JP2822837B2 - 熱転写シート、熱転写シートの製造方法および熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写シート、熱転写シートの製造方法および熱転写記録方法

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JP2822837B2 JP5050325A JP5032593A JP2822837B2 JP 2822837 B2 JP2822837 B2 JP 2822837B2 JP 5050325 A JP5050325 A JP 5050325A JP 5032593 A JP5032593 A JP 5032593A JP 2822837 B2 JP2822837 B2 JP 2822837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙などの受像体へ画像
信号に応じて色材を配置するハードコピー技術、特に熱
転写記録方式の記録技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、IEEE Transactions on Consume
r Electronics, Vol.CE-28, No.3, pp.226-232, August
1982 や Journal of Imaging Science, Vol.35, No.4,
pp.263-273, August 1991 で示されるように、近年、
耐熱性のシート状基体上に昇華性染料を含有したインク
層を有する熱転写シートと、この熱転写シートの裏面か
らの加熱により拡散してきた染料を受容する染着層を有
する受像体とを用いる昇華型熱転写記録方式は、優れた
中間調記録が可能で、フルカラー画像記録を提供するも
のとして注目されている。
【0003】この昇華型熱転写記録方式による記録は、
まず熱転写シートのインク層と、受像体の染着層とを重
ねた状態で、熱転写シートのシート状基体側からサーマ
ルヘッドにより記録信号源からの信号に応じて加熱す
る。このとき、加熱量に応じてインク層から染着層内へ
染料が拡散し、この後に受像体から熱転写シートを剥離
すると拡散転写した染料により染着層に転写インク像を
得る。
【0004】この昇華型熱転写記録方式に用いる熱転写
シートは、例えば厚さが9μm程度のポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルム等のシート状基体の表面
に、バインダ材としてスチレンアクリル樹脂10重量
部、昇華性分散染料6重量部からなるインク層をソルベ
ントコーティング法で形成し、また受像体は、例えばポ
リエステルや上質紙からなる基体表面にポリエステル樹
脂などからなる染着層を形成した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、染着層への染料の熱拡散を利用するため
に、一般的に文房具や葉書などで使用するパルプ紙、つ
まり平滑な染着層のない受像体に対しては記録すること
ができないという課題を有していた。
【0006】本発明は上記課題に鑑み、例えばパルプ紙
などの染着層の無い受像体を用いても染料の拡散量を利
用した高画質の階調画像を得ることができる熱転写シー
トと、この熱転写シートの製造方法およびこの熱転写シ
ートを用いた熱転写記録方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明による熱転写シートは、耐熱性のシート状基体
の上に染料を含んだインク層を、このインク層上に水性
材料からなる染料拡散防止層を、更にこの染料拡散防止
層上に少なくとも加熱により粘度が低下する軟化転写材
に染着性の熱可塑性樹脂からなる染着性粒子を分散配置
して構成した粒子転写層を積層している。
【0008】また本発明による熱転写シートの製造方法
は、耐熱性のシート状基体上に染料を含んだインク層を
形成した後、水性材料を含んだ水溶液を塗布して室温以
上であると共に染料の転移温度よりも低い温度で乾燥し
て染料拡散防止層を形成し、更にこの染料拡散防止層表
面に加熱により粘度が低下する軟化転写材と染着性の熱
可塑性樹脂からなる染着性粒子を水に分散させた水分散
液を塗布し、室温以上であると共に、染料、染料拡散防
止層、軟化転写材と染着性粒子を構成する各材料の中で
最も低い転移温度よりも低い温度で乾燥して粒子転写層
を形成して熱転写シートとすることを特徴とする。
【0009】更に本発明による熱転写シートを用いた熱
転写記録方法は、前述した構成を有する熱転写シート、
つまり耐熱性のシート状基体の上に、染料を含んだイン
ク層、水性材料からなる染料拡散防止層、少なくとも加
熱により粘度が低下する軟化転写材に染着性の熱可塑性
樹脂からなる染着性粒子を分散配置して構成した粒子転
写層を順次積層した熱転写シートを用い、この熱転写シ
ートと受像体を重ねて画像信号に応じて選択的に加熱す
る際に、画像信号のままでは加熱部に直接または複数画
素をおいて隣接する非加熱部になる部位において、少な
くとも粒子転写層の一部が転写するように加熱する。
【0010】
【作用】本発明は上記した構成の熱転写シートをパルプ
紙などの受像体に押圧した状態で熱転写記録すると、ま
ず軟化転写材の転移温度以上に粒子転写層が加熱された
時点で軟化転写材が低粘度化する。このとき、低粘度化
した軟化転写材の一部が染料拡散防止層の厚み方向に浸
透しインク層に達すると、この軟化した軟化転写材を介
してインク層内の染料が染料拡散防止層を拡散して軟化
転写材と染着性粒子を染着できるようになる。
【0011】同時に低粘度化した軟化転写材は受像体に
粘着し、受像体への転写力を生じる。したがって、この
状態で受像体から熱転写シートを剥離すると、少なくと
も染料拡散防止層を拡散した染料により染着された軟化
転写材と染着性粒子の少なくとも一部が転写して記録像
を得る。
【0012】つまり、軟化転写材が低粘度化した温度以
上では、加熱量に応じて染料拡散防止層を浸透した軟化
転写材を介した染料の熱拡散により染料拡散防止層を通
過させ、軟化転写材のみならず染着性粒子への染着量を
制御でき、連続階調記録が容易である。つまり、染着層
のない受像体にも、加熱量を画像信号に応じて制御する
だけで染料による高画質な階調記録像を得ることができ
る。
【0013】また、熱転写シートの保存温度が、軟化転
写材の転移温度以下であれば、染料拡散防止層により染
料の拡散が抑制され、粒子転写層を染着せずに、初期の
記録特性を有して長期間に渡って熱転写シートを保存す
ることができる。
【0014】熱転写シートにおいて、好ましくは少なく
ともワックスまたはポリエチレングリコールなどの融点
を有する材料を含んで軟化転写材を構成する。なぜなら
ば、加熱部と非加熱部において軟化転写材の粘度が急変
するので粒子転写層の表面方向の破断が容易になり、安
定した転写記録像を得ることができ、また粘度低下が大
きいので染料拡散防止層内への浸透力も大きくなり記録
感度を上げることができるからである。
【0015】また上記した本発明による熱転写シートの
製造方法により、染料拡散防止層を構成するときは染料
の転移温度よりも低い温度で乾燥するので、乾燥中にイ
ンク層内の染料が相転移して拡散が活発になることがな
く、染料の混入がない染料拡散防止層を形成できる。更
に粒子転写層の形成に当たっては、染料、染料拡散防止
