JP3180817B2 - 受容層転写シートの製造方法 - Google Patents

受容層転写シートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は受容層転写シートの製造
方法に関し、更に詳しくは任意の受像シートの必要箇所
にのみ染料受容層を箔切れ良好に付与することが出来る
受容層転写シートの提供を目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の熱転写方法が公知である
が、それらの中で昇華性染料を記録剤とし、これを紙や
プラスチックフイルム等の基材シートに担持させて熱転
写シートとし、染料受容層を設けた紙やプラスチックフ
イルム上に各種のフルカラー画像を形成する方法が提案
されている。この場合には加熱手段としてプリンターの
サーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によっ
て3色又は4色の多数の色ドットを熱転写受像シートに
転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラー画
像を再現するものである。この様に形成された画像は、
使用する色材が染料であることから非常に鮮明であり、
且つ透明性に優れている為、得られる画像は中間色の再
現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア
印刷による画像と同様であり、且つフルカラー写真画像
に匹敵する高品質の画像が形成可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】しかしながら、
上記方法で画像形成が可能な受像シートは、染料染着性
のあるプラスチックシート或いは染料受容層を予め設け
てある紙等に限定され、一般の普通紙等には直接画像が
形成出来ないという問題がある。勿論、一般の普通紙で
あってもその表面に受容層を形成しておけば、画像形成
は可能であるが、これは一般的にはコスト高であり、例
えば、葉書、メモ、便箋、レポート用紙等の如き一般的
な既製の記録紙には応用困難である。この様な問題点を
解決する方法として、普通紙等の既製品に画像を形成し
ようとする場合、その必要部分のみに染料受容層を手軽
に形成する方法として、受容層転写シートが知られてい
る(例えば、特開昭62−264994号公報参照)。
【0004】しかしながら、以上の如き受容層転写シー
トの場合には、染料受容層が染料染着性が高く比較的柔
らかい樹脂から形成されている為、所望の形状にシャー
プに箔切れして転写させることが困難である。例えば、
名刺の隅に数cm角の受容層を転写する場合、転写受容
層の端縁がシャープに切れずジグザクや曲線状になる。
この様な問題は名刺に限られず、葉書、便箋、レポート
用紙等の一部に受容層を転写させる場合にも同様であ
る。従って、本発明の目的は、任意の受像シートの必要
箇所にのみ染料受容層を箔切れ良く付与することが出来
る受容層転写シートの提供を目的とする。
【0005】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、基材シートの一
方の面に染料受容層を剥離可能に設け、更に該受容層の
表面に接着剤層を設けてなる受容層転写シートの製造方
法において、上記受容層を予め印刷方法により基材表面
の所望部分にのみパターン状に設け、次いで染料受容層
の面を含む基材表面の全面に接着剤層を設けることを特
徴とする受容層転写シートの製造方法である。
【0006】
【作用】受容層を予め所定の形状に形成し、次いで受容
層表面を含む基材表面の全面に接着剤層を形成すること
によって、転写受容層の端縁がシャープになる受容層転
写シートを経済的に提供出来る。
【0007】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。本発明の受容層転写シート
の製造方法は、図1に示す様に基材シート1の表面に受
容層2をパターン状に設け、次いで図2の断面図に示す
様に接着剤層3を受容層1を含む基材シート1の全面に
設けることを特徴としている。上記本発明において受容
層のパターンは、例えば、パターンが数cm角の顔写真
サイズ、名刺サイズ、葉書サイズ等特に限定されず、
又、その形状は矩形、菱形、円形、楕円形等任意であ
る。
【0008】本発明で用いられる基材シートとしては、
従来の熱転写シートに使用されていると同じ基材シート
がそのまま用いることが出来ると共に、その他のものも
使用することが出来、特に制限されない。好ましい基材
シートの具体例としては、例えば、グラシン紙、コンデ
ンサ紙、パラフィン紙等の薄葉紙、ポリエステル、ポリ
プロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロ
ース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノ
マー等のプラスチック或いはこれらと前該紙とを複合し
た基材シート等が挙げられる。この基材シートの厚さ
は、その強度及び耐熱性等が適切になる様に、材料に応
じて適宜変更することが出来るが、その厚さは、好まし
くは、3〜100μmである。受容層の形成に先立っ
て、基材シートの面に剥離層を形成することが好まし
い。かかる剥離層はワックス類、シリコーンワックス、
