒子を十分に保持できず、
更に受像体10に押圧した状態では粒子がスペーサとし
て挙動し、軟化転写材5の十分な転写も困難となる。し
たがって、粒子の半分が難か転写材に埋まっているよう
に、染着性粒子4のメジアン径が軟化転写材6の厚さh
1の倍以下になるように選択することが好ましい。
【0043】染着性粒子4の粒子転写層6に占める体積
は、総体積に対して80%以下にするのが好ましい。8
0%を越えて粒子を混入すると、軟化転写材5の保持が
不十分になり、シートの保存が困難となるからである。
特に、粒子の十分な保持力を得るために、60%以下に
抑えることが推奨される。
【0044】熱転写シート1は、例えば、まず、バイン
ダ材を溶解した溶液に、染料を溶解または分散させたも
のをソルベントコーティング法でシート状基体2上に塗
布、乾燥した後、インク層3および染着性粒子4を溶解
しない溶媒に軟化転写材5と染着性粒子4を溶解または
分散した液体をインク層3上に塗布乾燥して粒子転写層
6を形成することにより得られる。
【0045】なお、この粒子転写層6を乾燥するとき
に、若干、染料がインク層3から転写層3に移行するこ
とがある。この染料の移行による濃度が、軟化転写材5
が転写し始めた時の初期濃度であり、この濃度から高濃
度までを連続階調記録できる。したがって、より低濃度
から記録を行なうために、なるべく転写層の乾燥におい
て大きな加熱は避けることが好ましい。たとえば、転写
層の乾燥では室温のままで風乾したり、真空乾燥するこ
とにより、染料の拡散を極力抑えることができる。
【0046】このインク層3または粒子転写層6の形成
時に使用する溶媒として、例えば、水や、アルコール、
オクタン、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤を単体
でまたは混合して使用できる。但し、粒子転写層6の形
成時にインク層3の染料が拡散しないように、インク層
3を侵食さない溶媒で転写層を形成する必要がある。例
えば、インク層3が親油性である樹脂で形成される場
合、転写層4を形成するときに使用する溶媒としては、
水が最も好ましい。したがって、水に不溶な軟化転写材
5の場合は、軟化転写材5を微分散させたエマルジョン
塗液などを使用することが好ましい。
【0047】下記に本実施例に従って試作した熱転写シ
ートの実験例を示す。なお、記録は、記録密度6ドット
/mmのサーマルヘッド6により、ベック平滑度が約3
0sの上質紙(紙面濃度0.09)に押圧しながらパル
ス幅制御信号により加熱記録(最大9J/cm2)し
た。また、記録濃度の測定にはマクベス濃度計RD91
4を使用した。
【0048】厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
からなるシート状基体2上に、アクリロニトリルスチレ
ン樹脂(電気化学工業(株)製、熱変形温度88〜95
℃)20部とインドアニリン系のシアン染料(三菱化成
(株)製、融点128℃)10部をトルエン/2−ブタノ
ン(混合比が1/1)溶剤の70部に溶解したものを塗
布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を形成した。
この熱転写シートを従来の熱転写シート、つまりインク
シート102として使用した。この熱転写シートを用い
た記録では光学的反射濃度で最高濃度で0.3程度のう
っすらとした記録像13を上質紙に得るだけであった。
【0049】更に、このインク層3上に、アクリロニト
リルスチレン樹脂と室温で非相溶な軟化転写材5として
固形のポリエチレングリコール(融点が56〜62℃、
第一工業製薬(株)製、平均分子量2万)20部と、染着
性粒子4としてポリビニルブチラール(積水化学工業
(株)、ガラス転移点55℃)からなる粒子(メジアン径
10μm)20部と、水80部と、界面活性剤(日本油