層、軟化転写材と染着性粒子を構成する各材料の中で最
も低い転移温度よりも低い温度で乾燥されるので、染料
が染料拡散防止層を拡散通過してくることがなく、未染
着な粒子転写層を積層することができる。
【0016】好ましくは、少なくとも粒子転写層は別の
離型性基体上に形成し、染料拡散防止層の形成と共に、
インク層上に転写積層して作成する。なぜならば、乾燥
時の厳密な温度管理が一回だけでよいので製造が容易に
なり、また粒子転写層の形成には温度を挙げて乾燥でき
るので均一な層を形成でき、記録画像の画質を改善でき
るからである。
【0017】なお、本願発明で使用する転移温度とは、
室温以上で物質が相転移するときの温度を示しており、
染料では融点および昇華点が、水性材料や熱可塑性樹脂
材料などの高分子材料においては融点、軟化点およびガ
ラス転移点を示す。
【0018】更にまた上記した本発明による熱転写シー
トを用いた熱転写記録方法によると、画像信号において
部分的に1画素しか画像データのない場合でも、染着さ
れた1画素の周囲に殆ど染着されていない軟化転写材と
染着性粒子が転写されます。もし、画像信号に応じて忠
実に加熱すると、このように1画素分だけしか転写させ
ない部分では平滑性の悪い受像体を用いると転写不良に
なり画質を低下させる、また転写されても1画素程度で
は強固な定着力がないので記録物の使用中に剥離する等
の問題が生じる。しかし、本発明の記録方法では、前述
したように、画像信号においては非加熱部と加熱部の境
界でも、実際には粒子転写層の一部が転写するように加
熱制御するので、平滑性の悪い受像体でも転写し易くな
り、定着性も十分確保できる。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。
【0020】図1は本発明の実施例における熱転写シー
トの部分断面構成図を示すものである。図1において、
1は熱転写シート、2は記録時の加熱に耐えられる耐熱
性のシート状基体、3は染料とバインダ材からなるイン
ク層、4はインク層3に含まれる染料に対して染着性の
熱可塑性樹脂からなる染着性粒子、5は染着性粒子4を
保持すると共に加熱により粘度が低下する室温で固形の
軟化転写材、6は染着性粒子4を軟化転写材5に分散配
置して形成した粒子転写層、7はインク層3と粒子転写
層6の間に形成した水性材料からなる染料拡散防止層で
ある。
【0021】以上のように構成された熱転写シート1を
用いて熱転写記録した場合について以下に説明する。記
録手順は従来の熱転写記録方法と同じである。まず、染
着層がない一般のパルプ紙などの受像体に熱転写シート
1の粒子転写層6表面を圧接し、信号源からの信号に応
じてシート状基体2側からサーマルヘッドで加熱する。
【0022】この加熱により、まず軟化転写材5が低粘
度化して染料拡散防止層7を浸透すると共に、この低粘
度化した軟化転写材5を介してインク層3内にある染料
が染料拡散防止層7を通過して粒子転写層6側へ熱拡散
する。同時に、低粘度化した軟化転写材5が受像体側に
密着して転写力を生じる。この結果、染着性粒子4を含
んだ粒子転写層6の受像体への転写力を生じ、受像体か
ら熱転写シート1を剥離すると、加熱軟化した軟化転写
材5と共に加熱量に応じて染着された染着性粒子6の少
なくとも一部が転写して記録像を得る。
【0023】以上のように本願発明の熱転写シート1を
用いて従来の熱転写記録方式で記録することにより、染
着層のない受像体にも、加熱に応じて染着した染着性粒
子4および軟化転写材5が転写して良好な階調性を有す
る画像記録ができる。
【0024】また、インク層3と粒子転写層6の間に水
性材料からなる染料拡散防止層7が形成されているの
で、軟化転写材5が低粘度化しない室温程度のシート保
存においては殆ど粒子転写層6内に染料が拡散できず、
長期にシートを保存しても記録以前に染着性粒子4が染
料により染着されることが避けられ、保存後も良好な階
調記録像を得ることができる。
【0025】更にまた、加熱されない部分には軟化転写
材5および染着性粒子4が転写されないので、受像体の
風合いを失わず、画像が形成されない部分では筆記性も
良好であるという効果もある。
【0026】ところで、粒子転写層6の代わりに、軟化
転写材5と染着性粒子4を構成する各材料を完全に相溶
させて均一な転写層として形成することも考えられる
が、この場合には加熱時による転写層の機械強度が高
く、熱転写記録時に転写層の不安定な切れ、非加熱部の
不必要な転写が生じ難く、良好な画質の転写記録像を得
ることがでない。
【0027】しかし、本発明では、加熱による粘度低下
により転写に寄与する軟化転写材5と、特に長期間安定
した染着に寄与する染着性粒子4が混合された状態でミ
クロ的には個別に存在するので、加熱部においては強度
の弱い軟化転写材5で切れ易く、同一材料を均一に混合
した場合よりも加熱部と非加熱部での粒子転写層6の切
れが容易となり、加熱に対応した高画質な転写記録像を
得ることができる。
【0028】シート状基体2は、例えばポリエチレンテ
レフタレート、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルム、
またはコンデンサ紙などを使用することができる。な
お、インク層3が形成されない表面、つまりサーマルヘ
ッドが圧接される表面に耐熱性処理を施したもの、例え
ばシリコーン、シリコーンオイル、シリカなどを熱硬化
性樹脂、UV硬化性樹脂や弗素系樹脂などの耐熱樹脂に
分散させた耐熱滑性層を形成したものや、インク層3と
シート状基体2の間に飽和ポリエステルなどからなる接
着層を形成したものを用いることもできる。
【0029】染着性粒子4を構成する熱可塑性樹脂は、
インク層3に含まれる染料に対して染着性を示す樹脂で
あればよく、特に限定されるものではない。この熱可塑
性樹脂は、例えばポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル共
重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール
樹脂等の単体または混合体で構成される。また、染着性
粒子4として使用する熱可塑性樹脂は、印加エネルギー
が低い場合での受像体への粒子の接着性を考慮するとな
るべく軟化し易い樹脂を用いることが好ましく、例えば
ガラス転移点が100℃以下のものを使用することが望
まれる。
【0030】染着性粒子4は、前述の熱可塑性樹脂だけ
で構成することもできるが、更に、加熱時での軟化特性
を助長するためにフタル酸ジメチル、オイル、パラフィ
ンなどの可塑材を、逆に熱転写シート1の保存時での融
着を避けるためにシリカ、タルクなどの微粒子、各種界
面活性剤などを適宜混合した構成にできる。
【0031】図1では、染着性粒子4はほぼ均一な粒径
を有する粒子として図示されているが、粒度分布があっ
てもよい。但し、染着性粒子4の最大粒子径が50μm
以下が好ましい。最大粒子径が50μmを越えると、例
えば記録密度10ドット/mmでは1画素100μm×
100μm内に数個しか存在せず、1画素が数個の着色
点に分かれて見え、画質が大きく低下する。
【0032】また、粒子が大きくなるほど、最も温度が
上昇する発熱部中央に粒子の中心が配置された場合と粒
子の端が配置された場合で、粒子の染着度合が大きく異
なり、濃度むらになり易い。したがって、最大粒子径は
50μm以下が好ましい。この場合、粒子の粒度分布を