シリコーン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹脂等の剥離剤か
ら形成する。形成方法は後記受容層の形成方法と同様で
よく、その厚みは0.5〜5μm程度で十分である。
又、転写後に艶消し受容層が望ましい場合には、剥離層
中に各種の粒子を包含させるか或いは剥離層側表面をマ
ット処理した基材シートを使用することにより表面マッ
ト状にすることも出来る。勿論、上記の如き基材シート
が適度な剥離性を有している場合には剥離層の形成は不
要である。
【0009】上記基材シートの表面に形成する染料受容
層は、任意の被転写材に受容層を転写後に、熱転写シー
トから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された画
像を維持する為のものである。染料受容層を形成する為
の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等
のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル
エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系
樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレ
ンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーと
の共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテ
ート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げ
られ、特に好ましいものは、ビニル系樹脂及びポリエス
テル系樹脂である。
【0010】上記樹脂に混合して使用する好ましい離型
剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面
活性剤、弗素系界面活性剤等が挙げられるが、シリコー
ンオイルが望ましい。該シリコーンオイルとしては、エ
ポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル
変性、アルコール変性、弗素変性、アルキルアラルキル
ポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリ
エーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。離
型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。又、
この離型剤の添加量は染料受容層形成樹脂100重量部
に対し、0.5〜30重量部が好ましい。この添加量の
範囲を満たさない場合は、熱転写シートと染料受容層の
融着若しくは印字感度の低下等の問題が生じる場合があ
る。この様な離型剤を染料受容層に添加することによっ
て、転写後の受容層の表面に離型剤がブリードアウトし
て離型層が形成される。
【0011】受容層は、前記の基材シートの一方の面
に、上記の如き樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加えた
ものを、適当な有機溶剤に溶解したり或いは有機溶剤や
水に分散した分散体を、例えば、グラビア印刷法、スク
リーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコー
ティング法等の形成手段により塗布及び乾燥することに
よって形成される。上記染料受容層の形成に際しては、
染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更
に高め、又、受容層の箔切れを良好にする目的で、酸化
チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、
微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することが出来
る。以上の如く形成される染料受容層は任意の厚さでよ
いが、一般的には1〜50μmの厚さである。又、この
様な染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂
エマルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆と
して形成してもよい。
【0012】更に上記の受容層の表面には、これらの層
の転写性を良好にする為に接着剤層を設ける。これらの
接着剤層は、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、
塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、
ポリエステル樹脂等の如く熱時接着性の良好な樹脂の溶
液を塗布及び乾燥することによって、好ましくは0.5
〜10μm程度の厚みに形成する。上記接着剤層は受容
層と同一パターン状に重ねて設けると、この場合にはグ
ラビアダイレクト等の方式で見当合せをする必要があ
り、接着剤層の端縁において見当ズレ、スジ、ムラ等が
発生するという問題が発生する。従って、本発明では前
記受容層を含む基材シートの全面に接着剤層を形成す