脂(株)製)0.2部からなる溶液を塗布、室温放置で乾
燥して軟化転写材5の層厚h1が約7μmの凹凸表面を
有する粒子転写層6を形成し、本発明による第1の熱転
写シート1とした。この第1のシートを用いると、加熱
部においてポリエチレングリコールと粒子のほとんどが
転写され、最低濃度0.14、最大濃度1.75のシア
ン単色による連続階調画像を得ることができた。
【0050】なお、本実施例において、粒子を混入しな
い場合を検討したところ、最大濃度1.45の濃度で階
調記録ができたが、室温で放置したところ染料の凝集が
生じ濃度が大きく低下して画質が大きく劣化した。しか
し、本実施例の熱転写シート1では、凝集も少なく、良
好な画質の記録像を保存することができた。これは、染
着性粒子がほとんど染料を保持しているので軟化転写材
5に分散されている染料が少なく、染料の凝集が生じ難
いようである。つまり、染料が画質の保存性からも熱可
塑性樹脂を含んだ染着性粒子4が必要であることも判っ
た。
【0051】同様に、本仕様において染料にイミダゾー
ルアゾ系のマゼンタ染料、ジシアノスチリル系のイエロ
染料(三菱化成(株)製)を用いて記録したところ、最大
濃度1.65のマゼンタ単色による連続階調画像、及び
最大濃度1.60のイエロ単色による階調記録ができ、
3色を重ね記録することによりフルカラー記録像を容易
に得ることができた。
【0052】図4に本発明における第2の実施例である
熱転写シートの部分断面構成図を示す。本実施例では、
図1で説明した各材料を用い、染着性粒子4のメジアン
径が小さい場合を示している。
【0053】記録プロセスも前述と全く同じであるが、
この場合は粒子が小さいので、1画素内に多数の染着性
粒子を配置することができ、きめの細かい高画質な記録
画像を得ることができる。また、平滑な表面を有する受
像体10に転写しても、染着性粒子4が凸部を形成せ
ず、指などの引っかきにも強い定着性を示す画像を得る
ことができる。なお、本実施例における染着性粒子4の
転写は、染着性粒子4の軟化による粘着力よりも軟化転
写材5の粘度低下による転写が主である。
【0054】粒子転写層6の厚さh2は、1μm以上、
30μm以下にすることが望ましい。1μm未満である
と、十分な濃度を示す染料を染着性粒子4および軟化転
写材5内に保持できず、高濃度記録ができないからであ
る。また、層の厚さh2が厚くなるほど軟化転写材を軟
化させるために多くの熱エネルギーを必要として記録感
度が落ちる。特に、30μmを超えると、余りに多くの
熱エネルギー必要とするために、耐熱性のシート基材2
として最も安価なために汎用的に使用するポリエチレン
テレフタレートでは軟化し、引っ張り時に破断してしま
う。したがって、安価なシートとするためにも、粒子転
写層6の厚さh2は30μm以下とすることが好まし
い。特に、20μm以下が推奨される。
【0055】下記に本実施例に従って試作した熱転写シ
ートの実験例を示す。実験の仕様は、第1の実施例で前
述した実験例と同一である。厚さ6μmのポリエチレン
テレフタレートからなるシート状基体2上に、アクリロ
ニトリルスチレン樹脂(電気化学工業(株)製、熱変形温
度88〜95℃)20部とインドアニリン系のシアン染
料(三菱化成(株)製、融点128℃)10部をトルエン
/2−ブタノン(混合比1/1)溶剤の70部に溶解し
たものを塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を
形成した。
【0056】更に、このインク層3上に、アクリロニト
リルスチレン樹脂と室温で非相溶な軟化転写材5として
固形のポリエチレングリコール(融点が約60℃、第一
工業製薬(株)製、平均分子量2万)20部と、染着性粒
子4としてアクリル樹脂(松本油脂製薬(株)、ガラス転
移点100℃)からなる粒子(メジアン径3μm)20
部と、水80部と、界面活性剤(日本油脂(株)製)0.
