JPH05124363A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JPH05124363A
JPH05124363A JP3289704A JP28970491A JPH05124363A JP H05124363 A JPH05124363 A JP H05124363A JP 3289704 A JP3289704 A JP 3289704A JP 28970491 A JP28970491 A JP 28970491A JP H05124363 A JPH05124363 A JP H05124363A
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JP
Japan
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transfer
layer
dye
ink layer
softening
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Application number
JP3289704A
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Inventor
Hiroshi Onishi
宏 大西
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 染着層のない受像体にも染料による良好な階
調画像を得る。 【構成】 熱転写シート1は、耐熱性のシート状基体2
上に、染料とバインダ材からなるインク層3上に、加熱
により粘度が低下すると共に、室温でインク層3のバイ
ンダ材と非相溶である固形の軟化転写材からなる軟化転
写層4を積層している。記録は、まず、熱転写シート1
を受像体に押圧しながら加熱すると、熱量に応じてイン
ク層3内の染料が軟化転写層4に拡散すると共に、軟化
転写材が軟化する。したがって、染料を含んだ軟化転写
材がインク層3から剥離して受像体に転写し、記録像を
形成する。この転写された軟化転写材に含まれる染料
は、加熱量に比例するために、加熱量を制御することに
より連続階調記録ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は染着層のない受像体を使
用しても、染料による連続階調画像を得ることができる
熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、昇華性染料を含有したインク層を
有するインクシートと、このインクシートの裏面からの
熱印字により昇華した染料を受容する染着層を有する受
像体とを用いる昇華型熱転写記録方式は、優れた中間調
記録が可能で、フルカラー画像記録を提供するものとし
て注目されている。
【0003】例えば、図3に従来の一実施例における昇
華型熱転写記録装置の概略構成図を示す。図3におい
て、100は耐熱性のあるシート状基体、101は染料
とバインダ材からなるインク層、102はシート状基体
100の表面にインク層101を形成したインクシー
ト、103は基体、104はインク層101に含まれる
染料に強い染着性を示す染着層、105は基体103上
に染着層104を形成した受像体、106は発熱体10
7を有するサーマルヘッド、108はサーマルヘッド1
06との間にインクシート102と記録紙105を圧接
するプラテンである。
【0004】以上のように構成された熱転写記録装置に
ついて、以下にその動作について説明する。インクシー
ト102のインク層101と、受像体105の染着層1
04とをサーマルヘッド106とプラテン108との間
に圧接して記録信号源(図示せず)からの信号に応じて
サーマルヘッド106の発熱体107を発熱させ、イン
ク加熱部109を生じさせる。このとき、加熱量に応じ
てインク層101から染着層104内に染料が拡散し、
転写される。この後、プラテン108の回転Uにより受
像体105を矢印V方向へ、インクシート102を矢印
W方向へ各々送り、インクシート102を受像体105
から剥離し、転写した染料により染着層104に転写イ
ンク像110を得る。
【0005】従来、色材として昇華性染料を用いたイン
クシート102は、例えば厚さが9μm程度のポリエチ
レンテレフタレート(PET)フィルム等のシート状基
体100の表面に、バインダ材としてスチレンアクリル
樹脂10重量部、昇華分散染料6重量部からなるインク
層101をソルベントコーティング法で形成した。ま
た、受像体105は、例えばポリエステルや上質紙から
なる基体103表面にポリエステル樹脂などからなる染
着層104を形成した。
【0006】これらのインクシートと記録紙を用い、図
3に示したように、選択的な加熱によりインク層に含ま
れる染料を記録紙表面の染着層に染着転写させて記録物
を得る熱転写記録装置も公知である(例えば、アイ イ
イ トランスアクションオン コンシュウーマ エレ
