JPH0513892Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用小物入れなどの蓋開閉ヒンジ装
置に関するものである。

（従来の技術） 例えば乗用車のセンターコンソールボツクスに
蓋を設ける場合、通常の蝶番金具によつたのでは
開いたときに蓋の厚み分だけ側方へ張り出すこと
になる。そのため側方のシートなどと接触しない
ように配慮する必要があるが、その結果収納容量
が十分とれなくなるとか、スペースを十分活用で
きないといつた問題を生ずる。

（技術的課題） 本考案の目的は前記の問題を解決することにあ
り、その課題は蓋開き時に側方へ張り出さず、限
られたスペースを有効に使用できるようにするこ
とにある。

（技術的手段） 前記課題解決のため本考案は、容器３の内側に
取り付けられる容器側金具１１の内方に、弾性変
形可能な資材により形成され、かつ中間に内向き
の折曲部１を有するほぼくの字型のヒンジばね２
の下端を軸支する支軸ａを設け、その上位にて容
器口縁７よりやや突出した突出部１３に設けた支
軸ｅに前記折曲部１が内側から接したのち、ヒン
ジばね２の上端を軸支する支軸ｂを蓋体４の下隅
部５より上位に設け、ヒンジばね２の下位に配置
されるリンク６は、その下端を前記支軸ａ，ｂを
結ぶ直線より内側かつ支軸ａのやや上位に設けた
支軸ｃに軸支し、また上端を前記支軸ｂより下位
かつやや外側に位置する移動支軸ｄに連結し、開
蓋の際にリンク６の移動支軸ｄが前記支軸ｂ，ｃ
を結ぶ線を内方へ超えることにより、蓋体４の下
隅部５が口縁７の内方へ移動するように構成した
ものである。

（実施例） 図示実施例により説明すると、容器３は上方開
口の口縁７を有し、これを閉じる蓋体４はパツド
で覆われ、相当の厚みを有する。例示のヒンジ１
０はヒンジばね２とリンク６からなり、基材金具
１１，１２により容器３側と、蓋体４とを開閉可
能に接続している。容器側金具１１は、容器３の
内面に取り付けられる基部１６と、その基部１６
から容器内方へヒンジ形成に必要な分だけ離れた
軸取り付け部１７と、取り付け部１７の上部にて
口縁７より上方へ突出した突出部１３とを有し、
また突出部１３と基部１６との間は相対的に下方
へ凹んだ凹部１８となつている。他方、蓋側金具
１２は、蓋体４の隅部５近くの下面に取り付けら
れる基片１９と、その隅部５側の端部から下方へ
突出した軸支部２０とを有する。

ヒンジばね２は外向きの折曲部１を有し、ばね
鋼その他弾性変形可能な帯状資材により概ねくの
字形に形成されている。このヒンジばね２は、く
の字の下端が、最下位にある支軸ａにより容器側
金具１１に止められ、金具１１の上端の突出部１
３に設けた支軸ｅでくの字の折曲部１にあたる箇
所を支え、上端は蓋側金具１２の下隅部５より上
位に設けた最上位にある支軸ｂに軸支させ、弾力
が支軸ｅの方向へ働くようにしている。

リンク６は、最下位の支軸ａより上で中間支軸
ｅより下に位置する下部の支軸ｃと、最上位の前
記支軸ｂの下位かつやや外方の蓋体４に位置する
上部の移動支軸ｄとにより、容器３と蓋体４とを
連結している。リンク６の移動支軸ｄは、開蓋操
作により、下部支軸ｃを中心に回動し、かつヒン
ジばね２の最上位の支軸ｂを中心としても回動す
る。しかしリンク６の回動を拘束する下部支軸ｃ
から蓋側支軸ｂまでの間隔cbよりも、リンク６
の移動支軸ｄの回動半径cdの方が短いため、リ
ンク６は支軸ｃを中心として間隔cbの内側を回
動可能であり、その回動範囲は主としてもう一つ
の拘束条件bdによつて決められる。そしてリン
ク６の回動の際、その移動支軸ｄが直線bcを横
断する間、ヒンジばね２は引つ張られ、リンク６
が直線bcの外側から内側へ回動できるように支
軸ｂの移動を抑制し、第２図鎖線図示の開蓋状態
の如く移動支軸ｄを直線bcを挟んでほぼ対称の
位置にそれを保持する。なお１４はヒンジばね２
の第２折曲部で、ばねを効果的に働かせる。また
１５は蓋側金具１２のねじ止め用凹部を示す。こ
のようなヒンジ１０は一つの蓋体４に対し１個又
は２個以上用いられる。また第５図中、Ｓはシー
トを示す。