考慮すると粒子のメジアン径は30μm程度以下にな
る。なおメジアン径とは、粒子の大きな粒径φから重量
を積算し、粒子総重量が50%となるときの粒径であ
る。
【0033】染着性粒子4の形状は、分散を容易にする
ために球形が最も好ましいが、多角形状、鱗片状など各
種の形状で使用することができる。
【0034】染着性粒子4に使用する樹脂材料は、染料
の色を濁らさないように、着色度合の小さいもの、例え
ば淡黄色、白色などを使用する。更に色重ねを考慮して
透明度の高いもの、特に無色透明なものが最も好まし
い。
【0035】染着性粒子4は拡散した染料を長期間保持
するために混入されており、記録された画像の保存特性
を改善するものである。もし、この粒子が混入されずに
軟化転写材5のみで転写を行なうと、保存中に染料が析
出、凝集して画質が大きく低下してしまう。したがっ
て、粒子転写層6全体を100重量部とすると少なくと
も20重量部以上を染着性粒子4で占めるようにするこ
とが推奨される。
【0036】インク層3は、加熱により熱拡散する染料
とバインダ材からなり、この染料として、例えば油性染
料、分散性染料、昇華性染料など各種染料を使用でき
る。但し、染料の転移温度は室温以上に選ぶ。なぜなら
ば、染料の熱拡散は転移温度以上で活発になるので、室
温で十分な染料拡散を防止するには室温が転移温度以下
の状態になければならないからである。なお、この転移
温度とは融点または昇華点のことである。室温での十分
な保存性を考慮して、転移温度が80℃以上の染料を選
ぶことが推奨される。
【0037】インク層3のバインダ材は、染料の保持力
が強く、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂な
どの熱硬化性樹脂、または前述の熱可塑性樹脂以外にア
クリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリ
ル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂などの単体または
混合体で構成することができる。特に、軟化転写材5が
軟化した温度でも急激な粘度低下を生じないような耐熱
性の高い樹脂が好ましい。なお、バインダ材はこれらの
樹脂類以外に、染料の分散性を改善するためにポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、脂肪酸塩などの各種界面
活性剤、シリカ、カオリンなどの各種粉体などを含むこ
とができる。
【0038】また、少なくとも染着性粒子4および軟化
転写材5が受像体へ転写し易いように、粒子転写層6と
染料拡散防止層7、または染料拡散防止層7とインク層
3の間の少なくともどちらかで剥離が容易であることが
望まれる。したがって、室温時において少なくともどち
らかの界面で融着しないことが望まれる。つまり、染着
性粒子4および軟化転写材5と染料拡散防止層7が、ま
たは染料拡散防止層7とインク層3のバインダ材とがお
互いに非相溶な材料に選ぶことが推奨される。
【0039】また、従来の昇華型熱転写シートを用い、
このインク層3の表面に染料拡散防止層7と粒子転写層
6を形成することにより、本願発明での熱転写シート1
とすることもできる。したがって、熱転写シート1用に
特別に塗工する必要はなく、必要なときに市販している
昇華型熱転写シートの表面を追加加工するだけで作成で
きるので、製作コストを低く抑えることも容易である。
なお、一般的に市販シートのインク層は親油性に選ばれ
ているので、軟化転写材5または染料拡散防止層7を構
成する主成分材料の少なくとも一方は親水性に選ぶ。
【0040】軟化転写材5には、水性材料かつまたはワ
ックスの単体または混合を使用する。ワックスは室温以
上で融点を有する有機材料であり、例えば、室温で固形
のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナ
バワックス、キャンデリラワックス、カスターワック
ス、ライスワックス、モンタンワックス、モンタン酸ワ
ックス、酸化ワックス、モンタンエステルワックス、モ
ンタン部分けん化エステルワックス、フィッシャートロ
プシュワックス、ミツロウ、セレシン、サゾールワック
ス、セレシンワックス、12ヒドロキシステアリン酸、
12ヒドロキシステアリン酸の誘導体、脂肪酸アミド、
ポリエチレンワックス、グリセリン脂肪酸エステル、グ
リコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オクタデシルアル
コール、ノナデシルアルコール、エイコサノール、ヘン
エイコサノール、ドコサノール、ステアリン酸、パルミ
チン酸などを使用することができる。
【0041】水性材料には、例えばヒドロキシプロピル
セルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロ
リドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸
プロピレングリコールエステル、アラビアガム、コラー
ゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミ
ド、水溶性アクリル樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶
性ポリエステル、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、
ポリビニルアルコール、でんぷん、寒天、にかわ、グア
ガム、カラギーナン、ゼラチンなどを使用することがで
きる。
【0042】更に、粒子転写層6の成膜性を上げるため
にロジン、ケトン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、アクリル・酢酸ビニル共重合樹脂、炭化水素樹脂、
マレイン酸樹脂などの融点または軟化点の低い熱可塑性
樹脂や、粘度低下時の粘度やシート形成時の塗布改善の
ためにポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソ
ルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンラノリ
ンアルコールエーテルなどの界面活性剤や、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、流動パラフィンな
どの可塑剤や、炭酸カルシウム、タルクなどの微粒子
や、各種防腐防カビ剤などを軟化転写材5に適宜混入す
ることもできる。
【0043】軟化転写材5は、染料拡散防止層7への浸
透力が強く、隣接する加熱部と非加熱部の境界において
軟化転写材5の転写と非転写を明確に区別するように、
加熱により大きく粘度が低下する、例えば前述したワッ
クスやポリエチレングリコールなどの融点を有する材料
を使用することが好ましい。
【0044】また、軟化転写材5の少なくとも一部とし
て前述のワックスを使用する場合、酸価が20以下のも
のが好ましい。以下にその理由を述べる。まず、酸価が
大きくなるほど低分子量の遊離脂肪酸が多くなり、室温
でも軟化転写材5の内部で低分子の遊離脂肪酸が移動し
易くなる。したがって、転写した後でも遊離脂肪酸が移
動し易く、それに伴って染着性粒子4以外にワックス内
に分散されていた染料が凝集し始め、記録濃度と色の彩