クトロニクス,Vol.CE-28,No.3,pp.226-231,August198
2)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、染着層への染料の熱拡散を利用するため
に、一般的に使用するパルプ紙など、平滑な染着層のな
い受像体に対しては記録することができないという問題
点を有していた。
【0008】本発明は上記問題点に鑑み、染着層の無い
受像体にも、染料の拡散量を利用した高画質の階調画像
を得る熱転写シートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の熱転写シートは、耐熱性のシート状基体の
上に、染料とバインダ材からなるインク層と、昇温時に
粘度が低下すると共に、室温で前記バインダ材と非相溶
な固形の軟化転写材からなる軟化転写層とを順次積層し
ている。
【0010】
【作用】上記した本発明の熱転写シートを用いた熱転写
記録は、従来の熱転写記録と同様に行なわれる。まず、
受像体に熱転写シートを押圧しながら、シート状基体側
からの加熱によりインク層が加熱される。このとき、加
熱量に応じてインク層の染料が軟化転写材に拡散すると
共に、加熱部において軟化転写材が軟化する。この軟
化、つまり粘度の低下により染料を含んだ軟化転写材の
少なくとも一部が受像体へ転写され、染着層のない受像
体にも染料により良好な階調画像を得ることができる。
【0011】このとき、室温においてインク層を形成す
るバインダ材と軟化転写材を室温において非相溶に選ん
でいるために、室温において2つの層が界面で融着する
事もなく、加熱時にも容易にインク層表面から軟化転写
材だけを剥離転写することができる。また、インク層と
軟化転写層は受像体に関わらず均一に接触しているの
で、印加エネルギーに対する染料の拡散量が受像紙に関
わらず均一化され、ドット再現性も良好である。つま
り、受像体に関わらず、良好な画質の記録物を得ること
ができる。
【0012】また、本発明では、加熱された部分だけに
軟化転写材が転写されて、記録像のないところには軟化
転写材がほとんど転写されないので、画像記録部以外の
所には、軟化転写材が存在せず、筆記性も良好である。
【0013】更に、フルカラー記録などで重ね記録する
場合、従来では1つの染着層に少なくとも3原色の染料
を拡散させたので、重ね記録時に一度転写した染料がシ
ート側に再拡散し、画質を下げていた。しかし、本発明
によると各色毎に染着層に相当する軟化転写材が転写さ
れるので、受像体側から軟化転写材へ染料が再拡散して
も、軟化転写材と一緒に受像体に転写されるため、受像
体に転写された色材が減少することがなく高画質な記録
像を得ることができる。
【0014】
【実施例】以下に本発明について、図面を参照しながら
説明する。
【0015】図1は本発明の一実施例における熱転写シ
ートの部分断面構成図を示すものである。図1におい
て、1は熱転写シート、2は耐熱性のシート状基体、3
は染料とバインダ材からなるインク層、4は加熱により
粘度が低下すると共に、室温でインク層3を構成するバ
インダ材と非相溶な固形の軟化転写材からなる軟化転写
層である。
【0016】この熱転写シート1を用いた熱転写記録の
手順を図2に示す。装置としては、例えば図3で示した
熱転写装置を使用できる。まず、熱転写シート1を受像
体5にサーマルヘッド6で押圧しながら、サーマルヘッ
ド6の発熱体7への通電量を信号源8で制御する。する
と、加熱されたインク層3内の染料が軟化転写層4に拡
散すると共に、軟化転写層4が軟化する。この軟化、つ
まり粘度低下により受像体5への粘着または浸透力が軟
化転写材に生じ、染着された軟化転写材が受像体5に転
写して記録像9を形成する。
【0017】このとき、室温においてインク層3を形成
するバインダ材と、軟化転写層4を形成する軟化転写材
を室温において非相溶に選んでいるので、室温において
融着する事もなく、加熱時に軟化転写材を厚み方向に全
て転写し、剥離するように転写できる。なお、この転写
された軟化転写材に含まれる染料は、加熱量に比例する
ので、加熱量を制御して連続階調記録ができる。本発明
で示す加熱による粘度低下とは、軟化転写材の軟化点ま
たは融点以上に加熱することである。
【0018】また、この加熱により拡散した染料は、軟
化転写材のインク層側に多く存在するので、上述したよ
うに軟化転写材を厚み方向に全て転写することにより、
パルプ紙を使用しても高濃度な記録像を得ることも容易
にできる。また、インク層3と軟化転写層4との接触は
常に均一なので、加熱量に対する染料の移行も均一であ
り、ドット再現性の良好な高画質な記録像を得られる。
【0019】以上のように本実施例によれば、加熱によ
り粘度が低下すると共に、室温でインク層3のバインダ
材と非相溶な固形の軟化転写材からなる軟化転写層4を
インク層上に構成した熱転写シートを使用することによ
り、染着層のない受像体5にも染着により良好な階調性
を有する画像記録ができる。また、加熱されない部分に
