JPH0512835B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、EL（エレクトロルミネツセンス）素
子、特に長尺のEL素子に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、EL素子１は、一般に第３図に示すよう
に、アルミニウム箔等の背面電極２の上面に、例
えばチタン酸バリウム（BaTiO₃）等の誘電体の
粉末を含む絶縁層３を形成し、その上に同様に硫
化亜鉛（ZnS）等の蛍光体を含む発光層４を形成
することによりEL基材を構成し、さらにこの発
光層４の上に、ポリエステルフイルム等の一面に
酸化インジウム（ITO）を蒸着させて形成した透
明導電フイルム５をそのITO蒸着膜が発光層４に
対向するようにして熱圧着して、その後上下から
防湿フイルム６で熱圧着等により密封することに
より構成されており、上記背面電極２と透明導電
フイルム５との間に電圧が印加されたときに絶縁
層３及び発光層４から成るEL材料中に電界が発
生することにより発光層４が発光するようになつ
ている。

ここで、比較的大面積のEL素子を製造する場
合には、取出し電極部から離れるにしたがつて電
圧降下が生ずることを防止するために、透明導電
フイルム５の下面に例えば銀（Ag）等の導電性
金属ペーストをスクリーン印刷等により付着させ
ることによつて引回し電極５ａを形成し、熱圧着
により該引回し電極５ａを発光層４に接着させる
ようにしている。

かくして、上記引回し電極５ａを介して透明導
電フイルム５のほぼ全面に亘つて所定の電圧が印
加されることとなり、EL素子１の全面で均一な
発光が行なわれる。

〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、特に長尺のEL素子を製造する
場合には、引回し電極５ａを透明導電フイルム５
の下面にスクリーン印刷により形成する際に使用
するマスク版の寸法に限界があり、また引回し電
極５ａの抵抗率が比較的高いことから、極端に長
尺のEL素子１を製造することは困難であると共
に、透明導電フイルム５側の引回し電極５ａから
の電極端子の取出しが複雑になつてしまうという
問題があつた。

本発明は、以上の点に鑑み、構造が簡単で且つ
低コストで製造され得ると共に、電極端子の取出
しが容易に行なわれ得る、長尺EL素子を提供す
ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

上記目的は、本発明によれば、背面電極上に絶
縁層及び発光層を順次形成した基材上に、透明導
電フイルムを積層させ、上下から防湿フイルムに
て密封することにより構成されるEL素子におい
て、上記透明導電フイルムの長手方向の側縁に沿
つて備えられるべき電圧降下防止用の引回し電極
が、発光層に対向する領域に多数のパンチ穴を備
えたテープ状の金属箔により構成されており、こ
の透明導電フイルムを上記基材上に積層させる際
に、透明導電フイルムの下側に上記引回し電極を
一部が外部に突出するように挿入し、これにより
引回し電極が透明導電フイルムの下面に圧着され
ると共に、該引回し電極の透明導電フイルムから
突手する部分が給電用の電極端子として利用され
るようにしたことにより達成される。

この発明によれば、透明導電フイルムの下面に
備えられるべき引回し電極が、発光層に対向する
領域に多数のパンチ穴を備えたテープ状の金属箔
により構成されているので、従来のマスク印刷等
により透明導電フイルムの下面に形成された引回
し電極の場合に比較してより低い抵抗率が得られ
ることになり、また上記引回し電極の発光層に対
向する領域に備えた多数のパンチ穴を通つて、該
発光層の中に含まれるバインダが透明電極フイル
ムの下面に達することにより該引回し電極が確実
に透明導電フイルムに対して電気的に接続され得
るので、極端に長尺のEL素子を製造する場合で
も、電圧降下がより低減され得ることから、EL
素子の発光がその全面に亘つてより均一なものと
なると共に、引回し電極を構成するテープ状の金
属箔の長手方向の一側を、透明導電フイルムより
突出させることにより、電極端子として利用する
ため、引回し電極及び透明導電フイルムに対して
別体の電極端子を電気的に接続する必要がなく、
電極端子の引回し電極に対する接続抵抗がなくな
り、しかもEL素子がより簡単に製造され得る。