る。接着剤として箔切れの良好なものを使用することに
よって、上記の如き問題が発生することなく受容層の良
好な箔切れを保持することが出来る。
【0013】上記の如き本発明の受容層転写シートを使
用して、受容層を転写させる対象は、特に限定されず、
例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラ
スチックフイルム等いずれのシートでもよく、又、形状
的には、カード、葉書、パスポート、便箋、レポート用
紙、ノート、カタログ等いずれのものでもよく、特に表
面の目の粗い普通紙、ラフ紙にも適用可能である。受容
層の転写方法は、熱転写用のサーマルヘッドを備えた一
般のプリンター、転写箔用のホットスタンパー、熱ロー
ル等、接着剤層が活性化される温度に加熱可能ないずれ
の加熱加圧手段でもよい。
【0014】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に
断りの無い限り重量基準である。
【0015】実施例1 厚さ25μmのポリエステルフイルム(商品名「ルミラ
ー」、東レ製)の表面に、下記の組成の受容層用塗工液
をグラビアリバース法により、図1に示す如く5.5c
m×9.0cmの名刺サイズに乾燥時5.0g/m2
なる割合で印刷し、ドライヤーで乾燥して染料受容層を
形成し、更に下記接着剤溶液を受容層を含む全面に乾燥
時2g/m2の割合で塗布及び乾燥して接着剤層を形成
し、本発明の受容層転写シートを得た。
【0016】実施例2 実施例1と同様にポリエステルフイルム上に下記受容層
用塗工液を直径5cmの円形に、又接着剤層用塗工液を
全面に、いずれも乾燥時塗布量が1.5g/m2になる
様に塗工し、本発明の受容層転写シートを得た。
【0017】比較例1 実施例1において受容層を同一塗工量で全面に設けた以
外は実施例1と同様にして比較例の受容層転写シートを
得た。 比較例2 実施例2において受容層を同一塗工量で全面に設けた以
外は実施例2と同様にして比較例の受容層転写シートを
得た。
【0018】使用例 前記実施例及び比較例の夫々の受容層転写シートを用い
て、葉書の上半分にサーマルヘッド(実施例1及び比較
例1)を用いて5.5cm×9.0cmの大きさに、
又、150℃に加熱したホットスタンパー(実施例2及
び比較例2)を用いて直径5cmの円形に夫々受容層を
転写させた。一方、下記組成の染料層形成用インキ組成
物を調製し、背面に耐熱処理を施した6μm厚のポリエ
チレンテレフタレートフイルムに、乾燥塗布量が1.0
g/m2になる様にワイヤーバーにより塗布及び乾燥
し、更に背面にシリコーンオイル(X-41・4003A、 信越
シリコーン製)をスポイトで数滴滴下後、全面に広げて
背面処理コートを行い、熱転写シートを得た。
【0019】上記の熱転写シートと上記の葉書の受容層
転写面とを、夫々の染料層と染料受容面とを対向させて
重ね合せ、サーマルヘッドを用いて、出力1W/ドッ
ト、パルス幅0.3〜0.45msec.、ドット密度3ド
ット/mmの条件でベタ印字を行いシアン画像を形成
し、得られたシアン画像の端縁のシャープさを肉眼及び
光学顕微鏡で調べたところ、下記表1の結果を得た。
【0020】
【効果】以上の如き本発明によれば、受容層を予め所定
の形状に形成し、次いで受容層表面を含む基材表面の全
面に接着剤層を形成することによって、転写受容層の端
縁がシャープになる受容層転写シートを経済的に提供出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の受容層転写シートの平面図。
【図2】 図1のA−A´断面図。
【符号の説明】
1:基材シート 2:受容層 3:接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山内 峰雄 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−225591(JP,A) 特開 昭64−87390(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一方の面に染料受容層を剥
    離可能に設け、更に該受容層の表面に接着剤層を設けて
    なる受容層転写シートの製造方法において、上記受容層
    予め印刷方法により基材表面の所望部分にのみパター
    ン状に設け、次いで染料受容層の面を含む基材表面の全
    面に接着剤層を設けることを特徴とする受容層転写シー
    トの製造方法。
  2. 【請求項2】 パターンが顔写真サイズ、名刺サイズ、
    葉書サイズ等の矩形、円形、楕円形である請求項1に記
    載の受容層転写シートの製造方法。
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WO2018043294A1 (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 セイコーエプソン株式会社 記録媒体製造装置および記録媒体の製造方法
JP2018034506A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 セイコーエプソン株式会社 記録媒体製造装置および記録媒体の製造方法
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