は軟化転写材がほとんど転写されないので、受像体5の
風合いを失わず、筆記性も受像体5と同様である。な
お、本実施例では、軟化転写材の一部が受像体5の内部
に浸透している場合を示しているが、非浸透性の受像紙
の場合は、表面に染料を含んだ軟化転写材の層が部分的
にできるようになる。
【0020】シート状基体2は、例えばポリエチレンテ
レフタレート、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルム、
またはコンデンサ紙などを使用することができる。な
お、インク層3が形成されない表面にシリコーン、シリ
コーンオイルを分散させた樹脂などからなる耐熱性皮膜
を形成したものを用いることもできる。
【0021】インク層3は、加熱により熱拡散する染料
とバインダ材からなり、この染料として、例えば水溶性
染料、油性染料、分散性染料、昇華性染料など各種染料
を使用できる。
【0022】バインダ材は、染料の保持力が強く、例え
ばポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビ
ニル共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルスチ
レン樹脂、ナイロン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹
脂などの樹脂類の単体または混合体で構成することがで
きる。なお、バインダ材はこれらの樹脂類以外に、各種
界面活性剤、可塑材、シリカなどの各種粉体を含むこと
ができる。
【0023】また、軟化転写層4は、昇温時に粘度が低
下すると共に、室温でバインダ材と非相溶な固形の軟化
転写材から構成されるので、室温においてインク層3と
軟化転写層4が界面で融着することがなく、インク層3
からの染料の移行も抑えられる。したがって、シートの
保存時に軟化転写層4が染料で着色されることが抑えら
れ、転写記録時において低エネルギーでの軟化転写材の
転写濃度が極力低くなり、低濃度から階調記録をするこ
とができる。したがって、高画質なフルカラー記録がで
きる。
【0024】そこで、インク層のバインダ材と軟化転写
材との相溶性を明らかに異ならせるために、各材料の親
液性を異なるように選択することが好ましい。つまり、
バインダ材が親油性であれば軟化転写材を親水性に、バ
インダ材が親水性であれば軟化転写材を親油性に選ぶ。
例えば、インク層3を構成するバインダ材として分子量
の大きな親油性の樹脂類を使用することが多いので、軟
化転写材として親水性の水溶性材料の使用が推奨され
る。
【0025】この軟化転写材には、例えば、室温で固形
のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナ
バワックス、キャンデリラワックス、カスターワック
ス、ライスワックス、モンタンワックス、モンタン酸ワ
ックス、酸化ワックス、モンタンエステルワックス、モ
ンタン部分けん化エステルワックス、フィッシャートロ
プシュワックス、ミツロウ、セレシン、サゾールワック
ス、セレシンワックス、ホホバ油、12ヒドロキシステ
アリン酸、12ヒドロキシステアリン酸の誘導体、脂肪
酸アミド、ポリエチレンワックス、グリセリン脂肪酸エ
ステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのワ
ックス、またはヒドロキシプロピルセルロース、ポリエ
チレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシ
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコー
ルエステル、アラビアゴム、コラーゲン、ポリアクリル
酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、水溶性アクリル樹
脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性ポリエステル、ポリ
スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアルコー
ル、でんぷん、寒天、にかわ、カラギーナン、ゼラチン
などの水溶性材料、これらの単体または混合を使用す
る。更に、成膜性を上げるためにインク層3のバインダ
材と非相溶な樹脂類を、粘度低下時の粘度やシート形成
時の塗布改善に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチ
レンラノリンアルコールエーテルなどの界面活性剤を、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、流動パ
ラフィンなどの可塑剤を、炭酸カルシウム、タルクなど
の微粒子などを軟化転写材に混入することもできる。
【0026】軟化転写材は、隣接する加熱部と非加熱部
の境界において軟化転写材の転写と非転写を明確に区別