本発明による長尺EL素子は、引回し電極を構
成するテープ状の金属箔の発光層に対向する領域
に、前以て多数のパンチ穴が備えられており、こ
れによつて、透明導電フイルムの下側に該引回し
電極を挿入して該透明導電フイルムを上記基材上
に積層させる際に、該基材の最上部を構成する発
光層の中に含まれるバインダを該パンチ穴を通つ
て透明導電フイルムの下面に達することにより、
透明導電フイルムが発光層に対しても接着される
こととなり、該引回し電極が基材の最上部を構成
する発光層と透明導電フイルムに対して確実に電
気的に接続され得る。

〔実施例〕

以下、図面に示した一実施例に基づいて本発明
をさらに詳細に説明する。

第１図は、本発明によるEL素子の一実施例を
示しており、EL素子１０は、先ず、アルミニウ
ム箔等の背面電極１１の上面に、例えばチタン酸
バリウム（BaTiO₃）等の誘電体の粉末を含む絶
縁層１２を形成し、その上に同様に硫化亜鉛
（ZnS）等の蛍光体を含む発光層１３を形成する
ことによりEL基材１４を構成する。ここで、該
EL基材１４の長手方向に沿つて延びている側縁
（第１図の右側に示す側縁）１４ａをその上面か
ら下面まで覆うように絶縁テープ１５を貼着し、
続いてテープ状の金属箔１６を該側縁１４ａに沿
つて、該金属箔１６の長手方向の一側縁１６ａが
EL基材１４の上面に貼着された絶縁テープ１５
を越えて基材１４上に達するように且つ他方の側
縁１６ｂが基材１４の側縁１４ａから外方に突出
するように（第２図参照）配設させる。さらに、
この基材１４を構成する発光層１３の上に、ポリ
エステルフイルム等の一面に酸化インジウム
（ITO）を蒸着させて形成した透明導電フイルム
１７を、そのITO蒸着膜が発光層１３に対向する
ようにして熱圧着して、その後上下から防湿フイ
ルム１８で熱圧着等により密封することにより構
成されている。

ここで、金属箔１６の一側縁１６ａ側の絶縁テ
ープ１５を越えた発光層１３に対向する領域に
は、第２図に示すように、パンチ穴１６ｃが穿設
されており、透明導電フイルム１７を基材１４の
最上部である発光層１３へ熱圧着する際に、該発
光層１３の中に含まれるバインダが該発光層１３
から上記パンチ穴１６ｃを通つて上記透明導電フ
イルム１７の下面に達することにより、透明導電
フイルム１７が該パンチ穴１６ｃを介して基材１
４上に接着されるようになつている。

本発明によるEL素子は以上のように構成され
ており、透明導電フイルム１７の長手方向の一側
縁に沿つて備えられた引回し電極が、テープ状の
金属箔１６により形成されることになり、従来の
例えば銀ペーストをスクリーン印刷することによ
り形成した引回し電極に比較してより抵抗率の低
い引回し電極となる。また、EL素子１０に対す
る給電用の電極端子は、引回し電極を構成するテ
ープ状の金属箔１６の透明導電フイルム１７から
突出した側縁１６ｂの部分により構成されること
になる。従つて、電極端子が引回し電極に対して
一体に形成されているので、引回し電極に対する
接触抵抗がゼロになる。さらに、金属箔１６の発
光層１３に対向する領域にパンチ穴１６ｃが設け
られていることにより、発光層１３内のバインダ
の作用により透明導電フイルム１７が該パンチ穴
１６ｃを介して発光層１３即ち基材１４に接着さ
れることになるので、透明導電フイルム１７の基
材１４に対する接着が引回し電極の領域の弱めら
れるようなことがない。