上述した構成に於て、不使用時、蓋体１４が閉
じているときは、ヒンジばね２には伸縮力が働か
ないか、或いは支軸ｂをｄ方向つまり下方かつ外
方へ押して閉状態を保つ（第２図実線）。この状
態から蓋体４を開くと、リンク６が支軸bc間を
外方から内方へ横切るデツドポイント前後で荷重
が強まり、ヒンジばね２を引つ張り、伸張させる
ので、それによつて蓋体４は下隅部５が容器３側
の口縁７と接触しないように若干持上げられ、ヒ
ンジばね２に接近して容器側金具上部の凹部１８
に収まり、開蓋状態となる（第２図、第１図鎖
線）。そのとき移動支軸ｄが蓋体開閉の中心であ
る支軸ｂの内側へ移動するため、蓋体４も内側へ
移行し開状態となり、近くのシートＳ等と接触せ
ず、全開する。

（考案の効果） 従つて本考案によれば、容器口縁７上にある下
隅部５が蓋体４を開いたときに口縁７の内方へ移
動するため、側方へ張り出すことがなく、しかも
開蓋中、ヒンジ１０のバネ２は回動せず、リンク
６はその移動支軸ｄが直線cbを越えて対称位置
に移動するだけで、側方へ出ないので、隣接した
他部材との間に無駄なスペースを設ける必要がな
く、自動車室内の限られた空間を有効に活用する
ことができる効果を奏する。特に本考案によれば
ヒンジ１０を構成するヒンジばね２とリンク６の
動きが極めて少ないため、作動中に他部材や手指
等を挟むおそれが殆んどなく、動作を想定した余
分のデツドスペースが必要ないから容器３内の空
間利用の上でも効果的であり実用性が優れてい
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る車両用蓋開閉ヒンジ装置の
実施例を示すもので第１図は断面図、第２図は作
用説明図、第３図は閉蓋状態のまた第４図は開蓋
状態の正面図、第５図は本案ヒンジによる小物入
れの正面図である。 １……折曲部、２……ヒンジばね、３……容
器、４……蓋体、５……下隅部、６……リンク、
７……口縁、ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ……支軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上方開口の口縁７を有する容器３と、その開口
   を閉じる蓋体４とを、それらの一側部に設けたヒ
   ンジ１０により開閉可能に接続する装置であつ
   て、容器３の内側に取り付けられる容器側金具１
   １の内方に、弾性変形可能な資材により形成さ
   れ、かつ中間に内向きの折曲部１を有するほぼく
   の字型のヒンジばね２の下端を軸支する支軸ａを
   設け、その上位にて容器口縁７よりやや突出した
   突出部１３に設けた支軸ｅに前記折曲部１が内側
   から接したのち、ヒンジばね２の上端を軸支する
   支軸ｂを蓋体４の下隅部５より上位に設け、ヒン
   ジばね２の下位に配置されるリンク６は、その下
   端を前記支軸ａ，ｂを結ぶ直線より内側かつ支軸
   ａのやや上位に設けた支軸ｃに軸支し、また上端
   を前記支軸ｂより下位かつやや外側に位置する移
   動支軸ｄに連結し、開蓋の際にリンク６の移動支
   軸ｄが前記支軸ｂ，ｃを結ぶ線を内方へ超えるこ
   とにより、蓋体４の下隅部５が口縁７の内方へ移
   動するように構成したことを特徴とする車両用蓋
   開閉ヒンジ装置。