するように、加熱により大きく粘度が低下する、つまり
融点を有する材料を使用することが好ましい。また、シ
ートは巻かれた状態で保存されることが多いので、室温
でシートの裏面に軟化転写材が粘着してしまわないよう
に、50℃以上のものが好ましい。したがって、なるべ
く低エネルギーで転写するように、軟化転写材としては
融点が50〜100℃であるワックスや水溶性材料の使
用が好ましい。特に、水溶性材料を軟化転写材として使
用する場合は、50〜70℃で軟化する平均分子量が2
000〜40万程度のポリエチレンオキサイドが好まし
い。なお、2万以下のものは、ポリエチレングリコール
と一般的に呼ばれることが多い。なお、以下に示す実験
例で、2万以下の低分子量の物はポリエチレングリコー
ルと呼ぶ。
【0027】また、軟化転写材の少なくとも一部として
前述のワックスを使用する場合、酸価が20以下のもの
が好ましい。以下にその理由を述べる。まず、酸価が大
きくなるほど低分子量の遊離脂肪酸が多くなり、室温で
も軟化転写材の内部で低分子の遊離脂肪酸が移動し易く
なる。したがって、転写した後でも遊離脂肪酸が移動し
易く、それに伴って分散されていた染料が凝集し始め、
記録濃度と色の彩度が大きく低下してしまうのである。
この現象は、ワックスの酸価が20を超えると顕著であ
り、記録した画像の保存性が極端に低くなる。したがっ
て、酸価が20以下のワックスの使用が特に好ましい。
また、長期間の保存を考慮すると、酸価はなるべく小さ
い方が良く、好ましくは、15程度以下に抑えることが
推奨される。
【0028】また、加熱時に軟化転写材の粘度が低下し
て液状になると、軟化転写材が溶媒として挙動して染料
を溶解することができる。したがって、加熱に対する染
料の拡散力が小さくても、この溶解現象により軟化転写
材内に染料を十分に含浸させることができる。
【0029】インク層3を構成するバインダ材に水溶性
の高分子材料を使用するとインク層3が親水性になるの
で、軟化転写材として親油性のワックス類の使用が好ま
しい。しかし、例えば、ポリビニルアルコールをバイン
ダ材として使用した場合は、同じ親水性でも相溶性がほ
とんど無いポリエチレンオキサイドなどを使用すること
ができる。
【0030】軟化転写層4は、厚さが1〜30μmに選
ばれる。1μm未満だと、染料保持が困難であり、ま
た、パルプ紙などに転写する場合、受像体5の厚み方向
に浸透し、表面に軟化転写材が残らないので、記録濃度
を上げることが困難となるからである。軟化転写層4の
厚みが30μmを超えると、受像体5の表面と接触して
いる軟化転写層4の軟化転写材を軟化させるために、大
きな熱エネルギーを必要として記録感度が低くなり、ま
た、この熱エネルギーに対してシート状基体2が変形し
ないように特殊な高耐熱シート材料を必要とし、コスト
が高くなってしまうからである。また、平滑にシートに
軟化転写材を転写した場合の盛り上がりをなるべく抑え
ることを考えると、20μm以下に厚みを抑えることが
更に好ましい。
【0031】熱転写シート1は、従来のソルベントコー
ティング法及びホットメルト法などを使用して作成する
ことができる。例えば、まず、バインダ材を溶解した溶
液に、染料を溶解または分散させた物をソルベントコー
ティング法でシート状基体2上に塗布、乾燥した後、イ
ンク層3を溶解しない溶媒に軟化転写材を溶解または分
散した溶液をインク層3上に塗布乾燥して軟化転写層4
を形成することにより得られる。
【0032】なお、この軟化転写層4を乾燥するとき
に、若干、染料がインク層3から軟化転写層4に移行す
ることがある。この染料の移行による濃度が、軟化転写
材が転写し始めた時の初期濃度であり、この濃度から高
濃度までを連続階調記録できる。したがって、より低濃
度から記録を行なうために、なるべく軟化転写層4の乾
燥で大きな加熱することを避けることが好ましい。たと
えば、軟化転写層4の乾燥では室温のままで風乾した
り、真空乾燥することにより、染料の拡散を極力抑える
ことができる。
【0033】このインク層3または軟化転写層4の形成
時に使用する溶媒として、例えば、水や、アルコール、
オクタン、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤を単体
でまたは混合して使用できる。但し、軟化転写層4の形
成時にインク層3の染料が拡散しないように、インク層
3を犯さない溶媒で、軟化転写層4を形成する必要があ
る。例えば、インク層3が親油性である樹脂で形成され
る場合、軟化転写層4を形成するときに使用する溶媒と
しては、水が最も好ましい。したがって、水に不溶な軟
化転写材の場合は、軟化転写材を微分散させたエマルジ
ョン塗液などを使用することが好ましい。
【0034】受像体5は、合成紙、アート紙、コート
紙、上質紙、セルロース繊維紙、プラスチックフィルム
等の各種シート物を好適に使用することができる。しか
し、軟化転写材に水溶性材料を用いた場合は、表面が親
油性のプラスチックフィルムなどは親水性処理、例えば