尚、上記実施例において、引回し電極がテープ
状の金属箔により構成されていることから、前記
基材１４、金属箔１６及び透明導電フイルム１７
をそれぞれ長尺に製造してロール上に保管してお
き、またこれらを積層させた状態でロール上に保
管するようにすれば、必要な時に必要な長さだけ
を切り出すことにより、任意の長さの長尺EL素
子が製造されることができ、しかも連続的に製造
することも容易に可能となる。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、背面電極
上に絶縁層及び発光層を順次形成した基材上に、
透明導電フイルムを積層させ、上下から防湿フイ
ルムにて密封することにより構成されるEL素子
において、上記透明導電フイルムの長手方向の側
縁に沿つて備えられるべき電圧降下防止用の引回
し電極をテープ状の金属箔により構成し、この透
明導電フイルムを上記基材上に積層させる際に、
透明導電フイルムの下側に上記引回し電極を一部
が外部に突出するように挿入し、これにより引回
し電極が透明導電フイルムの下面に圧着されると
共に、該引回し電極の透明導電フイルムから突出
する部分が給電用の電極端子として利用されるよ
うに構成したから、従来のマスク印刷等により透
明導電フイルムの下面に形成された引回し電極の
場合に比較してより低い抵抗率が得られることに
なる。

また、上記引回し電極を構成するテープ状の金
属箔の長手方向の一側を、透明導電フイルムより
突出させることにより電極端子として利用するた
め、引回し電極及び透明導電フイルムに対して別
体の電極端子を電気的に接続する必要がなく、電
極端子の引回し電極に対する接続抵抗がなくな
り、しかもEL素子がより簡単に製造され得る。

さらに、引回し電極を構成するテープ状の金属
箔の発光層に対向する領域に、前以て多数のパン
チ穴が備えられていると、透明導電フイルムの下
側に該引回し電極を挿入して該透明導電フイルム
を上記基材上に積層させる際に、該基材の最上部
を構成する発光層の中に含まれるバインダが該パ
ンチ穴を通つて透明導電フイルムの下面に達する
ことにより、透明導電フイルムが発光層に対して
も接着されることとなり、該引回し電極が基材の
最上部を構成する発光層と透明導電フイルムに対
して確実に電気的に接続され得る。従つて、極め
て長尺のEL素子を製造する場合でも、電圧降下
がより低減されるので、EL素子の発光がその全
面に亘つてより均一なものとなる。

かくして本発明によれば、如何に長いEL素子
でも容易に製造することができ、しかも引回し電
極を構成するテープ状の金属箔の一部が透明導電
フイルムから突出して給電用の電極端子を形成し
ているので、その全面に亘つてあまり電圧降下が
発生せず、均一な発光特性が得られる、極めて優
れた長尺EL素子が提供され得ることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるEL素子の一実施例を示
す断面図、第２図は第１図のEL素子の部分拡大
斜視図である。第３図は従来のEL素子の一例を
示す断面図である。 １０……EL素子；１１……背面電極；１２…
…絶縁層；１３……発光層；１４……基材；１５
……絶縁テープ；１６……テープ状の金属箔；１
７……透明導電フイルム；１８……防湿フイル
ム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 背面電極上に絶縁層及び発光層を順次形成し
   た基材上に、透明導電フイルムを積層させ、上下
   から防湿フイルムにより密封することにより構成
   されるEL素子において、上記透明導電フイルム
   の長手方向の側縁に沿つて備えられるべき電圧降
   下防止用の引回し電極が、上記発光層に対向する
   領域に多数のパンチ穴を備えたテープ状の金属箔
   により構成されており、上記透明導電フイルムを
   上記基材上に積層させる際に、透明導電フイルム
   の下側に上記引回し電極を一部が外部に突出する
   ように挿入し、これにより引回し電極が透明導電
   フイルムの下面に圧着されると共に、該引回し電
   極の透明導電フイルムから突出する部分が給電用
   の電極端子として利用されるようにしたことを特
   徴とするEL素子。