度が低下してしまう。この現象は、ワックスの酸価が2
0を超えると顕著であり、記録した画像の保存性が極端
に低くなる。したがって、酸価が20以下のワックスの
使用が特に好ましい。また、長期間の保存を考慮する
と、酸価はなるべく小さい方が良く、好ましくは15程
度以下に抑えることが推奨される。
【0045】また、軟化転写材5の主成分としてワック
スを用いる場合は、染着性粒子4の保持力や成膜性が劣
るので、成膜性の良好なポリビニルアルコールなどの水
性材料を混入をすることが好ましい。特にメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水性のセルロ
ース類を用いると、小量で増粘効果が大きいので分散剤
としても働き、室温以上では200℃以上での熱分解点
までは転移温度が存在せずに熱安定性に優れるので特に
推奨される。
【0046】軟化転写材5の主成分として、ポリエチレ
ングリコールを用いると軟化時の粘度低下も大きく普通
紙への転写も良好である。更に、ステアリン酸ナトリウ
ム、パルミチン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム
などの有機酸塩を添加すると記録感度が改善され、特に
推奨される。これは、ポリエチレングリコールが溶融し
た溶融物に有機酸塩が溶解してアルカリ性の溶融物にな
り、水性材料からなる染料拡散防止層7に対する浸透性
が更に大きくなるからと考えられる。
【0047】軟化転写材5のみからなる層の厚さh1
(図1参照)は、0.5μm以上、50μm以下にする
ことが望ましい。0.5μm未満であると、染着性粒子
4の保持が不十分となり、熱転写シート1の保存が困難
となるからである。また、厚さが厚くなるほど軟化転写
材を軟化させるために多くの熱エネルギーを必要として
記録感度が落ちる。特に、50μmを超えると、余りに
多くの熱エネルギーを必要とするために、耐熱性のシー
ト状基体2として安価なポリエチレンテレフタレートで
は軟化し始め、シートの搬送時の引っ張り力で破断して
しまう。したがって、安価な熱転写シート1としてポリ
エチレンテレフタレートをシート状基体として使用でき
るように、軟化転写材からなる層の厚さh1は50μm
以下とすることが好ましい。特に、30μm以下が推奨
される。
【0048】染料拡散防止層7は、少なくとも室温にお
ける染料の拡散を妨げるために、室温において染料との
相溶性および染着性が低い、前述の水性材料を用いる。
【0049】更に染料拡散防止層7を構成する水性材料
の転移温度は室温以上に選ぶ。なぜならば、樹脂内での
染料の熱拡散は樹脂の転移温度以上で容易になるので、
室温で十分な染料拡散を防止するには室温が転移温度以
下の状態になければならないからである。なお、この場
合の転移温度とはガラス転移点、融点または軟化点のこ
とである。室温での十分な保存性を考慮して、染料拡散
防止層7には転移温度が50℃以上の前述の水性材料ま
たは極性の低い樹脂材料を選ぶことが推奨される。水性
材料の中でもポリビニルアルコールは、成膜性も良好で
あり、ガラス転移温度が70℃以上という点で染料拡散
防止層7を形成する水性材料として特に推奨される。
【0050】したがって、熱転写シート1として、耐熱
性のシート状基体2の上に染料を含んだインク層3を、
このインク層上にポリビニルアルコールからなる染料拡
散防止層7を、更にこの染料拡散防止層7上に水性材料
とワックスからなる軟化転写材5に染着性の熱可塑性樹
脂からなる染着性粒子4を分散配置して構成した粒子転
写層6を積層した構成は、シートの保存性も良好であり
特に推奨される。
【0051】また、染料拡散防止層7の膜厚を増加する
ことにより十分に染料拡散を防止できるが、使用する水
性材料を更に架橋させたものを用いることもできる。な
ぜならば、染料の拡散路は一般に分子間隙であると考え
られるので、架橋により分子同士を3次元に結合させる
ことにより、膜厚が薄くても染料の拡散を十分に防止す
ることができるからである。但し、架橋に高温での加熱
が必要となると、染料が成膜以前に拡散してしまうので
好ましくない。そこで、室温から50℃程度の低温で架
橋できる、例えばグリオキサールやメチル化メラミン樹
脂を架橋剤として使用する。グリオキサールは室温で十
分に架橋できるので特に推奨される。
【0052】但し、グリオキサールを用いた染料拡散防
止層7は、低粘度化した軟化転写材5の浸透を妨げる働
きも大きいので、前述した軟化転写材5の中でも低粘度
化時の浸透力の強い、ポリエチレングリコールに有機酸
塩を加えたものを軟化転写材5として使用することが特
に推奨される。
【0053】また、紙面濃度から滑らかに濃度が立ち上
がるには、印加エネルギーが低いときには殆ど染着され
ていない軟化転写材5と染着性粒子4を転写する領域が
あることが好ましい。そこで、軟化転写材5の融点また
は軟化点を、水性材料の転移温度と同程度以下に設定す
ることが望まれる。
【0054】また、熱転写シート1は巻かれた状態で保
存されることが多いので、室温でシート同士が粘着しな
いように、軟化転写材5は少なくとも転移温度、つまり
融点または軟化点が室温以上のものが好ましい。即ち、
軟化転写材5の融点または軟化点は、水性材料の転移温
度と同程度以下、室温以上のものが好ましく、特に50
℃以上のものが推奨される。
【0055】染料拡散防止層7の厚さは、0.5μm以
上が望ましい。0.5μm未満であると、防止層の形成
時に染料拡散防止層7に孔が生じる場合もあり、染料の
拡散を十分に妨げることができないからである。好まし
くは、1μm以上が推奨される。但し、染料拡散防止層
7が厚すぎると、軟化転写材5が軟化して、浸透し始め
てもインク層3に到達し難くなり、染料を粒子転写層6
側へ拡散が困難になり、記録感度が大きく低下してしま
う。したがって、染料拡散防止層7の厚さは20μm以
下、好ましくは15μm以下にすることが推奨される。
【0056】図では、染料拡散防止層7は単層で構成さ
れているが、材料の異なる複数の層とすることももちろ
んできる。
【0057】熱転写シート1の製造において、インク層
3、染料拡散防止層7および粒子転写層6の形成時に使
用する溶媒として、例えば、水や、アルコール、オクタ
ン、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤を単体でまた
は混合して使用できる。但し、染料拡散防止層7および
粒子転写層6の形成時にインク層3の染料が拡散しない
ように、インク層3を犯さない溶媒を用いて形成する必
要がある。例えば、インク層3が親油性である樹脂で形
成される場合、水が最も好ましい。したがって、水に不
溶な水性材料または軟化転写材5の場合は、各々を水に
微分散させた分散液などを使用することが好ましい。
【0058】したがって、推奨される熱転写シート1の
製造は、まずバインダ材を溶解した溶液に、染料を溶解
または分散させたものをシート状基体2上に塗布、乾燥
した後、水に水性材料を溶解した水溶液をインク層3上
に塗布し、室温以上であると共に染料の転移温度よりも
低い温度で乾燥して乾燥して染料拡散防止層7を形成す
る。更にこの表面に軟化転写材5および染着性粒子4を
水に分散または部分溶解させた水分散液を塗布し、室温
以上であると共に、染料、染料拡散防止層、軟化転写材
と染着性粒子を構成する各材料の中で最も低い転移温度
よりも低い温度で乾燥して粒子転写層6を形成する。