2部からなる混合液を塗布、室温放置で乾燥して層厚h
2が約10μmの粒子転写層6を形成し、本発明による
第2の熱転写シート1とした。この第2のシートを用い
ると、加熱部において粒子転写層4の厚み方向のほとん
どが転写され、最低濃度0.09(紙面濃度と同じ)、
最大濃度1.70のシアン単色による連続階調画像を得
ることができた。第1の実施例で述べた実験例と比べ
て、染着性粒子4を構成する樹脂のガラス転移点を軟化
転写材5の融点より十分高く選んでいるために、紙面濃
度から連続して濃度階調記録ができたようである。
【0057】図5に本発明における第3の実施例である
熱転写シートの部分断面構成図を示す。本実施例では、
前述と図番が同一のものは、前述で示された物を使用で
きる。
【0058】本実施例では、インク層3上に加熱により
粘度が低下する軟化転写材5からなる転写促進層20が
形成され、この層表面に更に粒子転写層6が積層されて
いる。
【0059】以上のように本実施例によれば、加熱時に
粒子転写層6に分散されている染着性粒子4がインク層
3に含まれるバインダ材と相溶し易い材料を選んだ場合
でも、転写促進層20により、粒子がインク層3に接触
することが防止され、染着性粒子4の転写が容易にな
り、良好な画質の記録像を得ることができる。
【0060】転写促進層20は、例えば前述の軟化転写
材5で構成することができる。また、粒子転写層6に含
まれる軟化転写材は、染着性粒子4を保持できれ良く、
転写は転写促進層20の軟化により十分転写するので、
大きな粘度低下を必ずしも必要としない。但し、シート
の表面方向で軟化転写材5を切れやすくするために、前
述の粘度低下の大きな材料、例えばワックスを使用する
か、転写促進層20と相溶する樹脂材料など使用するこ
とが好ましい。
【0061】下記に本実施例に従って試作した熱転写シ
ートの実験例を示す。実験の仕様は、第1の実施例で前
述した実験例と同一である。厚さ6μmのポリエチレン
テレフタレートからなるシート状基体2上に、アクリロ
ニトリルスチレン樹脂(電気化学工業(株)製、熱変形温
度88〜95℃)20部とインドアニリン系のシアン染
料(三菱化成(株)製、融点128℃)10部をトルエン
/2−ブタノン(混合比1/1)溶剤の70部に溶解し
たものを塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を
形成した。
【0062】更に、このインク層3上に、アクリロニト
リルスチレン樹脂と室温で非相溶な固形のパラフィンワ
ックス(融点が約55℃、日本精蝋(株)製)の厚さ5μ
mからなる転写促進層20を形成した後、20wt%の
低分子量ポリスチレン(融点75℃、エクソン化学
(株))を含んだトルエン溶液を塗布しながら、染着性粒
子4としてポリビニルブチラール(積水化学工業(株)、
ガラス転移点55℃)からなる粒子(メジアン径10μ
m)をばらまき、乾燥した。その結果、軟化転写材5の
みからなる層厚h1が約5μmの粒子転写層6を有する
本発明による第3の熱転写シート1を試作できた。この
第3のシートを用いると、加熱部において粒子転写層6
の厚み方向のほとんどが転写され、最低濃度0.11、
最大濃度1.90のシアン単色による連続階調画像を得
ることができた。パラフィンと低分子量ポリスチレンは
加熱状態で完全に相溶であるために、粒子転写層6の抜
け方も良好であった。更に、第1の実験例では染着性粒
子の一部がインク層3に付着して転写しないものもあっ
たが、本実験では最大エネルギー印加時でも付着したも
のはほとんどなく、したがって本実験では更に高濃度に
記録できたようである。
【0063】図6に本発明における第2の熱転写記録方
法を実施する熱転写装置の部分断面概略図を示す。図番
が同一のものは前述と同じものである。なお、本実施例
では前述の熱転写シート1を使用することももちろんで
きるが、従来のインク層のみが形成されている熱転写シ
ート(従来の技術ではインクシート102と明記)を使
用できる。したがって、本実施例では従来の熱転写シー
トの意味でインクシートと呼ぶ。
【0064】31は受像体10との押圧以前に従来のイ
ンクシート102のインク層101表面に染着性粒子4