ポリビニルアルコールによる薄膜を形成したものなどを
用いる。
【0035】下記に試作した熱転写シートの実験例を示
す。なお、記録は、記録密度6ドット/mmのサーマル
ヘッド6により、ベック平滑度が約30sの上質紙(紙
面濃度0.09)に押圧しながらパルス幅制御信号によ
り加熱記録(最大9J/cm 2)した。また、記録濃度
の測定にはマクベス濃度計RD914を使用した。
【0036】厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
からなるシート状基体2上に、アクリロニトリルスチレ
ン樹脂(電気化学工業(株)製)20部とインドアニリン
系のシアン染料(三菱化成(株)製)10部をトルエン/
2−ブタノンの1/1溶剤70部に溶解したものを塗
布、乾燥して厚さが約5μmのインク層を形成した。こ
の熱転写シートを従来の熱転写シートとして使用した。
この熱転写シートを用いた記録では光学的反射濃度で最
高濃度で0.3程度のうっすらとした記録像となった。
【0037】更に、このインク層3上に、アクリロニト
リルスチレン樹脂と室温で非相溶な固形のポリエチレン
グリコール(融点が約60℃、第一工業製薬(株)製、平
均分子量2万)20部と、水80部と、界面活性剤(日
本油脂(株)製)0.2部からなる溶液を塗布、室温放置
で乾燥して厚さが約7μmの軟化転写層4を形成し、本
発明による第1の熱転写シート1とした。この第1のシ
ートを用いると、加熱部においてポリエチレングリコー
ルのほとんどが転写され、最低濃度0.18、最大濃度
1.45のシアン単色による連続階調画像を得ることが
できた。
【0038】また、本実験例の比較例として、アクリロ
ニトリルスチレン樹脂と室温で相溶性の良好な軟化転写
材として低分子量ポリスチレン(軟化点75℃、エクソ
ン化学(株)製)を使用した。本実験では、このポリスチ
レンのエマルジョン液を塗布乾燥することにより、約5
μmの軟化転写層4を形成した。記録では、インク層3
と融着し、軟化転写材の表面だけが転写され、印加エネ
ルギーを上げるほど転写が困難になった。そのため、画
質も低く、最高濃度も0.42であった。しかも、初期
の転写濃度が0.31あり、染料が室温で拡散し易いこ
とも判った。つまり、インク層3のバインダ材と軟化転
写材の室温に置ける相溶性が不良な方が好ましいことが
判る。
【0039】更にまた、前述のインク層3上に、室温で
相溶性の不良な各種ワックスのエマルジョン液を塗布乾
燥して、厚さ10μm程度の塗膜にして軟化転写層4を
形成し、本発明による第2の熱転写シート1とした。そ
の結果を(表1)に示す。
【0040】
【表1】
【0041】画像保存性は色の鮮やかさを確認し、変化
の無いものを『○』、変化が大きいものを『×』で示し
ている。記録直後は、どのワックス材料を用いても、低
濃度から連続して濃度階調記録を行なうことができた
が、記録後1週間、暗所にて保存したのちに、再度、最
高濃度を測定している。この濃度変化が大きいものは、
色の鮮やかさの変化も大きく、画像保存性が不良である
ことが判る。また、同種類にも関わらずポリエチレンワ
ックスの例を見ても判るように、画像安定性には酸価が
大きく影響しており、画像の保存性を考慮すると酸価が
20以下のワックスを用いることが好ましいことが判
る。なお、どのワックス材を用いても最低濃度は0.1
2〜0.20であり、階調記録は良好であった。
【0042】厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
からなるシート状基体2上に、ポリビニルアルコール
((株)クラレ製)20部とイミダゾールアゾ系のマゼン
タ染料(三菱化成(株)製)10部、界面活性剤(日本油
脂(株)製)0.2部を水250部に溶解、分散したもの
を塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層3を形成し
た。更に、この上に、室温で非相溶な固形のポリエチレ
ンオキサイド(融点が約60℃、第一工業製薬(株)製、
平均分子量2万)20部と、水95部と、界面活性剤
(日本油脂(株)製)0.1部からなる溶液を塗布、室温
で放置乾燥して厚さが約4μmの軟化転写層4を形成
し、本発明による第3の熱転写シート1とした。この第
3のシートを用いると、ポリエチレングリコールが厚み
方向に殆ど全て転写され、最低濃度0.13、最大濃度
1.52のマゼンタ単色による連続階調画像を得ること
ができた。
【0043】本実験例の比較として、ポリビニルアルコ
ールからなるインク層3上に、室温で相溶するアルギン
酸ナトリウム(君津化学工業(株)製)の水溶液を塗布、
乾燥して約5μm厚の軟化転写層4とした。このシート
を用いると、印加エネルギーの低いパルス幅では、階調
記録ができるが、記録濃度が0.5程度以上になると、
転写不良を生じ始め、記録できないようになった。加熱
時にインク層3と相溶し、接着強度が上がったために、
転写し難くなったようである。また、最低濃度は0.2