【0059】つまり、染料拡散防止層7と粒子転写層6
の形成時の乾燥温度を厳密に制御する。まず、染料拡散
防止層7の形成時において、染料の転移温度、つまり融
点または昇華点以下の温度で乾燥しなければならない。
なぜならば、染料の転移温度以上で乾燥させると乾燥途
中の塗液に染料が混入されることがあり、この混入した
染料により染料の拡散が容易になり、安定した低濃度な
記録が困難になると共に、シートの保存が困難になるか
らである。
【0060】また同様の理由で、粒子転写層6の形成時
において、染料、染料拡散防止層、軟化転写材と染着性
粒子を構成する各材料の中で最も低い転移温度(融点、
昇華点、軟化点またはガラス転移点)よりも低い温度で
乾燥しなければならない。なぜならば、転移温度以上で
の乾燥はその材料が軟化した状態であり、染料の拡散を
助長し、粒子転写層の形成時に染着してしまうからであ
る。例えば、塗液中の軟化転写材や染着性粒子の転移温
度以上で乾燥すると、低粘度化したこれらの材料が染料
拡散防止層7に浸透し、染料の拡散を助長し易い。ま
た、染料拡散防止層7の転移温度以上では塗液にとけ込
む量が増えるので、染料拡散防止層7がインク層3と粒
子転写層6の間に形成されなくなってしまう。これらの
シートの保存特性はとても悪い。
【0061】また、熱転写シートの製造は、例えば図2
に示すような塗工装置を用いて製造することができる。
まず、耐熱性のシート状基体2の上に染料を含んだイン
ク層3を一般の印刷方法で塗工すると共に、離型性基体
10に少なくとも加熱により粘度が低下する軟化転写材
5に染着性の熱可塑性樹脂からなる染着性粒子4を含ん
だ粒子転写用の塗液11を塗布し、乾燥器12により離
型性基体10上に一時的に粒子転写層6を形成する。こ
の乾燥では、軟化転写材5と染着性粒子4が混在するよ
うな乾燥温度であれば良く、厳密な温度制御をしなくて
よい。
【0062】一方、インク層3上には水性材料を含んだ
水溶液である染料拡散防止層用の塗液13を塗布し、補
助乾燥器14で表面を若干乾燥させて粘着する状態(完
全には乾燥させない)で、離型性基体10上の粒子転写
層6を押圧し、離型性基体10を剥離することにより、
インク層上に染料拡散防止層7と粒子転写層6を積層す
る。
【0063】最後に、冷風機15で完全乾燥させる。も
ちろん、この乾燥では染料、染料拡散防止層、軟化転写
材と前記染着性粒子を構成する各材料の中で最も低い転
移温度(融点、昇華点、軟化点、またはガラス転移点)
よりも低い温度で乾燥しなければならない。
【0064】本実施例では、インク層3上に染料拡散防
止層7用の水性材料を塗工したが、離型性基体10上に
保持されている粒子転写層6に塗工しても、どちらとも
塗工することもできる。
【0065】図2で示した塗工方法では、粒子転写層の
形成において十分な加熱ができるので厚みムラの少ない
均一な分散膜を作成することが容易である。したがっ
て、粒子転写層6の表面と受像体表面との接触がよく、
画質が改善され、特に推奨される熱転写シート1の製造
方法である。
【0066】また、図2で示した塗工のみならず、一般
に使用されているカーテンコート方式により、染料拡散
防止層7上に粒子転写層6を形成することもできる。
【0067】熱転写シート1を用いた熱転写記録方法に
ついて、図3を用いて下記に述べる。図3(a)は、画
像信号例であり、画像信号レベルが一部でなくなってい
る場合(例えば、罫線と空白など)を示している。ま
た、単色記録について図示しているが、シアン、マゼン
タ、イエロなど各色毎の記録についても以下の内容は同
様である。
【0068】図3(b)は、熱転写シート1を用いて画
像信号に応じて従来の熱転写記録を行う場合を示してい
る。画像信号が連続している右半分では、前述した様
に、少なくとも軟化転写材5と染着性粒子4が受像体2
0へ転写して十分な染着層21を形成し、画像信号のレ
ベルに応じて転写した染料22の量が変わることにより
階調画像を形成する。染着層21は、少なくとも染着性
粒子4と軟化転写材5の混合物で構成されるが、図では
均一な層として示している。しかし、画像信号レベルが
1画素だけ孤立している部位では、受像体20と熱転写
シート1の接触ムラなどにより転写不良が生じると、完
全な染着層21を形成することができずに大きく画質を
低下させてしまうことが生じる。つまり、転写不良部2
3となる。
【0069】そこで、画像信号レベルがなくなる境界に
位置する単数または複数画素に対しても、染着層21が
形成されるように図3(c)のごとく加熱制御すること
により、図3(d)に示すように、少なくとも画像信号
レベルがある部位では良好な転写が行われると共に、そ
の周囲に殆ど先着されない染着層24を形成して画質の
良好な記録像を得ることができる。これは、染着性粒子
4と軟化転写材5が転写し始める程度の熱エネルギーを
印加することによりできる。
【0070】なお、図3では1画素分の染着されない染
着層24を構成するように示しているが、もちろん2画
素以上に形成することもできる。
【0071】また、図3の様に染着されない染着層24
を構成する場合、フルカラー記録においては少しでも染
着されていると画質が大きく低下してしまう。そこで、
最も認識し難いイエロ色の記録を最初に行い、このとき
に多色(マゼンタ、シアンなど)での転写不良部になり
そうな部位について、イエロ信号がない場合でも加熱制
御して染着されない染着層24を形成し、イエロ以外の
色においては画像信号に応じて加熱制御するだけとする
こともできる。
【0072】また、少なくともイエロ、マゼンタ、シア
ンの3原色の重ね記録によりフルカラー記録をする場合
に、まず始めにイエロ信号について転写し、画像信号が
ない場合でも画像面積全体に渡って染着層21が形成さ
れるように加熱制御する。そして、この上に重ね記録さ
れるイエロ以外の色の記録時には、画像信号に応じて加
熱制御するだけとすることもできる。この場合、既に染
着層21が形成されているので粒子転写層6からの転写
が容易であり、転写不良部23が避けられ、良好な画質
の記録像を得られる。
【0073】熱転写シート1は、軟化転写材5の少なく
とも一部が低粘度化することにより、染料拡散防止層7
の厚み方向へ浸透してインク層3内の染料が拡散できる
ようになってから、加熱に応じて染料の拡散量が制御で
きる。したがって、本シートの保存は、軟化転写材5を
構成する材料の内で最も低い転移温度(融点または軟化
点)よりも低い温度で保存し、好ましくは10℃以上低
い温度で保存する。
【0074】また、染料拡散防止層7には水性材料を用
いるので、湿度の影響を受け易い。湿度が高いと、染料
拡散防止層7が吸湿し、染料の拡散を防止する能力が低
下することがある。したがって、保存は徐湿された空気
内などで保存することが推奨される。
【0075】下記に本実施例に従って試作した熱転写シ
ートの詳細な実験例を示す。なお、試作した熱転写シー
ト1を用いた熱転写記録は、記録密度6ドット/mmの
サーマルヘッドを用い、ベック平滑度が約30sの上質
紙(紙面濃度0.08)を受像体として用いて副走査速
度33.3ms/ラインでパルス幅制御信号(最大パル
ス幅:16ms)により加熱記録(最大9J/cm2
した。また、記録濃度の測定にはマクベス濃度計RD9
14を使用した。
【0076】なお、シート状基体2として、厚さ7μm
のポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムを用