を供給する粒子供給機、32は受像体10に転写した染
着性粒子4の中で定着されていない粒子を除去する粒子
除去機、33は粒子除去機32でも除去できなかった粒
子を更に強固に定着させるために粒子を再加熱するヒー
トローラである。
【0065】本実施例における熱転写記録手順を以下に
説明する。まず、粒子供給機31によって染着性粒子を
従来のインクシート102の染料を含んだインク層10
1表面に配置する。この状態では、粒子は染料で染着さ
れていない。この粒子を介して、受像体10を押圧する
と共に、インクシート側からサーマルヘッド106で画
像信号に応じて加熱する。このとき、加熱量に応じてイ
ンク層101内の染料が粒子に熱拡散して染着すると共
に、熱軟化により変形しながら受像体10に付着し、加
熱染着された粒子34となる。なお、加熱されなかった
粒子も、受像体10の表面凹凸によって擦り取られるよ
うに受像体10にほとんど転写する。したがって、押圧
後に受像体10からインクシート102を剥離すると、
粒子が受像体10に殆ど転写する。
【0066】更に、受像体10の表面で加熱されていな
い粒子が、粒子除去機32で除去され、受像体10の表
面には加熱染着された粒子34が残る。この粒子も加熱
により定着されているものの、受像体10の凹凸に十分
に接触していない部分もあるので、更にヒートローラ3
3により十分に軟化されて定着力の強い記録像13を得
る。
【0067】この記録過程において、染着量は押圧時の
加熱に比例するので、加熱量に応じた階調記録像を得る
ことができる。なお、本発明では、前述した熱転写シー
ト1のように染着部である粒子をインク層から離して保
存できるので、室温接触による染着もなく、各材料の選
択が容易であり、低濃度から記録することが容易であ
る。
【0068】また、従来のインクシートを用いることが
でき、染着層を有する特殊紙を供給して昇華型熱転写記
録をする場合と、本発明の特徴である普通紙記録をする
場合とを容易に併用できる装置とすることができる。更
に、粒子除去機32で回収された染着性粒子4は、熱変
形していないので再利用することができる。
【0069】この染着性粒子4は、インク層に付着せ
ず、受像体10に転写し易いように、少なくとも室温で
インク層を構成するバインダ材と非相溶に選ぶことが好
ましい。
【0070】染着性粒子4の形状は、球形が好ましい
が、その他に多角形、偏平形状など各種形状のものを使
用することができる。
【0071】なお、本実施例では従来のインクシート1
02上に染着性粒子4を配置したが、受像体10表面に
配置した後にインクシートを押圧する構成にすることも
できる。この場合、1色記録以前で染着性粒子4を受像
体10表面に供給し、3色記録が終わった後で粒子除去
を行なう構成とすることもでき、粒子の供給が1回で良
くなる。
【0072】粒子供給機31は、例えば、染着性粒子を
粉体状態でばらまいたり、粒子を分散させた液体を塗布
したりして染着性粒子4を均一に供給することができ
る。
【0073】粒子除去機32は、受像体10表面の定着
していない染着性粒子4を除去できれば良く、例えば、
ブラシ、ブレードなどを用いて構成される。
【0074】下記に本実施例に従った熱転写記録方法の
実験例を示す。なお、記録は、記録密度6ドット/mm
のサーマルヘッド6により、ベック平滑度が約30sの
上質紙(紙面濃度0.09)に押圧しながらパルス幅制
御信号により加熱記録(最大9J/cm2)した。ま
た、記録濃度の測定にはマクベス濃度計RD914を使
用した。
【0075】厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
からなるシート状基体2上に、アクリロニトリルスチレ
ン共重合樹脂(電気化学工業(株)製、熱変形温度88〜
95℃)20部とインドアニリン系のシアン染料(三菱
化成(株)製、融点128℃)10部をトルエン/2−ブ
タノン(混合比1/1)溶剤の70部に溶解したものを
塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を形成し
た。この熱転写シートを従来の熱転写シート102とし