5であり、ポリエチレンオキサイドを使用したときより
も大きかった。
【0044】厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート
からなるシート状基体2上に、ポリビニルアルコール
((株)クラレ製)20部とジシアノスチリル系のイエロ
染料(三菱化成(株)製)10部、界面活性剤(日本油脂
(株)製)0.2部を水250部に溶解、分散したものを
塗布、乾燥して厚さが約5μmのインク層を形成した。
更に、このインク層3上に、室温で相溶性の不良なカル
ナバワックス(融点が約83℃)のエマルジョン液(固
形分43wt%、加藤洋行(株)製)を塗布、室温で放置
乾燥して厚さが約6μmの軟化転写層4を形成し、本発
明による第4の熱転写シート1とした。この第4のシー
トを用いると、加熱部ではカルナバワックスのほとんど
すべて転写され、画像保存性が良好であり、最低濃度
0.17、最大濃度1.35のイエロ単色による連続階
調画像を得ることができた。
【0045】本発明における熱転写シート1のどれを用
いても、記録像がないところに軟化転写材が転写される
ことがほとんどなく、筆記性も良好であった。また、軟
化転写材がインク層3との界面で均一に剥離し、記録物
のドット再現性も良好であった。
【0046】なお、本実施例では、完全に軟化転写材が
転写するような場合のみを示しているが、バインダ材と
軟化転写材を非相溶に選んでも、10%程度の軟化転写
材がインク層に付着して残留する場合もある。この場
合、非相溶にも関わらず、加熱時にインク層と軟化転写
層の界面が混練されるために、インク層側の軟化転写材
がシート表面に若干残ると考えられる。しかし、この場
合も十分な量の軟化転写材が受像体に転写するため、十
分な濃度の記録物を得ることができる。但し、このよう
な組合せにおいて、更に剥離を良くしたい場合は、例え
ば、インク層3に弗素系界面活性剤やシリコーンオイル
などを添加して軟化転写材を転写し易くすることができ
る。
【0047】なお、本実施例では、単色記録について説
明したが、重ね記録することにより、容易にフルカラー
画像を得ることができる。この重ね記録時には、従来の
熱転写シートでは重ね記録時に染着層に転写していた染
料がシート側に再拡散し、画質を下げていたが、本発明
によると各色毎に染着層に相当する軟化転写材が転写さ
れるので、再拡散しても軟化転写材と一緒に受像体に再
び転写され、受像体に転写された色材が減少せず、高画
質な記録像とできる。この場合、色の異なるインク層3
毎に軟化転写層4を構成する軟化転写材を変えることも
できる。
【0048】また、画像記録後、記録像を全面加熱して
軟化転写材の密着を上げ、画像の定着性を更に高めるこ
ともできる。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明は、染料とバインダ
材からなるインク層上に、加熱時に粘度が低下すると共
に、室温でバインダ材と非相溶な固形の軟化転写材から
なる軟化転写層を形成することにより、一般に使用する
パルプ紙など、染着層のない受像体に対しても良好な階
調記録像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における熱転写シートの断面構
成図である。
【図2】同実施例における動作説明のための熱転写記録
の動作説明図である。
【図3】従来の熱転写シートを用いたときの熱転写記録
装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 熱転写シート 2 シート状基体 3 インク層 4 軟化転写層 5 受像体 6 サーマルヘッド 7 発熱体 8 信号源 9 記録像

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性のシート状基体の上に、染料とバ
    インダ材からなるインク層と、昇温時に粘度が低下する
    と共に、室温で前記バインダ材と非相溶な固形の軟化転
    写材からなる軟化転写層とを順次積層したことを特徴と
    する熱転写シート。
  2. 【請求項2】 インク層のバインダ材と軟化転写材の親
    液性が異なることを特徴とする請求項1記載の熱転写シ
    ート。
  3. 【請求項3】 軟化転写材が、ワックスを含むことを特
    徴とする請求項1記載の熱転写シート。
  4. 【請求項4】 ワックスの酸価が20以下であることを
    特徴とする請求項3記載の熱転写シート。
  5. 【請求項5】 軟化転写材が、水溶性材料を含むことを
    特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
  6. 【請求項6】 水溶性材料が、ポリエチレンオキサイド
    であることを特徴とする請求項5記載の熱転写シート。
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