い、サーマルヘッドが当たる表面にUV樹脂による滑性
層を1μm形成し、更にインク層3が形成される表面に
飽和ポリエステル樹脂からなる接着層を0.2μm形成
したものを使用した。
【0077】更に、この接着層上に、アクリロニトリル
スチレン樹脂(電気化学工業(株)製、熱変形温度88〜
95℃)20部とインドアニリン系のシアン染料(三菱
化成(株)製、融点128℃)10部をトルエン/2−ブ
タノン(混合比が1/1)溶剤の70部に溶解したもの
を塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を形成し
たものを使用した。以下の実験例において、このインク
層3上に形成した各種の染料拡散防止層7と粒子転写層
6について詳細に述べる。
【0078】(実験例1)このインク層3上にアクリロ
ニトリルスチレン樹脂と非相溶なヒドロキシエチルセル
ロース(ダイセル化学工業(株)製、HECダイセルSP
400)の5%水溶液を塗布し、60℃の温風乾燥によ
り1.5μmの染料拡散防止層7を形成した。このと
き、ヒドロキシエチルセルロースは室温以上で転移温度
を持たないので、シアン染料の融点128℃よりも十分
に低い60℃の温風で乾燥した。
【0079】その上に更に、軟化転写材5として固形の
ポリエチレングリコール(第一工業製薬(株)製、PEG
#20000、平均分子量2万、融点が56〜62℃)
20部と、染着性粒子4としてポリビニルブチラール
(積水化学工業(株)、エスレックBL−S、ガラス転移
点55℃)からなる染着性粒子4(メジアン径10μ
m、最大粒子径25μm)20部と、水80部と、界面
活性剤(日本油脂(株)製)0.2部からなる溶液をロー
ルコータで塗布、30℃の冷風乾燥により軟化転写材5
みからなる層の平均厚さが約7μmの凹凸表面(最大の
凸部は20μmを越える)を有する粒子転写層6を形成
し、熱転写シート1を試作した。この粒子転写層6の形
成時には、ポリビニルブチラールのガラス転移点が最も
低い転移温度である55℃を示すので、30℃の冷風乾
燥とした。
【0080】また、染料拡散防止層7を形成せずに、イ
ンク層3表面に直接、前述と同様の粒子転写層6を形成
した場合の熱転写シートも作成した。
【0081】更に各熱転写シートを室温(25℃)で一
ヶ月放置した後に、前述の記録仕様に従って記録したと
きの記録特性を図4に示す。横軸はサーマルヘッドに印
加するパルス幅を、縦軸はシアン色の光学的反射濃度を
示す。グラフAが本発明による熱転写シート1を用いた
場合、グラフBが染料拡散防止層7のない熱転写シート
を用いた場合の記録特性である。どちらのシートも保存
以前の記録特性は、グラフAとほぼ同等であった。熱転
写シート1を用いた場合は、粒子転写層6がほぼ透明で
あるために、保存後も印加パルス幅に応じて紙面濃度か
ら連続して濃度を上げることができた。しかし、グラフ
Bから判るように染料拡散防止層7のない熱転写シート
を用いた場合は、保存中に染着性粒子が染着してしま
い、粒子転写層が転写し始めた時点で大きくかぶってい
る(D0’が約0.26)。
【0082】つまり、ヒドロキシエチルセルロースで作
成した染料拡散防止層7により、室温での熱転写シート
の保存において、染料が不必要に粒子転写層6側へ転写
することを防止し、最大濃度1.7の良好な階調特性を
得ることができた。
【0083】本実験例において、ヒドロキシエチルセル
ロースの代わりに、メチルセルロース(信越化学工業
(株)製、メトローズSM4000、室温以上での転移温
度無し)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越
化学工業(株)製、メトローズ60SH4000、室温以
上での転移温度無し)、ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、クラレポバールPVA−117、ガラス転移点
が70〜80℃)を用いても、同様の結果を得た。
【0084】本実験仕様の熱転写シート1を用い、図3
で前述したように、画像信号の境界部において染着度合
いの低い染着層21を形成するには、印加パルス幅を4
msとすることにより実現できた。なお、この加熱制御
では線画も良好に記録することができ、定着性も問題が
なかった。
【0085】(実験例2)前述と同じように、試作した
インク層3上にアクリロニトリルスチレン樹脂と非相溶
なポリビニルアルコール(クラレ(株)製、クラレポバー
ルPVAーHC、ガラス転移点:70〜80℃)の5%
水溶液を塗布し、60℃の温風乾燥により0.2〜5μ
mの染料拡散防止層7を形成した。その上に更に、軟化
転写材5としてカスターワックス(融点が約85℃、酸
価が2以下、小倉合成工業(株)製)27部と、水70部
と、陰イオン系界面活性剤(日本油脂(株)、分解点が2
00℃以上)3部からなるサスペンション液を作成した
後、更に染着性粒子4としてポリビニルブチラール(積
水化学工業(株)、エスレックBL−S、ガラス転移点5
5℃)からなる染着性粒子4(メジアン径5μm、最大
粒子径が約10μm)20部を分散させて粒子転写層7
用の塗液とした。この塗液を塗布、室温で冷風乾燥によ
り軟化転写材5の層厚が約15μmの凹凸表面を有する
粒子転写層6を形成して熱転写シート1とした。なお、
この粒子転写層6も加熱後はほぼ透明になる。
【0086】各厚さのポリビニルアルコールからなる染
料拡散防止層7を有する熱転写シート1を一ヶ月室温で
放置した場合の記録特性を示す。横軸は染料拡散防止層
7の厚さを、縦軸はシアン色の光学的反射濃度を図5に
示す。パラメータとして、サーマルヘッドに印加するパ
ルス幅を示している。パルス幅が3msでは粒子転写層
の転写が不均一であったが、パルス幅が4msで粒子転
写層6が受像体に均一に転写している。つまり、均一な
記録が制御できる範囲は4ms以上であり、染料拡散防
止層7の厚さが0.5μm以上在れば紙面濃度から連続
して階調記録ができることが判る。また、染料拡散防止
層7が厚くなりすぎる(5μm)と記録感度が若干低下
し、最高濃度が低下した。なお、本実験では染料拡散防
止層7も転写した。
【0087】つまり、本実験の仕様の熱転写シート1を
用いると、図3で前述したように、殆ど染着されない染
着層24を受像体20の表面に形成するには、少なくと
も画像信号によると加熱部と非加熱部の境界に当たる部
位で、パルス幅を4msとした加熱制御をすることによ
り実現できる。
【0088】また、本仕様のポリビニルアルコールによ
る厚さ1μmの染料拡散防止層7にを形成した熱転写シ
ート1おいて、インク層3内に分散させているシアン染
料の代わりにイミダゾールアゾ系のマゼンタ染料(三菱
化成(株)製、融点97℃)、ジシアノスチリル系のイエ
ロ染料(三菱化成(株)製、融点183℃)を用いて同一
仕様の熱転写シート1を試作して記録したところ、最大
濃度1.92のマゼンタ色の連続階調画像、及び最大濃
度1.85のイエロ色の階調記録ができ、3色を重ね記
録することによりフルカラー記録像を容易に得ることが
できた。
【0089】また、カスターワックスの代わりに、ステ
アリン酸(融点が約72℃)、パルミチン酸(融点が6
4℃)、カルナバワックス(融点が80〜86℃)のも
のを用いても同様な記録像を得るができた。しかも融点
が低いほど記録感度が若干高く、より少ない印加エネル
ギーで記録できた。