て使用した。
【0076】記録は、このシート102を受像体10に
押圧しながら熱記録する際に、シートのインク層上に、
染着性粒子4としてポリビニルブチラール(積水化学工
業(株)、ガラス転移点55℃)からなる粒子(メジアン
径10μm)20部と、水80部と、界面活性剤(日本
油脂(株)製)0.2部からなる溶液を塗布しながら行な
った。インク層は加熱により大きく軟化することがない
ので、押圧後は粒子のほとんどが受像体10に転写され
た。この受像体10の表面を粒子除去機32である刷毛
で擦ると加熱変形しなかった粒子が除去され、加熱変形
し染着された粒子のみが受像体に残った。この状態で、
最低濃度0.10、最大濃度1.70のシアン単色によ
る連続階調画像を得ることができた。更に表面温度15
0℃のヒートローラ33で全面を加熱すると、粒子の凹
凸が馴らされて平坦な記録像13とすることができ、最
高濃度も1.83に上がった。このとき、最低濃度は
0.11であり、目視ではかぶりが確認できない程度で
あった。また、前述の熱転写シート1を用いたときより
も、低濃度が低く、更に高画質な記録像13を得ること
ができた。
【0077】図7に、各実施例で使用できる他の染着性
粒子4の断面構成図を示す。この染着性粒子4は、熱可
塑性樹脂からなる染着性の芯材36と、この芯材36を
熱により軟化する軟化材からなる軟化膜37で覆ってい
る。
【0078】この染着性粒子4を用いると、芯材36の
熱軟化が不十分であっても、加熱に応じて芯材が染着さ
れ、軟化膜37の軟化により、受像紙に転写することが
できる。したがって、従来の熱転写シートを用いて、受
像紙10と接触する以前に、この染着性粒子4をばらま
きながら、熱転写記録する事により、容易に普通紙に記
録することができる。
【0079】芯材36は例えば前述した熱可塑性樹脂
を、軟化膜37は例えば前述の軟化転写材5の中で融点
を有する、または軟化点の低い、例えばワックス類や水
溶性樹脂などを用いることができる。また、軟化膜37
を構成する材料をインク層のバインダ材と少なくとも室
温で非相溶にすることにより、加熱時での転写が更に容
易になる。
【0080】この染着性粒子4は、例えば、熱可塑性樹
脂を粉砕して芯材36を作成した後、軟化転写材5を溶
解し芯材36を溶解しない溶媒を用いて、軟化転写材5
と芯材36を溶解・分散した液体を作成し、これをスプ
レーで霧状に噴出しながら空中で乾燥させることにより
得ることができる。
【0081】この試作方法によりメジアン径7μmのア
クリル樹脂(松本油脂製薬(株)、ガラス転移点100
℃)に膜厚が2μm程度のカルナバを形成したものを染
着性粒子4とした。この試作した染着性粒子4を用い
て、図6で示した装置で記録すると、加熱染着された粒
子34は殆ど球形のままであったが、ヒートローラ処理
により平滑な記録像13として得ることができた。
【0082】図8に、本発明の第4の実施例である熱転
写シートの断面構成図を示す。これは、インク層3上
に、図7で示した染着性粒子を染着性粒子としてを配置
したものであり、図1と比べて軟化転写材5がインク層
3全面と接触していないので、室温での染料のかぶりが
更に抑えられ、高画質な記録像を得ることができる。
【0083】ところが、加熱記録時には、少なくとも粒
子を覆っている軟化膜37が軟化してインク層3表面方
向に軟化膜37を構成する材料が濡れ広がり、インク層
との接触面積を増大し、染料が芯材36へ拡散しやすく
なり、十分な染着記録ができる。
【0084】このとき、好ましくは、芯材36を構成す
る熱可塑性樹脂も、加熱記録時に軟化して押圧により変
形するように選択することにより、更に染料の芯材36
への拡散が容易になり、記録感度も向上する。
【0085】このシートは、例えば、インク層3を形成
した上に、例えば図7で示した作成方法により試作した
染着性粒子4を粉体塗装法などでインク層3上に配置し
て試作できる。
【0086】本発明における熱転写シート1のどれを用
いても、記録像13がないところに軟化転写材5や染着
性粒子4が転写されることがほとんどなく、筆記性も良
好である。また、多数の染着された粒子で1画素を構成
するために、画質も良好である。
【0087】なお、本実施例では、インク層に含まれる
バインダ材と染着性粒子4を非相溶に選んでも、圧接時
のインク層3へのめり込みにより粒子がインク層側に残
留する場合もある。したがって、このような組合せにお
いて、更に剥離を良くして高濃度な記録物を得たい場合
は、例えば、インク層3に弗素系界面活性剤やシリコー
ンオイルなどを添加して軟化転写材5および染着性粒子
4の転写を更に容易にして改良することができる。
【0088】なお、本実施例では、単色記録についてほ
とんど説明したが、3原色の重ね記録することにより、
容易にフルカラー画像を得ることができる。この重ね記
録時には、従来の熱転写シートでは重ね記録時に染着層
に転写していた染料がシート側に再拡散し、画質を下げ
ていたが、本発明によると各色毎に染着層に相当する軟
化転写材が転写されるので、再拡散しても軟化転写材と
一緒に受像体に再び転写され、受像体に転写された色材
が減少せず、高画質な記録像とできる。この場合、色の
異なるインク層3毎に軟化転写層4を構成する軟化転写
材、染着性粒子の構成及び材質を変えることもできる。
【0089】また、図1、図4、図5、図8での熱転写
シートを使用して画像記録した後、記録像を全面加熱し
て染着性粒子の密着を上げ、画像の定着性を更に高める
こともできる。
【0090】また、加熱手段として、サーマルヘッドを
用いて説明したが、レーザ光発振機を用いて記録するこ
ともできる。
【0091】また、普通紙のみならず、従来の染着層を
有した受像体にも同様に記録することも、もちろんでき
る。
【0092】なお、本実施例のみならず、各実施例で述
べた構成を組み合わせた熱転写シート、例えば図1で示
した熱転写シートの染着性粒子に図7で示した染着性粒
子を使用したり、図5に示した粒子転写層6を図7で示
した染着性粒子4のみで構成した熱転写シートなどとす
ることももちろんできる。
【0093】
【発明の効果】以上のように本発明は、熱可塑性樹脂を
含んだ染着性粒子を介して、染料とバインダ材からなる
インク層を受像体に押し付けながら選択的に加熱し、そ
の加熱に応じてインク層内の染料で染着性粒子を染着す
ると共に、受像体に染着した染着性粒子の少なくとも一
部を付着転写させることにより、一般に使用するパルプ
紙など、染着層のない受像体に対しても良好な階調記録
像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における熱転写シートの
部分断面構成図。
【図2】第1の実施例で示した熱転写シートを用いた熱
転写記録の動作説明図。
【図3】第1の実施例で示した熱転写シートを用いた加
熱時での染料の拡散挙動を説明する1粒子付近の部分拡
大モデル図。
【図4】本発明の第2の実施例における熱転写シートの
部分断面構成図。
【図5】本発明の第3の実施例における熱転写シートの
部分断面構成図。
【図6】本発明における第2の熱転写記録方法を実施す
る熱転写装置の部分断面概略図。
【図7】本発明に使用する一実施例の染着性粒子の断面
構成図。
【図8】本発明の第4の実施例である熱転写シートの部
分断面構成図。
【図9】従来の熱転写シートを用いたときの熱転写記録
装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 熱転写シート 2 シート状基体 3 インク層 4 染着性粒子 5 軟化転写材 6 軟化転写層 10 受像体 11 サーマルヘッド 12 信号源 13 記録像

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子を介し
    て、染料とバインダ材からなるインク層と受像体を圧接
    すると共に選択的に加熱し、この加熱により前記染料で
    染着した前記染着性粒子の少なくとも一部を前記受像体
    に転写して記録像を得ることを特徴とする熱転写記録方
    法。
  2. 【請求項2】 染料を含んだインク層上に熱可塑性樹脂
    を含んだ染着性粒子を配置した熱転写シートを、受像体
    に押圧しながら選択的に加熱し、その後に前記熱転写シ