【0090】本実験例において、ポリビニルアルコール
による厚さ1μmの染料拡散防止層7を形成した熱転写
シート1の作成時に温風乾燥の温度を変えた場合を以下
に示す。ポリビニルアルコール塗液の乾燥時に、ポリビ
ニルアルコールのガラス転移点以上の温度である90℃
と、シアン染料の融点以上の温度である135℃で乾燥
させると、90℃乾燥で形成された染料拡散防止層7は
うっすらとシアン色に染着され、135℃においては表
面に結晶化している染料もあった。更に90℃乾燥した
ものの上に前述の仕様で粒子転写層6を形成すると、初
期の転写濃度が0.26となり、これ以上に低い濃度で
の記録はできなかった。
【0091】また、染料拡散防止層7を60℃の温風乾
燥で作成した物に、粒子転写層6の形成時に、カスター
ワックスの融点以上の90℃で1分乾燥すると、試作し
たシート表面が既にシアン色に染着され、初期の転写濃
度が0.54以上あり、これ以上に低い濃度での記録は
できなかった。したがって、本実験仕様で示したよう
に、各層での乾燥温度の管理がシートの作成上に必要不
可欠である。
【0092】(実験例3)前述と同じように、試作した
インク層3上にアクリロニトリルスチレン樹脂に対して
室温で非相溶なポリビニルアルコール(クラレ(株)製、
商品名:クラレポバールPVAーHC、ガラス転移点7
0〜80℃)の5%水溶液を20部と、グリオキサール
溶液(日本合成化学(株)製、固形分40%)を0.2部
混合した水溶液を塗布乾燥し、60℃の温風乾燥によっ
てポリビニルアルコールの架橋による約1.0μm厚さ
の染料拡散防止層4を形成した。
【0093】その上に更に、軟化転写材5として固形の
ポリエチレングリコール(第一工業製薬(株)製、PEG
#20000、平均分子量2万、融点が56〜62℃)
20部と、染着性粒子4としてポリビニルブチラール
(積水化学工業(株)、エスレックBL−S、ガラス転移
点55℃)からなる粒子(メジアン径5μm、最大粒子
径が約10μm)20部と、水80部と、ステアリン酸
ナトリウム(関東化学(株)製)5部からなる混合溶液を
塗布し、室温での冷風乾燥により軟化転写材5の層厚が
約15μmの若干凹凸な表面を有する粒子転写層6を形
成し、熱転写シート1とした。
【0094】この熱転写シート1を室温で1週間放置し
た後に従来の熱転写記録方法に従って記録を行った。こ
の場合、染料拡散防止層7は転写することなく、紙面濃
度から最高濃度1.35の階調記録画像を得ることがで
きた。
【0095】本実験例において、ポリビニルアルコール
の代わりに、メチルセルロース(信越化学工業(株)製、
メトローズSM4000)、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース(信越化学工業(株)製、メトローズ60SH
4000)を用いても、更にインク層3と染料拡散防止
層7の間に、水性ポリエステル(東洋紡(株)製、バイロ
ン)からなる厚さ0.3μmの接着層を形成しても、同
様の結果を得た。
【0096】また、本実験例において、ステアリン酸ナ
トリウムを除いた仕様の熱転写シート1で記録すると、
階調記録はできるが最高濃度が0.65に低下した。つ
まり、本仕様では、有機酸塩を添加することが有効であ
ると判る。
【0097】また、本実験例において、グリオキサール
の代わりにメチル化メラミン樹脂(住友化学工業(株)
製、スミマール)を用いて架橋してもグリオキサールと
同様の染料拡散を抑える効果を十分得ることができた。
このとき、ポリビニルアルコールに混合して塗工する均
一に塗布できないので、ポリビニルアルコールを塗布乾
燥した後にメチル化メラミン樹脂の水溶液を塗布乾燥
し、50℃程度に加熱することにより染料拡散防止層4
を形成した。
【0098】更に、本実験の仕様において、染着性粒子
4に塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂(日新化学工業
(株)、NISSIN MPR−TS40、塩化ビニルが
60wt%、酢酸ビニルが40wt%)からなる粒子
(メジアン径7μm、最大粒子径が約15μm)を用い
ると、1カ月後の室温保存の後でも、最大濃度1.43
で紙面濃度0.08から連続して良好な階調記録を行な
うことができた。また、記録部においては粒子転写層6
のみが転写し、染料拡散防止層7は殆ど熱転写シート1
に残っていた。
【0099】(実験例4)本実験例では、図6に示すよ
うに軟化転写材5が粒子状のワックス粒子5aと水性材
料5bで構成される熱転写シート1について示す。
【0100】まず試作したインク層3上にアクリロニト
リルスチレン樹脂に対して室温で非相溶なポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製、クラレポバールPVA−21
7、ガラス転移点:70〜80℃)の5%水溶液を塗布
し、60℃の温風乾燥により約1μmの染料拡散防止層
7を形成した。その上に更に、軟化転写材5としてカス
ターワックス(融点が約85℃、小倉合成工業(株)製)
の粉体(メジアン径が約5μm)20部およびメチルセ
ルロース(信越化学工業(株)製、メトローズSM15、
室温以上では転移温度がない)6部に、水60部を加え
た水分散液を作成した後、更に染着性粒子4としてポリ
ビニルブチラール(積水化学工業(株)、ガラス転移点5
5℃)からなる粒子(メジアン径5μm、最大粒子径が
約10μm)20部を分散させて粒子転写層用の塗液と
した。この塗液を塗布、室温で冷風乾燥により軟化転写
材5の層厚が約20μmの若干凹凸な表面を有する白色
の粒子転写層6を形成して熱転写シート1とした。な
お、この粒子転写層6も加熱転写後はほぼ透明になる。
【0101】この熱転写シート1を用いると、紙面濃度
から滑らかに立ち上がり、最大濃度2.05の良好な画
質の階調画像を得た。
【0102】なお、染着性粒子4として、試作したポリ
エステル(東洋紡績(株)、ガラス転移点67℃)からな
る粒子(メジアン径7μm、最大粒子径が約17μm)
を用いても、最大濃度1.98の良好な画質の階調画像
を得た。
【0103】また、本実験の仕様の熱転写シート1を図
2で示したシートの製造方法で作成した。まず50μm
のポリエステルフィルム上に50μmのシリコンゴム
(トーレシリコーン(株)製、SE9157)を形成し、
離型性基体10として使用した。次に、この表面に前述
の粒子転写層用の塗液を塗布し、60℃の温風で乾燥、
押圧してほぼ平滑な粒子転写層6を離型性基体10上に
一時的に形成した。更にインク層3上に、前述のポリビ
ニルアルコールの5%塗液を塗布し、表面がベタ付くよ
うに若干乾燥させ、離型性基体10上の粒子転写層6を
押圧転写し、室温で12時間放置して熱転写シート1と
した。このシートを用いると、粒子転写層6の表面は凹
凸が小さいので受像体との接触が均一で、転写不良が少
なく、画質が改良されると共に、最高濃度も2.12と
若干改良された。
【0104】本実験の仕様で試作した熱転写シート1
で、線画像の画像データを用いて記録したところ、所々
で線が分段され、再現性の低い画像となったが、図3で
示したように線を挟んで染着されない染着層が形成され
るように加熱制御(パルス幅4ms)したところ、線が
途中で切れることもなく、良好な画質と定着性を有する
記録物を得た。
【0105】なお、本実験での仕様において、染料拡散
防止層7のポリビニルアルコールの保存時の微妙な着色
を避けるために、ほう酸、酒石酸などを粒子転写層7に
更に添加することももちろんできる。
【0106】なお、各実験例では単色記録について殆ど
説明したが、実験例2で示したように3原色の重ね記録
することにより、容易にフルカラー画像を得ることがで
きる。この重ね記録時には、各色毎に染着層に相当する
染着性粒子4が転写されるので、再拡散しても軟化転写
材5と一緒に受像体に再び転写され、受像体に転写され
た色材が減少せず、高画質な記録像とできる。この場
合、色の異なるインク層3ごとに粒子転写層6の厚さお
よび軟化転写材5、染着性粒子4の材質および構成比、
染料拡散防止層7の材質および厚さなどを適宜変えるこ
ともできる。
【0107】また、実施例では画像信号に応じて選択的
に加熱することができる加熱手段としてサーマルヘッド
を用いて説明したが、レーザ光発振機を用いて記録する
こともできる。
【0108】なお、本実施例では、染料拡散防止層7が
単層の場合を示しているが、異なる水性材料からなる複
数の層で形成することももちろんできる。
【0109】また、粒子転写層6の成膜性不足を補うた
めに、前述の水性セルロース類やポリビニルアルコール
など成膜性の良い水性材料からなる薄い塗膜を粒子転写
層6の表面に更に形成することももちろんできる。これ
は、例えば粒子転写層6表面に成膜性の良い水性材料を
溶解した水溶液をスプレー塗工することにより得られ
る。
【0110】また、実施例では普通紙を用いて記録特性
を示したが、合成紙などのプラスチック部材や従来の染
着層を有した受像体にも同様に記録することももちろん
できる。
【0111】
【発明の効果】以上のように本発明は、熱転写シートの
染料を含んだインク層上に水性材料からなる染料拡散防
止層と、軟化転写材に染着性粒子を分散した粒子転写層
を設けることにより、パルプ紙などの染着層の無い受像
体を用いても染料の拡散量を利用した高画質の階調画像
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における熱転写シートの部分断
面構成図
【図2】本発明の熱転写シートの製造例を示す装置モデ
ル図
【図3】本発明の熱転写シートを用いた熱転写記録方法
を説明する転写モデル図
【図4】本発明の熱転写シートの保存後の記録特性例を
示す特性図
【図5】染料拡散防止層の厚さに対する熱転写シートの
保存後の記録特性例を示す特性図
【図6】本発明の他の実施例における熱転写シートの部
分断面構成図
【符号の説明】
1 熱転写シート 2 シート状基体 3 インク層 4 染着性粒子 5 軟化転写材 6 粒子転写層 7 染料拡散防止層 10 離型性基体 11 粒子転写層用の塗液 12 乾燥器 13 染料拡散防止層用の塗液 14 補助乾燥器 15 冷風機 20 受像体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱性のシート状基体の上に染料を含んだ
    インク層を、このインク層上に水性材料からなる染料拡
    散防止層を、更にこの染料拡散防止層上に少なくとも加
    熱により粘度が低下する軟化転写材に染着性の熱可塑性
    樹脂からなる染着性粒子を分散配置して構成した粒子転
    写層を積層したことを特徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】染料拡散防止層が、ポリビニルアルコール
    からなることを特徴とする請求項1記載の熱転写シー
    ト。
  3. 【請求項3】染料拡散防止層が、グリオキサールを用い
    て水性材料を架橋して構成されることを特徴とする請求
    項1記載の熱転写シート。
  4. 【請求項4】軟化転写材が、水性材料にワックスを分散
    させて構成されることを特徴とする請求項1記載の熱転
    写シート。
  5. 【請求項5】軟化転写材が、ポリエチレングリコールか
    らなることを特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
  6. 【請求項6】耐熱性のシート状基体の上に、染料を含ん
    だインク層を、このインク層上にポリビニルアルコール
    からなる染料拡散防止層を、更にこの染料拡散防止層上
    に水性材料にワックスからなるワックス粒子と染着性の
    熱可塑性樹脂からなる染着性粒子を分散配置して構成し
    た粒子転写層を積層したことを特徴とする熱転写シー
    ト。
  7. 【請求項7】耐熱性のシート状基体の上に、染料を含ん
    だインク層を、このインク層上に水性材料をグリオキサ
    ールで架橋して構成した染料拡散防止層を、更にこの染
    料拡散防止層上にポリエチレングリコールと有機酸塩を
    含んだ軟化転写材に染着性の熱可塑性樹脂からなる染着
    性粒子を分散配置して構成した粒子転写層を積層したこ
    とを特徴とする熱転写シート。
  8. 【請求項8】耐熱性のシート状基体上に染料を含んだイ
    ンク層を形成した後、水性材料を含んだ水溶液を塗布し
    て前記染料の転移温度よりも低い温度で乾燥して染料拡
    散防止層を形成し、更にこの染料拡散防止層表面に加熱
    により粘度が低下する軟化転写材と染着性の熱可塑性樹
    脂からなる染着性粒子を水に分散させた水分散液を塗布
    し、前記染料、前記染料拡散防止層、前記軟化転写材お
    よび前記染着性粒子を構成する各材料の中で最も低い転
    移温度よりも低い温度で乾燥して粒子転写層を形成して
    熱転写シートとすることを特徴とする熱転写シートの製
    造方法。
  9. 【請求項9】耐熱性のシート状基体の上に染料を含んだ
    インク層を形成すると共に、離型性基体に少なくとも加
    熱により粘度が低下する軟化転写材に染着性の熱可塑性
    樹脂からなる染着性粒子を分散配置して構成した粒子転
    写層を形成し、この粒子転写層表面かつまたは前記イン
    ク層表面に染料拡散防止層を形成する水性材料を含んだ
    水溶液を塗布し、この塗液が完全に乾燥する前に前記粒
    子転写層側と前記インク層側を押圧し、前記離型性基体
    を剥離してインク層表面に前記染料拡散防止層と粒子転
    写層を積層した後、前記染料、前記染料拡散防止層、前
    記軟化転写材と前記染着性粒子を構成する各材料の中で
    最も低い転移温度よりも低い温度で乾燥して熱転写シー
    トを作成することを特徴とする熱転写シートの製造方
    法。
  10. 【請求項10】耐熱性のシート状基体の上に染料を含ん
    だインク層を、このインク層上に水性材料からなる染料
    拡散防止層を、更にこの染料拡散防止層上に少なくとも
    加熱により粘度が低下する軟化転写材に染着性の熱可塑
    性樹脂からなる染着性粒子を分散配置して構成した粒子
    転写層を積層した熱転写シートを用い、この熱転写シー
    トと受像体を重ねて画像信号に応じて選択的に加熱する
    際に、前記画像信号では加熱部に直接または複数画素を
    おいて隣接する非加熱部になる部位において、少なくと
    も前記粒子転写層の一部が転写するように加熱制御する
    ことを特徴とする熱転写記録方法。
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