    ートを剥離して前記加熱により染着した前記染着性粒子
    の少なくとも一部を前記受像体に転写して記録像を得る
    ことを特徴とする熱転写記録方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子を、熱
    転写シートの染料とバインダ材からなるインク層上に配
    置しながら受像体を押圧すると共に前記インク層を選択
    的に加熱し、その後に前記受像体から前記インク層を剥
    離し、前記染料で染着した前記染着性粒子の少なくとも
    一部を前記受像体に転写して記録像を得ることを特徴と
    する熱転写記録方法。
  4. 【請求項4】 耐熱性のシート状基体の上に、染料とバ
    インダ材からなるインク層を形成し、このインク層上に
    熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子を配置したことを特徴
    とする熱転写シート。
  5. 【請求項5】 耐熱性のシート状基体の上に、染料とバ
    インダ材からなるインク層と、加熱により粘度が低下す
    る軟化転写材に熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子を分散
    配置して形成した粒子転写層とを順次積層したことを特
    徴とする熱転写シート。
  6. 【請求項6】 耐熱性のシート状基体の上に、染料とバ
    インダ材からなるインク層と、加熱により粘度が低下す
    る軟化転写材からなる転写促進層とを順次積層し、更に
    前記転写促進層上に熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子を
    少なくとも配置したことを特徴とする熱転写シート。
  7. 【請求項7】 染着性粒子のメジアン径が50μm以下
    であることを特徴とする請求項4、5及び6記載の熱転
    写シート。
  8. 【請求項8】 染着性粒子に含まれる熱可塑性樹脂が、
    インク層に含まれるバインダ材と室温で非相溶であるこ
    とを特徴とする請求項4、5及び6記載の熱転写シー
    ト。
  9. 【請求項9】 染着性粒子の表面が、融点または軟化点
    を有する軟化膜で覆われていることを特徴とする請求項
    3、4及び5記載の熱転写シート。
  10. 【請求項10】 染着性粒子に含まれる熱可塑性樹脂の
    転移点が、軟化転写材の融点以上であることを特徴とす
    る請求項5及び6記載の熱転写シート。
  11. 【請求項11】 耐熱性シート状基体に染料を含んだイ
    ンク層を有する熱転写シートと、前記インク層側に受像
    体を圧接する圧接手段と、この圧接以前に前記インク層
    と前記受像体との間に熱可塑性樹脂を含んだ染着性粒子
    を供給する粒子供給手段と、前記圧接手段による前記染
    着性粒子を介した圧接時に前記インク層を選択的に加熱
    する加熱手段と、この加熱後に前記熱転写シートを剥離
    する剥離手段と、この剥離後に前記受像体表面に付着し
    ていない前記染着性粒子を除去する粒子除去手段とを有
    し、前記染着性粒子を介して前記受像体に前記インク層
    を押圧しながら選択的に加熱した後、前記受像体から前
    記インク層を剥離し、加熱により染着した前記染着性粒
    子の少なくとも一部を前記受像体に転写して記録像を得
    ることを特徴とする熱転写記録装置。
  12. 【請求項12】 染着性粒子の表面が、融点または軟化
    点を有する軟化膜で覆われていることを特徴とする請求
    項11記載の熱転写記録装置。
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JPH07290836A (ja) * 1994-04-26 1995-11-07 E I Du Pont De Nemours & Co レーザーで誘起される剥脱的な転写のためのエレメントおよび方法
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